説明

基板ホルダ、リソグラフィ装置、デバイス製造方法、及び基板ホルダ製造方法

【課題】1つ又は複数の薄膜コンポーネントなどの1つ又は複数の電子コンポーネントがその上で形成される基板テーブル又は基板ホルダを提供する。
【解決手段】リソグラフィ装置の基板ホルダは、その表面に設けられた平坦化層を有する。平坦化層は、電子コンポーネントを形成する薄膜スタックを形成するために滑らかな表面を提供する。平坦化層は実質的に均一な厚さである、及び/又はその外面は10μm未満の山部から谷部までの距離を有する。平坦化層は、異なる濃度の2つの溶液を付与することによって形成することができる。バールに表面処理を施して、平坦化層材料の溶液を反発することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、基板ホルダ、リソグラフィ装置、デバイス製造方法、及び基板ホルダの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。概して、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。既知のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0003】
[0003] リソグラフィは、IC及び他のデバイス及び/又は構造の製造において重要なステップの1つであると広く認識されている。しかし、リソグラフィを使用して作成されるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは、小型IC又は他のデバイス及び/又は構造の製造を可能にするためにさらにクリティカルな要素となっている。パターン印刷の限界の理論的推定値は、式(1)に示されるように、レイリー解像限界によって得ることができる。
【数1】


ここで、λは使用する放射の波長であり、NAはパターンの印刷に使用する投影システムの開口数であり、k1はプロセス依存調整係数であり、レイリー定数とも呼ばれ、CDは印刷されるフィーチャのフィーチャサイズ(又はクリティカルディメンション)である。式(1)から、フィーチャの最小印刷可能サイズの低減は3つの方法で達成可能であることが分かる。すなわち、露光波長λを短縮するか、開口数NAを大きくするか、又はk1の値を低減するという方法である。
【0004】
[0004] 投影システムの最終要素と基板の間の空間を充填するように、リソグラフィ投影装置内の基板を水などの比較的高い屈折率を有する液体に液浸することが提案されている。ある実施形態では、液体は蒸留水であるが、別の液体を使用することもできる。本発明の実施形態は、液体について説明されている。しかし別の流体、特にウェッティング流体、非圧縮性流体及び/又は屈折率が空気より高い、望ましくは屈折率が水より高い流体が適切なこともある。気体を除く流体が特に望ましい。そのポイントは、露光放射は液体中の方が波長が短いので、結像するフィーチャの小型化を可能にすることである。(液体の効果は、システムの有効開口数(NA)を大きくでき、焦点深さも大きくすることと見なすこともできる。)固体粒子(例えば石英)が懸濁している水、又はナノ粒子の懸濁(例えば最大10nmの最大寸法の粒子)がある液体などの、他の液浸液も提案されている。懸濁粒子は、これが懸濁している液体と同様の屈折率又は同じ屈折率を有しても、有していなくてもよい。適切になり得る他の液体は、芳香族などの炭化水素、フルオロハイドロカーボン、及び/又は水溶液である。
【0005】
[0005] 露光波長を短縮し、それ故、最小印刷可能サイズを低減するために、極紫外(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、5〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。さらに、例えば6.7nm又は6.8nmなどの5〜10nmの範囲内のように、10nm未満の波長のEUV放射を使用できることが提案されている。このような放射は、極紫外放射又は軟X線放射と呼ばれる。可能な放射源には、例えばレーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、又は電子ストレージリングによって提供されるシンクロトロン放射に基づく放射源が含まれる。
【0006】
[0006] EUV放射はプラズマを使用して生成することができる。EUV放射を生成する放射システムは、プラズマを提供するために燃料を励起するレーザ、及びプラズマを封じ込める放射源コレクタ装置を含むことができる。プラズマは、例えば適切な材料(例えばスズ)の粒子、又はXeガス又はLi蒸気などの適切なガス又は蒸気の流れのような燃料にレーザビームを誘導することによって生成することができる。その結果生じたプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、これが放射コレクタを使用して集光される。放射コレクタは、ミラー付き垂直入射放射コレクタとすることができ、これは放射を受け、放射を集束させてビームにする。放射源コレクタ装置は、プラズマを支持する真空環境を提供するように構成された封止構造又はチャンバを含むことができる。このような放射システムは通常、レーザ生成プラズマ(LPP)放射源と呼ばれる。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 従来のリソグラフィ装置では、露光される基板を基板ホルダによって支持することもでき、支持ホルダは基板テーブルによって支持される。基板ホルダは往々にして、サイズ及び形状が基板に対応する平坦で剛性の円板である(しかし、異なるサイズ又は形状であってもよい)。基板ホルダは、バール又はピンプルと呼ばれる少なくとも一方側から突出するアレイ状の突起を有する。ある実施形態では、基板ホルダは対向する2つの側にアレイ状の突起を有する。この場合、基板ホルダを基板テーブル上に載置されると、基板ホルダの本体は基板テーブルから上方に僅かな距離を隔てて保持され、基板ホルダの一方側にあるバールの端部は基板ホルダの表面上にある。同様に、基板が基板ホルダの反対側にあるバールの上部に載置される場合は、基板は基板ホルダの本体から離隔される。基板と基板ホルダと基板テーブルとを離隔する目的は、基板を押し下げ、それ故、基板を解放する力を低減するようなファンデルワールス力及び/又は静電気力を低減することである。追加的又は代替的目的は、基板テーブル又は基板ホルダ上に存在するかもしれない粒子(例えば粉塵粒子などの汚染粒子)により基板ホルダ又は基板が歪むのを防止する助けとなることである。バールの全表面は基板又は基板ホルダの全表面の僅かな部分にすぎないので、何らかの粒子がバール間にあっても、その存在は影響を及ぼさない可能性が高い。基板ホルダ及び基板は往々にして基板テーブルの凹部に収容され、したがって基板の上面は実質的に基板テーブルの上面と同一平面上にある。
【0008】
[0008] 基板ホルダ上に、例えば1つ又は複数の電極、ヒータ及び/又はセンサなどの薄膜電気コンポーネントを設けることが望ましい。電極は、例えば基板を静電クランプするために使用することができる。ヒータ及び/又はセンサは、例えば基板エリアの温度制御に使用することができる。複数の機能を実行するために、幾つかのコンポーネントを備える薄膜スタックが望ましい。信頼性が高い薄膜コンポーネント、特に薄膜スタックを形成するには、適切な平面を使用しなければならない。
【0009】
[0009] 基板ホルダは、SiSiCなどの熱膨張係数(CTE)が低い材料で作成することが望ましい。バールを形成するために、平坦なディスク(ブランク)から例えば放電加工(EDM)によって材料を選択的に除去する。このプロセスでは、信頼性が高い薄膜コンポーネントを形成するには往々にして粗すぎる表面が残り、導電層及び/又は誘電体にはピンホールがある。したがって、基板ホルダ上のバール間に平坦化層を提供することが提案されている。平坦化層は、ポリマー層であるように提案され、例えばベンゾシクロブテン(BCB)溶液をスプレーし、次に硬化することによって形成される。
【0010】
[0010] 1つ又は複数の薄膜コンポーネントなどの1つ又は複数の電子コンポーネントがその上で形成される基板テーブル又は基板ホルダを提供することが望ましい。
【0011】
[0011] 本発明のある態様によれば、リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダが提供され、基板ホルダは、表面を有する本体と、表面から突出し、基板を支持する端面を有する複数のバールと、本体表面の少なくとも一部に設けられた平坦化層と、平坦化層上に設けられ、電気コンポーネントを形成する薄膜スタックとを備え、平坦化層は山部から谷部までの距離が約10μm未満である外面を有する。
【0012】
[0012] 本発明のある態様によれば、パターニングデバイスを支持するように構成された支持構造と、パターニングデバイスによってパターニングされビームを基板に投影するように配置された投影システムと、基板を保持するように配置された基板ホルダとを備え、基板ホルダが本明細書で説明される通りであるリソグラフィ装置が提供される。
【0013】
[0013] 本発明のある態様によれば、リソグラフィ装置を使用するデバイス製造方法が提供され、この方法は、基板ホルダ内に基板を保持しながら、パターニングデバイスによってパターニングされたビームを前記基板に投影することを含み、基板ホルダは、表面を有する本体と、表面から突出し、基板を支持する端面を有する複数のバールと、本体表面の少なくとも一部に設けられた平坦化層と、平坦化層上に設けられ、電気コンポーネントを形成する薄膜スタックとを備え、平坦化層は山部から谷部までの距離が約10μm未満である外面を有する。
【0014】
[0014] 本発明のある態様によれば、リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダを製造する方法が提供され、この方法は、表面と、表面から突出し、基板を支持する端面を有する複数のバールとを有する本体を提供するステップと、本体表面の少なくとも一部に平坦化層を形成するステップと、平坦化層上に薄膜スタックを形成するステップとを含み、薄膜スタックは電気コンポーネントを形成し、平坦化層は山部から谷部までの距離が約10μm未満である外面を有する。
【0015】
[0015] 本発明のある態様によれば、リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダが提供され、基板ホルダは、表面を有する本体と、表面から突出し、基板を支持する端面を有する複数のバールと、本体表面の少なくとも一部に設けられた平坦化層と、平坦化層上に設けられ、電気コンポーネントを形成する薄膜スタックとを備え、平坦化層は実質的に均一の厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
[0016] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【図1】[0017]本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
【図2】[0018]リソグラフィ投影装置で使用する液体供給システムを示す。
【図3】[0018]リソグラフィ投影装置で使用する液体供給システムを示す。
【図4】[0019]リソグラフィ投影装置で使用する別の液体供給システムを示す。
【図5】[0020]液浸液体供給システムとして本発明のある実施形態で使用することができるバリア部材を断面図で示す。
【図6】[0021]本発明のある実施形態による基板テーブル及び基板ホルダを断面図で示す。
【図7】[0022]図6の基板ホルダの部分拡大図である。
【図8】[0023]図6及び図7の基板ホルダの別の部分拡大図である。
【図9】[0024]本発明のある実施形態により基板ホルダを製造する方法のステップを示す。
【図10】[0024]本発明のある実施形態により基板ホルダを製造する方法のステップを示す。
【図11】[0024]本発明のある実施形態により基板ホルダを製造する方法のステップを示す。
【図12】[0024]本発明のある実施形態により基板ホルダを製造する方法のステップを示す。
【図13】[0024]本発明のある実施形態により基板ホルダを製造する方法のステップを示す。
【図14】[0024]本発明のある実施形態により基板ホルダを製造する方法のステップを示す。
【図15】[0025]基板ホルダ上の平坦化層の走査電子顕微鏡画像である。
【図16】[0025]基板ホルダ上の平坦化層の走査電子顕微鏡画像である。
【図17】[0025]基板ホルダ上の平坦化層の走査電子顕微鏡画像である。
【図18】[0025]基板ホルダ上の平坦化層の走査電子顕微鏡画像である。
【図19】[0026]本発明のある実施形態で平坦化層を形成する際の化学反応を示す。
【図20】[0026]本発明のある実施形態で平坦化層を形成する際の化学反応を示す。
【図21】[0026]本発明のある実施形態で平坦化層を形成する際の化学反応を示す。
【図22】[0026]本発明のある実施形態で平坦化層を形成する際の化学反応を示す。
【図23】[0027]本発明のある実施形態による基板ホルダの断面図を示す。
【図24】[0028]本発明のある実施形態による基板ホルダの断面図を示す。
【図25】[0029]本発明のある実施形態による基板ホルダの断面図を示す。
【図26】[0030]本発明のある実施形態により基板ホルダを形成する方法のステップを示す。
【図27】[0031]図26の方法により形成された平坦化層及び比較例のRa粗さ値のグラフである。
【図28】[0032]図26の方法により形成された平坦化層及び比較例の山部から谷部の粗さ値のグラフである。
【図29】[0033]本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
【図30】[0034]図29の装置のさらに詳細な図である。
【図31】[0035]図29及び図30の装置の放射源コレクタ装置のさらに詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0036] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
[0037] − 放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射、又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0038] − パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0039] − 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0040] − パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0018】
[0041] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0019】
[0042] 支持構造MTはパターニングデバイスを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空、静電等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0020】
[0043] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0021】
[0044] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0022】
[0045] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁光学システム及び静電光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0023】
[0046] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0024】
[0047] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0025】
[0048] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源SOがリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0026】
[0049] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタAMを備えていてもよい。通常、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に搭載できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、別に提供されてもよい(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)。
【0027】
[0050] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分Cの間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0028】
[0051] 図29は、本発明のある実施形態による放射源コレクタ装置SOを含むリソグラフィ装置1000を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブ)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを備える)に投影するように構成された投影システム(例えば反射投影システム)PSとを備える。本明細書で示されているように、この装置は反射タイプ(例えば反射マスクを使用する)である。
【0029】
[0052] 投影システムは、照明システムと同様に、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要素に合わせて適宜、屈折、反射、磁気、電磁、静電型又は他のタイプの光学コンポーネント、又はこれらの任意の組合せなど、様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。EUV放射には真空を使用することが望ましいことがある。他の気体の放射吸収量がはるかに多いことがあるからである。したがって真空壁及び真空ポンプを用いて、ビーム経路全体に真空環境を提供することができる。
【0030】
[0053] 図29を参照すると、イルミネータILは放射源コレクタ装置SOから極紫外放射ビームを受ける。EUV放射を生成する方法は、材料を、EUV範囲に1つ又は複数の輝線がある少なくとも1つの元素、例えばキセノン、リチウム又はスズを有するプラズマ状態へと変換することを含むが、必ずしもそれに限定されない。1つのこのような方法では、必要な輝線放射元素を有する材料の小滴、流れ又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することにより、往々にしてレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれるプラズマを生成することができる。放射源コレクタ装置SOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザを含むEUV放射システム(図29には図示せず)の一部であってもよい。その結果のプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、これは放射源コレクタ装置内に配置された放射コレクタを使用して集光される。
【0031】
[0054] レーザと放射源コレクタ装置とは、例えば燃料を励起するレーザビームの提供にCOレーザを使用する場合は別個の構成要素とすることができる。このような場合、レーザがリソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、放射ビームは、例えば1つ又は複数の適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを備えるビームデリバリシステムを用いて、レーザから放射源コレクタ装置へと渡される。他の場合では、例えば放射源が往々にしてDPP放射源と呼ばれる放電生成プラズマEUV発生器である場合、放射源は放射源コレクタ装置の一体化部分とすることができる。
【0032】
[0055] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタを備えることができる。通常、イルミネータILの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、ファセット型フィールド及び瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0033】
[0056] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサPS2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサPS1を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0034】
[0057] 図30は、放射源コレクタ装置SO、照明システムIL、及び投影システムPSを含む装置1000のある実施形態をさらに詳細に示す。放射源コレクタ装置SOは、放射源コレクタ装置SOの封止構造1220内に真空環境を維持できるように構築され、配置される。放電生成プラズマ放射源によって、EUV放射放出プラズマ1210を形成することができる。EUV放射は、例えばXeガス、Li蒸気又はSn蒸気などの気体又は蒸気によって生成することができ、その中で非常に高温のプラズマ1210が生成されて、電磁スペクトルのEU範囲の放射を放出する。非常に高温のプラズマ1210は、例えば少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを発生する放電によって生成される。放射を効率的に生成するために、Xe、Li、Sn蒸気又は他の任意の適切な気体又は蒸気の、例えば10Paの分圧が必要になることがある。ある実施形態では、EUV放射を生成するために、励起されたスズ(Sn)のプラズマが提供される。
【0035】
[0058] 高温プラズマ1210によって放出される放射は、放射源チャンバ1211の開口内に、又はその背後に位置決めされた任意選択のガスバリア又は汚染物質トラップ1230(場合によっては汚染物質バリア又は箔トラップとも呼ばれる)を介して、放射源チャンバ1211からコレクタチャンバ1212内に渡される。汚染物質トラップ1230は、流路構造を含むことができる。汚染トラップ1230は、ガスバリア、又はガスバリアと流路構造との組合せも含むことができる。本明細書でさらに示される汚染物質トラップ又は汚染物質バリア1230は、少なくとも当技術分野で知られているような流路構造を含む。
【0036】
[0059] コレクタチャンバ1212は放射コレクタCOを含むことができ、これはいわゆるかすめ入射コレクタとすることができる。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側1251及び下流放射コレクタ側1252を有する。コレクタCOを横断した放射は、格子スペクトルフィルタ1240で反射し、仮想放射源ポイントIFに合焦することができる。仮想放射源ポイントIFは一般的に中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタ装置は、中間焦点IFが封止構造1220の開口1221に、又はその付近に位置するように配置される。仮想放射源ポイントIFは、放射放出プラズマ1210の像である。
【0037】
[0060] その後、放射は照明システムILを横断し、これはファセット型フィールドミラーデバイス1022と、ファセット型瞳ミラーデバイス1024を含むことができ、後者はパターニングデバイスMAに放射ビーム1021の所望の角度分布を提供し、さらにパターニングデバイスMAに所望の放射強度の均一性を提供するように配置される。放射ビーム1021が支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAで反射すると、パターニングされたビーム1026が形成され、パターニングされたビーム1026は、投影システムPSによって反射要素1028、1030を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0038】
[0061] 照明光学系ユニットIL及び投影システムPSには、通常、図示よりも多くの要素が存在することができる。リソグラフィ装置のタイプに応じて、格子スペクトルフィルタ1240が任意選択として存在することがある。さらに、図に示すより多くのミラーが存在することができ、例えば投影システムPS内には図30に示すより1から6個追加された反射要素が存在することがある。
【0039】
[0062] 図30に示すようなコレクタ光学系COは、単にコレクタ(又はコレクタミラー)の一例として、かすめ入射リフレクタ1253、1254及び1255を有する入れ子式コレクタとして示されている。かすめ入射リフレクタ1253、1254及び1255は、光軸Oの周囲に軸対称に配置され、このタイプのコレクタ光学系COは、往々にしてDPP放射源と呼ばれる放電生成プラズマ放射源との組合せで使用することが好ましい。
【0040】
[0063] ある実施形態では、放射源コレクタ装置SOは図31に示すようにLPP放射システムの一部とすることができる。レーザLAは、レーザエネルギーをキセノン(Xe)、スズ(Sn)又はリチウム(Li)などの燃料に与え、数十eVの電子温度の高度にイオン化されたプラズマ1210を生成するように配置される。これらのイオンの下方遷移及び再結合中に生成される強力な放射が、プラズマから放出され、近垂直入射コレクタ光学系COによって集光され、封止構造1220の開口1221に合焦される。
【0041】
[0064] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0065] 1.ステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0066] 2.スキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
[0067] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0042】
[0068] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0043】
[0069] 例えば液浸リソグラフィ装置のような多くのリソグラフィ装置では、結像するフィーチャの小型化及び/又は装置の有効NAの増加を可能にするために、液体供給システムIHを使用して投影システムの最終要素間に流体、特に液体を提供する。このような液浸装置に関して本発明の実施形態を以下でさらに説明するが、非液浸装置でも本発明の実施形態は等しく実施することができる。投影システムの最終要素と基板との間に液体を提供する構成は、少なくとも2つの一般的カテゴリに分類される。これらは、浴槽タイプ構成と、いわゆる局所液浸システムである。浴槽タイプ構成では、実質的に基板の全体とオプションとして基板テーブルの一部が液体の浴槽内に浸漬される。局所液浸システムは、液体が基板の局所領域にのみ提供される液体供給システムを使用する。後者のカテゴリでは、液体によって充填される空間は、平面視で基板の上面より小さく、液体で充填される領域は、基板がその領域の下を移動する間、投影システムに対して実質的に静止している。本発明のある実施形態が指向する別の構成は、液体が閉じ込められないオールウェット解決策である。この構成では、実質的に基板の上面全体と基板テーブルの全部又は一部が液浸液に覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは小さい。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜であってもよい。
【0044】
[0070] 図2〜図5には、4つの異なるタイプの局所液体供給システムが示されている。図2〜図5の液体供給デバイスのいずれも非閉じ込めシステムで使用することができる。しかし、封止特徴部は存在しないか、活性化されていないか、通常のものより効率が落ちるか、又はその他の点で液体を局所領域にのみ封止する効果がない。
【0045】
[0071] 局所液浸システムに対して提案されている構成の1つは、液体供給システムが液体閉じ込めシステムを使用して、基板の局所領域に、及び投影システムの最終要素と基板の間にのみ液体を提供する(基板は通常、投影システムの最終要素より大きい表面積を有する)。これを構成するために提案されている1つの方法が、PCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。図2及び図3に図示されているように、液体が少なくとも1つの入口によって基板上に、望ましくは最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給され、投影システムの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。すなわち、基板が−X方向にて要素の下でスキャンされると、液体が要素の+X側にて供給され、−X側にて取り上げられる。
【0046】
[0072] 図2は、液体が入口を介して供給され、低圧源に接続された出口によって要素の他方側で取り上げられる構成を概略的に示したものである。基板Wの上の矢印は液体のフローの方向を示し、基板Wの下の矢印は基板テーブルの移動方向を示す。図2の図では、液体が最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給されるが、こうである必要はない。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が図3に図示され、ここでは両側に出口を持つ4組の入口が、最終要素の周囲に規則的パターンで設けられる。液体供給デバイス及び液体回収デバイス内の矢印は、液体のフローの方向を示す。
【0047】
[0073] 局所液体供給システムを備える液浸リソグラフィの別の解決法が図4に示されている。液体が投影システムPSのいずれかの側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配置された複数の別個の出口によって除去される。入口及び出口は、投影される投影ビームが通る孔が中心にあるプレートに配置することができる。液体は、投影システムPSの一方側にある1つの溝入口によって供給され、投影システムPSの他方側にある複数の別個の出口によって除去されて、投影システムPSと基板Wの間に液体の薄膜の流れを引き起こす。どの組合せの入口と出口を使用するかの選択は、基板Wの動作方向によって決定することができる(他の組合せの入口及び出口は動作しない)。図4の断面図では、矢印は入口への、また出口からの液体のフローの方向を示す。
【0048】
[0074] 提案されている別の構成は、液体供給システムに液体閉じ込め部材を提供する構成である。液体閉じ込め部材は、投影システムの最終要素と基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在している。そのような構成を図5に示す。液体閉じ込め部材は、投影システムに対してXY平面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸方向)には相対的に多少動くことができる。液体閉じ込め部材と基板表面との間には封止が形成されている。ある実施形態では、液体閉じ込め構造と基板表面との間には封止が形成され、封止はガスシールなどの非接触シールであってもよい。そのようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
【0049】
[0075] 図5は、流体ハンドリング構造12を有する局所液体供給システムを概略的に示す。流体ハンドリング構造は、投影システムの最終要素と基板テーブルWT又は基板Wとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在している。(以下の説明で基板Wの表面に言及する場合、明示的に断りのない限り、追加的に又は代替的に、基板テーブルの表面も指すことに留意されたい。)流体ハンドリング構造12は、投影システムに対してXY面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸の方向)には多少の相対運動があってもよい。ある実施形態では、バリア部材と基板Wの表面との間に封止が形成され、流体シールのような非接触シール、望ましくはガスシールとすることができる。
【0050】
[0076] 流体ハンドリング構造12は、投影システムPSの最終要素と基板Wの間の空間11に液体を少なくとも部分的に封じ込める。基板Wの表面と投影システムPSの最終要素の間の空間内に液体が閉じ込められるように、基板Wに対する非接触シール16を投影システムのイメージフィールドの周囲に形成することができる。空間は、投影システムPSの最終要素の下方に位置決めされ、それを囲む流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に形成される。液体を、液体入口13によって投影システムの下方で、流体ハンドリング構造12内の空間に入れる。液体は、液体出口13によって除去することができる。流体ハンドリング構造12は投影システムの最終要素の少し上まで延在することができる。液体のバッファが提供されるように、液体レベルが最終要素の上まで上昇する。ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、その上端が投影システム又はその最終要素の形状に正確に一致することができる内周を有し、例えば円形とすることができる。底部では、内周がイメージフィールドの形状に正確に一致し、例えば矩形とすることができるが、そうである必要はない。
【0051】
[0077] ある実施形態では、液体が、使用中に流体ハンドリング構造12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められる。ガスシールは、気体、例えば空気又は合成空気によって形成されるが、ある実施形態ではN又は別の不活性ガスによって形成される。ガスシール内の気体は、圧力下で入口15を介して流体ハンドリング構造12と基板Wの間のギャップに提供される。気体は出口14を介して抽出される。気体入口15への過剰圧力、出口14の真空レベル、及びギャップの幾何学的形状は、液体を閉じ込める内側への高速の気体流16があるように構成される。流体ハンドリング構造12と基板Wの間で液体にかかる気体の力が、液体を空間11に封じ込める。入口/出口は、空間11を囲む環状溝であってもよい。環状溝は連続的であっても又は不連続的であってもよい。気体16の流れは、液体を空間11内に封じ込めるのに効果がある。このようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
【0052】
[0078] 図5の例は、液体が任意の一時点で基板Wの上面の局所領域にのみ提供されるいわゆる局所エリア構成である。他の構成も可能であり、それは例えば米国特許出願公開US2006−0038968号に開示されるような単相抽出器又は2相抽出器を使用する流体ハンドリングシステムを含む。
【0053】
[0079] 可能である別の構成は、気体抗力原理で作動するものである。いわゆる気体抗力原理は、例えば米国特許出願公開US2008−0212046号、US2009−0279060号及びUS2009−0279062号に記載されている。そのシステムには、抽出孔が、望ましくは角を有する形状で構成される。角はステップ又はスキャン方向に位置合わせすることができる。これは、2つの出口がスキャン方向に対して垂直に位置合わせされた場合と比較して、ステップ又はスキャン方向での所与の速度について、流体ハンドリング構造の表面にある2つの開口間のメニスカスにかかる力を低減する。
【0054】
[0080] US2008−0212046号には、主液体回収フィーチャの半径方向外側に位置決めされたガスナイフも開示されている。ガスナイフは、主液体回収フィーチャを通り過ぎた液体があればすべて捕捉する。このようなガスナイフは、(US2008−0212046号に開示されているような)いわゆる気体抗力原理の配置構成、(米国特許出願公開US2009−0262318号に開示されているような)単相又は2相抽出器の配置構成、又は任意の他の配置構成内にあることがある。
【0055】
[0081] 多くの他のタイプの液体供給システムが可能である。本発明は、いかなる特定のタイプの液体供給システムにも、液浸リソグラフィにも限定されない。本発明は任意のリソグラフィに等しく適用することができる。EUVリソグラフィ装置では、ビーム経路が実質的に排気され、上記液浸配置構成は使用しない。
【0056】
[0082] 図1に示す制御システム500は、リソグラフィ装置の全体的作動を制御し、特に以下でさらに説明する最適化プロセスを実行する。制御システム500は、適切にプログラムし、中央処理装置、揮発性及び不揮発性記憶手段、キーボード及び画面のような1つ又は複数の入出力デバイス、1つ又は複数のネットワーク接続、及びリソグラフィ装置の様々な部品との1つ又は複数のインターフェイスを備えた汎用コンピュータとして実現することができる。制御するコンピュータとリソグラフィ装置との間に1対1の関係は必要ないことが理解される。本発明のある実施形態では、1つのコンピュータが複数のリソグラフィ装置を制御することができる。本発明のある実施形態では、ネットワークで接続した複数のコンピュータを使用して、1つのリソグラフィ装置を制御することができる。制御システム500は、リソグラフィ装置が一部となるリソセル又はクラスタ内で1つ又は複数の関連するプロセスデバイス及び基板ハンドリングデバイスを制御するように構成することもできる。制御システム500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は向上の全体的な制御システムに従属するように構成することもできる。
【0057】
[0083] 図6は、本発明のある実施形態による基板ホルダ100を示す。これは基板テーブルWTの凹部内に保持され、基板Wを支持する。基板ホルダの本体100aは実質的に平坦であり、形状及びサイズが基板Wに実質的に対応し、例えば円板である。少なくとも上側に、ある実施形態では両側に、基板ホルダは一般的にバールと呼ばれる突起106を有する。ある実施形態では、基板ホルダは基板テーブルの一体部品であり、下面にバールがない。バールは図6(又は他の図)では同一の縮尺で図示されていない。実際的な実施形態では、例えば200mm、300mm又は450mmの直径の基板ホルダ全体に分布する数百から数千個のバールがあってもよい。バールの先端は例えば1mm未満の小さいエリアを有し、したがって基板ホルダ100の片側にある全バールの総面積は、基板ホルダの総表面の総面積の約10%未満である。この方法で、基板、基板ホルダ又は基板テーブルの表面上に存在し得る粒子はすべてバール間に落下し、したがって基板又は基板ホルダの変形につながらない可能性が非常に高い。バールの配置構成は規則的とするか、所望に応じて基板及び基板テーブルにかかる力を適切に分布させるために変更することができる。バールは平面図で任意の形状を有することができるが、通常は平面図では円形である。バールはその高さ全体で同じ形状及び寸法を有することができるが、通常はテーパ状である。バールは、基板ホルダの本体100aの表面のうち残りの部分から約1μmから約5mm、望ましくは約5μmから約250μmの距離だけ突出することができる。基板ホルダ100の本体100aの厚さは、約1mmから約50mmの範囲、望ましくは約5mmから20mmの範囲とすることができる。
【0058】
[0084] 本発明のある実施形態では、基板ホルダ100は剛性材料で作成される。材料は高い熱伝導性又は低い熱膨張率を有することが望ましい。適切な材料はSiC(炭化ケイ素)、SiSiC(シリコン処理炭化ケイ素)、Si(窒化ケイ素)、石英及び/又は様々な他のセラミック及びガラスセラミック、例えばZerodur(商標)ガラスセラミックを含む。基板ホルダ100は、突出するバールを残すように関連する材料の中実円板から材料を選択的に除去することによって製造することができる。材料を除去するための適切な技術は、放電加工(EDM)、エッチング、機械加工及び/又はレーザアブレーションを含む。これらの技術には、粗い表面を残すものがある。例えば数ミクロン程度の粗さ値Raを有する。これらの除去技術により達成可能な最小粗さは、材料特性及びバール製造プロセスから導出することができる。例えばSiSiCのような2相材料の場合、達成可能な最小粗さは、2相材料の粒サイズによって決定される。基板ホルダは、マスクを通してバールを成長させて製造することもできる。バールはベース又は別の適切な材料と同じ材料であり、物理蒸着プロセス又はスパッタリングで成長させることができる。
【0059】
[0085] このような残存する粗さによって、1つ又は複数の薄膜コンポーネントなどの1つ又は複数の電気コンポーネントを基板の表面上に形成し難くなり、このようなコンポーネントの信頼性が損なわれる。これらの問題点が生じるのは、粗さによって電子コンポーネントを形成するために基板ホルダ上に被覆され、又は基板ホルダ上で成長した薄層にギャップや亀裂が生じるからである。薄膜コンポーネントの層厚は約2nm〜約100μmの範囲でよく、化学気相成長法、物理気相成長法(例えばスパッタリング)、ディップコーティング、スピンコーティング、及び/又はスプレーコーティングを含むプロセスによって形成されてもよい。ある実施形態では、基板ホルダ上に形成されるコンポーネントは薄膜積層体を有し、すなわち複数の薄膜層を含んでいる。このようなコンポーネントについては以下にさらに説明する。
【0060】
[0086] 基板テーブル上に形成される電子コンポーネントは、例えば電極、抵抗ヒータ及び/又はセンサ、例えば歪みセンサ、磁気センサ、圧力センサ、容量センサ又は温度センサを含むことができる。基板ホルダ又は基板内の望ましくない温度変化及び応力を低減するか、望ましい温度変化及び応力を誘発するように、ヒータ及びセンサを使用して、基板ホルダ及び/又は基板の温度を局所的に制御及び/又は監視することができる。基板の局所的な膨張又は収縮によるオーバレイエラーなどの結像エラーを減少又は解消することが望ましい。例えば液浸リソグラフィ装置では、基板上の残留液浸液(例えば水)が蒸発すると、局所的冷却を、したがって基板の収縮を引き起こす場合がある。逆に、曝露中に投影ビームによって基板に送出されたエネルギーは、有意な加熱を、したがって基板の膨張を引き起こす場合がある。
【0061】
[0087] ある実施形態では、形成されるコンポーネントは静電クランプ用電極である。静電クランプでは、基板又はその下面にメッキされた電極と、基板テーブル及び/又は基板ホルダ上に設けられた電極との間に電位差が確立される。2つの電極は、大型コンデンサとして動作し、妥当な電位差で有意なクランプ力を生成することができる。静電式配置は、1対の電極が1つは基板テーブル上に、1つは基板上にあり、一緒になって基板テーブル、基板ホルダ及び基板のスタック全体をクランプするような構成とすることができる。ある構成では、基板ホルダが基板テーブルにクランプされ、基板が別々に基板ホルダにクランプされるように、1つ又は複数の電極を基板ホルダ上に提供することができる。
【0062】
[0088] ある実施形態では、1つ又は複数の局所ヒータ101が制御装置103によって制御されて、所望の量の熱を基板ホルダ100及び基板Wに提供して、基板Wの温度を制御する。1つ又は複数の温度センサ102が制御装置104に接続され、これが基板ホルダ100及び/又は基板Wの温度を監視する。1つ又は複数のヒータ及び温度センサを使用して基板の温度を局所的に制御する装置が、2010年9月20日出願の同時係属米国特許出願US61/384,666号に記載され、その文書は参照により全体を本明細書に組み込むものとする。そこに記載された装置を修正して、本明細書で説明するような抵抗ヒータ及び/又は温度センサを利用することができる。静電気力が基板W、基板ホルダ100及び基板テーブルWTをまとめてクランプするように、電圧源105が基板Wと基板ホルダの間、基板テーブルWTと基板ホルダと基板テーブルWTの間に、例えば10〜10,000ボルト程度の電位差を生成する。ある実施形態では、基板Wの下面にある電極と基板テーブルWTの凹部の底部にある電極との間に電位差が提供される。
【0063】
[0089] 図7は、図6の基板ホルダ100の一部の拡大図であり、上面107及び幾つかのバール106を断面図で示す。本発明のある実施形態では、上面107でバール106間の少なくとも幾つかのエリアに平坦化層108が設けられる。ある実施形態では、平坦化層108は単層で形成される。ある実施形態では、平坦化層108は、電子コンポーネントを形成する場所にのみ、又は実質的に基板ホルダ100の上面全体にわたって設けることができる。図8は、平坦化層108のさらなる拡大図を示す。ここで見られるように、平坦化層108は上面107の凹凸を充填し、実質的に表面107より滑らかである上面108aを提供する。本発明のある実施形態では、表面108aの粗さRaは約1.5μm未満であり、望ましくは約1μm未満であり、又は望ましくは約0.5μm未満である。ある実施形態では、平坦化層108は、複数、例えば2つの層のコーティング材料又は前駆物質材料を付加することによって形成される。平坦化層108の材料に応じて、形成されたコーティングの検査から、これが複数の副層を形成することによって付与されていることを判定することが可能になることがある。ある実施形態では、平坦化層108の複数の副層が同じ材料で形成される。ある実施形態では、平坦化層108の複数の副層が異なる材料で形成される。適切な材料について以下で検討する。
【0064】
[0090] ある実施形態では、平坦化層108は酸化ケイ素で、又は各Si原子に官能基が結合した窒化ケイ素系化合物で形成される。官能基は、水素、メチル、フッ素、ビニルなどからなる群から選択することができる。ある実施形態では、平坦化層108はSi(CHで形成される。ある実施形態では、平坦化層108はSiO、例えばSiOで形成される。ある実施形態では、平坦化層108はベンゾシクロブテン(BCB)で形成される。ある実施形態では、平坦化層108はポリイミドコーティング材料で形成される。このような材料を付与する方法は米国特許US7,524,735号に記載され、その文献は参照により全体を本明細書に組み込むものとする。ある実施形態では、平坦化層108はSi(CHN及びSi(CHOのバックボーンからなるポリマー鎖で形成される。
【0065】
[0091] 平坦化層108は、平坦な基準ウェーハ上で判定して、約0.2μmから約200μm、望ましくは約2μmから約30μmの範囲の厚さを有することができる。平坦化層108は、基板ホルダの基板の粗さの大部分又は全部を埋めるほど十分に厚いことが望ましい。平坦化層108が厚すぎる場合は、硬化中にひび割れる可能性が高くなる。以下で説明するように、平坦化層108を複数の別個のコーティングで付与すると、このようなひび割れの可能性を低下させ、最終的な層の表面粗さを小さくすることができる。
【0066】
[0092] ある実施形態では、平坦化層108は、基板ホルダ100をポリシラザン溶液でコーティングし、次に硬化してシリコン系平坦化層を形成することによって付与される。それに関与する反応が図19に示されている。ある実施形態では、ポリシラザン溶液はスプレー技術によって付加される。追加的に又は代替的に、ディープコーティング及びスピンコーティングなどの他の技術を用いることができる。図20から図22は、本発明のある実施形態で平坦化層の形成に使用できる他の反応を示す。図20は、水性媒体のみを介して進行する反応を示す。図21は、熱の存在下で水性媒体中にて進行する反応を示す。図22は、熱の存在下で水性媒体中にて進行する別の反応を示す。図20から図22ではそれぞれ、Rは水素、メチル、フッ素からなる群から選択される官能基を示す。ある実施形態では、平坦化層108は反応物のポリシラザンからの−Si−N−バックボーンと図示された反応からの−Si−O−バックボーンとの混合物を含む。
【0067】
[0093] ある状況では、上述したように付与された平坦化層は、薄膜コンポーネントを形成するために金属又は他の層を高い信頼性で形成するのに十分なほど滑らかである表面を提供しないことがある。上述した平坦化層は、改良された十分なRa値を提供するが、下にある表面の山部(peak)から谷部(valley)までの距離が大きい場合は、平坦化層の表面に山部から谷部までの大きい距離が存在する可能性が高い。下にある表面の輪郭が、平坦化層の上面にコピーされることがある。山部と谷部の振幅を低減することはできるが解消することはできない。機械加工され、コーティングしていないSiSiC基板は、40μm以上の高さ及び5μm未満の幅の鋭利な山部を有することが多い。これらの鋭利な山部の1つ又は複数が、下にある誘電体層及び導電金属層を貫通し、「電気的短絡」を引き起こす。これらの山部以外に、最大100μmの山部から谷部までの距離があるSiSiC表面の輪郭を引き起こす表面機械加工プロセスのために、全体的な平坦さには変動がある。このような山部−谷部プロファイルは、上にある導電金属層及び電気層にピンホールを引き起こさないことがあるが、このプロファイルは、液浸機械の場合は薄い層スタックの頂部から基板までのガスギャップの変動、及びEUV機械の場合は薄い層スタックの頂部から基板までの真空ギャップの変動を誘発することがある。10μm以下という山部から谷部までの最大距離が望ましい。0.5μm以下という山部から谷部までの距離が望ましい。
【0068】
[0094] したがって、平坦化層の表面の山部から谷部までの距離を低減する平坦化層の改良された付与方法があることが望ましい。平坦化層の材料がバールの斜面又は縁部に堆積しないことが望ましい。ある実施形態では、平坦化層は実質的に均一な厚さである。ある実施形態では、バールを囲む平坦化層の縁部領域の厚さは、薄膜スタックが形成される中央領域より厚くない。ある実施形態では、バールの表面を、例えば反発性(repellent)の(例えば疎水性の)材料を付加することによって処理して、平坦化層の形成に使用される材料がその上に堆積するのを防止する。図9から図14は、平坦化層108を付与する方法のある実施形態のステップを示す。図9に示すように、基板ホルダ100の上面107全体に、例えばスピンコーティングによって放射感応性材料110、例えばレジストを塗布する。放射感応性材料110は、放射に選択的に露光され、現像されて、図10に示すようにバール106を露出させる。次に、反発性材料111(以下でさらに説明する)を付与して、図11に示すような連続層を形成し、硬化又は乾燥させる。次に、図12に示すようにバールのみが材料111でコーティングされるように、残りの放射感応性材料110がその上の材料111とともに除去される。別の実施形態では、バール上にのみ残るように、反発性レジストを塗布して、露光し、現像する。次に、平坦化層を塗布する。別の実施形態では、インクジェットプリンタによって、又は疎水性ステッカを使用して材料111を選択的に付与し、これはバールの山部にマッシュルーム形状を形成することができる。
【0069】
[0095] 材料111は、平坦な上面及び任意の傾斜部分を含め、少なくとも各バールの全体を覆うことが望ましい。しかし、ある実施形態では、バールの斜面に良好に画定された縁部がないことがある。ある実施形態では、各バールの斜面の一部が覆われていない。ある実施形態では、材料111は、バール間のエリアの一部を覆うが、電気コンポーネントが形成されるエリアは覆わない。
【0070】
[0096] 材料111が所望のエリアに付与されると、上述したようなスプレーによって平坦化層108が塗布される。平坦化層を形成する材料は、材料111でコーティングされていないエリアに優先的に堆積し、したがって所望のエリアにのみ平坦化層108が形成される。平坦化層108は、Ra表面粗さを低減するために、複数のコーティングステップで塗布することができる。任意選択として、図14に示すように材料111が除去される。
【0071】
[0097] ある実施形態では、反発性材料はポリシラザン溶液(Clariant Advanced Materials GmbHから入手されるCAG37)であり、平坦化材料は水溶液中で付加されるBCBである。ある実施形態で使用可能な別の反発性材料は、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)である。この材料は単層(単一の分子の厚さである層)を形成し、化学蒸着によって、又は溶液を通して付着させることができる。その分子は2つの端部を有し、一方は親水性、一方は疎水性である。親水性端部はSi又はSiSiC表面に共有結合され、塩素原子を有する疎水性有機(デシル)鎖は外向きのままであり、それによって表面の疎水性が極めて高くなる(水との接触角>105°)。使用可能な反発性材料には他に、メチル末端ポリマー、シロキサン(例えばポリジメチルシロキサン(PDMS))、シラザン、フッ化材料(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、疎水性単層材料及び/又はシランが含まれる。疎水性シラン単層は、これを選択エリアから除去するリフトオフプロセスで、化学蒸着によって付着させることができる。ある実施形態では、疎液性材料は平坦化材料に対して90°より大きい静止接触角を有する。
【0072】
[0098] 発明者は、疎水性材料111としてFOTSを使用して実験を実施した。FOTSとは、フルオロ−オクチル−トリクロロ−シラン(正式名(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、化学式CF(CFCHCHSiCl)の省略形であり、水に対して最大110°以上もの接触角を有する自己構成単層を形成する。本発明のある実施形態では、他のフッ化シランも使用可能である。
【0073】
[0099] SiSiSの試験基板ホルダ上のバールにFOTを塗布するために、最初に試験基板ホルダをHNO浴中で洗浄した。次に、バール及び幾つかの試験エリアにレジストがなく、他のエリアが覆われるように、負の抵抗を加えて露光し、現像した。排気した乾燥器を使用し、蒸着によってFOTS単層を塗布した。FOTS単層がバールのみを覆うように、アセトンの超音波浴を使用してレジストを除去した。
【0074】
[00100] 試験エリア内の静止超純水小滴の接触角(Kruss(ドイツ)による接触角測定計器DSA30によって測定)は、105°を超える値になった。
【0075】
[00101] (以上で使用したような)BCBの20μmの層を試験基板ホルダ上にスプレーし、300℃で硬化させた。共焦点顕微鏡による検査で、バール頂部は所望通りにBCB層がないままであり、バールのプロファイルが変化せず、望ましくないことが判明した。HFの1%水溶液を3分間付与することによって、SiSiCバール又はBCB平坦化層を損傷せずにFOTS単層が除去された。
【0076】
[00102] 試験基板の平坦化層上で10mmの線に沿ってスキャンすることによって粗さを測定すると、Ra値は0.67±0.3μmで、山部から谷部までの距離が3.35±0.8μmであったが、これは所望の用途にとって許容可能を超えるものである。
【0077】
[00103] ある実施形態では、非水溶液中にある、又は非水性前駆物質から形成された平坦化材料を使用し、反発性(repellent)材料を誘引性(attractive)(例えば親水性)材料に交換する。一般的条件で、平坦化材料の溶媒又は平坦化材料の前駆物質を反発する傾向がある表面エネルギー変性剤が、基板テーブルに選択的に付与される。表面エネルギー変性材料を選択的に付与するために、上述したフォトリソグラフィ技術以外の技術を使用することもできる。例えば、表面エネルギー変性材料は、インクジェットプリンタによって、又はドロッパによって付与することができる。
【0078】
[00104] 本発明のある実施形態を作用させると現在考えられているメカニズムについて、以下で図15から図18を参照しながら説明する。これらは、基板ホルダのサンプル部片の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。各サンプルの小さい部片を円形の空隙内に保持し、透明なエポキシ材料に浸漬した。次に、エポキシを硬化させ、完全なバールが2つある断面に到達するまで研磨した。非常に薄い炭素層を表面に蒸着させて、その導電性を上げた。SEMを使用して10keVのeビームで表面を測定した。画像の倍率及び縮尺バーが各画像に示されている。
【0079】
[00105] 図15及び図16は、疎水性層を塗布せずにBCB溶液を直接スプレーしたSiSiC基板ホルダのサンプルを示す。BCB層の外面は凹状で、層の厚さが変動していることが分かる。BCB層は、バールの斜面で最も厚く、バールから離れた領域で最も薄い。BCB材料は、バールの斜面上及び隅部に堆積するように見え、ここでバールは基板ホルダの本体から隆起し始める。図示の材料の堆積は、均一な分布と比較して、バールから離れたエリアの平坦化層の厚さを低減すると考えられる。コンポーネントが形成されるエリアで平坦化層の厚さが低減することにより、下にある表面の山部から谷部までの大きい変動を、平坦化層の外面にコピーすることが可能になる。
【0080】
[00106] 図17及び図18は、本発明のある実施形態による方法を使用して平坦化層を塗布したサンプルの2つの位置を示す。特に、CAG37はドロッパによってバールに塗布され、BCBはスプレーによって塗布された。その結果として生じた平坦化層の表面は、はるかに平坦になり、バールの斜面又は隅部には実質的に材料が堆積しないことが分かる。実際、平坦化層は、中央より縁部の方が薄い。
【0081】
[00107] 以上で検討したサンプルで測定した粗さ値を、以下の表1に示す。
【表1】

【0082】
[00108] 上記のRa及び山部から谷部までの値は、半径2μmのダイヤモンドチップを有するテイラー−ホブソンのスタイラスプロファイラ(Taylor Hobson stylus profiler)を使用して獲得したものであり、これは層上をスキャンしてプロファイルを測定する。Ra及び山部から谷部までの距離は、輪郭マップから得られる。代わりに他の同等の計器及び方法を使用することができる。
【0083】
[00109] 図23に示すように、本発明のある実施形態は、薄膜スタック200を形成する様々な層を、基板ホルダ100の(SiSiC)表面上のバール106間に以下の全体的順序で付着させることを含む。すなわち、1)平坦化層108、2)(必要に応じて)絶縁層201、3)金属電極線202、及び4)絶縁最上層203である。本発明のある実施形態では、(上述したように)他の材料で形成した基板ホルダ上、又は同様の材料で形成した基板テーブル上に、薄層スタック200を形成することができる。
【0084】
[00110] 平坦化層108は上述のように形成される。ある実施形態の平坦化層108は、平坦な基準基板上で測定して10μmを超える厚さを有する。金属電極線202が、平坦化層108の表面上にパターニングされる。平坦化層108が十分厚い場合、これは基板ホルダ100(例えばSiSiC)とパターニングされた金属電極線202との間に電気的絶縁も提供することができる。絶縁の改良が望ましい場合は、PECVD(プラズマ強化化学蒸着)を施したSiOの薄層(絶縁層)を平坦化層の最上部に付着させ、必要に応じて基板ホルダ表面の山部と金属電極線との間に電気的絶縁を提供することができる。絶縁層201は、望ましくは0.1μmを超える厚さを有する。それは10μm未満の厚さを有することが望ましい。ある実施形態では、絶縁層201は5μmの厚さを有する。
【0085】
[00111] フォトリソグラフィ又は金属蒸着及び硬質マスクのエッチングによって金属電極線202を付着させる。金属電極線202は、20μmを超える幅を有することが望ましい。金属電極線の最大幅はその機能及び使用可能な空間によって決定され、数十ミリメートルとすることができる。金属電極線の他の形成方法も使用可能である。ヒータ及び/又はセンサの場合は、太い金属線(例えば約1500μm)を加熱要素として使用することができ、細い金属線(例えば約100μm)をセンサ要素として使用することができる。静電クランプの場合、相互から約500μm離隔した連続(しかしバール上部からは分離された)金属膜の2つの半分を付着させ、静電クランプのポジ及びネガの要素を形成することができる。金属電極線202は、約20nmを超える、望ましくは約40nmを超える層厚を有することが望ましい。金属電極線202は、約1μm以下、望ましくは約500nm未満、望ましくは約200nm未満の層厚を有することが望ましい。
【0086】
[00112] ヒータ及び/又はセンサを開発するために、パターン付き金属線は様々な幅のTi−Pt(厚さ約250nmのプラチナの付着を向上させる厚さ10nmのチタン)で構成することができる。Ti/Ptのパターン形成は、フォトレジストの蒸着、金属膜蒸着のPVD及びリフトオフプロセスの組合せを使用して達成することができる。ヒータのみの場合は、Cr膜蒸着(PVD)及び硬質マスクを使用したバール上部からの選択的Crエッチングによって太いクロム線(約1500μm)を付着させることができる。静電クランプの場合、金属電極はアルミニウム、又はクロム又は任意の他の導電性材料で構成することができ、PVD又はスパッタリングで形成することができる。これらの金属の合金も使用することができる。
【0087】
[00113] 付着させた金属線を上から電気的に分離し、これを粒子の付着、掻き傷及び酸化から保護することが望ましい。したがって上部分離層203をパターン付き電極上に付着させる。ヒータ又はセンサの場合、分離層は上述したようなBCB及び/又はNN120又はSiOのスプレーコーティング、又はスプレーした層とSiOの組合せで付着させることができる。静電クランプの場合、上部分離層203が絶縁耐力も提供し、したがってクランプ圧、及び層スタックと基板の間のギャップを所望の値に調整することができる。ある実施形態では、静電クランプの上部分離層203は、BCB、NN120(又はこの2つのスプレー材料の組合せ)又はSiOのみのスプレーコーティングポリマー層で、又はスプレーポリマー層とSiOの組合せで、又はパリレン(CVD)のみからなる。最上部絶縁層203は、望ましくは約0.1μmを超える、望ましくは約1μmを超える層厚さを有する。最上部絶縁層203は、ヒータ又はセンサに望ましくは約10μm未満、望ましくは約3μm未満の層厚さを有する。静電クランプするために、最上部絶縁層は望ましくは約100μm未満、望ましくは約20μm未満の層厚さを有する。ある実施形態では、厚さは約10μmから約60μmの範囲である。
【0088】
[00114] 以下の表2は、薄膜スタックを構築するための層ごとに適切な材料の例を示す。各層は、リストにある材料の1つ、又は2つ以上の材料の組合せで形成することができる。
【表2】

【0089】
[00115] 以下の表3は、付与するための層ごとの特定の機能及び要件の例を示す。
【表3】

【0090】
[00116] 薄膜技術は、ヒータ及び/又はセンサ開発のためにオーバレイの改良及び費用効果が高い解決法を提供する。金属パターンの設計は、(マスク設計を修正することによって)容易に修正することができる。静電クランプでは、層のスタックにより、現在の基板クランプ製造プロセスで使用されるクリティカルなガラスボンディングのステップを回避することができる。バール間でクランプを構築できるので、SiSiCのバールを有することが可能である。これは磨耗にとって有利である。プラチナ(Pt)の金属層を使用する場合は、最初にチタンの接着層を塗布して、Pt層の接着を改良することができる。静電クランプの場合は、抵抗が小さい任意の適切な金属を使用することができる。
【0091】
[00117] 誘電体層は、スプレーコーティング、スピンコーティング、及びPECVD技術によって付着させることができる。スプレーコーティングは、BCB及び/又はNN120層などのポリマー系の層(有機溶媒に溶解)を付着させるのに特に適している。溶射した層は、付着した層が厚すぎる場合、(局所の不純物による)ピンホール及び(層内に誘発される応力を原因とする可能性が最も高い)ひび割れなどの表面欠陥があることがある。様々な付着プロセスを組み合わせることにより、これらの表面欠陥の効果を低減することが可能である。本発明のある実施形態では、インクジェット又はバブルジェット印刷技術を使用して層を塗布することができる。これによって層の厚さを局所的に制御することができ、このことは、基板ホルダの表面輪郭又は表面粗さの局所的変動を補正するのに有用になり得る。これらの技術によって、導電インクを使用した導電層のパターニングも可能になる。1つの層の欠陥を別の層によって矯正することができるので、様々な材料及び/又は層形成技術の組合せが望ましいことがある。
【0092】
[00118] 本発明のある実施形態が、基板ホルダ100の一部の断面である図24に図示されている。この実施形態は、上述した方法のいずれによっても形成できる平坦化層108を有する。平坦化層108の上に薄膜スタック200が形成され、これは上に向かう順序で平坦化層108、第1の絶縁層201、第1の金属層(例えば金属電極線)202、第2の絶縁層203、第2の金属層(例えば金属電極線)204及び第3の絶縁層205を備える。これらの層はそれぞれ、上述したような適切な方法で形成することができる。さらなる金属層及びさらなる絶縁層も設けることができる。この実施形態では、2つ以上のスタック状金属層を使用することにより、例えばセンサなどの2つ以上のスタック状コンポーネントを形成することができる。スタック状センサは、ノイズからの絶縁を改良することができる。ある実施形態では、1つ又は複数の金属層が、他の層の1つ又は複数の信号線のための遮蔽として作用することができる。
【0093】
[00119] 本発明のある実施形態が、基板ホルダ100の一部の断面である図25に図示されている。この実施形態は、上述した方法のいずれによっても形成できる平坦化層108を有する。薄膜スタック200は、間に電子コンポーネント202、206を挟んでいる第1の絶縁層201及び第2の絶縁層203を備える。この方法で、基板上の単層内に複数のコンポーネントを形成することができる。ある実施形態では、コンポーネント202、206はそれぞれ、例えば、金属−アモルファスシリコン−金属などの複数の層によって形成される。このような実施形態では、コンポーネント202、206のうち1つ又は複数がトランジスタ又は他の論理デバイスを形成する。このような論理デバイスを使用して、各ヒータへの個々の接続部を必要とせずに、基板ホルダ100の表面全体に配置されたヒータのアレイを制御することができる。トランジスタは、語及びビット行の交差部に配置し、それぞれ関連するヒータに接続して、能動マトリクスを形成することができる。
【0094】
[00120] 別の態様では、バールの斜面に材料が堆積するという問題に対して、さらなる解決法が提供される。この態様では、溶液をスプレーすることによって平坦化材料の2つの層が塗布される。2つの層の塗布に使用される溶液は様々な濃度を有する。その方法を図26に示す。
【0095】
[00121] 第1のステップS1では、平坦化材料の第1の溶液301を、例えば溶射によって制御された量で基板ホルダ100に付与し、例えば20μmなどの所望の膜厚さの第1の副層を達成する。ある実施形態では、第1の溶液は、供給業者から受け取った形態のBCBの溶液である(例えば、The Dow Chemical Companyによって供給されるCYCLOTENE* 3022-46 Advanced Electronics Resin)。次に、第1の溶射層を例えば200℃の温度で40分から1時間かけて硬化させるS2。硬化した層を活性化させて、次の層の接着を改良することができる。
【0096】
[00122] ステップS3では、平坦化材料の第2の溶液303を、例えば溶射によって制御された量で基板ホルダ100に付与し、例えば5μmなどの所望の膜厚さを達成する。第2の副層を塗布する際に、様々な濃度の平坦化材料を使用する。ある実施形態では、溶液301は、例えばオランダのSigma-Aldrich Chemi B.V.から入手されるメシチレン溶媒302と混合することによって希釈される。この溶媒は主に1,3,5−トリメタルベンゼン(C12)からなるが、この代わりに別の同等物を使用することもできる。第2の副層の塗布後、基板ホルダを、例えば約250℃又は300℃の温度で1時間かけて硬化させるS4。
【0097】
[00123] 元の濃度及び希釈した溶液の付与は、いずれかの順序で実行することができる。すなわち、希釈溶液を使用して第1の副層S1を塗布することができ、元の濃度の溶液を使用して第2の副層を塗布することができるS3。ある実施形態では、希釈溶媒302の量は、元の平坦化材料溶液の重量の約3倍未満であり、したがって基板に付与される溶液の濃度は、元の溶液の100%濃度と比較して約25%を超える。ある実施形態では、希釈溶媒の量は、重量で元の溶液の量の約1.5倍であり約40%の濃度になる。ある実施形態では、希釈溶液の量は元の溶液301の約50重量%であり、約66%の濃度になる。ある実施形態では、希釈溶媒の量は元の溶液301の約25重量%を超え、約80重量%未満の濃度になる。
【0098】
[00124] 以下の表4は、この実施形態の効果を実証する実験結果を示す。これらの結果は、図27(Ra)及び図28(山部から谷部)でもプロットされている。基板AからDを、表4に示したような様々な希釈度で塗布する2層のBCBを使用してコーティングした。基板Eは、BCBの単層を元の濃度で塗布した比較例である。基板AからDの平坦化層は、比較例と比較して同等の、又はわずかに改良されたRa値を有するが、山部から谷部までの距離もわずかに改良されたことが分かる。
【表4】

【0099】
[00125] 理解されるように、上述した形体のいずれも任意の他の形体と一緒に使用することができ、本出願の対象となるのは、明示的に記載された組合せだけではない。
【0100】
[00126] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。
【0101】
[00127] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射及び極紫外(EUV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、126nm、13.5nm若しくは6.5nm又はこれら辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0102】
[00128] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指す。
【0103】
[00129] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。さらに機械読み取り式命令は、2つ以上のコンピュータプログラムで実現することができる。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ又は複数の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に記憶することができる。
【0104】
[00130] 上述したコントローラは、信号を受信、処理及び送信するのに適切な任意の構成を有することができる。例えば、各コントローラは、上述した方法の機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行するために、1つ又は複数のプロセッサを含んでよい。コントローラは、このようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はこのような媒体を受信するハードウェアを含んでよい。
【0105】
[00131] 本発明の1つ又は複数の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域のみに提供されるか、基板及び/又は基板テーブル上に閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、それに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができない、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。
【0106】
[00132] 本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組み合わせでよい。これは、1つ又は複数の構造、1つ又は複数の液体入口、1つ又は複数の気体入口、1つ又は複数の気体出口、及び/又は液体を空間に提供する1つ又は複数の液体出口の組み合わせを備えてよい。実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでよい。液体供給システムは任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ又は複数の要素をさらに含むことができる。
【0107】
[00133] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。それ故、特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、
表面を有する本体と、
前記表面から突出し、基板を支持する端面を有する複数のバールと、
前記本体表面の少なくとも一部に設けられた平坦化層と、
前記平坦化層上に設けられ、電気コンポーネントを形成する薄膜スタックと、
を備え、
前記平坦化層は、山部から谷部までの距離が約10μm未満である外面を有する、基板ホルダ。
【請求項2】
前記バールは、前記平坦化層の溶媒又は前駆物質を反発するように処理されている外面を有する、請求項1に記載の基板ホルダ。
【請求項3】
前記バールの前記外面は、反発性物質の付与によって処理される、請求項2に記載の基板ホルダ。
【請求項4】
前記反発性物質は、ポリシラザン溶液、オクタデシルトリクロロシラン、メチル末端ポリマー、シロキサン、シラザン、フッ化材料、疎水性単層材料、シラン、フッ化シラン及びフルオロ−オクチル−トリクロロ−シランからなる群から選択される1つ又は複数である、請求項3に記載の基板ホルダ。
【請求項5】
前記平坦化層は、ベンゾシクロブテン、パーヒドロポリシラザン、SiO、パリレン及び/又はポリイミドからなる群から選択される材料、又は材料の組合せで形成される、請求項1から4のいずれかに記載の基板ホルダ。
【請求項6】
前記電子コンポーネントは、電極、ヒータ、センサ、トランジスタ及び論理デバイスからなる群から選択されるコンポーネントである、請求項1から5のいずれかに記載の基板ホルダ。
【請求項7】
前記電極は、使用時に静電クランプの電極である、請求項6に記載の基板ホルダ。
【請求項8】
パターニングデバイスを支持する支持構造と、
前記パターニングデバイスによってパターニングされたビームを基板に投影する投影システムと、
前記基板を保持する請求項1から7のいずれかに記載の基板ホルダと、
を備える、リソグラフィ装置。
【請求項9】
リソグラフィ装置を使用するデバイス製造方法であって、
基板ホルダ内で基板を保持しながら、パターニングデバイスによってパターニングされたビームを前記基板に投影することを含み、
前記基板ホルダは、表面を有する本体と、前記表面から突出し、基板を支持する端面を有する複数のバールと、前記本体表面の少なくとも一部に設けられた平坦化層と、前記平坦化層に設けられて電気コンポーネントを形成する薄膜スタックとを備え、前記平坦化層は、山部から谷部までの距離が約10μm未満である外面を有する、デバイス製造方法。
【請求項10】
リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダを製造する方法であって、
表面を有する本体と、前記表面から突出し、基板を支持する端面を有する複数のバールとを設けること、
前記本体表面の少なくとも一部に平坦化層を形成すること、及び
前記平坦化層上に薄膜スタックを形成すること、
を含み、
前記薄膜スタックは電気コンポーネントを形成し、前記平坦化層は、山部から谷部までの距離が約10μm未満である外面を有する、方法。
【請求項11】
前記平坦化層を形成する前に、前記平坦化層の形成に使用される材料の溶媒又は前駆物質を反発するよう、前記バールの前記表面を選択的に処理することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バールの前記表面の処理は、前記バールに反発性物質を付与することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反発性物質の付与は、
バールを露出させ、前記基板ホルダの他の部分を遮蔽するマスクを前記基板ホルダ上に形成すること、及び
前記マスクによって露出した前記基板ホルダの前記部分に前記反発性材料を付与すること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反発性物質は、ポリシラザン溶液、オクタデシルトリクロロシラン、メチル末端ポリマー、シロキサン、シラザン、フッ化材料、疎水性単層材料、シラン、フッ化シラン及びフルオロ−オクチル−トリクロロ−シランからなる群から選択される1つ又は複数である、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記薄膜スタックの下にある前記本体の前記表面の部分は、溶媒又は前駆物質を反発する処理を受けない、請求項11から14のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2013−89956(P2013−89956A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−223465(P2012−223465)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】