説明

基地局、移動局、通信システム、通信制御方法、およびプログラム

【課題】複数のアンテナで異なる周波数帯のダウンリンク通信を行なう場合において、移動局の受信品質を向上させることが可能な基地局を提供する。
【解決手段】基地局100は、複数の周波数を同時に用いる通信方式および前記複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、移動局300と通信する。基地局100は、複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、移動局との通信に基づき決定するDL送信モード決定部と、決定された送信モードにて、移動局300に対するダウンリンク送信を行なう送信処理部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、移動局、通信システム、通信制御方法、およびプログラムに関し、特に、キャリアアグリゲーションを用いた通信を行なう、基地局、移動局、通信システム、通信制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、現在、LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)の仕様検討が行われている。LTE−Aでは、LTEよりも高速の通信を実現することが要求されている。このため、LTE−Aでは、LTEよりも広帯域(LTEの20MHzの帯域を越える100MHzまでの帯域)をサポートすることが求められている。しかしながら、世界的に連続した広帯域の周波数領域をLTE−A用として確保することは難しい。
【0003】
それゆえ、LTE−Aでは、LTEとの互換性を可能な限り維持する目的から、キャリアアグリゲーション(CA:Career Aggregation)技術が検討されている。キャリアアグリゲーション技術は、コンポーネントキャリア(CC:Component Career)と呼ばれる帯域幅が20MHzまでの周波数帯域を複数まとめて通信を行うことにより最大100MHzの帯域幅を確保し、これにより高速かつ大容量の通信を実現させる技術である。非特許文献1には、上記キャリアアグリゲーションが開示されている。
【0004】
また、LTE−Aは、ダウンリンクにおいて最大8×8MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を適用することによって、さらに高速かつ大容量の通信が可能である。このようなMIMO技術においては、特に伝搬特性が劣悪な場合には伝搬路の推測精度が劣化するため、MIMO受信することが困難となる。このため、LTE−Aでは、MIMOモードから送信ダイバーシテチモードに切り換えることによって、受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)を向上させる。すなわち、基地局は、キャリアアグリゲーションを行なわずに、複数の送信アンテナから同じデータを送信する。移動局は、同じデータを複数のアンテナで受信する。これにより、移動局での受信品質を高めることができる。
【0005】
たとえば、2つのアンテナで同じ周波数帯のダウンリンク通信を行なう場合、受信品質の良いセル中心付近ではMIMOモードを、受信品質の悪いセルエッジでは送信ダイバーシチモードが用いられている。
【0006】
非特許文献2には、LTEの仕様が開示されている。より詳しくは、非特許文献2には、MIMOモードのときには基地局がMIMOモード用の下り制御情報用フォーマットを使用し、送信ダイバーシテチモードのときには基地局が送信ダイバーシテチモード用の送信制御フォーマットを使用して、基地局がDL用送信制御データの送信を行なうことが
開示されている。また、どちらの送信制御フォーマットを移動局が受信したかにより、移動局がMIMOと送信ダイバーシチを切り換えてデータ受信を行なうことが開示されている。
【0007】
また、上述したようなモードの使い分けを行なう場合、MIMOモードを使用せず送信ダイバーシチのみを行なう場合などがある。移動局の能力によってダウンリンクにおける送信モードの限定ができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3GPP TR 36.814 V9.0.0 (2010-03), Technical Report, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Further advancements for E-UTRA physical layer aspects (Release 9)
【非特許文献2】3GPP TS 36.212 V9.0.0 (2009-12), Technical Specification, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Multiplexing and channel coding (Release 9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、複数のアンテナで異なる周波数帯のダウンリンク通信を行なう場合に、移動局において受信品質を向上させることまでは、従来検討されていない。
【0010】
本願発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、複数のアンテナで異なる周波数帯のダウンリンク通信を行なう場合において、移動局の受信品質を向上させることが可能な基地局、移動局、通信システム、通信制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の或る局面に従うと、基地局は、複数の周波数を同時に用いる通信方式および複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、移動局と通信する。基地局は、複数の周波数を同時に互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、移動局との通信に基づき決定する決定手段と、決定された送信モードにて、移動局に対するダウンリンク送信を行なう送信処理手段とを備える。
【0012】
好ましくは、基地局は、互いに周波数帯域が異なる複数のコンポーネントキャリアを用いたキャリアアグリゲーションによって、移動局と通信する。第1の送信モードは、複数のコンポーネントキャリアを用いて互いに異なる情報を送信するモードである。第2の送信モードは、複数のコンポーネントキャリアを用いて同一の情報を送信するモードである。
【0013】
好ましくは、決定手段は、移動局から通知されるコンポーネントキャリア毎の受信品質を表した情報に基づき、送信モードを決定する。
【0014】
好ましくは、決定手段は、各受信品質が、予め定められた第1の閾値以上であるかを判定する。決定手段は、各受信品質が第1の閾値以上であると判定した場合には、第1の送信モードを用いる決定をする。
【0015】
好ましくは、決定手段は、各受信品質が、第1の閾値よりも受信品質が低いことを表した、予め定められた第2の閾値以上であるかを判定する。決定手段は、各受信品質が第2の閾値以上であって、かつ、受信品質の少なくとも1つが第1の閾値未満である場合には、第2の送信モードを用いる決定をする。
【0016】
好ましくは、送信処理手段は、第1の送信モードで移動局と通信を行なう場合には、第1のフォーマットを用いて互いに異なる情報を送信し、第2の送信モードで移動局と通信を行なう場合には、第2のフォーマットを用いて同一の情報を送信する。
【0017】
本発明の他の局面に従うと、移動局は、複数の周波数を同時に用いる通信方式および複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、基地局と通信する。移動局は、複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを基地局が用いているかを、基地局との通信に基づき判断する判断手段と、基地局が送信する情報に対して、判断された送信モードに対応したデータ処理を行なう処理手段とを備える。
【0018】
好ましくは、移動局は、互いに周波数帯域が異なる複数のコンポーネントキャリアを用いたキャリアアグリゲーションによって、基地局と通する。第1の送信モードは、複数のコンポーネントキャリアを用いて互いに異なる情報を送信するモードである。第2の送信モードは、複数のコンポーネントキャリアを用いて同一の情報を送信するモードである。
【0019】
好ましくは、移動局は、コンポーネントキャリア毎の受信品質を表した情報を基地局に送信する。
【0020】
好ましくは、判断手段は、基地局が送信する情報が、第1のフォーマットを用いた情報であるか、第2のフォーマットを用いた情報であるかに基づき、上記判断を行なう。
【0021】
本発明のさらに他の局面に従うと、通信システムは、移動局と基地局とを備え、複数の周波数を同時に用いる通信方式および複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで移動局と基地局とが通信する通信システムである。基地局は、複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、移動局との通信に基づき決定する。基地局は、決定された送信モードにて、移動局に対するダウンリンク送信を行なう。移動局は、第1の送信モードと第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを基地局が用いているかを、基地局との通信に基づき判断する。移動局は、判断された送信モードに対応したデータ処理を行なう。
【0022】
本発明のさらに他の局面に従うと、通信制御方法は、複数の周波数を同時に用いる通信方式および複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、移動局と通信する基地局における通信制御方法である。通信制御方法は、基地局が、複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、移動局との通信に基づき決定するステップと、基地局が、決定された送信モードにて、移動局に対するダウンリンク送信を行なうステップとを備える。
【0023】
本発明のさらに他の局面に従うと、通信制御方法は、複数の周波数を同時に用いる通信方式および複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、基地局と通信する移動局における通信制御方法である。通信制御方法は、移動局が、複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを基地局が用いているかを、基地局との通信に基づき判断するステップと、移動局が、基地局が送信する情報に対して、判断された送信モードに対応したデータ処理を行なうステップとを備える。
【0024】
本発明のさらに他の局面に従うと、通信制御方法は、移動局と基地局とを備え、複数の周波数を同時に用いる通信方式および複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで移動局と基地局とが通信する通信システムにおける通信制御方法である。通信制御方法は、基地局が、複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、移動局との通信に基づき決定するステップと、基地局が、決定された送信モードにて、移動局に対するダウンリンク送信を行なうステップと、移動局が、第1の送信モードと第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを基地局が用いているかを、基地局との通信に基づき判断するステップと、移動局が、判断された送信モードに対応したデータ処理を行なうステップとを備える。
【0025】
本発明のさらに他の局面に従うと、プログラムは、上記の通信制御方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数のアンテナで異なる周波数帯のダウンリンク通信を行なう場合において、移動局の受信品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】通信システムの概略構成を表した図である。
【図2】基地局の機能ブロック図である。
【図3】ダウンリンク送信モードの決定に用いるデータテーブルを示した図である。
【図4】移動局の機能ブロック図である。
【図5】通信システムにおけるシーケンスチャートである。
【図6】通信システムにおける他のシーケンスチャートである。
【図7】基地局における処理の流れを表したフローチャートである。
【図8】移動局における処理の流れを表したフローチャートである。
【図9】基地局の典型的なハードウェア構成を表した図である。
【図10】移動局の典型的なハードウェア構成を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態に係る通信システムについて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0029】
<A.システム構成>
図1は、通信システム1の概略構成を表した図である。図1を参照して、通信システム1は、基地局100と、移動局300とを備える。通信システム1においては、互いに周波数帯域が異なる複数のコンポーネントキャリアを用いたキャリアアグリゲーションによって、基地局100と移動局300とが通信する。移動局300は、基地局100によって形成されるセル90内に位置している。
【0030】
移動局300は、たとえば、携帯型電話機である。なお、移動局300は、携帯型電話機に限定されず、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)等の移動端末であってもよい。また、通信システム1に含まれる移動局300は、1つに限定されるものではない。
【0031】
以下では、説明の便宜上、ダウンリンクのコンポーネントキャリアとして2つのコンポーネントキャリアを用い、アップリンクのコンポーネントキャリアとして1つのコンポーネントキャリアを用いる例を挙げて説明する。また、ダウンリンクを「DL」、アップリンクを「UL」、キャリアアグリゲーションを「CA」、コンポーネントキャリアを「CC」、ダイバーシチを「DIV」とも称する。また、上記2つのコンポーネントキャリアのうち、一方のコンポーネントキャリアを「コンポーネントキャリアDL−1」と称し、他方のコンポーネントキャリアを「コンポーネントキャリアDL−2」と称する。
【0032】
<B.基地局100>
図2は、基地局100の機能ブロック図である。図2を参照して、基地局100は、受信用のアンテナ101、受信部102、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)処理部103と、ULデータ処理部104と、ULデータ保持部105と、送信部106と、コアネットワーク107と、DL受信品質情報取得部108と、DL送信モード決定部109と、受信部110と、DLデータ保持部111と、DL送信制御部112と、DL送信フォーマット保持部113と、DL送信情報保持部114と、CA送信制御部115と、DLデータ配置部116と、DLデータ処理部117と、DLデータ処理部118と、OFDM処理部119と、OFDM処理部120と、送信部121と、送信部122と、送信用のアンテナ123と、送信用のアンテナ124とを備える。なお、以下では、参照符号112〜122で表される各ブロックをまとめて、「送信処理部150」と称する。
【0033】
(b1.アップリンクにおける通信処理)
移動局300から基地局100局へのアップリンク通信における基地局100での処理について説明する。
【0034】
受信部102は、アンテナ101を用いて、移動局300からのUL信号を受信する。受信部102は、当該UL信号を、OFDM処理部103に送る。
【0035】
OFDM処理部103は、受信部102から受取ったUL信号に対して、OFDM処理を実行する。OFDM処理部103は、UL信号に対してOFDM処理を行なうことにより得られたデータをULデータ処理部104に送る。
【0036】
ULデータ処理部104は、OFDM処理部103より受取ったデータから、ユーザデータを取得する。ULデータ処理部104は、ユーザデータを、ULデータ保持部105に送る。さらに、ULデータ処理部104は、ユーザデータを、DL受信品質情報取得部108に送る。
【0037】
ULデータ保持部105は、ULデータ処理部104から受取ったユーザデータを保持する。
【0038】
送信部106は、ULデータ保持部105に保持されているユーザデータを、コアネットワーク107に送信する。
【0039】
DL受信品質情報取得部108は、ユーザデータから、移動局300が送信したDLにおける受信品質を表わした情報(以下、「DL受信品質情報」とも称する)を取得する。DL受信品質情報取得部108は、DL受信品質情報を、DL送信モード決定部109に送る。
【0040】
DL送信モード決定部109は、DL受信品質情報に基づいて、ダウンリンクにおける送信モード(以下、「DL送信モード」とも称する)を決定する。具体的には、DL送信モード決定部109は、2つのコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いて互いに異なる情報を送信するDL送信モードと、2つのコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いて同一の情報を送信するDL送信モードと、コンポーネントキャリアDL−1のみを用いたDL送信モードと、コンポーネントキャリアDL−2のみを用いたDL送信モードとのうちのいずれのDL送信モードを用いるかを決定する。
【0041】
2つのコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いて互いに異なる情報を送信するDL送信モードは、キャリアアグリゲーションを用いたDL送信モードであるため、以下では、「CA送信モード」とも称する。また、2つのコンポーネントキャリアを用いて同一の情報をダイバーシチによって送信するDL送信モードを、「CC−DIV送信モード」とも称する。また、コンポーネントキャリアDL−1のみを用いたDL送信モードを、「DL−1送信モード」とも称し、コンポーネントキャリアDL−2のみを用いたDL送信モードを、「DL−2送信モード」とも称する。なお、「DL−1送信モード」および「DL−2送信モード」は、それぞれ、「送信ダイバーシチ」を行なうモードである。詳しくは、「DL−1送信モード」および「DL−2送信モード」は、それぞれ、キャリアグリゲーションを行なわずに、1つのコンポーネントキャリアだけを用いて、同じデータを複数のアンテナから送信するモードである。
【0042】
より詳しくは、DL送信モード決定部109は、CA送信制御部115からコンポーネントキャリアの数に関する情報を受取り、当該コンポーネントキャリアの数をDL送信モードの決定に利用する。なお、DL送信モードの決定方法については、後述する。
【0043】
DL送信モード決定部109は、決定したDL送信モードを表す情報(以下、「DL送信モード情報」とも称する)を、DL送信制御部112に送る。DL送信制御部112は、DL送信情報保持部114にDL送信モード情報を保持させる。詳しくは、DL送信制御部112は、移動局毎のDL送信モード情報をDL送信情報保持部114に保持させる。
【0044】
(b2.ダウンリンクにおける通信処理)
次に、基地局100から移動局300へのダウンリンク通信における基地局100での処理について説明する。
【0045】
受信部110は、コアネットワーク107から伝送される移動局300宛てのユーザデータを受信する。受信部110は、当該ユーザデータを、DLデータ保持部111に送る。
【0046】
DLデータ保持部111は、受信部110から受取ったユーザデータを保持する。
DL送信制御部112は、DL送信モード決定部109から受取ったDL送信モード情報に基づき、ダウンリンク送信を行なうための処理を実行する。つまり、DL送信制御部112は、DL送信モード決定部109によって決定されたDL送信モードによってダウンリンク送信を行なうための処理を実行する。
【0047】
具体的には、DL送信制御部112は、ダウンリンク送信をCA送信モードで行なうことがDL送信モード決定部109によって決定された場合には、CA送信モードを実行するための制御を行なう。一方、DL送信制御部112は、ダウンリンク送信をCC−DIV送信モードで行なうことがDL送信モード決定部109によって決定された場合には、CC−DIV送信モードを実行するための制御を行なう。
【0048】
DL送信フォーマット保持部113は、DL送信フォーマットとして、CA送信モード用のDL送信フォーマット(つまり、MIMOモード用のDL送信フォーマット)と、CC−DIV送信モード用のDL送信フォーマットと、DL−1送信モード用のDL送信フォーマットと、DL−2送信モード用のDL送信フォーマットとを保持している。DL送信フォーマットは、たとえば、DCI(Downlink Control Information)フォーマット(制御情報用フォーマット)である。
【0049】
なお、CA送信モードの場合には、制御情報(PDCCH)の遣り取りに使用するコンポーネントキャリアがPCell(Primary Cell)となる。一方、CC−DIV送信モードの場合、DL−1送信モードの場合、およびDL−2送信モードの場合には、CAではないため、PCell,SCell(Secondary Cell)といった概念(つまり区別)はない、すなわち、各送信モードで用いる全てのセルは、制御情報の遣り取りに利用される(つまり、CA送信モードの場合におけるPCellに対応する)。
【0050】
DL送信情報保持部114は、上述したように、移動局毎にDL送信モード情報を保持している。
【0051】
DL送信制御部112は、DL送信フォーマット保持部113およびDL送信情報保持部114とにアクセスし、DL送信フォーマット保持部113からDL送信フォーマットを取得し、DL送信情報保持部114からDL送信モード情報を取得する。また、DL送信制御部112は、移動局毎のDL送信モードを、移動局毎のDL送信モード情報に基づき判断する。
【0052】
CA送信制御部115は、キャリアアグリゲーションを実行する際の送信制御を行なう。具体的には、CA送信制御部115は、送信部121,122と、OFDM処理部119,120と、DLデータ処理部117,118に対して、キャリアアグリゲーション送信についての制御を行なう。CA送信制御部115は、さらに、移動局毎のダウンリンクのキャリアコンポーネントの数を、DL送信制御部112およびDL送信モード決定部109に通知する。
【0053】
DL送信制御部112は、CA送信制御部115から、移動局毎のダウンリンクのキャリアコンポーネントの数についての情報を受け付ける。DL送信制御部112は、当該キャリアコンポーネントの数を、1トランスポートブロック当たりの送信データ量を決めるのに用いる。
【0054】
DL送信制御部112は、DL送信モード情報を、DLデータ配置部116、DLデータ処理部117,118に送る。
【0055】
DLデータ配置部116は、DL送信制御部112からのDL送信モード情報を受け付ける。DLデータ配置部116は、DL送信モード情報に基づき、各コンポーネントキャリアDL−1,DL−2に配置する1トランスポートブロック分のDLデータを取得する。DLデータ配置部116は、取得したDLデータを、各コンポーネントキャリアのDLデータ処理部117,118に送る。
【0056】
基地局100は、DLデータ処理部117と、OFDM処理部119と、送信部121と、アンテナ123とにより、第1の周波数帯域(1つ目のコンポーネントキャリア)の周波数を用いたデータ送信を行なう。また、基地局100は、DLデータ処理部118と、OFDM処理部120と、送信部122と、アンテナ124とにより、第2の周波数帯域(2つ目のコンポーネントキャリア)の周波数を用いたデータ送信を行なう。
【0057】
DLデータ処理部117は、DL送信制御部112から通知されるDL送信フォーマットに基づき、DLデータ配置部116から送られてくるデータに対してOFDM処理を行なうためのマッピングを行なう。DLデータ処理部117は、マッピングを行なったデータを、OFDM処理部119に送る。
【0058】
OFDM処理部119は、DLデータ処理部117より送られてきたデータに対してOFDM処理を行なう。OFDM処理部119は、OFDM処理したデータを、送信部121に送る。
【0059】
送信部121は、アンテナ123を用いて、OFDM処理されたデータを、移動局300に対して送信する。
【0060】
DLデータ処理部118は、DL送信制御部112から通知されるDL送信フォーマットに基づき、DLデータ配置部116から送られてくるデータに対してOFDM処理を行なうためのマッピングを行なう。DLデータ処理部118は、マッピングを行なったデータを、OFDM処理部120に送る。
【0061】
OFDM処理部120は、DLデータ処理部118より送られてきたデータに対してOFDM処理を行なう。OFDM処理部120は、OFDM処理したデータを、送信部122に送る。
【0062】
送信部122は、アンテナ124を用いて、OFDM処理されたデータを、移動局300に対して送信する。
【0063】
(b3.ダウンリンクの送信モードの決定)
次に、DL送信モード決定部109におけるDL送信モードの決定について説明する。
【0064】
図3は、DL送信モードの決定に用いるデータテーブル900を示した図である。図3を参照して、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質は、閾値X_CAと、閾値X_CC−DIV(0<X_CC−DIV<X_CA)とにより、3つの範囲に区分されている。具体的には、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質は、X_CA以上の範囲と、X_CA未満かつX_CC−DIV以上の範囲と、X_CC−DIV未満の範囲とに区分されている。
【0065】
また、コンポーネントキャリアDL−2の受信品質も、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質と同様に、閾値X_CAと、閾値X_CC−DIV(0<X_CC−DIV<X_CA)とにより、3つの範囲に区分されている。
【0066】
DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CA以上であって、かつコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CA以上である場合、DL送信モードをCA送信モードに決定する。また、DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CA以上であって、かつコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CA未満かつ閾値X_CC−DIV以上である場合、DL送信モードをCC−DIV送信モードに決定する。また、DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CA以上であって、かつコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CC−DIV未満である場合、DL送信モードをDL−1送信モードに決定する。
【0067】
DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CA未満かつ閾値X_CC−DIV以上であって、さらにコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CA以上である場合、DL送信モードをCC−DIV送信モードに決定する。また、DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CA未満かつ閾値X_CC−DIV以上であって、さらにコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CA未満かつ閾値X_CC−DIV以上である場合、DL送信モードをCC−DIV送信モードに決定する。また、DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CA未満かつ閾値X_CC−DIV以上であって、さらにコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CC−DIV未満である場合、DL送信モードをDL−1送信モードに決定する。
【0068】
DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CC−DIV未満であって、かつコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CA以上である場合、DL送信モードをDL−2送信モードに決定する。また、DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CC−DIV未満であって、であって、かつコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CA未満かつ閾値X_CC−DIV以上である場合、DL送信モードをDL−2送信モードに決定する。また、DL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質が閾値X_CC−DIV未満であって、であって、かつコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が閾値X_CC−DIV未満である場合、他のコンポーネントキャリアに切り換える処理を実行する。ただし、本実施の形態では、2つのコンポーネントキャリアDL−1,DL−2しかないため、当該切り換えは行なわれることはない。
【0069】
以上のように、基地局100は、CA送信モード、CC−DIV送信モード、および送信ダイバーシチモード(DL−1送信モード,DL2送信モード)の中のいずれの送信モードに設定するかを、各周波数帯の通信品質に基づいて決定する。
【0070】
<C.移動局300>
図4は、移動局300の機能ブロック図である。図4を参照して、移動局300は、受信用のアンテナ301,302と、受信部303,304と、OFDM処理部305,306と、DL受信品質測定部307,308と、DL送信フォーマット検出部309,310と、DLデータ処理部311,312と、DL受信制御部313と、CA受信制御部314と、DLデータ合成部315と、アプリケーション部316と、DL受信品質保持部317と、ULデータ処理部318と、OFDM処理部319と、送信部320と、送信用のアンテナ321とを備える。
【0071】
(C1.ダウンリンクにおける通信処理)
基地局100から移動局300へのダウンリンク通信における移動局300での処理について説明する。
【0072】
移動局300は、アンテナ301と、受信部303と、OFDM処理部305と、DL送信フォーマット検出部309と、DLデータ処理部311とにより、第1の周波数帯域(1つ目のコンポーネントキャリア)の周波数を用いたデータ受信を行なう。また、移動局300は、アンテナ302と、受信部304と、OFDM処理部306と、DL送信フォーマット検出部310と、DLデータ処理部312とにより、第2の周波数帯域(2つ目のコンポーネントキャリア)の周波数を用いたデータ送信を行なう。
【0073】
CA受信制御部314は、キャリアアグリゲーションを実行する際の受信制御を行なう。具体的には、CA受信制御部314は、受信部303,304と、OFDM処理部305,306と、DLデータ処理部311,312に対して、キャリアアグリゲーション受信についての制御を行なう。
【0074】
受信部303は、アンテナ301を用いて、基地局100から送信された信号を受信する。受信部303は、受信した信号を、OFDM処理部305およびDL受信品質測定部307に送る。
【0075】
DL受信品質測定部307は、受信部303が受信した上記信号についての受信品質の測定を行なう。DL受信品質測定部307は、測定の結果である受信品質を表わした情報(つまり、DL受信品質情報)をDL受信品質保持部317に送る。
【0076】
OFDM処理部305は、受信部303から送られてきた信号に対してOFDM処理を行なう。OFDM処理部305は、OFDM処理によって得られるデータ(以下、「OFDM処理済みデータ」とも称する)を、DL送信フォーマット検出部309およびDLデータ処理部311に送る。
【0077】
DL送信フォーマット検出部309は、OFDM処理部305から送られてくるOFDM処理済みデータからDL送信フォーマットの検出を行なう。DL送信フォーマット検出部309は、検出したDL送信フォーマットを、DLデータ処理部311およびDL受信制御部313に送る。
【0078】
DLデータ処理部311は、OFDM処理部305から送られてくる上記OFDM処理済みデータを受取る。また、DLデータ処理部311は、DL送信フォーマット検出部309から送られてくるDL送信フォーマットを受取る。DLデータ処理部311は、DL送信フォーマットに基づき、OFDM処理済みデータからユーザデータの抽出を行なう。DLデータ処理部311は、抽出したユーザデータをDLデータ合成部315に送る。
【0079】
受信部304は、アンテナ302を用いて、基地局100から送信された信号を受信する。受信部304は、受信した信号を、OFDM処理部306およびDL受信品質測定部308に送る。
【0080】
DL受信品質測定部308は、受信部304が受信した上記信号についての受信品質の測定を行なう。DL受信品質測定部308は、測定の結果である受信品質を表わした情報(DL受信品質情報)をDL受信品質保持部317に送る。
【0081】
OFDM処理部306は、受信部304から送られてきた信号に対してOFDM処理を行なう。OFDM処理部306は、OFDM処理によって得られるOFDM処理済みデータを、DL送信フォーマット検出部310およびDLデータ処理部312に送る。
【0082】
DL送信フォーマット検出部310は、OFDM処理部306から送られてくるOFDM処理済みデータからDL送信フォーマットの検出を行なう。DL送信フォーマット検出部310は、検出したDL送信フォーマットを、DLデータ処理部312およびDL受信制御部313に送る。
【0083】
DLデータ処理部312は、OFDM処理部306から送られてくる上記OFDM処理済みデータを受取る。また、DLデータ処理部312は、DL送信フォーマット検出部310から送られてくるDL送信フォーマットを受取る。DLデータ処理部312は、DL送信フォーマットに基づき、OFDM処理済みデータからユーザデータの抽出を行なう。DLデータ処理部312は、抽出したユーザデータをDLデータ合成部315に送る。
【0084】
DL受信制御部313は、DL送信フォーマット検出部309から送られてきたDL送信フォーマットに基づき、DL送信モードを判断する。つまり、DL受信制御部313は、2のコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いて互いに異なる情報を送信するCA送信モードと、2つのコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いて同一の情報を送信するCC−DIV送信モードとのうちのいずれのDL送信モードを基地局100が用いているかを、DL送信フォーマットに基づき判断する。
【0085】
DL受信制御部313は、たとえばブランドデコーディングによって、DL送信モードを判断する。なお、ブラインドデコーディングによってDL送信モードを判断する構成の場合には、基地局100から送信フォーマットを特定させるため情報は不要である。また、コンポーネントキャリアDL−1とコンポーネントキャリアDL−2とで同じ制御情報(PDCCH)および同じデータ(PDSCH)を送信する場合には、受信情報同士を比較し、受信情報同士が同じときにはCC−DIVと判断し、受信情報同士が違うときにはCAと判断するように、DL受信制御部313を構成してもよい。
【0086】
DLデータ合成部315は、DL受信制御部313から、基地局100が用いているDL送信モードの判断結果を受取る。なお、判断結果は、CA送信モード、CC−DIV送信モード、DL−1送信モード、およびDL−2送信モードのいずれかを表す情報である。
【0087】
DLデータ合成部315は、上記判断結果に基づき、各コンポーネントキャリアDL−1,DL−2のDLデータ処理部311,312から送られてきたユーザデータの合成を行なう。具体的には、DLデータ合成部315は、DL送信モードがCA送信モードである場合、キャリアアグリゲーション用のデータ合成を行なう。また、DLデータ合成部315は、DL送信モードがCC−DIV送信モードである場合、CC−DIV用のデータ合成を行なう。なお、DL送信モードがDL−1送信モードまたはDL−2送信モードである場合には、DLデータ合成部315は、ユーザデータを合成する必要はない。
【0088】
DLデータ合成部315は、DL送信モードがCA送信モードまたはCC−DIV送信モードであった場合には、合成されたユーザデータをアプリケーション部316に送る。なお、DL送信モードがDL−1送信モードであった場合には、DLデータ合成部315は、DLデータ処理部311から送られてきたユーザデータをアプリケーション部316に送る。また、DL送信モードがDL−2送信モードであった場合には、DLデータ合成部315は、DLデータ処理部312から送られてきたユーザデータをアプリケーション部316に送る。
【0089】
(C2.アップリンクにおける通信処理)
次に、移動局300から基地局100局へのアップリンク通信における移動局300での処理について説明する。
【0090】
アプリケーション部316は、ULデータをULデータ処理部318に送る。
ULデータ処理部318は、アプリケーション部316から送られてきたULデータに対してOFDM処理を行なうためのマッピングを行なう。ULデータ処理部318は、当該ULデータに対するマッピングと同時に、DL受信品質保持部317から送られてきたDL受信品質情報に対してもOFDM処理を行なうためのマッピングを行なう。ULデータ処理部318は、マッピングを行なったデータを、OFDM処理部319に送る。
【0091】
OFDM処理部319は、ULデータ処理部318から送られてきたデータに対してOFDM処理を行なう。OFDM処理部319は、OFDM処理済みデータを送信部320に送る。
【0092】
送信部320は、OFDM処理部319から送られてきたOFDM処理済みデータを、アンテナ321を用いて、基地局100に送信する。
【0093】
<D.データ処理>
図5は、通信システム1におけるシーケンスチャートである。具体的には、図5は、DL送信モードがCA送信モードからCC−DIV送信モードへと切換るときのシーケンスチャートである。
【0094】
図5を参照して、シーケンスの初期状態として、基地局100と移動局300との間で、ダウンリンクにおいてコンポーネントキャリアDL−1,DL−2によるCA通信を、アップリンクにおいてはコンポーネントキャリアUL−1による通信が行われているとする。
【0095】
コンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が良好な場合(受信品質≧閾値X_CA)には、通信システム1は、ステップSαを定期的に繰り返す。ステップSαは、ステップS2、ステップS4、ステップS6を含む。
【0096】
具体的には、ステップS2において、移動局300が、DL受信品質の測定を行なう。ステップS4において、移動局300は、DL受信品質情報を基地局100に通知する。ステップS6において、基地局100は、DL受信品質情報に基づき、DL送信モードの決定を行なう。なお、コンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が良好であるため、基地局100は、DL送信モードを変更しない。
【0097】
ここで、コンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が低下したとする。正確には、コンポーネントキャリアDL−1および/またはコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が、図3に示すCC−DIVの範囲内となる値になったとする。
【0098】
この場合、ステップS8において、移動局300は、引き続き、DL受信質の測定を行なう。ステップS10において、移動局300は、DL受信品質情報を基地局100に通知する。ステップS12において、基地局100は、DL受信品質情報に基づき、DL送信モードの決定を行なう。具体的には、基地局100は、DL送信モードをCC−DIV送信モードに決定する。ステップS14において、基地局100は、DL送信モードをCA送信モードからCC−DIV送信モードへと変更する。
【0099】
その後は、基地局100と移動局300との間では、ダウンリンクにおいてコンポーネントキャリアDL−1,DL−2によるCC−DIV通信が、アップリンクにおいてはコンポーネントキャリアUL−1による通信が行われる。
【0100】
なお、L3メッセージによるDL送信モードの変更通知(応答、応答確認)が移動局300と基地局100との間で行われてもよい。
【0101】
図6は、通信システム1におけるシーケンスチャートである。具体的には、図6は、DL送信モードがCC−DIV送信モードからCA送信モードへと切換るときのシーケンスチャートである。
【0102】
図6を参照して、シーケンスの初期状態として、基地局100と移動局300との間で、ダウンリンクにおいてコンポーネントキャリアDL−1,DL−2によるCC−DIV通信が、アップリンクにおいてはコンポーネントキャリアUL−1による通信が行われているとする。
【0103】
コンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が不良な場合には、通信システム1は、ステップSβを繰り返す。正確には、コンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が、図3に示すCC−DIVの範囲内となる値になっている場合には、通信システム1は、ステップSβを定期的に繰り返す。ステップSβは、ステップS102、ステップS104、ステップS106を含む。
【0104】
具体的には、ステップS102において、移動局300が、DL受信品質の測定を行なう。ステップS104において、移動局300は、DL受信品質情報を基地局100に通知する。ステップS106において、基地局100は、DL受信品質情報に基づき、DL送信モードの決定を行なう。なお、コンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が図3に示すCC−DIVの範囲内となる値になってため、基地局100は、DL送信モードを変更しない。
【0105】
ここで、コンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質が良好(受信品質≧閾値X_CA)になったとする。この場合、ステップS108において、移動局300は、引き続き、DL受信質の測定を行なう。ステップS110において、移動局300は、DL受信品質情報を基地局100に通知する。ステップS112において、基地局100は、DL受信品質情報に基づき、DL送信モードの決定を行なう。具体的には、基地局100は、DL送信モードをCA送信モードに決定する。ステップS114において、基地局100は、DL送信モードをCC−DIV送信モードからCA送信モードへと変更する。
【0106】
その後、移動局300と基地局100との間では、ダウンリンクにおいてコンポーネントキャリアDL−1,DL−2によるCA通信が、アップリンクにおいてはコンポーネントキャリアUL−1による通信が行なわれる。
【0107】
なお、L3メッセージによるDL送信モードの変更通知(応答、応答確認)が移動局300と基地局100との間で行われてもよい。
【0108】
図7は、基地局100における処理の流れを表したフローチャートである。図7を参照して、ステップS202において、基地局100は、移動局300から受信品質の通知があったか否かを判断する。具体的には、基地局100は、DL受信品質情報を受信したか否かを判断する。
【0109】
ステップS204において、基地局100は、DL受信品質情報に基づいて、DL送信モードを決定する。ステップS206において、基地局100は、DL送信モードを変更する必要があるか否かを判断する。
【0110】
基地局100は、DL送信モードを変更する必要があると判断した場合(ステップS206においてYES)、ステップS208において、現在のDL送信モードから決定したDL送信モードにDL送信モードを変更する。一方、基地局100は、DL送信モードを変更する必要がないと判断した場合(ステップS206においてNO)、処理をステップS212に進める。
【0111】
ステップS210において、基地局100は、変更後のDL送信モードにて、移動局300との通信を再開する。ステップS212において、基地局100は、移動局300との通信が終了したか否かを判断する。基地局100は、移動局300との通信が終了していないと判断した場合(ステップS212においてNO)、処理をステップS202に進める。一方、基地局100は、移動局300との通信が終了したと判断した場合(ステップS212においてYES)、移動局300との間における一連の処理を終了する。
【0112】
図8は、移動局300における処理の流れを表したフローチャートである。図8を参照して、ステップS302において、移動局300は、基地局100からデータを受信したか否かを判断する。移動局300は、データを受信したと判断した場合(ステップS302においてYES)、ステップS304において、当該データについての受信品質を測定する。一方、移動局300は、データを受信していないと判断した場合(ステップS302においてNO)、処理をステップS312に進める。
【0113】
ステップS306において、移動局300は、基地局100に受信品質を通知する。具体的には、移動局300は、基地局100にDL受信品質情報を送信する。ステップS308において、移動局300は、DL送信モードの変更があったか否かを判断する。具体的には、移動局300は、DL送信フォーマット検出部309,310による検出結果に基づきDL送信モードを判断することにより、DL送信モードの変更があったか否かを判断する。
【0114】
移動局300は、DL送信モードの変更があったと判断した場合(ステップS308においてYES)、ステップS310において、変更後のDL送信モードに対応したデータ処理を行なう。当該データ処理は、たとえば、DLデータ処理部311、DLデータ処理部312、およびDLデータ合成部315において行なわれる処理である。一方、移動局300は、DL送信モードの変更がないと判断した場合(ステップS308においてNO)、処理をステップS312に進める。
【0115】
ステップS312において、移動局300は、基地局100との通信が終了したか否かを判断する。移動局300は、基地局100との通信が終了していないと判断した場合(ステップS312においてNO)、処理をステップS302に進める。一方、移動局300は、基地局100との通信が終了したと判断した場合(ステップS312においてYES)、基地局100との間における一連の処理を終了する。
【0116】
以上のように、通信システム1は、2つのコンポーネントキャリアを用いて異なる情報信号の送受信を行なうのではなく、2つのコンポーネントキャリアで同じ情報信号の送信を行なう。さらに、通信システム1では、受信側の移動局300で合成する。また、通信システム1の基地局100は、CCダイバーシチ用の送信フォーマットを生成する。
【0117】
従来は、2つのアンテナで同じ周波数バンドのダウンリンク通信を行なう場合、受信品質の良いセル中心付近ではMIMOモードを、受信品質の悪いセルエッジでは送信ダイバーシチモードを用いた。本実施の形態の通信システム1では、2つのアンテナで異なる周波数帯のダウンリンク通信を行なう場合へと拡張した構成であり、受信品質の良いセル中心付近ではCA通信を行ない、受信品質の悪いセルエッジではCCダイバーシチ(CC−DIV)を行なう。
【0118】
<E.ハードウェア構成>
図9は、基地局100の典型的なハードウェア構成を表した図である。図9では、3セクタの2×2MIMOに対応した構成を例として挙げている。図9を参照して、基地局100は、複数のアンテナ1301,1302,1311,1312,1321,1322と、複数の無線処理部1500a,1500b,1500cと、制御・ベースバンド部1800とを備える。
【0119】
各無線処理部1500a,1500b,1500cは、デュプレクサ1501,1502と、パワーアンプ1503,1504と、ローノイズアンプ1505,1506と、送信回路1507,1508と、受信回路1509,1510と、直交変復調部1511とを備える。制御・ベースバンド部1800は、ベースバンド回路1810と、制御装置1820と、電源部1850と、タイミング制御部1830と、通信インターフェイス1840とを備える。制御装置1820は、CPU1821と、ROM1822と、RAM1823と、不揮発性メモリ1824と、HDD(Hard Disk Drive)1825とを備える。
【0120】
直交変復調部1511は、ベースバンド回路1810で処理されるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を直交変復調し、アナログ信号(RF(Radio Frequency)信号)と変換する。送信回路1507,1508は、直交変復調部1511で生成されたRF信号を、電波として送出する周波数に変換する。受信回路1509,1510は、受信した電波を直交変復調部1511で処理する周波数に変換する。
【0121】
パワーアンプ1503,1504は、送信回路1507,1508で生成したRF信号を、アンテナ1301,1302,1311,1312,1321,1322から送信するために電力増幅する。ローノイズアンプは、アンテナで受信した微弱電波を増幅し、受信回路1509,1510に渡す。
【0122】
制御装置1820は、基地局100全体の制御、および呼制御のプロトコルや制御監視を行なう。タイミング制御部1830は、伝送路またはGPS(Global Positioning System)から抽出した基準クロックを基に、基地局100内部で使用する各種クロックを生成する。
【0123】
通信インターフェイス1840は、イーサネット(登録商標)などの伝送路を接続し、IPsec(Security Architecture for Internet Protocol)、IPv6(Internet Protocol Version 6)等のプロトコルを処理してIPパケットの授受を行なう。
【0124】
ベースバンド回路1810は、通信インターフェイス1840を用いて授受するIPパケットと、無線上に乗せるOFDM信号(ベースバンド信号)の変換(変復調)を行なう。また、ベースバンド信号は無線処理部1500a,1500b,1500cとの間で授受される。電源部1850は、基地局100に供給される電圧を、基地局100内部で使用する電圧に変換する。
【0125】
基地局100における処理は、各ハードウェアおよびCPU1821により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、HDD1825等に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、メモリカード(図示せず)その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、ICカードリーダライタその他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス1840を介してダウンロードされた後、HDD1825に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1821によってHDD1825から読み出され、さらに不揮発性メモリ1824に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1821は、そのプログラムを実行する。
【0126】
同図に示される基地局100を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、HDD1825、不揮発性メモリ1824、メモリカードその他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、基地局100の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0127】
なお、記録媒体としては、DVD-ROM、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、コンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。
【0128】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0129】
図10は、移動局300の典型的なハードウェア構成を表した図である。図10を参照して、移動局300は、アンテナ3006,3007,3008,3009と、RF回路3101,3102と、ベースバンド回路3103と、GPS受信機3104と、プログラムを実行するアプリケーションプロセッサ3105と、ROM(Read Only Memory)3106と、RAM(Random Access Memory)3107と、NAND型のフラッシュメモリ3108と、ディスプレイ3109と、カメラ3110と、マイク3111と、スピーカ3112と、ユーザによる指示の入力を受ける操作キー3113と、通信IF(Interface)3114と、IC(Integrated Circuit)カードリーダライタ3115と、電源ユニット3116とを備える。
【0130】
GPS受信機3104は、アンテナ3141と、RF回路3142と、ベースバンド回路3143とを含む。GPS受信機3104は、アンテナ3141を用いてGPS衛星の信号を受信する。さらに、GPS受信機3104は、RF回路3142およびベースバンド回路3143における処理の結果(つまり、現在地情報)を、アプリケーションプロセッサ3105に出力する。
【0131】
アンテナ3006〜3009、RF回路3101,3102、およびベースバンド回路3103は、基地局を介した、他の移動体端末、固定電話、およびPC(Personal Computer)との間における無線通信に用いられる。詳しくは、アンテナ301,302、RF回路3101,3102、およびベースバンド回路3103は、移動局300が携帯電話網を用いた通信を行なうために用いられる。
【0132】
フラッシュメモリ3108は、不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ3108は、移動局300を制御するための各種のプログラム、並びに、移動局300が生成したデータ、移動局300の外部装置から取得したデータ等の各種データを揮発的に格納する。
【0133】
各構成要素3103〜3116は、相互にデータバスによって接続されている。ICカードリーダライタ3115には、メモリカード3151が装着される。
【0134】
移動局300における処理は、各ハードウェアおよびアプリケーションプロセッサ3105により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、フラッシュメモリ3108に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、メモリカード3151その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、ICカードリーダライタ3115その他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、アンテナ3006〜3009、RF回路3101,3102、およびベースバンド回路3103、または通信IF3114を介してダウンロードされた後、フラッシュメモリ3108に一旦格納される。そのソフトウェアは、アプリケーションプロセッサ3105によってフラッシュメモリ3108から読み出され、さらにフラッシュメモリ3108に実行可能なプログラムの形式で格納される。アプリケーションプロセッサ3105は、そのプログラムを実行する。
【0135】
同図に示される移動局300を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、フラッシュメモリ3108、メモリカード3151その他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、移動局300の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0136】
なお、記録媒体としては、DVD-ROM、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、コンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。
【0137】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0138】
<F.基地局100のまとめ>
(1)以上のように、基地局100は、互いに周波数帯域が異なる2つのコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いたキャリアアグリゲーションによって、移動局300と通信する。基地局100のDL送信モード決定部109は、コンポーネントキャリアDL−1,DL−2の受信品質が共に閾値X_CC−DIV以上である場合には、2つのコンポーネントキャリアを用いて互いに異なる情報を送信するCA送信モードと、2つのコンポーネントキャリアを用いて同一の情報を送信するCC−DIV送信モードとのうちのいずれのDL送信モードを用いるかを、移動局300との通信に基づき決定する。また、基地局100の送信処理部150は、上記決定されたDL送信モードにて、移動局300に対するダウンリンク送信を行なう。
【0139】
したがって、基地局100は、複数のアンテナで異なる周波数帯のダウンリンク通信を行なう場合において、移動局300の受信品質を向上させることが可能となる。典型的には、基地局100は、当該基地局100のセルエッジのような受信品質が低い環境において、移動局300の受信品質を向上させることができる。
【0140】
(2)より詳しくは、DL送信モード決定部109は、移動局300から通知されるコンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の各DL受信品質情報に基づき、DL送信モードを決定する。このように、基地局100は、DL送信モードの決定にあたり、コンポーネントキャリア毎の受信品質を用いる。したがって、基地局100は、1つのコンポーネントキャリアの受信品質しか用いない構成に比べて、移動局300の受信品質を向上させることができる。
【0141】
(3)より詳しくは、DL送信モード決定部109は、各受信品質が閾値X_CA以上であるかを判定する。DL送信モード決定部109は、各受信品質が閾値X_CA以上であると判定した場合には、CA送信モードを用いる決定をする。したがって、基地局100は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質とコンポーネントキャリアDL−2の受信品質とが共によい場合にのみ、DL送信モードをCA送信モードに設定することができる。
【0142】
(4)より詳しくは、DL送信モード決定部109は、各受信品質が、閾値X_CAよりも受信品質が低いことを表した、予め定められた閾値X_CC−DIV以上であるかを判定する。DL送信モード決定部109は、各受信品質が閾値X_CC−DIV以上であって、かつ、受信品質の少なくとも1つが閾値X_CA未満である場合には、CC−DIV送信モードを用いる決定をする。
【0143】
したがって、基地局100は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質の少なくとも一方が良くない場合(閾値X_CC−DIV以上の場合)、DL送信モードをCC−DIV送信モードに設定することができる。
【0144】
ところで、基地局100は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質の少なくとも一方が悪い場合(閾値X_CC−DIV未満の場合)には、CCダイバーシチの効果が得にくい。このため、基地局100は、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質の少なくとも一方が悪い場合には、CCダイバーシチを行なわないことによって、データ処理の簡略化、電力消費の低減等を図ることができる。
【0145】
(5)より詳しくは、DL送信モード決定部109は、CA送信モードで移動局300と通信を行なう場合には、CA送信モード用のDL送信フォーマット(つまり、MIMOモード用のDL送信フォーマット)を用いて互いに異なる情報を移動局300に送信する。また、DL送信モード決定部109は、CC−DIV送信モードで移動局300と通信を行なう場合には、CC−DIV送信モード用のDL送信フォーマットを用いて同一の情報を送信する。
【0146】
したがって、移動局300は、DL送信フォーマットを識別することによって、DL送信モードがCA送信モードであるか、あるいはCC−DIV送信モードであるかを判別できる。
【0147】
<G.移動局300のまとめ>
(1)以上のように、移動局300は、互いに周波数帯域が異なる2のコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いたキャリアアグリゲーションによって、基地局100と通信する。移動局300は、2のコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いて互いに異なる情報を送信するCA送信モードと、2つのコンポーネントキャリアDL−1,DL−2を用いて同一の情報を送信するCC−DIV送信モードとのうちのいずれのDL送信モードを基地局100が用いているかを、基地局100との通信に基づき判断する。移動局300は、基地局100が送信する情報に対して、上記判断されたDL送信モードに対応したデータ処理を行なう。
【0148】
したがって、基地局100が複数のアンテナで異なる周波数帯のダウンリンク通信を行なう場合において、移動局300は、受信品質を向上させることが可能となる。典型的には、基地局100のセルエッジのような受信品質が低い環境において、移動局300は、移動局300の受信品質を向上させることができる。
【0149】
(2)移動局300は、コンポーネントキャリアDL−1およびコンポーネントキャリアDL−2の各DL受信品質情報を、基地局100に送信する。したがって、基地局100が1つのコンポーネントキャリアの受信品質しか用いてDL送信モードの判断する構成に比べて、移動局300の受信品質を向上させることができる。
【0150】
(3)移動局300は、基地局100が送信する情報が、CA送信モード用のDL送信フォーマットを用いた情報であるか、CC−DIV送信モード用のDL送信フォーマットを用いた情報であるかに基づき、上記のDL送信モードの判断を行なう。したがって、移動局300は、基地局100のDL送信モードがCA送信モードであるか、あるいはCC−DIV送信モードであるかを判別できる。
【0151】
<H.変形例>
(1)閾値X_CC−DIVを設けずに、コンポーネントキャリアDL−1の受信品質およびコンポーネントキャリアDL−2の受信品質の少なくとも一方が閾値X_CA以下となると、DL送信モードをCA送信モードからCC−DIV送信モードに変更するように、基地局100を構成してもよい。
【0152】
(2)ダウンリックにおいて2つのコンポーネントキャリアを用いた場合を例に挙げて説明したが、2つに限定されるものではない。2つ以上のコンポーネントキャリアを用いる構成であればよい。また、アップリンクにおいて1つのコンポーネントキャリアを用いた場合を例に挙げて説明したが、1つに限定されるものではない。
【0153】
(3)上記においては、受信品質(RSRQ)に基づいてDL送信モードを決定する構成を説明した。受信品質の代わりに、受信レベル(RSRP:Reference Signal Received Power)に基づいてDL送信モードを決定するように通信システム1を構成してもよい。
【0154】
(4)上記においては、移動局300と基地局100とが、互いに周波数帯域が異なる複数のコンポーネントキャリアを用いたキャリアアグリゲーションによって通信する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。移動局300と基地局100とが、複数の周波数を同時に用いる通信方式および複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで通信する構成であればよい。ここで、「複数の周波数を同時に用いる」とは、或る1つのデータの送信あるいは受信に関して、複数の周波数を利用することをいう。また、予め定められた3つ以上の周波数のうちの少なくとも2つ以上の周波数を同時に用いる通信方式および当該3つ以上の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、移動局300と基地局100とが通信するよう通信システム1を構成してもよい。
【0155】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0156】
1 通信システム、100 基地局、102,110,303,304 受信部、103,119,120,305,306,319 OFDM処理部、104,318 ULデータ処理部、117,118,311,312 DLデータ処理部、105 ULデータ保持部、111 DLデータ保持部、106,121,122,320 送信部、107 コアネットワーク、108 受信品質情報取得部、109 送信モード決定部、112 DL送信制御部、115 CA送信制御部、113 DL送信フォーマット保持部、
114 DL送信情報保持部、116 DLデータ配置部、150 送信処理部、300 移動局、307,308 DL受信品質測定部、309,310 DL送信フォーマット検出部、313 DL受信制御部、314 CA受信制御部、315 DLデータ合成部、316 アプリケーション部、317 DL受信品質保持部、900 データテーブル、1500a,1500b,1500c 無線処理部、1501,1502 デュプレクサ、1503,1504 パワーアンプ、1505,1506 ローノイズアンプ、1507,1508 送信回路、1509,1510 受信回路、1511 直交変復調部、1800 ベースバンド部、1810,3103,3143 ベースバンド回路、1820 制御装置、1822 ROM、1823 RAM、1824 不揮発性メモリ、1830 タイミング制御部、1840 通信インターフェイス、1850 電源部、3101,3102,3142 RF回路、3105 アプリケーションプロセッサ、3108 フラッシュメモリ、3109 ディスプレイ、3115 ICカードリーダライタ、3116 電源ユニット、3151 メモリカード、DL,UL コンポーネントキャリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数を同時に用いる通信方式および前記複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、移動局と通信する基地局であって、
前記複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、前記複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、前記移動局との通信に基づき決定する決定手段と、
前記決定された送信モードにて、前記移動局に対するダウンリンク送信を行なう送信処理手段とを備える、基地局。
【請求項2】
前記基地局は、互いに周波数帯域が異なる複数のコンポーネントキャリアを用いたキャリアアグリゲーションによって、前記移動局と通信し、
前記第1の送信モードは、前記複数のコンポーネントキャリアを用いて互いに異なる情報を送信するモードであり、
前記第2の送信モードは、前記複数のコンポーネントキャリアを用いて同一の情報を送信するモードである、請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記決定手段は、前記移動局から通知される前記コンポーネントキャリア毎の受信品質を表した情報に基づき、前記送信モードを決定する、請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記決定手段は、
各前記受信品質が、予め定められた第1の閾値以上であるかを判定し、
各前記受信品質が前記第1の閾値以上であると判定した場合には、前記第1の送信モードを用いる決定をする、請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
前記決定手段は、
各前記受信品質が、前記第1の閾値よりも受信品質が低いことを表した、予め定められた第2の閾値以上であるかを判定し、
各前記受信品質が前記第2の閾値以上であって、かつ、前記受信品質の少なくとも1つが前記第1の閾値未満である場合には、前記第2の送信モードを用いる決定をする、請求項4に記載の基地局。
【請求項6】
前記送信処理手段は、
前記第1の送信モードで前記移動局と通信を行なう場合には、第1のフォーマットを用いて前記互いに異なる情報を送信し、
前記第2の送信モードで前記移動局と通信を行なう場合には、第2のフォーマットを用いて前記同一の情報を送信する、請求項1から5のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項7】
複数の周波数を同時に用いる通信方式および前記複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、基地局と通信する移動局であって、
前記複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、前記複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを前記基地局が用いているかを、前記基地局との通信に基づき判断する判断手段と、
前記基地局が送信する情報に対して、前記判断された送信モードに対応したデータ処理を行なう処理手段とを備える、移動局。
【請求項8】
前記移動局は、互いに周波数帯域が異なる複数のコンポーネントキャリアを用いたキャリアアグリゲーションによって、前記基地局と通信し、
前記第1の送信モードは、前記複数のコンポーネントキャリアを用いて互いに異なる情報を送信するモードであり、
前記第2の送信モードは、前記複数のコンポーネントキャリアを用いて同一の情報を送信するモードである、請求項7に記載の移動局。
【請求項9】
前記移動局は、前記コンポーネントキャリア毎の受信品質を表した情報を前記基地局に送信する、請求項8に記載の移動局。
【請求項10】
前記判断手段は、前記基地局が送信する情報が、第1のフォーマットを用いた情報であるか、第2のフォーマットを用いた情報であるかに基づき、前記判断を行なう、請求項8または9に記載の移動局。
【請求項11】
移動局と基地局とを備え、複数の周波数を同時に用いる通信方式および前記複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで前記移動局と前記基地局とが通信する通信システムであって、
前記基地局は、
前記複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、前記複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、前記移動局との通信に基づき決定し、
前記決定された送信モードにて、前記移動局に対するダウンリンク送信を行ない、
前記移動局は、
前記第1の送信モードと前記第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを前記基地局が用いているかを、前記基地局との通信に基づき判断し、
前記判断された送信モードに対応したデータ処理を行なう、通信システム。
【請求項12】
複数の周波数を同時に用いる通信方式および前記複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、移動局と通信する基地局における通信制御方法であって、
前記基地局が、前記複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、前記複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、前記移動局との通信に基づき決定するステップと、
前記基地局が、前記決定された送信モードにて、前記移動局に対するダウンリンク送信を行なうステップとを備える、通信制御方法。
【請求項13】
複数の周波数を同時に用いる通信方式および前記複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで、基地局と通信する移動局における通信制御方法であって、
前記移動局が、前記複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、前記複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを前記基地局が用いているかを、前記基地局との通信に基づき判断するステップと、
前記移動局が、前記基地局が送信する情報に対して、前記判断された送信モードに対応したデータ処理を行なうステップとを備える、通信制御方法。
【請求項14】
移動局と基地局とを備え、複数の周波数を同時に用いる通信方式および前記複数の周波数のうちの1つの周波数を用いる通信方式の少なくともいずれかで前記移動局と前記基地局とが通信する通信システムにおける通信制御方法であって、
前記基地局が、前記複数の周波数を同時に用いて互いに異なる情報を送信する第1の送信モードと、前記複数の周波数を同時に用いて同一の情報を送信する第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを用いるかを、前記移動局との通信に基づき決定するステップと、
前記基地局が、前記決定された送信モードにて、前記移動局に対するダウンリンク送信を行なうステップと、
前記移動局が、前記第1の送信モードと前記第2の送信モードとのうちのいずれの送信モードを前記基地局が用いているかを、前記基地局との通信に基づき判断するステップと、
前記移動局が、前記判断された送信モードに対応したデータ処理を行なうステップとを備える、通信制御方法。
【請求項15】
請求項12から14のいずれかに記載の通信制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−51562(P2013−51562A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188581(P2011−188581)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】