説明

基板を有する装置およびモータ装置

【課題】装置を大きくすることなく、リジッド基板が安定した状態で軸支持部に位置決めされる装置、および、これを備えたモータ装置を提供する。
【解決手段】板状のベース部11、このベース部11の表面から突出して形成された、根元に肉厚部分を有する筒状体であって、筒の内側で軸部材611を支持する軸支持部12、および、この軸支持部12の外側に形成された、前記肉厚部分よりも外側に突出したリブ部13、を有するプレート部材10と、前記リブ部13が係合される貫通孔である第一の位置決め孔21が形成されたリジッド基板20と、を備える装置1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を有する装置およびモータ装置に関し、さらに詳しくは、装置内の所定位置に位置決めされるリジッド基板を有する装置およびこれを備えたモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、リジッド基板(以下、単に「基板」と称することもある)を有するギヤードモータが記載されている。このギヤードモータでは、リジッド基板に形成された位置決め孔に位置決め突起を係合させることにより基板の位置決めを行っている。また、下記特許文献2には、軸受を保持するホルダ(筒状本体)をリジッド基板の位置決め突起に利用した構成が記載されている。このようにすれば、リジッド基板を位置決めする突起を削減することができる(基板を位置決めするためだけに別途突起を形成する必要がない)から、装置構成が簡易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−69722号公報
【特許文献2】特開平10−14160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載されるような軸受や軸受を保持するホルダ(以下、このような部材を「軸支持部」と総称する)は、機械的強度を確保するため、特許文献2の図6に示すように根元部分をテーパ状に形成すること(根元部分を肉厚にすること)が多い。このように根元部分が肉厚である場合、基板に形成された位置決め孔にそのまま軸支持部が挿通される構成とすれば、当該肉厚である根元部分に基板が乗り上げた状態となり基板が安定しない。また、肉厚である根元部分を逃がすような大きな位置決め孔を基板に形成すれば、基板ががたついてしまうおそれがある。これに対応するため、特許文献2では、軸支持部の根元に基板が接触しないように、基板を浮かせた状態で支持する構成としている。しかし、かかる構造とすると、基板を浮かせた分装置が大きくなってしまう。
【0005】
上記問題に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、装置を大きくすることなく、リジッド基板が安定した状態で軸支持部に位置決めされる装置、および、これを備えたモータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる基板を有する装置は、板状のベース部、このベース部の表面から突出して形成された、根元に肉厚部分を有する筒状体であって、筒の内側で軸部材を支持する軸支持部、および、この軸支持部の外側に形成された、前記肉厚部分よりも外側に突出したリブ部、を有するプレート部材と、前記リブ部が係合される貫通孔である第一の位置決め孔が形成されたリジッド基板と、を備えることを要旨とする。
【0007】
上記構成は、位置決め突起として利用される軸支持部に、肉厚である根元部分よりも外側に突出したリブ部が形成されているから、そのリブ部を基準としてリジッド基板を位置決めすることができる。したがって、リジッド基板が安定した状態で装置内に位置決めされる。また、肉厚の根元部分に接触しないようにリジッド基板を浮かせた状態で支持したり、肉厚である根元部分を逃がすような加工をリジッド基板に施すといった必要がないから、装置の大型化や装置のコストアップを防止できる。
【0008】
また、前記リブ部は、軸支持部の周方向に等間隔に二以上形成され、前記第一の位置決め孔に圧入されていればよい。
【0009】
このようにリブ部がリジッド基板の位置決め孔に圧入される構成とすれば、位置決めされたリジッド基板が外れてしまうことを防止できる。また、リブ部は周方向に等間隔に形成されたものであるため、圧入時にリジッド基板にかかる力(リブ部と位置決め孔の内周面との摩擦力)が小さく、かつ、周方向に均等であるため、圧入時におけるリジッド基板の破損を防止することができる。
【0010】
また、前記リブ部は、前記軸支持部の外周面と前記ベース部の表面を繋ぐように形成されていればよい。
【0011】
かかる構成とすれば、肉厚である根元部分だけでなく、リブ部によって軸支持部の機械的強度が向上する。すなわち、上記構成によれば、軸支持部の外側に形成されたリブ部の存在によって、リジッド基板が安定した状態で位置決めされるというだけでなく、軸支持部の強度向上にも資するという点で優れる。
【0012】
前記リジッド基板は、前記ベース部の表面に接触していればよい。
【0013】
このようにリジッド基板がベース部の表面に接触していれば、ベース部によってリジッド基板が大きく撓むことが抑えられ、リジッド基板の破損やリジッド基板に形成された導電パターンの剥離が防止される。なお、このようにリジッド基板をベース部の表面に接触させることができるのは、肉厚である根元部分よりも外側に突出したリブ部が軸支持部の外側に形成されているからである。つまり、リブ部の存在がなければ、リジッド基板を浮かせた状態とするなどの措置をとらなければ安定した状態でリジッド基板を位置決めすることができないところ、軸支持部の外側にリブ部が形成された構成であるため、ベース部の表面に接触させてリジッド基板を位置決めすることができる。
【0014】
また、前記リブ部が前記第一の位置決め孔に圧入されている場合において、前記リジッド基板は、所定の位置に固定された端子に半田付けされており、前記ベース部には、前記リジッド基板に形成された第二の位置決め孔に係合される、この第二の位置決め孔よりも小径の位置決めピンが設けられており、前記リジッド基板における前記第一の位置決め孔と前記端子に半田付けされる部分との距離は、前記第二の位置決め孔と前記端子に半田付けされる部分との距離よりも小さければよい。
【0015】
リジッド基板を位置決めする部材として、第二の位置決め孔よりも小径の位置決めピンが設けられている(第二の位置決め孔に遊嵌される位置決めピンが設けられている場合)場合、リブ部が第一の位置決め孔に圧入される軸支持部近傍の方が精度良く位置決めされることになる。したがって、軸支持部と端子に半田付けされる部分との距離を近くすれば、リジッド基板と端子の位置ずれ量をより小さく抑えることができる。
【0016】
また、前記プレート部材に支持された被検出用歯車に、前記リジッド基板上に支持されたポテンショメータによって回転方向における位置が検出される検出用歯車が噛合していればよい。
【0017】
被検出用歯車はプレート部材を基準として位置決めされ、検出用歯車はポテンショメータが設けられたリジッド基板を基準として位置決めされる。このプレート部材とリジッド基板とが上記構成(リブ部とそれに係合する位置決め孔)により正確に位置決めされるため、組立時などにおける被検出用歯車の軸線と検出用歯車の軸線の距離のばらつきを抑制できる(両歯車の相対的な取り付け位置精度が高い)。
【0018】
また、前記ポテンショメータには、前記検出用歯車が支持された支持軸を支持する筒状部が形成され、この筒状部は前記リジッド基板に形成された貫通孔であるポテンショメータ用位置決め孔に係合されているとよい。
【0019】
かかる構成とすれば、リジッド基板に対するポテンショメータの位置決め精度に優れる。したがって、被検出用歯車の軸線と検出用歯車の軸線の距離のばらつきをさらに抑制できる(両歯車の相対的な取り付け位置精度がさらに向上する)。
【0020】
また、本発明にかかるモータ装置は、モータの動力は、前記被検出用歯車を含み、かつ、前記検出用歯車を含まない動力伝達列を介して出力されることを要旨とする。
【0021】
このように検出用歯車がモータの動力を伝達する動力伝達列に含まれていなければ、検出用歯車にかかる力が小さい。したがって、検出用歯車をリジッド基板(それに設けられたポテンショメータ)で支持することができる。
【0022】
また、前記軸部材に支持された歯車は、モータのロータと一体的に回転するロータ歯車に噛合する、前記動力伝達列である減速輪列を構成する歯車のうち最もモジュールの小さい歯車であればよい。
【0023】
上記動力伝達列が減速輪列であって、軸部材に支持された歯車がモジュールの小さい歯車である場合、この歯車を支持する軸部材が倒れることによって当該歯車とロータ歯車との噛合が外れてしまうおそれがある。しかし、本発明では、軸支持部の根元が肉厚となっており、軸支持部に支持される軸部材が倒れにくい。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる基板を有する装置は、肉厚である根元部分よりも外側に突出したリブ部をリジッド基板の位置決め要素として利用する。そのため、リジッド基板が安定した状態で装置内に位置決めされる。また、肉厚の根元部分に接触しないようにリジッド基板を浮かせた状態で支持したり、肉厚である根元部分を逃がすような加工をリジッド基板に施すといった必要がないから、装置の大型化や装置のコストアップを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態にかかるモータ装置(基板を有する装置)の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるモータ装置(基板を有する装置)のケースを取り外した状態の外観図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるモータ装置(基板を有する装置)のケースを取り外した状態を図2とは異なる方向から見た外観図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるモータ装置の上ケースを取り外した状態の平面図(上方から見た図)である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるモータ装置の要部の分解斜視図である。
【図6】リブ部とリジッド基板の第一の位置決め孔との係合部分の断面を模式的に示した図である(図4におけるA−A線断面に相当する)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明における上下方向(高さ方向)とは、図1における上下方向をいうものとする。図1から図6に詳細を示す本実施形態にかかるモータ装置1(基板を有する装置)は、プレート部材10およびそれに位置決めされるリジッド基板20を有する。
【0027】
プレート部材10は、ベース部11と、このベース部11から突出した軸支持部12と、軸支持部12の外側に形成されたリブ部13と、を有する部材であって、例えば合成樹脂材料などによって一体成形されてなる。ベース部11は、プレート部材10の本体部分を構成する水平方向に広がる板状の部材である。
【0028】
軸支持部12は、このベース部11の表面から突出して形成された筒状の部分である。この筒の内側で第一の歯車61が回転自在に支持された第一の歯車支持軸611(本発明における軸部材に相当する)が圧入固定される。この軸支持部12の根元部分(ベース部11との境界部分)の外側は、その他の部分よりも相対的に肉厚である(以下、当該肉厚になっている部分を単に肉厚部分121と称することもある)。つまり、「筒」の厚みがその他の部分よりも大きい。このような肉厚部分121が形成されることにより、軸支持部12の機械的強度が高められている(軸支持部12が傾きにくい)。本実施形態では、図6に示すように、軸支持部12の下端が最も肉厚であり、上に向かうに従って段々と厚みが小さくなるテーパ状の肉厚部分121が形成されている。なお、この肉厚部分121の形状は一例であり適宜変更可能である。なお、第一の歯車支持軸611は、軸支持部12に圧入固定される一方の端部と逆側の他端は上ケース92に圧入固定される。
【0029】
リブ部13は、上記肉厚部分121よりも外側に突出した外周面が周方向で円弧状である部分である。つまり、本実施形態のようなテーパ状の肉厚部分121が形成された軸支持部12であれば、最も肉厚な軸支持部12の最下端部よりも外側に突出している。換言すれば、リブ部13の径は、最も肉厚な軸支持部12の最下端部の径よりも大きい。このリブ部13は、軸支持部12の周方向において等間隔に複数形成されている。つまり、各リブ部13同士は、「360/N」度(Nはリブ部13の数)分離れている(一のリブ部13中央とそれに隣接するリブ部13中央の角度差が「360/N」度である)。本実施形態では、三つのリブ部13が形成されており、各リブ部13同士は120度分離れている。このリブ部13は、軸支持部12(の外周面)とベース部11の表面を繋ぐように形成されている。つまり、リブ部13は、軸支持部12と繋がり、かつ、ベース部11とも繋がっている。
【0030】
また、プレート部材10のベース部11には、リジッド基板20を位置決めするために用いられる、上方に向かって突出した位置決めピン111が形成されている。この位置決めピン111は、上記リブ部13よりも小径である。
【0031】
リジッド基板20は、上記プレート部材10に位置決めされる基材が絶縁性の硬質の材料で形成された回路基板である。このリジッド基板20には、貫通孔である第一の位置決め孔21および第二の位置決め孔22が形成されている。第一の位置決め孔21は、軸支持部12の外側に形成されたリブ部13が係合される孔である。具体的には、第一の位置決め孔21の径は、リブ部13の径よりも寸法公差分小さくなるように設定される。したがって、リブ部13は第一の位置決め孔21に圧入された状態となる。一方、第二の位置決め孔22は、プレート部材10のベース部11に形成された位置決めピン111が係合される孔である。本実施形態では、第二の位置決め孔22は、位置決めピン111よりも小さく形成されている。つまり、位置決めピン111は、第二の位置決め孔22に遊嵌されている。このように、リジッド基板20は、プレート部材10に形成されたリブ部13および位置決めピン111によってプレート部材10に対して位置決めされて取り付けられる。リブ部13は、肉厚部分121よりも外側に突出しているから、肉厚部分121がリジッド基板20の位置決めに寄与することはない。別の見方をすれば、肉厚部分121がリジッド基板20に干渉することはない。
【0032】
このように位置決めされるリジッド基板20は、プレート部材10に接触した状態(図6参照)であってもよいし、非接触の状態であってもよいが、接触した状態であるとベース部11によってリジッド基板20が大きく撓むことが抑えられるため好適である。なお、このようにプレート部材10に接触させる場合には、各種電子部品が全て表面(上面)側に実装され、裏面(下面)側には電子部品の足等が突出しておらず導電パターンも形成されていないリジッド基板20が好適である。
【0033】
また、リジッド基板20は、下ケース91の所定の位置に固定された端子(端子ピン31)に半田付けされている。下ケース91には、平坦な取付面911が形成されており、その取付面911から突出するように端子ピン31が固定されている。リジッド基板20の一方側端部には、端子ピン31が挿通される複数の貫通孔23(本実施形態では三つ)および各貫通孔23の周囲にランド24が形成されている。各貫通孔23に挿通された端子ピン31は、それぞれの貫通孔23の周囲に形成されたランド24に半田付けされる。これにより、リジッド基板20と各端子ピン31が電気的かつ物理的に接続される。
【0034】
ここで、各図から明らかなように、リジッド基板20における第一の位置決め孔21と端子に半田付けされる部分(貫通孔23やランド24が形成された一方側端部)との距離は、第二の位置決め孔22と端子に半田付けされる部分との距離よりも小さい。つまり、リジッド基板20におけるリブ部13によって位置決めされる部分は、その他の位置決め部分よりも半田付けされる箇所に近くなるように設定されている。
【0035】
また、リジッド基板20には、ポテンショメータ40が実装されている。検出用歯車42は、リジッド基板20側に突出した支持軸421を有し、ポテンショメータ40は、検出用歯車42の支持軸421が圧入固定される筒状部41を有する。図示しないが、支持軸421は、筒状部41の内側に設けられた回転体といわゆる「Dカット」により係合しており、支持軸421の回転によってポテンショメータ40の回転体が回転(移動)する。この回転体の回転によって検出用歯車42の回転方向位置(回転量)が検出される。リジッド基板20には、ポテンショメータ用位置決め孔25が形成されている。このポテンショメータ用位置決め孔25に筒状部41が係合されることによって、ポテンショメータ40はリジッド基板20に対して位置決めされている。なお、このポテンショメータ40は三つの配線(足)を有する。一つは+5Vの電圧、一つは信号出力、一つはGNDであり、ポテンショメータ40は検出用歯車42の回転方向位置に対応する電圧を出力する。
【0036】
本実施形態にかかるモータ装置1は、上記構成の他に、駆動源であるモータ50と、このモータ50の動力を伝達する減速輪列である動力伝達手段60(動力伝達列)と、フレキシブル基板70と、を備える。これら装置を構成する各種部材は、下ケース91と上ケース92からなるケース90に収容されている。
【0037】
モータ50は下ケース91に保持されている。本実施形態ではモータ50の種別は問わない。円柱状に形成されたモータ50の側面(外周面)には、モータケースから外側に突出したモータ端子51が設けられている。モータ端子51は、上下方向に直交する方向に突出している。
【0038】
動力伝達手段60は、プレート部材10と上ケース92に圧入固定された支持軸に回転自在に支持される第一の歯車61および第二の歯車62や、プレート部材10と上ケース92に回転自在に支持される被検出用歯車63から構成される減速輪列である。モータ50の回転動力は、モータ50のロータと一体的に回転するロータ歯車52、ロータ歯車52に噛合する第一の歯車61、第一の歯車61に噛合する第二の歯車62、第二の歯車62に噛合する被検出用歯車63、の順で図示されない被駆動体に伝達される。すなわち、被検出用歯車63は、最終的にモータ50の動力を被駆動体に伝達する出力歯車として機能する。そして、上述したように被検出用歯車63には検出用歯車42が噛合している。このように、被検出用歯車63は動力伝達手段60を構成する一要素であるが、それに噛合する検出用歯車42は動力伝達手段60を構成する要素ではない。このため、検出用歯車42にはポテンショメータ40を動作させるトルク以外のトルクがかからない。なお、かかる動力伝達手段60の構成は一例であり、モータ50の動力が被駆動体に伝達される構成であればその構成は特に限定されない。
【0039】
ここで、第一の歯車61は、ロータ歯車52と直接噛合しているため、モータから出力軸までの動力伝達手段60を構成する歯車のうちで、歯車にかかるトルクが最も小さい歯車となる。そのため、第一の歯車61は、動力伝達手段60を構成する歯車のうちで、最もモジュールの小さい歯車となる。第一の歯車61は、このようにモジュールが小さい歯車であるから、第一の歯車61の回転軸とモータ50の回転軸との軸間距離は、高い位置決め精度が必要となる。
【0040】
フレキシブル基板70は、一方側の端部は下ケース91に形成された取付面911に端子ピン31と並んで設けられた接続ピン32(本実施形態では四つ)に電気的かつ物理的に接続されている。また、他方側の端部はモータ端子51に電気的かつ物理的に接続されている。つまり、接続ピン32とモータ端子51(モータ50)とはフレキシブル基板70を介して電気的に接続されている。また、取付面911に並んで設けられた端子ピン31と接続ピン32の一端は下ケース91の下方から突出し、単一のコネクタ部30を構築する。すなわち、端子ピン31と接続ピン32の下方から突出した部分はコネクタ部30のコネクタピンとして機能する。コネクタ部30に図示されない外部機器の出力コネクタが接続されることにより、当該外部機器とモータ50やポテンショメータ40が電気的に接続されることになる。
【0041】
このフレキシブル基板70は、接続ピン32に接続された側の端部が、プレート部材10に形成された基板保持部14によって取付面911に押しつけられている。換言すれば、当該フレキシブル基板70の端部は、基板保持部14と取付面911との間に挟まれている。これにより、フレキシブル基板70と接続ピン32の安定した電気的かつ物理的な接続状態が得られる。
【0042】
以上説明した本発明の実施形態にかかるモータ装置1によれば、次のような作用効果が奏される。本実施形態にかかるモータ装置1では、位置決め突起として利用される軸支持部12に、肉厚である根元部分よりも外側に突出したリブ部13が形成されているから、そのリブ部13を基準としてリジッド基板20を位置決めすることができる。したがって、リジッド基板20が安定した状態で装置内に位置決めされる。
【0043】
また、リブ部13はリジッド基板20の第一の位置決め孔21に圧入される構成であるため、位置決めされたリジッド基板20が外れてしまうことを防止できる。また、リブ部13は周方向に等間隔に形成されたものであるため、圧入時にリジッド基板20にかかる力(リブ部13と位置決め孔の内周面との摩擦力)が小さく、かつ、周方向に均等であるため、圧入時におけるリジッド基板20の破損を防止することができる。
【0044】
また、リブ部13は、軸支持部12の外周面とベース部11の表面を繋ぐように形成されているため、肉厚である根元部分だけでなく、リブ部13によって軸支持部12の機械的強度が向上する。すなわち、リブ部13の存在によって、リジッド基板20が安定した状態で位置決めされるというだけでなく、軸支持部12の強度向上にも資するという点で優れる。
【0045】
また、リジッド基板20が、ベース部11の表面に接触していれば、ベース部11によってリジッド基板20が大きく撓むことが抑えられ、リジッド基板20の破損やリジッド基板20に形成された導電パターン(ランド24等)の剥離が防止される。また、リジッド基板20に実装されたポテンショメータ40に検出用歯車42(支持軸421)を圧入固定する場合にも、リジッド基板20が大きく撓むことが抑えられ、リジッド基板20の破損やリジッド基板20に形成された導電パターン(ランド24等)の剥離が防止される。なお、このようにリジッド基板20をベース部11の表面に接触させることができるのは、肉厚である根元部分よりも外側に突出したリブ部13が軸支持部12に形成されているからである。つまり、リブ部13の存在がなければ、リジッド基板20を浮かせた状態とするなどの措置をとらなければ安定した状態でリジッド基板20を位置決めすることができないところ、軸支持部12にリブ部13が形成された構成であるため、ベース部11の表面に接触させてリジッド基板20を位置決めすることができる。
【0046】
また、上記実施形態のように、リジッド基板20を位置決めする部材として、第二の位置決め孔22よりも小径の位置決めピン111が設けられている(第二の位置決め孔22に遊嵌される位置決めピン111が設けられている)ため、リブ部13が第一の位置決め孔21に圧入される軸支持部12近傍の方が精度良く位置決めされることになる。したがって、軸支持部12と端子に半田付けされる部分との距離を近くすれば、リジッド基板20と端子の位置ずれ量をより小さく抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態では、被検出用歯車63はプレート部材10を基準として位置決めされ、検出用歯車42はポテンショメータ40が設けられたリジッド基板20を基準として位置決めされている。このプレート部材10とリジッド基板20とが上記構成(リブ部13とそれに係合する位置決め孔)により正確に位置決めされるため、組立時などにおける被検出用歯車63の軸線と検出用歯車42の軸線の距離のばらつきを抑制できる(両歯車の相対的な取り付け位置精度が高い)。
【0048】
また、モータ装置1が有するポテンショメータ40には、検出用歯車42の支持軸421を支持する筒状部41が形成され、この筒状部41はリジッド基板20に形成された貫通孔であるポテンショメータ用位置決め孔25に係合されている。したがって、リジッド基板20に対するポテンショメータ40の位置決め精度に優れる。したがって、被検出用歯車63の軸線と検出用歯車42の軸線の距離のばらつきをさらに抑制できる(両歯車の相対的な取り付け位置精度がさらに向上する)。
【0049】
また、本実施形態では、モータ50の動力は、被検出用歯車63を含み、かつ、検出用歯車42を含まない動力伝達手段(減速輪列)を介して出力されるため、検出用歯車42にかかる力が小さい。したがって、検出用歯車42(支持軸421)をリジッド基板20(それに設けられたポテンショメータ40)で支持することができる。
【0050】
また、上述したように、第一の歯車61は、モータ50のロータと一体的に回転するロータ歯車52に直接噛合しているため、第一の歯車61には大きなトルクがかからない。それゆえ、第一の歯車61のモジュールは小さくなる。そうすると、第一の歯車61を支持する第一の歯車支持軸611が倒れることによって第一の歯車61とロータ歯車52との噛合が外れてしまうおそれがある。しかし、本発明では、軸支持部12の根元が肉厚となっており、軸支持部12に支持される第一の歯車支持軸611が倒れにくい。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態において、リブ部13は、軸支持部12の周方向において等間隔に複数形成されていることを説明したが、このような形状に限られるものではない。その他の形状としては、肉厚部分121よりも上方に、軸支持部12の全周に亘って肉厚部分121よりも外側に突出したリブ部が形成されたものが例示できる。この場合、リブ部がリジッド基板20の第一の位置決め孔21の上方に係合することにより、リジッド基板20が位置決めされることになる。このように、リジッド基板20を位置決めする要素として、肉厚部分121ではなくリブ部が寄与するものであれば、リブ部の形状を変更してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 モータ装置(基板を有する装置)
10 プレート部材
11 ベース部
111 位置決めピン
12 軸支持部
121 肉厚部分
13 リブ部
14 基板保持部
20 リジッド基板
21 第一の位置決め孔
22 第二の位置決め孔
25 ポテンショメータ用位置決め孔
40 ポテンショメータ
41 筒状部
42 検出用歯車
50 モータ
61 第一の歯車
611 第一の歯車支持軸
63 被検出用歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベース部、
このベース部の表面から突出して形成された、根元に肉厚部分を有する筒状体であって、筒の内側で軸部材を支持する軸支持部、
および、この軸支持部の外側に形成された、前記肉厚部分よりも外側に突出したリブ部、を有するプレート部材と、
前記リブ部が係合される貫通孔である第一の位置決め孔が形成されたリジッド基板と、
を備えることを特徴とする基板を有する装置。
【請求項2】
前記リブ部は、軸支持部の周方向に等間隔に二以上形成され、前記第一の位置決め孔に圧入されていることを特徴とする請求項1に記載の基板を有する装置。
【請求項3】
前記リブ部は、前記軸支持部の外周面と前記ベース部の表面を繋ぐように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板を有する装置。
【請求項4】
前記リジッド基板は、前記ベース部の表面に接触していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板を有する装置。
【請求項5】
前記リジッド基板は、所定の位置に固定された端子に半田付けされており、
前記ベース部には、前記リジッド基板に形成された第二の位置決め孔に係合される、この第二の位置決め孔よりも小径の位置決めピンが設けられており、
前記リジッド基板における前記第一の位置決め孔と前記端子に半田付けされる部分との距離は、前記第二の位置決め孔と前記端子に半田付けされる部分との距離よりも小さいことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の基板を有する装置。
【請求項6】
前記プレート部材に支持された被検出用歯車に、前記リジッド基板上に支持されたポテンショメータによって回転方向における位置が検出される検出用歯車が噛合していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の基板を有する装置。
【請求項7】
前記ポテンショメータには、前記検出用歯車が支持された支持軸を支持する筒状部が形成され、この筒状部は前記リジッド基板に形成された貫通孔であるポテンショメータ用位置決め孔に係合されていることを特徴とする請求項6に記載の基板を有する装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の基板を有する装置と、駆動源であるモータと、を備えたモータ装置であって、
前記モータの動力は、前記被検出用歯車を含み、かつ、前記検出用歯車を含まない動力伝達列を介して出力されることを特徴とするモータ装置。
【請求項9】
前記軸部材に支持された歯車は、モータのロータと一体的に回転するロータ歯車に噛合する、前記動力伝達列である減速輪列を構成する歯車のうち最もモジュールの小さい歯車であることを特徴とする請求項8に記載のモータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46458(P2013−46458A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181446(P2011−181446)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】