説明

基地局、基地局制御方法及び基地局制御プログラム

【課題】効率的に消費電力の低減を図ることができる基地局、基地局制御方法及び基地局制御プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】位置登録されている無線端末と通信を行う基地局10であって、位置登録されている無線端末の数を検出する手段42と、位置登録されている無線端末の数が所定数以下になると、位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段44と、位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、省電力動作を行う手段45、46とを有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線端末の基地局、基地局制御方法及び基地局制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の基地局と無線端末とで無線通信を行う無線通信システムにおいては消費電力の低減が求められている。例えば位置登録に基づいて基地局のエリア内の無線端末の数を検出し、無線端末の数が少ない基地局の出力を下げ、他の基地局の出力を増大させることで、出力を下げた基地局のエリアまでカバーさせて消費電力を低減する技術は従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2606570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基地局のエリア内の無線端末の数を検出し、無線端末の数が少ない基地局の出力を下げ、他の基地局の出力を増大させることで、出力を下げた基地局のエリアまでカバーさせて消費電力を低減する技術は、他の基地局の出力を増大させる必要があるために、システム全体として消費電力をあまり低減できないという問題があった。
【0005】
本実施形態は、効率的に消費電力の低減を図ることができる基地局、基地局制御方法及び基地局制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本実施形態は、位置登録されている無線端末と通信を行う基地局であって、前記位置登録されている無線端末の数を検出する手段と、前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段と、前記位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、省電力動作を行う手段とを有することを特徴とする。
【0007】
なお、本実施形態の構成要素、表現又は構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、効率的に消費電力の低減を図ることができる基地局、基地局制御方法及び基地局制御プログラムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】無線通信システムの一実施形態の構成図である。
【図2】基地局の一実施形態のフローチャートである。
【図3】構内電話システムの一実施例の構成図である。
【図4】構内交換機及び基地局の一実施例のハードウェア構成図である。
【図5】基地局の一実施例の処理ブロック図である。
【図6】接続されている無線電話端末が減少するときの基地局の処理手順を表した一実施例のフローチャートである。
【図7】接続されていた全ての無線電話端末がハンドオーバを行ったか否かを判定する処理手順を表した一実施例のシーケンス図である。
【図8】接続されていた全ての無線電話端末がハンドオーバを行ったか否かを判定する処理手順を表した一実施例のシーケンス図である。
【図9】接続されている無線電話端末が増加するときの基地局の処理手順を表した一実施例のフローチャートである。
【図10】構内電話システムの他の実施例の構成図である。
【図11】基地局の一実施例の処理ブロック図である。
【図12】接続されている無線電話端末が減少するときの基地局の処理手順を表した他の実施例のフローチャートである。
【図13】接続されている無線電話端末が増加するときの基地局の処理手順を表した他の実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。
【0011】
図1は無線通信システムの一実施形態の構成図である。図1の無線通信システム1は基地局10A〜10Bと、無線端末11A〜11Cとを含む。基地局10A〜10Bは所定のネットワークを介して接続されているが図示を省略している。基地局10A〜10Bのエリアは少なくとも一部重複しているものとする。無線端末11A〜11Cは、その重複しているエリア内に含まれているものとする。
【0012】
図2は基地局の一実施形態のフローチャートである。図2のフローチャートに示す処理は基地局10A〜10Bごとに行われる。以下では、基地局10A〜10Bの何れでもよい場合、単に基地局10と呼ぶ。無線端末11A〜11Cの何れでもよい場合、単に無線端末11と呼ぶ。
【0013】
ステップS1において、基地局10は接続されている(位置登録されている)無線端末11の数を確認する。例えば基地局10は無線端末11から出力される電波を監視することにより、接続されている無線端末11の数を把握できる。
【0014】
ステップS2において、基地局10は接続されている無線端末11の数が所定数以下であるかを判定する。無線端末11の数が所定数以下であると判定するまで、基地局10はステップS1〜S2の処理を繰り返す。ここでは基地局10Aに無線端末11A〜11Cが接続されており、所定数が3の例を説明する。図1の無線通信システム1の基地局10Aは接続されている無線端末11の数が所定数以下であると判定する。
【0015】
無線端末11の数が所定数以下であると判定すると、基地局10AはステップS3において出力(電波出力)を低下させる。ステップS3の出力の低下は無線端末11にハンドオーバを行わせるための処理の一例である。なお、基地局10Aは無線端末11にハンドオーバを行わせる他の処理を行ってもよい。ハンドオーバとは、無線端末11が接続する基地局10を切り替えることをいう。
【0016】
ステップS4において、基地局10Aは接続されていた無線端末11A〜11Cがハンドオーバを行ったか否かを判定する。例えば無線端末11A〜11Cは基地局10Aの出力が低下したため、電波出力をサーチし、基地局10Bを見つけ、接続を基地局10Aから基地局10Bに切り替える。
【0017】
基地局10Aは接続されていた全ての無線端末11A〜11Cがハンドオーバを行ったと判定すると、ステップS5において電源断を行う。電源断の方法は外部からの給電を停止する方法の他、自ら電源を落とすようにしてもよい。なお、電源断は省電力動作の一例である。また、基地局10Aは外部からの給電の再開、外部からの信号の受信など、外部からの制御により電源断から復帰できるものとする。
【0018】
基地局10Aは接続されていた無線端末11A〜11Cのうち、少なくとも一つがハンドオーバを行えなかったと判定すると、ステップS6において、出力(電波出力)を元に戻したあと、処理を終了する。
【0019】
本実施形態によれば、基地局10は接続されている無線端末11が所定数以下であるときに、接続されている無線端末11にハンドオーバを行わせ、全ての無線端末11が他の基地局10にハンドオーバされると、電源断を行うことで、効率的に消費電力の低減を図ることができる。
【実施例1】
【0020】
以下、本実施形態の無線通信システムの一例としてオフィス等で利用される構内電話システムを実施例として説明する。
【0021】
図3は構内電話システムの一実施例の構成図である。図3の構内電話システム2は基地局10A〜10I、無線端末11の一例としての無線電話端末12A〜12P、有線電話機13A〜13C、構内交換機14を有する。
【0022】
基地局10A〜10C、無線電話端末12A〜12E、有線電話機13Aは部屋などの構内16に配置されている。基地局10D〜10F、無線電話端末12F〜12J、有線電話機13Bは構内17に配置されているとする。基地局10G〜10I、無線電話端末12K〜12P、有線電話機13Cは構内18に配置されているとする。
【0023】
構内交換機14は基地局10A〜10Iと有線電話機13A〜13Cとにメタルケーブル等で通信可能に接続されている。また、構内交換機14は基地局10A〜10Iを介して無線電話端末12A〜12Pと通信可能に接続されている。基地局10A〜10Iと無線電話端末12A〜12Pとは無線により通信可能である。
【0024】
基地局10A〜10Iと有線電話機13A〜13Cとは構内交換機14からの給電で動作するもの、ACアダプタ等で動作するもの等がある。本実施例では基地局10A〜10Iと有線電話機13A〜13Cとが構内交換機14からの給電で動作する例について説明する。
【0025】
なお、以下の説明では基地局10A〜10Iの何れでもよい場合、単に基地局10と呼ぶ。無線電話端末12A〜12Pの何れでもよい場合は単に無線電話端末12と呼ぶ。有線電話機13A〜13Cの何れでもよい場合は単に有線電話機13と呼ぶ。
【0026】
例えばオフィス等で利用される構内電話システム2は、定時後(出社人数がある程度減少した頃)など、接続されている無線電話端末12の数が減少する。基地局10は接続されている無線電話端末12の数が所定数以下となると、接続されている無線電話端末12にハンドオーバを行わせる為の処理を行う。例えば接続されている無線電話端末12にハンドオーバを行わせる為の処理は、出力(電波出力)を低下させる処理等がある。
【0027】
基地局10は接続されていた全ての無線電話端末12にハンドオーバを行わせることができれば、構内交換機14に給電停止指示を行うことで、電源断となり、消費電力の低減を図ることができる。なお、接続されていた無線電話端末12のうち、少なくとも一つがハンドオーバを行えなかったと判定すると、基地局10はハンドオーバを行わせる為の処理を解除する。例えばハンドオーバを行わせる為の処理が出力(電波出力)を低下させる処理である場合、基地局10は出力を元に戻す。
【0028】
また、ハンドオーバを行えなかった基地局10は接続されている無線電話端末12の数が0になるとスタンバイとなり、無線電話端末12から出力される電波を所定時間毎に監視する。構内交換機14は通常状態の基地局10が無くなった構内16〜18に配置されている有線電話機13への給電を停止する。例えば構内交換機14は構内16に配置されている基地局10A〜10Cが通常状態でなくなったあと、有線電話機13Aへの給電も停止する。
【0029】
基地局10は無線電話端末12から出力される電波を受信すると、スタンバイから通常状態へ復旧する。また、構内交換機14は基地局10から通常状態に復帰した旨を通知されることで、電源断の基地局10及び有線電話機13への給電を開始する。
【0030】
図4は構内交換機及び基地局の一実施例のハードウェア構成図である。図4の構内交換機14は通話路21、I/F部22、給電部23、複数の給電制御部24、中央制御部25を有する。I/F部22は複数の重畳部26を有する。また、図4の基地局10A〜10Iは制御部31、記憶部32、RF(Radio Frequency)部33、インタフェース部34、電源部35を有する。
【0031】
構内交換機14は、基地局10A〜10Iのインタフェース部34とI/F部22の重畳部26を介してメタルケーブル等で通信可能に接続されている。給電制御部24は重畳部26と同数、設けられている。構内交換機14の中央制御部25は給電制御部24を制御することにより、給電部23から基地局10A〜10Iへの給電を制御できる。
【0032】
なお、基地局10A〜10I同士(例えば図4の基地局10Aと基地局10I)は構内交換機14のI/F部22を介して通信可能に接続される。中央制御部25は構内交換機14の処理を全体制御する。
【0033】
基地局10A〜10Iの電源部35はインタフェース部34を介して構内交換機14からの給電を受ける。電源部35は制御部31、記憶部32、RF部33、インタフェース部34等の各部に電源を供給する。制御部31は基地局10A〜10Iの処理を全体制御する。記憶部32はプログラム、データなどを記憶する。RF部33は電波を出力し、無線電話端末12との無線通信を行う。
【0034】
インタフェース部34は構内交換機14からデータを受信し、データの内容を制御部31に渡す。また、インタフェース部34は制御部31からの指示に応じて構内交換機14にデータを送信する。
【0035】
記憶部32には基地局10を制御するプログラムの一部として、基地局制御プログラムが記憶されている。そして、制御部31は基地局制御プログラムを記憶部32から読み出して実行する。基地局制御プログラムは、記憶部32以外の制御部31とアクセス可能な記憶部に記憶されていても良い。
【0036】
基地局制御プログラムは、基地局10が読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。記録媒体には、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録媒体には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。また、光磁気記録媒体には、MO(Magneto − Optical disk)などがある。
【0037】
基地局制御プログラムを流通させる場合は例えば基地局制御プログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型の記録媒体を販売することが考えられる。基地局制御プログラムを実行する基地局10は例えば記録媒体読取装置(図示せず)が基地局制御プログラムを記録した記録媒体から基地局制御プログラムを読み出す。制御部31は、読み出された基地局制御プログラムを記憶部32に格納する。
【0038】
そして、制御部31は記憶部32から基地局制御プログラムを読み取り、基地局制御プログラムに従った処理を実行する。制御部31は基地局制御プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0039】
図5は基地局の一実施例の処理ブロック図である。なお、図5の処理ブロック図では本実施例の説明に不要な部分について一部省略している。基地局10は、無線通信制御部41、無線電話端末検出部42、通話検出部43、出力低減部44、ハンドオーバ可否判定部45、給電停止指示部46、待機処理部47、接続無線電話端末テーブル48を有している。
【0040】
無線通信制御部41は無線電話端末12との通信を制御する。無線電話端末検出部42は接続無線電話端末テーブル48を参照し、接続されている(位置登録されている)無線電話端末12の数を検出する。通話検出部43は接続されている無線電話端末12から通話中の無線電話端末12の数を検出する。
【0041】
出力低減部44は接続されている無線電話端末12の数が所定数以下、且つ、通話中の無線電話端末12の数が0になれば出力(電波出力)を低下させる。なお、出力低減部44は接続されていた無線電話端末12のうち、少なくとも一つがハンドオーバを行っていなければ、出力(電波出力)を元に戻す。
【0042】
ハンドオーバ可否判定部45は接続されていた全ての無線電話端末12がハンドオーバを行ったか否かを判定する。給電停止指示部46は、接続されていた全ての無線電話端末12がハンドオーバを行っていれば、構内交換機14に給電停止指示を行い、構内交換機14からの給電を停止することで電源断となる。
【0043】
ハンドオーバを行えなかった基地局10の待機処理部47は接続されている無線電話端末12の数が0になるとスタンバイとなり、無線電話端末12から出力される電波を所定時間毎に監視する。
【0044】
接続無線電話端末テーブル48は接続されている(位置登録されている)無線電話端末12を記録したテーブルである。なお、接続されている(位置登録されている)無線電話端末12を接続無線電話端末テーブル48に記録する技術は周知であるため、説明を省略する。
【0045】
なお、図5に示した基地局10の通話検出部43は省略してもよい。通話検出部43を省略した場合、出力低減部44は接続されている無線電話端末12の数が所定数以下になれば出力(電波出力)を低下させる。
【0046】
図6は接続されている無線電話端末が減少するときの基地局の処理手順を表した一実施例のフローチャートである。ステップS11において、無線電話端末検出部42は接続無線電話端末テーブル48を参照し、接続されている(位置登録されている)無線電話端末12の数を検出する。また、通話検出部43は接続されている無線電話端末12から通話中の無線電話端末12を検出する。
【0047】
ステップS12において、出力低減部44は接続されている無線電話端末12の数が所定数以下、且つ、通話中の無線電話端末12の数が0であるか否かを判定する。基地局10は、接続されている無線電話端末12の数が所定数以下、且つ、通話中の無線電話端末12の数が0になるまで、ステップS11、S12の処理を繰り返す。
【0048】
接続されている無線電話端末12の数が所定数以下、且つ、通話中の無線電話端末12の数が0になれば、ステップS13において、出力低減部44は出力(電波出力)を低下させる。
【0049】
ステップS14において、ハンドオーバ可否判定部45は接続されていた全ての無線電話端末12がハンドオーバを行ったか否かを判定する。なお、接続されていた全ての無線電話端末12がハンドオーバを行ったか否かを判定する手順は後述する。
【0050】
接続されていた全ての無線電話端末12がハンドオーバを行っていれば、給電停止指示部46はステップS15において、構内交換機14に給電停止指示を行い、構内交換機14からの給電を停止することで電源断となる。なお、接続されていた無線電話端末12のうち少なくとも一つがハンドオーバを行っていなければ、ステップS16において、出力低減部44は出力(電波出力)を元に戻す。
【0051】
ステップS17において、待機処理部47は接続されている無線電話端末12の数が0になったか判定する。待機処理部47は接続されている無線電話端末12の数が0になるまでステップS17の処理を繰り返す。待機処理部47は接続されている無線電話端末12の数が0になると、ステップS18において、基地局10をスタンバイ(待機状態)にする。スタンバイとは、無線電話端末12から出力される電波を受信すると通常状態に切り替え可能な通常状態より消費電力の少ない状態をいう。
【0052】
図7は接続されていた全ての無線電話端末がハンドオーバを行ったか否かを判定する処理手順を表した一実施例のフローチャートである。図7はハンドオーバが成功した場合を表している。
【0053】
ステップS21において、基地局10Aは無線電話端末12とリンク中であり、接続されている。ステップS22において、n台の無線電話端末12の電源がオフとなり、基地局10Aは接続されている無線電話端末12の数が所定値以下となった。そこで、基地局10AはステップS23において出力(電波出力)を徐々に低下させる。
【0054】
ステップS24において、無線電話端末12は基地局10Aの出力が低下したため、電波出力をサーチし、基地局10Cを見つける。ステップS25において、無線電話端末12は接続を基地局10Aから基地局10Cに切り替える。無線電話端末12は基地局10Cと同期を確立し、リンク状態となる。
【0055】
ステップS26において、基地局10Aは構内交換機14に無線電話端末接続先確認要求を行う。無線電話端末接続先確認要求は無線電話端末12を指定して、無線電話端末12が接続されている基地局10を構内交換機14に確認するための要求である。
【0056】
無線電話端末接続先確認要求を受信すると、構内交換機14はステップS27において基地局10Bに無線電話端末接続確認要求を行う。無線電話端末接続確認要求は無線電話端末12を指定して、無線電話端末12が接続されているか否かを基地局10に確認するための要求である。ステップS28において、基地局10Bは無線電話端末12が接続されていないので無線電話端末接続確認応答として未接続通知を構内交換機14に行う。
【0057】
また、構内交換機14はステップS29において基地局10Cに無線電話端末接続確認要求を行う。ステップS30において、基地局10Cは無線電話端末12が接続されているので無線電話端末接続確認応答として接続通知を構内交換機14に行う。
【0058】
ステップS31において、構内交換機14は無線電話端末接続先確認応答として基地局10Cを通知する。無線電話端末接続先確認応答は無線電話端末接続先確認要求で指定された無線電話端末12が接続されている基地局10Cを通知するための応答である。基地局10Aは無線電話端末接続先確認応答に基づき、接続されていた全ての無線電話端末12がハンドオーバを行っていると判定する。ステップS32において、基地局10Aは構内交換機14に給電停止指示を行う。ステップS33において、基地局10Aは構内交換機14からの給電が停止されることで電源断となる。
【0059】
図8は接続されていた全ての無線電話端末がハンドオーバを行ったか否かを判定する処理手順を表した一実施例のフローチャートである。図8はハンドオーバが失敗した場合を表している。
【0060】
ステップS41〜S43の処理は図7のステップS21〜S23と同様であるため説明を省略する。ステップS44において、無線電話端末12は基地局10Aの出力が低下したため、電波出力をサーチしたが、ハンドオーバ先の基地局10が見つからなかった。
【0061】
ステップS45において、基地局10Aは構内交換機14に無線電話端末接続先確認要求を行う。無線電話端末接続先確認要求を受信すると、構内交換機14はステップS46において基地局10Bに無線電話端末接続確認要求を行う。ステップS47において、基地局10Bは無線電話端末12が接続されていないので無線電話端末接続確認応答として未接続通知を構内交換機14に行う。
【0062】
また、無線電話端末接続先確認要求を受信すると、構内交換機14はステップS48において基地局10Cに無線電話端末接続確認要求を行う。ステップS49において、基地局10Cは無線電話端末12が接続されていないので無線電話端末接続確認応答として未接続通知を構内交換機14に行う。
【0063】
ステップS50において、構内交換機14は無線電話端末接続先確認応答として未接続を通知する。基地局10Aは無線電話端末接続先確認応答に基づき、接続されていた無線電話端末12のうち少なくとも一つがハンドオーバを行っていないと判定する。ステップS51において、基地局10Aは出力(電波出力)を元に戻す。
【0064】
ステップS52において、無線電話端末12は基地局10Aと同期を確立し、リンクを再確立する。ステップS53において、無線電話端末12の電源がオフとなる。ステップS54において、m台の無線電話端末12の電源がオフとなり、基地局10Aは接続されている無線電話端末12の数が0となった。そこで、基地局10AはステップS55において、スタンバイ(待機状態)となる。
【0065】
図9は接続されている無線電話端末が増加するときの基地局の処理手順を表した一実施例のフローチャートである。待機処理部47は無線電話端末12から出力される電波を受信するまで、ステップS61の処理を繰り返す。無線電話端末12から出力される電波を受信すると、待機処理部47はステップS62において、スタンバイ(待機状態)から通常状態に切り替える。
【0066】
なお、スタンバイから通常状態に復帰した基地局10は例えば構内交換機14へ復帰した旨を通知することで、有線電話機13への給電を開始させてもよい。また、スタンバイから通常状態に復帰した基地局10は、例えば構内交換機14へ復帰した旨を通知することで、スタンバイ中や電源断の他の基地局10を通常状態に復帰させてもよい。
【0067】
さらに、スタンバイから通常状態に復帰した基地局10は、例えば接続されている無線電話端末12の数が所定数以上となったタイミングを、例えば構内交換機14へ復帰した旨を通知することで、スタンバイ中や電源断の他の基地局10を通常状態に復帰させてもよい。
【実施例2】
【0068】
図10は構内電話システムの他の実施例の構成図である。図10の構内電話システム3は図3の構内電話システム2の構成に加えて、人体センサ15A〜15Cを有する。人体センサ15A〜15Cは、それぞれ構内16〜18の出入り口に設置されている。人体センサ15A〜15Cは構内16〜18の出入り口を通過する人体を検知する。人体センサ15A〜15Cは構内交換機14に通信可能に接続されており、出入り口を通過する人体を検知すると、構内交換機14に通知する。その他の構成については図3の構内電話システム2と同様であるため、説明を省略する。なお、以下の説明では人体センサ15A〜15Cの何れでもよい場合、単に人体センサ15と呼ぶ。
【0069】
例えばオフィス等で利用される構内電話システム2は、定時後(出社人数がある程度減少した頃)など、接続されている無線電話端末12の数が減少する。基地局10は接続されている無線電話端末12の数が所定数以下となると、接続されている無線電話端末12にハンドオーバを行わせる為の処理の一例として出力(電波出力)を低下させる。
【0070】
基地局10は接続されていた全ての無線電話端末12にハンドオーバを行わせることができれば、構内交換機14に給電停止指示を行うことで、電源断となり、消費電力の低減を図ることができる。なお、接続されていた無線電話端末12のうち、少なくとも一つがハンドオーバを行えなかったと判定すると、基地局10は出力を元に戻す。
【0071】
また、通常状態の基地局10は接続されている無線電話端末12の数が0になると、構内交換機14に給電停止指示を行うことで、電源断となり、消費電力の低減を図ることができる。構内交換機14は通常状態の基地局10が無くなった構内16〜18に配置されている有線電話機13への給電を停止する。
【0072】
人体センサ15A〜15Cは構内16〜18の出入り口を通過する人体を監視し、構内16〜18の出入り口を通過する人体を検知すると、構内交換機14に通知する。構内交換機14は人体センサ15A〜15Cが構内16〜18の出入り口を通過する人体を検知したときに、電源断の基地局10及び有線電話機13への給電を開始する。
【0073】
基地局10及び構内交換機14のハードウェア構成は図4と同様であるため、説明を省略する。図11は基地局の一実施例の処理ブロック図である。図11の基地局10は図5の基地局10の構成から待機処理部47を除いた構成である。
【0074】
給電停止指示部46は接続されていた全ての無線電話端末12がハンドオーバを行っていれば、構内交換機14に給電停止指示を行い、構内交換機14からの給電を停止することで電源断となる。また、ハンドオーバを行えなかった基地局10の給電停止指示部46は接続されている無線電話端末12の数が0になると、構内交換機14に給電停止指示を行い、構内交換機14からの給電を停止することで電源断となる。その他の構成については図5の基地局10と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
図12は接続されている無線電話端末が減少するときの基地局の処理手順を表した他の実施例のフローチャートである。ステップS71〜S77の処理は、図6のステップS11〜S17と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
給電停止指示部46は接続されている無線電話端末12の数が0になると、ステップS78において、構内交換機14に給電停止指示を行い、構内交換機14からの給電を停止することで電源断となる。
【0077】
図13は接続されている無線電話端末が増加するときの基地局の処理手順を表した他の実施例のフローチャートである。ステップS81において、構内交換機14は人体センサ15A〜15Cが構内16〜18の出入り口を通過する人体を検知し、電源断の基地局10及び有線電話機13への給電を開始する。基地局10は構内交換機14からの給電が開始される。
【0078】
ステップS82において、基地局10は無線電話端末12から出力される電波を監視することで、無線電話端末12から出力される電波を受信したか否かを判定する。無線電話端末12から出力される電波を受信していなければ、基地局10はタイマ(図示せず)がタイムアウトしたか否かを判定する。
【0079】
基地局10は無線電話端末12から出力される電波を受信するか、タイマがタイムアウトするまで、ステップS82及びS83の処理を繰り返す。基地局10はタイマがタイムアウトすると、構内交換機14に給電停止指示を行い、構内交換機14からの給電を停止することで電源断となる。なお、基地局10は無線電話端末12から出力される電波を受信すると、図13に示す処理を終了する。
【0080】
なお、所定時間以内に人体センサ15A〜15Cが構内16〜18の出入り口を通過する人体を再び検知した場合は、タイマをリセットし、タイムアウトするまでの時間を延長するようにしてもよい。
【0081】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
位置登録されている無線端末と通信を行う基地局であって、
前記位置登録されている無線端末の数を検出する手段と、
前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段と、
前記位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、省電力動作を行う手段と
を有する基地局。
(付記2)
前記位置登録されている無線端末から通話中の無線端末の数を検出する手段を更に有しており、
前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段は、前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下、且つ、前記位置登録されている無線端末のうち通話中の無線端末の数が0になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせること
を特徴とする付記1記載の基地局。
(付記3)
前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段は、前記位置登録されている無線端末と通信を行うための電波出力を低減させることで、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせること
を特徴とする付記1又は2記載の基地局。
(付記4)
前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段は、前記位置登録されている無線端末のうち少なくとも一つがハンドオーバを行っていなければ、低減させた前記位置登録されている無線端末と通信を行うための電波出力を元に戻すこと
を特徴とする付記3記載の基地局。
(付記5)
低減させた前記位置登録されている無線端末と通信を行うための電波出力が元に戻されたあと、前記省電力動作を行う手段は、前記位置登録されている無線端末の数が0になると、無線端末から出力される電波を受信するまで省電力動作を行う待機状態に切り替えること
を特徴とする付記4記載の基地局。
(付記6)
人体を検知する手段を更に有しており、
低減させた前記位置登録されている無線端末と通信を行うための電波出力が元に戻されたあと、前記省電力動作を行う手段は、前記位置登録されている無線端末の数が0になると、前記人体を検知する手段が人体を検知するまで省電力動作を行う電源断に切り替えること
を特徴とする付記4記載の基地局。
(付記7)
前記省電力動作を行う手段は、前記位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、外部からの給電を停止させる給電停止指示を行い、外部からの制御により復帰するまで省電力動作を行う電源断に切り替えること
を特徴とする付記1乃至6何れか一項記載の基地局。
(付記8)
位置登録されている無線端末と通信を行う基地局によって実行される基地局制御方法であって、
前記位置登録されている無線端末の数を検出し、
前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせ、
前記位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、省電力動作を行う
ことを特徴とする基地局制御方法。
(付記8)
位置登録されている無線端末と通信を行う基地局に、
前記位置登録されている無線端末の数を検出し、
前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせ、
前記位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、省電力動作を行う
処理を実行させる基地局制御プログラム。
【0082】
本実施例における基地局制御プログラムは、パッケージソフトの他、WEBサービス等によっても提供可能である。なお、上記の特許請求の範囲に記載した位置登録されている無線端末の数を検出する手段は無線電話端末検出部42に相当し、位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段は出力低減部44に相当し、省電力動作を行う手段はハンドオーバ可否判定部45、給電停止指示部46に相当し、通話中の無線端末の数を検出する手段は通話検出部43に相当し、人体を検知する手段は人体センサ15に相当する。
【符号の説明】
【0083】
1 無線通信システム
2 構内電話システム
10A〜10I 基地局
11A〜11C 無線端末
12A〜12P 無線電話端末
13A〜13C 有線電話機
14 構内交換機
15A〜15C 人体センサ
16〜18 構内
21 通話路
22 I/F部
23 給電部
24 給電制御部
25 中央制御部
26 重畳部
31 制御部
32 記憶部
33 RF(Radio Frequency)部
34 インタフェース部
35 電源部
41 無線通信制御部
42 無線電話端末検出部
43 通話検出部
44 出力低減部
45 ハンドオーバ可否判定部
46 給電停止指示部
47 待機処理部
48 接続無線電話端末テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置登録されている無線端末と通信を行う基地局であって、
前記位置登録されている無線端末の数を検出する手段と、
前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段と、
前記位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、省電力動作を行う手段と
を有する基地局。
【請求項2】
前記位置登録されている無線端末から通話中の無線端末の数を検出する手段を更に有しており、
前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段は、前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下、且つ、前記位置登録されている無線端末のうち通話中の無線端末の数が0になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせること
を特徴とする請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段は、前記位置登録されている無線端末と通信を行うための電波出力を低減させることで、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせること
を特徴とする請求項1又は2記載の基地局。
【請求項4】
前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせる手段は、前記位置登録されている無線端末のうち少なくとも一つがハンドオーバを行っていなければ、低減させた前記位置登録されている無線端末と通信を行うための電波出力を元に戻すこと
を特徴とする請求項3記載の基地局。
【請求項5】
位置登録されている無線端末と通信を行う基地局によって実行される基地局制御方法であって、
前記位置登録されている無線端末の数を検出し、
前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせ、
前記位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、省電力動作を行う
ことを特徴とする基地局制御方法。
【請求項6】
位置登録されている無線端末と通信を行う基地局に、
前記位置登録されている無線端末の数を検出し、
前記位置登録されている無線端末の数が所定数以下になると、前記位置登録されている無線端末にハンドオーバを行わせ、
前記位置登録されている全ての無線端末がハンドオーバを行っていれば、省電力動作を行う
処理を実行させる基地局制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−114753(P2012−114753A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262986(P2010−262986)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】