説明

基板の分割方法

【課題】 チップ欠けを生じさせることなく、チップ形状を再現性良く四角形に近い形で基板分割し、また平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な基板の分割方法を提供する。
【解決手段】 基板表面2に、その強さが基板の内部に転位を生じさせる強さであり、またその飛程が基板の深さ方向において結晶欠陥が生じ始める、温度が異なる2つの部分の界面の基板表面2からの深さよりも長い電子ビーム1を照射し、転位を起点としたクラックを発生させて劈開面5を形成し、基板を分割する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば窒化物半導体から構成される半導体レーザ素子、発光ダイオードあるいは電界効果トランジスタ集積回路の製造方法に適用できる基板の分割方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組成式がAlxGa1-x-yInyN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦x+y+z≦1)で示されるGaN系窒化物半導体(以下、InGaAlNと表記)は、広い禁制帯幅(GaNの室温での禁制帯幅が3.4eV)を有しており、緑色・青色の可視域あるいは紫外といった波長範囲にて高出力の発光ダイオードを実現できる材料であり、蛍光体を青色発光ダイオードにより励起することで白色光を得る白色発光ダイオードが広く用いられている。また、次世代高密度光ディスクシステム用光源としての、窒化物半導体を用いた青紫色半導体レーザ素子も既に商品化されている。また、窒化物半導体はその大きな飽和ドリフト速度や高耐圧といった特性から、将来の高周波高出力電子デバイス用として有望視されており、研究開発が活発に行われている。
【0003】
一般に窒化物半導体の結晶成長にはサファイア基板やSiC基板といった非常に硬い基板が用いられ、その基板上に有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD法)によりデバイス構造をエピタキシャル成長する方法が用いられている。また最近では、厚膜結晶をハイドライド気相成長法(Hydride Vapor Phase Epitaxy: HVPE法)により母材基板上に形成し、母材基板を分離あるいは除去することで得られるGaN基板が開発され、その上へのデバイス構造形成も行われている。いずれの場合も、これらの基板は従来の半導体基板であるSi基板やGaAs基板に比べて非常に硬いため、チップ分離が一般に非常に困難であり、一般に用いられているダイヤモンドブレードを使ってダイシングを行う方法(例えば、特許文献1、2参照)では、チップ欠けが多発したり、再現性良く四角形にダイシングすることが困難であったりするという問題がある。また半導体レーザ素子を作製する場合には、劈開により共振器ミラーを形成する必要があるが、この劈開面を平坦な面とすることも困難である。これまでは、例えばサファイア基板やSiC基板に例えばダイヤモンドスクライバーで線状の溝を形成した後に基板に刃状治具を押し付ける形での劈開等が行われてきたが、この方法では平坦な劈開面を得ることが困難であるため、結果として得られる半導体レーザ素子の閾値電流が大きくなり、工程の歩留まりが悪くなるという課題がある。
【0004】
また、ダイシングが困難な別の一例として、非常に硬い低誘電率絶縁膜を有するSi集積回路(LSI: Large Scale Integrated circuits)が形成された基板のチップ分離が挙げられる。Si集積回路においてはディープサブミクロン領域への微細化及びそれに伴う高速動作化の開発が加速しており、このような大規模集積回路では配線遅延が大きな問題となっている。この問題を解決すべく、配線の層間絶縁膜の誘電率を小さくして配線遅延を少なくすることが積極的に行われている。この低誘電率絶縁膜は一般に非常に硬い材料であるために、チップ分離のダイヤモンドブレードによるダイシング加工が非常に困難であるという課題がある。
【0005】
以上の通り、サファイア基板やSiC基板上に窒化物半導体デバイスが形成されてなる窒化物半導体基板、又は前述の基板上に低誘電率絶縁膜等の非常に硬い材料を含む半導体デバイスが形成されてなる半導体基板においては、チップ欠けが無くまた再現性良く所望の形状に分割することが非常に困難である。従って、このような問題を解決することが可能な、半導体基板の劈開・チップ分離技術が求められている。
【0006】
以下、従来技術の一例として、半導体基板の分割方法を2つの従来例で説明する。
図11A、図11Bは従来例における窒化物半導体基板の劈開方法を示す外観図及び断面図である。
【0007】
まず、図11Aに示される通り、サファイア基板7上に例えばMOCVD法によりエピタキシャル成長層13を形成し、GaN系半導体レーザ素子を形成する。このエピタキシャル成長層13は具体的には、n型AlGaNクラッド層、InGaN多重量子井戸活性層、p型AlGaNクラッド層を含みInGaN多重量子井戸活性層は405nmで青紫色レーザ発振する。p型AlGaNクラッド層あるいはp型GaN層がエピタキシャル成長層13表面に形成され、p型AlGaNクラッド層上にはパターニングされた例えばNi/Au等のp型オーミック電極が形成される。p型AlGaNクラッド層及びInGaN多重量子井戸活性層を選択的に除去した後に表面に露出したn型AlGaNクラッド層あるいはその下部に形成されるn型GaN層上には、Ni/Al等のn型オーミック電極が形成されている。なお、ここではサファイア基板の例を示したが、基板はSiC基板であっても良い。続いて、このエピタキシャル成長層13が形成されていないサファイア基板7の裏面を、サファイア基板7が例えば100μm厚程度になるまで研磨した後に、サファイア基板7裏面に、半導体レーザ素子の共振器長の間隔で、サファイア基板7の劈開方向であるa軸方向(<11-20>方向)を向いたスクライブ線15を形成する。このスクライブ線15の形成にあたってはダイヤモンドスクライバー14が用いられ、深さ約50μmの溝が形成される。
【0008】
次に、スクライブ線15の形成後、図11Bに示される通り、サファイア基板7裏面のスクライブ線15に刃状治具17を当て、エピタキシャル成長層13表面より治具16で圧力を加えて複数の半導体レーザチップからなるバー状の窒化物半導体基板を形成する。そして、バー状の窒化物半導体基板の劈開面18に対する端面反射率向上のためのコーティング、及び上記劈開工程を繰り返し実行してバー状の窒化物半導体基板を更に分割し、半導体レーザチップが得られる。
【0009】
図12は従来例における半導体基板のチップ分離方法を示す外観図である。
まず、図12に示される通り、サファイア基板7上に例えばMOCVD法によりGaN系エピタキシャル成長層19を形成する。このエピタキシャル成長層19は発光ダイオードや電界効果トランジスタ集積回路を構成している。発光ダイオードを構成する場合、エピタキシャル成長層19は具体的には、n型GaN層あるいはn型AlGaN層、InGaN多重量子井戸活性層、p型AlGaN層あるいはp型GaN層を含み、InGaN多重量子井戸活性層は電流注入により470nmで青色発光する。一方、電界効果トランジスタを構成する場合にはアンドープGaN層上にn型AlGaN層が形成される。続いて、電極形成等のデバイス形成プロセスの完了後にサファイア基板7を研磨等により薄膜化する。その後、ダイヤモンドブレード20を用いて、図12に示される通り、xy方向に半導体基板を四角形に切断することで、チップ分離を行うことができる。
【特許文献1】特開平8−236867号公報
【特許文献2】特開平10−242570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の半導体基板の分割方法では、図11A、11B及び図12に示されるいずれの場合にもダイヤモンドスクライバー等を用いて半導体基板に溝を設けるかあるいは半導体基板を切断せねばならず、チップ欠けが多発したり、チップ形状が再現性良く四角形にできなかったりするといった課題がある。さらに、ダイヤモンドブレードで切断し、チップ分離を行う場合には、ダイヤモンドブレードで切断される分のチップ幅を確保する必要があり、結果として、基板1枚から得られるチップ総数が少なくなってチップコストが大きくなるという課題もある。さらにまた、半導体レーザ素子の共振器を形成するための劈開を行う場合には、平坦な劈開面を得ることが困難であり、結果として半導体レーザ素子の閾値電流が大きくなり、また工程の歩留まりが悪くなるといった課題もある。
【0011】
そこで、本発明は前述の技術的課題に鑑み、半導体基板の劈開方法及びチップ分離方法に適用でき、チップ欠けを生じさせることなく、チップ形状を再現性良く四角形に近い形で基板分割し、また平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な基板の分割方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の基板の分割方法は以下に述べる構成となっている。即ち、本発明の基板の分割方法は、電子ビームの電子飛程が基板内に位置するように、分離面に沿って基板上に電子ビームを照射し、電子飛程より表面側では電子ビーム照射により基板が加熱される構成となっている。この加熱された部分では基板の格子定数が大きくなる熱膨張が生ずる結果、この格子不整合により基板を劈開することが可能となる。劈開が生じ始めるビーム電力密度は電子飛程と格子不整合により結晶欠陥が生じ始める臨界膜厚とが等しくなる程度のビーム電力密度と考えてよく、また劈開を生じさせるためには結晶欠陥が生じる電力密度w1が基板の溶融する電力密度w2よりも小さいことが必要である。この条件下にてw1以上w2以下のビーム電力密度を与える電子ビームが照射された場合に劈開を生じさせることが可能となる。このとき、より広いビーム条件範囲で劈開を行うには基板として溶融しにくい材料から構成される基板を選択すること、また熱膨張係数が大きい材料から構成される基板を選択すること、また基板を冷却して基板と電子ビーム照射部分との温度差を大きくすることが望ましい。
【0013】
このような構成により、つまり前述のビーム照射条件にて基板表面を電子ビームでスキャンすることで、チップ欠けを生じさせることなく、チップ形状を再現性良く四角形に近い形で基板分割し、また平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能となる。
【0014】
具体的には、本発明の基板の分割方法は、基板の分割方法であって、前記基板の前面に、前記基板の内部に転位を生じさせる強さの電子ビームを照射し、前記転位を起点としたクラックを発生させて前記基板を分割することを特徴とする。言い換えると、基板の主面側より電子ビームを照射し、前記基板の主面上における前記電子ビームの入射点から前記電子ビームの軌跡に沿って前記基板内部を加熱し、前記基板の内部において前記電子ビームの入射点からの前記電子ビームの電子飛程よりも基板の裏面側に転位を生じせしめるものである。ここで、前記電子ビームの飛程は、前記基板の深さ方向において結晶欠陥が生じ始める、温度が異なる2つの部分の界面の前記表面からの深さよりも長いことが好ましい。
【0015】
このような構成により、電子ビーム照射により基板表面より電子飛程までの範囲が加熱され、基板の表面部分が熱膨張するので、電子飛程よりも深く加熱されていない部分と加熱された部分との格子不整合が大きくなり、加熱された部分の膜厚が臨界膜厚を越えた時点で基板にクラックが生じ基板が分割される。よって、基板分割において、チップ欠けが生じにくく、またチップ形状を再現性良く制御でき、さらにはスクライブ部分での基板及び薄膜層の欠損がなくウエハ中にてより多くのチップを得ることができるので、低コスト・高歩留まりで基板の分割を行うことが可能となる。また、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能となる。
【0016】
また、前記基板は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に形成された金属膜とを備え、前記電子ビームを前記金属膜に照射することが好ましい。言い換えると、前記基板として絶縁性基板を用い、前記電子ビーム照射の照射前に前記基板の主面側に金属膜を形成し、前記電子ビームを前記金属膜の主面側より照射することが好ましい。
【0017】
この好ましい構成により、基板が絶縁性の場合でも基板表面がチャージアップせず、電子ビームに曲がりが生じないので、電子ビームを再現性良く直線状に照射できる。その結果、チップ形状を再現性良く四角形に近い形で基板分割することが可能となる。
【0018】
また、前記基板における前記電子ビームの飛程は、前記金属膜の厚さよりも長いことが好ましい。
【0019】
この好ましい構成により、クラックは金属膜中ではなく基板内部にて生ずる。その結果、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な低コスト・高歩留まりの基板分割を行うことが可能となる。
【0020】
また、前記基板は、さらに、前記金属膜が形成されていない絶縁性基板の裏面に形成され、前記絶縁性基板とは異なる材料で構成される半導体層を備えることが好ましい。言い換えると、前記電子ビームが照射される前記基板の裏面側に前記基板とは異なる材料のエピタキシャル成長層を予め形成することが好ましい。
【0021】
この好ましい構成により、エピタキシャル成長層側に電子ビームを照射することなく基板を分割することができるので、エピタキシャル成長層に熱的ダメージを加えることなく、エピタキシャル成長層を含む基板を分割することが可能となる。
【0022】
また、前記基板は、半導体層を備え、前記電子ビームを前記半導体層に照射することが好ましい。言い換えると、前記基板の主面に前記基板とは異なる材料のエピタキシャル成長層があらかじめ形成されており、前記エピタキシャル成長層の主面側より前記電子ビームを照射することが好ましい。
【0023】
この好ましい構成により、前述の電子ビーム照射を用いて、半導体装置が形成されたエピタキシャル層を含む基板の分割を行うことが可能となる。
【0024】
また、前記半導体層は、InGaAlNより構成されることが好ましい。
この好ましい構成により、例えばInGaAlN量子井戸構造を発光層とする高輝度の可視域あるいは紫外発光ダイオードや、青紫色半導体レーザ素子、さらにはAlGaN/GaNでの2次元電子ガスをチャネルとする電界効果トランジスタ及びその集積回路チップが形成された基板に対して、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な低コスト・高歩留まりの分割を行うことが可能となる。
【0025】
また、前記基板は、SiC、サファイア、GaN、Si、GaAs及びInPのいずれかにより構成される部分を有することが好ましい。
【0026】
この好ましい構成により、SiC基板及びサファイア基板等の非常に硬い基板、又はGaN基板、Si基板、GaAs基板、InP基板等の半導体基板を含む基板に対して、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な低コスト・高歩留まりの分割を行うことが可能となる。
【0027】
また、前記基板における前記電子ビームの飛程は、前記半導体層の厚さよりも長いことが好ましい。言い換えると、前記電子ビームの電子飛程が前記エピタキシャル成長層の膜厚よりも大きいことが好ましい。
【0028】
この好ましい構成により、クラックはエピタキシャル成長層中ではなく基板内部より生ずるので、エピタキシャル成長層の劈開面と基板の劈開面とが一致する形で半導体装置が形成された基板の分割を行うことが可能となる。
【0029】
また、前記基板は、比誘電率が3.9以下の誘電体膜を備え、前記電子ビームを前記誘電体膜に照射することが好ましい。
【0030】
この好ましい構成により、Si集積回路において配線遅延低減のために低誘電率層間絶縁膜を用いた場合に困難であったチップ分離を直線性に優れた形で、チップ欠けを生じさせることなく行うことが可能となる。
【0031】
また、前記誘電体膜は、フッ素ドープシリコンガラス、有機シリケートガラス、ポリイミド系材料及びポーラスレジン系材料のいずれかにより構成されることが好ましい。
【0032】
この好ましい構成により、層間絶縁膜としてフッ素ドープシリコンガラス(SiOF)、有機シリケートガラス(SiOC)、ポリイミド系材料あるいはポーラスレジン系材料等の低誘電率膜を用いたSi系高速集積回路が形成された基板に対して、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な低コスト・高歩留まりの分割を行うことが可能となる。
【0033】
また、前記基板における飛程が前記誘電体膜の厚さよりも短い電子ビームを前記誘電体膜に照射した後、前記基板における飛程が前記誘電体膜の厚さよりも長い電子ビームを前記誘電体膜に照射することが好ましい。
【0034】
この好ましい構成により、電子ビームでスキャンして低誘電率層間絶縁膜に分離線を形成した後、大きな電子飛程の電子ビームで再度スキャンし、基板内部よりクラックを発生させて同様の分離線を形成することで、低誘電率層間絶縁膜を有するSi集積回路チップを、チップ欠けを生じさせることなく、直線性に優れた形で分離することが可能となる。
【0035】
ここで、前記電子ビームは、前記基板の内部に転位を生じさせ、かつ前記基板を溶融させない電力密度を有することが好ましい。言い換えると、前記電子ビーム照射により前記基板に転位が生じる前記電子ビームの電力密度をP1、前記電子ビーム照射により前記基板が溶融する前記電子ビームの電力密度をP2としたとき、P1<P2であることが好ましい。
【0036】
この好ましい構成により、電子ビーム照射により基板を溶融させることなく基板にクラックを生じさせることができる。その結果、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な低コスト・高歩留まりの基板分割を行うことが可能となる。
【0037】
また、前記基板の後面を冷却しつつ、前記電子ビームを基板の前面に照射することが好ましい。
【0038】
この好ましい構成により、電子飛程より深い部分が冷却され電子ビームが照射された部分ではより熱膨張が大きくなり、結果としてより小さな電力密度でクラック発生、即ち劈開を行うことができる。その結果、照射する電子ビームの電力密度を小さくできるので、基板内部あるいは上部に形成した半導体装置に熱的なダメージによる劣化を生じさせずに基板分割を行うことが可能となる。
【0039】
また、前記基板には、半導体レーザ素子が形成されることが好ましい。
また、前記電子ビーム照射により、前記半導体レーザ素子の共振器を構成する面を形成することが好ましい。
【0040】
この好ましい構成により、電子ビーム照射を用いて、半導体レーザ素子の共振器ミラーに適用できる平坦性に優れた劈開面を形成し、その劈開面にコーティングを施すことで反射率の大きなミラーを作製することができるので、例えば低閾値電流の半導体レーザ素子を実現することが可能となる。
【0041】
また、前記電子ビーム照射により、2面の劈開面を有し、バー状に半導体チップが複数個並べられてなる短冊状基板をチップ単位に分割することが好ましい。
【0042】
この好ましい構成により、例えばGaN系半導体青紫色レーザ素子が形成された基板では、劈開面で基板を劈開した後にチップ分離のため劈界面より30°ずれた面にて分割する際に、チップ欠けを生じさせることなく、チップ形状を再現性良く四角形に近い形で分割することが可能となる。
【0043】
また、前記エピタキシャル成長層が発光ダイオードを構成する層を含むことが好ましい。
【0044】
この好ましい構成により、電子ビーム照射により発光ダイオードが形成された基板に対して、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な低コスト・高歩留まりの分割を行うことが可能となる。
【0045】
また、前記エピタキシャル成長層又は前記基板がトランジスタを含むことが好ましい。
この好ましい構成によれば、前記電子ビーム照射によりトランジスタあるいはその集積回路が形成された基板に対して、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な低コスト・高歩留まりの分割を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0046】
以上説明したように、本発明の基板の分割方法によれば、チップ欠けを生じさせることなく、チップ形状を再現性良く四角形に近い形で基板分割し、また平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な基板の分割方法を実現することが可能となる。とりわけ、サファイア基板、SiC基板等の硬い基板上に窒化物半導体デバイスが形成されてなる基板の分割において、チップ欠けを生じさせることなく、チップ形状を再現性良く四角形に近い形で基板分割し、また平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能となる。またスクライブ線部分での基板の欠損がほとんどないので1枚のウエハ内で作製可能な総チップ数を大きくでき、結果として製造プロセスを低コストで行うことが可能となる。加えて、最新のSi-LSIにて用いられ始めている低誘電率膜を有する基板についても同様に、低誘電率膜中で劈開を生じさせた後にSi基板を劈開することで、非常に硬い低誘電率膜を有する基板を容易に分割することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態における基板の分割方法について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における窒化物半導体基板の劈開方法を示す断面図である。以下、図1〜図7を用いて、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な電子ビーム照射条件について説明する。
【0048】
図1に示されるように、窒化物半導体基板の基板表面2には、加速電圧Vb、ビーム電流Ib、電子ビームエネルギーEbなる照射条件にて電子ビーム1が照射されている。このとき、上記照射条件により決まるビーム径をdbとする。電子ビーム1は基板表面2より電子飛程Rまで侵入する。この電子飛程Rは基板表面2より電子強度が0となる位置までの深さで定義される。この場合、照射される電子ビーム1の加速電圧はMeV以下の比較的低い加速電圧であるため、基板における電子ビーム1のエネルギー損失は、衝突損失がその大部分と考えてよく、基板を構成する物質の密度をρとした場合には、
【0049】
【数1】

【0050】
【数2】

【0051】
の関係が与えられることが実験的に知られている(電子ビームハンドブック p.303に記載、他参考文献:L.Katz and A.S.Penfold Rev.Mod.Phys. 31(1959)920)。なおEbはMeVの単位で表すものとする。これらの式により、基板における電子飛程Rの電子ビーム加速電圧依存性を示す図2が算出される。なお、図2において、「△」、「◇」及び「□」はGaN基板、サファイア基板及びSiC基板における電子飛程Rの電子ビーム加速電圧依存性をそれぞれ表しており、1.E+03、1.E+04等とあるのは、それぞれ1×103、1×104等を表している。
【0052】
基板において、電子ビーム1の照射された領域3は加熱されて温度T1となるが、電子飛程Rより深い位置にある非加熱領域には電子ビーム1が照射されず、非加熱領域の温度は、温度T1とは異なる温度T2となる。その結果、基板内での温度分布は図3に示される通りとなる。なお、図3において、実線は理想的な階段状の温度分布を示し、点線は電子ビーム強度分布及び熱拡散を考慮した実際の温度分布を示している。このような温度分布が基板内に形成されることにより、ある接続面を境界とする格子定数の差による転位等の結晶欠陥が基板の一部4で生じ、原子結合の切断、即ち劈開現象が生じ、劈開面5が形成される。これは、基板内の加熱部分では格子の膨張により格子定数が大きくなるが、非加熱部分では電子ビーム照射時の基板温度で決定される格子定数のままとなり、基板内に格子定数の異なる部分が形成されることに起因する。このとき、基板上に格子定数の異なる薄膜層が形成された場合に、基板と薄膜層との界面に結晶欠陥が生じ始める薄膜層の膜厚、いわゆる臨界膜厚はMatthewsらによって計算され、下記の式で与えられる(J.W.Matthews and A.E.Blakeslee, Journal of Crystal Growth 27 (1974) 118-125 に記載有り)。
【0053】
【数3】

【0054】
ここでhcは臨界膜厚、a1は薄膜層の格子定数、a2は基板の格子定数、fは格子不整合(=|(a2-a1)/a1|)、νは薄膜層のポアソン比である。従って、基板内で結晶欠陥が生じ、劈開が生じ始めるときの加熱部分の厚さ、つまり電子ビームの電子飛程Rを臨界膜厚hcとし、T1-T2の温度差で格子定数に差が生じているとすると、劈開が生じ始めるときの電子ビームの電子飛程Rは、
【0055】
【数4】

【0056】
で与えられる。ここでαは基板の熱膨張係数、aは基板の格子定数である。上式から、劈開を生じさせるには、電子ビーム照射により格子不整合が十分大きくなるように基板の表面側を加熱し、電子ビームの電子飛程Rを臨界膜厚hcより長くすることが必要となることがわかる。
【0057】
一方で、基板の種類によっては、電子ビーム照射による加熱により基板が分解し、溶融する場合がある。例えばGaNの場合には900℃以上では分解が生じるため、上記Rを与えるT1が900℃より低くなることが必要となる。従って、基板内で劈開を生じさせるために、基板の分解温度より低く、かつ基板内で転位を生じさせる温度よりも高いT1を与えるように、電子ビーム照射条件が設定される。
【0058】
図4及び図5は上記の劈開を生じさせるための電子ビーム照射条件をグラフにて記したものである。電子ビームの電力密度wb
【0059】
【数5】

【0060】
で与えられる。ここでVbは電子ビームの加速電圧、Ibは電子ビームのビーム電流、dbは電子ビームのビーム径を示している。この式に基づきVbを一定値としたときにIbあるいはdbをパラメータとして、劈開を生じさせる電子ビームの電力密度範囲を図示したものが、それぞれ図4、図5である。ここでは基板が溶融し始める電力密度をw2とし、転位が生じ始める電力密度をw1とする。同図において太線で示すビーム照射条件が、基板の劈開が可能となるビーム照射条件を示している。図4、図5から、より広いビーム条件範囲で劈開を行うには、基板材料として溶融しにくい材料を選択すること、また熱膨張係数が大きい材料を選択すること、また電子ビーム照射の際に例えば基板の裏面を冷却する等して基板と電子ビーム照射部分との間の温度差を大きくすることが有効であることがわかる。実験結果においてサファイア基板及びSiC基板といった溶融しにくい基板に電子ビームを照射した場合、基板を室温で保持し、加速電圧を60kV、ビーム電流を15mA、ビーム照射時間を50msecに設定することで劈開が確認できており、この条件は上述の電力密度範囲を満たしている。
【0061】
ここで、電子ビーム照射時の空間電荷効果が無視でき、レンズの球面収差と熱初速度とを考慮した時の電子ビームの最小ビーム径dbは、
【0062】
【数6】

【0063】
で与えられる(c0は定数)。この関係を満たす電子ビームの電力密度wb
【0064】
【数7】

【0065】
となる。この関係をもとに、図4及び図5に示す劈開を生じさせる電子ビームの電力密度範囲を、最小ビーム径が得られる条件での電子ビームの加速電圧及びビーム電流の関数として表示したものが、それぞれ図6、図7である。同図においても太線で示すビーム照射条件が、基板の劈開が可能となるビーム照射条件を示している。
【0066】
以上のように本実施の形態の窒化物半導体基板の劈開方法によれば、上記図4〜図7にて太線で示すビーム照射条件の電子ビームで基板表面をスキャンして、電子ビームを照射する。よって、基板内に転位等の結晶欠陥を起点としたクラックが発生し、劈開面が形成されるので、平坦な劈開面を再現性良く形成することが可能な窒化物半導体基板の劈開方法を実現することが可能となる。
【0067】
なお、2面の劈開面を有しバー状に半導体レーザ素子が複数個並べられた短冊状ウエハを、チップ単位に分割する場合にも、上記実施の形態に係る発明を適用することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態における窒化物半導体基板の劈開方法を示す断面図である。
【0069】
図8に示されるように、サファイア基板7と、その上に形成されたGaN系半導体薄膜6とから構成される窒化物半導体基板の表面には、電子ビーム1が照射されている。GaN系半導体薄膜6は例えば半導体レーザ素子や発光ダイオードを構成する。なお、GaN系半導体薄膜6には電極等が既に形成されていても良い。電子ビーム1の電子飛程RはGaN系半導体薄膜6下部のサファイア基板7中にまで到達しており、第1の実施形態にて解説した劈開がサファイア基板7より生じる構成となっている。電子ビーム1の加速電圧が小さく、電子ビーム1がサファイア基板7内に侵入しない場合ではGaN系半導体薄膜6にはクラックが生じるものの、サファイア基板7を含めて劈開することが困難である。従って、電子飛程RがGaN系半導体薄膜6の膜厚より長くなるようにビーム照射条件を設定することにより、電子ビーム1で照射される領域3がサファイア基板7まで達し、転位等の結晶欠陥がサファイア基板7の一部4で生じて劈開面5が形成されるので、サファイア基板7及びGaN系半導体薄膜6の劈開を再現性良く、平坦な劈開面にて行うことが可能となる。ここでは、サファイア基板を含む基板を劈開する場合について説明したが、図4〜図7に示す通りのビーム照射条件を満たす限りは、SiC基板あるいはSi基板等を含む基板を劈開する場合に用いられても良い。
【0070】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態における窒化物半導体基板の劈開方法を示す断面図である。
【0071】
図9に示されるように、サファイア基板7と、その上に形成されたGaN系半導体薄膜6とから構成される窒化物半導体基板の表面には、電子ビーム1が照射されている。GaN系半導体薄膜6は例えば半導体レーザ素子や発光ダイオードを構成する。なお、GaN系半導体薄膜6には電極等が既に形成されていても良い。第2の実施形態では、GaN系半導体薄膜6表面側より電子ビーム1を照射したが、本実施形態では、サファイア基板7側より電子ビーム1を照射することで窒化物半導体基板の劈開を行う構成となっている。GaN系半導体薄膜6側には電子ビーム1を照射しないので、電子ビーム1の照射に伴う加熱により、例えばMg等のドーパント不純物の拡散、InGaN系量子井戸活性層の組成変質等のGaN系半導体薄膜6の劣化が生じることがない。さらにサファイア基板7は絶縁性基板であるため、サファイア基板7表面でのチャージアップ、及びこれに伴う電子ビーム1の曲がりが懸念されるため、これに対策するためにサファイア基板7のGaN系半導体薄膜6が形成されていない裏面に、例えば10nm程度のAu等の金属薄膜8が形成されており、電子ビーム1はこの金属薄膜8に照射される。照射される電子ビーム1の電子飛程Rは金属薄膜8の厚さよりも長く、サファイア基板7中にまで到達しており、つまり電子ビーム1で照射される領域3がサファイア基板7まで到達しており、転位等の結晶欠陥がサファイア基板7の一部4で生じて劈開面5が形成されるので、第1の実施形態にて解説した劈開がサファイア基板7より生じる構成となっている。このような構成とすることにより、サファイア基板7及びGaN系半導体薄膜6の劈開を再現性良く、またGaN系半導体薄膜に劣化を生じさせずに、平坦な劈開面にて行うことが可能となる。ここでは、サファイア基板を含む基板を劈開する場合について説明したが、図4〜図7に示す通りのビーム照射条件を満たす限りは、SiC基板あるいはSi基板等を含む基板を劈開する場合に用いられても良い。また、サファイア基板のような絶縁性基板ではなく、導電性基板を用いる場合は前述の金属薄膜を形成する必要はない。
【0072】
(第4の実施形態)
図10A、10Bは、本発明の第4の実施形態におけるSi集積回路が形成された半導体基板のチップ分離方法を示す断面図である。
【0073】
図10A、10Bに示されるように、Si基板10と、その上に形成され、例えばSiOC(有機シリケートガラス)あるいはSiLK(ポーラスレジン系材料、ダウコーニング社)等の低誘電率絶縁膜(いわゆるlow-k膜)9及びCu配線11を含むSi集積回路とから構成される半導体基板の表面には、電子ビーム1が照射されている。なお、Si集積回路にはトランジスタ及び多層配線が形成されていても良い。この基板のチップ分離方法においては、加速電圧を2段階に変化させ、チップ分割線に沿い少なくとも2度電子ビーム1でスキャンする。具体的には、まず図10Aに示す通り、電子ビーム1の電子飛程Rが低誘電率絶縁膜9の膜厚よりも短くなるように電子ビーム1の照射条件を設定して電子ビーム1でスキャンする。これにより、電子ビーム1で照射される領域3がSi基板10にまで到達せず、転位等の結晶欠陥が低誘電率絶縁膜9の一部4で生じて劈開面5が形成され、分離のためのクラックが低誘電率絶縁膜9にのみ発生する。その後、さらに図10Bに示す通り電子飛程Rが十分長く低誘電率絶縁膜9の膜厚よりも長くなるように電子ビームの照射条件を設定して電子ビーム1でスキャンする。これにより、電子ビーム1で照射される領域3がSi基板10にまで到達し、転位等の結晶欠陥がSi基板10の一部4で生じて劈開面12が形成され、Si基板10に分離のためのクラックが発生する。その結果、第1〜第3の実施形態と同様、図4〜図7に示すビーム照射条件を満たす電子ビーム1を基板に照射することにより、平坦な劈開面を再現性良く得ることが可能となる。ここでは、2段階の照射について解説したが、例えば低誘電率絶縁膜が基板に対して十分に薄い場合には、電子飛程を十分長くし、Si基板を劈開する工程のみによっても、同様の基板分割が可能である。
【0074】
以上のように本実施の形態の半導体基板のチップ分離方法によれば、加速電圧を変化させ、電子ビーム1で複数回基板をスキャンする。よって、低誘電率絶縁膜等の非常に硬い材料を含む基板に対しても、チップ欠けを生じさせることなく、チップ形状を再現性良く四角形に近い形でチップ分離することが可能な半導体基板のチップ分離を実現することが可能となる。
【0075】
以上、本発明に係る基板の分割方法について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能であることはいうまでもない。
【0076】
例えば、図1〜図10A、10Bに示す実施形態で用いた基板はいかなる面方位を有しても良く、また例えばサファイア基板の場合では(0001)面、Si基板の場合では(100)面及び(111)面等の代表面からオフアングルのついた面方位を有しても良い。また、これらの基板はGaAs基板、InP基板、SiC基板あるいはGaN基板であっても良い。また、GaN系半導体薄膜はInGaAlNのいかなる組成比でも良く、As、P等のV族元素あるいはB等のIII族元素を構成元素として含んでいてもよい。また、その結晶成長方法はMOCVD法、分子線エピタキシー法(Molecular Beam Epitaxy:MBE法)、あるいはHVPE法のいずれか、あるいはその複数により構成される形でも良い。また、本発明は窒化物半導体基板に限らずGaAsやInPといったIII-V族化合物半導体を用いた半導体レーザ素子、発光ダイオード及び電界効果トランジスタ集積回路が形成された基板の劈開方法あるいはチップ分離方法として適用されてもよい。また、低誘電率絶縁膜を構成する材料としてSiOC及びSiLK等を例示したが、比誘電率がSiO2よりも小さく、3.9以下の絶縁体材料であればこれに限られず、例えばSiOF(フッ素ドープシリコンガラス)及びポリイミド系材料等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、基板の分割方法に適用でき、特に窒化物半導体から構成される高密度光ディスク用半導体レーザ素子、各種表示用あるいは照明用発光ダイオード、高周波通信用あるいは大電力用電界効果トランジスタ集積回路、又は超高速動作Si集積回路の製造方法に適用でき、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施形態における窒化物半導体基板の劈開方法を示す断面図である。
【図2】同実施形態における電子飛程の電子ビーム加速電圧依存性を示す図である。
【図3】同実施形態における電子ビーム照射時の基板中での深さ方向の温度分布を示す図である。
【図4】同実施形態における劈開を生じさせる電子ビームの電力密度範囲を示す図である。
【図5】同実施形態における劈開を生じさせる電子ビームの電力密度範囲を示す図である。
【図6】同実施形態における最小ビーム径が得られるように電子ビームの照射条件が設定された場合に劈開を生じさせる電子ビームの電力密度範囲を示す図である。
【図7】同実施形態における最小ビーム径が得られるように電子ビームの照射条件が設定された場合に劈開を生じさせる電子ビームの電力密度範囲を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における窒化物半導体基板の劈開方法を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における窒化物半導体基板の劈開方法を示す断面図である。
【図10A】本発明の第4の実施形態における半導体基板のチップ分離方法を示す断面図である。
【図10B】同実施形態における半導体基板のチップ分離方法を示す断面図である。
【図11A】従来例における窒化物半導体基板の劈開方法を示す外観図である。
【図11B】従来例における窒化物半導体基板の劈開方法を示す断面図である。
【図12】従来例における半導体基板のチップ分離方法を示す外観図である。
【符号の説明】
【0079】
1 電子ビーム
2 基板表面
3 領域
4、18 基板の一部
5、12 劈開面
6 GaN系半導体薄膜
7 サファイア基板
8 金属薄膜
9 低誘電率絶縁膜
10 Si基板
11 Cu配線
13、19 エピタキシャル成長層
14 ダイヤモンドスクライバー
15 スクライブ線
16 治具
17 刃状治具
20 ダイヤモンドブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の分割方法であって、
前記基板の前面に、前記基板の内部に転位を生じさせる強さの電子ビームを照射し、前記転位を起点としたクラックを発生させて前記基板を分割する
ことを特徴とする基板の分割方法。
【請求項2】
前記基板は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に形成された金属膜とを備え、
前記電子ビームを前記金属膜に照射する
ことを特徴とする請求項1記載の基板の分割方法。
【請求項3】
前記基板における前記電子ビームの飛程は、前記金属膜の厚さよりも長い
ことを特徴とする請求項2記載の基板の分割方法。
【請求項4】
前記基板は、さらに、前記金属膜が形成されていない絶縁性基板の裏面に形成され、前記絶縁性基板とは異なる材料で構成される半導体層を備える
ことを特徴とする請求項3記載の基板の分割方法。
【請求項5】
前記基板は、半導体層を備え、
前記電子ビームを前記半導体層に照射する
ことを特徴とする請求項1記載の基板の分割方法。
【請求項6】
前記半導体層は、InGaAlNより構成される
ことを特徴とする請求項5記載の基板の分割方法。
【請求項7】
前記基板は、SiC、サファイア、GaN、Si、GaAs及びInPのいずれかにより構成される部分を有する
ことを特徴とする請求項5記載の基板の分割方法。
【請求項8】
前記基板における前記電子ビームの飛程は、前記半導体層の厚さよりも長い
ことを特徴とする請求項5記載の基板の分割方法。
【請求項9】
前記基板は、比誘電率が3.9以下の誘電体膜を備え、
前記電子ビームを前記誘電体膜に照射する
ことを特徴とする請求項1記載の基板の分割方法。
【請求項10】
前記誘電体膜は、フッ素ドープシリコンガラス、有機シリケートガラス、ポリイミド系材料及びポーラスレジン系材料のいずれかにより構成される
ことを特徴とする請求項9記載の基板の分割方法。
【請求項11】
前記基板における飛程が前記誘電体膜の厚さよりも短い電子ビームを前記誘電体膜に照射した後、前記基板における飛程が前記誘電体膜の厚さよりも長い電子ビームを前記誘電体膜に照射する
ことを特徴とする請求項9記載の基板の分割方法。
【請求項12】
前記電子ビームの飛程は、前記基板の深さ方向において結晶欠陥が生じ始める、温度が異なる2つの部分の界面の前記表面からの深さよりも長い
ことを特徴とする請求項1記載の基板の分割方法。
【請求項13】
前記電子ビームは、前記基板の内部に転位を生じさせ、かつ前記基板を溶融させない電力密度を有する
ことを特徴とする請求項1記載の基板の分割方法。
【請求項14】
前記基板の後面を冷却しつつ、前記電子ビームを基板の前面に照射する
ことを特徴とする請求項1記載の基板の分割方法。
【請求項15】
前記基板には、半導体レーザ素子が形成される
ことを特徴とする請求項1記載の基板の分割方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−24909(P2006−24909A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167468(P2005−167468)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】