説明

基地局装置及び制御情報の送信条件設定方法

【課題】 移動端末との間における制御情報の通信をより安定して行うことができる基地局装置、及び制御情報の送信条件設定方法を提供する。
【解決手段】 本発明の基地局装置1は、移動端末2との間でトラヒックデータ及び制御情報の通信を行うとともに、前記制御情報の通信をトラヒックデータ用の通信コネクションとは別の通信コネクションを用いて行うものであり、移動端末2との通信状態を検知する検知部11と、検知部11の検知結果に基づいて、移動端末2との通信状態を判断する判断部12と、前記制御情報に対する設定を行うパラメータ設定部13とを備えている。前記制御情報は、当該制御情報以外の他の制御情報の通信の堅牢性に関するパラメータを含んでいる。パラメータ設定部13は、判断部12の判断結果に基づいて、前記制御情報に含まれる前記パラメータを設定することで、前記他の制御情報についての通信の堅牢性を通信状態に応じて変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域移動無線通信システムなどに用いられる無線通信システム用の基地局装置、及び制御情報の送信条件設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、広範囲なエリアを無線でカバーして高速ブロードバンドサービスを提供することができる通信システムとして、例えば、IEEE802.16に規定されるいわゆる「WiMAX」と呼ばれる広帯域移動無線通信システム(Broadband Wireless Access System、以下、BWAシステムともいう)が、注目されている。
上記BWAシステムは、基地局装置と、この基地局装置との間で無線通信を確立する複数の移動端末とを有しており、前記基地局装置は、前記移動端末に対して、広帯域の無線通信サービスを提供する。
上記BWAシステムでは、基地局装置と移動端末との間でユーザデータ(トラヒックデータ)の送受信以外に、両者間の通信を制御するために必要な情報である制御情報(制御メッセージ)の送受信を互いに行う。
このような制御情報としては、基地局装置側が送信するFCH(フレーム制御ヘッダ)、DL−MAP(下りサブフレーム割当情報)、UL−MAP(上りサブフレーム割当情報)、RNG−RSP(レンジング応答情報)等や、移動端末が送信するRNG−REQ(レンジング要求情報)等が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】服部武、藤岡雅宣、“改訂版ワイヤレス・ブロードバンド教科書 高速IPワイヤレス編”、初版、株式会社インプレスR&D、2006年6月21日、p.177−181
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、トラヒックデータの通信については、その通信における安定性を確保するために、通信の堅牢性に関するパラメータ、例えば、変調方式や、送信出力、リピテーション値等を通信状況に応じて適宜設定するように構成されている。
これに対して、上記制御情報の通信においては、トラヒックデータの通信を行うための通信路(通信コネクション)とは別の通信路が用いられているが、この制御情報用の通信コネクションにおいては、トラヒックデータの通信コネクションのように、堅牢性に関するパラメータについての調整は行われていなかった。このため、基地局装置と移動端末との間の制御情報の通信が安定して行うことができなくなるおそれがあった。
上記制御情報は、両者間の通信を制御するために必要な情報であるため、基地局装置と移動端末との間で確実に送受信が行われないと、安定した通信の実現が困難になる場合や、全く通信することができない場合が生じる。このため、制御情報の通信をより安定して行うことができる方策が嘱望されていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、移動端末との間における制御情報の通信をより安定して行うことができる基地局装置、及び制御情報の送信条件設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明は、移動端末との間でトラヒックデータ及び制御情報の通信を行うとともに、前記制御情報の通信を、トラヒックデータ用の通信コネクションとは別の制御情報用の通信コネクションを用いて行う基地局装置であって、前記移動端末との通信状態を検知する通信状態検知部と、前記通信状態検知部の検知結果に基づいて、前記移動端末との通信状態を判断する通信状態判断部と、前記制御情報に対する設定を行う設定部と、を備え、前記制御情報は、当該制御情報以外の他の制御情報の通信の堅牢性に関するパラメータを含んでおり、前記設定部は、前記通信状態判断部の判断結果に基づいて、前記制御情報に含まれる前記パラメータを設定することで、前記他の制御情報についての通信の堅牢性を通信状態に応じて変化させることを特徴としている。
【0006】
上記のように構成された基地局装置によれば、設定部によって、制御情報に含まれる、他の制御情報の通信の堅牢性に関するパラメータの設定を行うことができるので、移動端末との通信状態に応じて、他の制御情報についての通信の堅牢性を変化させることができ、制御情報の通信における堅牢性を好適に設定することができる。これにより、移動端末との間における制御情報の通信をより安定して行うことができる。
【0007】
上記基地局装置において、前記パラメータは、前記他の制御情報の送信出力値、及びリピテーション値の内、少なくともいずれか一方を含んでいることが好ましく、これら値を適切に設定することで、他の制御情報についての通信の堅牢性を通信状態に応じて変化させることができる。
【0008】
また、前記通信状態検知部は、当該基地局装置が送信した前記制御情報に対する前記移動端末からの応答の受信状況を前記通信状態として検知するものであってもよい。
この場合、設定部は、送信した制御情報に対する移動端末からの応答の受信状況に基づいてパラメータを設定することができ、制御情報の通信における堅牢性をより好適に設定することができる。
【0009】
前記通信状態検知部は、当該基地局装置が送信した前記制御情報に対して前記移動端末からの応答の受信数をカウントし、この応答の受信数に基づいて当該基地局装置が受信すべき応答の未受信数を前記受信状況として求めるものであり、前記通信状態判断部は、前記通信状態検知部による検知の結果、当該基地局装置が受信すべき前記応答の未受信数と、予め設定された閾値とに基づいて通信状態を判断するものであり、前記設定部は、前記通信状態判断部の判断結果に基づいて、前記パラメータに含まれる、前記送信出力値、及び前記リピテーション値の内、少なくともいずれか一方の値の調整を行うものであってもよい。
またさらに、この場合、前記通信状態判断部は、当該基地局装置が受信すべき前記応答の未受信数が前記閾値よりも大きいか否かを判断するものであり、前記設定部は、前記通信状態判断部により前記未受信数が前記閾値よりも大きいと判断された場合、前記パラメータに含まれる、前記送信出力値、及び前記リピテーション値の内、少なくともいずれか一方の値を増加させるものであることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、通信状態判断部は、基地局装置が受信すべき応答の未受信数に基づいて、制御情報の通信が適正に行われているか否かを判断することができる。さらに、通信状態判断部によって、制御情報の通信が適正に行われていないと判断される場合に、設定部は、前記パラメータに含まれる送信出力値、及びリピテーション値の内、少なくともいずれか一方の値を増加させることで、他の制御情報のパラメータをより堅牢性の高い設定とすることができる。この結果、移動端末との間における制御情報の通信の安定性をより高めることができる。
【0011】
また、上記基地局装置において、前記制御情報は、前記移動端末に対する前記トラヒックデータの割り当てに関する割当情報を含んでおり、前記通信状態検知部は、前記移動端末からのトラヒックデータの受信状況を前記通信状態として検知するものであり、前記設定部は、前記通信状態検知部による前記トラヒックデータの受信状況に基づいて、前記割当情報についての前記パラメータを設定するものであることが好ましい。
【0012】
上記割当情報の通信が適正に行われていなければ、当該基地局装置と移動端末との間のトラヒックデータの通信が全く行えない状態になるところ、上記の場合、通信状態検知部がトラヒックデータの受信状況を検知することで、当該基地局装置と移動端末との間のトラヒックデータの通信が適正に行われているか否かを把握し、制御情報の内の少なくとも割当情報の通信状態を把握することができる。さらに、設定部は、トラヒックデータの受信状況に基づいて、割当情報についての前記パラメータを設定するので、割当情報の通信における堅牢性をより好適に設定することができる。
【0013】
前記通信状態検知部は、前記移動端末からのトラヒックデータの有無を前記トラヒックデータの受信状況として検知するものであり、前記通信状態判断部は、所定時間の間に前記移動端末からのトラヒックデータの受信の有無が前記通信状態検知部によって検知されるか否かによって通信状態を判断するものであり、前記設定部は、前記通信状態判断部の判断結果に基づいて、前記割当情報についての前記パラメータに含まれる、前記送信出力値、及び前記リピテーション値の内、少なくともいずれか一方の値の調整を行うものであってもよい。
またさらに、この場合、前記設定部は、前記通信状態判断部によって前記所定時間の間に前記トラヒックデータの受信が検知されないと判断された場合、前記割当情報についての前記パラメータに含まれる、前記送信出力値、及び前記リピテーション値の内、少なくともいずれか一方の値を増加させるものであることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、通信状態判断部は、所定時間の間における移動端末からのトラヒックデータの受信の有無に基づいて、割当情報の通信が適正に行われているか否かを好適に判断することができる。さらに、通信状態判断部によって、所定時間の間にトラヒックデータが受信されないと判断され、割当情報の通信が適正に行われていないと判断される場合に、割当情報についてのパラメータに含まれる送信出力値、及びリピテーション値の内、少なくともいずれか一方の値を増加させることで、割当情報のパラメータをより堅牢性の高い設定とすることができる。この結果、移動端末との間における割当情報の通信の安定性をより高めることができる。
【0015】
また、上記基地局装置において、前記通信状態検知部は、前記移動端末ごとに通信状態を検知するものであり、前記設定部は、前記移動端末ごとに前記パラメータの設定を行うものであってもよい。
この場合、移動端末ごとの制御情報の通信状態に応じて、移動端末それぞれについての制御情報のパラメータを好適に設定することができ、これにより、移動端末との間における制御情報の通信の安定性をより高めることができる。
【0016】
また、本発明は、移動端末と、前記移動端末との間でトラヒックデータ及び制御情報の通信を行うとともに前記制御情報の通信をトラヒックデータ用の通信コネクションとは別の制御情報用の通信コネクションを用いて行う基地局装置と、を備えた無線通信システムにおける前記制御情報の送信条件設定方法であって、前記基地局装置と前記移動端末との間の通信状態を検知する検知ステップと、前記検知ステップによる検知結果に基づいて、前記基地局装置と前記移動端末との間の通信状態を判断する判断ステップと、前記判断ステップによる判断結果に基づいて、前記制御情報に含まれる当該制御情報以外の他の制御情報の通信の堅牢性に関するパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、前記設定ステップによって設定された前記制御情報を前記移動端末に送信し、前記パラメータに基づいて前記他の制御情報の送信条件を設定する送信条件設定ステップと、を有していることを特徴としている。
【0017】
上記のように構成された無線通信システムにおける制御情報の送信条件設定方法によれば、移動端末との通信状態に応じて、他の制御情報についての堅牢性を好適に設定することができるので、移動端末との間における制御情報の通信をより安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の基地局装置、及び制御情報の送信条件設定方法によれば、制御情報の通信をより安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態である、基地局装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】BSとMSとの間で行われる無線通信における通信フレームの構成を示す図である。
【図3】制御情報の一例を示す図である。
【図4】各制御情報を送信するための通信コネクションの態様を示す図である。
【図5】BSによる制御情報のパラメータ設定の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第二の実施形態であるBSによる制御情報のパラメータ設定の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第一の実施形態〕
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一の実施形態である、基地局装置1の構成を示すブロック図である。この基地局装置1(以下、BS1ともいう)は、広帯域移動無線通信システムの基地局として用いられるものであり、例えば、IEEE802.16に規定されるいわゆる「WiMAX」と呼ばれる無線通信システムに準拠しており、移動端末2との間で、直交周波数分割多元接続(OFDMA)により通信を行う。BS1は、外部の上位ネットワークと接続されており、移動端末2(以下、MS2ともいう)は、BS1との間で通信を確立することで、外部のネットワークへのエントリが可能となる。
【0021】
〔基地局装置の構成〕
BS1は、MS2との間で無線通信を行うための信号を送受信するアンテナ3と、このアンテナ3によって信号の送受信を行うための送受信部4と、MS2との通信に関する各種制御を行うための制御部5と、外部の上位ネットワークと接続するための通信部6とを有している。
【0022】
送受信部4は、MS2との間で信号の送受信を行う他、送受信される信号波の変復調、及びA/D,D/A変換等を行う機能を有している。
制御部5は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ハードディスクやROM)等を有するコンピュータにより構成されており、BS1がMS2との間で通信を確立するために必要な処理を行ったり、MS2からの受信信号の通信フレームに含まれる受信情報を取り出して上位ネットワークに送信したり、上位ネットワークからMS2に送信される情報を通信フレームに載せる処理等を行う。
また、この制御部5は、MS2との間の通信を制御するために必要な制御情報を生成し、送受信を行うための機能部である、検知部11、判断部12、パラメータ設定部13、及び制御情報生成部14を有している。これら各機能部については、後に詳述する。
【0023】
〔移動端末について〕
MS2は、通信が確立されたBS1を介して外部の上位ネットワークにエントリし、外部との間でユーザデータの授受を行うための機能を有する他、BS1との間の通信を制御するために必要な制御情報の送受信を行うための機能を有している。
より具体的には、BS1から送信される下り制御情報を受信し、この下り制御情報に基づいて、又は自己の判断によって、上り制御情報を生成し、BS1に向けて送信する機能を有している。
【0024】
〔通信フレームについて〕
図2は、BS1とMS2との間で行われる無線通信における通信フレームの構成を示す図である。この通信フレームは、縦軸を周波数、横軸を時間としたときに表される各データの配置構成であり、BS1が送信する送信信号が割り当てられる下りサブフレームと、MS2が送信する送信信号が割り当てられる上りサブフレームとによって構成され、両サブフレームは時間軸上に、所定時間のギャップ(TTG,RTG)を介して交互に配列されている。
【0025】
下りサブフレームには、プリアンブル信号(Preamble)が格納される領域P、フレーム制御ヘッダ(FCH)が格納される領域F、下りサブフレーム割当情報(DL−MAP)が格納される領域D、及び、ユーザデータ(以下、トラヒックデータともいう)や一部の制御情報等が格納される下りバースト領域DBが割り当てられている。
また、下りバースト領域DBは、BS1との間で通信を確立しているMS2それぞれに対応してトラヒックデータを送信するために複数に分割される。この内、領域Dに続く下り第一バースト領域db1には、上りサブフレーム割当情報(UL−MAP)が格納される。
【0026】
MS2の送信信号を送信するための送信領域である上りサブフレームには、上りのトラヒックデータが格納される上りバースト領域UBの他、MS2が、BS1との通信を要求する際等に送信するレンジング情報(RNGコード)が格納される領域Rが割り当てられている。
上りバースト領域UBは、BS1との間で通信を確立しているMS2それぞれに対応して複数に分割されており、BS1との間で通信を確立しているMS2それぞれがトラヒックデータを送信するための領域として、MS2それぞれに対応して割り当てられる。
【0027】
ここで、上記DL−MAP、及びUL−MAPは、上述の制御情報であり、これらはそれぞれ、BS1とMS2との間の通信の確立や維持等といった制御情報についての通信を制御するために必要な情報を有している。
【0028】
〔制御情報について〕
BS1及びMS2の間で送受信される制御情報は、その目的に応じて多種規定されている。図3は、その制御情報の一例を示す図である。
図3に示すように、制御情報としては、FCHや、各種制御メッセージが規定されている。この内、BS1からは、FCH、及び、制御メッセージに属する、DL−MAP、UL−MAP、DL制御メッセージといった情報が、下り制御情報としてMS2に対して送信される。また、MS2からは、制御メッセージに属するUL制御メッセージを上り制御情報としてBS1に対して送信する。
上記DL制御メッセージとしては、下り物理チャネル情報(DCD)、上り物理チャネル情報(UCD)、レンジング応答情報(RNG−RSP)、及び無線品質要求情報(REP−REQ)といった情報が規定されている。また、UL制御メッセージには、レンジング要求情報(RNG−REQ)、無線品質応答情報(REP−RSP)といった情報が規定されている。
【0029】
FCHは、当該FCHに続くDL−MAPの割り当て情報等を有しており、MS2が必ず受信する必要がある。このため、変調方式がBPSK1/2に設定されている。
【0030】
DL−MAPは、図2で示したように、下りサブフレーム内の領域Dを用いてBS1により送信される情報であり、下りバースト領域DBにおけるトラヒックデータ等の格納位置に関する情報を含んでいる。
また、このDL−MAPは、UL−MAP、DCD、UCD、RNG−RSP、及びREP−REQといった、当該DL−MAP以外の他の下り制御情報を送信する際の送信条件に関するパラメータを含んでいる。なお、DL−MAPの送信条件に関するパラメータは、FCHに含めて送信される。MS2がBS1から送信される下り制御情報を受信するためには、MS2がこれら下り制御情報の送信条件に関するパラメータを把握する必要がある。このため、BS1は、上記各下り制御情報の送信条件に関するパラメータを、FCH及びDL−MAPに含めてMS2に対して送信する。
【0031】
なお、上記制御情報の送信条件に関するパラメータとしては、各制御情報の通信における堅牢性に関するパラメータを含んでおり、より具体的には、後述するように、制御情報を送信するための送信出力値や、リピテーション値を含んでいる。
また、これら各制御情報は、後述するように、トラヒックデータの通信のやり取りに用いられる通信コネクションとは別個独立した通信コネクションによって通信が行われる。このため、BS1は、トラヒックデータについての通信に関する設定とは別に、上記制御情報を送信するための設定を、各通信コネクションごとに設定して送信することができる。
【0032】
UL−MAPは、下りサブフレーム内の下りバースト領域db1(図2参照)を用いてBS1により送信される情報であり、上りサブフレームに割り当てられている上りバースト領域UBにおけるトラヒックデータ等の格納位置に関する情報を含んでいる。
また、このUL−MAPは、他の制御情報としての、MS2が送信するRNG−REQやREP−RSPといった上り制御情報についての送信条件に関するパラメータを含んでいる。
【0033】
BS1がDL−MAP及びUL−MAPをMS2に対して送信することで、MS2は、下りサブフレーム内における、自己宛のトラヒックデータの格納位置、及び、上りサブフレーム内における、自己に割り当てられているトラヒックデータを送信するため上りバースト領域の位置を把握することができる。
言い換えると、MS2は、BS1が送信するDL−MAP及びUL−MAPを受信できなければ、全くトラヒックデータの送受信ができない状態となる。
【0034】
DL制御メッセージに属するDCD及びUCDは、それぞれ、下り通信及び上り通信の物理チャネルに関する情報であり、所定の下りバースト領域(例えば、図2においては、下り第二バースト領域db2)を用いてBS1により送信される。
【0035】
DL制御メッセージに属するRNG−RSPは、MS2とBS1とが通信の確立を行う際に送信出力やタイミングの同期を取るための処理であるイニシャル・レンジングにおいて、MS2からのRNGコードや、RNG−REQに応じて送信される情報であり、レンジングの結果(送信出力やタイミングのオフセット量)を示すものである。このRNG−RSPは、所定の下りバースト領域(例えば、図2においては、第二下りバースト領域db2)に格納され、BS1により送信される。
DL制御メッセージに属するREP−REQは、下り通信におけるCINR等の無線品質に関する情報の送信をMS2に対して要求するための情報であり、無線品質の要求対象となるMS2に割り当てられている下りバースト領域を用いてBS1により送信される。
【0036】
UL制御メッセージに属するRNG−REQは、MS2とBS1とが通信の確立を行う際に送信出力やタイミングの同期を取るための処理であるイニシャル・レンジングにおいて、レンジングを要求するための制御情報であり、当該RNG−REQを送信するMS2のMACアドレスやCID(接続ID)を含んでいる。このRNG−REQは、上りサブフレームにおける上りバースト領域UBを用いてMS2により送信される。
【0037】
UL制御メッセージに属するREP−RSPは、BS1から送信されるREP−REQに応じて送信される情報であり、下り通信におけるCINR等の無線品質に関する情報を含んでいる。このREP−RSPは、当該RNG−RSPを送信するMS2に割り当てられている上りバースト領域を用いてMS2により送信される。
【0038】
MS2及びBS1は、上記RNG−REQ及びRNG−RSPの送受信によって行われるイニシャル・レンジングによって、互いに通信を開始することができる。
また、MS2及びBS1は、REP−REQ及びREP−RSPの送受信によって、互いの間で確立している通信に係る無線品質を把握維持することができる。
【0039】
BS1及びMS2の間で送受信される上述の各制御情報は、トラヒックデータを送信するための通信コネクションとは別個独立した通信コネクションによって通信が行われる。この制御情報の通信コネクションとしては、例えば、ブロードキャスト・コネクション、フラグメンタブル・ブロードキャスト・コネクション、イニシャル・レンジング・コネクション、ベーシック・コネクション、及びプライマリ・コネクションの5つがある。
この内、ブロードキャスト・コネクション、及びフラグメンタブル・ブロードキャスト・コネクションは、BS1から不特定多数のMS2に対して制御情報をブロードキャスト送信するためのコネクションである。また、イニシャル・レンジング・コネクションは、イニシャル・レンジングを行うための制御情報を送信するためのコネクションである。ベーシック・コネクションは、基本的な制御情報を送信するためのコネクションであり、プライマリ・コネクションは、その他の制御情報を送信するためのコネクションである。
【0040】
図4は、本実施形態における各制御情報を送信するための通信コネクションの態様を示す図である。図において、DL−MAP、及びUL−MAPは、ブロードキャスト・コネクションによってBS1から不特定のMS2に対して送信される。
また、DCD、及びUCDは、フラグメンタブル・ブロードキャスト・コネクションによって、BS1から不特定のMS2に対してブロードキャスト送信される。
RNG−RSP、及びREP−REQは、ベーシック・コネクションによってBS1から所定のMS2に向けて送信される。
RNG−REQは、イニシャル・レンジング・コネクションによってMS2からBS1に向けて送信される。
また、REP−RSPは、ベーシック・コネクションによってMS2からBS1に向けて送信される。
以上のように、BS1及びMS2は、トラヒックデータを送信するための通信コネクションとは別個独立した通信コネクションによって上記各制御情報の送受信を互いに行うことができ、通信の制御を行うように構成されている。
【0041】
〔制御情報の送信条件に関するパラメータの設定について〕
BS1は、他の制御情報としてのUL−MAPや、DL制御メッセージの送信条件としてその通信の堅牢性に関するパラメータを含んだDL−MAPを生成し、他の制御情報としてのMS2が送信するRNG−REQ、及びREP−RSPの送信条件としてその通信の堅牢性に関するパラメータを含んだUL−MAPを生成する機能を有している。また、BS1は、上記DL制御メッセージを生成する機能を有している。
MS2は、BS1から送信されるUL−MAPに含まれる通信の堅牢性に関するパラメータに基づいて、UL制御メッセージであるRNG−REQ、及びREP−RSPの通信の堅牢性に関するパラメータを調整し、当該UL制御メッセージをBS1に向けて送信するように構成されている。
つまり、BS1は、RNG−REQやREP−RSPといった上り制御情報の通信における堅牢性に関するパラメータを含んだUL−MAPをMS2に送信することで、当該MS2が送信するUL制御メッセージ(上り制御情報)の送信条件を調整させることができる。
【0042】
以下、BS1が行う、上記各制御情報の送信条件の設定について説明する。制御情報については、図3にて示した各制御情報以外に多種の制御情報が規定されているが、本実施形態においては、通信の制御に不可欠である、図3にて示した各制御情報の内、送信条件の設定についてのみ説明する。
図1に示すように、BS1の制御部5は、上述のように、上記各下り制御情報を生成し、送受信を行うための機能部を有しており、制御部5は、前記機能部として、MS2との通信状態を検知するための検知部11と、この検知部11の検知結果に基づいてMS2との通信状態を判断する判断部12と、この判断部12の判断結果に基づいて制御情報の通信における堅牢性に関するパラメータを設定するパラメータ設定部13と、このパラメータ設定部13により設定されたパラメータに基づいて制御情報を生成する制御情報生成部14とを有している。
【0043】
検知部11は、送受信部4によって受信されたMS2からの受信信号に基づいて、上りトラヒックデータの受信パケット数を通信状態として計測するトラヒックデータ検知部11aと、BS1が送信した下り制御情報に対する応答としてMS2から送信される上り制御情報の受信数をカウントし、この受信数に基づいてBS1が受信すべき上り制御情報の未受信数を通信状態として求める制御情報検知部11bとを有している。
【0044】
本実施形態において、制御情報検知部11bは、応答を必要とする下り制御情報がいくつ送信されたかを記憶しておき、上記制御情報検知部11bがカウントする上り制御情報の受信数に基づいて、送信された下り制御情報に対して返送されていない上り制御情報の数である未受信数を求めるように構成することもできるし、上記規格に規定される、ARQ(自動再送要求)を用い、このARQの機能によって、受信ロスが生じたときに、MS2から送信されるACK(確認応答)の受信回数をカウントすることによって、未受信数を求めるように構成することもできる。
なお、BS1が送信した下り制御情報に対する応答としてMS2から送信される上り制御情報としては、BS1が送信するRNG−RSPに対して応答されるRNG−REQや、BS1が送信するREP−REQに対して応答されるREP−RSP等が挙げられる。
【0045】
検知部11は、トラヒックデータ検知部11aによって、トラヒックデータの受信状況を通信状態として検知することで、MS2との間の通信の確立が適正に行われているか否かを把握できるとともに、制御情報検知部11bによって、上り制御情報の受信状況である前記未受信数を通信状態として検知することで、制御情報の通信が適正に行われているか否かを把握することができる。
【0046】
判断部12は、トラヒックデータ検知部11aが計測する計測結果に基づいて、所定時間である、例えばX秒間の間にトラヒックデータを受信したか否かを判断するトラヒックデータ判断部12aと、BS1が受信すべき上り制御情報の未受信数、及び予め設定された閾値(例えば、Y個)に基づいて通信状態を判断する制御情報判断部12bとを有している。
判断部12は、トラヒックデータ判断部12aによって、MS2からのトラヒックデータの受信の有無を判断できるとともに、制御情報判断部12bによって、上り制御情報の未受信数から制御情報の通信が適正に行われているか否かを判断することができる。
【0047】
特に、トラヒックデータについては、上述したように、DL−MAP及びUL−MAPがMS2によって受信されていなければ、トラヒックデータの送受信が全く行えない状態となる。従って、トラヒックデータ判断部12aが、トラヒックデータの受信状況を検知することで、制御部5は、当該基地局装置と移動端末との間のトラヒックデータの通信が適正に行われているか否かを把握し、制御情報の内の少なくともDL−MAP及びUL−MAPの通信状態を把握することができる。
【0048】
パラメータ設定部13は、BS1が送信する下り制御情報の通信の堅牢性に関するパラメータを設定する下り設定部13aと、UL−MAPに格納送信される上り制御情報の通信の堅牢性に関するパラメータを設定する上り設定部13bとを有している。
これら両設定部13a,13bは、上記判断部12の判断結果に基づいて、両制御情報の送信条件の内、通信における堅牢性に関するパラメータをそれぞれ設定する。
下り設定部13aは、DL−MAP、UL−MAP、DCD,UCD,RNG−RSP,REP−REQ,及びその他制御メッセージそれぞれの通信の堅牢性に関するパラメータを設定し、設定したこれら下り制御情報に対応する各パラメータを制御情報生成部14に出力する。
なお、下り設定部13aが設定する下り制御情報の内、ベーシックコネクションで送信されるRNG−RSP,REP−REQ,及びその他制御メッセージそれぞれについてのパラメータについては、各MS2ごとに異なる設定が可能である。
上り設定部13bは、RNG−REQ,REP−RSP,及びその他制御メッセージに関するパラメータを設定し、設定したこれら上り制御情報の送信条件を制御情報生成部14に出力する。
なお、RNG−REQ,REP−RSP,及びその他メッセージそれぞれについてのパラメータは、各MS2ごとに異なる設定が可能である。
【0049】
制御情報生成部14は、RNG−REQ,REP−RSP,及びその他メッセージの通信における堅牢性に関するパラメータを含んだUL−MAPを生成する他、設定された各下り制御情報のパラメータを含んだDL−MAP等、他の下り制御情報を生成し、送受信部4に出力する。
なお、下り設定部13aによって設定される、DL−MAPの通信における堅牢性に関するパラメータは、FCHに格納されてMS2に送信される。
送受信部4は、上記下り制御情報(DL−MAP、UL−MAP、DCD,UCD,RNG−RSP,REP−REQ,及びその他メッセージ)を、下り設定部13aによってそれぞれに設定されたパラメータに基づいて送信する。
【0050】
上記両設定部13a,13bは、制御情報の通信における堅牢性に関するパラメータとして、変調方式、リピテーション値、及び送信出力値の設定を行うことができる。
選択可能な変調方式としては、例えば、DL−MAP及びUL−MAPについてはQPSK1/2、DCD,UCD,RNG−RSP,REP−REQ,,及びその他メッセージについてはQPSK1/2〜64QAM5/6、RNG−REQ,及びREP−RSP,及びその他メッセージについてはQPSK1/2〜16QAM3/4がある。
なお、本実施形態においては、これら変調方式は、全てQPSK1/2で固定とした。
【0051】
リピテーションとは、同じデータを複数回送信する処理であり、データ転送誤りが多発する状況での信頼性を高めることができる。リピテーション値とは、このリピテーションにおけるデータの繰り返し送信回数である。従って、リピテーション値を増加させることで、制御情報に係る通信の堅牢性を高めることができる。
このリピテーション値としては、各制御情報全てにおいて、0,2,4,6回の4種類の中から選択し設定することができる。
また、送信出力値としては、下りバースト領域で送信されるUL−MAP,DCD,UCD,RNG−RSP,REP−REQ,及びその他メッセージについては、−12dB〜+6dBの範囲で設定することができる。この送信出力値を増加させることで、制御情報に係る通信は、その堅牢性が高められる。なお、本実施形態において、DL−MAP,及びMS2により送信されるRNG−REQ,REP−RSP,及びその他メッセージの送信出力値については、0dBで固定とする。
【0052】
以上によって、BS1は、判断部12の判断結果に基づいて、DL−MAPやUL−MAPに含まれる、他の制御情報を送信するための上記各通信コネクションにおける堅牢性に関するパラメータを設定することで、前記他の制御情報についての通信の堅牢性を、MS2との通信状態に応じて変化させることができる。特に、RNG−REQやREP−RSP等の上り制御情報のパラメータについては、上り設定部13bによって設定されたパラメータを含んだUL−MAPをMS2に送信することで、当該パラメータをMS2による制御情報の通信に反映させることができる。
【0053】
次に、上記構成のBS1が行う制御情報の通信における堅牢性に関するパラメータの設定の手順について説明する。なお、以下の説明では、「制御情報の通信における堅牢性に関するパラメータ」については、単に「パラメータ」ともいう。図5は、BS1による制御情報のパラメータ設定の手順を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、BS1と、複数のMS2との間で通信が行われる場合について説明する。また、図中、DL制御メッセージとは、上述の通り、FCH,DL−MAP,及びUL−MAP以外の他の下り制御情報を示しており、UL制御メッセージとは、RNG−REQ,REP−RSP,及びその他メッセージを示しており、DL制御メッセージ,UL制御メッセージ,DL−MAP,及びUL−MAPそれぞれのパラメータを示している。また、図中、「Mod」は変調方式、「Rep」はリピテーション値、「Boost」は送信出力値を示している。
また、上記パラメータの内、各MS2ごとに異なる設定が可能な、UL制御メッセージ(RNG−REQ,REP−RSP,及びその他メッセージ)について、本実施形態では、各MS2全てに対して、同一のパラメータの値に設定するものとする。
【0054】
また、図において、これら各パラメータの状態を示している「アップ」とは、各値を堅牢性を高める方向に調整して設定することを示しており、具体的には、リピテーション値及び送信出力値について、その数値を所定のステップで増加させる設定とすることを示している。また、「ダウン」とは、各値を堅牢性が低くなる方向に調整設定することを示しており、各数値を所定のステップで減少させる設定とすることを示している。この場合、リピテーション値が減少するように設定すると、繰り返し送信のために使用されるバースト領域を少なくすることができ、無線資源の効率が高まる方向に設定される。「維持」とは、各値を維持して設定することを示している。
また、図中の各ステップにおいて、特に設定の表示がないパラメータについては、現状の設定を維持するものとする。
【0055】
BS1の制御部5は、MS2との間で通信を行うに当たって、図に示すフローチャートに示す処理を繰り返し実行する。
図において、パラメータ設定部13は、まず、各パラメータについて、初期設定を行う(ステップS101)。初期設定の値としては、図に示すように、変調方式は、全てQPSK1/2、リピテーション値、及び送信出力値は、全て「0」に設定される。
【0056】
次に、制御部5は、トラヒックデータ検知部11aに上りトラヒックデータの受信パケット数を計測させるとともに、制御情報検知部11bに上り制御情報の未受信数をカウントさせる(ステップS102)。
【0057】
次に制御部5は、トラヒックデータ判断部12aに、X秒間の間に上りトラヒックデータを受信したか否かを判断させる(ステップS103)。なお、この判断の基準となるX秒間の計時を開始するタイミングは、ステップS102において受信パケット数の計測を開始した時に設定され、例えば、当該制御部5が機能的に有するタイマ等を用いて測定する。また、ステップS103におけるトラヒックデータを計測する計測時間(X秒)は、上りトラヒックデータの受信の有無に基づいて、適正な通信の確立が行われていないと判断できる程度の時間に設定される。
【0058】
ステップS103において、トラヒックデータを受信していないと判断された場合、ステップS104に進み、制御部5は、下り設定部13aに、DL−MAPのリピテーション値を増加させる設定を行わせるとともに、UL−MAPのリピテーション値及び送信出力値を増加させる設定を行わせ、他の制御情報のパラメータについては、現状を維持する設定を行わせる(ステップS104)。
その後、ステップS102に戻り、再度、MS2との間における通信状態の検知を行う。
【0059】
一方、ステップS103において、トラヒックデータを受信していると判断された場合、ステップS105に進み、制御部5は、制御情報判断部12bに、制御情報検知部11bのカウントする上り制御情報の未受信数がY個よりも大きいか否かを判断させる(ステップS105)。
ステップS105において、上り制御情報の未受信数がY個よりも大きいと判断された場合、ステップS106に進み、制御部5は、下り設定部13aに、DL−MAPのリピテーション値、並びに、UL−MAPのリピテーション値及び送信出力値を維持させる設定を行わせ、DL制御メッセージのリピテーション値及び送信出力値については、増加させる設定を行わせる。また、制御部5は、上り設定部13bに、UL制御メッセージのリピテーション値を増加させる設定を行わせる(ステップS106)。
その後、ステップS102に戻り、再度、MS2との間における通信状態の検知を行う。なお、ステップS105における判断基準となる未受信数の個数(Y個)は、両制御情報の通信が適正に行われていないと判断しうる値に設定される。
【0060】
ステップS105において、上り制御情報の未受信数がY個以下であると判断された場合には、ステップS107に進み、制御部5は、制御情報判断部12bに対してさらに、制御情報検知部11bのカウントする上り制御情報の未受信数がZ個以下(なお、Z<Y)であるか否かを判断させる(ステップS107)。
ステップS107において、上り制御情報の未受信数がZ個以下でないと判断された場合、ステップS108に進み、制御部5は、下り設定部13a、及び上り設定部13bに、全てのパラメータについて、現状を維持する設定を行わせ(ステップS108)、ステップS102に戻る。
なお、ステップS107における判断基準となる未受信数の個数(Z個)は、両制御情報の通信が適正に行われていると判断できる程度の値に設定される。
【0061】
一方、ステップS107において、上り制御情報の未受信数がZ個以下であると判断された場合には、ステップS109に進み、制御部5は、下り設定部13a、及び上り設定部13bに、全てのパラメータの値について、減少させる設定を行わせる(ステップS109)。
その後、ステップS102に戻り、再度、MS2との間における通信状態の検知を行う。
【0062】
上記のように構成されたBS1によれば、MS2との通信状態に応じて、BS1が送信する制御情報に含まれる、当該制御情報以外の他の制御情報(例えば、BS1が送信する制御情報としてのDL−MAPに含まれる、他の制御情報としてのUL−MAPやDL制御メッセージ)についての通信の堅牢性に関するパラメータを調整設定することで、当該他の制御情報についての通信の堅牢性を、通信状態に応じて変化させることができ、制御情報の通信における堅牢性を好適に設定することができる。つまり、MS2との通信状態に応じて、制御情報の通信における堅牢性を好適に設定し制御情報を送信することができるので、MS2との間における制御情報の通信をより安定して行うことができる。
【0063】
また、上記実施形態において、検知部11は、制御情報検知部11bを有しているので、各制御情報の受信状況について検知することができる。また、判断部12は、上述の制御情報判断部12bを有しているので、BS1が受信すべき上り制御情報の未受信数に基づいて、制御情報の通信が適正に行われているか否かを判断することができる。
BS1が受信すべき上り制御情報の未受信数が多ければ、MS2との間で、DL−MAP,及びUL−MAP以外の他の下り制御情報、及び上り制御情報の内、少なくともいずれか一方の通信が適正に行われていないおそれがある。つまり、BS1側からでは、BS1が送信した下り制御情報がMS2に正常に到達していないのか、あるいは、MS2が送信した上り制御情報がBS1に正常に到達していないのか判断することができない。
本実施形態では、BS1が受信すべき上り制御情報の未受信数が所定の閾値であるY個よりも大きいと判断され、制御情報の通信が適正に行われていないと判断される場合、DL制御メッセージのリピテーション値及び送信出力値、並びに、UL制御メッセージのリピテーション値をそれぞれ増加させることで(図5中、ステップS105,S106参照)、DL制御メッセージ及びUL制御メッセージのパラメータをより堅牢性の高い設定とすることができる。すなわち、正常に通信が行われていないのが、上り側及び下り側のいずれであったとしても、上り側及び下り側の双方について、堅牢性が高まる設定とするように構成されている。この結果、MS2との間における通信における制御情報の通信の安定性をより高めることができる。
【0064】
また、上記実施形態において、判断部12は、上述のトラヒックデータ判断部12aを有しているので、MS2からのトラヒックデータの受信の有無に基づいて、制御情報の通信が適正に行われているか否かを判断することができる。
MS2からのトラヒックデータの受信がなければ、MS2との間で、適正な通信の確立が行われていない可能性があり、DL−MAP、及び、UL−MAPを、MS2が適正に受信していないおそれがある。本実施形態では、MS2からのトラヒックデータの受信がないと判断され、DL−MAP、及び、UL−MAPが、MS2によって適正に受信されていないと判断される場合、DL−MAPのリピテーション値、及びUL−MAPのリピテーション値、送信出力値をそれぞれ増加させることで(図5中、ステップS103,S104参照)、DL−MAP及びUL−MAPのパラメータをより堅牢性の高い設定とすることができる。この結果、MS2との間における通信における制御情報の通信の安定性をより高めることができる。
【0065】
〔第二の実施形態〕
図6は、本発明の第二の実施形態であるBS1による制御情報のパラメータ設定の手順を示すフローチャートである。
本実施形態では、検知部11の制御情報検知部11b、判断部12の制御情報判断部12b、及びパラメータ設定部13が、それぞれ、MS2ごとに制御情報の検知、判断を行い、MS2ごとに上り制御情報のパラメータを設定する場合を示している。
【0066】
図6中、ステップS201,S203,S204については、それぞれ上記第一の実施形態のステップS101,S103,S104と同様である。
ステップS202において、制御部5は、トラヒックデータ検知部11aに上りトラヒックデータの受信パケット数を計測させるとともに、制御情報検知部11bに、各MS2ごとに上り制御情報の受信の有無を検知させる(ステップS202)。
ステップS203において、トラヒックデータを受信していると判断された場合、ステップS205に進み、制御部5は、下り設定部13aに、DL−MAPのリピテーション値を減少させる設定を行わせるとともに、UL−MAPのリピテーション値及び送信出力値を減少させる設定を行わせる(ステップS205)。
【0067】
次に、制御部5は、制御情報判断部12bに、BS1が受信すべき上り制御情報が未受信となっている送信元のMS2を特定させる(ステップS206)。
そして、ステップS207において、制御部5は、下り設定部13aに、ステップS206において特定されたMS2についてのDL制御メッセージのリピテーション値及び送信出力値については、増加させる設定を行わせ、上り設定部13bに、前記特定されたMS2についてのUL制御メッセージのリピテーション値を増加させる設定を行わせる(ステップS207)。なお、このステップS207においてパラメータが設定されるDL制御メッセージは、MS2ごとに各パラメータの設定が可能なRNG−RSP及びREP−RSPを対象としている。
【0068】
次いで、ステップS208に進み、制御部5は、下り設定部13aに、ステップS206において特定されなかった他のMS2についてのDL制御メッセージのリピテーション値及び送信出力値については、減少させる設定を行わせ、上り設定部13bに、前記他のMS2についてのUL制御メッセージのリピテーション値を減少させる設定を行わせる(ステップS208)。なお、このステップS208においても、パラメータが設定されるDL制御メッセージは、MS2ごとにパラメータの設定が可能なRNG−RSP及びREP−RSPを対象としている。
その後、ステップS202に戻り、再度、MS2との間における通信状態の検知を行う。
【0069】
本実施形態のBS1によれば、検知部11、及び判断部12がMS2ごとに通信状態を検知、判断し、パラメータ設定部13が、それに応じて、MS2ごとに制御情報のパラメータを設定するので、MS2ごとの制御情報の通信状態に応じて、MS2それぞれについての制御情報の通信における堅牢性に関するパラメータを好適に設定することができる。
【0070】
本発明は、上記各実施形態に限定されることはない。例えば、トラヒックデータ判断部12aは、トラヒックデータの受信の有無に基づいて、通信状態を判断するように構成したが、トラヒックデータのパケット数に基づいて通信状態を判断するようにすることもできる。また、制御情報検知部11b、及び制御情報判断部12bは、BS1が受信すべき上り制御情報の未受信数を通信状態として求め、この未受信数に基づいて通信状態を判断するように構成したが、制御情報検知部11bによって上り制御情報の受信数をカウントし、この受信数に基づいて、制御情報判断部12bに通信状態を判断させるように構成してもよい。
また、パラメータ設定部13は、各制御情報の通信における変調方式を、調整の対象としても良く、この場合、各制御情報の通信それぞれについて、変調方式を堅牢性の高いQPSK1/2から、堅牢性は低下するがデータの送信効率が高くなる64QAM5/6までの間で、調整するように構成してもよい。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
1 BS(基地局装置) 2 MS(移動端末) 3 アンテナ
4 送受信部 5 制御部 6 通信部 11 検知部
11a トラヒックデータ検知部 11b 制御情報検知部 12 判断部
12a トラヒックデータ判断部 12b 制御情報判断部
13 パラメータ設定部 13a 下り設定部
13b 上り設定部 14 制御情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末との間でトラヒックデータ及び制御情報の通信を行うとともに、前記制御情報の通信を、トラヒックデータ用の通信コネクションとは別の制御情報用の通信コネクションを用いて行う基地局装置であって、
前記移動端末との通信状態を検知する通信状態検知部と、
前記通信状態検知部の検知結果に基づいて、前記移動端末との通信状態を判断する通信状態判断部と、
前記制御情報に対する設定を行う設定部と、を備え、
前記制御情報は、当該制御情報以外の他の制御情報の通信の堅牢性に関するパラメータを含んでおり、
前記設定部は、前記通信状態判断部の判断結果に基づいて、前記制御情報に含まれる前記パラメータを設定することで、前記他の制御情報についての通信の堅牢性を通信状態に応じて変化させることを特徴とする基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−120293(P2011−120293A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45159(P2011−45159)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【分割の表示】特願2008−32758(P2008−32758)の分割
【原出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】