基板への光学フィルム貼付装置
【課題】光学フィルムのように薄いシート状のものを、気泡及び異物の巻き込みがなく、撓み及びしわを発生させることなく、高効率で基板上に貼付することができる基板への光学フィルム貼付装置を提供する。
【解決手段】真空チャンバ1内で、繰出部8から繰り出された光学フィルム12を巻取部11にて巻き取る間に、この光学フィルム12の移動域で、移動装置40により基板10を光学フィルム12と同期させて移動させ、圧着装置50を同様に光学フィルム12に同期させて移動させる。そして、この光学フィルム12の移動中に、保持部材61,62が光学フィルム12を静電チャックし、圧着プレート51が光学フィルム12を基板10に対して押圧する。
【解決手段】真空チャンバ1内で、繰出部8から繰り出された光学フィルム12を巻取部11にて巻き取る間に、この光学フィルム12の移動域で、移動装置40により基板10を光学フィルム12と同期させて移動させ、圧着装置50を同様に光学フィルム12に同期させて移動させる。そして、この光学フィルム12の移動中に、保持部材61,62が光学フィルム12を静電チャックし、圧着プレート51が光学フィルム12を基板10に対して押圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルのような表示パネルの基板に、偏光フィルムのような光学フィルムを貼り付ける基板への光学フィルム貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネルのガラス基板に、偏光フィルムを貼付する場合、偏光フィルムをパネルの大きさに応じて切り出し、真空チャンバ内に、ガラス基板と偏光フィルムを挿入し、偏光フィルムをガラス基板に対してアライメントをとった後、ガラス基板に貼り付けるという工程で行っていた(特許文献1乃至4)。
【0003】
また、光学フィルムを表示パネルに貼付する際の貼り付け開始部分における気泡及び皺の発生を防止するために、光学フィルムの端部を、円筒形部材に設けた孔に真空吸着した状態で、光学フィルムを円筒形部材に一旦巻き付け、円筒形部材を回転させて表示パネルに光学フィルムを接触させ、前記孔に圧空を供給して、光学フィルムを円筒形部材から剥離させると共に、表示パネルに貼り付ける方法も開示されている(特許文献5)。
【0004】
一方、液晶表示パネルの基板の端子上に、異方性導電膜を確実に貼り付け、異方性導電膜からキャリアフィルムを剥離する際に、基板上から異方性導電膜が剥離してしまうことを防止することを目的として、キャリアフィルムに異方性導電膜が貼り合わされた2層構造のテープ材を、リールから巻き解いて、受け台上に吸着固定された基板上に、異方性導電膜を下方、即ち、基板側にして、供給し、熱圧着ヘッドでテープ材を基板に押圧して、異方性導電膜を基板に貼着すると共に、固着ヘッドで異方性導電膜の端部を高温で加熱して基板上に固着させ、熱圧着後の異方性導電膜からキャリアフィルムを剥離する際に、異方性導電膜が基板から剥離してしまわないようにした異方性導電膜の貼り付け装置が開示されている(特許文献6)。
【0005】
異方性導電膜の貼り付け装置は、一般的に、キャリアフィルムに異方性導電膜が貼り合わされた2層構造のテープ材のロールをリールに設置し、リールからテープ材を巻き解くことにより、テープ材を基板上に供給する(特許文献6,7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−318919号公報
【特許文献2】特開平7−294902号公報
【特許文献3】特開2006−65055号公報
【特許文献4】特開2010−151993号公報
【特許文献5】特開2010−145597号公報
【特許文献6】特開平10−62807号公報
【特許文献7】特開2010−4051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1乃至4に開示された偏光フィルムを基板に貼付する装置においては、偏光フィルムを基板上に貼付する際に、真空チャンバ内で薄いシート状の偏光フィルムを基板上に保持し、偏光フィルムと基板とのアライメントをとった状態で、偏光フィルムの撓み及びしわが発生しないように偏光フィルムを基板に貼り合わせることが難しく、従来から種々のしわ改善技術が考案されているものの、未だ、十分ではないという問題点がある。
【0008】
また、表示パネルに対応する大きさに切断された偏光フィルムを、1枚ずつ基板上に貼付するために、処理効率が悪いという問題点がある。
【0009】
更に、特許文献5に開示された光学フィルムの貼付装置も、偏光板はカセット又はマガジン等に保管されていて、このカセット又はマガジンから枚葉で取り出され、円筒部材に供給される。従って、この特許文献5に開示された光学フィルムの貼付装置も、処理効率が低いという問題点がある。
【0010】
特許文献6及び7に開示された技術は、キャリアフィルムに張り合わされた異方性導電膜を基板に貼付する方法であり、この異方性導電膜とキャリアフィルムとの2層構造のテープは、ロール状で供給され、リールに装着されたロールから巻き解かれて、基板上に供給されるが、このテープは、偏光フィルムのような薄いものではなく、また、キャリアフィルムに貼り合わされているので、撓み及びしわの発生が問題となることはないため、これらの特許文献6及び7においては、撓み及びしわの防止手段は開示されていない。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、光学フィルムのように薄いシート状のものを、気泡及び異物の巻き込みがなく、撓み及びしわを発生させることなく、高効率で基板上に貼付することができる基板への光学フィルム貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る基板への光学フィルムの貼付装置は、
真空チャンバと、この真空チャンバ内に設置されたシール材のディスペンサを含むシールディスペンサ部と、前記真空チャンバ内の前記シールディスペンサ部の隣に配置され液晶滴下ノズルを含む液晶滴下部と、前記真空チャンバ内の前記液晶滴下部の隣に配置されたフィルム貼り合わせ部と、フィルム貼付前の基板を前記真空チャンバ内の基板チャックプレート上に導入する導入部と、フィルム貼付後の基板を前記基板チャックプレートから外部に排出する排出部と、前記真空チャンバ内で前記基板チャックプレート上の基板を前記導入部、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部、前記貼り合わせ部及び前記排出部にこの順に搬送する第1移動装置と、前記基板排出後の前記基板チャックプレートを前記排出部から前記導入部まで搬送する第2移動装置と、を有し、
前記フィルム貼り合わせ部は、光学フィルムを巻回したロールから前記光学フィルムを繰り出す繰出部と、前記光学フィルムをロール状に巻き取る巻取部と、前記繰出部から前記巻取部まで前記光学フィルムが移動する移動域の前記光学フィルムの上方に配置された圧着装置と、前記圧着装置を前記光学フィルムの移動域にて前記繰出部側から前記巻取部側に移動させる第3移動装置と、前記圧着装置を前記光学フィルムの移動域における離脱位置から前記移動域における装着位置まで戻して循環させる第4移動装置と、を有し、
前記圧着装置は、基部と、この基部に対して上下動可能に支持された圧着プレートと、前記光学フィルムを前記圧着領域の縁部で圧着領域を取り囲むように切断する切断部材と、を有し、
前記光学フィルムの移動域にて、前記基板の移動中に、前記光学フィルムを前記基板上に重ね、前記圧着プレートを下降させて前記光学フィルムを前記圧着プレートにより前記基板に押圧することを特徴とする。
【0013】
この場合に、前記圧着装置は、前記圧着プレートの下方に配置され前記光学フィルムの前記基板への圧着領域を複数個に分割して夫々保持する複数個のフィルム保持部材と、この複数個のフィルム保持部材を前記光学フィルムの面に平行の方向に移動させる第5移動装置と、を有し、
前記光学フィルムの移動域にて、前記基板の移動中に、前記光学フィルムを前記基板上に重ね、前記圧着プレートを下降させて前記光学フィルムを前記圧着プレートにより前記フィルム保持部材を介して前記基板に押圧するように構成することが好ましい。
【0014】
この基板への光学フィルム貼付装置において、例えば、前記光学フィルムの移動、前記圧着装置の移動、前記圧着プレートの下降及び前記基板チャックプレートの移動を制御する制御装置を有し、この制御装置は、前記基板チャックプレートに保持された前記基板及び前記繰出部から繰り出された前記光学フィルムと前記圧着装置とを、前記光学フィルムの前記移動域にて、同期させて移動させ、この同期移動の間に、前記圧着プレートを下降させて、前記光学フィルムを前記基板に押圧することを特徴とする。
【0015】
また、例えば、前記保持部材は、静電チャックで前記光学フィルムを保持すると共に、この保持を解除できることを特徴とする。
【0016】
また、前記切断部材は、例えば、レーザ光の照射により前記光学フィルムを切断することを特徴とする。
【0017】
更に、例えば、前記基板チャックプレートは、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部まで移動する間に、その移動方向のX方向、X方向に垂直かつ水平方向のY方向及び上方向のZ方向の位置を調整するXYZステージ上に設置され、
前記第1移動装置は、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部まで、前記基板チャックプレートと前記XYZステージとを一体的に移動させることを特徴とする。
【0018】
更にまた、例えば、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部には、夫々、前記基板上のマークを検出するセンサが設置されており、前記センサにより基板上のマークを検出して前記XYZステージにより前記基板の位置合わせを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、真空チャンバ内で、シール材の塗布、液晶滴下、及び光学フィルムの基板への貼り合わせの3つの工程を連続して実施することができるので、従来のように、3つの工程の夫々において行っていた基板とステージとの位置合わせが本実施形態では不要となり、処理速度が向上する。また、一連の工程を真空チャンバ内で行うため、光学フィルムの貼付時に、気泡及び異物の巻き込みが生じることを防止できる。更に、光学フィルムは、貼り合わせ部において、複数個に分割された保持部材により保持されるので、この保持部材を光学フィルムを保持した後、相互に離反する方向に移動させることにより、光学フィルムを緊張させることができ、基板へ貼付時に、光学フィルムに撓み及びしわが発生することを防止することができる。
【0020】
また、本発明においては、基板チャックプレートに保持されている基板を光学フィルムの移動域で移動させている間に、光学フィルムを繰出部から繰り出して前記基板に重ね、基板と、光学フィルムと、圧着装置とを同期させて移動させ、この同期移動の間に圧着プレートを下降させることにより、この光学フィルムの基板への貼付を、基板を停止させることなく、行うことができる。従って、処理速度を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る光学フィルム貼付装置の配置を示す平面図である。
【図2】同じくその構成を示す正面図である。
【図3】圧着装置50の構成を示す図である(x方向に垂直の断面)。
【図4】同じく、圧着装置50の構成を示す図である(x方向に垂直の断面)。
【図5】(a)、(b)は懸垂部材77,78を示す図である。
【図6】同じくその動作を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図7】同じくその動作を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図8】同じくその動作を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【図10】ラインCCDカメラの配置を示す模式的斜視図である。
【図11】圧着プレートに設けたアライメントマークの観察用透孔を示す平面図である。
【図12】同じく、紫外光照射用透孔を示す平面図である。
【図13】4分割された保持部材61,62の配置を示す平面図である。
【図14】同じくその動作を示す平面図である。
【図15】同じくその動作を示す斜視図である。
【図16】同じくその動作を示す平面図である。
【図17】保持部材の変形例を示す平面図である。
【図18】同じく、保持部材の変形例による動作を示すものであって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図19】圧着定盤にアライメントマーク観察用透孔が設けられていない場合における圧着部材及び光学フィルムとラインCCDカメラとの配置関係を示す図である。
【図20】図19の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光学フィルム貼付装置の配置を示す平面図、図2はその構成を示す正面図である。図1に示すように、本実施形態においては、真空チャンバ1内に、ガラス基板10のシールディスペンサ装置と、ガラス基板10への液晶滴下(ODF:One Drop Fill)装置と、ガラス基板10への光学フィルム12の貼合せ装置とが配置されている。また、この真空チャンバ1には、真空チャンバ1内にその真空を破壊せずにガラス基板10を導入するためのロードロック室2が設置され、更に、真空チャンバ1内からその真空を破壊せずに光学フィルム貼り合わせ後の基板10を取り出すためのロードロック室3が設置されている。そして、真空チャンバ1内には、その基板導入用ロードロック室2側の位置に、シールディスペンサ部Aが配置され、基板排出用ロードロック室3側の位置に、光学フィルム貼り合わせ部Cが配置され、シールディスペンサ部Aと貼り合わせ部Cとの間に、液晶滴下(ODF)部Bが配置されている。これにより、真空チャンバ1内で、ガラス基板10に対し、シールディスペンサ部Aで、ガラス基板10の縁部に紫外線硬化シール材を被着し、液晶滴下部Bで、ガラス基板10におけるシール材に取り囲まれた部分に液晶を滴下し、その後、液晶が滴下されたガラス基板10を貼り合わせ部Cにて、ガラス基板10上に、光学フィルム12を貼り合わせる。このシールディスペンサ部A、液晶滴下部B及び貼り合わせ部Cの間で、基板10は直線状に移動する。
【0023】
ガラス基板10は、ロードロック室2から真空チャンバ1内に導入され、基板チャックプレート47上に載置される。この基板チャックプレート47は、例えば、その表面に正及び負の電荷を生起して、基板10を静電気力により吸着する所謂静電チャックにより保持するものである。この基板チャックプレート47は、真空チャンバ1内で、ロードロック室2の近傍の位置から白抜き矢印で示す経路a1を経てシールディスペンサ部Aに移動し、シールディスペンサ部Aから、経路a2を経て、貼り合わせ部Cの圧着プレート離脱部まで移動し、この圧着プレート離脱部から、経路a3を経て、ロードロック室3の近傍まで移動し、ロードロック室3の近傍から、経路a4を経て、ロードロック室2の近傍まで戻るというように、経路a1,a2,a3,a4を循環移動する。
【0024】
一方、貼り合わせ部Cにおいては、圧着装置50が経路b1、b2,b3,b4を経て循環移動するように配置されている。即ち、図1に示す繰出部8から巻取部11まで光学フィルム12が移動する移動域において、圧着装置50が、光学フィルム12上に導入される繰出部8側の位置から、光学フィルム12上から離脱する巻取側の位置まで、経路b1を移動する。そして、圧着装置50は光学フィルム12上から離脱した後、光学フィルム12の移動方向に対し垂直の方向に、経路b2を経て移動する。その後、圧着装置50は、経路b1に平行の経路b3を、経路b1と逆方向に移動し、更に、経路b3に垂直の経路b4を経て、光学フィルム12上の導入部の位置まで、戻る。これにより、圧着装置50は経路b1、b2,b3,b4を循環移動する。従って、経路b1は、経路a2の一部で同一となる。
【0025】
光学フィルム12は、ロール状で真空チャンバ1内に供給されて、繰出部8のリール等に設置される。この繰出部8から巻き解かれて繰り出された光学フィルム12は、巻取部11のリール等に巻き取られるが、繰出部8及び巻取部11の近傍に設けられたロール9により、光学フィルム12は、その移動域における光学フィルム12の面が水平になるように、規制されている。
【0026】
なお、ロードロック室2,3と、シールディスペンサ部A、液晶滴下部B及び貼り合わせ部Cの配置は、上記実施形態に限らず、種々の形態が可能である。例えば、基板10の移動方向について、シールディスペンサ部Aから液晶滴下部Bまで向かう方向と、貼り合わせ部Cにおいて基板10が移動する方向とを、垂直に交差させ、光学フィルム12の移動方向を、図1のb4方向にすることもできる。これにより、基板チャックプレート47及び圧着装置50の循環移動経路を、真空チャンバ1に対して異なる位置に設置することができ、例えば、基板チャックプレート47の移動経路a4を短くすることができる。
【0027】
図2は本実施形態の光学フィルム貼付装置において、基板10をディスペンサ部A、液晶滴下部B、貼り合わせ部Cにこの順に搬送する第1移動装置の一部の構成と、圧着装置50を貼り合わせ部C内の光学フィルム12の移動域にて繰出部8側から巻取部11側に移動させる第3移動装置の構成を示す正面図である。真空チャンバ1内に台座4が設置されており、この台座4上に、移動装置40が配置されている、この移動装置40は、最下段に設けられた第1ステージ43と、その上の第2ステージ45と、その上の第3ステージ46と、更にその上の第4ステージとしての基板チャックプレート47とを備えている。基板チャックプレート47上に基板10が載置され、この基板10は静電チャック等により、基板チャックプレートに固定される。
【0028】
モータ42により回転する螺棒41が第1ステージ43に螺合しており、この螺棒41の正逆回転により、第1ステージ43はシールディスペンサ部Aから液晶滴下部Bを経て貼り合わせ部Cまで、x方向に往復移動する。第2ステージ45は第1ステージ43に対して、x方向に垂直の水平方向であるy方向に往復移動可能に第1ステージ43に支持されており、モータ44の正逆回転により、第2ステージ45はy方向に往復移動する。第3ステージ46は第2ステージ45に対し、上下方向(z方向及びその逆の方向)に往復移動可能に支持されており、螺棒48がその軸方向を垂直にし、下端部を第2ステージ45に固定して設置されている。そして、この螺棒48は第3ステージ46に螺合しており、第3ステージ46は螺棒48をモータ又は手動により正逆回転させることにより、上下方向に往復移動することができる。また、第3ステージ46上には、基板チャックプレート47が垂直軸の回りに正逆回転可能に支持されており、これにより、基板チャックプレート47上の基板10は垂直軸の回りのθ軸方向の位置を調整することができる。
【0029】
貼り合わせ部Cには、1対のロール9間の光学フィルム12の移動域において、圧着装置50が基板10の移動方向(x方向)に移動可能に配置されている。この圧着装置50は、光学フィルム12の上方に配置され、真空チャンバ1の天板に設置されたガイドレール72,73,74,75等により、図1に示す経路b1,b2,b3,b4を移動できるようになっている。このガイドレール72等に沿って、懸垂部材77,78が移動可能になっている。この懸垂部材77,78は適宜のアクチュエータにより、駆動される。但し、図2には、経路b4を移動するためのガイドレール72,73及び経路b2を移動するためのガイドレール74,75のみが図示されている。そして、例えば、図2にガイドレール74,75に関して示すように、ガイドレール74,75には、懸垂部材77,78がガイドレール74,75に沿って移動可能に支持されており、この懸垂部材77,78の下端に、圧着装置50の支持部52が、着脱自在に取り付けられている。これにより、支持部52が懸垂部材77,78に、光学フィルム12の移動域における巻取部11側の位置で取着されて懸架され、光学フィルム12の移動域における繰出部8側の位置で、支持部52が懸垂部材77,78から離脱されて光学フィルム12の移動域に戻される。
【0030】
図3及び図4に示すように、圧着装置50の支持部52は、その光学フィルム12の移動方向(x方向)に垂直の方向である幅方向の両端部に、垂直に延びる垂直部84が固定されており、この垂直部84の下端部には、電磁石からなる結合部83が設置されている。また、台座4上には、そのxyzθステージ(ステージ43等)のx方向への移動域の両側に、x方向に延びる支持部材81が立設されており、この支持部材81の上に、移動部材82が配置されている。この移動部材82は、移動部材82と支持部材81との間に軸方向をx方向にして設けた螺棒71に螺合しており、螺棒71の回転により、x方向に往復移動することができる。また、移動部材82の上部は磁性材料で形成されており、この移動部材82は電磁石からなる結合部83と電磁的に結合することができる。図3は電磁石からなる結合部83に通電して結合部83が移動部材82の上半部に磁気吸引力により結合している状態を示し、図4は結合部83に対する給電を停止して、その電磁力を消失させ、結合部83と移動部82との磁気的結合を解除し、支持部52を懸垂する懸垂部材77,78により支持部52を引き上げている状態を示す。図5(a)、(b)はこの懸垂部材77,78を示す図である。懸垂部材77,78は、図4に示すように、夫々y方向に2個の垂下部を有し、この2個の垂下部で圧着装置50の支持部52を係止して圧着装置50を持ち上げる。そして、懸垂部材77はガイドレール74(経路b2)又はガイドレール72(経路b4)に沿って移動し、懸垂部材78はガイドレール75(経路b2)又はガイドレール73(経路b4)に沿って移動する。更に、懸垂部材77,78は経路b3においても、同様にガイドレール(図示せず)に沿って移動する。
【0031】
圧着装置50においては、軸方向を垂直にして螺棒53が支持部52に螺合しており、圧着プレート51がこの螺棒53の下端に螺棒53の回転を許容するようにして取り付けられている。これにより、螺棒53が正逆回転することにより、圧着プレート51が上下動する。この圧着プレート51の下面には、複数個(図13の図示例は4個)に分割された保持部材61,62が配置されており、これらの保持部材61等は、夫々静電チャックにより光学フィルム12を保持することができる。そして、これらの保持部材61等は、適宜の駆動手段により、水平方向に若干移動することができる。
【0032】
例えば、各保持部材61等の上面に、x方向に延びる1対のx螺棒を、それらの各両端部を回転可能に支持する軸部を保持部材61等の上面に固定することにより、保持部材61等の端部近傍に適長間隔をおいて設置し、各x螺棒にxスライダを螺嵌することにより、このx螺棒をモータ等により回転駆動して前記xスライダをx方向に往復移動させ、この1対のxスライダ間にy方向に延びるy螺棒をその両端部で回転可能に軸部により支持させ、この軸部を前記xスライダに固定すると共に、このy螺棒を適宜のモータにより回転駆動することにより、y螺棒に螺嵌させてyスライダをy方向に往復移動させるように構成すればよい。そして、このyスライダを、圧着プレート51の下面に固定する。そうすると、1対のxスライダのx方向への移動と、yスライダのy方向への移動とにより、yスライダは、x−y平面で任意の位置に移動可能であり、このyスライダが圧着プレート51の下面に固定されていることにより、相対的に、保持部材61等は、圧着プレート51に対して相対的に、x−y平面で任意の位置に若干移動することができる。この保持部材61等のx方向及びy方向への移動は、上記機構に限らず種々の機構を採用することができる。また、平面サーボモータにより、圧着プレートと保持部材とを磁気的に結合させた状態で、保持部材を圧着プレートに対して任意の位置に若干移動させることができる。
【0033】
また、図5乃至7に示すように、圧着装置50の支持部52には、各保持部材61等に対応して4個のラインCCDカメラ23、24がx方向に2個ずつy方向に2列に設置されており、圧着プレート51に設けた透孔を介して、圧着装置50の下方の光学フィルム12及び基板10に設けたアライメントマークを検出するようになっている。更に、この支持部52には、圧着プレート51が光学フィルム12を基板10に向けて押圧しているときに、基板10の端縁に沿ってレーザ光を照射して、この基板10の端縁に沿って光学フィルム12を切断するレーザ部材33,34が設置されている。光学フィルム12は、このレーザ部材33,34により、基板10の外縁で切断されて、図1に示すように、基板10が存在していた位置に透孔12aが形成される。
【0034】
また、図2に示すように、シールディスペンサ部Aには、その真空チャンバ1の天板に2個のCCDカメラ20,21が設置されており、液晶滴下部Bには、その真空チャンバ1の天板にラインCCDカメラ22が設置されている。
【0035】
そして、シールディスペンサ部Aには、基板10の縁部にシール材を噴出するシールディスペンサ31が設置されており、液晶滴下部Bには、基板10の中央部分に液晶を滴下する液晶滴下ノズル32が設置されている。
【0036】
次に、上述のごとく構成された基板への光学フィルム貼付装置の動作について説明する。図6(a)及び(b)、図7(a)及び(b)、図8(a)及び(b)は、基板10及び圧着装置50の移動を工程順に示す図である。なお、以下の一連の動作は、適宜の制御装置により制御されて実行されることは勿論である。先ず、図1に示すように、ロードロック室2内にガラス基板10を挿入し、ロードロック室2内を真空に吸引する。その後、ロードロック室2内と真空チャンバ1内とを連結する扉を開にし、ロードロック室2内から基板10を真空チャンバ1内の基板チャックプレート47(基板チャックプレート)上に移載する。基板10は、静電チャック等により基板チャックプレート47に固定される。
【0037】
そして、シールディスペンサ部Aにおいて、CCDカメラ20,21により、基板10の表面のアライメントマークを撮像し、基板10を所定位置に位置合わせした後、ディスペンサ31から基板10の縁部に紫外光で硬化するUVシール材を噴射する。その後、モータ42を回転させて第1ステージ43を液晶滴下部Bに移動させる。そして、ラインCCDカメラ22により基板10の表面のアライメントマークを撮像し、基板10を所定位置に位置合わせした後、基板10の表面中央部に、液晶滴下ノズル32から液晶を滴下する。その後、第1ステージ43を、経路a2を経て、光学フィルム12の貼り合わせ部Cに向けて移動させ、この貼り合わせ部Cを一定の速度で移動させる。また、貼り合わせ部Cの光学フィルム12を、繰出部8から巻取部11に向けて一定の速度で繰り出し、1対のロール9間で、光学フィルム12を水平方向に前記一定の速度で移動させる。そして、図6に示すように、基板チャックプレート47上の基板10を貼り合わせ部Cにおける繰出部8側の位置に移動させると同時に、圧着装置50を、経路b4を経て、基板10の直上に位置させ、その後、懸垂部材77,78に吊り下げられている支持部52を、図3に示すように、下降させて、結合部83を移動部材82に磁気的に結合させる。この結合部83を移動部材82上に下降させた後、懸垂部材77,78は支持部52を離脱し、懸垂部材77,78は、経路b4、b3,b2を逆方向に移動して、光学フィルム12の巻取部11側に戻る。以後、圧着装置50の圧着プレート51は、螺棒71の回転により、基板チャックプレート47上の基板10と同一速度で、連動して、x方向に移動する。この圧着プレート51と基板10とが連動して移動する間、以下の操作を行う。圧着装置50の圧着プレート51を下降させ、保持部材61,62を光学フィルム12に接触させる。そして、保持部材61,62に通電して、正電荷と負電荷を保持部材61,62に生じさせ、光学フィルム12に対応する負電荷及び正電荷を誘起させる。これにより、保持部材61,62は光学フィルム12を静電的に吸着する。従って、圧着装置50の圧着プレート51と4個の保持部材61、62は、基板10との間で光学フィルム12を挟持した状態になる。この間、光学フィルム12は、繰出部8から一定の速度で繰り出し、光学フィルム12と、基板10と、圧着装置50とを、同期させてx方向に移動させる。従って、基板10を停止させることなく、基板10をx方向に移動させつつ、光学フィルム12を貼付する。なお、光学フィルム12の移動速度は、一定に限らず、圧着装置50が光学フィルム12上に移動してくるとき及び光学フィルム12から離脱するとき等において、光学フィルム12の移動速度を変更することも可能である。
【0038】
なお、圧着プレート51と基板10とは、図10に示すように、ラインCCDカメラ23,24により基板10に設けたアライメントマークを、圧着プレート51に設けた透孔102,103を介して撮影することにより、両者のアライメントをとる。即ち、図10に示すように、ラインCCDカメラ23,24により基板10の表面のアライメントマークを撮像し、第2ステージ45,第3ステージ46及び基板チャックプレート47を微調整して、基板10の位置を貼り合わせ部Cにおける所定の位置に、高精度で位置合わせする。なお、この基板10の位置合わせは任意である。また、図11及び図12に示すように、圧着プレート51の透孔102.103を介して、光学フィルム12の表面に形成したアライメントマーク92をリニアCCDカメラ23,24が撮影し、光学フィルム12の位置合わせを行う。なお、図10及び図11には、図示の簡略化のために、透孔104の図示を省略している。また、前述のごとく、基板10と圧着プレート51とのアライメントは、前工程で終了しているが、基板10の4隅部に基板マーク10aを設けて、ラインCCDカメラ23,24により、透孔102,103及び光学フィルム12を透過して、基板マーク10aを観察することにより、圧着プレート51と光学フィルム12とのアライメントに加えて、更に基板10とのアライメントも再度行うことができる。
【0039】
この場合に、図13乃至図15に示すように、圧着プレート51と光学フィルム12との間には、4分割された保持部材61,62が配置されており、この保持部材61,62にも圧着プレート51の透孔102,103と整合する位置に透孔が設けられている。そして、ラインCCDカメラ23,24は、この保持部材61,62に設けた透孔を介して、光学フィルム12の十字状のアライメントマークを撮影する。そして、図13に示すように、光学フィルム12のマークが保持部材61,62の透孔内に収まっている場合は、光学フィルム12に撓み及びよれが無いことがわかる。
【0040】
一方、図14に示すように、光学フィルム12の一部のアライメントマークが、保持部材61,62の透孔から外れている場合は、光学フィルム12に撓み又はよれが存在するので、保持部材61及び62をその面に平行の方向に移動させて、透孔内にこのマークが入る状態にし、図15に示すように、保持部材61,62を相反する方向に移動させることにより、光学フィルム12を緊張状態にして、撓み及びよれを解消する。
【0041】
この光学フィルム12の撓み及びよれが解消した後、圧着プレート51を下降させて、保持部材61,62を光学フィルム12に押圧し、光学フィルム12を、圧着プレート51及び保持部材61,62と基板10との間で、挟持する。
【0042】
そして、図7に示すように、圧着装置50及び基板10がx方向に移動している間、UV光(紫外光)を基板10の縁部に照射し、圧着プレート51により応力を印加した状態で、紫外光により基板10の縁部のシール材を硬化させる。これにより、光学フィルム12が基板10の縁部に固着され、液晶がシール材により取り囲まれて基板10と光学フィルム12との間に保持される。なお、UV光の照射は、図12に示すように、圧着プレート51の縁部に設けた透孔104を介して行うことが好ましい。シール材が硬化して、光学フィルム12が基板10の縁部に固着された後、保持部材61,62による光学フィルム12の静電チャックを、保持部材61,62への印加電圧を0にするか又は逆符号の電荷を印加することにより、停止する。
【0043】
また、図8に示すように、レーザ部材33,34からレーザ光を照射させつつ、レーザ部材33,34を夫々y方向の逆方向と、y方向とに移動させ、光学フィルム12を基板移動方向(フィルム走行方向)の前端部及び後端部で基板移動方向に垂直の方向に切断する。その後、レーザ部材33,34を基板移動方向に走行させ、基板10の長手方向の縁部を、レーザ部材33,34のレーザ光の照射により切断する。これにより、光学フィルム12には、透孔12aが形成される。
【0044】
その後、図8に示すように、圧着装置50,基板10が、光学フィルム12の移動域の巻取部11側の位置まで到達した後、図4に示すように、電磁石の結合部83に対する通電を停止して、結合部83と移動部材82との磁気的結合を解除し、懸垂部材77,78が支持部52を係止して支持部52を吊り上げ、圧着プレート51及び支持部材52を含む圧着装置50を上昇させ、経路b2を経て圧着装置50を光学フィルム12上から離脱させる。光学フィルム貼付後の基板10は経路a3を経て光学フィルム12上から離脱する。そして、この基板10はロードロック室3から経路c2を経て外部に排出される。一方、光学フィルム12の移動域の繰出部8側の位置では、基板10が基板チャックプレート47上に固定されて光学フィルム12の下方に供給され、また、圧着装置50が光学フィルム12の上方に供給される。光学フィルム12は、基板10への貼付に使用された部分がくりぬかれた透孔12aが形成された状態で、巻取部11に巻き取られる。
【0045】
このように、基板10が経路a1,a2,a3を経て移動する間に、圧着装置50が経路b4,b1,b2、b3を経て循環するので、光学フィルム12を繰出部8から巻取部11まで常に移動させた状態で、停止させることなく、基板10に光学フィルム12を貼付することができる。このため、極めて高効率で、基板10に光学フィルム12を貼付することができる。また、光学フィルム12を静電チャックで保持する保持部材61,62を、光学フィルム12の面に平行の方向に移動可能としたので、貼り合わせ部Cの入口で光学フィルム12に撓み又はよれが存在しても、これを取り除くことができる。
【0046】
また、上記実施形態は、懸垂部材77,78が経路b2,b3,b4を経て、圧着装置50を光学フィルム12の移動域の後端部から前端部まで搬送するものであるが、本発明は、これに限らず種々の態様で圧着装置50を循環移動させることができる。例えば、図9に示すように、圧着装置50の経路b3における移動を、経路b1における圧着装置50の移動と同様に移動部材82によるものとすることができる。即ち、光学フィルム12の移動域にその両側にx方向に平行に設けられた移動部材82と同様に、光学フィルム12の移動域に隣接するようにして、1対の移動部材82を配置し、図3及び図4に示すものと同様に、支持部材81上に設けた螺棒71の回転により移動部材82をx方向の逆方向(図3及び図4で説明した移動方向の反対方向)に移動させることにより、圧着装置50を経路b3の方向(c3点からc4点まで)に移動させる。一方、光学フィルム12の移動域における圧着装置50の導入位置(c1点)と、c4点との間においては、懸垂部材77,78を、往復移動させ、圧着装置50を懸垂した懸垂部材77,78はガイドレール72,73に沿ってb4方向に移動し、c1点で圧着装置50を下降させて、図3に示すように、その結合部83を移動部材82上に磁気結合させた後、懸垂部材77,78は単独で経路b4を経てc4点まで戻る。また、光学フィルム12の移動域における圧着装置50の離脱位置(c2点)と、c3点との間においても、懸垂部材77,78を往復移動させる。即ち、c2点で、図4に示すように、懸垂部材77,78は圧着装置50を吊り上げ、経路b2を経て、圧着装置50をc3点までガイドレール74,75に沿って移動させ、c3点にて、懸垂部材77,78は圧着装置50を下降させて、結合部83を移動部材82に磁気的に結合させ、懸垂部材77,78は単独で経路b2を経てc2点まで戻る。
【0047】
このようにして、圧着部材50は経路b2,b3,b4を経て光学フィルム12の移動域に循環供給され、経路b2及び経路b4で圧着装置50を吊り下げる懸垂部材77,78はこの経路b2,b4で往復移動する。これにより、図1及び図2に示す実施形態よりも、圧着装置50を迅速に循環移動させることができる。
【0048】
なお、保持部材は、上記実施形態のように、4分割したものではなく、図17及び図18に示すように、6分割したものでもよく、その他の複数個に分割したものでもよい。6分割の場合は、例えば、基板10の移動方向のx方向に3個の保持部材61,62,63が基板の幅方向のy方向に2列配置され、各保持部材61,62,63に対応して、ラインCCDカメラ23,24,25を配置する。
【0049】
そして、保持部材のマーク観察用孔から、光学フィルム12の表面アライメントマークを観測し、観測できた場合には、保持部材に電圧を印加して光学フィルムを静電チャックする。具体的には、図16(4分割)及び図17(6分割)に示す「1」の保持部材の観察用孔から光学フィルム12上のマークを観測し、このマークを観測できた位置で保持部材に電圧を印加してこの保持部材に光学フィルム12を固定させ、次いで、対となる「2」及び「3」の保持部材観察用孔からアライメントマークをサーチし、光学フィルム12のマークが観察された位置で、保持部材に電圧を印加してその部分の光学フィルム12を静電チャックする。その後、残りの「4」の保持部材の観察用孔又は「4」、「5」、「6」の保持部材の観察用孔からアライメントマークをサーチし、光学フィルム12のマークが観察された位置で、保持部材に電圧を印加してその部分の光学フィルム12を静電チャックする。これにより、全ての保持部材61等が、光学フィルム12を静電チャックする。その後、これらの保持部材61等を、所定の配置に戻す。そうすると、撓み又はよれが生じていた光学フィルム12は、保持部材61等が所定の位置に戻ることにより、光学フィルム12の4個又は6個のマークの位置が所定の位置に決まり、光学フィルム12は撓み又はよれが解消される。
【0050】
なお、マークのサーチは予めプログラムされた一定の範囲で行うことが好ましい。そして、このサーチ範囲内でマークを検出できなかった場合は、保持部材6等の静電チャックを解除し、サーチをリトライするか、又はエラーとして、光学フィルム12の送り出しを停止する。これにより、光学フィルム12が移動している過程で、保持部材が光学フィルム12のマークをサーチし続けることの不都合を解消することができる。
【0051】
また、マークのサーチの順番は、上述の順番に限らないことは勿論である。当初から、全ての保持部材61等が同時にマークのサーチを開始しても良い。全てのマークがラインCCDカメラ23等により観察され、保持部材61等により静電チャックされた後、圧着プレート51を下降させて、圧着プレート51が保持部材61等を介して光学フィルム12を押圧する直前に、ラインCCDカメラ23等が液晶基板10のアライメントマークを観察しながら、移動装置40のステージ43,45,46の位置を調整して、x−y−z−θの各軸に関して、基板位置の調整を行う。その後、圧着プレート51を下降させて、保持部材61等を介して、光学フィルム12を基板10に対して押圧する。その後、前述のごとく、紫外光透過用孔104を介して、紫外光を基板10の周囲のシールド材に照射し、シールド材を硬化させて、光学フィルム12と基板10とを圧着する。なお、この光学フィルム12の圧着に際し、圧着プレート51を下降させる代わりに、基板10を上昇させるか、又は圧着プレート51の下降と基板10の上昇とを組み合わせてもよい。
【0052】
更に、上記実施形態においては、フィルム12のアライメントマーク92を、圧着プレート51の透孔102,103を介して、ラインCCDカメラ23,24により観察することにより、光学フィルム12と圧着プレート51とのアライメントを行う場合について説明したが、図19及び図20に示すように、圧着プレート51の大きさを小さくすることにより、圧着プレート51の外側で、ラインCCDカメラ23,24により、光学フィルム12のアライメントマーク92を観察することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:真空チャンバ
2,3:ロードロック室
4:台座
8:繰出部
10:基板
11:巻取部
12:光学フィルム
20,21,22,23,24、25:CCDカメラ
31:ディスペンサ
32:ノズル
33、34:レーザ部材
40:移動装置
41:螺棒
43,45,46:ステージ
47:基板チャックプレート
51:圧着プレート
71:螺棒
72,73,74,75:ガイドレール
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルのような表示パネルの基板に、偏光フィルムのような光学フィルムを貼り付ける基板への光学フィルム貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネルのガラス基板に、偏光フィルムを貼付する場合、偏光フィルムをパネルの大きさに応じて切り出し、真空チャンバ内に、ガラス基板と偏光フィルムを挿入し、偏光フィルムをガラス基板に対してアライメントをとった後、ガラス基板に貼り付けるという工程で行っていた(特許文献1乃至4)。
【0003】
また、光学フィルムを表示パネルに貼付する際の貼り付け開始部分における気泡及び皺の発生を防止するために、光学フィルムの端部を、円筒形部材に設けた孔に真空吸着した状態で、光学フィルムを円筒形部材に一旦巻き付け、円筒形部材を回転させて表示パネルに光学フィルムを接触させ、前記孔に圧空を供給して、光学フィルムを円筒形部材から剥離させると共に、表示パネルに貼り付ける方法も開示されている(特許文献5)。
【0004】
一方、液晶表示パネルの基板の端子上に、異方性導電膜を確実に貼り付け、異方性導電膜からキャリアフィルムを剥離する際に、基板上から異方性導電膜が剥離してしまうことを防止することを目的として、キャリアフィルムに異方性導電膜が貼り合わされた2層構造のテープ材を、リールから巻き解いて、受け台上に吸着固定された基板上に、異方性導電膜を下方、即ち、基板側にして、供給し、熱圧着ヘッドでテープ材を基板に押圧して、異方性導電膜を基板に貼着すると共に、固着ヘッドで異方性導電膜の端部を高温で加熱して基板上に固着させ、熱圧着後の異方性導電膜からキャリアフィルムを剥離する際に、異方性導電膜が基板から剥離してしまわないようにした異方性導電膜の貼り付け装置が開示されている(特許文献6)。
【0005】
異方性導電膜の貼り付け装置は、一般的に、キャリアフィルムに異方性導電膜が貼り合わされた2層構造のテープ材のロールをリールに設置し、リールからテープ材を巻き解くことにより、テープ材を基板上に供給する(特許文献6,7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−318919号公報
【特許文献2】特開平7−294902号公報
【特許文献3】特開2006−65055号公報
【特許文献4】特開2010−151993号公報
【特許文献5】特開2010−145597号公報
【特許文献6】特開平10−62807号公報
【特許文献7】特開2010−4051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1乃至4に開示された偏光フィルムを基板に貼付する装置においては、偏光フィルムを基板上に貼付する際に、真空チャンバ内で薄いシート状の偏光フィルムを基板上に保持し、偏光フィルムと基板とのアライメントをとった状態で、偏光フィルムの撓み及びしわが発生しないように偏光フィルムを基板に貼り合わせることが難しく、従来から種々のしわ改善技術が考案されているものの、未だ、十分ではないという問題点がある。
【0008】
また、表示パネルに対応する大きさに切断された偏光フィルムを、1枚ずつ基板上に貼付するために、処理効率が悪いという問題点がある。
【0009】
更に、特許文献5に開示された光学フィルムの貼付装置も、偏光板はカセット又はマガジン等に保管されていて、このカセット又はマガジンから枚葉で取り出され、円筒部材に供給される。従って、この特許文献5に開示された光学フィルムの貼付装置も、処理効率が低いという問題点がある。
【0010】
特許文献6及び7に開示された技術は、キャリアフィルムに張り合わされた異方性導電膜を基板に貼付する方法であり、この異方性導電膜とキャリアフィルムとの2層構造のテープは、ロール状で供給され、リールに装着されたロールから巻き解かれて、基板上に供給されるが、このテープは、偏光フィルムのような薄いものではなく、また、キャリアフィルムに貼り合わされているので、撓み及びしわの発生が問題となることはないため、これらの特許文献6及び7においては、撓み及びしわの防止手段は開示されていない。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、光学フィルムのように薄いシート状のものを、気泡及び異物の巻き込みがなく、撓み及びしわを発生させることなく、高効率で基板上に貼付することができる基板への光学フィルム貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る基板への光学フィルムの貼付装置は、
真空チャンバと、この真空チャンバ内に設置されたシール材のディスペンサを含むシールディスペンサ部と、前記真空チャンバ内の前記シールディスペンサ部の隣に配置され液晶滴下ノズルを含む液晶滴下部と、前記真空チャンバ内の前記液晶滴下部の隣に配置されたフィルム貼り合わせ部と、フィルム貼付前の基板を前記真空チャンバ内の基板チャックプレート上に導入する導入部と、フィルム貼付後の基板を前記基板チャックプレートから外部に排出する排出部と、前記真空チャンバ内で前記基板チャックプレート上の基板を前記導入部、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部、前記貼り合わせ部及び前記排出部にこの順に搬送する第1移動装置と、前記基板排出後の前記基板チャックプレートを前記排出部から前記導入部まで搬送する第2移動装置と、を有し、
前記フィルム貼り合わせ部は、光学フィルムを巻回したロールから前記光学フィルムを繰り出す繰出部と、前記光学フィルムをロール状に巻き取る巻取部と、前記繰出部から前記巻取部まで前記光学フィルムが移動する移動域の前記光学フィルムの上方に配置された圧着装置と、前記圧着装置を前記光学フィルムの移動域にて前記繰出部側から前記巻取部側に移動させる第3移動装置と、前記圧着装置を前記光学フィルムの移動域における離脱位置から前記移動域における装着位置まで戻して循環させる第4移動装置と、を有し、
前記圧着装置は、基部と、この基部に対して上下動可能に支持された圧着プレートと、前記光学フィルムを前記圧着領域の縁部で圧着領域を取り囲むように切断する切断部材と、を有し、
前記光学フィルムの移動域にて、前記基板の移動中に、前記光学フィルムを前記基板上に重ね、前記圧着プレートを下降させて前記光学フィルムを前記圧着プレートにより前記基板に押圧することを特徴とする。
【0013】
この場合に、前記圧着装置は、前記圧着プレートの下方に配置され前記光学フィルムの前記基板への圧着領域を複数個に分割して夫々保持する複数個のフィルム保持部材と、この複数個のフィルム保持部材を前記光学フィルムの面に平行の方向に移動させる第5移動装置と、を有し、
前記光学フィルムの移動域にて、前記基板の移動中に、前記光学フィルムを前記基板上に重ね、前記圧着プレートを下降させて前記光学フィルムを前記圧着プレートにより前記フィルム保持部材を介して前記基板に押圧するように構成することが好ましい。
【0014】
この基板への光学フィルム貼付装置において、例えば、前記光学フィルムの移動、前記圧着装置の移動、前記圧着プレートの下降及び前記基板チャックプレートの移動を制御する制御装置を有し、この制御装置は、前記基板チャックプレートに保持された前記基板及び前記繰出部から繰り出された前記光学フィルムと前記圧着装置とを、前記光学フィルムの前記移動域にて、同期させて移動させ、この同期移動の間に、前記圧着プレートを下降させて、前記光学フィルムを前記基板に押圧することを特徴とする。
【0015】
また、例えば、前記保持部材は、静電チャックで前記光学フィルムを保持すると共に、この保持を解除できることを特徴とする。
【0016】
また、前記切断部材は、例えば、レーザ光の照射により前記光学フィルムを切断することを特徴とする。
【0017】
更に、例えば、前記基板チャックプレートは、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部まで移動する間に、その移動方向のX方向、X方向に垂直かつ水平方向のY方向及び上方向のZ方向の位置を調整するXYZステージ上に設置され、
前記第1移動装置は、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部まで、前記基板チャックプレートと前記XYZステージとを一体的に移動させることを特徴とする。
【0018】
更にまた、例えば、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部には、夫々、前記基板上のマークを検出するセンサが設置されており、前記センサにより基板上のマークを検出して前記XYZステージにより前記基板の位置合わせを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、真空チャンバ内で、シール材の塗布、液晶滴下、及び光学フィルムの基板への貼り合わせの3つの工程を連続して実施することができるので、従来のように、3つの工程の夫々において行っていた基板とステージとの位置合わせが本実施形態では不要となり、処理速度が向上する。また、一連の工程を真空チャンバ内で行うため、光学フィルムの貼付時に、気泡及び異物の巻き込みが生じることを防止できる。更に、光学フィルムは、貼り合わせ部において、複数個に分割された保持部材により保持されるので、この保持部材を光学フィルムを保持した後、相互に離反する方向に移動させることにより、光学フィルムを緊張させることができ、基板へ貼付時に、光学フィルムに撓み及びしわが発生することを防止することができる。
【0020】
また、本発明においては、基板チャックプレートに保持されている基板を光学フィルムの移動域で移動させている間に、光学フィルムを繰出部から繰り出して前記基板に重ね、基板と、光学フィルムと、圧着装置とを同期させて移動させ、この同期移動の間に圧着プレートを下降させることにより、この光学フィルムの基板への貼付を、基板を停止させることなく、行うことができる。従って、処理速度を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る光学フィルム貼付装置の配置を示す平面図である。
【図2】同じくその構成を示す正面図である。
【図3】圧着装置50の構成を示す図である(x方向に垂直の断面)。
【図4】同じく、圧着装置50の構成を示す図である(x方向に垂直の断面)。
【図5】(a)、(b)は懸垂部材77,78を示す図である。
【図6】同じくその動作を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図7】同じくその動作を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図8】同じくその動作を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【図10】ラインCCDカメラの配置を示す模式的斜視図である。
【図11】圧着プレートに設けたアライメントマークの観察用透孔を示す平面図である。
【図12】同じく、紫外光照射用透孔を示す平面図である。
【図13】4分割された保持部材61,62の配置を示す平面図である。
【図14】同じくその動作を示す平面図である。
【図15】同じくその動作を示す斜視図である。
【図16】同じくその動作を示す平面図である。
【図17】保持部材の変形例を示す平面図である。
【図18】同じく、保持部材の変形例による動作を示すものであって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図19】圧着定盤にアライメントマーク観察用透孔が設けられていない場合における圧着部材及び光学フィルムとラインCCDカメラとの配置関係を示す図である。
【図20】図19の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光学フィルム貼付装置の配置を示す平面図、図2はその構成を示す正面図である。図1に示すように、本実施形態においては、真空チャンバ1内に、ガラス基板10のシールディスペンサ装置と、ガラス基板10への液晶滴下(ODF:One Drop Fill)装置と、ガラス基板10への光学フィルム12の貼合せ装置とが配置されている。また、この真空チャンバ1には、真空チャンバ1内にその真空を破壊せずにガラス基板10を導入するためのロードロック室2が設置され、更に、真空チャンバ1内からその真空を破壊せずに光学フィルム貼り合わせ後の基板10を取り出すためのロードロック室3が設置されている。そして、真空チャンバ1内には、その基板導入用ロードロック室2側の位置に、シールディスペンサ部Aが配置され、基板排出用ロードロック室3側の位置に、光学フィルム貼り合わせ部Cが配置され、シールディスペンサ部Aと貼り合わせ部Cとの間に、液晶滴下(ODF)部Bが配置されている。これにより、真空チャンバ1内で、ガラス基板10に対し、シールディスペンサ部Aで、ガラス基板10の縁部に紫外線硬化シール材を被着し、液晶滴下部Bで、ガラス基板10におけるシール材に取り囲まれた部分に液晶を滴下し、その後、液晶が滴下されたガラス基板10を貼り合わせ部Cにて、ガラス基板10上に、光学フィルム12を貼り合わせる。このシールディスペンサ部A、液晶滴下部B及び貼り合わせ部Cの間で、基板10は直線状に移動する。
【0023】
ガラス基板10は、ロードロック室2から真空チャンバ1内に導入され、基板チャックプレート47上に載置される。この基板チャックプレート47は、例えば、その表面に正及び負の電荷を生起して、基板10を静電気力により吸着する所謂静電チャックにより保持するものである。この基板チャックプレート47は、真空チャンバ1内で、ロードロック室2の近傍の位置から白抜き矢印で示す経路a1を経てシールディスペンサ部Aに移動し、シールディスペンサ部Aから、経路a2を経て、貼り合わせ部Cの圧着プレート離脱部まで移動し、この圧着プレート離脱部から、経路a3を経て、ロードロック室3の近傍まで移動し、ロードロック室3の近傍から、経路a4を経て、ロードロック室2の近傍まで戻るというように、経路a1,a2,a3,a4を循環移動する。
【0024】
一方、貼り合わせ部Cにおいては、圧着装置50が経路b1、b2,b3,b4を経て循環移動するように配置されている。即ち、図1に示す繰出部8から巻取部11まで光学フィルム12が移動する移動域において、圧着装置50が、光学フィルム12上に導入される繰出部8側の位置から、光学フィルム12上から離脱する巻取側の位置まで、経路b1を移動する。そして、圧着装置50は光学フィルム12上から離脱した後、光学フィルム12の移動方向に対し垂直の方向に、経路b2を経て移動する。その後、圧着装置50は、経路b1に平行の経路b3を、経路b1と逆方向に移動し、更に、経路b3に垂直の経路b4を経て、光学フィルム12上の導入部の位置まで、戻る。これにより、圧着装置50は経路b1、b2,b3,b4を循環移動する。従って、経路b1は、経路a2の一部で同一となる。
【0025】
光学フィルム12は、ロール状で真空チャンバ1内に供給されて、繰出部8のリール等に設置される。この繰出部8から巻き解かれて繰り出された光学フィルム12は、巻取部11のリール等に巻き取られるが、繰出部8及び巻取部11の近傍に設けられたロール9により、光学フィルム12は、その移動域における光学フィルム12の面が水平になるように、規制されている。
【0026】
なお、ロードロック室2,3と、シールディスペンサ部A、液晶滴下部B及び貼り合わせ部Cの配置は、上記実施形態に限らず、種々の形態が可能である。例えば、基板10の移動方向について、シールディスペンサ部Aから液晶滴下部Bまで向かう方向と、貼り合わせ部Cにおいて基板10が移動する方向とを、垂直に交差させ、光学フィルム12の移動方向を、図1のb4方向にすることもできる。これにより、基板チャックプレート47及び圧着装置50の循環移動経路を、真空チャンバ1に対して異なる位置に設置することができ、例えば、基板チャックプレート47の移動経路a4を短くすることができる。
【0027】
図2は本実施形態の光学フィルム貼付装置において、基板10をディスペンサ部A、液晶滴下部B、貼り合わせ部Cにこの順に搬送する第1移動装置の一部の構成と、圧着装置50を貼り合わせ部C内の光学フィルム12の移動域にて繰出部8側から巻取部11側に移動させる第3移動装置の構成を示す正面図である。真空チャンバ1内に台座4が設置されており、この台座4上に、移動装置40が配置されている、この移動装置40は、最下段に設けられた第1ステージ43と、その上の第2ステージ45と、その上の第3ステージ46と、更にその上の第4ステージとしての基板チャックプレート47とを備えている。基板チャックプレート47上に基板10が載置され、この基板10は静電チャック等により、基板チャックプレートに固定される。
【0028】
モータ42により回転する螺棒41が第1ステージ43に螺合しており、この螺棒41の正逆回転により、第1ステージ43はシールディスペンサ部Aから液晶滴下部Bを経て貼り合わせ部Cまで、x方向に往復移動する。第2ステージ45は第1ステージ43に対して、x方向に垂直の水平方向であるy方向に往復移動可能に第1ステージ43に支持されており、モータ44の正逆回転により、第2ステージ45はy方向に往復移動する。第3ステージ46は第2ステージ45に対し、上下方向(z方向及びその逆の方向)に往復移動可能に支持されており、螺棒48がその軸方向を垂直にし、下端部を第2ステージ45に固定して設置されている。そして、この螺棒48は第3ステージ46に螺合しており、第3ステージ46は螺棒48をモータ又は手動により正逆回転させることにより、上下方向に往復移動することができる。また、第3ステージ46上には、基板チャックプレート47が垂直軸の回りに正逆回転可能に支持されており、これにより、基板チャックプレート47上の基板10は垂直軸の回りのθ軸方向の位置を調整することができる。
【0029】
貼り合わせ部Cには、1対のロール9間の光学フィルム12の移動域において、圧着装置50が基板10の移動方向(x方向)に移動可能に配置されている。この圧着装置50は、光学フィルム12の上方に配置され、真空チャンバ1の天板に設置されたガイドレール72,73,74,75等により、図1に示す経路b1,b2,b3,b4を移動できるようになっている。このガイドレール72等に沿って、懸垂部材77,78が移動可能になっている。この懸垂部材77,78は適宜のアクチュエータにより、駆動される。但し、図2には、経路b4を移動するためのガイドレール72,73及び経路b2を移動するためのガイドレール74,75のみが図示されている。そして、例えば、図2にガイドレール74,75に関して示すように、ガイドレール74,75には、懸垂部材77,78がガイドレール74,75に沿って移動可能に支持されており、この懸垂部材77,78の下端に、圧着装置50の支持部52が、着脱自在に取り付けられている。これにより、支持部52が懸垂部材77,78に、光学フィルム12の移動域における巻取部11側の位置で取着されて懸架され、光学フィルム12の移動域における繰出部8側の位置で、支持部52が懸垂部材77,78から離脱されて光学フィルム12の移動域に戻される。
【0030】
図3及び図4に示すように、圧着装置50の支持部52は、その光学フィルム12の移動方向(x方向)に垂直の方向である幅方向の両端部に、垂直に延びる垂直部84が固定されており、この垂直部84の下端部には、電磁石からなる結合部83が設置されている。また、台座4上には、そのxyzθステージ(ステージ43等)のx方向への移動域の両側に、x方向に延びる支持部材81が立設されており、この支持部材81の上に、移動部材82が配置されている。この移動部材82は、移動部材82と支持部材81との間に軸方向をx方向にして設けた螺棒71に螺合しており、螺棒71の回転により、x方向に往復移動することができる。また、移動部材82の上部は磁性材料で形成されており、この移動部材82は電磁石からなる結合部83と電磁的に結合することができる。図3は電磁石からなる結合部83に通電して結合部83が移動部材82の上半部に磁気吸引力により結合している状態を示し、図4は結合部83に対する給電を停止して、その電磁力を消失させ、結合部83と移動部82との磁気的結合を解除し、支持部52を懸垂する懸垂部材77,78により支持部52を引き上げている状態を示す。図5(a)、(b)はこの懸垂部材77,78を示す図である。懸垂部材77,78は、図4に示すように、夫々y方向に2個の垂下部を有し、この2個の垂下部で圧着装置50の支持部52を係止して圧着装置50を持ち上げる。そして、懸垂部材77はガイドレール74(経路b2)又はガイドレール72(経路b4)に沿って移動し、懸垂部材78はガイドレール75(経路b2)又はガイドレール73(経路b4)に沿って移動する。更に、懸垂部材77,78は経路b3においても、同様にガイドレール(図示せず)に沿って移動する。
【0031】
圧着装置50においては、軸方向を垂直にして螺棒53が支持部52に螺合しており、圧着プレート51がこの螺棒53の下端に螺棒53の回転を許容するようにして取り付けられている。これにより、螺棒53が正逆回転することにより、圧着プレート51が上下動する。この圧着プレート51の下面には、複数個(図13の図示例は4個)に分割された保持部材61,62が配置されており、これらの保持部材61等は、夫々静電チャックにより光学フィルム12を保持することができる。そして、これらの保持部材61等は、適宜の駆動手段により、水平方向に若干移動することができる。
【0032】
例えば、各保持部材61等の上面に、x方向に延びる1対のx螺棒を、それらの各両端部を回転可能に支持する軸部を保持部材61等の上面に固定することにより、保持部材61等の端部近傍に適長間隔をおいて設置し、各x螺棒にxスライダを螺嵌することにより、このx螺棒をモータ等により回転駆動して前記xスライダをx方向に往復移動させ、この1対のxスライダ間にy方向に延びるy螺棒をその両端部で回転可能に軸部により支持させ、この軸部を前記xスライダに固定すると共に、このy螺棒を適宜のモータにより回転駆動することにより、y螺棒に螺嵌させてyスライダをy方向に往復移動させるように構成すればよい。そして、このyスライダを、圧着プレート51の下面に固定する。そうすると、1対のxスライダのx方向への移動と、yスライダのy方向への移動とにより、yスライダは、x−y平面で任意の位置に移動可能であり、このyスライダが圧着プレート51の下面に固定されていることにより、相対的に、保持部材61等は、圧着プレート51に対して相対的に、x−y平面で任意の位置に若干移動することができる。この保持部材61等のx方向及びy方向への移動は、上記機構に限らず種々の機構を採用することができる。また、平面サーボモータにより、圧着プレートと保持部材とを磁気的に結合させた状態で、保持部材を圧着プレートに対して任意の位置に若干移動させることができる。
【0033】
また、図5乃至7に示すように、圧着装置50の支持部52には、各保持部材61等に対応して4個のラインCCDカメラ23、24がx方向に2個ずつy方向に2列に設置されており、圧着プレート51に設けた透孔を介して、圧着装置50の下方の光学フィルム12及び基板10に設けたアライメントマークを検出するようになっている。更に、この支持部52には、圧着プレート51が光学フィルム12を基板10に向けて押圧しているときに、基板10の端縁に沿ってレーザ光を照射して、この基板10の端縁に沿って光学フィルム12を切断するレーザ部材33,34が設置されている。光学フィルム12は、このレーザ部材33,34により、基板10の外縁で切断されて、図1に示すように、基板10が存在していた位置に透孔12aが形成される。
【0034】
また、図2に示すように、シールディスペンサ部Aには、その真空チャンバ1の天板に2個のCCDカメラ20,21が設置されており、液晶滴下部Bには、その真空チャンバ1の天板にラインCCDカメラ22が設置されている。
【0035】
そして、シールディスペンサ部Aには、基板10の縁部にシール材を噴出するシールディスペンサ31が設置されており、液晶滴下部Bには、基板10の中央部分に液晶を滴下する液晶滴下ノズル32が設置されている。
【0036】
次に、上述のごとく構成された基板への光学フィルム貼付装置の動作について説明する。図6(a)及び(b)、図7(a)及び(b)、図8(a)及び(b)は、基板10及び圧着装置50の移動を工程順に示す図である。なお、以下の一連の動作は、適宜の制御装置により制御されて実行されることは勿論である。先ず、図1に示すように、ロードロック室2内にガラス基板10を挿入し、ロードロック室2内を真空に吸引する。その後、ロードロック室2内と真空チャンバ1内とを連結する扉を開にし、ロードロック室2内から基板10を真空チャンバ1内の基板チャックプレート47(基板チャックプレート)上に移載する。基板10は、静電チャック等により基板チャックプレート47に固定される。
【0037】
そして、シールディスペンサ部Aにおいて、CCDカメラ20,21により、基板10の表面のアライメントマークを撮像し、基板10を所定位置に位置合わせした後、ディスペンサ31から基板10の縁部に紫外光で硬化するUVシール材を噴射する。その後、モータ42を回転させて第1ステージ43を液晶滴下部Bに移動させる。そして、ラインCCDカメラ22により基板10の表面のアライメントマークを撮像し、基板10を所定位置に位置合わせした後、基板10の表面中央部に、液晶滴下ノズル32から液晶を滴下する。その後、第1ステージ43を、経路a2を経て、光学フィルム12の貼り合わせ部Cに向けて移動させ、この貼り合わせ部Cを一定の速度で移動させる。また、貼り合わせ部Cの光学フィルム12を、繰出部8から巻取部11に向けて一定の速度で繰り出し、1対のロール9間で、光学フィルム12を水平方向に前記一定の速度で移動させる。そして、図6に示すように、基板チャックプレート47上の基板10を貼り合わせ部Cにおける繰出部8側の位置に移動させると同時に、圧着装置50を、経路b4を経て、基板10の直上に位置させ、その後、懸垂部材77,78に吊り下げられている支持部52を、図3に示すように、下降させて、結合部83を移動部材82に磁気的に結合させる。この結合部83を移動部材82上に下降させた後、懸垂部材77,78は支持部52を離脱し、懸垂部材77,78は、経路b4、b3,b2を逆方向に移動して、光学フィルム12の巻取部11側に戻る。以後、圧着装置50の圧着プレート51は、螺棒71の回転により、基板チャックプレート47上の基板10と同一速度で、連動して、x方向に移動する。この圧着プレート51と基板10とが連動して移動する間、以下の操作を行う。圧着装置50の圧着プレート51を下降させ、保持部材61,62を光学フィルム12に接触させる。そして、保持部材61,62に通電して、正電荷と負電荷を保持部材61,62に生じさせ、光学フィルム12に対応する負電荷及び正電荷を誘起させる。これにより、保持部材61,62は光学フィルム12を静電的に吸着する。従って、圧着装置50の圧着プレート51と4個の保持部材61、62は、基板10との間で光学フィルム12を挟持した状態になる。この間、光学フィルム12は、繰出部8から一定の速度で繰り出し、光学フィルム12と、基板10と、圧着装置50とを、同期させてx方向に移動させる。従って、基板10を停止させることなく、基板10をx方向に移動させつつ、光学フィルム12を貼付する。なお、光学フィルム12の移動速度は、一定に限らず、圧着装置50が光学フィルム12上に移動してくるとき及び光学フィルム12から離脱するとき等において、光学フィルム12の移動速度を変更することも可能である。
【0038】
なお、圧着プレート51と基板10とは、図10に示すように、ラインCCDカメラ23,24により基板10に設けたアライメントマークを、圧着プレート51に設けた透孔102,103を介して撮影することにより、両者のアライメントをとる。即ち、図10に示すように、ラインCCDカメラ23,24により基板10の表面のアライメントマークを撮像し、第2ステージ45,第3ステージ46及び基板チャックプレート47を微調整して、基板10の位置を貼り合わせ部Cにおける所定の位置に、高精度で位置合わせする。なお、この基板10の位置合わせは任意である。また、図11及び図12に示すように、圧着プレート51の透孔102.103を介して、光学フィルム12の表面に形成したアライメントマーク92をリニアCCDカメラ23,24が撮影し、光学フィルム12の位置合わせを行う。なお、図10及び図11には、図示の簡略化のために、透孔104の図示を省略している。また、前述のごとく、基板10と圧着プレート51とのアライメントは、前工程で終了しているが、基板10の4隅部に基板マーク10aを設けて、ラインCCDカメラ23,24により、透孔102,103及び光学フィルム12を透過して、基板マーク10aを観察することにより、圧着プレート51と光学フィルム12とのアライメントに加えて、更に基板10とのアライメントも再度行うことができる。
【0039】
この場合に、図13乃至図15に示すように、圧着プレート51と光学フィルム12との間には、4分割された保持部材61,62が配置されており、この保持部材61,62にも圧着プレート51の透孔102,103と整合する位置に透孔が設けられている。そして、ラインCCDカメラ23,24は、この保持部材61,62に設けた透孔を介して、光学フィルム12の十字状のアライメントマークを撮影する。そして、図13に示すように、光学フィルム12のマークが保持部材61,62の透孔内に収まっている場合は、光学フィルム12に撓み及びよれが無いことがわかる。
【0040】
一方、図14に示すように、光学フィルム12の一部のアライメントマークが、保持部材61,62の透孔から外れている場合は、光学フィルム12に撓み又はよれが存在するので、保持部材61及び62をその面に平行の方向に移動させて、透孔内にこのマークが入る状態にし、図15に示すように、保持部材61,62を相反する方向に移動させることにより、光学フィルム12を緊張状態にして、撓み及びよれを解消する。
【0041】
この光学フィルム12の撓み及びよれが解消した後、圧着プレート51を下降させて、保持部材61,62を光学フィルム12に押圧し、光学フィルム12を、圧着プレート51及び保持部材61,62と基板10との間で、挟持する。
【0042】
そして、図7に示すように、圧着装置50及び基板10がx方向に移動している間、UV光(紫外光)を基板10の縁部に照射し、圧着プレート51により応力を印加した状態で、紫外光により基板10の縁部のシール材を硬化させる。これにより、光学フィルム12が基板10の縁部に固着され、液晶がシール材により取り囲まれて基板10と光学フィルム12との間に保持される。なお、UV光の照射は、図12に示すように、圧着プレート51の縁部に設けた透孔104を介して行うことが好ましい。シール材が硬化して、光学フィルム12が基板10の縁部に固着された後、保持部材61,62による光学フィルム12の静電チャックを、保持部材61,62への印加電圧を0にするか又は逆符号の電荷を印加することにより、停止する。
【0043】
また、図8に示すように、レーザ部材33,34からレーザ光を照射させつつ、レーザ部材33,34を夫々y方向の逆方向と、y方向とに移動させ、光学フィルム12を基板移動方向(フィルム走行方向)の前端部及び後端部で基板移動方向に垂直の方向に切断する。その後、レーザ部材33,34を基板移動方向に走行させ、基板10の長手方向の縁部を、レーザ部材33,34のレーザ光の照射により切断する。これにより、光学フィルム12には、透孔12aが形成される。
【0044】
その後、図8に示すように、圧着装置50,基板10が、光学フィルム12の移動域の巻取部11側の位置まで到達した後、図4に示すように、電磁石の結合部83に対する通電を停止して、結合部83と移動部材82との磁気的結合を解除し、懸垂部材77,78が支持部52を係止して支持部52を吊り上げ、圧着プレート51及び支持部材52を含む圧着装置50を上昇させ、経路b2を経て圧着装置50を光学フィルム12上から離脱させる。光学フィルム貼付後の基板10は経路a3を経て光学フィルム12上から離脱する。そして、この基板10はロードロック室3から経路c2を経て外部に排出される。一方、光学フィルム12の移動域の繰出部8側の位置では、基板10が基板チャックプレート47上に固定されて光学フィルム12の下方に供給され、また、圧着装置50が光学フィルム12の上方に供給される。光学フィルム12は、基板10への貼付に使用された部分がくりぬかれた透孔12aが形成された状態で、巻取部11に巻き取られる。
【0045】
このように、基板10が経路a1,a2,a3を経て移動する間に、圧着装置50が経路b4,b1,b2、b3を経て循環するので、光学フィルム12を繰出部8から巻取部11まで常に移動させた状態で、停止させることなく、基板10に光学フィルム12を貼付することができる。このため、極めて高効率で、基板10に光学フィルム12を貼付することができる。また、光学フィルム12を静電チャックで保持する保持部材61,62を、光学フィルム12の面に平行の方向に移動可能としたので、貼り合わせ部Cの入口で光学フィルム12に撓み又はよれが存在しても、これを取り除くことができる。
【0046】
また、上記実施形態は、懸垂部材77,78が経路b2,b3,b4を経て、圧着装置50を光学フィルム12の移動域の後端部から前端部まで搬送するものであるが、本発明は、これに限らず種々の態様で圧着装置50を循環移動させることができる。例えば、図9に示すように、圧着装置50の経路b3における移動を、経路b1における圧着装置50の移動と同様に移動部材82によるものとすることができる。即ち、光学フィルム12の移動域にその両側にx方向に平行に設けられた移動部材82と同様に、光学フィルム12の移動域に隣接するようにして、1対の移動部材82を配置し、図3及び図4に示すものと同様に、支持部材81上に設けた螺棒71の回転により移動部材82をx方向の逆方向(図3及び図4で説明した移動方向の反対方向)に移動させることにより、圧着装置50を経路b3の方向(c3点からc4点まで)に移動させる。一方、光学フィルム12の移動域における圧着装置50の導入位置(c1点)と、c4点との間においては、懸垂部材77,78を、往復移動させ、圧着装置50を懸垂した懸垂部材77,78はガイドレール72,73に沿ってb4方向に移動し、c1点で圧着装置50を下降させて、図3に示すように、その結合部83を移動部材82上に磁気結合させた後、懸垂部材77,78は単独で経路b4を経てc4点まで戻る。また、光学フィルム12の移動域における圧着装置50の離脱位置(c2点)と、c3点との間においても、懸垂部材77,78を往復移動させる。即ち、c2点で、図4に示すように、懸垂部材77,78は圧着装置50を吊り上げ、経路b2を経て、圧着装置50をc3点までガイドレール74,75に沿って移動させ、c3点にて、懸垂部材77,78は圧着装置50を下降させて、結合部83を移動部材82に磁気的に結合させ、懸垂部材77,78は単独で経路b2を経てc2点まで戻る。
【0047】
このようにして、圧着部材50は経路b2,b3,b4を経て光学フィルム12の移動域に循環供給され、経路b2及び経路b4で圧着装置50を吊り下げる懸垂部材77,78はこの経路b2,b4で往復移動する。これにより、図1及び図2に示す実施形態よりも、圧着装置50を迅速に循環移動させることができる。
【0048】
なお、保持部材は、上記実施形態のように、4分割したものではなく、図17及び図18に示すように、6分割したものでもよく、その他の複数個に分割したものでもよい。6分割の場合は、例えば、基板10の移動方向のx方向に3個の保持部材61,62,63が基板の幅方向のy方向に2列配置され、各保持部材61,62,63に対応して、ラインCCDカメラ23,24,25を配置する。
【0049】
そして、保持部材のマーク観察用孔から、光学フィルム12の表面アライメントマークを観測し、観測できた場合には、保持部材に電圧を印加して光学フィルムを静電チャックする。具体的には、図16(4分割)及び図17(6分割)に示す「1」の保持部材の観察用孔から光学フィルム12上のマークを観測し、このマークを観測できた位置で保持部材に電圧を印加してこの保持部材に光学フィルム12を固定させ、次いで、対となる「2」及び「3」の保持部材観察用孔からアライメントマークをサーチし、光学フィルム12のマークが観察された位置で、保持部材に電圧を印加してその部分の光学フィルム12を静電チャックする。その後、残りの「4」の保持部材の観察用孔又は「4」、「5」、「6」の保持部材の観察用孔からアライメントマークをサーチし、光学フィルム12のマークが観察された位置で、保持部材に電圧を印加してその部分の光学フィルム12を静電チャックする。これにより、全ての保持部材61等が、光学フィルム12を静電チャックする。その後、これらの保持部材61等を、所定の配置に戻す。そうすると、撓み又はよれが生じていた光学フィルム12は、保持部材61等が所定の位置に戻ることにより、光学フィルム12の4個又は6個のマークの位置が所定の位置に決まり、光学フィルム12は撓み又はよれが解消される。
【0050】
なお、マークのサーチは予めプログラムされた一定の範囲で行うことが好ましい。そして、このサーチ範囲内でマークを検出できなかった場合は、保持部材6等の静電チャックを解除し、サーチをリトライするか、又はエラーとして、光学フィルム12の送り出しを停止する。これにより、光学フィルム12が移動している過程で、保持部材が光学フィルム12のマークをサーチし続けることの不都合を解消することができる。
【0051】
また、マークのサーチの順番は、上述の順番に限らないことは勿論である。当初から、全ての保持部材61等が同時にマークのサーチを開始しても良い。全てのマークがラインCCDカメラ23等により観察され、保持部材61等により静電チャックされた後、圧着プレート51を下降させて、圧着プレート51が保持部材61等を介して光学フィルム12を押圧する直前に、ラインCCDカメラ23等が液晶基板10のアライメントマークを観察しながら、移動装置40のステージ43,45,46の位置を調整して、x−y−z−θの各軸に関して、基板位置の調整を行う。その後、圧着プレート51を下降させて、保持部材61等を介して、光学フィルム12を基板10に対して押圧する。その後、前述のごとく、紫外光透過用孔104を介して、紫外光を基板10の周囲のシールド材に照射し、シールド材を硬化させて、光学フィルム12と基板10とを圧着する。なお、この光学フィルム12の圧着に際し、圧着プレート51を下降させる代わりに、基板10を上昇させるか、又は圧着プレート51の下降と基板10の上昇とを組み合わせてもよい。
【0052】
更に、上記実施形態においては、フィルム12のアライメントマーク92を、圧着プレート51の透孔102,103を介して、ラインCCDカメラ23,24により観察することにより、光学フィルム12と圧着プレート51とのアライメントを行う場合について説明したが、図19及び図20に示すように、圧着プレート51の大きさを小さくすることにより、圧着プレート51の外側で、ラインCCDカメラ23,24により、光学フィルム12のアライメントマーク92を観察することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:真空チャンバ
2,3:ロードロック室
4:台座
8:繰出部
10:基板
11:巻取部
12:光学フィルム
20,21,22,23,24、25:CCDカメラ
31:ディスペンサ
32:ノズル
33、34:レーザ部材
40:移動装置
41:螺棒
43,45,46:ステージ
47:基板チャックプレート
51:圧着プレート
71:螺棒
72,73,74,75:ガイドレール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、この真空チャンバ内に設置されたシール材のディスペンサを含むシールディスペンサ部と、前記真空チャンバ内の前記シールディスペンサ部の隣に配置され液晶滴下ノズルを含む液晶滴下部と、前記真空チャンバ内の前記液晶滴下部の隣に配置されたフィルム貼り合わせ部と、フィルム貼付前の基板を前記真空チャンバ内の基板チャックプレート上に導入する導入部と、フィルム貼付後の基板を前記基板チャックプレートから外部に排出する排出部と、前記真空チャンバ内で前記基板チャックプレート上の基板を前記導入部、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部、前記貼り合わせ部及び前記排出部にこの順に搬送する第1移動装置と、前記基板排出後の前記基板チャックプレートを前記排出部から前記導入部まで搬送する第2移動装置と、を有し、
前記フィルム貼り合わせ部は、光学フィルムを巻回したロールから前記光学フィルムを繰り出す繰出部と、前記光学フィルムをロール状に巻き取る巻取部と、前記繰出部から前記巻取部まで前記光学フィルムが移動する移動域の前記光学フィルムの上方に配置された圧着装置と、前記圧着装置を前記光学フィルムの移動域にて前記繰出部側から前記巻取部側に移動させる第3移動装置と、前記圧着装置を前記光学フィルムの移動域における離脱位置から前記移動域における装着位置まで戻して循環させる第4移動装置と、を有し、
前記圧着装置は、基部と、この基部に対して上下動可能に支持された圧着プレートと、前記光学フィルムを前記圧着領域の縁部で圧着領域を取り囲むように切断する切断部材と、を有し、
前記光学フィルムの移動域にて、前記基板の移動中に、前記光学フィルムを前記基板上に重ね、前記圧着プレートを下降させて前記光学フィルムを前記圧着プレートにより前記基板に押圧することを特徴とする基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項2】
前記圧着装置は、前記圧着プレートの下方に配置され前記光学フィルムの前記基板への圧着領域を複数個に分割して夫々保持する複数個のフィルム保持部材と、この複数個のフィルム保持部材を前記光学フィルムの面に平行の方向に移動させる第5移動装置と、を有し、
前記光学フィルムの移動域にて、前記基板の移動中に、前記光学フィルムを前記基板上に重ね、前記圧着プレートを下降させて前記光学フィルムを前記圧着プレートにより前記フィルム保持部材を介して前記基板に押圧することを特徴とする請求項1に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項3】
前記光学フィルムの移動、前記圧着装置の移動、前記圧着プレートの下降及び前記基板チャックプレートの移動を制御する制御装置を有し、この制御装置は、前記基板チャックプレートに保持された前記基板及び前記繰出部から繰り出された前記光学フィルムと前記圧着装置とを、前記光学フィルムの前記移動域にて、同期させて移動させ、この同期移動の間に、前記圧着プレートを下降させて、前記光学フィルムを前記基板に押圧することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項4】
前記保持部材は、静電チャックで前記光学フィルムを保持すると共に、この保持を解除できることを特徴とする請求項2に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項5】
前記切断部材は、レーザ光の照射により前記光学フィルムを切断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項6】
前記基板チャックプレートは、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部まで移動する間に、その移動方向のX方向、X方向に垂直かつ水平方向のY方向及び上方向のZ方向の位置を調整するXYZステージ上に設置され、
前記第1移動装置は、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部まで、前記基板チャックプレートと前記XYZステージとを一体的に移動させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項7】
前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部には、夫々、前記基板上のマークを検出するセンサが設置されており、前記センサにより基板上のマークを検出して前記XYZステージにより前記基板の位置合わせを行うことを特徴とする請求項6に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項1】
真空チャンバと、この真空チャンバ内に設置されたシール材のディスペンサを含むシールディスペンサ部と、前記真空チャンバ内の前記シールディスペンサ部の隣に配置され液晶滴下ノズルを含む液晶滴下部と、前記真空チャンバ内の前記液晶滴下部の隣に配置されたフィルム貼り合わせ部と、フィルム貼付前の基板を前記真空チャンバ内の基板チャックプレート上に導入する導入部と、フィルム貼付後の基板を前記基板チャックプレートから外部に排出する排出部と、前記真空チャンバ内で前記基板チャックプレート上の基板を前記導入部、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部、前記貼り合わせ部及び前記排出部にこの順に搬送する第1移動装置と、前記基板排出後の前記基板チャックプレートを前記排出部から前記導入部まで搬送する第2移動装置と、を有し、
前記フィルム貼り合わせ部は、光学フィルムを巻回したロールから前記光学フィルムを繰り出す繰出部と、前記光学フィルムをロール状に巻き取る巻取部と、前記繰出部から前記巻取部まで前記光学フィルムが移動する移動域の前記光学フィルムの上方に配置された圧着装置と、前記圧着装置を前記光学フィルムの移動域にて前記繰出部側から前記巻取部側に移動させる第3移動装置と、前記圧着装置を前記光学フィルムの移動域における離脱位置から前記移動域における装着位置まで戻して循環させる第4移動装置と、を有し、
前記圧着装置は、基部と、この基部に対して上下動可能に支持された圧着プレートと、前記光学フィルムを前記圧着領域の縁部で圧着領域を取り囲むように切断する切断部材と、を有し、
前記光学フィルムの移動域にて、前記基板の移動中に、前記光学フィルムを前記基板上に重ね、前記圧着プレートを下降させて前記光学フィルムを前記圧着プレートにより前記基板に押圧することを特徴とする基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項2】
前記圧着装置は、前記圧着プレートの下方に配置され前記光学フィルムの前記基板への圧着領域を複数個に分割して夫々保持する複数個のフィルム保持部材と、この複数個のフィルム保持部材を前記光学フィルムの面に平行の方向に移動させる第5移動装置と、を有し、
前記光学フィルムの移動域にて、前記基板の移動中に、前記光学フィルムを前記基板上に重ね、前記圧着プレートを下降させて前記光学フィルムを前記圧着プレートにより前記フィルム保持部材を介して前記基板に押圧することを特徴とする請求項1に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項3】
前記光学フィルムの移動、前記圧着装置の移動、前記圧着プレートの下降及び前記基板チャックプレートの移動を制御する制御装置を有し、この制御装置は、前記基板チャックプレートに保持された前記基板及び前記繰出部から繰り出された前記光学フィルムと前記圧着装置とを、前記光学フィルムの前記移動域にて、同期させて移動させ、この同期移動の間に、前記圧着プレートを下降させて、前記光学フィルムを前記基板に押圧することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項4】
前記保持部材は、静電チャックで前記光学フィルムを保持すると共に、この保持を解除できることを特徴とする請求項2に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項5】
前記切断部材は、レーザ光の照射により前記光学フィルムを切断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項6】
前記基板チャックプレートは、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部まで移動する間に、その移動方向のX方向、X方向に垂直かつ水平方向のY方向及び上方向のZ方向の位置を調整するXYZステージ上に設置され、
前記第1移動装置は、前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部まで、前記基板チャックプレートと前記XYZステージとを一体的に移動させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【請求項7】
前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部には、夫々、前記基板上のマークを検出するセンサが設置されており、前記センサにより基板上のマークを検出して前記XYZステージにより前記基板の位置合わせを行うことを特徴とする請求項6に記載の基板への光学フィルム貼付装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−247714(P2012−247714A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121089(P2011−121089)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]