説明

基材を補強するためのシステム及び方法

【課題】基材を補強するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本基材(12)を補強するためのシステムは、回転装置(14)と、回転装置(14)に連結された第1のガイド(16)と、第1のガイド(16)に当接させて配置された型枠(18)とを含む。補強材(20)が、型枠(18)の周りにかつ第1のガイド(16)に当接させて巻付けられるように供給される。本基材(12)を補強する方法は、回転装置(14)に第1のガイド(16)を連結するステップと、第1のガイド(16)の第1の側面に型枠(18)を配置するステップとを含む。本方法はさらに、型枠(18)の周りにかつ第1のガイド(16)の第1の側面に当接させて補強材(20)を巻付けるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には基材を補強するためのシステム及び方法に関連する。本発明の具体的な実施形態では、剪断及び/又は引裂き特性を強化する単層又多層スパイラル補強基材を製作することができる。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、基材の強度及び引裂き品質を増大させる様々な技術が知られている。例えば、平行プライの積層体で製作されたシート、プレート、シェル又は同様のジオメトリのような基材は、平行プライに沿って引裂きを受け易い可能性がある。その結果、改良型の基材は、積層体の各層が隣接する層から約90°回転した状態で、クロスプライの交互層を含むことができる。クロスプライ積層体は各プライに平行な引裂きに対する基材の耐性を高めるが、クロスプライ積層体は依然として、該基材の強度及び剛性が早期に限界を越える可能性がある直交異方性を有する。具体的には、それを貫通する孔又はアパーチャを有するクロスプライ基材は、該孔又はアパーチャの周辺部の周りに引裂き、剪断破損又は割れを生じ易くなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5649398号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、基材を補強するためのシステム及び方法の改良は、有用であると言える。
【0005】
本発明の態様及び利点は、以下において次の説明に記載しており、或いはそれら説明から自明なものとして理解することができ、或いは本発明の実施により学ぶことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、基材を補強するためのシステムである。本システムは、回転装置と、回転装置に連結された第1のガイドと、第1のガイドに当接させて配置された型枠とを含む。補強材が、型枠の周りにかつ第1のガイドに当接させて巻付けられるように供給される。
【0007】
本発明の別の実施形態は、基材を補強するためのシステムである。本システムは、回転装置と、回転装置に連結された複数のガイドと、隣接するガイド間における型枠とを含む。補強材が、隣接するガイド間における各型枠の周りにかつ少なくとも1つのガイドに当接させて巻付けられるように構成される。
【0008】
本発明はまた、基材を補強する方法を含むことができる。本方法は、回転装置に第1のガイドを連結するステップと、第1のガイドの第1の側面に型枠を配置するステップとを含む。本方法はさらに、型枠の周りにかつ第1のガイドの第1の側面に当接させて補強材を巻付けるステップを含む。
【0009】
本明細書を精査することにより、当業者には、そのような実施形態の特徴及び態様並びにその他がより良好に理解されるであろう。
【0010】
添付図面の図を参照することを含む本明細書の以下の残り部分において、当業者に対する本発明の最良の形態を含む本発明の完全かつ有効な開示をより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による、基材を補強するためのシステムの斜視図。
【図2】線A−Aに沿って取った、図1に示すシステムの平面図。
【図3】本発明の別の実施形態による、基材を補強するためのシステムの斜視図。
【図4】図3に示すシステムによって製作した製品の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明するが、その1以上の実施例を図面に示す。発明の詳細な説明では、図面に記載した特徴的構成を示すために数字又は文字を符号として用いる。図面及び発明の詳細な説明では、本発明の同一又は同様の部品を示すために、同一又は同様の符号を用いる。
【0013】
各実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものではない。実際、本発明の技術的範囲又は技術的思想から逸脱せずに、本発明に様々な修正及び変形をなすことができることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は説明した特徴を、別の実施形態に用いてさらに別の実施形態としてもよい。従って、本発明は、かかる修正及び変形を特許請求の範囲で規定される技術的範囲及びその均等の範囲に属するものとして包含する。
【0014】
本発明の様々な実施形態は、基材を補強するためのシステム及び方法を含む。基材は、補強するのに望ましいあらゆる材料又は材料の組合せを含むことができる。例えば、基材は、均質又はモノリシック材料、クロスプライの複合材料、及び/又は均質及び複合材料の積層組合せを含むことができる。特定の実施形態では、補強材は、基材の一方又は両方の側面に直接適用(施工)することができる。他の特定の実施形態では、補強材は、別個に形成しかつその後補強を必要とする基材上の特定の位置に移動させることができる。例えば、補強材は、基材を貫通する既存の或いは予定の孔又はアパーチャと整列させて、基材を貫通する孔又はアパーチャの端縁部の剪断及び/又は引裂き特性を強化させることができる。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による、基材12を補強するためのシステム10の斜視図を示しており、また図2は、線A−Aに沿って取った、図1に示すシステム10の平面図を示している。本システム10は一般的に、回転装置14と、1以上のガイド16と、1以上の型枠18と、補強材20とを含む。回転装置14は、1つの構成要素を別の構成要素に対して回転させる当業者には公知のあらゆる手動又は自動装置を含むことができる。例えば、回転装置14には、手動クランク、ラチェット及びポール組立体、プーリ組立体、或いは図1に示すような空圧、液圧又は電気モータ22を含むことができる。
【0016】
1以上のガイド16は、回転装置14に連結されかつ補強材20の分配及び/又は配置を導く。ガイド16は、実質的にあらゆる材料のあらゆる寸法又は形状を含むことができる。例えば、ガイド16は、図1に示すように円形ディスク24又は方形シート26を含むことができる。特定の実施形態では、ガイド16は、補強すべき特定の基材12さえ含むことができる。それに代えて又はそれに加えて、基材12は、ガイド16の1以上の表面上に取付けるか又は固定することができる。いずれにしても、ガイド16は一般的に、互いにほぼ平行としかつ補強材20の所望の厚さに従って互いに分離させることができる。例えば、隣接するガイド16は、補強材20の厚さの約2倍よりも小さい距離だけ互いに分離させることができる。このようにして、ガイド16は、補強材20の単一の厚さ又は層が隣接するガイド16間に装着され、従って基材12に施工される補強材20の最終厚さを制限するのを可能にすることができる。隣接するガイド16間の距離は特定の実施形態に従って所望に応じて変化させることができること、また隣接するガイド16間の距離は特許請求の範囲に明確に記載していない限り本発明の限定ではないことが、当業者には容易に分かるであろう。
【0017】
型枠18は、ガイド16の1以上に当接させて配置して、その周りに補強材20が形成される表面を設けることができる。例えば、図1に示すように、型枠18は、ガイド16の1以上の表面に当接することができ、或いは型枠18は、ガイド16の1以上内のアパーチャ28又は孔と整列させかつ/又は該1以上内のアパーチャ28又は孔を貫通して延びることができる。特定の実施形態では、型枠18は、隣接するガイド16間に配置して、さらに該隣接するガイド16間に所望の間隔を設けるようにすることができる。各実施形態ではほぼ円筒形状として図示しているが、型枠18は、補強材20の所望の最終寸法及び形状に応じて、あらゆる寸法又は形状を含むことができる。
【0018】
補強材20は、型枠18の周りにかつガイド16に当接させて巻付けられるように供給される。補強材20は、基材を補強する当業者には公知のあらゆる好適な材料を含むことができる。例えば、図1及び図2に示すように、補強材20は、下に横たわる基材12と適合性がある連続した不織又は織布或いは撚り線を含むことができる。補強材20の直径及び剛性は、該補強材20の所望の寸法及び強度により決まる。例えば、特定の実施形態では、補強材20内の個々の布又は撚り線は、約6〜10ミルのオーダの直径及び4インチの不支持長さ当たり約1インチのドループの剛性を有することができる。加えて、補強材20は、例えばポリビニルブチラール重合体バインダで形成された樹脂ベースのスラリー内にディッピングするか又は該樹脂ベースのスラリーで被覆することができる。使用する場合には、樹脂ベースのスラリーは、補強材20を型枠18の周りに巻付けるか又は基材12に施工する前に或いはそれらの後に該補強材20に施工することができる。樹脂ベースのスラリーは、補強材20をそれ自体、ガイド16及び/又は基材12に結合することができる接着剤を含むことができる。所望の場合には、樹脂ベースのスラリーは、例えば焼却又は硬化プロセス時に補強材20に加えられる熱のような熱の存在下で揮発性であるものとすることができる。
【0019】
図3は、本発明の別の実施形態による、基材12を補強するためのシステム40の斜視図を示しており、図4は、図3に示すシステム40によって製作した補強基材12の斜視図を示している。図3に示すように、システム40はここでも同様に、図1及び図2に示す実施形態に関して前述したように回転装置14と、ガイド16と、型枠18と、補強材20とを含む。具体的には、ガイド16は回転装置14に連結され、また型枠18は、隣接するガイド16間でかつ該隣接するガイド16を貫通して延びる。この特定の実施形態では、ガイド16は基材12を含み、また補強材20は、ガイド16又は基材12内の既存のアパーチャ28に近接して隣接するガイド16又は基材12間に供給される。図4に示すように、最終製品は、補強材20が隣接する基材12間に設置されてアパーチャ28の周りの外周部を強化した状態で、基材12の複数層を含む。
【0020】
図1〜図4に関して前述しかつ図示した実施形態はまた、基材12を補強する方法を提供することができる。本方法は、回転装置14に1以上のガイド16を連結するステップと、ガイド16の1以上に当接させて或いはそれらを貫通させて型枠18を配置するステップとを含む。それに代えて又はそれに加えて、型枠18は、ガイド16内の既存の又は予定のアパーチャ28と整列させた状態で配置し或いは該アパーチャ28を貫通させて挿入することができる。本方法はさらに、図1に示すように、型枠18の周りにかつガイド16に当接させて補強材12を巻付けるステップ或いは図3に示すように、型枠18の周りにかつ隣接するガイド16間に複数の補強材20を巻付けるステップを含むことができる。具体的には、回転装置14は、ガイド16が補強材20の配置を導くか或いは制御する時に、型枠18及び/又はガイド16を回転させて該型枠18上にかつ該型枠18の周りに補強材20を引き入れる。得られた補強材20は、型枠18及び/又はアパーチャ28の周りのスパイラル巻付き部として図2及び図4に最も明瞭に示している。図3におけるような特定の実施形態では、ガイド16は、基材12を含むことができ、或いは基材12は、ガイド16に連結又は接着させることができ、このケースでは、スパイラル巻付き補強材20は基材12に直接施工される。それに代えて、スパイラル巻付き補強材20は、所望に応じて、ガイド16上に又は該ガイド16に当接させて形成し、その後ガイド16から取外し、かつ基材12に適用することができる。
【0021】
補強材20が型枠18の周りに及び/又はガイド16に当接させて又は該ガイド16間に巻付けられると、型枠18はガイド16から取外すことができ、かつ補強材20は当技術分野で公知なように熱処理又は硬化させることができる。それに代えて又はそれに加えて、所望の場合には、型枠18は、ガイド16又は基材12の反対側面上に配置させることができ、かつガイド16又は基材12の反対側面に補強材20を施工するプロセスを反復することができる。いずれの場合にも、ガイド16は、補強材20の所望の厚さだけ互いに分離させることができる。例えば、ガイド16は、補強材20の厚さの約2倍よりも小さい距離だけ分離させることができる。
【0022】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0023】
10 システム
12 基材
14 回転装置
16 ガイド
18 型枠
20 補強材
22 モータ
24 円形ディスク
26 方形ディスク
28 アパーチャ
40 システム(図3、図4)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(12)を補強するためのシステム(10)であって、
a.回転装置(14)と、
b.前記回転装置(14)に連結された第1のガイド(16)と、
c.前記第1のガイド(16)に当接させて配置された型枠(18)と、
d.前記型枠(18)の周りにかつ前記第1のガイド(16)に当接させて巻付けられるように供給される補強材(20)と
を備えるシステム(10)。
【請求項2】
前記型枠(18)が、前記第1のガイド(16)を貫通して延びる、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記第1のガイド(16)が、前記基材(12)を含む、請求項1又は請求項2記載のシステム(10)。
【請求項4】
第2のガイド(16)をさらに含み、前記型枠(18)が、前記第1のガイド(16)及び第2のガイド(16)間に配置される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記第1のガイド(16)が、前記第2のガイド(16)にほぼ平行である、請求項4記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記第1のガイド(16)が、前記補強材(20)の厚さの約2倍よりも小さい距離だけ前記第2のガイド(16)から分離される、請求項4又は請求項5記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記型枠(18)が、前記第2のガイド(16)を貫通して延びる、請求項4又は請求項5記載のシステム(10)。
【請求項8】
基材(12)を補強する方法であって、
a.回転装置(14)に第1のガイド(16)を連結するステップと、
b.前記第1のガイド(16)の第1の側面上に型枠(18)を配置するステップと、
c.前記型枠(18)の周りにかつ前記第1のガイド(16)の第1の側面に当接させて補強材(20)を巻付けるステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記第1のガイド(16)に前記基材(12)を連結するステップをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記型枠(18)を前記第1のガイド(16)内のアパーチャ(28)と整列させるステップをさらに含む、請求項8又は請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記第1のガイド(16)を貫通させて前記型枠(18)を挿入するステップをさらに含む、請求項8乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記第1のガイド(16)から前記型枠(18)を取外すステップをさらに含む、請求項8乃至請求項11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記第1のガイド(16)の第2の側面上に前記型枠(18)を配置するステップと、
前記型枠(18)の周りにかつ前記第1のガイド(16)の第2の側面に当接させて前記補強材(20)を巻付けるステップと
をさらに含む、請求項8乃至請求項12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記第1のガイド(16)から前記補強材(20)を取外すステップと、
前記基材(12)に前記補強材(20)を施工するステップと
をさらに含む、請求項8乃至請求項13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記第1のガイド(16)及び第2のガイド(16)間に前記補強材(20)を巻付けるステップをさらに含む、請求項8乃至請求項14のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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