基地局
【課題】セルラ無線通信システムにおいて、基地局間で通信インタフェースを持たない場合、基地局間で連携したセル間干渉制御ができない。
【解決手段】第1の端末と、第1の端末群と無線通信を行なう基地局と、第2の端末と、第2の端末群と無線通信を行なう第2の基地局とを有する、無線通信システムの下りリンク通信において、第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する第2の端末群に、前記基地局が与える電波干渉が小さい場合は、基地局は、高レートモードを選択し、第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する第2の端末群に、前記基地局が与える電波干渉が大きい場合は、基地局は、干渉緩和モードを選択する。
【解決手段】第1の端末と、第1の端末群と無線通信を行なう基地局と、第2の端末と、第2の端末群と無線通信を行なう第2の基地局とを有する、無線通信システムの下りリンク通信において、第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する第2の端末群に、前記基地局が与える電波干渉が小さい場合は、基地局は、高レートモードを選択し、第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する第2の端末群に、前記基地局が与える電波干渉が大きい場合は、基地局は、干渉緩和モードを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムを構成する無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信におけるユーザ多重方式として、OFDMAが多く採用されている。OFDMAでは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式により用意される多数のサブキャリアのうち、いくつかを周波数リソースとして端末に割当てることにより、複数の端末による同時アクセスを実現している。OFDMA方式では、データ送信を行なう前に、データ通信に使用する周波数リソースの割当てを行なう必要がある。OFDMA方式を採用するセルラ無線システムにおいて、基地局が、周波数リソースの割当てを決定し、周波数リソース割当て情報を専用の制御情報チャネルを通じて端末に通知する。
【0003】
基地局から端末に向かう下りリンクでのデータ送信において、まず、基地局が各端末へ送信すべきデータ量などに応じて、各端末への周波数リソースの割当てを行なう。周波数リソース割当て情報は、データ送信と同時に、あるいはそれに先んじて、制御情報チャネルを通じて基地局から端末に通知しておく。基地局は、各端末に割当てた周波数リソースを使って、データを送信する。基地局からデータを受信する端末は、基地局が通知する周波数リソース割当て情報から、どの周波数リソースを使ってデータが送られてきたかを判別し、それに基づいてデータを受信する。
【0004】
また、端末から基地局に向かう上りリンクでのデータ送信においては、まず、各端末がデータ送信要求や送信したいデータ量の情報を基地局に通知する。基地局は、端末からのデータ送信要求などの通知に基づき、各端末への周波数リソースの割当てを行なう。周波数リソース割当て情報は、制御情報チャネルを通じて基地局から端末に通知する。その後、各端末は、基地局が通知する周波数リソース割当て情報から、どの周波数リソースを使ってデータを送ればよいかを判別し、これに基づいてデータを送信する。基地局は、各端末に割当てた周波数リソースを使って、データを受信する。
【0005】
このように、OFDMAでは、基地局が決定した各端末への周波数リソース割当ての情報を、基地局と端末の間で共有することにより、送信データ量などに応じて適応的に帯域割当てを行なうデータ通信を実現している。
【0006】
OFDMAを用いるセルラ無線システムにおいては、上記のような仕組みを用いて異なる周波数リソースを割当てるため、同一の基地局と通信する端末同士間では、通常、干渉は発生しない。むしろ、近接する複数の基地局とそれぞれ通信する端末同士が同一の周波数リソースを割当てられたときに発生する、セル間干渉が支配的である。このため、OFDMAシステムでは、セル間干渉を制御する仕組みが必要となる。
【0007】
OFDMAシステムにおけるセル間干渉制御方法として、FFR(Fractional Frequency Reuse)が検討されている。FFRでは、周波数帯域を複数のサブバンドに分割し、隣接基地局間で異なるサブバンドを使用、または隣接基地局間でサブバンド毎の送信電力割当てパターンを変えることにより、セル間干渉を低減する。特許文献1および特許文献2では、その実現方法が記載されている。
【0008】
標準化団体3GPPでは、E−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)およびE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)として、OFDMAおよびDFT−S(Discrete Fourier Transform-Spread)−OFDMAを用いた無線通信システムが規格化されている。また非特許文献1では、FFRなどによるセル間干渉制御を、隣接基地局間で連携して行なうことをサポートするための基地局間インタフェースX2が規定されている。基地局間インタフェースX2では、送信電力などに関する情報を基地局間で交換する。
【0009】
基地局間インタフェースX2では、RB(Resource Block)と呼ばれる周波数リソース割当ての最小単位ごとに、RNTP(Relative Narrowband Transmit Power Indication)と呼ばれる、下りリンクの送信電力の情報が基地局間で交換される。各基地局は、隣接基地局から通知されるRNTPを利用して、どの周波数において隣接基地局の送信電力が大きいかを知る。隣接基地局の送信電力が大きい周波数においては、一般に、自局と通信する端末の受信干渉電力が大きい。また、セル中心に近い位置にある端末よりも、セル端に近い位置にある端末の方が、一般には隣接基地局から近いため、下りリンクの受信干渉電力が大きくなる傾向にある。
【0010】
また、基地局間インタフェースX2では、上りリンクにおいて基地局が受ける干渉情報が、OI(Interference Overload Indication)として基地局間で交換される。OIは、各RBにおける基地局の受信干渉電力の情報を含んでいる。さらに、基地局間インタフェースX2では、上りリンクの干渉に対する脆弱性の情報が、HII(High Interference Indication)として基地局間で交換される。HIIは、隣接セルでセル端端末用に使用されたくないRBの情報を含んでいる。一般に、ある基地局と隣接基地局のそれぞれのセル端に位置する端末同士は、互いに大きな干渉源となりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2009−510967号公報
【特許文献2】国際公開第08/004299号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP TS 36.423 V9.1.0, 8.3.1 Load Indication
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
E−UTRAおよびE−UTRANでは、基地局間インタフェースX2と呼ばれる基地局間の通信インタフェースを用いて、各基地局でのサブキャリア割当て情報や、送信電力の情報を基地局間で交換している。
【0014】
しかしながら、設置される全ての基地局間で、基地局間インタフェースX2がサポートされるとは限らない。例えば、E−UTRAおよびE−UTRANでは、フェムトセル(Home eNB)と呼ばれる通信エリアの比較的小さい基地局は、基地局間インタフェースX2をサポートしない。このような場合、基地局間で連携したセル間干渉制御ができなくなる虞がある。この結果、セル間干渉により、スループットが低下してしまう。
【0015】
さらに、既に設置されたマクロセル基地局の通信エリア内に、エリア品質向上などを目的として新たにフェムトセル基地局を設置する場合、通信エリア設計に基づいて設置された既設マクロセル基地局における通信品質への影響がないことが望ましい。しかし、新たに設置したフェムトセル基地局が与える干渉によって、既設マクロセル基地局の干渉状況が変化してしまう。この結果、既設マクロセル基地局で通信品質が不安定になってしまう。あるいは、既設マクロセル基地局から受ける干渉によって、新たに設置したフェムトセル基地局で不安定になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため、基地局が、基地局間インタフェースX2のパラメータのような基地局でやりとりされる情報を使用することなく、与干渉や被干渉を自主的に抑制するように、通信リソース割当てや、送信電力、符号化変調方式の設定を行なう。
上記を実現するため、フェムトセル基地局が、マクロセル基地局と通信するマクロセル端末にフェムトセル基地局が与える干渉の影響の大小を、判定する。
【0017】
さらに、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、周波数方向に分散した周波数リソースを、下りデータ通信用に割当てる。これによって、マクロセル端末が受ける干渉の影響が分散し、マクロセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、周波数ホッピングを行なって下りデータ通信を行なう。これによって、マクロセル端末が受ける干渉の影響が分散し、マクロセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【0018】
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、低い電力スペクトル密度を使用して下りデータ通信を行なう。さらに、電力スペクトル密度を低下させたことによるフェムトセル端末での受信品質劣化の影響を補償するため、フェムトセル基地局は、変調次数の小さい変調方式や、小さい誤り訂正符号化率を使用しつつ、使用する周波数リソース量を増加させて、下りデータ通信を行なう。さらに、電力スペクトル密度を低下させたことによるフェムトセル端末での受信品質劣化の影響を補償するため、フェムトセル基地局が、下りデータ通信にSTBC(Space-Time Block Code)などによる送信ダイバーシチを適用する。これによって、フェムトセルにおける通信品質の劣化を抑制しつつ、マクロセル端末が受ける干渉電力を低減し、マクロセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【0019】
また、上記を実現するため、フェムトセル基地局が、マクロセル基地局と通信するマクロセル端末がフェムトセル基地局が与える干渉の影響の大小を、判定する。
さらに、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、周波数方向に分散した周波数リソースを、上りデータ通信用に割当てる。これによって、フェムトセル基地局が受ける干渉の影響が分散し、フェムトセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【0020】
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、上りデータ通信用に割当てる周波数リソースに、周波数ホッピングを適用する。これによって、フェムトセル基地局が受ける干渉の影響が分散し、フェムトセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【0021】
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、上りデータ通信におけるHybrid ARQ再送ターゲット回数を大きく設定する。これによって、Hybrid ARQ再送回数が増えることにより、Hybrid ARQにより干渉電力の時間変動の影響を吸収し、フェムトセルにおける通信品質の安定化を実現する。よって課題が解決される。
【0022】
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、フェムトセル端末に対して高い送信電力スペクトル密度を設定する。さらに、電力スペクトル密度を高く設定したことによるフェムトセル基地局での受信品質向上を活用するため、フェムトセル基地局は、変調次数の大きい変調方式や、大きい誤り訂正符号化率を使用しつつ、使用する周波数リソース量を減少させて、上りデータ通信を行なうよう、フェムトセル端末に指示する。これによって、マクロセルに干渉を与えうる周波数リソースを減少させながらも、フェムトセル基地局における上り受信信号の受信電力スペクトル密度が高くなることにより、フェムトセル基地局が受ける受信信号電力に対する、フェムトセル基地局が受ける干渉電力を、相対的に低減し、フェムトセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、フェムトセルとマクロセルの、間で発生する干渉を抑制することにより、無線通信品質を改善し、無線資源の利用効率の向上に資する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】マクロセルとフェムトセルの配置を説明する図である。
【図2】フェムトセル基地局の構成を説明する図である。
【図3】端末の構成を説明する図である。
【図4】フェムトセル基地局配置を説明する図である。
【図5】他のフェムトセル基地局配置を説明する図である。
【図6】マクロセル端末への与干渉状況を判断する手順を説明するシーケンス図である。
【図7】下りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図8】下りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図9】マクロセル端末への与干渉状況を判断する手順を説明するシーケンス図である。
【図10】下りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図11】下りスケジューリングモードの再判定処理を説明するフローチャートである。
【図12】高レートモードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図13】高レートモードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図14】干渉緩和モードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図15】干渉緩和モードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図16】高レートモードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図17】干渉緩和モードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図18】高レートモードにおける送信電力スペクトル密度を説明する図である。
【図19】干渉緩和モードにおける送信電力スペクトル密度を説明する図である。
【図20】下りリンクで使用するMCSテーブルを説明する図である。
【図21】マクロセル端末からの被干渉状況を判断する手順を説明するシーケンス図である。
【図22】上りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図23】上りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図24】マクロセル端末からの被干渉状況を判断する手順を説明するシーケンス図である。
【図25】上りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図26】上りスケジューリングモードの再判定処理を説明するフローチャートである。
【図27】周波数ダイバーシチモードにおける送信電力スペクトル密度の例を説明する図である。
【図28】時間ダイバーシチモードにおける送信電力スペクトル密度の例を説明する図である。
【図29】上りリンクで使用するMCSテーブルを説明する図である。
【図30】HARQ送信を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0026】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
本実施例を適用するセルラ無線通信システムについて、E−UTRA/E−UTRANを例として、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、既設基地局(マクロセル基地局)の通信エリア内に、新たに基地局(フェムトセル基地局)が設置される場合を、説明する。
【0029】
図1を参照して、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の配置を説明する。図1において、マクロセル基地局100は、その通信範囲をもってマクロセル110を構成しており、端末400と無線で接続する。フェムトセル基地局200は、その通信範囲をもってフェムトセル210を構成しており、端末300と無線で接続する。本明細書では、マクロセル基地局100と接続している端末400をマクロセル端末と呼び、フェムトセル基地局200と接続している端末300をフェムトセル端末と呼ぶ。
【0030】
図2を参照して、フェムトセル基地局200の構成を説明する。図2において、フェムトセル基地局200は、メモリ201と、CPU202と、無線I/F203と、論理回路204と、有線I/F205とからなる。無線I/F203は、端末との間で無線信号の送受信を行なう。論理回路204は、誤り訂正符号化などを行なう。有線I/F205は、ネットワーク装置や隣接基地局との通信を行なう。
【0031】
メモリ201は、干渉情報テーブル211、下りスケジューリング情報テーブル212、上りスケジューリング情報テーブル213、下りMCS(Modulation and Coding Scheme)テーブル214、上りMCSテーブル215を含む。干渉情報テーブル211は、参照信号電力やパスロス情報を格納する。下りスケジューリング情報テーブル212は、下りリンクにおけるスケジューリング結果を格納する。上りスケジューリング情報テーブル213は、上りリンクにおけるスケジューリング結果を格納する。下りMCSテーブル214は、下りデータ送信に使用する。上りMCSテーブル215は、上りデータ受信に使用する。
【0032】
CPU202は、プログラムを実行する。CPU202は、干渉測定部221、下りスケジューリングモード切替部222、下りリンクスケジューラ223、上りスケジューリングモード切替部224、上りリンクスケジューラ225、データ送信処理部226、制御情報送信処理部227、データ受信処理部228、制御情報受信処理部229、上りリンク送信電力制御部230を含む。
【0033】
干渉測定部221は、上りリンクの受信干渉レベルの測定を行なう。下りリンクスケジューラ223は、下りリンクにおけるデータ通信のために周波数リソース割当てやMCS等を決定する。上りリンクスケジューラ225は、上りリンクにおけるデータ通信のために周波数リソース割当てやMCS等を決定する。データ送信処理部226は、端末へ送信するデータを処理する。制御情報送信処理部227は、各端末のスケジューリング結果や上りデータ復号結果(ACK/NACK)情報等の端末へ送信する制御情報を処理する。データ受信処理部228は、端末から受信されるデータを処理する。制御情報受信処理部229は、下りデータ復号結果(ACK/NACK)情報等の端末から受信される制御情報を処理する。上りリンク送信電力制御部230は、端末の送信電力の制御を行なう。
【0034】
図3を参照して、フェムトセル端末300の構成を説明する。図3において、フェムトセル端末300は、メモリ301と、CPU302と、無線I/F303、論理回路304とからなる。無線I/F303は、基地局との間で無線信号の送受信を行なう。論理回路304は、誤り訂正符号化などを行なう。
【0035】
メモリ301は、干渉情報テーブル311、下りスケジューリング情報テーブル312、上りスケジューリング情報テーブル313、下りMCSテーブル314、上りMCSテーブル315を含む。干渉情報テーブル311は、フェムトセル端末300が測定した参照信号電力やパスロス情報を格納する。下りスケジューリング情報テーブル312は、下りリンクにおける当該端末のスケジューリング結果を格納する。上りスケジューリング情報テーブル313は、上りリンクにおける当該端末のスケジューリング結果を格納する。下りMCSテーブル314は、下りデータ受信に使用する。上りMCSテーブル315は、上りデータ送信に使用する。
【0036】
CPU302は、参照信号電力測定部321、パスロス算出部322、送信電力制御部323、データ送信処理部326、データ受信処理部328、制御情報受信処理部329を含む。
【0037】
参照信号電力測定部321は、基地局からの参照信号の受信電力レベルを算出する。パスロス算出部322は、下りリンクにおける基地局から当該端末への伝搬路減衰(パスロス)を算出する。送信電力制御部323は、端末から基地局へ送信する上りリンクの信号の送信電力を制御する。データ送信処理部326は、基地局へ送信するデータを処理する。制御情報送信処理部327は、下りデータ復号結果(ACK/NACK)情報等の基地局へ送信する制御情報を処理する。データ受信処理部328は、制御情報送信処理部327、基地局から受信されるデータを処理する。制御情報受信処理部329は、端末のスケジューリング結果や上りデータ復号結果(ACK/NACK)情報等の基地局から受信される制御情報を処理する。
【0038】
図1のような基地局配置において、マクロセル基地局100に対するフェムトセル基地局200の設置場所によって、干渉による影響が異なる。まず、下りリンクでの干渉による影響について、図4および図5を用いて説明する。
【0039】
図4は、マクロセル基地局100の近傍にフェムトセル基地局200を設置した場合の配置である。図4を参照して、マクロセル中心付近にあるマクロセル端末400−1、マクロセル端付近にあるマクロセル端末400−2、フェムトセル端末300が受ける干渉の影響について説明する。
【0040】
図4において、マクロセル中心付近のマクロセル端末400−1は、フェムトセル基地局200から近い位置にある。このため、フェムトセル基地局200からの干渉電力は、比較的大きい。しかし、マクロセル端末400−1は、マクロセル基地局100の近傍にある。このため、マクロセル端末400−1は、マクロセル基地局100からの受信信号電力が十分大きく、通信品質を示す指標であるSINR(Signal-to-Interference and Noise Ratio)は大きく劣化しないと考えられる。
【0041】
マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、マクロセル基地局100から遠い位置にある。このため、マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、マクロセル基地局100からの受信信号電力は、比較的小さい。しかし、マクロセル端末400−2は、フェムトセル基地局200から遠い位置にある。このため、マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、フェムトセル基地局200からの干渉電力は小さく、SINRは大きく劣化しないと考えられる。
【0042】
フェムトセル端末300は、マクロセル基地局100から近い位置にある。このため、マクロセル基地局100からの干渉電力は、比較的大きい。しかし、フェムトセル端末300は、フェムトセル基地局200の近傍にもある。このため、フェムトセル基地局200からの受信信号電力が十分大きく、SINRは大きく劣化しないと考えられる。
【0043】
図5は、マクロセル端付近にフェムトセル基地局200を設置した場合の配置である。図5を参照して、マクロセル中心付近にあるマクロセル端末400−1、マクロセル端付近にあるマクロセル端末400−2、フェムトセル端末300が受ける干渉の影響について説明する。
【0044】
マクロセル中心付近のマクロセル端末400−1は、マクロセル基地局100の近傍にある。このため、マクロセル基地局100からの受信信号電力が十分大きい。また、マクロセル端末400−1は、フェムトセル基地局200から遠い位置にあるため、フェムトセル基地局200からの干渉電力は、比較的小さい。従って、SINRは大きく通信品質は良好であると考えられる。
【0045】
マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、マクロセル基地局100から遠い位置にある。このため、マクロセル基地局100からの受信信号電力は、比較的小さい。さらに、マクロセル端末400−2は、フェムトセル基地局200から近い位置にある。このため、フェムトセル基地局200からの干渉電力が大きい。従って、SINRが大きく劣化すると考えられる。
【0046】
フェムトセル端末300は、フェムトセル基地局200の近傍にある。このため、フェムトセル基地局200からの受信信号電力は、十分大きい。また、フェムトセル端末300は、マクロセル基地局100から遠い位置にあるため、マクロセル基地局100からの干渉電力は、比較的小さい。従って、SINRは大きく通信品質は良好であると考えられる。
【0047】
これらのことから、下りリンクでは、フェムトセル基地局からマクロセル端末への与干渉が、通信品質に大きく影響する。そこで、本実施例では、マクロセル端末への与干渉に応じて、フェムトセル基地局における、フェムトセル端末へ下りデータ送信を行なう際のスケジューリングモードを切替える。すなわち、フェムトセル基地局から、マクロセル端付近のマクロセル端末への与干渉が大きい場合、フェムトセル基地局は、下りリンクのスケジューリングモードとして、干渉抑制モードを選択する。また、フェムトセル基地局から、マクロセル端付近のマクロセル端末への与干渉が小さい場合、フェムトセル基地局は、下りリンクのスケジューリングモードとして、高レートモードを選択する。スケジューリングモードの詳細は、後述する。
【0048】
フェムトセル基地局において行なわれる、マクロセル端付近のマクロセル端末への与干渉が大きいか小さいかの判定は、マクロセル端末が測定した被干渉レベルを元に行なってもよい。すなわち、マクロセル端末が、測定したフェムトセル基地局からの干渉レベルを、フェムトセル基地局に報告し、フェムトセル基地局は、報告された干渉レベルの大小により、下りリンクのスケジューリングモードを決定する。
【0049】
しかしながら、上記のように、マクロセル端末がフェムトセル基地局に干渉レベルを報告するには、マクロセル端末がフェムトセル基地局に接続するか、もしくは、マクロセル端末がマクロセル基地局に干渉レベルを報告し、さらにマクロセル基地局からフェムトセル基地局に干渉レベルの情報を転送する必要がある。そこで、マクロセル端末からフェムトセル基地局へ、干渉レベルを報告することなく、フェムトセル基地局からマクロセル端末への干渉状況を判断する方式を、図6、図7、図8、図9、図10を用いて説明する。
【0050】
ここで、図6および図9は、下りリンクスケジューリングモードを決定するためのシーケンスを示している。一方、図7、図8、図10は、下りリンクスケジューリングモードを決定する処理を示している。
【0051】
図6を参照して、フェムトセル端末からフェムトセル基地局に報告される情報によって、フェムトセル基地局からマクロセル端末への干渉状況を判断する手順を説明する。図6において、マクロセル基地局100は、参照信号(RS:Reference Signal)を送信する(S601)。フェムトセル端末300は、無線I/F303を通じて受信した参照信号の電力レベル(RSRP:Reference Signal Received Power)を参照信号電力測定部321で算出する。または、フェムトセル端末300は、受信した参照信号の電力レベルと、マクロセル基地局100の参照信号の送信電力を用いて、パスロス算出部322において、マクロセル基地局100とフェムトセル端末300の間の、パスロスを算出する。次に、フェムトセル端末300は、RSRPまたはパスロスをフェムトセル基地局200に報告する(S602)。
【0052】
フェムトセル基地局200は、N台(N:1以上)のフェムトセル端末200から報告されたRSRPまたはパスロス情報を、干渉情報テーブル211に格納する。フェムトセル基地局200は、RSRPまたはパスロス情報を用いて、下りスケジューリングモード切替部222において、下りリンクのスケジューリングモードを判定する(S603)。その後、フェムトセル基地局200は、必要に応じて下りリンクにおけるデータ送信のためのコンフィグを行なう(S604)。フェムトセル基地局200は、下りリンクデータ送信のためのリソース割当て情報を下りスケジューリング情報としてフェムトセル端末300に送信する(S605)。フェムトセル基地局200は、下りデータをフェムトセル端末300に送信する(S606)。
【0053】
図7を参照して、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222において行なわれる、下りスケジューリングモード判定処理603を、RSRPに基づいて行なう場合のフローを説明する。図7において、まずRSRPが予め定められた閾値以上となる端末数Mをカウントするため、下りスケジューリングモード切替部222は、端末数Mを初期化する(S701)。RSRPが閾値ThRsrpDL以上となる端末がある場合(S702のYES)、下りスケジューリングモード切替部222は、端末数Mを1加算する(S703)。ステップ702およびステップ703の処理は、RSRPを報告したフェムトセル端末数Nについて行なう。
【0054】
その後、RSRPが閾値ThRsrpDL以上となる端末の割合M/Nが、予め定められた閾値ThHighRate以上となる場合(S704のYES)、下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして高レートモードを選択する(S705)。
【0055】
一方、M/Nが閾値ThHighRate未満となる場合(S704のNO)、下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択する(S706)。
【0056】
図8を参照して、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222において行なわれる、下りスケジューリングモード判定処理603を、パスロスに基づいて行なう場合のフローを説明する。図8において、まずパスロスが予め定められた閾値以上となる端末数Mをカウントするため、下りスケジューリングモード切替部222は、端末数Mを初期化する(S801)。パスロスが閾値ThPathLossDL未満となる端末がある場合(S802のYES)、下りスケジューリングモード切替部222は、端末数Mを1加算する(S803)。ステップ802およびステップ803の処理は、パスロスを報告したフェムトセル端末数Nについて行なう。
【0057】
その後、パスロスが閾値ThPathLossDL未満となる端末の割合M/Nが、予め定められた閾値ThHighRate以上となる場合(S804のYES)、下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして高レートモードを選択する(S805)。
【0058】
一方、M/Nが閾値ThHighRate未満となる場合(S804のNO)、下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択する(S806)。
【0059】
図6、図7、図8では、単一のマクロセル基地局についてのRSRPまたはパスロスに基づいて下りスケジューリングモードを判定している。しかし、複数のマクロセル基地局についてのRSRPまたはパスロスに基づいて判定を行なってもよい。
【0060】
図6、図7、図8では、フェムトセル端末300がRSRPまたはパスロスの測定を行なっているが、フェムトセル基地局200が下りリンクの受信機能およびRSRPまたはパスロス測定を行ってもよい
図7では、マクロセルについてのRSRPを用いて下りスケジューリングモードを選択しているが、フェムトセルについてのRSRPに対する、マクロセルについてのRSRPの相対値を選択基準として用いてもよい。
図8では、フェムトセル端末300がフェムトセル基地局200に報告したパスロスに基づいて下りスケジューリングモードを判定しているが、フェムトセル基地局200が、フェムトセル端末300から報告されたRSRPと、マクロセル基地局100の参照信号の送信電力を用いて算出した、パスロスを用いてもよい。
【0061】
図9を参照して、フェムトセル基地局が測定する上り干渉情報によって、フェムトセル基地局からマクロセル端末への干渉状況を判断する手順を説明する。図9において、マクロセル端末400は、マクロセル基地局100への上り送信を行なっている(S901)。マクロセル端末400による上り送信は、干渉としてフェムトセル基地局200で受信される。フェムトセル基地局200は、干渉測定部221において、複数のマクロセル端末400からの干渉電力レベルを、使用周波数帯域を複数のブロックに分割した、周波数ブロック毎に、算出する。ここで、周波数ブロックは、E−UTRAにおける周波数リソース割当ての最小単位である、RB(Resource Block)とすることが望ましい。
【0062】
フェムトセル基地局200は、算出したマクロセル端末400からの干渉電力レベルを用いて、下りスケジューリングモード切替部222において、下りリンクのスケジューリングモードを判定する(S902)。その後、フェムトセル基地局200は、必要に応じて下りリンクにおけるデータ送信のためのコンフィグを行なう(S903)。フェムトセル基地局200は、下りリンクデータ送信のためのリソース割当て情報を下りスケジューリング情報としてフェムトセル端末300に送信する(S904)。フェムトセル基地局200は、下りデータをフェムトセル端末300に送信する(S905)。
【0063】
図10を参照して、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222が実施する下りスケジューリングモード判定処理902を、マクロセル端末400からの上り干渉電力レベルに基づいて行なう場合のフローを説明する。図10において、上り干渉電力レベルが予め定められた閾値ThPwrHighRate以上となる周波数ブロックがない場合(S101のNO)、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして高レートモードを選択する(S102)。
【0064】
一方、M/Nが閾値ThHighRate未満となる場合(S101のYES)、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択する(S103)。
【0065】
図6から図10で説明した下りスケジューリングモードの判定は、フェムトセル基地局200の設置時に行なってもよいし、定期的に行なってもよい。
下りスケジューリングモードの判定の際、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択したとしても、フェムトセル基地局200の近辺にマクロセル端末400が存在しない場合や、フェムトセル基地局200の近辺に存在したマクロセル端末400が遠方に移動してしまった場合は、フェムトセル基地局200からマクロセル端末400への干渉が問題とならなくなる。このような場合は、図11に従い、高レートモードを選択(再判定)してもよい。
【0066】
図11を参照して、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222が実施する下りスケジューリングモードの再判定処理を、マクロセル端末400からの上り干渉電力レベルに基づいて行なう場合のフローを説明する。図11において、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択している場合(S111のYES)、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、干渉測定部221から、周波数ブロックごとの上り干渉電力レベルを取得する(S112)。その後、全ての周波数ブロックにおいて上り干渉電力レベルが予め定められた閾値ThULInterfereDL未満となる場合(S113のYES)、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル基地局200の近辺にマクロセル端末400が存在しないと判断する。フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして高レートモードを選択し(S114)、再判定処理を終了する。ステップ111またはステップ113でNOのとき、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、再判定処理を終了して、干渉緩和モードを継続する。
【0067】
図11のような下りスケジューリングモードの再判定処理は、図7、図8、図10のような下りスケジューリングモード判定処理に引き続いて行なってもよいし、定期的に行なってもよい。
下りスケジューリングモードの詳細について、図12から図20を用いて説明する。
【実施例1】
【0068】
下りスケジューリングモードを使い分ける実施例1を、図12から図15を用いて説明する。実施例1では、高レートモードでは、下りリンクの通信リソースとして、周波数方向に連続した周波数リソースを割当てることにより、周波数選択性ゲインによるレート向上を図る。また、干渉緩和モードでは、下りリンクの通信リソースとして、周波数方向に分散した周波数リソースを割当てることにより、フェムトセル基地局200からマクロセル端末400への干渉の影響の分散化を行なう。フェムトセル端末300への下りデータ送信に使用する周波数リソースの割当ては、下りスケジューリングモード切替部222が決定した下りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の下りリンクスケジューラ223で行なわれる。
【0069】
以下では、E−UTRAで規定されるResource Allocation(RA) Typeを使用した、高レートモード、干渉緩和モードそれぞれにおける周波数リソース割当て方法について説明する。RA Typeや、割当てた周波数リソースは、下りスケジューリング情報として、図6のシーケンス605や図9のシーケンス904において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図6のシーケンス606や図9のシーケンス905の下りデータ送信は、フェムトセル端末300に通知する下りスケジューリング情報に従って行なう。
【0070】
図12を参照して、高レートモードにおいて使用するRA Type2−Localizedを使用した周波数リソース割当てを説明する。図12において、横軸は周波数であり、全幅が周波数帯域である。E−UTRAでは、図12のように、周波数帯域は、RBと呼ばれる周波数リソースの最小単位に分割される。RA Type2−Localizedでは、端末に、1つのRBまたは連続する複数のRBを割当てる。ここでは、端末#1に12RB、端末#2に6RB、端末#3に9RB割当てている。RA Type2−Localizedを使用して、無線伝搬路品質のよいサブ帯域で集中的にRBを割当てることにより、周波数選択性ゲインが得られ、通信品質が向上する。
【0071】
図13を参照して、高レートモードにおいて使用するRA Type0を使用した周波数リソース割当てを説明する。E−UTRAでは、図13のように、連続する複数のRBは、RBG(Resource Block Group)を構成する。RA Type0では、端末に、RBG単位で周波数リソースを割当てる。RA Type0では、図13の端末#1や端末#2のように、連続するRBGを割当ててもよいし、端末#3のように、連続しないRBGを割当ててもよい。RA Type0を使用して、無線伝搬路品質のよいサブ帯域で集中的にRBを割当てることにより、周波数選択性ゲインが得られ、通信品質が向上する。
【0072】
図14を参照して、干渉緩和モードにおいて使用する、RA Type1を使用した周波数リソース割当てを説明する。E−UTRAでは、図14のように、連続しない複数のRBGは、RBG Subsetを構成する。図14では、3つのRBG Subsetが存在している。RA Type1では、いずれか1つのRBG Subset内において、端末に、RB単位で周波数リソースを割当てる。ここでは、端末#1はSubset0が、端末#2はSubset2が割当てられている。図14では、同一のRBGからRBを選択することにより、最大3個連続したRBを割当てることができる。しかし、与干渉の影響を分散するためには、できるだけ異なるRBGからRBを選択して、非連続のRBを割当てることが望ましい。このように、RA Type1を使用して、分散したRBを割当てることにより、RB毎に干渉の影響を受けるマクロセル端末400が異なることが期待できる。このとき、フェムトセル基地局200が与える干渉の影響が分散した結果、マクロセル端末400における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【0073】
図15を参照して、干渉緩和モードにおいて使用するRA Type2−Distributedを使用した周波数リソース割当てを説明する。図15(a)は、論理領域の周波数リソースである。図15(b)は、物理領域の周波数リソースであり、横軸は周波数である。RA Type2−Distributedでは、周波数リソースの指定は、論理領域において行なう。論理領域におけるリソース割当ては、図15のように行なわれ、RA Type2−Localizedにおけるリソース割当て同様である。論理RBは、データ送信で使用する物理RBに、予め定められたパーミュテーションパターンを用いてマッピングされる。論理RBから物理RBへのマッピングでは、図15のように、連続する論理RBが、連続しない物理RBへマッピングされる。このように、RA Type2−Distributedでは、連続する論理RBを割当てることにより、周波数領域で分散した物理RBを割当てることができ、RB毎に干渉の影響を受けるマクロセル端末400が異なることが期待される。このとき、フェムトセル基地局200が与える干渉の影響が分散した結果、マクロセル端末400における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【実施例2】
【0074】
下りスケジューリングモードを使い分ける実施例2を、図16および図17を用いて説明する。実施例2では、高レートモードでは、下りリンクの通信リソースとして割当てる周波数リソースを、周波数ホッピングさせないことにより、周波数選択性ゲインによるレート向上を図る。また、干渉緩和モードでは、下りリンクの通信リソースとして割当てる周波数リソースを、周波数ホッピングさせることにより、フェムトセル基地局200からマクロセル端末400への干渉の影響の分散化を行なう。
【0075】
以下では、周波数ホッピングは、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)送信の単位で行なうことを仮定する。フェムトセル端末300への下りデータ送信に使用するHARQ送信用周波数リソースの割当ては、下りスケジューリングモード切替部222が決定した下りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の下りリンクスケジューラ223で行なわれる。割当てた周波数リソースは、下りスケジューリング情報として、図6のシーケンス605や図9のシーケンス904において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図6のシーケンス606や図9のシーケンス905の下りデータ送信は、フェムトセル端末300に通知する下りスケジューリング情報に従って行なう。
【0076】
図16を参照して、高レートモードにおいて使用する周波数ホッピングを適用しない周波数リソース割当てを説明する。図16において、左端の数字nは、HARQ送信n回目を表す。また、図16の横軸は、周波数である。図16で、端末#1に割当てられたRBは、HARQ送信1回目とそれ以降で同一である。このように、周波数ホッピングを行なわない場合は、HARQ再送の際に、毎回無線伝搬路品質のよいサブ帯域でRBを割当てることにより、周波数選択性ゲインが得られ、通信品質が向上する。なお、図16では、HARQ送信毎に同一のRBを割当てているが、必ずしも全く同一のRBを割当てる必要はなく、同一のサブ帯域内で割当てれば十分である。
【0077】
図17を参照して、干渉緩和モードにおいて使用する周波数ホッピングを適用する周波数リソース割当てを説明する。図17において、左端の数字nは、HARQ送信n回目を表す。また、図17の横軸は、周波数である。図17で、端末#1に割当てられたRBは、HARQ送信毎((1)(2)(3)(4))に、異なる。このように、周波数ホッピングを行なう場合は、HARQ再送毎に、干渉の影響を受けるマクロセル端末400が異なることが期待される。このとき、フェムトセル基地局200が与える干渉の影響が分散した結果、マクロセル端末400における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【実施例3】
【0078】
下りスケジューリングモードを使い分ける実施例3を、図18から図20を用いて説明する。実施例3では、高レートモードでは、高い電力スペクトル密度を使用して下りデータ送信を行なうことで、フェムトセル端末300における受信SINRを改善し、レート向上を図る。また、干渉緩和モードでは、低い電力スペクトル密度を使用して下りデータ送信を行なうことで、フェムトセル基地局200が与えるマクロセル端末400の受信干渉電力密度の低減を図る。フェムトセル端末300への下りデータ送信に使用する電力スペクトル密度は、フェムトセル基地局200の下りスケジューリングモード切替部222が決定した下りスケジューリングモードに従い、制御情報送信処理部227で行なわれる。
【0079】
電力スペクトル密度情報は、送信モードのコンフィグとして、図6のシーケンス604や図9のシーケンス903において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図6のシーケンス606や図9のシーケンス905の下りデータ送信は、上記でフェムトセル端末300に通知する電力密度スペクトル密度に従って行なう。
【0080】
図18を参照して、高レートモードにおいて、高い電力スペクトル密度PwrDensityHighDLを使用した送信電力スペクトル密度と、あるフェムトセル端末300に対する割当て周波数リソースを説明する。フェムトセル基地局200が、高い送信電力スペクトル密度を使用して下りデータ送信を行なうことで、フェムトセル端末300における受信SINRが改善するため、通信品質は向上する。
【0081】
図19を参照して、干渉緩和モードにおいて、低い電力スペクトル密度PwrDensityLowDLを使用した送信電力スペクトル密度と、あるフェムトセル端末300に対する割当て周波数リソースを説明する。ここで、PwrDensityLowDLはPwrDensityHighDL未満とする。フェムトセル基地局200が、低い送信電力スペクトル密度を使用して下りデータ送信を行なうことで、マクロセル端末400におけるフェムトセル基地局200からの受信干渉レベルが低下する。このため、マクロセル端末400における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【0082】
図20を参照して、E−UTRAの下りデータ送信に使用できるMCS(Modulation and Coding Scheme)テーブルを説明する。図20において、下りMCSテーブル214/314は、MCS Index 2141、サブキャリア変調方式2142から成る。さらに、E−UTRAでは、MCSと割当てRB数に応じてPHYパケットサイズが決められており、誤り訂正符号の符号化率が算出できる。図20に記載した符号化率2143は、おおよその値である。
【0083】
フェムトセル基地局200の下りスケジューラ223は、下りMCSテーブル214からMCSを選択する。下りスケジューラ223は、選択したMCSのMCS Indexを、下りスケジューリング情報テーブル212に格納する。フェムトセル基地局200は、下りスケジューリング情報をフェムトセル端末300に送信する。フェムトセル端末300は、下りスケジューリング情報のMCS Indexと下りMCSテーブル314を参照し、データを受信する。
【0084】
上述のように、高レートモードでは、フェムトセル端末300における受信SINRが向上する。このため、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300への下りデータ送信には、高いMCSを選択する。
【0085】
一方、干渉緩和モードでは、低い送信電力スペクトル密度を使用してフェムトセル基地局200が下りデータ送信を行なうことにより、フェムトセル端末300における受信SINRが低下する。干渉緩和モードでは、フェムトセル基地局200は、低いMCSを選択することにより、復号成功の確率を向上することができる。
【0086】
下りデータ送信に使用するMCSは、下りスケジューリング情報として、図6のシーケンス605および図9のシーケンス904において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。
【0087】
しかしながら、低いMCSを選択すると、PHYパケットサイズは小さくなるため、データレートが低下してしまう。データレートを維持したい場合は、フェムトセル端末300への割当てRB数を増やせばよい。割当てRB数を増やすことによって、低いMCSを選択しても、PHYパケットサイズが小さくなるのを防ぐことができ、データレートの低下を防止することができる。このとき、図19の割当て周波数リソース幅(RB数)は、図18の割当て周波数リソース幅(RB数)より大きくなる。
【0088】
また、高レートモードでは、フェムトセル端末300における受信SINRが向上するため、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300への下りデータ送信には、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)による空間多重(SM:Spatial Multiplexing)を行なうことにより、データレート向上を図ってもよい。
【0089】
一方、干渉緩和モードでは、フェムトセル端末300における受信SINRが劣化する。このため、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300への下りデータ送信には、STBC(Space-Time Block Code)などによる送信ダイバーシチを行なうことにより、通信品質向上を図ってもよい。
なお、実施例1から実施例3は、互いに排他的ではなく、複数の実施例を組み合わせて使用することが可能である。
【0090】
次に、上りリンクでの干渉による影響について、再び図4および図5を用いて説明する。図4を参照して、マクロセル基地局100、フェムトセル基地局200が受ける上りリンクの干渉の影響について説明する。なお、以下では、上りリンクの送信電力制御方針として、マクロセル基地局100における、マクロセル端末400からの受信信号の電力スペクトル密度が、マクロセル端末400間で一定となるように制御することを仮定する。また、フェムトセルでは、周囲のマクロセル端末400からの受信干渉の電力スペクトル密度に応じた上りリンクの送信電力設定を行なうものとする。周囲のマクロセル端末400がフェムトセル基地局200に与える干渉の受信電力スペクトル密度が大きい場合は、フェムトセル基地局200において一定の通信品質(受信SINR)を確保するため、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度を大きくする。あるいは、周囲のマクロセル端末400がフェムトセル基地局200に与える干渉の受信電力スペクトル密度が小さい場合は、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度を小さくする。
【0091】
図4において、上記の上り送信電力制御方針に従うと、マクロセル基地局100における、マクロセル端末からの受信信号の電力スペクトル密度は、マクロセル端末の位置(400−1、400−2)によらず、一定となる。また、フェムトセルがマクロセル基地局100の近傍にあることから、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度は、比較的小さくなる。また、フェムトセルにおける通信範囲が十分小さい場合、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度は、使用する周波数帯域内で、変動が小さい。これらのことから、マクロセル基地局100において、使用する周波数帯域内での受信SINRの変動は小さいと考えられる。
【0092】
図4において、フェムトセル基地局200における、フェムトセル端末300からの受信信号の電力スペクトル密度は、使用する周波数帯域内で、変動が小さい。また、フェムトセル基地局200における、マクロセル端末からの受信干渉の電力スペクトル密度は、フェムトセル基地局200がマクロセル基地局100の近傍にあることから、マクロセル端末の位置(400−1、400−2)によらず、一定となる。これらのことから、フェムトセル基地局200において、使用する周波数帯域内での受信SINRの変動は小さいと考えられる。
【0093】
図5を参照して、マクロセル基地局100、フェムトセル基地局200が受ける上りリンクの干渉の影響について説明する。図5において、上記の上り送信電力制御方針に従うと、マクロセル基地局100における、マクロセル端末からの受信信号の電力スペクトル密度は、図4の場合と同様に、マクロセル端末の位置(400−1、400−2)によらず、一定となる。また、フェムトセルがマクロセル基地局100から遠方にあり、送信電力スペクトル密度の高いマクロセル端末400−2の近傍にあることから、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度は、比較的大きくする必要がある。ただし、フェムトセル端末300とマクロセル基地局100の間の伝搬路減衰が大きいため、マクロセル基地局100における受信干渉は、図4とそれほど変わらないと考えられる。また、フェムトセルにおける通信範囲が十分小さい場合、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度は、使用する周波数帯域内で、変動が小さい。これらのことから、マクロセル基地局100において、使用する周波数帯域内での受信SINRの変動は小さいと考えられる。
【0094】
図5において、フェムトセル基地局200における、フェムトセル端末300からの受信信号の電力スペクトル密度は、使用する周波数帯域内で、変動が小さい。また、フェムトセル基地局200における、マクロセル端末からの受信干渉の電力スペクトル密度は、干渉源となるマクロセル端末によって異なる。マクロセル中心付近のマクロセル端末400−1は、送信電力スペクトル密度が小さく、フェムトセル基地局200までの伝搬路減衰が大きいため、フェムトセル基地局200が受信する干渉の電力スペクトル密度は小さくなる。一方、マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、送信電力スペクトル密度が大きく、フェムトセル基地局200までの伝搬路減衰が小さいため、フェムトセル基地局200が受信する干渉の電力スペクトル密度は大きくなる。これらのことから、フェムトセル基地局200において、使用する周波数帯域内での受信SINRの変動は大きくなり、特に、マクロセル端付近の端末400−2による干渉の影響が大きいと考えられる。
【0095】
これらのことから、上りリンクでは、フェムトセル基地局がマクロセル端末から受ける被干渉が、通信品質に大きく影響する。そこで、以下の実施例では、マクロセル端末からの被干渉に応じて、フェムトセル基地局における、フェムトセル端末からの上りデータ送信を行なう際のスケジューリングモードを切替える。すなわち、フェムトセル基地局がマクロセル端末から受ける被干渉が大きい場合、フェムトセル基地局は、上りリンクのスケジューリングモードとして、周波数ダイバーシチモードを選択する。また、フェムトセル基地局がマクロセル端末から受ける被干渉が小さい場合、フェムトセル基地局は、上りリンクのスケジューリングモードとして、時間ダイバーシチモードを選択する。スケジューリングモードの詳細は、後述する。
【0096】
フェムトセル基地局において行なわれる、マクロセル端末からの被干渉状況を判断し、上りスケジューリングモードを決定する方式を、図21、図22、図23、図24、図25を用いて説明する。
【0097】
図21および図24は、上りリンクスケジューリングモードを決定するためのシーケンスを示しており、図22、図23、図25は、上りリンクスケジューリングモードを決定する処理を示している。
【0098】
図21を参照して、フェムトセル端末からフェムトセル基地局に報告される情報によって、マクロセル端末からフェムトセル基地局への干渉状況を判断する方式の手順を説明する。図21において、マクロセル基地局100は、参照信号(RS)を送信する(S121)。フェムトセル端末300は、無線I/F303を通じて受信した参照信号の電力レベル(RSRP)を参照信号電力測定部321で算出する。あるいは、フェムトセル端末300は、受信した参照信号の電力レベルと、マクロセル基地局100の参照信号の送信電力を用いて、パスロス算出部322において、マクロセル基地局100とフェムトセル端末300の間の、パスロスを算出する。次に、フェムトセル端末300は、RSRPまたはパスロスをフェムトセル基地局200に報告する(S122)。
【0099】
フェムトセル基地局200は、1つまたは複数のフェムトセル端末300から報告されたRSRPまたはパスロス情報を、干渉情報テーブル211に格納する。フェムトセル基地局200は、RSRPまたはパスロス情報を用いて、上りスケジューリングモード切替部224において、上りリンクのスケジューリングモードを判定する(S123)。その後、フェムトセル基地局200は、必要に応じて上りリンクにおけるデータ送信のためのコンフィグを行ない(S124)、上りリンクデータ送信のためのリソース割当て情報を上りスケジューリング情報としてフェムトセル端末300に送信する(S125)。フェムトセル端末300は、上りデータをフェムトセル基地局200に送信する(S126)。
【0100】
図22を参照して、フェムトセル基地局の上りスケジューリングモード切替部224において行なわれる、上りスケジューリングモード判定処理S123を、RSRPに基づいて行なう場合のフローを説明する。図22において、まずRSRPが予め定められた閾値以上となる端末数Mをカウントするため、フェムトセル基地局200は、端末数Mを初期化する(S131)。RSRPが閾値ThRsrpUL以上となる端末がある場合(S132のYES)、フェムトセル基地局200は、端末数Mを1加算する(S133)。ステップ132およびステップ133の処理は、RSRPを報告したフェムトセル端末数Nについて行なう。
【0101】
その後、RSRPが閾値ThRsrpUL以上となる端末の割合M/Nが、予め定められた閾値ThFreqDiv以上となる場合(S134のYES)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして周波数ダイバーシチモードを選択する(S135)。M/Nが閾値ThHighRate未満となる場合(S134のNO)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択する(S136)。
【0102】
図23を参照して、フェムトセル基地局の上りスケジューリングモード切替部224において行なわれる、上りスケジューリングモード判定処理S123を、マクロセル基地局100とフェムトセル端末300の間のパスロスに基づいて行なう場合のフローを説明する。図23において、まずRSRPが予め定められた閾値以上となる端末数Mをカウントするため、フェムトセル基地局200は、端末数Mを初期化する(S141)。パスロスが閾値ThPathLossUL未満となる端末がある場合(S142のYES)、フェムトセル基地局200は、端末数Mを1加算する(S143)。ステップ142およびステップ143の処理は、パスロスを報告したフェムトセル端末数Nについて行なう。その後、RSRPが閾値ThPathLossUL未満となる端末の割合M/Nが、予め定められた閾値ThFreqDiv以上となる場合(S144のYES)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして周波数ダイバーシチモードを選択する(S145)。M/Nが閾値ThFreqDiv未満となる場合(S144のNO)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択する(S146)。
【0103】
図21、図22、図23では、単一のマクロセル基地局についてのRSRPまたはパスロスに基づいて上りスケジューリングモードを判定しているが、複数のマクロセル基地局についてのRSRPまたはパスロスに基づいて判定を行なってもよい。
【0104】
図21、図22、図23では、フェムトセル端末300がRSRPまたはパスロスの測定を行なっているが、フェムトセル基地局200が下りリンクの受信機能およびRSRPまたはパスロス測定を行ってもよい
図22では、マクロセルについてのRSRPを用いて下りスケジューリングモードを選択しているが、フェムトセルについてのRSRPに対する、マクロセルについてのRSRPの相対値を選択基準として用いてもよい。
【0105】
図23では、フェムトセル端末300がフェムトセル基地局200に報告したパスロスに基づいて上りスケジューリングモードを判定している。しかし、フェムトセル基地局200が、フェムトセル端末300から報告されたRSRPと、マクロセル基地局100の参照信号の送信電力を用いて算出した、パスロスを用いてもよい。
【0106】
図24を参照して、フェムトセル基地局が測定する上り干渉情報によって、マクロセル端末からフェムトセル基地局への干渉状況を判断する手順を説明する。図24において、マクロセル端末400は、マクロセル基地局100への上り送信を行なっている。マクロセル端末400による上り送信は、干渉としてフェムトセル基地局200で受信される(S151)。フェムトセル基地局200は、干渉測定部221において、複数のマクロセル端末400からの干渉電力レベルを、使用周波数帯域を複数のブロックに分割した、周波数ブロック毎に、算出する。ここで、周波数ブロックは、E−UTRAにおける周波数リソース割当ての最小単位である、RBとすることが望ましい。フェムトセル基地局200は、算出したマクロセル端末400からの干渉電力レベルを用いて、上りスケジューリングモード切替部224において、上りリンクのスケジューリングモードを判定する(S152)。その後、フェムトセル基地局200は、必要に応じて上りリンクにおけるデータ送信のためのコンフィグを行なう(S153)。フェムトセル基地局200は、上りリンクデータ送信のためのリソース割当て情報を上りスケジューリング情報としてフェムトセル端末300に送信する(S154)。フェムトセル端末300は、上りデータをフェムトセル基地局200に送信する(S155)。
【0107】
図25を参照して、フェムトセル基地局の上りスケジューリングモード切替部224において行なわれる、上りスケジューリングモード判定処理S152を、マクロセル端末400からの上り干渉電力レベルに基づいて行なう場合のフローを説明する。図25において、上り干渉電力レベルが予め定められた閾値ThPwrFreqDiv以上となる周波数ブロックがない場合(S161のNO)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして周波数ダイバーシチモードを選択する(S162)。
【0108】
M/Nが閾値ThFreqDiv未満となる場合(S161のYES)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択する(S163)。
【0109】
図25では、周波数ブロックごとの上り干渉電力に基づいて、上りスケジューリングモードを選択していたが、上り干渉電力の周波数ブロック間での差分を選択基準として用いてもよい。例えば、任意の周波数ブロック間の、上り干渉電力差が、予め定められた閾値以上であれば、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択し、そうでなければ、周波数ダイバーシチモードを選択する。
【0110】
図21から図25で説明した上りスケジューリングモードの判定は、フェムトセル基地局200の設置時に行なってもよいし、定期的に行なってもよい。
【0111】
上りスケジューリングモードの判定の際、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択したとしても、フェムトセル基地局200の近辺にマクロセル端末400が存在しない場合、フェムトセル基地局200の近辺に存在したマクロセル端末400が遠方に移動してしまった場合は、マクロセル端末400からフェムトセル基地局200への干渉が問題とならなくなる。このような場合は、図26に従い、周波数ダイバーシチモードを選択(再判定)してもよい。
【0112】
図26を参照して、フェムトセル基地局の上りスケジューリングモード切替部224において行なわれる、上りスケジューリングモードの再判定処理を、マクロセル端末400からの上り干渉電力レベルに基づいて行なう場合のフローを説明する。図26において、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択している場合(S171のYES)、フェムトセル基地局200は、干渉測定部221から、周波数ブロックごとの上り干渉電力レベルを取得する(S172)。その後、全ての周波数ブロックにおいて上り干渉電力レベルが予め定められた閾値ThULInterfereUL未満となる場合(S173のYES)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル基地局200の近辺にマクロセル端末400が存在しないと判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして周波数ダイバーシチモードを選択して(S174)、再判定処理を終了する。ステップ171またはステップ173でNOのとき、フェムトセル基地局200は、再判定処理を終了する。
【0113】
図26のような上りスケジューリングモードの再判定処理は、図22、図23、図25のような上りスケジューリングモード判定処理に引き続いて行なってもよいし、定期的に行なってもよい。
上りスケジューリングモードの詳細について、図27から図30を用いて説明する。
【実施例4】
【0114】
上りスケジューリングモードを使い分ける実施例4を、図27から図29を用いて説明する。実施例4では、周波数ダイバーシチモードでは、図4のようにフェムトセル近傍に、送信電力スペクトル密度の低いマクロセル端末400−1が存在することを想定し、低い電力スペクトル密度を使用してフェムトセル端末300の上りデータ送信を行なう。また、時間ダイバーシチモードでは、図5のようにフェムトセルからマクロセル基地局100までの伝搬路減衰が大きいことを想定し、高い電力スペクトル密度を使用してフェムトセル端末300の上りデータ送信を行なう。フェムトセル端末300の上りデータ送信に使用する電力スペクトル密度は、フェムトセル基地局200の上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、上りリンク送信電力制御部230で決定され、制御情報送信処理部227に渡される。
【0115】
電力スペクトル密度情報は、送信電力オフセットといった、送信モードのコンフィグとして、図21のステップ124または図24のステップ153において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。または、電力スペクトル密度情報は、送信電力コマンドといった、スケジューリング情報として、図21のステップ125または図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126や図24のステップ155の上りデータ送信は、上記でフェムトセル端末300に通知される電力密度スペクトル密度情報を利用して、送信電力制御部323で決定した送信電力を使用して行なう。
【0116】
図27を参照して、周波数ダイバーシチモードにおいて、低い電力スペクトル密度PwrDensityLowULを使用した目標受信電力スペクトル密度と、あるフェムトセル端末300に対する割当て周波数リソースを説明する。図27において、周波数ダイバーシチモードは、電力スペクトル密度を下げ、さらに、周波数リソースの幅(割当てRB数)を広げ、MCSを下げる(64QAMからQPSK方向)。
【0117】
図28を参照して、時間ダイバーシチモードにおいて、高い電力スペクトル密度PwrDensityHighULを使用した目標受信電力スペクトル密度と、あるフェムトセル端末300に対する割当て周波数リソースを説明する。ただし、PwrDensityHighULはPwrDensityLowUL以上とする。図28において、時間ダイバーシチモードは、電力密度を上げ、周波数リソースの幅(割当てRB数)を狭くし、MCSを上げる。
【0118】
図29を参照して、E−UTRAの上りデータ送信に使用できるMCSを説明する。図29において、上りMCSテーブル215/315は、MCS Index 2151、サブキャリア変調方式2152から成る。さらに、E−UTRAでは、MCSと割当てRB数に応じてPHYパケットサイズが決められており、誤り訂正符号の符号化率が算出できる。図29に記載した符号化率2153は、おおよその値である。
【0119】
フェムトセル基地局200の上りスケジューラ225は、上りMCSテーブル215からMCSを選択する。上りスケジューラ225は、選択したMCSのMCS Indexを、上りスケジューリング情報テーブル213に格納する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリング情報をフェムトセル端末300に送信する。フェムトセル端末300は、上りスケジューリング情報のMCSIndexと上りMCSテーブル315を参照し、上りデータを送信する。
【0120】
上りデータ送信に使用するMCSは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125または図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。
【0121】
図27で説明したように、周波数ダイバーシチモードでは、目標受信電力スペクトル密度が低い。このため、上りデータの復号成功の確率を向上するため、低いMCSを選択してもよい。しかしながら、低いMCSを選択すると、PHYパケットサイズは小さくなるため、データレートが低下してしまう。データレートを維持したい場合は、フェムトセル端末300への割当てRB数を増やせばよい。割当てRB数を増やすことによって、低いMCSを選択しても、PHYパケットサイズが小さくなるのを防ぐことができ、データレートの低下を防止することができる。
【0122】
一方、図28で説明したように、時間ダイバーシチモードでは、目標受信電力スペクトル密度が高い。このため、周波数ダイバーシチモードと異なり、高いMCSを選択してもよい。高いMCSを選択する場合は、RB当たり送信データサイズは低いMCSを使用する場合に比べて大きいから、割当てるRB数を減らしてもよい。このとき、図28の割当て周波数リソース幅(RB数)は、図27の割当て周波数リソース幅(RB数)より大きくなる。すでに説明したように、時間ダイバーシチモードを選択する場合は、図5のようなフェムトセル配置を想定しており、フェムトセル基地局200における受信SINRが周波数領域で変動する。従って、時間ダイバーシチモードでは、伝搬路状況のよいサブ帯域のRBを集中的に割当てることによって、フェムトセル近傍に存在するマクロセル端末400−2からの干渉を回避しつつ、周波数選択性ゲインを得ることができる。
【0123】
フェムトセル端末300への上りデータ送信に使用するMCSは、上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の上りリンクスケジューラ225で決定される。決定したMCSは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125または図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126および図24のステップ155の上りデータ送信は、上記でフェムトセル端末300に通知される上りスケジューリング情報に従って行なわれる。
【実施例5】
【0124】
上りスケジューリングモードを使い分ける実施例5を、図30を用いて説明する。実施例5では、周波数ダイバーシチモードでは、HARQ送信回数を少なくし、時間ダイバーシチモードでは、HARQ送信回数を多くする。
【0125】
図30を参照して、E−UTRAの上りデータ送信におけるHARQ送信を説明する。図30において、Subframe2において、端末は、1回目のHARQ送信を行ない、Subframe10において、端末300は、2回目のHARQ送信を行なう。Subframe18において、端末300は、3回目のHARQ送信を行ない、Subframe26において、端末300は、4回目のHARQ送信を行なう。すなわち、図30では、8 Subframeおきに端末300は、HARQ送信を行なう。ただし、端末300がフェムトセル基地局200からACK応答を受信すると、端末300は、以降のHARQ送信を中止する。
【0126】
周波数ダイバーシチモードを選択する場合は、図4のようなフェムトセル配置を想定しており、フェムトセル基地局200における受信SINRの変動が小さい。このような環境では、HARQ送信回数を増やすことによって得られる時間ダイバーシチの効果が小さいと考えられるため、HARQ送信回数を少なくすることにより、上りデータ送信開始から、復号成功までの時間遅延を抑制する。
【0127】
HARQ送信回数を少なくするには、低いMCSを選択すればよい。なぜならば、低いMCSを選択した場合、復号成功に必要な所要SINRが小さくなるため、受信電力スペクトル密度を一定として比較した場合、高いMCSを選択した場合に比べて、各HARQ送信における復号成功確率が高くなるためである。
【0128】
具体的には、周波数ダイバーシチモードでは、HARQ送信1回目(図30のSubframe2)で所定(例えば1%)のPER(Packet Error Rate)を達成するような、MCSを選択すればよい。
【0129】
一方、時間ダイバーシチモードを選択する場合は、図4のようなフェムトセル配置を想定しており、フェムトセル基地局200における受信SINRが変動する。このような環境では、HARQ送信回数を増やすことにより、時間ダイバーシチの効果が得られる。これにより、受信SINRが変動する環境でも、HARQによりその変動を吸収し、安定したデータ送信を実現できる。
【0130】
HARQ送信回数を増やすには、高いMCSを選択すればよい。なぜならば、高いMCSを選択した場合、復号成功に必要な所要SINRが大きくなるため、受信電力スペクトル密度を一定として比較した場合、低いMCSを選択した場合に比べて、各HARQ送信における復号成功確率が低くなるためである。具体的には、時間ダイバーシチモードでは、HARQ送信4回目(図30のSubframe26)で所定(例えば1%)のPERを達成するような、MCSを選択すればよい。
【0131】
フェムトセル端末300への上りデータ送信に使用するMCSは、上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の上りリンクスケジューラ225で決定される。決定したMCSは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125や図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126や図24のステップ155の上りデータ送信は、フェムトセル端末300に通知された上りスケジューリング情報に従って行なわれる。
【実施例6】
【0132】
上りスケジューリングモードを使い分ける実施例6を、図16および図17を用いて説明する。なお、図17および図16は、下りリンクの周波数ホッピング有無を説明する図であるが、ここでは、上り信号として、読み替える。
【0133】
実施例6では、時間ダイバーシチモードでは、上りリンクの通信リソースとして割当てる周波数リソースを、周波数ホッピングさせることにより、マクロセル端末400からフェムトセル基地局200への干渉の影響の分散化を行なう。周波数ダイバーシチモードでは、図4で説明したように、フェムトセル基地局200における受信SINRの変動は小さいため、下りリンクの通信リソースとして割当てる周波数リソースを、周波数ホッピングさせない。以下では、周波数ホッピングは、HARQ送信の単位で行なうことを仮定する。フェムトセル端末300への上りデータ送信に使用する周波数リソースの割当てと、周波数ホッピングを行なうか否かは、上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の上りリンクスケジューラ225で行なわれる。割当てた周波数リソースは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125や図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126や図24のステップ155の上りデータ送信は、上記でフェムトセル端末300に通知される上りスケジューリング情報に従って行なわれる。
【0134】
図17を参照して、時間ダイバーシチモードにおいて使用する、周波数ホッピングを適用する周波数リソース割当てを説明する。図17で、端末#1に割当てられたRBは、HARQ送信毎((1)(2)(3)(4))に、異なる。このように、周波数ホッピングを行なう場合は、当該フェムトセル端末の通信に干渉の影響を与えるマクロセル端末400が、HARQ送信毎に異なることが期待される。このとき、マクロセル端末400から受ける干渉の影響が分散した結果、フェムトセルにおける干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【0135】
図16を参照して、周波数ダイバーシチモードにおいて使用する、周波数ホッピングを適用しない周波数リソース割当てを説明する。図16で、端末#1に割当てられたRBは、HARQ送信1回目(図16の(1))とそれ以降(図16の(2)(3)(4))で同一である。なお、図16では、HARQ送信毎に同一のRBを割当てているが、必ずしも全く同一のRBを割当てる必要はなく、同一のサブ帯域内で割当てれば十分である。なお、周波数ダイバーシチモードでは、周波数選択性ゲインが期待されない場合は、周波数ホッピングを適用してもよい。
【実施例7】
【0136】
上りスケジューリングモードを使い分ける実施例7を、図12から図15を用いて説明する。なお、図12ないし図15は、下り信号の周波数リソースの割り当てを説明する図であるが、ここでは、上り信号と読み替える。
【0137】
実施例7では、周波数ダイバーシチモードでは、上りリンクの通信リソースとして、周波数方向に連続した周波数リソースを割当てることにより、周波数選択性ゲインによるレート向上を図る。また、時間ダイバーシチモードでは、上りリンクの通信リソースとして、周波数方向に分散した周波数リソースを割当てることにより、マクロセル端末400からフェムトセル基地局200への干渉の影響の分散化を行なう。フェムトセル端末300への上りデータ送信に使用する周波数リソースの割当ては、上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の上りリンクスケジューラ225で行なわれる。割当てた周波数リソースは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125や図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126や図24のステップ155の上りデータ送信は、フェムトセル端末300に通知された上りスケジューリング情報に従って行なわれる。
【0138】
周波数ダイバーシチモードにおける周波数リソース割当ては、図12や図13の方法を用いて行なう。周波数リソース割当てパターンについては、図12と図13ですでに説明したとおりである。図12や図13のように、無線伝搬路品質のよいサブ帯域で集中的にRBを割当てることにより、周波数選択性ゲインが得られ、通信品質が向上する。
【0139】
時間ダイバーシチモードにおける周波数リソース割当ては、図14や図15の方法を用いて行なう。周波数リソース割当てパターンについては、図14と図15ですでに説明したとおりである。図14や図15のように、分散したRBを割当てることにより、RB毎に干渉の影響を与えるマクロセル端末400が異なることが期待される。このとき、フェムトセル端末300の上りデータ通信に与える干渉の影響が分散した結果、フェムトセル基地局200における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【0140】
上記で説明した実施例4から実施例7は、互いに排他的ではなく、複数の実施例を組み合わせて使用することが可能である。
【0141】
上述した実施例に拠れば、フェムトセル基地局とマクロセル端末、あるいは、マクロセル基地局とフェムトセル端末の、間で発生する干渉を抑制することにより、無線通信品質を改善し、無線資源の利用効率の向上に資することができる。
【符号の説明】
【0142】
100…マクロセル基地局、110…マクロセル、200…フェムトセル基地局、201…メモリ、202…CPU、203…無線I/F、204…論理回路、205…有線I/F、210…フェムトセル、300…フェムトセル端末、301…メモリ、302…CPU、303…無線I/F、304…論理回路、400…マクロセル端末。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムを構成する無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信におけるユーザ多重方式として、OFDMAが多く採用されている。OFDMAでは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式により用意される多数のサブキャリアのうち、いくつかを周波数リソースとして端末に割当てることにより、複数の端末による同時アクセスを実現している。OFDMA方式では、データ送信を行なう前に、データ通信に使用する周波数リソースの割当てを行なう必要がある。OFDMA方式を採用するセルラ無線システムにおいて、基地局が、周波数リソースの割当てを決定し、周波数リソース割当て情報を専用の制御情報チャネルを通じて端末に通知する。
【0003】
基地局から端末に向かう下りリンクでのデータ送信において、まず、基地局が各端末へ送信すべきデータ量などに応じて、各端末への周波数リソースの割当てを行なう。周波数リソース割当て情報は、データ送信と同時に、あるいはそれに先んじて、制御情報チャネルを通じて基地局から端末に通知しておく。基地局は、各端末に割当てた周波数リソースを使って、データを送信する。基地局からデータを受信する端末は、基地局が通知する周波数リソース割当て情報から、どの周波数リソースを使ってデータが送られてきたかを判別し、それに基づいてデータを受信する。
【0004】
また、端末から基地局に向かう上りリンクでのデータ送信においては、まず、各端末がデータ送信要求や送信したいデータ量の情報を基地局に通知する。基地局は、端末からのデータ送信要求などの通知に基づき、各端末への周波数リソースの割当てを行なう。周波数リソース割当て情報は、制御情報チャネルを通じて基地局から端末に通知する。その後、各端末は、基地局が通知する周波数リソース割当て情報から、どの周波数リソースを使ってデータを送ればよいかを判別し、これに基づいてデータを送信する。基地局は、各端末に割当てた周波数リソースを使って、データを受信する。
【0005】
このように、OFDMAでは、基地局が決定した各端末への周波数リソース割当ての情報を、基地局と端末の間で共有することにより、送信データ量などに応じて適応的に帯域割当てを行なうデータ通信を実現している。
【0006】
OFDMAを用いるセルラ無線システムにおいては、上記のような仕組みを用いて異なる周波数リソースを割当てるため、同一の基地局と通信する端末同士間では、通常、干渉は発生しない。むしろ、近接する複数の基地局とそれぞれ通信する端末同士が同一の周波数リソースを割当てられたときに発生する、セル間干渉が支配的である。このため、OFDMAシステムでは、セル間干渉を制御する仕組みが必要となる。
【0007】
OFDMAシステムにおけるセル間干渉制御方法として、FFR(Fractional Frequency Reuse)が検討されている。FFRでは、周波数帯域を複数のサブバンドに分割し、隣接基地局間で異なるサブバンドを使用、または隣接基地局間でサブバンド毎の送信電力割当てパターンを変えることにより、セル間干渉を低減する。特許文献1および特許文献2では、その実現方法が記載されている。
【0008】
標準化団体3GPPでは、E−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)およびE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)として、OFDMAおよびDFT−S(Discrete Fourier Transform-Spread)−OFDMAを用いた無線通信システムが規格化されている。また非特許文献1では、FFRなどによるセル間干渉制御を、隣接基地局間で連携して行なうことをサポートするための基地局間インタフェースX2が規定されている。基地局間インタフェースX2では、送信電力などに関する情報を基地局間で交換する。
【0009】
基地局間インタフェースX2では、RB(Resource Block)と呼ばれる周波数リソース割当ての最小単位ごとに、RNTP(Relative Narrowband Transmit Power Indication)と呼ばれる、下りリンクの送信電力の情報が基地局間で交換される。各基地局は、隣接基地局から通知されるRNTPを利用して、どの周波数において隣接基地局の送信電力が大きいかを知る。隣接基地局の送信電力が大きい周波数においては、一般に、自局と通信する端末の受信干渉電力が大きい。また、セル中心に近い位置にある端末よりも、セル端に近い位置にある端末の方が、一般には隣接基地局から近いため、下りリンクの受信干渉電力が大きくなる傾向にある。
【0010】
また、基地局間インタフェースX2では、上りリンクにおいて基地局が受ける干渉情報が、OI(Interference Overload Indication)として基地局間で交換される。OIは、各RBにおける基地局の受信干渉電力の情報を含んでいる。さらに、基地局間インタフェースX2では、上りリンクの干渉に対する脆弱性の情報が、HII(High Interference Indication)として基地局間で交換される。HIIは、隣接セルでセル端端末用に使用されたくないRBの情報を含んでいる。一般に、ある基地局と隣接基地局のそれぞれのセル端に位置する端末同士は、互いに大きな干渉源となりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2009−510967号公報
【特許文献2】国際公開第08/004299号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP TS 36.423 V9.1.0, 8.3.1 Load Indication
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
E−UTRAおよびE−UTRANでは、基地局間インタフェースX2と呼ばれる基地局間の通信インタフェースを用いて、各基地局でのサブキャリア割当て情報や、送信電力の情報を基地局間で交換している。
【0014】
しかしながら、設置される全ての基地局間で、基地局間インタフェースX2がサポートされるとは限らない。例えば、E−UTRAおよびE−UTRANでは、フェムトセル(Home eNB)と呼ばれる通信エリアの比較的小さい基地局は、基地局間インタフェースX2をサポートしない。このような場合、基地局間で連携したセル間干渉制御ができなくなる虞がある。この結果、セル間干渉により、スループットが低下してしまう。
【0015】
さらに、既に設置されたマクロセル基地局の通信エリア内に、エリア品質向上などを目的として新たにフェムトセル基地局を設置する場合、通信エリア設計に基づいて設置された既設マクロセル基地局における通信品質への影響がないことが望ましい。しかし、新たに設置したフェムトセル基地局が与える干渉によって、既設マクロセル基地局の干渉状況が変化してしまう。この結果、既設マクロセル基地局で通信品質が不安定になってしまう。あるいは、既設マクロセル基地局から受ける干渉によって、新たに設置したフェムトセル基地局で不安定になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため、基地局が、基地局間インタフェースX2のパラメータのような基地局でやりとりされる情報を使用することなく、与干渉や被干渉を自主的に抑制するように、通信リソース割当てや、送信電力、符号化変調方式の設定を行なう。
上記を実現するため、フェムトセル基地局が、マクロセル基地局と通信するマクロセル端末にフェムトセル基地局が与える干渉の影響の大小を、判定する。
【0017】
さらに、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、周波数方向に分散した周波数リソースを、下りデータ通信用に割当てる。これによって、マクロセル端末が受ける干渉の影響が分散し、マクロセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、周波数ホッピングを行なって下りデータ通信を行なう。これによって、マクロセル端末が受ける干渉の影響が分散し、マクロセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【0018】
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、低い電力スペクトル密度を使用して下りデータ通信を行なう。さらに、電力スペクトル密度を低下させたことによるフェムトセル端末での受信品質劣化の影響を補償するため、フェムトセル基地局は、変調次数の小さい変調方式や、小さい誤り訂正符号化率を使用しつつ、使用する周波数リソース量を増加させて、下りデータ通信を行なう。さらに、電力スペクトル密度を低下させたことによるフェムトセル端末での受信品質劣化の影響を補償するため、フェムトセル基地局が、下りデータ通信にSTBC(Space-Time Block Code)などによる送信ダイバーシチを適用する。これによって、フェムトセルにおける通信品質の劣化を抑制しつつ、マクロセル端末が受ける干渉電力を低減し、マクロセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【0019】
また、上記を実現するため、フェムトセル基地局が、マクロセル基地局と通信するマクロセル端末がフェムトセル基地局が与える干渉の影響の大小を、判定する。
さらに、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、周波数方向に分散した周波数リソースを、上りデータ通信用に割当てる。これによって、フェムトセル基地局が受ける干渉の影響が分散し、フェムトセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【0020】
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、上りデータ通信用に割当てる周波数リソースに、周波数ホッピングを適用する。これによって、フェムトセル基地局が受ける干渉の影響が分散し、フェムトセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【0021】
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、上りデータ通信におけるHybrid ARQ再送ターゲット回数を大きく設定する。これによって、Hybrid ARQ再送回数が増えることにより、Hybrid ARQにより干渉電力の時間変動の影響を吸収し、フェムトセルにおける通信品質の安定化を実現する。よって課題が解決される。
【0022】
あるいは、干渉が大きい場合は、フェムトセル基地局は、フェムトセル端末に対して高い送信電力スペクトル密度を設定する。さらに、電力スペクトル密度を高く設定したことによるフェムトセル基地局での受信品質向上を活用するため、フェムトセル基地局は、変調次数の大きい変調方式や、大きい誤り訂正符号化率を使用しつつ、使用する周波数リソース量を減少させて、上りデータ通信を行なうよう、フェムトセル端末に指示する。これによって、マクロセルに干渉を与えうる周波数リソースを減少させながらも、フェムトセル基地局における上り受信信号の受信電力スペクトル密度が高くなることにより、フェムトセル基地局が受ける受信信号電力に対する、フェムトセル基地局が受ける干渉電力を、相対的に低減し、フェムトセルにおける通信品質の劣化を抑制できる。よって課題が解決される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、フェムトセルとマクロセルの、間で発生する干渉を抑制することにより、無線通信品質を改善し、無線資源の利用効率の向上に資する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】マクロセルとフェムトセルの配置を説明する図である。
【図2】フェムトセル基地局の構成を説明する図である。
【図3】端末の構成を説明する図である。
【図4】フェムトセル基地局配置を説明する図である。
【図5】他のフェムトセル基地局配置を説明する図である。
【図6】マクロセル端末への与干渉状況を判断する手順を説明するシーケンス図である。
【図7】下りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図8】下りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図9】マクロセル端末への与干渉状況を判断する手順を説明するシーケンス図である。
【図10】下りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図11】下りスケジューリングモードの再判定処理を説明するフローチャートである。
【図12】高レートモードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図13】高レートモードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図14】干渉緩和モードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図15】干渉緩和モードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図16】高レートモードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図17】干渉緩和モードにおける周波数リソース割当てを説明する図である。
【図18】高レートモードにおける送信電力スペクトル密度を説明する図である。
【図19】干渉緩和モードにおける送信電力スペクトル密度を説明する図である。
【図20】下りリンクで使用するMCSテーブルを説明する図である。
【図21】マクロセル端末からの被干渉状況を判断する手順を説明するシーケンス図である。
【図22】上りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図23】上りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図24】マクロセル端末からの被干渉状況を判断する手順を説明するシーケンス図である。
【図25】上りスケジューリングモードの選択処理を説明するフローチャートである。
【図26】上りスケジューリングモードの再判定処理を説明するフローチャートである。
【図27】周波数ダイバーシチモードにおける送信電力スペクトル密度の例を説明する図である。
【図28】時間ダイバーシチモードにおける送信電力スペクトル密度の例を説明する図である。
【図29】上りリンクで使用するMCSテーブルを説明する図である。
【図30】HARQ送信を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0026】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
本実施例を適用するセルラ無線通信システムについて、E−UTRA/E−UTRANを例として、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、既設基地局(マクロセル基地局)の通信エリア内に、新たに基地局(フェムトセル基地局)が設置される場合を、説明する。
【0029】
図1を参照して、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の配置を説明する。図1において、マクロセル基地局100は、その通信範囲をもってマクロセル110を構成しており、端末400と無線で接続する。フェムトセル基地局200は、その通信範囲をもってフェムトセル210を構成しており、端末300と無線で接続する。本明細書では、マクロセル基地局100と接続している端末400をマクロセル端末と呼び、フェムトセル基地局200と接続している端末300をフェムトセル端末と呼ぶ。
【0030】
図2を参照して、フェムトセル基地局200の構成を説明する。図2において、フェムトセル基地局200は、メモリ201と、CPU202と、無線I/F203と、論理回路204と、有線I/F205とからなる。無線I/F203は、端末との間で無線信号の送受信を行なう。論理回路204は、誤り訂正符号化などを行なう。有線I/F205は、ネットワーク装置や隣接基地局との通信を行なう。
【0031】
メモリ201は、干渉情報テーブル211、下りスケジューリング情報テーブル212、上りスケジューリング情報テーブル213、下りMCS(Modulation and Coding Scheme)テーブル214、上りMCSテーブル215を含む。干渉情報テーブル211は、参照信号電力やパスロス情報を格納する。下りスケジューリング情報テーブル212は、下りリンクにおけるスケジューリング結果を格納する。上りスケジューリング情報テーブル213は、上りリンクにおけるスケジューリング結果を格納する。下りMCSテーブル214は、下りデータ送信に使用する。上りMCSテーブル215は、上りデータ受信に使用する。
【0032】
CPU202は、プログラムを実行する。CPU202は、干渉測定部221、下りスケジューリングモード切替部222、下りリンクスケジューラ223、上りスケジューリングモード切替部224、上りリンクスケジューラ225、データ送信処理部226、制御情報送信処理部227、データ受信処理部228、制御情報受信処理部229、上りリンク送信電力制御部230を含む。
【0033】
干渉測定部221は、上りリンクの受信干渉レベルの測定を行なう。下りリンクスケジューラ223は、下りリンクにおけるデータ通信のために周波数リソース割当てやMCS等を決定する。上りリンクスケジューラ225は、上りリンクにおけるデータ通信のために周波数リソース割当てやMCS等を決定する。データ送信処理部226は、端末へ送信するデータを処理する。制御情報送信処理部227は、各端末のスケジューリング結果や上りデータ復号結果(ACK/NACK)情報等の端末へ送信する制御情報を処理する。データ受信処理部228は、端末から受信されるデータを処理する。制御情報受信処理部229は、下りデータ復号結果(ACK/NACK)情報等の端末から受信される制御情報を処理する。上りリンク送信電力制御部230は、端末の送信電力の制御を行なう。
【0034】
図3を参照して、フェムトセル端末300の構成を説明する。図3において、フェムトセル端末300は、メモリ301と、CPU302と、無線I/F303、論理回路304とからなる。無線I/F303は、基地局との間で無線信号の送受信を行なう。論理回路304は、誤り訂正符号化などを行なう。
【0035】
メモリ301は、干渉情報テーブル311、下りスケジューリング情報テーブル312、上りスケジューリング情報テーブル313、下りMCSテーブル314、上りMCSテーブル315を含む。干渉情報テーブル311は、フェムトセル端末300が測定した参照信号電力やパスロス情報を格納する。下りスケジューリング情報テーブル312は、下りリンクにおける当該端末のスケジューリング結果を格納する。上りスケジューリング情報テーブル313は、上りリンクにおける当該端末のスケジューリング結果を格納する。下りMCSテーブル314は、下りデータ受信に使用する。上りMCSテーブル315は、上りデータ送信に使用する。
【0036】
CPU302は、参照信号電力測定部321、パスロス算出部322、送信電力制御部323、データ送信処理部326、データ受信処理部328、制御情報受信処理部329を含む。
【0037】
参照信号電力測定部321は、基地局からの参照信号の受信電力レベルを算出する。パスロス算出部322は、下りリンクにおける基地局から当該端末への伝搬路減衰(パスロス)を算出する。送信電力制御部323は、端末から基地局へ送信する上りリンクの信号の送信電力を制御する。データ送信処理部326は、基地局へ送信するデータを処理する。制御情報送信処理部327は、下りデータ復号結果(ACK/NACK)情報等の基地局へ送信する制御情報を処理する。データ受信処理部328は、制御情報送信処理部327、基地局から受信されるデータを処理する。制御情報受信処理部329は、端末のスケジューリング結果や上りデータ復号結果(ACK/NACK)情報等の基地局から受信される制御情報を処理する。
【0038】
図1のような基地局配置において、マクロセル基地局100に対するフェムトセル基地局200の設置場所によって、干渉による影響が異なる。まず、下りリンクでの干渉による影響について、図4および図5を用いて説明する。
【0039】
図4は、マクロセル基地局100の近傍にフェムトセル基地局200を設置した場合の配置である。図4を参照して、マクロセル中心付近にあるマクロセル端末400−1、マクロセル端付近にあるマクロセル端末400−2、フェムトセル端末300が受ける干渉の影響について説明する。
【0040】
図4において、マクロセル中心付近のマクロセル端末400−1は、フェムトセル基地局200から近い位置にある。このため、フェムトセル基地局200からの干渉電力は、比較的大きい。しかし、マクロセル端末400−1は、マクロセル基地局100の近傍にある。このため、マクロセル端末400−1は、マクロセル基地局100からの受信信号電力が十分大きく、通信品質を示す指標であるSINR(Signal-to-Interference and Noise Ratio)は大きく劣化しないと考えられる。
【0041】
マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、マクロセル基地局100から遠い位置にある。このため、マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、マクロセル基地局100からの受信信号電力は、比較的小さい。しかし、マクロセル端末400−2は、フェムトセル基地局200から遠い位置にある。このため、マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、フェムトセル基地局200からの干渉電力は小さく、SINRは大きく劣化しないと考えられる。
【0042】
フェムトセル端末300は、マクロセル基地局100から近い位置にある。このため、マクロセル基地局100からの干渉電力は、比較的大きい。しかし、フェムトセル端末300は、フェムトセル基地局200の近傍にもある。このため、フェムトセル基地局200からの受信信号電力が十分大きく、SINRは大きく劣化しないと考えられる。
【0043】
図5は、マクロセル端付近にフェムトセル基地局200を設置した場合の配置である。図5を参照して、マクロセル中心付近にあるマクロセル端末400−1、マクロセル端付近にあるマクロセル端末400−2、フェムトセル端末300が受ける干渉の影響について説明する。
【0044】
マクロセル中心付近のマクロセル端末400−1は、マクロセル基地局100の近傍にある。このため、マクロセル基地局100からの受信信号電力が十分大きい。また、マクロセル端末400−1は、フェムトセル基地局200から遠い位置にあるため、フェムトセル基地局200からの干渉電力は、比較的小さい。従って、SINRは大きく通信品質は良好であると考えられる。
【0045】
マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、マクロセル基地局100から遠い位置にある。このため、マクロセル基地局100からの受信信号電力は、比較的小さい。さらに、マクロセル端末400−2は、フェムトセル基地局200から近い位置にある。このため、フェムトセル基地局200からの干渉電力が大きい。従って、SINRが大きく劣化すると考えられる。
【0046】
フェムトセル端末300は、フェムトセル基地局200の近傍にある。このため、フェムトセル基地局200からの受信信号電力は、十分大きい。また、フェムトセル端末300は、マクロセル基地局100から遠い位置にあるため、マクロセル基地局100からの干渉電力は、比較的小さい。従って、SINRは大きく通信品質は良好であると考えられる。
【0047】
これらのことから、下りリンクでは、フェムトセル基地局からマクロセル端末への与干渉が、通信品質に大きく影響する。そこで、本実施例では、マクロセル端末への与干渉に応じて、フェムトセル基地局における、フェムトセル端末へ下りデータ送信を行なう際のスケジューリングモードを切替える。すなわち、フェムトセル基地局から、マクロセル端付近のマクロセル端末への与干渉が大きい場合、フェムトセル基地局は、下りリンクのスケジューリングモードとして、干渉抑制モードを選択する。また、フェムトセル基地局から、マクロセル端付近のマクロセル端末への与干渉が小さい場合、フェムトセル基地局は、下りリンクのスケジューリングモードとして、高レートモードを選択する。スケジューリングモードの詳細は、後述する。
【0048】
フェムトセル基地局において行なわれる、マクロセル端付近のマクロセル端末への与干渉が大きいか小さいかの判定は、マクロセル端末が測定した被干渉レベルを元に行なってもよい。すなわち、マクロセル端末が、測定したフェムトセル基地局からの干渉レベルを、フェムトセル基地局に報告し、フェムトセル基地局は、報告された干渉レベルの大小により、下りリンクのスケジューリングモードを決定する。
【0049】
しかしながら、上記のように、マクロセル端末がフェムトセル基地局に干渉レベルを報告するには、マクロセル端末がフェムトセル基地局に接続するか、もしくは、マクロセル端末がマクロセル基地局に干渉レベルを報告し、さらにマクロセル基地局からフェムトセル基地局に干渉レベルの情報を転送する必要がある。そこで、マクロセル端末からフェムトセル基地局へ、干渉レベルを報告することなく、フェムトセル基地局からマクロセル端末への干渉状況を判断する方式を、図6、図7、図8、図9、図10を用いて説明する。
【0050】
ここで、図6および図9は、下りリンクスケジューリングモードを決定するためのシーケンスを示している。一方、図7、図8、図10は、下りリンクスケジューリングモードを決定する処理を示している。
【0051】
図6を参照して、フェムトセル端末からフェムトセル基地局に報告される情報によって、フェムトセル基地局からマクロセル端末への干渉状況を判断する手順を説明する。図6において、マクロセル基地局100は、参照信号(RS:Reference Signal)を送信する(S601)。フェムトセル端末300は、無線I/F303を通じて受信した参照信号の電力レベル(RSRP:Reference Signal Received Power)を参照信号電力測定部321で算出する。または、フェムトセル端末300は、受信した参照信号の電力レベルと、マクロセル基地局100の参照信号の送信電力を用いて、パスロス算出部322において、マクロセル基地局100とフェムトセル端末300の間の、パスロスを算出する。次に、フェムトセル端末300は、RSRPまたはパスロスをフェムトセル基地局200に報告する(S602)。
【0052】
フェムトセル基地局200は、N台(N:1以上)のフェムトセル端末200から報告されたRSRPまたはパスロス情報を、干渉情報テーブル211に格納する。フェムトセル基地局200は、RSRPまたはパスロス情報を用いて、下りスケジューリングモード切替部222において、下りリンクのスケジューリングモードを判定する(S603)。その後、フェムトセル基地局200は、必要に応じて下りリンクにおけるデータ送信のためのコンフィグを行なう(S604)。フェムトセル基地局200は、下りリンクデータ送信のためのリソース割当て情報を下りスケジューリング情報としてフェムトセル端末300に送信する(S605)。フェムトセル基地局200は、下りデータをフェムトセル端末300に送信する(S606)。
【0053】
図7を参照して、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222において行なわれる、下りスケジューリングモード判定処理603を、RSRPに基づいて行なう場合のフローを説明する。図7において、まずRSRPが予め定められた閾値以上となる端末数Mをカウントするため、下りスケジューリングモード切替部222は、端末数Mを初期化する(S701)。RSRPが閾値ThRsrpDL以上となる端末がある場合(S702のYES)、下りスケジューリングモード切替部222は、端末数Mを1加算する(S703)。ステップ702およびステップ703の処理は、RSRPを報告したフェムトセル端末数Nについて行なう。
【0054】
その後、RSRPが閾値ThRsrpDL以上となる端末の割合M/Nが、予め定められた閾値ThHighRate以上となる場合(S704のYES)、下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして高レートモードを選択する(S705)。
【0055】
一方、M/Nが閾値ThHighRate未満となる場合(S704のNO)、下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択する(S706)。
【0056】
図8を参照して、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222において行なわれる、下りスケジューリングモード判定処理603を、パスロスに基づいて行なう場合のフローを説明する。図8において、まずパスロスが予め定められた閾値以上となる端末数Mをカウントするため、下りスケジューリングモード切替部222は、端末数Mを初期化する(S801)。パスロスが閾値ThPathLossDL未満となる端末がある場合(S802のYES)、下りスケジューリングモード切替部222は、端末数Mを1加算する(S803)。ステップ802およびステップ803の処理は、パスロスを報告したフェムトセル端末数Nについて行なう。
【0057】
その後、パスロスが閾値ThPathLossDL未満となる端末の割合M/Nが、予め定められた閾値ThHighRate以上となる場合(S804のYES)、下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして高レートモードを選択する(S805)。
【0058】
一方、M/Nが閾値ThHighRate未満となる場合(S804のNO)、下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択する(S806)。
【0059】
図6、図7、図8では、単一のマクロセル基地局についてのRSRPまたはパスロスに基づいて下りスケジューリングモードを判定している。しかし、複数のマクロセル基地局についてのRSRPまたはパスロスに基づいて判定を行なってもよい。
【0060】
図6、図7、図8では、フェムトセル端末300がRSRPまたはパスロスの測定を行なっているが、フェムトセル基地局200が下りリンクの受信機能およびRSRPまたはパスロス測定を行ってもよい
図7では、マクロセルについてのRSRPを用いて下りスケジューリングモードを選択しているが、フェムトセルについてのRSRPに対する、マクロセルについてのRSRPの相対値を選択基準として用いてもよい。
図8では、フェムトセル端末300がフェムトセル基地局200に報告したパスロスに基づいて下りスケジューリングモードを判定しているが、フェムトセル基地局200が、フェムトセル端末300から報告されたRSRPと、マクロセル基地局100の参照信号の送信電力を用いて算出した、パスロスを用いてもよい。
【0061】
図9を参照して、フェムトセル基地局が測定する上り干渉情報によって、フェムトセル基地局からマクロセル端末への干渉状況を判断する手順を説明する。図9において、マクロセル端末400は、マクロセル基地局100への上り送信を行なっている(S901)。マクロセル端末400による上り送信は、干渉としてフェムトセル基地局200で受信される。フェムトセル基地局200は、干渉測定部221において、複数のマクロセル端末400からの干渉電力レベルを、使用周波数帯域を複数のブロックに分割した、周波数ブロック毎に、算出する。ここで、周波数ブロックは、E−UTRAにおける周波数リソース割当ての最小単位である、RB(Resource Block)とすることが望ましい。
【0062】
フェムトセル基地局200は、算出したマクロセル端末400からの干渉電力レベルを用いて、下りスケジューリングモード切替部222において、下りリンクのスケジューリングモードを判定する(S902)。その後、フェムトセル基地局200は、必要に応じて下りリンクにおけるデータ送信のためのコンフィグを行なう(S903)。フェムトセル基地局200は、下りリンクデータ送信のためのリソース割当て情報を下りスケジューリング情報としてフェムトセル端末300に送信する(S904)。フェムトセル基地局200は、下りデータをフェムトセル端末300に送信する(S905)。
【0063】
図10を参照して、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222が実施する下りスケジューリングモード判定処理902を、マクロセル端末400からの上り干渉電力レベルに基づいて行なう場合のフローを説明する。図10において、上り干渉電力レベルが予め定められた閾値ThPwrHighRate以上となる周波数ブロックがない場合(S101のNO)、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして高レートモードを選択する(S102)。
【0064】
一方、M/Nが閾値ThHighRate未満となる場合(S101のYES)、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択する(S103)。
【0065】
図6から図10で説明した下りスケジューリングモードの判定は、フェムトセル基地局200の設置時に行なってもよいし、定期的に行なってもよい。
下りスケジューリングモードの判定の際、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択したとしても、フェムトセル基地局200の近辺にマクロセル端末400が存在しない場合や、フェムトセル基地局200の近辺に存在したマクロセル端末400が遠方に移動してしまった場合は、フェムトセル基地局200からマクロセル端末400への干渉が問題とならなくなる。このような場合は、図11に従い、高レートモードを選択(再判定)してもよい。
【0066】
図11を参照して、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222が実施する下りスケジューリングモードの再判定処理を、マクロセル端末400からの上り干渉電力レベルに基づいて行なう場合のフローを説明する。図11において、下りスケジューリングモードとして干渉緩和モードを選択している場合(S111のYES)、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、干渉測定部221から、周波数ブロックごとの上り干渉電力レベルを取得する(S112)。その後、全ての周波数ブロックにおいて上り干渉電力レベルが予め定められた閾値ThULInterfereDL未満となる場合(S113のYES)、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、フェムトセル基地局200の近辺にマクロセル端末400が存在しないと判断する。フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、下りスケジューリングモードとして高レートモードを選択し(S114)、再判定処理を終了する。ステップ111またはステップ113でNOのとき、フェムトセル基地局の下りスケジューリングモード切替部222は、再判定処理を終了して、干渉緩和モードを継続する。
【0067】
図11のような下りスケジューリングモードの再判定処理は、図7、図8、図10のような下りスケジューリングモード判定処理に引き続いて行なってもよいし、定期的に行なってもよい。
下りスケジューリングモードの詳細について、図12から図20を用いて説明する。
【実施例1】
【0068】
下りスケジューリングモードを使い分ける実施例1を、図12から図15を用いて説明する。実施例1では、高レートモードでは、下りリンクの通信リソースとして、周波数方向に連続した周波数リソースを割当てることにより、周波数選択性ゲインによるレート向上を図る。また、干渉緩和モードでは、下りリンクの通信リソースとして、周波数方向に分散した周波数リソースを割当てることにより、フェムトセル基地局200からマクロセル端末400への干渉の影響の分散化を行なう。フェムトセル端末300への下りデータ送信に使用する周波数リソースの割当ては、下りスケジューリングモード切替部222が決定した下りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の下りリンクスケジューラ223で行なわれる。
【0069】
以下では、E−UTRAで規定されるResource Allocation(RA) Typeを使用した、高レートモード、干渉緩和モードそれぞれにおける周波数リソース割当て方法について説明する。RA Typeや、割当てた周波数リソースは、下りスケジューリング情報として、図6のシーケンス605や図9のシーケンス904において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図6のシーケンス606や図9のシーケンス905の下りデータ送信は、フェムトセル端末300に通知する下りスケジューリング情報に従って行なう。
【0070】
図12を参照して、高レートモードにおいて使用するRA Type2−Localizedを使用した周波数リソース割当てを説明する。図12において、横軸は周波数であり、全幅が周波数帯域である。E−UTRAでは、図12のように、周波数帯域は、RBと呼ばれる周波数リソースの最小単位に分割される。RA Type2−Localizedでは、端末に、1つのRBまたは連続する複数のRBを割当てる。ここでは、端末#1に12RB、端末#2に6RB、端末#3に9RB割当てている。RA Type2−Localizedを使用して、無線伝搬路品質のよいサブ帯域で集中的にRBを割当てることにより、周波数選択性ゲインが得られ、通信品質が向上する。
【0071】
図13を参照して、高レートモードにおいて使用するRA Type0を使用した周波数リソース割当てを説明する。E−UTRAでは、図13のように、連続する複数のRBは、RBG(Resource Block Group)を構成する。RA Type0では、端末に、RBG単位で周波数リソースを割当てる。RA Type0では、図13の端末#1や端末#2のように、連続するRBGを割当ててもよいし、端末#3のように、連続しないRBGを割当ててもよい。RA Type0を使用して、無線伝搬路品質のよいサブ帯域で集中的にRBを割当てることにより、周波数選択性ゲインが得られ、通信品質が向上する。
【0072】
図14を参照して、干渉緩和モードにおいて使用する、RA Type1を使用した周波数リソース割当てを説明する。E−UTRAでは、図14のように、連続しない複数のRBGは、RBG Subsetを構成する。図14では、3つのRBG Subsetが存在している。RA Type1では、いずれか1つのRBG Subset内において、端末に、RB単位で周波数リソースを割当てる。ここでは、端末#1はSubset0が、端末#2はSubset2が割当てられている。図14では、同一のRBGからRBを選択することにより、最大3個連続したRBを割当てることができる。しかし、与干渉の影響を分散するためには、できるだけ異なるRBGからRBを選択して、非連続のRBを割当てることが望ましい。このように、RA Type1を使用して、分散したRBを割当てることにより、RB毎に干渉の影響を受けるマクロセル端末400が異なることが期待できる。このとき、フェムトセル基地局200が与える干渉の影響が分散した結果、マクロセル端末400における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【0073】
図15を参照して、干渉緩和モードにおいて使用するRA Type2−Distributedを使用した周波数リソース割当てを説明する。図15(a)は、論理領域の周波数リソースである。図15(b)は、物理領域の周波数リソースであり、横軸は周波数である。RA Type2−Distributedでは、周波数リソースの指定は、論理領域において行なう。論理領域におけるリソース割当ては、図15のように行なわれ、RA Type2−Localizedにおけるリソース割当て同様である。論理RBは、データ送信で使用する物理RBに、予め定められたパーミュテーションパターンを用いてマッピングされる。論理RBから物理RBへのマッピングでは、図15のように、連続する論理RBが、連続しない物理RBへマッピングされる。このように、RA Type2−Distributedでは、連続する論理RBを割当てることにより、周波数領域で分散した物理RBを割当てることができ、RB毎に干渉の影響を受けるマクロセル端末400が異なることが期待される。このとき、フェムトセル基地局200が与える干渉の影響が分散した結果、マクロセル端末400における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【実施例2】
【0074】
下りスケジューリングモードを使い分ける実施例2を、図16および図17を用いて説明する。実施例2では、高レートモードでは、下りリンクの通信リソースとして割当てる周波数リソースを、周波数ホッピングさせないことにより、周波数選択性ゲインによるレート向上を図る。また、干渉緩和モードでは、下りリンクの通信リソースとして割当てる周波数リソースを、周波数ホッピングさせることにより、フェムトセル基地局200からマクロセル端末400への干渉の影響の分散化を行なう。
【0075】
以下では、周波数ホッピングは、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)送信の単位で行なうことを仮定する。フェムトセル端末300への下りデータ送信に使用するHARQ送信用周波数リソースの割当ては、下りスケジューリングモード切替部222が決定した下りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の下りリンクスケジューラ223で行なわれる。割当てた周波数リソースは、下りスケジューリング情報として、図6のシーケンス605や図9のシーケンス904において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図6のシーケンス606や図9のシーケンス905の下りデータ送信は、フェムトセル端末300に通知する下りスケジューリング情報に従って行なう。
【0076】
図16を参照して、高レートモードにおいて使用する周波数ホッピングを適用しない周波数リソース割当てを説明する。図16において、左端の数字nは、HARQ送信n回目を表す。また、図16の横軸は、周波数である。図16で、端末#1に割当てられたRBは、HARQ送信1回目とそれ以降で同一である。このように、周波数ホッピングを行なわない場合は、HARQ再送の際に、毎回無線伝搬路品質のよいサブ帯域でRBを割当てることにより、周波数選択性ゲインが得られ、通信品質が向上する。なお、図16では、HARQ送信毎に同一のRBを割当てているが、必ずしも全く同一のRBを割当てる必要はなく、同一のサブ帯域内で割当てれば十分である。
【0077】
図17を参照して、干渉緩和モードにおいて使用する周波数ホッピングを適用する周波数リソース割当てを説明する。図17において、左端の数字nは、HARQ送信n回目を表す。また、図17の横軸は、周波数である。図17で、端末#1に割当てられたRBは、HARQ送信毎((1)(2)(3)(4))に、異なる。このように、周波数ホッピングを行なう場合は、HARQ再送毎に、干渉の影響を受けるマクロセル端末400が異なることが期待される。このとき、フェムトセル基地局200が与える干渉の影響が分散した結果、マクロセル端末400における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【実施例3】
【0078】
下りスケジューリングモードを使い分ける実施例3を、図18から図20を用いて説明する。実施例3では、高レートモードでは、高い電力スペクトル密度を使用して下りデータ送信を行なうことで、フェムトセル端末300における受信SINRを改善し、レート向上を図る。また、干渉緩和モードでは、低い電力スペクトル密度を使用して下りデータ送信を行なうことで、フェムトセル基地局200が与えるマクロセル端末400の受信干渉電力密度の低減を図る。フェムトセル端末300への下りデータ送信に使用する電力スペクトル密度は、フェムトセル基地局200の下りスケジューリングモード切替部222が決定した下りスケジューリングモードに従い、制御情報送信処理部227で行なわれる。
【0079】
電力スペクトル密度情報は、送信モードのコンフィグとして、図6のシーケンス604や図9のシーケンス903において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図6のシーケンス606や図9のシーケンス905の下りデータ送信は、上記でフェムトセル端末300に通知する電力密度スペクトル密度に従って行なう。
【0080】
図18を参照して、高レートモードにおいて、高い電力スペクトル密度PwrDensityHighDLを使用した送信電力スペクトル密度と、あるフェムトセル端末300に対する割当て周波数リソースを説明する。フェムトセル基地局200が、高い送信電力スペクトル密度を使用して下りデータ送信を行なうことで、フェムトセル端末300における受信SINRが改善するため、通信品質は向上する。
【0081】
図19を参照して、干渉緩和モードにおいて、低い電力スペクトル密度PwrDensityLowDLを使用した送信電力スペクトル密度と、あるフェムトセル端末300に対する割当て周波数リソースを説明する。ここで、PwrDensityLowDLはPwrDensityHighDL未満とする。フェムトセル基地局200が、低い送信電力スペクトル密度を使用して下りデータ送信を行なうことで、マクロセル端末400におけるフェムトセル基地局200からの受信干渉レベルが低下する。このため、マクロセル端末400における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【0082】
図20を参照して、E−UTRAの下りデータ送信に使用できるMCS(Modulation and Coding Scheme)テーブルを説明する。図20において、下りMCSテーブル214/314は、MCS Index 2141、サブキャリア変調方式2142から成る。さらに、E−UTRAでは、MCSと割当てRB数に応じてPHYパケットサイズが決められており、誤り訂正符号の符号化率が算出できる。図20に記載した符号化率2143は、おおよその値である。
【0083】
フェムトセル基地局200の下りスケジューラ223は、下りMCSテーブル214からMCSを選択する。下りスケジューラ223は、選択したMCSのMCS Indexを、下りスケジューリング情報テーブル212に格納する。フェムトセル基地局200は、下りスケジューリング情報をフェムトセル端末300に送信する。フェムトセル端末300は、下りスケジューリング情報のMCS Indexと下りMCSテーブル314を参照し、データを受信する。
【0084】
上述のように、高レートモードでは、フェムトセル端末300における受信SINRが向上する。このため、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300への下りデータ送信には、高いMCSを選択する。
【0085】
一方、干渉緩和モードでは、低い送信電力スペクトル密度を使用してフェムトセル基地局200が下りデータ送信を行なうことにより、フェムトセル端末300における受信SINRが低下する。干渉緩和モードでは、フェムトセル基地局200は、低いMCSを選択することにより、復号成功の確率を向上することができる。
【0086】
下りデータ送信に使用するMCSは、下りスケジューリング情報として、図6のシーケンス605および図9のシーケンス904において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。
【0087】
しかしながら、低いMCSを選択すると、PHYパケットサイズは小さくなるため、データレートが低下してしまう。データレートを維持したい場合は、フェムトセル端末300への割当てRB数を増やせばよい。割当てRB数を増やすことによって、低いMCSを選択しても、PHYパケットサイズが小さくなるのを防ぐことができ、データレートの低下を防止することができる。このとき、図19の割当て周波数リソース幅(RB数)は、図18の割当て周波数リソース幅(RB数)より大きくなる。
【0088】
また、高レートモードでは、フェムトセル端末300における受信SINRが向上するため、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300への下りデータ送信には、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)による空間多重(SM:Spatial Multiplexing)を行なうことにより、データレート向上を図ってもよい。
【0089】
一方、干渉緩和モードでは、フェムトセル端末300における受信SINRが劣化する。このため、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300への下りデータ送信には、STBC(Space-Time Block Code)などによる送信ダイバーシチを行なうことにより、通信品質向上を図ってもよい。
なお、実施例1から実施例3は、互いに排他的ではなく、複数の実施例を組み合わせて使用することが可能である。
【0090】
次に、上りリンクでの干渉による影響について、再び図4および図5を用いて説明する。図4を参照して、マクロセル基地局100、フェムトセル基地局200が受ける上りリンクの干渉の影響について説明する。なお、以下では、上りリンクの送信電力制御方針として、マクロセル基地局100における、マクロセル端末400からの受信信号の電力スペクトル密度が、マクロセル端末400間で一定となるように制御することを仮定する。また、フェムトセルでは、周囲のマクロセル端末400からの受信干渉の電力スペクトル密度に応じた上りリンクの送信電力設定を行なうものとする。周囲のマクロセル端末400がフェムトセル基地局200に与える干渉の受信電力スペクトル密度が大きい場合は、フェムトセル基地局200において一定の通信品質(受信SINR)を確保するため、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度を大きくする。あるいは、周囲のマクロセル端末400がフェムトセル基地局200に与える干渉の受信電力スペクトル密度が小さい場合は、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度を小さくする。
【0091】
図4において、上記の上り送信電力制御方針に従うと、マクロセル基地局100における、マクロセル端末からの受信信号の電力スペクトル密度は、マクロセル端末の位置(400−1、400−2)によらず、一定となる。また、フェムトセルがマクロセル基地局100の近傍にあることから、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度は、比較的小さくなる。また、フェムトセルにおける通信範囲が十分小さい場合、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度は、使用する周波数帯域内で、変動が小さい。これらのことから、マクロセル基地局100において、使用する周波数帯域内での受信SINRの変動は小さいと考えられる。
【0092】
図4において、フェムトセル基地局200における、フェムトセル端末300からの受信信号の電力スペクトル密度は、使用する周波数帯域内で、変動が小さい。また、フェムトセル基地局200における、マクロセル端末からの受信干渉の電力スペクトル密度は、フェムトセル基地局200がマクロセル基地局100の近傍にあることから、マクロセル端末の位置(400−1、400−2)によらず、一定となる。これらのことから、フェムトセル基地局200において、使用する周波数帯域内での受信SINRの変動は小さいと考えられる。
【0093】
図5を参照して、マクロセル基地局100、フェムトセル基地局200が受ける上りリンクの干渉の影響について説明する。図5において、上記の上り送信電力制御方針に従うと、マクロセル基地局100における、マクロセル端末からの受信信号の電力スペクトル密度は、図4の場合と同様に、マクロセル端末の位置(400−1、400−2)によらず、一定となる。また、フェムトセルがマクロセル基地局100から遠方にあり、送信電力スペクトル密度の高いマクロセル端末400−2の近傍にあることから、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度は、比較的大きくする必要がある。ただし、フェムトセル端末300とマクロセル基地局100の間の伝搬路減衰が大きいため、マクロセル基地局100における受信干渉は、図4とそれほど変わらないと考えられる。また、フェムトセルにおける通信範囲が十分小さい場合、フェムトセル端末300の送信電力スペクトル密度は、使用する周波数帯域内で、変動が小さい。これらのことから、マクロセル基地局100において、使用する周波数帯域内での受信SINRの変動は小さいと考えられる。
【0094】
図5において、フェムトセル基地局200における、フェムトセル端末300からの受信信号の電力スペクトル密度は、使用する周波数帯域内で、変動が小さい。また、フェムトセル基地局200における、マクロセル端末からの受信干渉の電力スペクトル密度は、干渉源となるマクロセル端末によって異なる。マクロセル中心付近のマクロセル端末400−1は、送信電力スペクトル密度が小さく、フェムトセル基地局200までの伝搬路減衰が大きいため、フェムトセル基地局200が受信する干渉の電力スペクトル密度は小さくなる。一方、マクロセル端付近のマクロセル端末400−2は、送信電力スペクトル密度が大きく、フェムトセル基地局200までの伝搬路減衰が小さいため、フェムトセル基地局200が受信する干渉の電力スペクトル密度は大きくなる。これらのことから、フェムトセル基地局200において、使用する周波数帯域内での受信SINRの変動は大きくなり、特に、マクロセル端付近の端末400−2による干渉の影響が大きいと考えられる。
【0095】
これらのことから、上りリンクでは、フェムトセル基地局がマクロセル端末から受ける被干渉が、通信品質に大きく影響する。そこで、以下の実施例では、マクロセル端末からの被干渉に応じて、フェムトセル基地局における、フェムトセル端末からの上りデータ送信を行なう際のスケジューリングモードを切替える。すなわち、フェムトセル基地局がマクロセル端末から受ける被干渉が大きい場合、フェムトセル基地局は、上りリンクのスケジューリングモードとして、周波数ダイバーシチモードを選択する。また、フェムトセル基地局がマクロセル端末から受ける被干渉が小さい場合、フェムトセル基地局は、上りリンクのスケジューリングモードとして、時間ダイバーシチモードを選択する。スケジューリングモードの詳細は、後述する。
【0096】
フェムトセル基地局において行なわれる、マクロセル端末からの被干渉状況を判断し、上りスケジューリングモードを決定する方式を、図21、図22、図23、図24、図25を用いて説明する。
【0097】
図21および図24は、上りリンクスケジューリングモードを決定するためのシーケンスを示しており、図22、図23、図25は、上りリンクスケジューリングモードを決定する処理を示している。
【0098】
図21を参照して、フェムトセル端末からフェムトセル基地局に報告される情報によって、マクロセル端末からフェムトセル基地局への干渉状況を判断する方式の手順を説明する。図21において、マクロセル基地局100は、参照信号(RS)を送信する(S121)。フェムトセル端末300は、無線I/F303を通じて受信した参照信号の電力レベル(RSRP)を参照信号電力測定部321で算出する。あるいは、フェムトセル端末300は、受信した参照信号の電力レベルと、マクロセル基地局100の参照信号の送信電力を用いて、パスロス算出部322において、マクロセル基地局100とフェムトセル端末300の間の、パスロスを算出する。次に、フェムトセル端末300は、RSRPまたはパスロスをフェムトセル基地局200に報告する(S122)。
【0099】
フェムトセル基地局200は、1つまたは複数のフェムトセル端末300から報告されたRSRPまたはパスロス情報を、干渉情報テーブル211に格納する。フェムトセル基地局200は、RSRPまたはパスロス情報を用いて、上りスケジューリングモード切替部224において、上りリンクのスケジューリングモードを判定する(S123)。その後、フェムトセル基地局200は、必要に応じて上りリンクにおけるデータ送信のためのコンフィグを行ない(S124)、上りリンクデータ送信のためのリソース割当て情報を上りスケジューリング情報としてフェムトセル端末300に送信する(S125)。フェムトセル端末300は、上りデータをフェムトセル基地局200に送信する(S126)。
【0100】
図22を参照して、フェムトセル基地局の上りスケジューリングモード切替部224において行なわれる、上りスケジューリングモード判定処理S123を、RSRPに基づいて行なう場合のフローを説明する。図22において、まずRSRPが予め定められた閾値以上となる端末数Mをカウントするため、フェムトセル基地局200は、端末数Mを初期化する(S131)。RSRPが閾値ThRsrpUL以上となる端末がある場合(S132のYES)、フェムトセル基地局200は、端末数Mを1加算する(S133)。ステップ132およびステップ133の処理は、RSRPを報告したフェムトセル端末数Nについて行なう。
【0101】
その後、RSRPが閾値ThRsrpUL以上となる端末の割合M/Nが、予め定められた閾値ThFreqDiv以上となる場合(S134のYES)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして周波数ダイバーシチモードを選択する(S135)。M/Nが閾値ThHighRate未満となる場合(S134のNO)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択する(S136)。
【0102】
図23を参照して、フェムトセル基地局の上りスケジューリングモード切替部224において行なわれる、上りスケジューリングモード判定処理S123を、マクロセル基地局100とフェムトセル端末300の間のパスロスに基づいて行なう場合のフローを説明する。図23において、まずRSRPが予め定められた閾値以上となる端末数Mをカウントするため、フェムトセル基地局200は、端末数Mを初期化する(S141)。パスロスが閾値ThPathLossUL未満となる端末がある場合(S142のYES)、フェムトセル基地局200は、端末数Mを1加算する(S143)。ステップ142およびステップ143の処理は、パスロスを報告したフェムトセル端末数Nについて行なう。その後、RSRPが閾値ThPathLossUL未満となる端末の割合M/Nが、予め定められた閾値ThFreqDiv以上となる場合(S144のYES)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして周波数ダイバーシチモードを選択する(S145)。M/Nが閾値ThFreqDiv未満となる場合(S144のNO)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択する(S146)。
【0103】
図21、図22、図23では、単一のマクロセル基地局についてのRSRPまたはパスロスに基づいて上りスケジューリングモードを判定しているが、複数のマクロセル基地局についてのRSRPまたはパスロスに基づいて判定を行なってもよい。
【0104】
図21、図22、図23では、フェムトセル端末300がRSRPまたはパスロスの測定を行なっているが、フェムトセル基地局200が下りリンクの受信機能およびRSRPまたはパスロス測定を行ってもよい
図22では、マクロセルについてのRSRPを用いて下りスケジューリングモードを選択しているが、フェムトセルについてのRSRPに対する、マクロセルについてのRSRPの相対値を選択基準として用いてもよい。
【0105】
図23では、フェムトセル端末300がフェムトセル基地局200に報告したパスロスに基づいて上りスケジューリングモードを判定している。しかし、フェムトセル基地局200が、フェムトセル端末300から報告されたRSRPと、マクロセル基地局100の参照信号の送信電力を用いて算出した、パスロスを用いてもよい。
【0106】
図24を参照して、フェムトセル基地局が測定する上り干渉情報によって、マクロセル端末からフェムトセル基地局への干渉状況を判断する手順を説明する。図24において、マクロセル端末400は、マクロセル基地局100への上り送信を行なっている。マクロセル端末400による上り送信は、干渉としてフェムトセル基地局200で受信される(S151)。フェムトセル基地局200は、干渉測定部221において、複数のマクロセル端末400からの干渉電力レベルを、使用周波数帯域を複数のブロックに分割した、周波数ブロック毎に、算出する。ここで、周波数ブロックは、E−UTRAにおける周波数リソース割当ての最小単位である、RBとすることが望ましい。フェムトセル基地局200は、算出したマクロセル端末400からの干渉電力レベルを用いて、上りスケジューリングモード切替部224において、上りリンクのスケジューリングモードを判定する(S152)。その後、フェムトセル基地局200は、必要に応じて上りリンクにおけるデータ送信のためのコンフィグを行なう(S153)。フェムトセル基地局200は、上りリンクデータ送信のためのリソース割当て情報を上りスケジューリング情報としてフェムトセル端末300に送信する(S154)。フェムトセル端末300は、上りデータをフェムトセル基地局200に送信する(S155)。
【0107】
図25を参照して、フェムトセル基地局の上りスケジューリングモード切替部224において行なわれる、上りスケジューリングモード判定処理S152を、マクロセル端末400からの上り干渉電力レベルに基づいて行なう場合のフローを説明する。図25において、上り干渉電力レベルが予め定められた閾値ThPwrFreqDiv以上となる周波数ブロックがない場合(S161のNO)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図4のようにマクロセル中心付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして周波数ダイバーシチモードを選択する(S162)。
【0108】
M/Nが閾値ThFreqDiv未満となる場合(S161のYES)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル端末300およびフェムトセル基地局200が、図5のようにマクロセル端付近にあると判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択する(S163)。
【0109】
図25では、周波数ブロックごとの上り干渉電力に基づいて、上りスケジューリングモードを選択していたが、上り干渉電力の周波数ブロック間での差分を選択基準として用いてもよい。例えば、任意の周波数ブロック間の、上り干渉電力差が、予め定められた閾値以上であれば、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択し、そうでなければ、周波数ダイバーシチモードを選択する。
【0110】
図21から図25で説明した上りスケジューリングモードの判定は、フェムトセル基地局200の設置時に行なってもよいし、定期的に行なってもよい。
【0111】
上りスケジューリングモードの判定の際、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択したとしても、フェムトセル基地局200の近辺にマクロセル端末400が存在しない場合、フェムトセル基地局200の近辺に存在したマクロセル端末400が遠方に移動してしまった場合は、マクロセル端末400からフェムトセル基地局200への干渉が問題とならなくなる。このような場合は、図26に従い、周波数ダイバーシチモードを選択(再判定)してもよい。
【0112】
図26を参照して、フェムトセル基地局の上りスケジューリングモード切替部224において行なわれる、上りスケジューリングモードの再判定処理を、マクロセル端末400からの上り干渉電力レベルに基づいて行なう場合のフローを説明する。図26において、上りスケジューリングモードとして時間ダイバーシチモードを選択している場合(S171のYES)、フェムトセル基地局200は、干渉測定部221から、周波数ブロックごとの上り干渉電力レベルを取得する(S172)。その後、全ての周波数ブロックにおいて上り干渉電力レベルが予め定められた閾値ThULInterfereUL未満となる場合(S173のYES)、フェムトセル基地局200は、フェムトセル基地局200の近辺にマクロセル端末400が存在しないと判断する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリングモードとして周波数ダイバーシチモードを選択して(S174)、再判定処理を終了する。ステップ171またはステップ173でNOのとき、フェムトセル基地局200は、再判定処理を終了する。
【0113】
図26のような上りスケジューリングモードの再判定処理は、図22、図23、図25のような上りスケジューリングモード判定処理に引き続いて行なってもよいし、定期的に行なってもよい。
上りスケジューリングモードの詳細について、図27から図30を用いて説明する。
【実施例4】
【0114】
上りスケジューリングモードを使い分ける実施例4を、図27から図29を用いて説明する。実施例4では、周波数ダイバーシチモードでは、図4のようにフェムトセル近傍に、送信電力スペクトル密度の低いマクロセル端末400−1が存在することを想定し、低い電力スペクトル密度を使用してフェムトセル端末300の上りデータ送信を行なう。また、時間ダイバーシチモードでは、図5のようにフェムトセルからマクロセル基地局100までの伝搬路減衰が大きいことを想定し、高い電力スペクトル密度を使用してフェムトセル端末300の上りデータ送信を行なう。フェムトセル端末300の上りデータ送信に使用する電力スペクトル密度は、フェムトセル基地局200の上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、上りリンク送信電力制御部230で決定され、制御情報送信処理部227に渡される。
【0115】
電力スペクトル密度情報は、送信電力オフセットといった、送信モードのコンフィグとして、図21のステップ124または図24のステップ153において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。または、電力スペクトル密度情報は、送信電力コマンドといった、スケジューリング情報として、図21のステップ125または図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126や図24のステップ155の上りデータ送信は、上記でフェムトセル端末300に通知される電力密度スペクトル密度情報を利用して、送信電力制御部323で決定した送信電力を使用して行なう。
【0116】
図27を参照して、周波数ダイバーシチモードにおいて、低い電力スペクトル密度PwrDensityLowULを使用した目標受信電力スペクトル密度と、あるフェムトセル端末300に対する割当て周波数リソースを説明する。図27において、周波数ダイバーシチモードは、電力スペクトル密度を下げ、さらに、周波数リソースの幅(割当てRB数)を広げ、MCSを下げる(64QAMからQPSK方向)。
【0117】
図28を参照して、時間ダイバーシチモードにおいて、高い電力スペクトル密度PwrDensityHighULを使用した目標受信電力スペクトル密度と、あるフェムトセル端末300に対する割当て周波数リソースを説明する。ただし、PwrDensityHighULはPwrDensityLowUL以上とする。図28において、時間ダイバーシチモードは、電力密度を上げ、周波数リソースの幅(割当てRB数)を狭くし、MCSを上げる。
【0118】
図29を参照して、E−UTRAの上りデータ送信に使用できるMCSを説明する。図29において、上りMCSテーブル215/315は、MCS Index 2151、サブキャリア変調方式2152から成る。さらに、E−UTRAでは、MCSと割当てRB数に応じてPHYパケットサイズが決められており、誤り訂正符号の符号化率が算出できる。図29に記載した符号化率2153は、おおよその値である。
【0119】
フェムトセル基地局200の上りスケジューラ225は、上りMCSテーブル215からMCSを選択する。上りスケジューラ225は、選択したMCSのMCS Indexを、上りスケジューリング情報テーブル213に格納する。フェムトセル基地局200は、上りスケジューリング情報をフェムトセル端末300に送信する。フェムトセル端末300は、上りスケジューリング情報のMCSIndexと上りMCSテーブル315を参照し、上りデータを送信する。
【0120】
上りデータ送信に使用するMCSは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125または図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。
【0121】
図27で説明したように、周波数ダイバーシチモードでは、目標受信電力スペクトル密度が低い。このため、上りデータの復号成功の確率を向上するため、低いMCSを選択してもよい。しかしながら、低いMCSを選択すると、PHYパケットサイズは小さくなるため、データレートが低下してしまう。データレートを維持したい場合は、フェムトセル端末300への割当てRB数を増やせばよい。割当てRB数を増やすことによって、低いMCSを選択しても、PHYパケットサイズが小さくなるのを防ぐことができ、データレートの低下を防止することができる。
【0122】
一方、図28で説明したように、時間ダイバーシチモードでは、目標受信電力スペクトル密度が高い。このため、周波数ダイバーシチモードと異なり、高いMCSを選択してもよい。高いMCSを選択する場合は、RB当たり送信データサイズは低いMCSを使用する場合に比べて大きいから、割当てるRB数を減らしてもよい。このとき、図28の割当て周波数リソース幅(RB数)は、図27の割当て周波数リソース幅(RB数)より大きくなる。すでに説明したように、時間ダイバーシチモードを選択する場合は、図5のようなフェムトセル配置を想定しており、フェムトセル基地局200における受信SINRが周波数領域で変動する。従って、時間ダイバーシチモードでは、伝搬路状況のよいサブ帯域のRBを集中的に割当てることによって、フェムトセル近傍に存在するマクロセル端末400−2からの干渉を回避しつつ、周波数選択性ゲインを得ることができる。
【0123】
フェムトセル端末300への上りデータ送信に使用するMCSは、上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の上りリンクスケジューラ225で決定される。決定したMCSは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125または図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126および図24のステップ155の上りデータ送信は、上記でフェムトセル端末300に通知される上りスケジューリング情報に従って行なわれる。
【実施例5】
【0124】
上りスケジューリングモードを使い分ける実施例5を、図30を用いて説明する。実施例5では、周波数ダイバーシチモードでは、HARQ送信回数を少なくし、時間ダイバーシチモードでは、HARQ送信回数を多くする。
【0125】
図30を参照して、E−UTRAの上りデータ送信におけるHARQ送信を説明する。図30において、Subframe2において、端末は、1回目のHARQ送信を行ない、Subframe10において、端末300は、2回目のHARQ送信を行なう。Subframe18において、端末300は、3回目のHARQ送信を行ない、Subframe26において、端末300は、4回目のHARQ送信を行なう。すなわち、図30では、8 Subframeおきに端末300は、HARQ送信を行なう。ただし、端末300がフェムトセル基地局200からACK応答を受信すると、端末300は、以降のHARQ送信を中止する。
【0126】
周波数ダイバーシチモードを選択する場合は、図4のようなフェムトセル配置を想定しており、フェムトセル基地局200における受信SINRの変動が小さい。このような環境では、HARQ送信回数を増やすことによって得られる時間ダイバーシチの効果が小さいと考えられるため、HARQ送信回数を少なくすることにより、上りデータ送信開始から、復号成功までの時間遅延を抑制する。
【0127】
HARQ送信回数を少なくするには、低いMCSを選択すればよい。なぜならば、低いMCSを選択した場合、復号成功に必要な所要SINRが小さくなるため、受信電力スペクトル密度を一定として比較した場合、高いMCSを選択した場合に比べて、各HARQ送信における復号成功確率が高くなるためである。
【0128】
具体的には、周波数ダイバーシチモードでは、HARQ送信1回目(図30のSubframe2)で所定(例えば1%)のPER(Packet Error Rate)を達成するような、MCSを選択すればよい。
【0129】
一方、時間ダイバーシチモードを選択する場合は、図4のようなフェムトセル配置を想定しており、フェムトセル基地局200における受信SINRが変動する。このような環境では、HARQ送信回数を増やすことにより、時間ダイバーシチの効果が得られる。これにより、受信SINRが変動する環境でも、HARQによりその変動を吸収し、安定したデータ送信を実現できる。
【0130】
HARQ送信回数を増やすには、高いMCSを選択すればよい。なぜならば、高いMCSを選択した場合、復号成功に必要な所要SINRが大きくなるため、受信電力スペクトル密度を一定として比較した場合、低いMCSを選択した場合に比べて、各HARQ送信における復号成功確率が低くなるためである。具体的には、時間ダイバーシチモードでは、HARQ送信4回目(図30のSubframe26)で所定(例えば1%)のPERを達成するような、MCSを選択すればよい。
【0131】
フェムトセル端末300への上りデータ送信に使用するMCSは、上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の上りリンクスケジューラ225で決定される。決定したMCSは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125や図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126や図24のステップ155の上りデータ送信は、フェムトセル端末300に通知された上りスケジューリング情報に従って行なわれる。
【実施例6】
【0132】
上りスケジューリングモードを使い分ける実施例6を、図16および図17を用いて説明する。なお、図17および図16は、下りリンクの周波数ホッピング有無を説明する図であるが、ここでは、上り信号として、読み替える。
【0133】
実施例6では、時間ダイバーシチモードでは、上りリンクの通信リソースとして割当てる周波数リソースを、周波数ホッピングさせることにより、マクロセル端末400からフェムトセル基地局200への干渉の影響の分散化を行なう。周波数ダイバーシチモードでは、図4で説明したように、フェムトセル基地局200における受信SINRの変動は小さいため、下りリンクの通信リソースとして割当てる周波数リソースを、周波数ホッピングさせない。以下では、周波数ホッピングは、HARQ送信の単位で行なうことを仮定する。フェムトセル端末300への上りデータ送信に使用する周波数リソースの割当てと、周波数ホッピングを行なうか否かは、上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の上りリンクスケジューラ225で行なわれる。割当てた周波数リソースは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125や図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126や図24のステップ155の上りデータ送信は、上記でフェムトセル端末300に通知される上りスケジューリング情報に従って行なわれる。
【0134】
図17を参照して、時間ダイバーシチモードにおいて使用する、周波数ホッピングを適用する周波数リソース割当てを説明する。図17で、端末#1に割当てられたRBは、HARQ送信毎((1)(2)(3)(4))に、異なる。このように、周波数ホッピングを行なう場合は、当該フェムトセル端末の通信に干渉の影響を与えるマクロセル端末400が、HARQ送信毎に異なることが期待される。このとき、マクロセル端末400から受ける干渉の影響が分散した結果、フェムトセルにおける干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【0135】
図16を参照して、周波数ダイバーシチモードにおいて使用する、周波数ホッピングを適用しない周波数リソース割当てを説明する。図16で、端末#1に割当てられたRBは、HARQ送信1回目(図16の(1))とそれ以降(図16の(2)(3)(4))で同一である。なお、図16では、HARQ送信毎に同一のRBを割当てているが、必ずしも全く同一のRBを割当てる必要はなく、同一のサブ帯域内で割当てれば十分である。なお、周波数ダイバーシチモードでは、周波数選択性ゲインが期待されない場合は、周波数ホッピングを適用してもよい。
【実施例7】
【0136】
上りスケジューリングモードを使い分ける実施例7を、図12から図15を用いて説明する。なお、図12ないし図15は、下り信号の周波数リソースの割り当てを説明する図であるが、ここでは、上り信号と読み替える。
【0137】
実施例7では、周波数ダイバーシチモードでは、上りリンクの通信リソースとして、周波数方向に連続した周波数リソースを割当てることにより、周波数選択性ゲインによるレート向上を図る。また、時間ダイバーシチモードでは、上りリンクの通信リソースとして、周波数方向に分散した周波数リソースを割当てることにより、マクロセル端末400からフェムトセル基地局200への干渉の影響の分散化を行なう。フェムトセル端末300への上りデータ送信に使用する周波数リソースの割当ては、上りスケジューリングモード切替部224が決定した上りスケジューリングモードに従い、フェムトセル基地局200の上りリンクスケジューラ225で行なわれる。割当てた周波数リソースは、上りスケジューリング情報として、図21のステップ125や図24のステップ154において、フェムトセル基地局200からフェムトセル端末300に通知される。図21のステップ126や図24のステップ155の上りデータ送信は、フェムトセル端末300に通知された上りスケジューリング情報に従って行なわれる。
【0138】
周波数ダイバーシチモードにおける周波数リソース割当ては、図12や図13の方法を用いて行なう。周波数リソース割当てパターンについては、図12と図13ですでに説明したとおりである。図12や図13のように、無線伝搬路品質のよいサブ帯域で集中的にRBを割当てることにより、周波数選択性ゲインが得られ、通信品質が向上する。
【0139】
時間ダイバーシチモードにおける周波数リソース割当ては、図14や図15の方法を用いて行なう。周波数リソース割当てパターンについては、図14と図15ですでに説明したとおりである。図14や図15のように、分散したRBを割当てることにより、RB毎に干渉の影響を与えるマクロセル端末400が異なることが期待される。このとき、フェムトセル端末300の上りデータ通信に与える干渉の影響が分散した結果、フェムトセル基地局200における干渉による通信品質の劣化を抑制することができる。
【0140】
上記で説明した実施例4から実施例7は、互いに排他的ではなく、複数の実施例を組み合わせて使用することが可能である。
【0141】
上述した実施例に拠れば、フェムトセル基地局とマクロセル端末、あるいは、マクロセル基地局とフェムトセル端末の、間で発生する干渉を抑制することにより、無線通信品質を改善し、無線資源の利用効率の向上に資することができる。
【符号の説明】
【0142】
100…マクロセル基地局、110…マクロセル、200…フェムトセル基地局、201…メモリ、202…CPU、203…無線I/F、204…論理回路、205…有線I/F、210…フェムトセル、300…フェムトセル端末、301…メモリ、302…CPU、303…無線I/F、304…論理回路、400…マクロセル端末。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末と無線通信を行なう基地局において、
第2の基地局と無線通信を行なう第2の端末に対して、前記基地局が与える電波干渉を推定して、
前記第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する前記第2の端末に、前記基地局が与える電波干渉が小さいとき、高レートモードを選択し、
前記第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する前記第2の端末に、前記基地局が与える電波干渉が大きいとき、干渉緩和モードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末に対して、前記基地局が与える電波干渉の大小は、前記第1の端末が、前記基地局に通知する、前記第2の基地局が送信する参照信号の前記第1の端末における受信電力に基づいて、
前記参照信号の受信電力が予め定められた閾値以上のとき、前記高レートモードを選択し、
前記参照信号の受信電力が予め定められた閾値未満のとき、前記干渉緩和モードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項3】
請求項1に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末に対して、前記基地局が与える電波干渉の大小は、前記第2の基地局と前記第1の端末との間の無線伝搬路における伝搬減衰レベルに基づいて、
前記伝搬減衰レベルが予め定められた閾値以上のとき、前記干渉緩和モードを選択し、
前記伝搬減衰レベルが予め定められた閾値未満のとき、前記高レートモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項4】
請求項1に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末に対して、前記基地局が与える電波干渉の大小は、前記第2の端末が前記第2の基地局に向けて送信する上りリンク送信信号により、基地局が受ける干渉の受信電力に基づいて、
前記基地局における受信干渉電力が予め定められた閾値以上のとき、前記干渉緩和モードを選択し、
前記基地局における受信干渉電力が予め定められた閾値未満のとき、前記高レートモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項5】
請求項1に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記基地局は、前記第1の端末に、周波数方向に連続した下りリンクの通信リソースを割り当て、
前記干渉緩和モードでは、前記基地局は、前記第1の端末に、周波数方向に連続しない下りリンクの通信リソースを割り当てることを特徴とする基地局。
【請求項6】
請求項1に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記第1の端末に、空間多重を用いて、下りリンクのデータ送信を行ない、
前記干渉緩和モードでは、前記第1の端末に、時空間ダイバーシチを用いて、下りリンクのデータ送信を行なうことを特徴とする基地局。
【請求項7】
請求項1に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記第1の端末に、割当てる下りリンクの通信リソースに、周波数ホッピングを適用せず、
前記干渉緩和モードでは、前記第1の端末に、割当てる下りリンクの通信リソースに、周波数ホッピングを適用することを特徴とする基地局。
【請求項8】
請求項1に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記第1の端末に、第1の電力スペクトル密度を使用して、下りリンクのデータ送信を行ない、
前記干渉緩和モードでは、前記第1の端末に、第2の電力スペクトル密度を使用して、下りリンクのデータ送信を行ない、
前記第1の電力スペクトル密度は、前記第2の電力スペクトル密度より大きいことを特徴とする基地局。
【請求項9】
請求項8に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記第1の端末に、第1の変調方式と、第1の誤り訂正符号の符号化率を使用して、下りリンクのデータ送信を行ない、
前記干渉緩和モードでは、前記第1の端末に、第2の変調方式と、第2の誤り訂正符号の符号化率を使用して、下りリンクのデータ送信を行ない、
(A)前記第1の変調方式は、前記第2の変調方式より多値である、
(B)前記第1の符号化率は、前記第2の符号化率より大きい、
(C)前記第1の変調方式は、前記第2の変調方式より多値であり、かつ、前記第1の符号化率は、前記第2の符号化率より小さい、
の(A)(B)(C)のいずれかが成立することを特徴とする基地局。
【請求項10】
請求項1に記載の基地局であって、
前記基地局が与える電波干渉に応じて、干渉緩和モードを選択した場合、
前記基地局の近傍に、前記第2の端末が存在しない場合、干渉緩和モードの使用を中止し、高レートモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項11】
第1の端末と無線通信を行なう基地局において、
第2の基地局と無線通信を行なう第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉に応じて、
前記第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する前記第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉が小さいとき、前記第1の端末に周波数ダイバーシチモードを選択し、
前記第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する前記第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉が大きいとき、前記第1の端末に時間ダイバーシチモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項12】
請求項11に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉の大小について、前記第1の端末が通知する前記第2の基地局が送信する参照信号の前記第1の端末における受信電力に基づいて、
前記参照信号の受信電力が予め定められた閾値以上のとき、前記第1の端末に周波数ダイバーシチモードを選択し、
前記参照信号の受信電力が予め定められた閾値未満のとき、前記第1の端末に干渉緩和モードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項13】
請求項11に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉の大小について、前記第1の端末が通知する、第2の基地局と第1の端末群との間の無線伝搬路における伝搬減衰レベルに基づいて、基地局が判定し、
前記伝搬減衰レベルが予め定められた閾値以上のとき、前記第1の端末に時間ダイバーシチモードを選択し、
前記伝搬減衰レベルが予め定められた閾値未満のとき、前記第1の端末に周波数ダイバーシチモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項14】
請求項11に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末が、基地局に与える電波干渉の大小について、前記第2の端末が前記第2の基地局に向けて送信する上りリンク送信信号により、前記基地局が受ける干渉の受信電力に基づいて、
前記基地局における受信干渉電力が予め定められた閾値以上のとき、前記第1の端末に時間ダイバーシチモードを選択し、
前記基地局における受信干渉電力が予め定められた閾値未満のとき、前記第1の端末に周波数ダイバーシチモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項15】
請求項11に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末からの上りリンクのデータ送信において、第1の再送ターゲット回数を設定し、
前記時間ダイバーシチモードでは、第1の端末からの上りリンクのデータ送信において、基地局は、第2再送ターゲット回数を設定し、
前記第1の再送ターゲット回数は、前記第2の再送ターゲット回数より少ないことを特徴とする基地局。
【請求項16】
請求項11に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末に、割当てる上りリンクの通信リソースに、周波数ホッピングを適用せず、
前記時間ダイバーシチモードでは、前記第1の端末に、割当てる上りリンクの通信リソースに、周波数ホッピングを適用することを特徴とする基地局。
【請求項17】
請求項11に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末に、周波数方向に連続した上りリンクの通信リソースを割り当て、
前記時間ダイバーシチモードでは、前記第1の端末に、周波数方向に連続しない上りリンクの通信リソースを割り当てることを特徴とする基地局。
【請求項18】
請求項11に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末について、第1の電力スペクトル密度を使用して、上りリンクのデータ送信を行なわせ、
前記時間ダイバーシチモードでは、前記第1の端末について、第2の電力スペクトル密度を使用して、上りリンクのデータ送信を行なわせ、
前記第2の電力スペクトル密度は、前記第1の電力スペクトル密度より大きいことを特徴とする基地局。
【請求項19】
請求項11に記載の基地局であって、
前記第2の端末から受ける電波干渉に応じて、前期時間ダイバーシチモードを選択した場合、
近傍に前記第2の端末が存在しない場合、時間ダイバーシチモードの使用を中止し、周波数ダイバーシチモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項20】
請求項18に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末について、第1の変調方式と、第1の誤り訂正符号の符号化率を使用して、上りリンクのデータ送信を行なわせ、
前記時間ダイバーシチモードでは、前記第1の端末について、第2の変調方式と、第2の誤り訂正符号の符号化率を使用して、上りリンクのデータ送信を行なわせ、
(A)前記第2の変調方式は、前記第1の変調方式より多値である、
(B)前記第2の符号化率は、前記第1の符号化率より大きい、
(C)前記第2の変調方式は、前記第1の変調方式より多値であり、かつ、前記第2の符号化率は、前記第1の符号化率より大きい、
の(A)(B)(C)のいずれかが成立することを特徴とする基地局。
【請求項1】
第1の端末と無線通信を行なう基地局において、
第2の基地局と無線通信を行なう第2の端末に対して、前記基地局が与える電波干渉を推定して、
前記第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する前記第2の端末に、前記基地局が与える電波干渉が小さいとき、高レートモードを選択し、
前記第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する前記第2の端末に、前記基地局が与える電波干渉が大きいとき、干渉緩和モードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末に対して、前記基地局が与える電波干渉の大小は、前記第1の端末が、前記基地局に通知する、前記第2の基地局が送信する参照信号の前記第1の端末における受信電力に基づいて、
前記参照信号の受信電力が予め定められた閾値以上のとき、前記高レートモードを選択し、
前記参照信号の受信電力が予め定められた閾値未満のとき、前記干渉緩和モードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項3】
請求項1に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末に対して、前記基地局が与える電波干渉の大小は、前記第2の基地局と前記第1の端末との間の無線伝搬路における伝搬減衰レベルに基づいて、
前記伝搬減衰レベルが予め定められた閾値以上のとき、前記干渉緩和モードを選択し、
前記伝搬減衰レベルが予め定められた閾値未満のとき、前記高レートモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項4】
請求項1に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末に対して、前記基地局が与える電波干渉の大小は、前記第2の端末が前記第2の基地局に向けて送信する上りリンク送信信号により、基地局が受ける干渉の受信電力に基づいて、
前記基地局における受信干渉電力が予め定められた閾値以上のとき、前記干渉緩和モードを選択し、
前記基地局における受信干渉電力が予め定められた閾値未満のとき、前記高レートモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項5】
請求項1に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記基地局は、前記第1の端末に、周波数方向に連続した下りリンクの通信リソースを割り当て、
前記干渉緩和モードでは、前記基地局は、前記第1の端末に、周波数方向に連続しない下りリンクの通信リソースを割り当てることを特徴とする基地局。
【請求項6】
請求項1に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記第1の端末に、空間多重を用いて、下りリンクのデータ送信を行ない、
前記干渉緩和モードでは、前記第1の端末に、時空間ダイバーシチを用いて、下りリンクのデータ送信を行なうことを特徴とする基地局。
【請求項7】
請求項1に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記第1の端末に、割当てる下りリンクの通信リソースに、周波数ホッピングを適用せず、
前記干渉緩和モードでは、前記第1の端末に、割当てる下りリンクの通信リソースに、周波数ホッピングを適用することを特徴とする基地局。
【請求項8】
請求項1に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記第1の端末に、第1の電力スペクトル密度を使用して、下りリンクのデータ送信を行ない、
前記干渉緩和モードでは、前記第1の端末に、第2の電力スペクトル密度を使用して、下りリンクのデータ送信を行ない、
前記第1の電力スペクトル密度は、前記第2の電力スペクトル密度より大きいことを特徴とする基地局。
【請求項9】
請求項8に記載の基地局であって、
前記高レートモードでは、前記第1の端末に、第1の変調方式と、第1の誤り訂正符号の符号化率を使用して、下りリンクのデータ送信を行ない、
前記干渉緩和モードでは、前記第1の端末に、第2の変調方式と、第2の誤り訂正符号の符号化率を使用して、下りリンクのデータ送信を行ない、
(A)前記第1の変調方式は、前記第2の変調方式より多値である、
(B)前記第1の符号化率は、前記第2の符号化率より大きい、
(C)前記第1の変調方式は、前記第2の変調方式より多値であり、かつ、前記第1の符号化率は、前記第2の符号化率より小さい、
の(A)(B)(C)のいずれかが成立することを特徴とする基地局。
【請求項10】
請求項1に記載の基地局であって、
前記基地局が与える電波干渉に応じて、干渉緩和モードを選択した場合、
前記基地局の近傍に、前記第2の端末が存在しない場合、干渉緩和モードの使用を中止し、高レートモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項11】
第1の端末と無線通信を行なう基地局において、
第2の基地局と無線通信を行なう第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉に応じて、
前記第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する前記第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉が小さいとき、前記第1の端末に周波数ダイバーシチモードを選択し、
前記第2の基地局の通信エリア端近傍に存在する前記第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉が大きいとき、前記第1の端末に時間ダイバーシチモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項12】
請求項11に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉の大小について、前記第1の端末が通知する前記第2の基地局が送信する参照信号の前記第1の端末における受信電力に基づいて、
前記参照信号の受信電力が予め定められた閾値以上のとき、前記第1の端末に周波数ダイバーシチモードを選択し、
前記参照信号の受信電力が予め定められた閾値未満のとき、前記第1の端末に干渉緩和モードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項13】
請求項11に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末が、前記基地局に与える電波干渉の大小について、前記第1の端末が通知する、第2の基地局と第1の端末群との間の無線伝搬路における伝搬減衰レベルに基づいて、基地局が判定し、
前記伝搬減衰レベルが予め定められた閾値以上のとき、前記第1の端末に時間ダイバーシチモードを選択し、
前記伝搬減衰レベルが予め定められた閾値未満のとき、前記第1の端末に周波数ダイバーシチモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項14】
請求項11に記載の基地局であって、
前記第2の基地局と無線通信を行なう前記第2の端末が、基地局に与える電波干渉の大小について、前記第2の端末が前記第2の基地局に向けて送信する上りリンク送信信号により、前記基地局が受ける干渉の受信電力に基づいて、
前記基地局における受信干渉電力が予め定められた閾値以上のとき、前記第1の端末に時間ダイバーシチモードを選択し、
前記基地局における受信干渉電力が予め定められた閾値未満のとき、前記第1の端末に周波数ダイバーシチモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項15】
請求項11に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末からの上りリンクのデータ送信において、第1の再送ターゲット回数を設定し、
前記時間ダイバーシチモードでは、第1の端末からの上りリンクのデータ送信において、基地局は、第2再送ターゲット回数を設定し、
前記第1の再送ターゲット回数は、前記第2の再送ターゲット回数より少ないことを特徴とする基地局。
【請求項16】
請求項11に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末に、割当てる上りリンクの通信リソースに、周波数ホッピングを適用せず、
前記時間ダイバーシチモードでは、前記第1の端末に、割当てる上りリンクの通信リソースに、周波数ホッピングを適用することを特徴とする基地局。
【請求項17】
請求項11に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末に、周波数方向に連続した上りリンクの通信リソースを割り当て、
前記時間ダイバーシチモードでは、前記第1の端末に、周波数方向に連続しない上りリンクの通信リソースを割り当てることを特徴とする基地局。
【請求項18】
請求項11に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末について、第1の電力スペクトル密度を使用して、上りリンクのデータ送信を行なわせ、
前記時間ダイバーシチモードでは、前記第1の端末について、第2の電力スペクトル密度を使用して、上りリンクのデータ送信を行なわせ、
前記第2の電力スペクトル密度は、前記第1の電力スペクトル密度より大きいことを特徴とする基地局。
【請求項19】
請求項11に記載の基地局であって、
前記第2の端末から受ける電波干渉に応じて、前期時間ダイバーシチモードを選択した場合、
近傍に前記第2の端末が存在しない場合、時間ダイバーシチモードの使用を中止し、周波数ダイバーシチモードを選択することを特徴とする基地局。
【請求項20】
請求項18に記載の基地局であって、
前記周波数ダイバーシチモードでは、前記第1の端末について、第1の変調方式と、第1の誤り訂正符号の符号化率を使用して、上りリンクのデータ送信を行なわせ、
前記時間ダイバーシチモードでは、前記第1の端末について、第2の変調方式と、第2の誤り訂正符号の符号化率を使用して、上りリンクのデータ送信を行なわせ、
(A)前記第2の変調方式は、前記第1の変調方式より多値である、
(B)前記第2の符号化率は、前記第1の符号化率より大きい、
(C)前記第2の変調方式は、前記第1の変調方式より多値であり、かつ、前記第2の符号化率は、前記第1の符号化率より大きい、
の(A)(B)(C)のいずれかが成立することを特徴とする基地局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2011−254389(P2011−254389A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128023(P2010−128023)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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