説明

埋込磁石型モータおよび埋込磁石型回転子の製造方法

【課題】部品点数を増大させることなく、回転子の半径方向における永久磁石と磁石孔との隙間を解消することができる埋込磁石型モータおよび埋込磁石型モータロータの製造方法を提供する。
【解決手段】各第1および第2の壁28a,28bを介して、各外側鉄心25bを回転子の回転方向と反対方向へ塑性変形させることにより、回転子の半径方向における各磁石孔26の幅を小さくするようにした。その結果、回転子の半径方向において、各外側鉄心25bおよび各永久磁石29、ならびに内側鉄心25aおよび各永久磁石29をそれぞれ接触させるようにした。このため、回転子の半径方向における各永久磁石29と鉄心25との隙間を埋めるための別部材は不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋込磁石型モータおよび埋込磁石型回転子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、永久磁石を回転子に埋め込んだ埋込磁石型モータ(以下、「IPMモータ」という。)が知られている。図6に示すように、IPMモータの回転子60(正確には、鉄心)には、その回転方向に沿って複数の磁石孔61が等間隔に設けられている。各磁石孔61には、永久磁石62が挿入された状態で保持されている。IPMモータでは、磁石孔61および永久磁石62の公差に起因して、磁石孔61と永久磁石62との間には、第1および第2の隙間A1,A2が生じる。第1の隙間A1は、回転子60の半径方向において形成される隙間であり、第2の隙間A2は、回転子60の回転方向において形成される隙間である。第1および第2の隙間A1,A2がそれぞれ形成された場合には、回転子60の回転に伴い、磁石孔61の内部において永久磁石62の位置がずれる。すると、図示しない固定子と回転子60との間に生じる磁気回路の磁気抵抗がばらつくため、トルクリップルが大きくなる。特に、第1の隙間A1は、磁束φが通過する部分、すなわち、回転子60と永久磁石62との間の磁路を形成する部分に存在するので、磁気回路の磁気抵抗が大きくなる。このため、永久磁石62の磁束が有効利用できない懸念がある。
【0003】
この問題を解決するために、たとえば特許文献1では、つぎのような構成を採用している。すなわち、図7に示すように、回転子70の各磁石孔71には、2つの永久磁石72,72が回転子70の半径方向において重ね合わせられた状態で挿入されている。回転子70をその軸方向に対して垂直に切断したとき、各磁石孔71は長方形を、各永久磁石72は直角台形をなしている。そして、2つの永久磁石72,72は、それぞれ上底面および下底面を互い違いにして、かつ傾斜面同士を接触させた状態で1つの磁石孔71に挿入されている。さらに、2つの永久磁石72,72の下底面と磁石孔71との間には、それぞれ板ばね73が介在されている。板ばね73の弾性力により、2つの永久磁石72,72は、それぞれ上底面が磁石孔71の内面に近づく方向へ付勢される。これにより、2つの永久磁石72,72の垂直面は、それぞれ磁石孔71における回転子70の半径方向において互いに対向する2つの内面に当接した状態に維持される。また、2つの永久磁石72,72の傾斜面も互いに当接した状態に維持される。このようにして、磁束が通過する方向、すなわち回転子70の半径方向における隙間が解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−328819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のIPMモータによれば、確かに回転子70の半径方向における永久磁石72と磁石孔71との間の隙間を解消することができる。しかし、特許文献1のIPMモータでは、1つの磁石孔71に対して、2つの永久磁石72,72を挿入する必要がある。このため、部品点数が増大する。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、部品点数を増大させることなく、回転子の半径方向における永久磁石と鉄心との隙間を解消することができる埋込磁石型モータおよび埋込磁石型回転子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、円筒状の固定子に対して相対回転可能に挿入される円柱状の回転子を備え、当該回転子は、複数枚の電磁綱板が積層されてなる鉄心と、当該鉄心に形成された複数の磁石孔にそれぞれ挿入される複数の永久磁石とを有する埋込磁石型モータにおいて、前記鉄心は、内側鉄心と、内側鉄心の外側に設けられる複数の外側鉄心と、内側鉄心および各外側鉄心の両端をそれぞれ連結する複数の連結部と、を備え、前記各磁石孔は、内側鉄心と各外側鉄心との間の隙間が各連結部によって区画されてなり、各外側鉄心および各連結部の少なくとも一方が塑性変形されることによって、鉄心の径方向における各永久磁石と鉄心との隙間が埋められてなることを要旨とする。
【0008】
本発明によれば、各外側鉄心および各連結部の少なくとも一方が塑性変形されることによって、鉄心の半径方向における各永久磁石と鉄心との隙間が埋められる。このため、部品点数を増やすことなく、鉄心の半径方向における各永久磁石と鉄心との間の隙間を解消することができる。
【0009】
請求項2に記載するように、前記鉄心は、塑性変形されることによって軸方向からみたときの輪郭が円形をなすように設けられることが好ましい。固定子との距離が一定に保たれるからである。
【0010】
また、前記塑性変形は、請求項3に記載するように、各外側鉄心が、内側鉄心に対して、鉄心の円周方向へ相対移動されてなるものであってもよいし、請求項4に記載するように、各外側鉄心が、鉄心の軸方向へ傾けられてなるものであってもよい。
【0011】
請求項5に記載の発明は、複数枚の電磁綱板が積層されてなる円柱状の鉄心と、鉄心に形成された複数の磁石孔にそれぞれ挿入される複数の永久磁石とを有する回転子の製造方法において、前記鉄心は、内側鉄心と、内側鉄心の外側に設けられる複数の外側鉄心と、内側鉄心および各外側鉄心の両端をそれぞれ連結する複数の連結部と、を備え、各連結部によって内側鉄心と外側鉄心との間の隙間を区画することにより各磁石孔を形成したうえで、各外側鉄心および各連結部の少なくとも一方を塑性変形させることによって、鉄心の径方向における各永久磁石と鉄心との隙間を埋めることを要旨とする。
【0012】
本発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、埋込磁石型モータにおいて、部品点数を増大させることなく、回転子の半径方向における永久磁石と鉄心との隙間を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1および第2の実施の形態における電動ポンプのモータの一部分を破断した正面図。
【図2】(a)は、同じく回転子の鉄心を軸方向からみた正面図、(b)は、回転子を軸に沿って切断した断面図。
【図3】(a)は、同じく塑性変形前の回転子の鉄心を軸方向からみた正面図、(b)は、同じく塑性変形後の回転子の鉄心を軸方向から見た正面図。
【図4】(a)は、第2の実施の形態における塑性変形前後の回転子の鉄心を軸方向からみた正面図、(b)は、同じく塑性変形前の回転子の鉄心を軸に沿って切断した断面図、(c)は、同じく塑性変形後の回転子の鉄心を軸に沿って切断した断面図、(d)は、他の実施の形態の塑性変形後の回転子の鉄心を軸に沿って切断した断面図。
【図5】同じく固定子と塑性変形後の回転子との位置関係を示すモータの要部断面図。
【図6】従来の回転子を軸に直交する方向において切断した要部断面図。
【図7】従来の他の回転子を軸に直交する方向において切断した要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、本発明を電動ポンプに具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】
<電動ポンプ>
電動ポンプは、たとえば車両の燃料ポンプ、ウォーターポンプ、オイルポンプ、およびトランスミッション用ポンプなどの補機類として使用される。図1に示すように、電動ポンプ11は、水およびオイルなどの液体を循環させるポンプ12と、当該ポンプ12を駆動する埋込磁石型のモータ13とが一体的に設けられてなる。ポンプ12は用途に応じて、内接ギヤポンプなど、各種のものが採用される。
【0017】
<モータ>
モータ13のケース20の内周面には、円筒状の固定子21が圧入された状態で固定されている。固定子21の内周面には、図示しない複数のティースが形成されている。これらティースには、それぞれ導線が巻回されることにより3相(U相,V相,W相)に対応するコイル22が設けられている。また、ケース20の内部には、図示しない軸受を介して出力軸23が回転可能に支持されている。出力軸23には、回転子24が設けられている。回転子24の外周面と、固定子21の内周面との間には、全周にわたって一定の隙間が形成されている。
【0018】
<回転子>
図2(a),(b)に示すように、回転子24は、複数の電磁鋼板が積層されてなる円柱状の鉄心25、および鉄心25の内部に埋め込まれる4つの永久磁石29を有している。鉄心25には、4つの磁石孔26が設けられている。各磁石孔26は、鉄心25の軸方向に沿って貫通している。鉄心25を軸方向からみたとき、各磁石孔26は、鉄心25の円周方向に沿って、90°間隔で設けられている。また、鉄心25を軸方向からみたとき、各磁石孔26は平行四辺形をなしている。すなわち、各磁石孔26は、鉄心25の半径方向において対向する2つの長面26a,26b、および鉄心25の円周方向において対向する2つの短面26c,26dに囲まれてなる。
【0019】
鉄心25の円周方向において、互いに隣り合う2つの磁石孔26,26の間には、肉抜き孔27が形成されている。ここでは、4つの磁石孔26が設けられているので、肉抜き孔27は全部で4つとなる。各肉抜き孔27は、鉄心25の軸方向に沿って貫通している。鉄心25を軸方向からみたとき、各肉抜き孔27は、直角三角形状をなしている。そして、各肉抜き孔27が形成されることにより、第1〜第3の壁28a,28b,28cが形成されている。第1の壁28aは、肉抜き孔27と、鉄心25の円周方向において互いに隣り合う2つの磁石孔26,26のうち時計方向に位置する磁石孔26とを仕切る壁である。第2の壁28bは、同じく肉抜き孔27と、反時計方向に位置する磁石孔26とを仕切る壁である。第3の壁28cは、肉抜き孔27と鉄心25の外部とを仕切る壁である。第3の壁28cの外面は、鉄心25の外周面の一部を構成する。また、第2の壁28bと第3の壁28cとの境界は切断されている。第2および第3の壁28b,28cの切断面は、互いに当接した状態に維持されている。
【0020】
鉄心25を軸方向からみたとき、鉄心25は、1つの内側鉄心25a、4つの外側鉄心25b、ならびに、内側鉄心25aおよび各外側鉄心25bを連結する部分に区画して見ることができる。内側鉄心25aは、鉄心25の半径方向において、各磁石孔26よりも内側に位置する部分である。図2(a)に示されるように、内側鉄心25aは、鉄心25を軸方向からみたとき、正方形をなす部分である。外側鉄心25bは、鉄心25の半径方向において、各磁石孔26よりも外側に位置する部分である。外側鉄心25bは、鉄心25を軸方向からみたとき、三日月状をなす部分である。第3の壁28cは、外側鉄心25bに含まれる。4組の第1および第2の壁28a,28bは、内側鉄心25aおよび外側鉄心25bを連結する部分として機能する。また、各磁石孔26は、内側鉄心25aと各外側鉄心25bとの間の隙間が、第1および第2の壁28a,28bによって、鉄心25の円周方向において区画されることにより形成されていると見ることもできる。
【0021】
各磁石孔26には、界磁源となる直方体状の永久磁石29が挿入されている。鉄心25の軸方向における永久磁石29の長さは、磁石孔26の長さと同じとされている。すなわち、鉄心25の軸方向における永久磁石29の2つの端面は、鉄心25の軸方向における2つの端面に対して、段差のない状態とされている。各永久磁石29は、接着剤により各磁石孔26の内部に固定される。各永久磁石29の2つの長面29a,29bは、それぞれ各磁石孔26の2つの長面26a,26bに対して隙間なく接触している。また、各永久磁石29の2つの短面29c,29dと、第1および第2の壁28a,28bとの間には、それぞれ隙間30,30が形成されている。永久磁石29の2つの短面29c,29dと、第1および第2の壁28a,28bとは、それぞれ鋭角をなしている。
【0022】
<押さえ部材>
図2(a)に示すように、各電磁綱板の表面(図2(b)の左側面)には、4つの円形の凹部31が形成されている。各凹部31は、各電磁綱板を、その表面側から裏面側へ塑性変形させることにより形成されている。各凹部31は、鉄心25の円周方向に沿って90°間隔で設けられている。各凹部31は、永久磁石29と鉄心25の外周縁との間、かつ永久磁石29の長辺の中央に位置している。また、図2(b)に示すように、各電磁綱板の裏面(図2(b)の右側面)には、4つの突部32が設けられている。各突部32は、鉄心25の円周方向において、各凹部31に一致している。各突部32は、各凹部31を形成する際において、塑性変形により電磁綱板の裏面から突出する部分である。複数枚の電磁綱板は、それぞれの突部32が裏面に重ね合わせられる電磁綱板の凹部31に挿入された状態で積層されている。
【0023】
図2(b)に示すように、鉄心25の軸方向において互いに反対側に位置する2つの端面には、第1および第2の押さえ部材33,34が取り付けられている。第1および第2の押さえ部材33,34は、真鍮あるいはアルミニウムなどの非磁性体により、円板状に形成されている。第1および第2の押さえ部材33,34の外径は、鉄心25の外径と同じとされている。第1の押さえ部材33の裏面(図2(b)の右側面)には、4つの突部35が設けられている。各突部35は、第1の押さえ部材33の円周方向において90°間隔で設けられている。各突部35は、鉄心25を構成する複数枚の電磁綱板のうち最表面の電磁綱板の各凹部31に嵌められている。第2の押さえ部材34の表面(図2(b)の左側面)には、4つの凹部36が設けられている。各凹部36は、第2の押さえ部材34の円周方向において90°間隔で設けられている。各凹部36には、鉄心25を構成する複数枚の電磁綱板のうち最裏面の電磁綱板の各突部32が嵌められている。
【0024】
<回転子の製造方法>
つぎに、回転子24の製造方法を説明する。まず、打ち抜き加工により得られる複数枚の打ち抜き板を積層することにより、図3(a)に示される鉄心25を形成する。この積層の際、各打ち抜き板の各突部32と各凹部31とが嵌め合わされることにより、各打ち抜き板の円周方向における位置ずれが相互に規制される。
【0025】
また、打ち抜き板を積層した段階においては、各外側鉄心25bは、図3(a)に二点鎖線で示される鉄心25の本来の輪郭42に対して、鉄心25の接線方向へずれている。各外側鉄心25bは、反時計方向に沿って同じ方向へずれている。具体的には、上側の外側鉄心25bは左方へ、左側の外側鉄心25bは下方へ、下側の外側鉄心25bは右方へ、右側の外側鉄心25bは上方へずれている。そして、各外側鉄心25bにおいて、第3の壁28cを含む外縁の一部分は、輪郭42から外側へ、はみ出している。また、第2の壁28bと第3の壁28cとは、互いに離間している。さらに、各磁石孔26は、矩形状をなしている。すなわち、外側鉄心25bと内側鉄心25aとを連結する第1および第2の壁28a,28bは、それぞれ鉄心25の中心を通る直径線に平行をなしている。
【0026】
つぎに、各磁石孔26の内部に永久磁石29を挿入する。このとき、各永久磁石29と、各磁石孔26との間には、公差などに起因する隙間が形成されている。すなわち、各永久磁石29の2つの長面29a,29bと、各磁石孔26の2つの長面26a,26bとの少なくとも一の間には、隙間43が形成されている。また、各永久磁石29の2つの短面29c,29dと、第1および第2の壁28a,28bとの少なくとも一の間には、隙間30が形成されている。
【0027】
つぎに、内側鉄心25aを介して鉄心25を動かないように固定する。この後、鉄心25(正確には、各外側鉄心25b)に対して、円周方向へ向けた外力を印加する。具体的には、回転子24の回転方向を、図3(b)に矢印44で示される反時計方向としたとき、同図に4つの矢印45で示される時計方向へ向けた外力を鉄心25に印加する。
【0028】
すると、各外側鉄心25bは、第1および第2の壁28a,28bを介して、時計方向へ塑性変形する。正確には、各第1および第2の壁28a,28bが、内側鉄心25aとの連結部分を支点として、時計方向へ傾くように塑性変形する。当該塑性変形に伴い、上側の外側鉄心25bは右方へ、左側の外側鉄心25bは上方へ、下側の外側鉄心25bは左方へ、右側の外側鉄心25bは下方へ変位する。また、各外側鉄心25bは、第1および第2の壁28a,28bの傾きに応じて、内側鉄心25aに対して徐々に近接する。すなわち、各磁石孔26の外側の長面26aは、内側の長面26bに対して平行を保ちつつ時計方向へ変位し、かつ長面26bに徐々に近接する。
【0029】
やがて、第2の壁28bは、第3の壁28cの先端に当接する。これにより、閉じた肉抜き孔27が形成される。
第2の壁28bが第3の壁28cに当接した状態において、各外側鉄心25bの外面は、同一の円周上、正確には図3(a)に二点鎖線で示される輪郭42上に位置する。
【0030】
また、第2の壁28bが第3の壁28cに当接した状態において、第1の壁28aにおける外側鉄心25bとの連結部分は、永久磁石29の外側の角部に当接する。第2の壁28bにおける内側鉄心25aとの連結部分には、永久磁石29の内側の角部が当接する。この第1および第2の壁28a,28bと永久磁石29との当接関係により、鉄心25の円周方向における各永久磁石29の位置ずれが規制される。
【0031】
また、第2の壁28bが第3の壁28cに当接するタイミングで、各外側鉄心25bは、内側鉄心25aとの間で各永久磁石29を挟み込んだ状態となる。すなわち、磁石孔26の2つの長面26a,26bは、永久磁石29の2つの長面29a,29bに対して隙間なく接触する。各外側鉄心25bおよび内側鉄心25aによって各永久磁石29が挟持されることにより、鉄心25の半径方向における各永久磁石29の位置ずれが規制される。
【0032】
なお、第1および第2の壁28a,28bの塑性変形に際して、各第1の壁28aの傾動範囲に永久磁石29が存在するとき、永久磁石29は第1の壁28aにより傾動方向へ押しやられる。この傾動方向へ向けた永久磁石29の変位は、傾動方向に存在する第2の壁28b(正確には、第2の壁28bの内側鉄心25aとの連結部分)に当接することにより規制される。各永久磁石29は、各磁石孔26における鉄心25の円周方向における中央に位置決めされる。すなわち、鉄心25を軸方向からみたとき、永久磁石29の中心と鉄心25の中心とを結んだ線分は、鉄心25の直径線に一致する。
【0033】
このように、各第1および第2の壁28a,28bが傾くことにより、各磁石孔26に対する各永久磁石29の位置決めが行われつつ、各永久磁石29は各磁石孔26に対して固定される。
【0034】
つぎに、鉄心25の軸方向における両端面に、第1および第2の押さえ部材33,34を取り付ける。そして最後に、各永久磁石29を着磁する。具体的には、各永久磁石29の外側(固定子21側)の部分が、鉄心25の円周方向において、交互にS極、およびN極となるように着磁する。以上で、回転子24の製造が完了となる。
【0035】
<回転子の作用>
つぎに、回転子24の作用を説明する。
さて、回転子24の半径方向において、各永久磁石29と内側鉄心25aとの間、ならびに各永久磁石29と各外側鉄心25bとの間には、いずれにも隙間が存在しない。各永久磁石29と鉄心25との間における磁路が形成される部分に隙間が存在しないので、磁気回路の磁気抵抗の増大が抑制される。このため、各永久磁石29から生じる磁束を有効に使用することができる。
【0036】
ここで、各永久磁石29と各第1の壁28aとの間、および各永久磁石29と各第2の壁28bとの間には、それぞれ隙間30が形成される。しかし、回転子24の円周方向における各永久磁石29と電磁綱板との間の部分は、回転子24と永久磁石29との間の磁路を形成する部分として機能しない。このため、回転子24の円周方向において、各隙間30が形成されたとしても、モータ13の特性に大きな影響を与えることはない。
【0037】
むしろ、回転子24の円周方向において、永久磁石29と鉄心25との間には、空気層である隙間30が形成されることが好ましい。空気層の存在により磁気抵抗が増大するので、磁束が漏れにくい。すなわち、各隙間30は、永久磁石29から供給される磁束の有効利用に少なからず寄与する。
【0038】
また、電磁綱板は塑性変形されることにより磁気抵抗が増大する。このため、第1および第2の壁28a,28bにおける内側鉄心25aおよび各外側鉄心25bとの連結部分、およびそれらの近傍の磁気抵抗は、第1および第2の壁28a,28bが塑性変形されることによって増大する。磁気抵抗が高くなれば、その分、磁束の通過が困難となる。したがって、各永久磁石29の間からの磁束の漏洩が抑制される。
【0039】
このように、永久磁石29と第1および第2の壁28a,28bとの間に形成される隙間30による磁気抵抗の増大、および第1および第2の壁28a,28bの塑性変形による磁気抵抗の増大により、磁束が各永久磁石29の間から漏れ出ることが好適に抑制される。
【0040】
また、塑性変形させた第1および第2の壁28a,28bは、スプリングバックなどによってわずかながらも塑性変形前の状態に戻ろうとする。しかし、各突部35および各凹部31、ならびに各凹部36および各突部32の嵌め合い関係により、各第1および第2の壁28a,28bのスプリングバックなどに起因する各外側鉄心25bの戻りが抑制される。また、鉄心25の軸方向における両端面にそれぞれ開口する磁石孔26は、それぞれ第1および第2の押さえ部材33,34により塞がれる。このため、各永久磁石29が各磁石孔26から脱落することが抑制される。
【0041】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)各第1および第2の壁28a,28bを介して、各外側鉄心25bを回転子24の回転方向と反対方向へ塑性変形させることにより、各磁石孔26の高さ(回転子24の半径方向における寸法)を小さくするようにした。その結果、回転子24の半径方向において、各外側鉄心25bおよび各永久磁石29、ならびに内側鉄心25aおよび各永久磁石29をそれぞれ接触させるようにした。このため、部品点数を増やすことなく、換言すれば、従来のIPMモータにおける永久磁石の形状および個数を維持しつつ、回転子24の半径方向における各永久磁石29と鉄心25との隙間を解消することができる。また、各磁石孔26の内部において各永久磁石29の位置がずれることもないので、磁気抵抗の変動を抑制することもできる。
【0042】
(2)鉄心25に対して、回転子24の回転方向と反対方向へ向けた外力を印加することにより、第1および第2の壁28a,28bを塑性変形させるようにした。このため、モータ13は、電動ポンプの駆動源として好適である。
【0043】
電動ポンプは回転方向が決まっているので、モータ13は、当該決められた方向にのみ回転される。そして、1方向にのみ回転されるモータ13において、各外側鉄心25bを塑性変形させる方向を、回転子24の回転方向と同じ方向とした場合には、つぎのような懸念がある。すなわち、回転子24と固定子21との間において、異物の咬み込みが発生したとき、各外側鉄心25b、あるいは各第1および第2の壁28a,28bの塑性変形を戻す方向への力が発生するおそれがある。そして、この場合、異物の咬み込みに起因する力によって、各外側鉄心25bなどの塑性変形が戻されて、回転子24の外径が拡大することが懸念される。この点、本例によれば、塑性変形の方向を、回転子24の回転方向と反対方向としているので、異物を噛み込んだ場合であれ、各外側鉄心25bなどの塑性変形を戻す方向への力は発生しにくい。このため、各外側鉄心25bなどの塑性変形の戻りが抑制される。
【0044】
(3)鉄心25の軸方向における両端面には、第1および第2の押さえ部材33,34を取り付けた。第1および第2の押さえ部材33,34と、鉄心25の軸方向における両端面との凹凸による係合関係により、塑性変形させた第1および第2の壁28a,28bのスプリングバックなどに起因する各外側鉄心25bの戻りが抑制される。また、各磁石孔26は、第1および第2の押さえ部材33,34によって塞がれる。このため、各永久磁石29の回転子24からの脱落が規制される。
【0045】
(4)第1および第2の押さえ部材33,34は、スプリングバックによる円周方向への戻りを抑制する第1の機能と、永久磁石29の脱落を抑制する第2の機能を有する。第1および第2の機能を別部材により実現する場合と異なり、部品点数の増大を抑制することができる。
【0046】
(5)鉄心25には4つの肉抜き孔27を設けた。これら肉抜き孔27の分だけ、回転子24の軽量化が図られる。
<第2の実施の形態>
つぎに、本発明の第2の実施の形態を説明する。本例は、鉄心の形状および鉄心の製造方法の点で第1の実施の形態と異なる。したがって、第1の実施の形態と同様の部材および構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図4(a)に示すように、本例の鉄心50は、軸方向からみたとき、1つの内側鉄心25a、4つの外側鉄心25b、ならびに、内側鉄心25aおよび各外側鉄心25bを連結する4つの連結部51に区画して見ることができる。
【0048】
鉄心50を軸方向からみたとき、4つの連結部51は、正方形状をなす内側鉄心25aの4つの角部にそれぞれ設けられている。各連結部51は、内側鉄心25aの対角線に沿って外側へ向かって延びている。そして、鉄心50の円周方向において、互いに隣り合う2つの連結部51,51の先端の間には、外側鉄心25bの両端部がそれぞれ連結されている。図4(c)に併せて示すように、各外側鉄心25bは、その両端部を支点として、鉄心50の軸方向へ屈曲している。また、図4(a)に実線で示されるように、鉄心50を軸方向からみたとき、鉄心50の輪郭は円形をなす。図5に示すように、各外側鉄心25bの外面は、固定子21の内面に対向している。
【0049】
図4(a)に示されるように、内側鉄心25a、各外側鉄心25b、および各連結部51に囲まれた空間は、磁石孔26とされている。また、鉄心50を軸方向からみたとき、各永久磁石29の2つの長面29a,29bは、それぞれ各磁石孔26の2つの長面26a,26bに対して隙間なく接触している。また、鉄心50の円周方向において、各永久磁石29の両隣には、三角柱状の2つの隙間30,30が形成されている。両隙間30,30は、各永久磁石29の2つの短面29c,29dのいずれか一方、各外側鉄心25b、および各連結部51によって囲まれた空間である。
【0050】
図5に示すように、鉄心50の軸方向における両端面には、第1および第2の押さえ部材52,53が取り付けられている。第1の押さえ部材52は、鉄心50の軸方向における両端面のうち、各外側鉄心25bの屈曲側(図5中の左側)の端面形状に対応する形状に形成されている。第2の押さえ部材53は、鉄心50の軸方向における両端面のうち、各外側鉄心25bの屈曲側と反対側(図5中の右側)の端面形状に対応する形状の凹部53aを有している。第1の押さえ部材52は、上底面(図5中の右側面)を鉄心50へ向けて取り付けられている。第2の押さえ部材53は、凹部53aを鉄心50へ向けて取り付けられている。
【0051】
<回転子の製造方法>
つぎに、回転子の製造方法を説明する。まず、打ち抜き加工により得られる複数枚の打ち抜き板を積層することにより、図4(b)に示される鉄心50を形成する。
【0052】
図4(b)に示されるように、打ち抜き板を積層した段階では、各外側鉄心25bは、まだ屈曲していない。すなわち、内側鉄心25aおよび各外側鉄心25bは、同一平面をなしている。また、鉄心50を軸方向からみたとき、図4(a)に二点鎖線で示されるように、各外側鉄心25bは、同図に実線で示される鉄心50の本来の輪郭に対して、外側へはみ出している。各外側鉄心25bのはみ出し量は、鉄心50の円周方向における中央部が最も大きく、当該円周方向における両側へ向かうにつれて徐々に小さくなる。このため、鉄心50を軸方向からみたとき、鉄心50の輪郭55は円形をなさない。鉄心50の円周方向において、互いに180°だけずれた2つの外側鉄心25b,25bの輪郭55,55は、同一の楕円上に位置する。
【0053】
つぎに、各磁石孔26の内部に永久磁石29を挿入する。このとき、図4(a),(b)に二点鎖線で示されるように、各永久磁石29と各磁石孔26との間には、鉄心50の半径方向において隙間が形成される。ここでは、各永久磁石29の外側の長面29aと、各磁石孔26の外側の長面26aとの間には、隙間56が形成されている。また、鉄心50の円周方向における各永久磁石29の両隣には、それぞれ隙間30が形成されている。
【0054】
つぎに、内側鉄心25aを介して鉄心50を動かないように固定する。この後、鉄心50(正確には、各外側鉄心25b)に対して、図4(b)に矢印57で示される軸方向へ向けた外力を印加する。
【0055】
すると、図4(c)に示されるように、各外側鉄心25bは、各連結部51との連結部分である自身の両端部を支点として、鉄心50の軸方向へ向けて傾くように塑性変形する。各外側鉄心25bは、外力が印加される方向への傾きに応じて、内側鉄心25aに対して徐々に近接する。すなわち、各外側鉄心25bが傾くにつれて、鉄心50の半径方向における各磁石孔26の幅が徐々に短縮される。
【0056】
やがて、各外側鉄心25bの内面、すなわち各磁石孔26の外側の長面26aは、各永久磁石29の外側の長面29aに当接する。これにより、各永久磁石29の外側の長面29aと、各磁石孔26の外側の長面26aとの間に形成されていた隙間56が解消される。また、各外側鉄心25bが各永久磁石29に当接した状態において、鉄心50を軸方向からみたとき、各外側鉄心25bの外面は、同一の円周上に位置する。
【0057】
各外側鉄心25bおよび内側鉄心25aによって各永久磁石29が挟持されることにより、鉄心25の半径方向における各永久磁石29の位置ずれが規制される。また、鉄心50を軸方向からみたとき、各永久磁石29の両隣に形成されている2つの隙間30,30は、それぞれ各永久磁石29の2つの短面29c,29dを底辺とする三角形状をなしている。そして、各永久磁石29の4つの角部は、三角形の各隙間30の底辺に対する2つの斜辺である外側鉄心25bおよび連結部51に、それぞれ当接する。このため、鉄心50の円周方向における各永久磁石29の位置ずれが規制される。
【0058】
つぎに、鉄心50の軸方向における両端面に、第1および第2の押さえ部材52,53を取り付け、この後、各永久磁石29を着磁すれば、回転子の製造が完了となる。
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0059】
(1)各外側鉄心25bの両端部を支点として、各外側鉄心25bを鉄心50の軸線方向へ屈曲させることにより、各磁石孔26の高さ(鉄心50の半径方向における寸法)を小さくして、各外側鉄心25bと各永久磁石29とを接触させるようにした。このため、部品点数を増やすことなく、各外側鉄心25bと各永久磁石29との隙間を解消することができる。また、各磁石孔26の内部において各永久磁石29の位置がずれることもないので、磁気抵抗の変動を抑制することもできる。
【0060】
(2)鉄心50の軸方向における両端面を、第1および第2の押さえ部材52,53によって挟み込むようにした。このため、各外側鉄心25bのスプリングバックによる軸線方向への戻りを抑制することができる。また、各磁石孔26は、第1および第2の押さえ部材52,53によって塞がれる。このため、各永久磁石29の鉄心50からの脱落が規制される。
【0061】
<他の実施の形態>
なお、第1および第2の実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・第1の実施の形態において、第1および第2の押さえ部材33,34を、それぞれ突部35および凹部36が形成された円環状の部材と、各磁石孔26を覆う円板状の部材とに分けて設けてもよい。すなわち、各外側鉄心25bのスプリングバックを抑制する第1の機能、および各永久磁石29の鉄心25からの脱落を抑制する第2の機能を、それぞれ別部材に持たせる。第2の実施の形態における第1および第2の押さえ部材52,53についても、同様である。
【0062】
・第2の実施の形態では、各外側鉄心25bは、その両端部を支点として鉄心50の軸方向へ1段階だけ屈曲させたが、2段階だけ屈曲させてもよい。たとえば、図4(d)に示すように、各外側鉄心25bの外側の部分は、各外側鉄心25bの両端部の屈曲方向と反対方向に屈曲されている。各外側鉄心25bの外側の部分は、内側鉄心25aに対して平行をなしている。各外側鉄心25bの外側の部分が、各外側鉄心25bの両端部の屈曲方向と反対方向に屈曲される分だけ、鉄心50の軸方向長が短縮される。
【0063】
・第2の実施の形態では、各外側鉄心25bを鉄心50の軸方向へ屈曲させたが、つぎのようにしてもよい。すなわち、各外側鉄心25b(鉄心50)の外周面に対して、外方から中心へ向けて外力を印加する。各外側鉄心25bの両端部が塑性変形することにより、各外側鉄心25bは、鉄心50の中心へ向けて変位する。これにより、鉄心50の半径方向における各磁石孔26の寸法が小さくなる。
【0064】
・第1および第2の実施の形態において、永久磁石29の個数は、適宜変更してもよい。たとえば、永久磁石29の個数を8つとしてもよい。
・第1の実施の形態における第1および第2の押さえ部材33,34、および第2の実施の形態における第1および第2の押さえ部材52,53を省略してもよい。
【0065】
・第1および第2の実施の形態では、モータ13を電動ポンプ11の駆動源として適用した例を示したが、たとえば、電動パワーステアリングの駆動源、または電気自動車あるいはハイブリッド自動車の走行用駆動源として適用してもよい。
【0066】
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)請求項3に記載の埋込磁石型モータにおいて、回転子は一方向にのみ回転されるものであって、各連結部は、回転子の回転方向と反対方向へ傾くように塑性変形されてなる埋込磁石型モータ。
【符号の説明】
【0067】
13…モータ、21…固定子、24…回転子、25,50…鉄心、25a…内側鉄心、25b…外側鉄心、26…磁石孔、28a…第1の壁(連結部)、28b…第2の壁(連結部)、29…永久磁石、51…連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の固定子に対して相対回転可能に挿入される円柱状の回転子を備え、当該回転子は、複数枚の電磁綱板が積層されてなる鉄心と、当該鉄心に形成された複数の磁石孔にそれぞれ挿入される複数の永久磁石とを有する埋込磁石型モータにおいて、
前記鉄心は、内側鉄心と、内側鉄心の外側に設けられる複数の外側鉄心と、内側鉄心および各外側鉄心の両端をそれぞれ連結する複数の連結部と、を備え、
前記各磁石孔は、内側鉄心と各外側鉄心との間の隙間が各連結部によって区画されてなり、各外側鉄心および各連結部の少なくとも一方が塑性変形されることによって、鉄心の径方向における各永久磁石と鉄心との隙間が埋められてなる埋込磁石型モータ。
【請求項2】
請求項1に記載の埋込磁石型モータにおいて、
前記鉄心は、塑性変形されることによって軸方向からみたときの輪郭が円形をなす埋込磁石型モータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の埋込磁石型モータにおいて、
前記塑性変形は、各外側鉄心が、内側鉄心に対して、鉄心の円周方向へ相対移動されてなる埋込磁石型モータ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の埋込磁石型モータにおいて、
前記塑性変形は、各外側鉄心が、鉄心の軸方向へ傾けられてなる埋込磁石型モータ。
【請求項5】
複数枚の電磁綱板が積層されてなる円柱状の鉄心と、鉄心に形成された複数の磁石孔にそれぞれ挿入される複数の永久磁石とを有する埋込磁石型回転子の製造方法において、
前記鉄心は、内側鉄心と、内側鉄心の外側に設けられる複数の外側鉄心と、内側鉄心および各外側鉄心の両端をそれぞれ連結する複数の連結部と、を備え、
各連結部によって内側鉄心と外側鉄心との間の隙間を区画することにより各磁石孔を形成したうえで、各外側鉄心および各連結部の少なくとも一方を塑性変形させることによって、鉄心の径方向における各永久磁石と鉄心との隙間を埋める埋込磁石型回転子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55815(P2013−55815A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192965(P2011−192965)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】