説明

基板ユニット及び電子装置

【課題】地上用及び搭載用の産業用機器で共用可能な電子回路基板を備え、電子回路基板及びヒートシンクの基本設計が改善された基板ユニット及び電子装置を提供する。
【解決手段】実施形態では、基板ユニット3は、第1の幅寸法部15と、第1の幅寸法部15の前方方向側に連続する第2の幅寸法部16とを備える電子回路基板10を備える。電子回路基板10では、第1の幅寸法部15の第1の方向側に第1の凹状部17Aが形成され、第1の幅寸法部15の第2の方向側に第2の凹状部17Bが形成されている。また、基板ユニット3は、第1の凹状部17Aから第1の幅寸法部15に固定される第1のサイドフレーム部21Aと、第2の凹状部17Bから第1の幅寸法部15に固定される第2のサイドフレーム部21Bと、第1のサイドフレーム部21Aから第2のサイドフレーム部21Bまで連続するシンク本体部22とを備えるヒートシンク20を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、ラック型ハウジングに差し込まれた状態で装着される基板ユニット及びこの基板ユニットを備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上用の産業用機器や、航空機などに搭載される搭載用の産業用機器で用いられる電子装置には、例えばバーサ・モジュール・ヨーロッパ(Versa Module Europe:VME)の標準規格であるVME規格に合わせて形成される電子回路基板が用いられた電子装置がある。この電子装置では、VME規格に合わせて形成されたラック型ハウジングの基板装着部に電子回路基板が差し込まれた状態で装着されている。電子回路基板には、電子モジュール、電力増幅器、フィルタ等の電子部品が取り付けられている。このような電子部品は、使用することにより熱を発生する。
【0003】
一般に、地上用の産業用機器で使用される電子装置では、VME規格の電子回路基板に取り付けられる電子部品で発生する熱を、自然空気対流又は強制空気対流によって効率よく冷却される。一方、宇宙関連機器、航空機等に搭載される搭載用の産業用機器が使用される空間では、空気対流が発生しない。このため、搭載用の産業用機器で使用される電子装置では、電子回路基板上に複数の支柱を突設し、電子回路基板上の支柱に固定ねじを介して放熱用のヒートシンクを取り付けている。そして、電子回路基板に取り付けられる電子部品で発生する熱を、ヒートシンクを介してラック型ハウジングに伝導している。これにより、電子部品で発生する熱が放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−226890号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“American National Standard for VME64 Extensions”、ANSI/VITA 1-1994、VMEbus International Trade Association、1998年10月7日、American National Standards Institute,INC.
【非特許文献2】“IEEE Standard for Mechanical Core Specifications for Conduction−Cooled Eurocards”、IEEE-1101.2-1992、IEEE Computer Society
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、地上用の産業用機器で使用される電子装置では電子部品で発生した熱が空気対流により冷却され、搭載用の産業用機器で使用される電子装置では電子部品で発生した熱がヒートシンクを介してラック型ハウジングに伝導される。搭載用の産業用機器で使用されるVME規格の電子回路基板では、電子回路基板にヒートシンクが取り付けられるため、地上用の産業用機器で使用されるVME規格の電子回路基板とは電子部品の配置、電子回路基板の形状等の構成が異なる。したがって、地上用の産業機器と搭載用の産業機器とで同一の機能を有する電子回路基板を使用する場合も、構成上の差異により、地上用の産業機器と搭載用の産業機器とで同一の電子回路基板を共用できない。
【0007】
また、電子回路基板上での電子部品の高密度化、パターンの高密度化等が原因で、電子回路基板上での支柱の位置、固定ねじを挿入する孔の位置が制限される。支柱及び固定ねじの位置が制限されることにより、ヒートシンクの形状が複雑化する。
【0008】
そこで、実施形態では、地上用及び搭載用の産業用機器で共用可能な電子回路基板を備え、電子回路基板及びヒートシンクの基本設計が改善された基板ユニット及び電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態では、第1の基板装着部を備える第1のラック型ハウジング又は前記第1の基板装着部とは異なる第2の基板装着部を備える第2のラック型ハウジングに差し込まれた状態で装着され、前記第1のラック型ハウジング又は前記第2のラック型ハウジングへの差込方向である前方方向に垂直な第1の方向、及び、前記第1の方向と反対方向の第2の方向が幅方向となる基板ユニットにおいて、第1の幅寸法部と、前記第1の幅寸法部の前方方向側に連続する第2の幅寸法部とを備える電子回路基板であって、前記第1の幅寸法部の第1の方向側に前記第2の幅寸法部から第2の方向に凹んだ第1の凹状部が形成され、前記第1の幅寸法部の第2の方向側に前記第2の幅寸法部から第1の方向に凹んだ第2の凹状部が形成されている電子回路基板と、前記電子回路基板に取り付けられる電子部品と、前記第1の凹状部から前記電子回路基板の前記第1の幅寸法部に固定される第1のサイドフレーム部と、前記第2の凹状部から前記電子回路基板の前記第1の幅寸法部に固定される第2のサイドフレーム部と、前記第1のサイドフレーム部から前記第2のサイドフレーム部まで連続するシンク本体部とを備え、前記電子部品で発生した熱が伝導されるヒートシンクと、を備える基板ユニットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る電子装置を示す正面図。
【図2】第1の実施形態に係る基板ユニットを概略的に示す平面図。
【図3】第1の実施形態に係る基板ユニットの電子回路基板を概略的に示す斜視図。
【図4】第1の実施形態に係る基板ユニットの第1のラック型ハウジングへの装着状態を示す断面図。
【図5】第2の実施形態に係る電子装置を示す正面図。
【図6】第2の実施形態に係る基板ユニットを概略的に示す平面図。
【図7】第2の実施形態に係る基板ユニットを部材ことに分解して示す斜視図。
【図8】第2の実施形態に係る基板ユニットの第2のラック型ハウジングへの装着状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の産業機器に使用される電子装置1を示す図である。本実施形態では、主に宇宙関連機器、航空機等に搭載される搭載用の産業用機器で使用される電子装置1について説明する。図1に示すように、電子装置1は、第1のラック型ハウジング2を備える。第1のラック型ハウジング2には、複数の基板ユニット3が差し込まれた状態で装着されている。基板ユニット3は、基板ユニット3の厚さ方向(図1,図3,図4の矢印A1及び矢印A2の方向)に並設されている。また、第1のラック型ハウジング2には、複数の第1の基板装着部5が基板ユニット3の厚さ方向に並設されている。それぞれの第1の基板装着部5には、1つの基板ユニット3が差し込まれた状態で装着されている。
【0012】
ここで、基板ユニット3の幅方向の一方を第1の方向(図1乃至図4の矢印B1の方向)、基板ユニット3の幅方向の他方(第1の方向と反対方向)を第2の方向(図1乃至図4の矢印B2の方向)とする。それぞれの第1の基板装着部5は、第1のラック型ハウジング2の第1の方向側の内周面に設けられる第1のガイド溝6Aと、第1のラック型ハウジング2の第2の方向側の内周面に設けられる第2のガイド溝6Bとを備える。第1のラック型ハウジング2の第1のガイド溝6A及び第2のガイド溝6Bは、産業機器で用いられる基準規格であるVME規格に合わせて寸法、形状が設定されている。VME規格では、第1のガイド溝6A及び第2のガイド溝6Bは、基板ユニット3の厚さ方向について第1の溝寸法d1を有する。
【0013】
図2は、第1のラック型ハウジング2に装着される基板ユニット3の概略構成を示す図である。また、図3は、基板ユニット3の電子回路基板10及び電子部品11を示す図である。なお、以下の説明では、基板ユニット3の第1のラック型ハウジング2への差込方向を前方方向(図2、図3の矢印C1の方向)、基板ユニット3の第1のラック型ハウジング2への差込方向とは反対方向を後方方向(図2、図3の矢印C2の方向)とする。
【0014】
図3に示すように、電子回路基板10は、第1の平面12と、第1の平面12の反対側の面である第2の平面13とを備える。電子回路基板10の第1の平面12には、複数の電子部品11が取り付けられている。また、第1の平面12の前方方向側の部位には、コネクタ部7が設けられている。基板ユニット3が第1のラック型ハウジング2に装着された状態では、コネクタ部7は第1のラック型ハウジング2のコネクタ部(図示しない)に接続される。これにより、電子回路基板10に取り付けられる電子部品11が、第1のラック型ハウジング2に設けられる電子回路(図示しない)等に電気的に接続される。
【0015】
電子回路基板10は、VME規格に合わせて寸法、形状が設定されている。電子回路基板10は、後方端から前方方向に延設される第1の幅寸法部15と、第1の幅寸法部15の前方方向側に連続する第2の幅寸法部16とを備える。第1の幅寸法部15の第1の方向側には、第2の幅寸法部16から第2の方向に凹んだ第1の凹状部17Aが形成されている。同様に、第1の幅寸法部15の第2の方向側には、第2の幅寸法部16から第1の方向に凹んだ第2の凹状部17Bが形成されている。このため、第1の幅寸法部15の幅方向の寸法である第1の幅寸法b1は、第2の幅寸法部16の幅方向の寸法である第2の幅寸法b2より小さい。
【0016】
図4は、基板ユニット3の第1のラック型ハウジング2への装着状態を示す図である。図4に示すように、電子回路基板10の第1の平面12には、ヒートシンク20が固定ねじ18を介して取り付けられている。ヒートシンク20は、アルミ二ウム等の熱伝導性の高い材料から形成されている。ヒートシンク20は、第1の凹状部17Aから電子回路基板10の第1の幅寸法部15に固定される第1のサイドフレーム部21Aと、第2の凹状部17Bから電子回路基板10の第1の幅寸法部15に固定される第2のサイドフレーム部21Bと、第1のサイドフレーム部21Aから第2のサイドフレーム部21Bまで連続するシンク本体部22とを備える。
【0017】
ヒートシンク20は、第1のサイドフレーム部21A、第2のサイドフレーム部21B及びシンク本体部22が一体に形成される一体ヒートシンクである。したがって、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bが固定ねじ18を介して第1の幅寸法部15に固定されることにより、ヒートシンク20が電子回路基板10に取り付けられる。また、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bが固定ねじ18を介して固定されるため、電子回路基板10では固定ねじ18を挿入する孔19は電子回路基板10の第1の方向側の端部及び第2の方向側の端部のみに位置している。なお、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bは、電子回路基板10に取り付けられる電子部品11の高さに合わせて寸法が設定されている。
【0018】
第1のサイドフレーム部21Aには、第1の規制部材である第1のカードロック25Aが取り付けられている。第1のラック型ハウジング2の1つの第1の基板装着部5に基板ユニット3が装着された際には、第1のガイド溝6Aで第1のカードロック25A及び第1のサイドフレーム部21Aが挟持されている。この状態で第1のカードロック25Aを作動することにより、第1のガイド溝6Aでの第1のサイドフレーム部21Aの後方方向への移動が規制される。また、第2のサイドフレーム部21Bには、第2の規制部材である第2のカードロック25Bが取り付けられている。第1のラック型ハウジング2の1つの第1の基板装着部5に基板ユニット3が装着された際には、第1のカードロック25Aと同様にして、第2のカードロック25Bにより第2のガイド溝6Bでの第2のサイドフレーム部21Bの後方方向への移動が規制される。以上のように、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bの移動が規制されるため、基板ユニット3が第1の基板装着部5から取り外れることが防止される。
【0019】
また、第1のサイドフレーム部21Aには、第1の方向へ突出する第1の凸部27Aが設けられている。同様に、第2のサイドフレーム部21Bには、第2の方向へ突出する第2の凸部27Bが設けられている。
【0020】
ヒートシンク20のシンク本体部22は、電子回路基板10に向けて突出する複数の突出部30を備える。それぞれの突出部30は、電子回路基板に対向する状態で取り付けられる電子部品11に当接している。それぞれの突出部30の突出寸法は、対向する電子部品11の厚さ方向の寸法に対応して設定されている。それぞれの突出部30は、例えば対向する電子部品11の厚さ方向の寸法に対応する深さだけシンク本体部22を切削加工することにより、形成されている。
【0021】
また、シンク本体部22の突出部30と対向する電子部品11との間には中継部材である放熱シート31が設けられている。放熱シート31は、シリコン等のヒートシンク20より熱伝導性の低い材料から形成されている。シンク本体部22の突出部30は切削加工等により形成されるため、電子部品11との当接面が粗い場合もある。この場合、突出部30と電子部品11との間に隙間が生じる。したがって、放熱シート31により突出部30と電子部品11との間の隙間を埋めている。
【0022】
以上のような構成にすることにより、電子回路基板10に装着された複数の電子部品11で発生した熱は、放熱シート14を介して、対向する突出部30に伝導される。そして、突出部30に伝導された熱は、ヒートシンク20のシンク本体部22から、第1のサイドフレーム部21A又は第2のサイドフレーム部21Bを介して、第1のラック型ハウジング2に伝導される。そして、第1のラック型ハウジング2から、電子装置1の外部に放熱される。
【0023】
そこで、上記構成の電子装置1及び基板ユニット3は、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態の基板ユニット3では、電子回路基板10の第1の幅寸法部15の第1の方向側に第1の凹状部17Aが、第1の幅寸法部15の第2の方向側に第2の凹状部17Bが形成されている。また、第1の凹状部17Aから第1の幅寸法部15に第1のサイドフレーム部21Aが固定され、かつ、第2の凹状部17Bから第1の幅寸法部15に第2のサイドフレーム部21Bが固定されるため、電子回路基板10では固定ねじ18を挿入する孔19は電子回路基板10の第1の方向側の端部及び第2の方向側の端部のみに位置している。第1の凹状部17A、第2の凹状部17B及び孔19が設けられる電子回路基板10の第1の方向側の端部及び第2の方向側の端部は、電子部品11の配置等の電子回路基板10の基本設計上の制約が少ない。また、ヒートシンク20は、第1のサイドフレーム部21A、第2のサイドフレーム部21B及びシンク本体部22が一体に形成され、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bが第1の幅寸法部15に固定されることにより、ヒートシンク20が電子回路基板10に取り付けられる。このため、ヒートシンク20の形状が複雑にする必要はない。以上のように、VME規格の電子回路基板10及びヒートシンク20の基本設計が容易になり、電子回路基板10にヒートシンク20を容易に取り付けることができる。
【0024】
また、本実施形態の電子装置1では、電子回路基板10に装着された複数の電子部品11で発生した熱は、放熱シート14を介して、対向する突出部30に伝導される。そして、突出部30に伝導された熱は、ヒートシンク20のシンク本体部22から、第1のサイドフレーム部21A又は第2のサイドフレーム部21Bを介して、第1のラック型ハウジング2に伝導される。そして、第1のラック型ハウジングから電子装置1の外部に、放熱される。このため、宇宙関連機器、航空機などに搭載される搭載用の産業用機器で使用される空気対流が発生しない空間でも、電子部品11で発生する熱を有効に放熱することができる。
【0025】
また、本実施形態の基板ユニット3では、第1のサイドフレーム部21A、第2のサイドフレーム部21B及びシンク本体部22が一体に形成されたヒートシンク20が設けられている。このため、ヒートシンク20の放熱性及び機械的強度を向上させることができる。
【0026】
また、本実施形態の基板ユニット3では、シンク本体部22の突出部30と対向する電子部品11との間に中継部材である放熱シート31を設けている。これにより、シンク本体部22の突出部30の電子部品11との当接面が粗い場合も、突出部30と電子部品11との間に隙間が放熱シート31で埋めている。このため、電子部品11からシンク本体部22へより有効に熱を伝導することができる。
【0027】
また、本実施形態の基板ユニット3では、放熱シート31よりヒートシンク20が熱伝導性の材料から形成されている。これにより、電子部品11から第1のラック型ハウジング2までの伝熱ルートの大部分は、熱伝導性が高いヒートシンク20から構成される。このため、電子部品11で発生した熱をより有効に放熱することができる。
【0028】
(第2の実施の形態)
第2の実施形態について、図5乃至図8を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の部分及び同一の機能を有する部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0029】
図5は、本実施形態の産業機器に使用される電子装置40を示す図である。本実施形態では、主に地上用の産業用機器で使用される電子装置40について説明する。図5に示すように、電子装置40は、第1のラック型ハウジング2とは異なる第2のラック型ハウジング42を備える。第2のラック型ハウジング42には、複数の基板ユニット43が差し込まれた状態で装着されている。基板ユニット43は、基板ユニット43の厚さ方向(図5,図7,図8の矢印A1及び矢印A2の方向)に並設されている。また、第2のラック型ハウジング42には、複数の第2の基板装着部(ガイドレール)45が基板ユニット43の厚さ方向に並設されている。それぞれの第2の基板装着部45には、1つの基板ユニット43が差し込まれた状態で装着されている。それぞれの第2の基板装着部45は、第2のラック型ハウジング42の内周面に取付けられている。
【0030】
ここで、基板ユニット43の幅方向の一方を第1の方向(図5乃至図8の矢印B1の方向)、基板ユニット43の幅方向の他方(第1の方向と反対方向)を第2の方向(図5乃至図8の矢印B2の方向)とする。それぞれの第2の基板装着部45は、第2のラック型ハウジング42の第1の方向側の内周面に設けられる第1の係合溝46Aと、第2のラック型ハウジング42の第2の方向側の内周面に設けられる第2の係合溝46Bとを備える。第2のラック型ハウジング42の第1の係合溝46A及び第2の係合溝46Bは、産業機器で用いられる基準規格であるVME規格に合わせて寸法、形状が設定されている。VME規格では、第1の係合溝46A及び第2の係合溝46Bは、基板ユニット43の厚さ方向について第2の溝寸法d2を有する。ここで、第2の溝寸法d2は、第1のラック型ハウジング2の第1のガイド溝6A及び第2のガイド溝6Bの第1の溝寸法d1(図1,図4参照)より小さい。また、第2のラック型ハウジング42には、冷却部材である冷却ファン(図示しない)が内蔵されている。
【0031】
図6及び図7は、第2のラック型ハウジング42に装着される基板ユニット43の構成を示す図である。なお、以下の説明では、基板ユニット43の第2のラック型ハウジング42への差込方向を前方方向(図6、図7の矢印C1の方向)、基板ユニット43の第2のラック型ハウジング42への差込方向とは反対方向を後方方向(図6、図7の矢印C2の方向)とする。
【0032】
図7に示すように、基板ユニット43は、第1の実施形態と同一の電子回路基板10を備える。電子回路基板10には、複数の電子部品11取り付けられ、コネクタ部7が設けられている。基板ユニット43が第2のラック型ハウジング42に装着された状態では、コネクタ部7は第2のラック型ハウジング42のコネクタ部(図示しない)に接続される。これにより、電子回路基板10に取り付けられる電子部品11が、第2のラック型ハウジング42に設けられる電子回路(図示しない)等に電気的に接続される。
【0033】
電子回路基板10は、第1の実施形態と同様に、第1の幅寸法部15と、第2の幅寸法部16とを備える。第1の幅寸法部15の第1の方向側には第1の凹状部17Aが、第1の幅寸法部15の第2の方向側には第2の凹状部17Bが形成されている。
【0034】
図8は、基板ユニット43の第2のラック型ハウジング42への装着状態を示す図である。図8に示すように、電子回路基板10の第1の平面12には、ヒートシンク50が固定ねじ18を介して取り付けられている。ヒートシンク50は、第1の実施形態のヒートシンク20と同様に、アルミ二ウム等の熱伝導性の高い材料から形成されている。また、ヒートシンク50は、第1の実施形態のヒートシンク20と同様に、第1のサイドフレーム部21Aと、第2のサイドフレーム部21Bと、シンク本体部22とを備える。
【0035】
ヒートシンク50は、シンク本体部22が第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bに固定ねじ18を介して連結される連結ヒートシンクである。ヒートシンク50では、シンク本体部22が平板状に形成されている。また、固定ねじ18により、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bが第1の幅寸法部15に固定される。したがって、固定ねじ18により、ヒートシンク20が電子回路基板10に取り付けられる。また、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bが固定ねじ18を介して固定されるため、電子回路基板10では固定ねじ18を挿入する孔19は電子回路基板10の第1の方向側の端部及び第2の方向側の端部のみに位置している。なお、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bは、電子回路基板10に取り付けられる電子部品11の高さに合わせて寸法が設定されている。
【0036】
また、第1のサイドフレーム部21Aには、第1の方向へ突出する第1の凸部27Aが設けられている。同様に、第2のサイドフレーム部21Bには、第2の方向へ突出する第2の凸部27Bが設けられている。第2のラック型ハウジング42の1つの第2の基板装着部45に基板ユニット43が装着された際には、第1の係合溝46Aに第1の凸部27Aが係合する。同様に、第2のラック型ハウジング42の1つの第2の基板装着部45に基板ユニット43が装着された際には、第2の係合溝46Bに第2の凸部27Bが係合する。
【0037】
また、電子回路基板10の前方方向側には、フロントパネル51が配設されている。フロントパネル51の第1の方向側の部位にはカードロック52Aが、第2の方向側の部位にはカードロック52Bがそれぞれ装着されている。そして、第2のラック型ハウジング42の1つの第2の基板装着部45に基板ユニット43が装着された際には、カードロック52Aが作動することにより、第1の係合溝46Aでの第1の凸部27Aの後方方向への移動が規制される。同様に、カードロック52Aが作動することにより、第2の係合溝46Bでの第2の凸部27Bの後方方向への移動が規制される。以上のように、第1の凸部27A及び第2の凸部27Bの移動が規制されるため、基板ユニット43が第2の基板装着部45から取り外れることが防止される。
【0038】
また、電子回路基板10に取り付けられるそれぞれの電子部品11には、シンク本体部22との間を連続させる中継部材である放熱シート53が設けられている。放熱シート53は、第1の実施形態と同様に、シリコン等から形成されている。それぞれの放熱シート53は、接触する電子部品11とシンク本体部22との間の間隙寸法(例えばS1,S2)に対応して、厚さ方向の寸法が設定されている。すなわち、それぞれの放熱シート53は、接触する電子部品11の厚さ方向の寸法に対応して、厚さ方向の寸法が設定されている。このため、いかなる厚さ方向の寸法の電子部品11でも、シンク本体部22との間が連続する。したがって、それぞれの電子部品11で発生した熱が、有効にシンク本体部22に伝導される。
【0039】
電子回路基板10に取り付けられた電子部品11から熱が発生した際には、第2のラック型ハウジング42の冷却ファン(図示しない)が駆動される。電子部品11から発生する熱は、放熱シート53を介してシンク本体部22、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bに伝導される。この際、ヒートシンク50及び電子部品11は、冷却ファンからの冷却風により冷却される。ただし、ヒートシンク50は、第1のサイドフレーム部21A、第2のサイドフレーム部21B及びシンク本体部22が一体ではないため、第1の実施形態のヒートシンク20に比べ、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bへの熱伝導性は低下する。
【0040】
そこで、上記構成の電子装置40及び基板ユニット43は、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態の基板ユニット43では、電子回路基板10の第1の幅寸法部15の第1の方向側に第1の凹状部17Aが、第1の幅寸法部15の第2の方向側に第2の凹状部17Bが形成されている。また、第1の凹状部17Aから第1の幅寸法部15に第1のサイドフレーム部21Aが固定され、かつ、第2の凹状部17Bから第1の幅寸法部15に第2のサイドフレーム部21Bが固定されるため、電子回路基板10では固定ねじ18を挿入する孔19は電子回路基板10の第1の方向側の端部及び第2の方向側の端部のみに位置している。第1の凹状部17A、第2の凹状部17B及び孔19が設けられる電子回路基板10の第1の方向側の端部及び第2の方向側の端部は、電子部品11の配置等の電子回路基板10の基本設計上の制約が少ない。また、ヒートシンク50では、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bが第1の幅寸法部15に固定され、第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bにシンク本体部22が連結されている。このため、ヒートシンク50の形状が複雑にする必要はない。以上のように、VME規格の電子回路基板10及びヒートシンク50の基本設計が容易になり、電子回路基板10にヒートシンク50を容易に取り付けることができる。
【0041】
また、基板ユニット43では、平板状にシンク本体部22が形成されている。そして、シンク本体部22が第1のサイドフレーム部21A及び第2のサイドフレーム部21Bに連結されている。以上のようにヒートシンク50が形成されるため、第1の実施形態のヒートシンク20に比べ、より容易にヒートシンク50を製造することができる。
【0042】
また、基板ユニット43では、第1の実施形態の基板ユニット3と同一の構成の電子回路基板10が用いられている。すなわち、第1のラック型ハウジング2に装着される基板ユニット3と第2のラック型ハウジング42に装着される基板ユニット43とで、形状、電子部品11の配置等の構成が同一の電子回路基板10が用いられる。このため、地上用及び搭載用の産業用機器で同一の構成の電子回路基板10を共用することができる。
【0043】
(変形例)
なお、上述の実施形態の変形例として、第1の実施形態の基板ユニット3が地上用の産業用機器に使用されてもよい。この場合、1つ基板ユニット3は、第2のラック型ハウジング42の第2の基板装着部45に差し込まれた状態で装着される。この際、第1の係合溝46Aに第1の凸部27Aが係合する。同様に、第2の係合溝46Bに第2の凸部27Bが係合する。
【0044】
また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施できることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
1,40…電子装置、2…第1のラック型ハウジング、3,43…基板ユニット、10…電子回路基板、11…電子部品、15…第1の幅寸法部、16…第2の幅寸法部、17A…第1の凹状部、17B…第2の凹状部、20,50…ヒートシンク、21A…第1のサイドフレーム部、21B…第2のサイドフレーム部、22…シンク本体部、42…第2のラック型ハウジング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板装着部を備える第1のラック型ハウジング又は前記第1の基板装着部とは異なる第2の基板装着部を備える第2のラック型ハウジングに差し込まれた状態で装着され、前記第1のラック型ハウジング又は前記第2のラック型ハウジングへの差込方向である前方方向に垂直な第1の方向、及び、前記第1の方向と反対方向の第2の方向が幅方向となる基板ユニットにおいて、
第1の幅寸法部と、前記第1の幅寸法部の前方方向側に連続する第2の幅寸法部とを備える電子回路基板であって、前記第1の幅寸法部の第1の方向側に前記第2の幅寸法部から第2の方向に凹んだ第1の凹状部が形成され、前記第1の幅寸法部の第2の方向側に前記第2の幅寸法部から第1の方向に凹んだ第2の凹状部が形成されている電子回路基板と、
前記電子回路基板に取り付けられる電子部品と、
前記第1の凹状部から前記電子回路基板の前記第1の幅寸法部に固定される第1のサイドフレーム部と、前記第2の凹状部から前記電子回路基板の前記第1の幅寸法部に固定される第2のサイドフレーム部と、前記第1のサイドフレーム部から前記第2のサイドフレーム部まで連続するシンク本体部とを備え、前記電子部品で発生した熱が伝導されるヒートシンクと、
を具備する基板ユニット。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、前記第1のサイドフレーム部、前記第2のサイドフレーム部及び前記シンク本体部が一体に形成される一体ヒートシンクである請求項1の基板ユニット。
【請求項3】
前記シンク本体部は、前記電子回路基板に向けて突出し、前記電子部品に当接する突出部を備える請求項2の基板ユニット。
【請求項4】
前記突出部は、前記電子部品の厚さ方向の寸法に対応して突出寸法が設定されている請求項3の基板ユニット。
【請求項5】
前記突出部と前記電子部品との間に設けられ、前記電子部品との当接面が粗い前記突出部と前記電子部品との間に生じる隙間を埋める中継部材をさらに具備する請求項3の基板ユニット。
【請求項6】
前記一体ヒートシンクは、前記中継部材より熱伝導性が高い材料から形成されている請求項5の基板ユニット。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のいずれか1の前記基板ユニットと、
前記基板ユニットが前記第1の基板装着部に装着される前記第1のラック型ハウジングと、
を具備し、
前記第1の装着部は、前記第1のラック型ハウジングの前記第1の方向側の内周面に設けられる第1のガイド溝と、前記第1のラック型ハウジングの前記第2の方向側の内周面に設けられる第2のガイド溝とを備え、
前記基板ユニットは、前記第1のサイドフレーム部に取り付けられ、前記第1のガイド溝での前記第1のサイドフレーム部の後方方向への移動を規制する第1の規制部材と、前記第2のサイドフレーム部に取り付けられ、前記第2のガイド溝での前記第2のサイドフレーム部の前記後方方向への移動を規制する第2の規制部材とを備える電子装置。
【請求項8】
前記ヒートシンクは、前記シンク本体部が前記第1のサイドフレーム部及び前記第2のサイドフレーム部に連結される連結ヒートシンクである請求項1の基板ユニット。
【請求項9】
前記電子部品と前記シンク本体部との間を連続させる中継部材をさらに具備し、
前記シンク本体部は、平板状に形成されている請求項8の基板ユニット。
【請求項10】
前記中継部材は、前記電子部品と前記シンク本体部との間の間隙寸法に対応して厚さ方向の寸法が設定されている請求項9の基板ユニット。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれか1の前記基板ユニットと、
前記基板ユニットが前記第2の基板装着部に装着される前記第2のラック型ハウジングと、
を具備し、
前記第2の装着部は、前記第2のラック型ハウジングの前記第1の方向側の内周面に設けられる第1の係合溝と、前記第2のラック型ハウジングの前記第2の方向側の内周面に設けられる第2の係合溝とを備え、
前記基板ユニットは、前記第1のサイドフレーム部から前記第1の方向へ突出し、前記第1の係合溝に係合する第1の凸部と、前記第2のサイドフレーム部から前記第2の方向へ突出し、前記第2の係合溝に係合する第2の凸部とを備える電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−23329(P2012−23329A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268304(P2010−268304)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】