説明

基板切断方法および電子素子の製造方法

【課題】基板をブレーキングによりチップに切断する際、基板の切断状況を判断できる基板切断方法およびその基板切断方法を用いた電子素子の製造方法を提供する。
【解決手段】撮像部が、切断線を挟んで基板上に形成した1組のターゲットの画像を撮像する(S101)。この画像から、抽出部がターゲットを抽出する(S102)。次いで、計測部がターゲット間の距離d1を計測する(S103)。駆動部がブレードを基板に押圧(S104)すると、基板がブレードに押されてたわみ、基板の破壊が始まる。そこで、再び、撮像部がターゲットの画像を撮像し(S105)、この画像から抽出部がターゲットを抽出する(S106)。そして、計測部がターゲット間の距離d2を計測する(S107)。そして、判定部がターゲット間の距離の変化量(d2−d1)から、基板の切断状態を判定する(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子を多数形成した半導体ウエハ等の基板を薄片化(チップ化)するための基板切断方法およびその基板切断方法を用いた電子素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子素子を形成した半導体ウエハ等の基板を切断してチップ化する方法として、ダイヤモンドツールで基板表面に傷をつけたのち、基板の劈開性を利用して、ローラを押し付けて機械的に切断するブレーキング法や、円盤状のダイヤモンドソーを回転させて基板を切削してするダイシング法が広く用いられている。ダイヤモンドソーを用いるダイシング法でも、基板を完全に切削する場合の他、基板の途中まで切り込みを入れ、その後にブレーキングによりチップに切断することも行われている。
また、近年、透過性の波長のレーザ光を対物レンズ光学系で集光して基板内部に焦点を結ぶように照射することにより、照射前に比べて強度が低い領域を基板内部に形成する、いわゆるステルスダイシング法が開発されている。この方法では、切り代が少なく、チッピングが少ない端面が得られる。しかし、基板内部に強度の低い領域が形成された状態では、基板は切断されておらず、つながった状態にある。このため、ブレーキングにより基板をチップに切断することが必要である。
【0003】
特許文献1には、基板をチップに切断する方法およびそのための装置が記載されている。ここでの方法は、(1)レーザやスクライブ、ダイサー等により、切断する基板に予め破壊の起点となる溝または加工変質層を形成し、(2)破壊起点となる溝の反対面に先端が鋭角のブレードが当接するように調整した後、(3)衝撃力を与えてブレードを基板に押し込むことにより、基板をブレーキングにより切断するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2004−39931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、基板をチップにブレーキングにより切断する際、切断されたチップの飛散を防ぐため、基板は粘着シートに貼り付けられている。
このため、基板にブレードを押し込んでも、基板が完全に切断されたかどうかの判断がしづらいという問題があった。すなわち、基板が切断されたかどうかを、基板にブレードを押し込む際の基板の画像や、押し込んだときの基板から発した音などにより、作業者が判断していた。そして、基板が切断されていない、または、基板の厚さ方向の一部しか切断されていない(半割)と判断された場合には、再度基板にブレードを押し込む工程を繰り返していた。
したがって、基板切断は、作業者の経験や勘に依存する面が多く、自動化できないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、基板の切断状況を判断できる基板切断方法およびその基板切断方法を用いた電子素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、基板にブレードを押し込んだ際に、ブレードを押し込む位置を挟んで基板上に形成した1組の目印(ターゲット)間の距離が、基板のゆがみや切断に起因して変化することを利用して、その変化を計測することで、基板の切断状況を判断できることを見いだした。
すなわち、本発明が適用される基板切断方法は、一方の面に複数の電子素子が形成された基板に切断領域を形成する工程と、基板の他方の面の、切断領域の形成された位置に対応する位置に駆動部がブレードを押圧する工程と、ブレードを押圧する工程に際して、基板の一方の面上に形成された少なくとも1組のターゲットを撮像部が撮像する工程と、ターゲットの撮像結果から、抽出部が1組のターゲットを抽出し、計測部がブレードを押圧する工程におけるターゲット間の距離の変化量を計測する工程と、計測されたターゲット間の距離の変化量と、予め定められた設定値とによって、判定部が基板の切断状況を判定する工程と、を含むことを特徴とする。さらに、1組のターゲットは、好ましくは切断線を挟んで隣り合う1組のターゲットであることを特徴とする。
【0008】
さらに、好ましくは、変化量が予め定められた設定値より小さい場合に、ブレードを押圧する工程から繰り返す工程をさらに含むことを特徴とする。この特徴により基板切断工程のより自動化が図れる。
また好ましくは、1組のターゲットのそれぞれは、基板に押圧したブレードを挟んで形成されていることを特徴とすることができる。
さらに、切断領域は、溝またはレーザ加工によってレーザ加工前よりも強度が低い領域であることが好ましい。
またさらに、基板は、粘着シートに貼り付けられていることが好ましく、チップの飛散を軽減できる利点がある。
【0009】
他の観点から捉えると、本発明が適用される電子素子の製造方法は、基板上に形成された電子素子の製造方法であって、一方の面に複数の電子素子が形成された基板に切断領域を形成する工程と、基板の他方の面の、切断領域の形成された位置に対応する位置に駆動部がブレードを押圧する工程と、ブレードを押圧する工程に際して、基板の一方の面上に形成された少なくとも1組のターゲットを撮像部が撮像する工程と、ターゲットの撮像結果から、抽出部が1組のターゲットを抽出し、計測部がブレードを押圧する工程におけるターゲット間の距離の変化量を計測する工程と、計測されたターゲット間の距離の変化量と、予め定められた設定値とによって、判定部が基板の切断状況を判定する工程と、を含むことを特徴とする。さらに、1組のターゲットは、好ましくは切断線を挟んで隣り合う1組のターゲットであることを特徴とする。
ここで、電子素子の製造方法は、発光素子(LED)の製造方法であってよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって基板切断の状況を判定することにより、基板切断の工程を自動化できる効果がある。これにより、基板切断の状況をこれまでの人的な作業により判定する方法に比べ、切断製品の取得収率が向上し、生産性アップや大幅なコストダウンが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について詳細に説明する。なお、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。なお、添付図面では、基板やチップなどを模式的に表しており、正確な縮尺を用いていない。
【0012】
図1は、本実施の形態に用いる基板10の一例を説明する図である。この図1は、基板10を表面から見た図であり、基板10を貼り付ける粘着シート15を取り付けた金属リング16を合わせて示している。
基板10は、例えば、外径4インチ(約100mm)、厚さ120μmの単結晶サファイアの基板である。基板10には、電子素子の一例として、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層およびp型半導体層がこの順で積層され、複数の発光ダイオードLED(Light Emitting Diode)素子11(以下ではLED11と呼ぶ)が形成されている。また、基板10には、それぞれのLED11に電流を供給するための電極12aおよび12bが設けられている。電極12aおよび12bは、それぞれ、例えば直径100μmの円形形状をなしている。
【0013】
基板10とn型半導体層との間には、例えば、III族窒化物化合物からなる中間層や下地層を成膜して、n型半導体層、発光層、及びp型半導体層を順次積層する製造方法を採用するのが好ましく、例えば特開2008−124060号公報に記載する方法に準じて中間層、下地層、n型半導体層、発光層、p型半導体層および電極等を有する、複数のLED11を備えた基板10を準備してもよい。
また、基板10の外径サイズ(インチ)や基板材料の厚さは任意に選ばれる。本発明においては、研磨・研削工程により基板材料の厚さを約50μm〜300μmの範囲で好適に調整して使用される。
【0014】
本発明においては使用できる基板材料としては、特に限定されず、各種材料を選択して用いることができ、例えば、サファイア、炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)、シリコン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、ハフニウム、タングステン、モリブデン、窒化ガリウム等が挙げられ、中でもサファイア、炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)が好ましい。
【0015】
電極12aおよび12bが設けられたLED11は、基板10上に一定の間隔で配置されている。チップ20は一例では矩形であり、図1では、幅ph、長さpvとしてそれぞれの間隔で表されている。しかしながら、チップ20のサイズは、任意に選ばれ、例えば、ph=240μm、pv=500μmとする長方形型や、ph=pv=350μmとする正方形型も用いられる。なお、チップ20は、基板10から切断され、それぞれがマウントされてパッケージ(ランプ)に使用される。図1における切断線V1〜V7およびH1〜H5は、基板10をチップ20に切断する際の切断箇所を示している。
【0016】
本実施の形態では、基板10上に形成された複数の目印(ターゲット)をカメラで撮像して、チップ20に切断する際にそれらの間の距離を計測して、基板10の切断状態を判断する。
ここでは、ターゲットの一例として、基板10上に形成された電極12aおよび12bを使用する。具体的には、チップ20の短辺側を切断する場合(切断線H1〜H5)は、隣接する2つのチップ20の隣り合う電極12aと電極12bとの距離を計測する。例えば、ブレード57(後述する図2参照)を挟んで隣り合う(すなわち切断線H3を挟んで隣り合う)、電極12aと電極12bの間の距離dhを計測する。また、チップ20の長辺側を切断する場合(切断線V1〜V7)は、隣接する2つのチップ20のそれぞれの電極12bの間の距離を計測する。例えば、切断線V4を挟んで隣り合う、2つの電極12bの間の距離dvを計測する。
【0017】
さらに、基板10には、切断線V1〜V7およびH1〜H5に沿って、集光したエキシマ励起のパルスレーザ光を照射して形成された強度が低い切断領域21が設けられている。切断領域21は、照射前に比べ強度が低いので、基板10をチップ20に切断する際の破壊の起点になる。なお、エキシマ励起のパルスレーザ光の照射による強度が低い切断領域21の形成法については後述する。
【0018】
基板10は、金属リング16に取り付けられた粘着シート15に貼り付けられている(後述する図4の(b)参照)。粘着シート15は、切断されたチップ20を保持することで、切断後のチップ20の飛散を防止する。ここでは、基板10は、LED11などを形成した表面10a側が、粘着シート15に貼り付けられている。よって、図1では、粘着シート15を通して基板10を見た状態が示されている。なお、粘着シート15は透明であるので、基板10上に形成されたターゲットをカメラで撮像できる。
【0019】
また、一例であるが、金属リング16は内径190mmで、基板10の直径4インチ(約100mm)より大きく設定されている。そして、基板10は、金属リング16の内側に、金属リング16に接触しないように貼り付けられている。
なお、粘着シート15は、基板10がチップ20に切断された後に、金属リング16の内側をシリンダにより押し上げられて、引き延ばされる。これにより、それぞれのチップ20間の隙間が広げられ、パッケージへのマウント作業を容易にする。
【0020】
図2は、本実施の形態が適用される基板切断装置50の一例を説明する図である。
基板切断装置50は、台等の上に設置されるための基体51上に設けられ、基体51上を前後方向(y方向と呼ぶ。)に移動可能なステージ52を備える。このステージ52は、ステージ52上で回転可能(回転方向をθ軸方向と呼ぶ。)なリング状の枠からなるリングテーブル54を備える。このリングテーブル54上には、図1で示した基板10を貼り付けた粘着シート15が取り付けられた金属リング16が設置される。
さらに、基板切断装置50は、基体51上に設けられ、粘着シート15に貼り付けた基板10を保持する受け台53を備える。
【0021】
また、基板切断装置50は、基体51上に設けられた門型の支持体55を備える。この支持体55は、ブレード保持体56を備える。そして、ブレード保持体56は一方の端にブレード57を保持する。なお、ブレード保持体56は、基体51に対して上下方向(z軸方向と呼ぶ)に移動可能に設定されている。
【0022】
ブレード57は、基板10に押し込まれることにより基板10を切断する。このため、ブレード57は例えば先端が60°のナイフ状で、例えば高硬度の超鋼またはジルコニアで製作されている。また、ブレード57の幅は基板10の直径より大きく設定されている。例えば、ブレード57の幅は110mmである。
受け台53は、向かい合わせに配置された2つの受け台53aと53bとから構成されている。受け台53aおよび53bのそれぞれの表面は、基板10にブレード57が押し込まれた際に変形しないよう、例えば超鋼で製作されている。そして、ブレード57を受け台53の方向(−z軸方向)に移動させた際、ブレード57が受け台53aおよび53bの隙間に入るように設定されている。
さらに、受け台53の表面とリングテーブル54の表面とは、ほぼ1つの平面内にあるように設定されている。
【0023】
基板切断装置50は、受け台53の下部に例えばCCDカメラなどから構成される撮像部61を備える。撮像部61は、2つの受け台53aおよび53bの隙間を通して、受け台53上の基板10が撮像できるように設定されている。そして、基板切断装置50は、撮像部61の撮像した画像データを表示する表示部62を備える。
また、基板切断装置50は、支持体55内に、ブレード保持体56をz軸方向に移動させるためのステッピングモータ、ステージ52をy軸方向に移動させるモータ、リングテーブル54をθ軸方向に回転させるモータおよびこれらのモータを制御する電子回路などからなる駆動部63を備える。
加えて、基板切断装置50は、撮像部61が撮像した画像データから、切断線を挟んで隣り合う1組のターゲットを抽出し、ターゲット間の距離を計測し、ターゲット間の距離の変化量から切断状況を判定する制御部64を備える。
【0024】
図3は、本実施の形態が適用される基板切断装置50の制御部64を中心としたブロック図である。制御部64は、撮像部61が撮像した画像データから、予め登録されたターゲットの形状と一致するターゲットを抽出する抽出部66、1組のターゲット間の距離を計測する計測部67、ターゲット間の距離の設定値に対する変化量から切断状況を判定する判定部68を備える。撮像部61が撮像した画像データ、抽出部66が抽出したターゲット、計測部67が計測したターゲット間の距離、判定部68が切断状況の判定に用いたターゲット間の距離の設定値に対する変化量などは、表示部62に表示される。さらに、判定部68の判定結果に基づいて駆動部63が制御される。後述するように、撮像部61、駆動部63および制御部64は、連携して動作する。
【0025】
図4(a)〜(d)は、本実施の形態における基板切断方法およびその基板切断方法を用いた電子素子の製造方法の概要を説明する図である。
なお、図4(a)〜(d)に示す基板10は、図1に示した基板10のA−A’断面を示している。この断面では、4つのチップ20が見える。そして、チップ20には、それぞれ電子素子の一例としてのLED11、電極12aおよび12bが形成されている。
ここでは、LED11、電極12aおよび12bは、よく知られた方法によって形成されるので、LED11、電極12aおよび12bの形成法の詳細については説明を省略する。
【0026】
基板10上にLED11などが形成された後、図4(a)に示すように、基板10内に強度が低い切断領域21を形成する。ここでは、例として、切断線H2に沿って切断領域21を形成する場合を説明する。
対物レンズ42で集光したエキシマ励起のパルスレーザ光41を、切断線H2に対応した基板10の内部に照射する。このとき、エキシマ励起のパルスレーザ光41は、基板10上を切断線H2に沿って、照射されながら走査される。これにより、基板10の材料が加熱されて揮散することで、切断線H2に沿って、切断の際に破壊の起点となる強度が低い切断領域21が基板10の内部に形成される。ここでは、切断の際に破壊の起点となる強度が低い切断領域21を形成する工程を、切断領域を形成する工程と呼ぶ。
【0027】
なお、一例であるが、エキシマ励起のパルスレーザ光41は、波長355nmで、パルス周期10kHz〜50kHzとした。また、走査速度は50mm/sec〜300mm/secである。
同様にして、エキシマ励起のパルスレーザ光41の走査を切断線H1、H3〜H5について行うことにより、切断線H1〜H5に対応した基板10の内部に強度が低い切断領域21を形成する。
さらに、同様にして、切断線V1〜V7に対応した基板10の内部に強度が低い切断領域21を形成する。
【0028】
次に、図4(b)に示すように、金属リング16に取り付けた粘着シート15の粘着面15aに、基板10のLED11などが形成された表面10aを貼り付ける。なお、金属リング16の内径は基板10の外径より大きいので、金属リング16の内側に基板10が配置されるように貼り付ける。
ここで、金属リング16も粘着シート15の粘着面15aに貼り付けられているので、基板10と金属リング16とは粘着シート15に対して、同じ側に配置されている。
【0029】
さて次に、図4(c)に示すように、粘着シート15に貼り付けた基板10とそれらを保持する金属リング16とを、図2に示した基板切断装置50のリングテーブル54上に設置する。ここで、図4(c)に示す受け台53aおよび53b、リングテーブル54、ブレード57は、図2のB−B’線とz軸とを含む面で切断した断面を示している。したがって、図4(c)では、ブレード57の鋭角の刃先断面が見えている。
前述したように、リングテーブル54の表面と受け台53aおよび53bの表面とは1つの平面になるように設定されているので、基板10は、受け台53aおよび53b上に設置されている。
【0030】
図4(c)では、一例として、切断線H1およびH2での切断が終了し、切断線H3で切断する場合を示している。ここでは、基板10の切断線H3とブレード57の刃先の位置とが一致するように調整されている。
なお、基板10の切断線とブレード57の刃先の位置との調整は次のように行われる。基板10を受け台53に設置する前に、撮像部61に設けられた基準となるマークとブレード57の位置とが一致するように、撮像部61のマークを調整する。その後、基板10を受け台53に設置して、このマークと基板10の切断線H3とを一致させる。このとき、駆動部63は、撮像部61からの基板10の画像データにより、リングテーブル54の回転機構を用いて基板10のθ軸方向の回転を調整し、さらにステージ52の移動機構を用いて基板10のy軸方向の位置を調整する。
【0031】
この後、図4(c)に示すように、駆動部63は、ブレード保持体56を−z軸方向に(基板10に向けて)移動させる。そして、ブレード保持体56に取り付けられたブレード57を実線で示す状態から波線で示す状態へと移動させ、基板10の裏面10bに接触(当接)させる。
【0032】
次に、図4(d)に示すように、ブレード57を予め設定された押し込み量bだけ、基板10に押し込む。一例としての押し込み量bは100μmである。
なお、押し込み量bとは、図4(d)に示すように、ブレード57が当接した基板10の位置(破線で示す基板10の位置)を0として、ブレード57を−z軸方向に移動させた距離をいう。
【0033】
すると、切断線H3に対応する基板10内には、切断の起点となる強度が低い切断領域21が形成されているので、基板10が切断線H3の位置で切断される。
ブレード57は、押し込みが終了すると、直ちに元の位置に戻る。
ここでは、駆動部63がブレード57を基板10の切断線に当接させ、さらにブレード57を基板10に押し込む工程を、ブレードを押圧する工程と呼ぶ。
【0034】
同様にして、切断線H4およびH5の位置において、ブレードを押圧する工程を行うことで、基板10が切断線H4およびH5の位置で切断される。
さらに、同様にして、切断線V1〜V7の位置において、ブレードを押圧する工程を行うことで、基板10が切断線V1〜V7の位置で切断される。
このようにして、LEDチップに分割された電子素子が製造される。
【0035】
次に、本実施の形態における基板切断方法での基板10の切断状況を判断する方法を説明する。
図5は、基板10の切断状況を判断する第1の方法のフローチャートである。図3、図4(c)、(d)、図5を参照しながら、切断状況を判断する第1の方法を説明する。ここでも、切断線H3で基板10を切断する場合を例として説明する。そして、ブレード57の位置は、切断線H3に当接できるように設定されているとする。
【0036】
まず、撮像部61が切断線H3(ブレード57)を挟んだ電極12aおよび電極12bを含む画像を撮像する(撮像する工程)(図5のステップ101)。抽出部66は、撮像部61が撮像した画像データを受信すると、切断線H3(ブレード57)を挟んだ電極12aおよび電極12bの画像データを抽出する(ステップ102)。例えば、撮像部61からの画像データの輝度分布から、ターゲットの形状として登録された電極の形状に基づいて、電極12aおよび電極12bの画像データを取り出す。その電極12aおよび電極12bの画像データから、ブレード57を挟んで形成されている、すなわち切断線H3を挟んで形成されている1組の電極12aおよび電極12bの画像データをターゲットとして選択する。
次に、計測部67が、選択された1組の電極12aと電極12bとの画像データから、電極12aと電極12bとの間の距離d1を計測する(ステップ103)。例えば、選択された1組の電極12aおよび電極12bの画像データのエッジを強調するように処理し、1組の電極12aと電極12bとのエッジ間の画素数から距離を計測する。そして、その距離d1の値を計測部67が備える距離d1を格納する記憶領域に記憶する。そして、計測部67は、駆動部63に、距離d1の計測終了の信号を送信する。
【0037】
次に、図4(d)に示すように、駆動部63は、計測部67からの距離d1の計測終了の信号を受信すると、ブレード57を押圧する(ステップ104)。そして、駆動部63は、撮像部61に、ブレード押圧開始の信号を送信する。
基板10にブレード57が押圧されると、基板10がブレード57に押されてたわみ、強度が低い切断領域21を起点として、基板10の破壊が始まる。このとき、電極12aと電極12bと間の距離は、基板10がたわむことで広がる。さらに、基板10が切断されると、ブレード57が切断された基板10のチップ20の間に入り込み、電極12aと電極12bと間の距離がさらに広がる。
【0038】
このとき、撮像部61は、駆動部63からのブレード押圧開始の信号を受けて、ターゲットである1組の電極12aおよび電極12bを含む画像を撮像する(撮像する工程)(ステップ105)。抽出部66は、撮像部61からの画像データを受信すると、ステップ102で抽出されたものと同じ1組の電極12aおよび電極12bの画像データを抽出する(ステップ106)。
そして、計測部67が、ステップ103と同様に、ターゲットである1組の電極12aと電極12bとの間の距離d2を計測する(ステップ107)。その距離d2を計測部67が備える距離d2を格納する記憶領域に記憶する。そして、計測部67が、ターゲット間の距離の変化に関わる値である、ターゲット間距離の変化量(d2−d1)を算出し(計測する工程)、判定部68に送信する。
【0039】
すると、判定部68が、計測部67から受信したターゲット間距離の変化量(d2−d1)に基づいて、基板10の切断状態を判定する(判定する工程)(ステップ108)。判定部68の記憶領域には予め定められた切断状況を判断する基準(判断基準)として設定値d0が記憶されている。例えば、設定値d0を30μmとする。そして、変化量(d2−d1)の値が、0μm〜30μmであれば、切断がされていない状態、または、基板10の厚さ方向に途中まで切断された不完全な切断状態(半割)であると判断し、30μmを超えれば、基板10が切断されていると判断する。つまり、0〜30μmの中で作業者が判断基準として設定する値(設定値はこの場合30μm)に基づいて自動的に切断状況を判定する。本発明においては、この設定値としては好ましくは100μm以下の数値、さらに好ましくは50μm以下の数値、さらに望ましくは30μm以下の数値が任意に設定される。また、この設定値はLED11の形状に合わせて幅や長さに対応する切断時において相違させてもよく、好ましくは1μm〜50μmの範囲の数値に設定される。
【0040】
そして、判定部68が、切断がされていない状態、または、不完全な切断状態(半割)であると判定する場合には、判定部68は、駆動部63に、再度ブレード57を基板10に押圧することを指示する信号を送信してもよい(ステップ108でNo)。すると、駆動部63は、ブレード57を基板10に押圧する工程(ステップ104)を繰り返す。
なお、再びブレード57を基板10に押圧するときには、ブレード57の押し込み量bを、その前の場合より大きく設定してもよい。同じ押し込み量bでは、基板10が切断できないことが考えられるためである。なお、こののち、ステップ105〜ステップ107を行い、基板10の切断の状態を自動的に判定する。
【0041】
判定部68が、基板10が切断されていると判定する場合には、一連の操作が終了する。そして、判定部68は、駆動部63に、切断終了の信号を送信する。すると、駆動部63は、ステージ52を移動させる。
このようにして、例えば、基板10上の未切断の切断線H4およびH5のそれぞれについて上記の一連の操作を繰り返す。これにより、基板10の切断線H1〜H5について切断が終了する。
【0042】
なお、切断線H1〜H5の間隔(ピッチ)であるチップ20の長辺の長さpvを基板切断装置50に設定すれば、ステージ52を、pvを単位として、自動的に−y方向に移動させるようにできる。したがって、上記基板切断の状態を判断する方法を用いることで、切断線H1〜H5についての切断が自動的に行なわれる。このとき、切断線H1〜H5の位置を画像認識し、切断線H1〜H5の位置とブレード57の位置との関係を自動的に微調整するようにすれば、より正確な切断線H1〜H5の位置で基板10を切断しうる。
この後、基板10をリングテーブル54上で自動的に90°回転させた後、上記の一連の操作を、基板10の切断線V1〜V7について番号順に繰り返せば、基板10をチップ20に切断することができる。
このようにすることにより、基板切断の工程を自動化することができる。
【0043】
なお、図5のフローチャートに示した基板10の切断状況を判断する第1の方法においては、ターゲットを撮像するステップ105を、ブレード57を押圧するステップ104の後に設けている。しかし、ブレード57を押し下げた後、ブレード57は元の位置に戻るので、切断された基板10のターゲット間距離d2はもっとも開いたときに比べ狭くなっていることが考えられる。このため、計測されたターゲット間距離の変化量(d2−d1)が、設定値d0より小さな値になって、不必要に基板切断の工程(ステップ104〜ステップ108)を繰り返すことが考えられる。
これを防ぐために、ターゲットを撮像するステップ105を、ブレード57を押圧するステップ104と同時に行うことが考えられる。しかし、この場合においても、ターゲットを撮像するステップ105のタイミングによっては、切断された基板10のターゲット間距離d2はもっとも開いたときに比べ狭くなって、ターゲット間距離の変化量(d2−d1)が、設定値d0より小さな値になることが考えられる。
【0044】
図6は、より正確に基板10の切断状況を判断する第2の方法を示したフローチャートである。
図5の方法と図6の方法との違いは、図6では、撮像部61および計測部67が駆動部63からのブレード押圧開始の信号を受信すると、駆動部63からのブレード押圧終了の信号を受信するまで、ターゲット間距離d2の計測を繰り返し行うことにある。そして、繰り返し計測を行ったターゲット間距離d2の値から、ターゲット間距離d2の最大距離d3を求めることにある。
【0045】
ここでも、切断線H3で基板10を切断する場合を例として説明する。そして、ブレード57の位置は、切断線H3に当接できるように設定されているとする。
まず、計測部67は、計測部67に備える最大距離d3を格納する記憶領域を0に設定する(ステップ201)。
次に、図5のステップ101と同様に、撮像部61が切断線H3(ブレード57)を挟んだ電極12aおよび電極12bを含む画像を撮像する(撮像する工程)(ステップ202)。抽出部66は、撮像部61が撮像した画像データを受信すると、切断線H3(ブレード57)を挟んだ電極12aおよび電極12bの画像データを抽出する(ステップ203)。そして、抽出部66は、切断線H3を挟んで形成されている1組の電極12aおよび電極12bの画像データをターゲットとして選択する。
【0046】
次に、計測部67が、選択された1組の電極12aと電極12bとの画像データから、電極12aと電極12bと間の距離d1を計測し、計測部67に備える距離d1を格納する記憶領域に記憶する(ステップ204)。そして、計測部67は、駆動部63に、距離d1の計測終了の信号を送信する。
【0047】
すると、駆動部63は、計測部67から距離d1の計測終了の信号を受信すると、ブレード57を押圧する(ステップ205)。そして、駆動部63は、撮像部61に、ブレード押圧開始の信号を送信する。
撮像部61は、駆動部63からのブレード押圧開始の信号を受信すると、電極12aおよび電極12bの画像を撮像する(撮像する工程)(ステップ206)。抽出部66は、撮像部61からの画像データを受信すると、ステップ203で抽出されたものと同じ1組の電極12aおよび電極12bの画像データを抽出する(ステップ207)。
【0048】
そして、計測部67は、ステップ204と同様にして、ターゲットである1組の電極12aと電極12bとの間の距離d2を計測する(ステップ208)。その距離d2を計測部67の最大距離d3を格納する記憶領域に記憶されていたd3と比較する(ステップ209)。d3がd2より小さければ、d2をd3として、計測部67の最大距離d3を格納する記憶領域に記憶する(ステップ210)。d3がd2と同じまたは大きければ、最大距離d3の記憶領域の値をそのままとする。
【0049】
計測部67が駆動部63からのブレード押圧終了の信号を受信する(ステップ211)まで、ステップ206〜ステップ210が繰り返される。このようにすることにより、最大距離d3を格納する記憶領域の値はターゲット間距離d2の最大値となる。
【0050】
駆動部63は、ブレードの押圧が終了すると、ブレード押圧終了の信号を計測部67に送信する(ステップ211)。
すると、計測部67が、判定部68に、ターゲット間距離の変化量(d3−d1)の値を算出(計測する工程)し、判定部68に送信する。
【0051】
判定部68は、計測部67から受信したターゲット間距離の変化量(d3−d1)と、判定部68の記憶領域に予め格納されていた設定値d0とを比較する(ステップ212)。そして、切断状況を判断する第1の方法で説明したと同様に、切断状態を判断する基準d0に基づいて、再びブレード57を基板10に押圧するか、一連の操作を終了するかが判定される(判定する工程)。
この後は、切断状況を判断する第1の方法で説明したと同様に、判定部68が、切断がされていない状態、または、不完全な切断状態(半割)であると判定する場合には、判定部68は、駆動部63に、再度ブレード57を基板10に押圧することを指示する信号を送信してもよい(ステップ212でNo)。すると、駆動部63は、ブレード57を基板10に押圧する工程(ステップ205)を繰り返す。
【0052】
判定部68が、基板10が切断されていると判定する場合には、一連の操作が終了する。そして、判定部68は、駆動部63に、切断終了の信号を送信する。すると、駆動部63は、ステージ52を移動させる。
このようにして、例えば、基板10上の未切断の切断線H4およびH5のそれぞれについて上記の一連の操作を繰り返す。これにより、基板10の切断線H1〜H5について切断が終了する。そして、上記の一連の操作を、基板10の切断線V1〜V7について番号順に繰り返せば、基板10をチップ20に切断することができる。
【0053】
この方法では、ターゲット間距離d2の最大値が得られるので、より正確に基板10の切断状態を判断できる。そして、基板切断の工程を不必要に繰り返すことを防ぐことで、基板切断の所要時間を短くできる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によると、基板10の切断の状態が判断できるので、基板切断の工程を自動化することができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、基板10として単結晶サファイアを用いたが、シリコン(Si)、SiC、GaAs系の半導体やガラス、セラミクスなどであってもよい。基板10が可視光に対して不透明であっても、基板10を裏返して設置するので、ターゲットを撮像できる。
また、基板10上には電子素子の一例としてLED11が形成されているとしたが、LED11に限らず、LSI等の集積回路や、機構系を電気・電子回路とともに組み込んだMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などであってよい。
【0056】
また、本実施の形態においては、エキシマ励起のパルスレーザ光41により、単結晶サファイアの基板10の内部に、強度が低い切断領域21を形成して切断の起点とした。しかし、レーザ加工、スクライブ加工、またはダイシング加工によって、基板10の表面に溝を形成して切断領域21としてもよい。基板10に切断の起点となる領域が形成されていればよい。
なお、エキシマ励起のパルスレーザ光41として、波長266nmのものを用いることができる。また、COレーザやYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、YLF(リチウム・イットリウム・フロライド)レーザを用いてもよい。
【0057】
本実施の形態では、ターゲットとして、基板表面に形成された電極12a、12bを用いたが、他のパタンを用いてもよく、画像処理によって距離を計測するのに適した専用のパタンを形成してもよい。
【0058】
さらに、ターゲットの抽出および1組のターゲット間の距離の計測に輝度分布やエッジ強調による方法を用いたが、色情報を用いる方法やその他の方法を用いてもよい。
【0059】
さらに、本実施の形態においては、LED11などの電子素子を形成した基板10の表面10aを粘着シート15に貼り付けたが、基板10の裏面10bを粘着シート15に貼り付けてもよい。このとき、撮像部61のカメラは、粘着シート15および基板10を通して、基板10上のターゲットを撮像することになるが、単結晶サファイアなど透明であれば、撮像が妨げられることはない。
【0060】
また、本実施の形態においては、チップ20が飛散しないように、粘着シート15を基板10の表面10aにのみ貼り付けた。しかし、硬い単結晶サファイアにブレード57が直接押し当てられることによるブレード57の損傷の防止、切断されたチップ20の飛散や移動の防止、あるいはブレード57を押し込んだときのそりの低減などのため、基板10の表面10aと同時に基板10の裏面10bにも粘着シート15を貼り付けてもよい。
【実施例】
【0061】
次に、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
先ず、外径4インチ(約100mm)の単結晶サファイアの基板上に、特開2008−124060号公報に記載する方法を参考に、約40μm厚さのAlNからなる中間層を形成し、次いでMOCVD法で約4μm厚さのGaNからなる下地層、n型半導体層、発光層、p型半導体層、電極12a(径φ100μm)および電極12b(径φ100μm)等を形成し、複数のLED11を備えた基板10を準備した。そして、このLED11を有する基板10の裏面10bを公知な方法で研削及び研磨により、約120μmの厚さまで薄板化した。
【0062】
実施例1では、複数のLED11が形成された1枚の基板10に関し、図1に記載のphとpvとをそれぞれ350μmとするストリートライン(切断線)に対応する位置において、基板10の裏面10bに図2で説明した基板切断装置50に記載のブレード57(駆動部63)を押圧し、その押圧の際には、切断線を挟んで隣り合う1組の電極12aおよび12b(ターゲット)を撮像部61により撮像し、次いでその撮像結果から抽出部66が1組のターゲットを任意に選択(抽出)し、そして計測部67によりブレード57を押圧する際の電極間の距離の変化量を自動計測し、判定部68が予め設定しておいた30μmになるまで自動的に判定しながら基板10を切断する操作を実施した。
次に、実施例2では、図1に記載のphを240μmに、pvを500μmに変えた以外は実施例1に記載の内容と同様な操作を行なって基板10を切断する操作を実施した。
【0063】
比較例1では、実施例1で実施したphとpvの間隔と同一なサイズとし、実施例1に記載のような自動的な計測や自動的な判定工程を採用せずに、ブレード57(駆動部63)を押圧した際のストリートライン上の切断状況を観察して切断を判断、または切断時の切断音を参考にして切断を判断する等の人的な判断操作で実施した。
比較例2では、実施例2で実施したphとpvの間隔と同一なサイズとして、比較例1と同様な人的な判断操作を実施した。これらの結果を表1にまとめる。なお、切断合格率とは、その後の検査において切断予定部分に対する切断された部分の比率である。
【0064】
【表1】

【0065】
実施例1及び実施例2では、比較例1及び比較例2の基板切断方法と比べて切断合格率が99.6%〜99.8%と格段と向上した。また、比較例1及び比較例2では切断完了の判断として、例えば目視や切断音を聞き取るなどの人的判断によるために切断合格率が実施毎に変動する欠点に加え、作業性の低下や判断に関する個人差もあって作業性が安定せず、結果の信頼性が悪かった。実施例1及び2では、作業性や結果の信頼性の点でも大幅にアップした。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態に用いる基板の一例を説明する図である。
【図2】本実施の形態が適用される基板切断装置の一例を説明する図である。
【図3】基板切断装置の制御部を中心としたブロック図である。
【図4】本実施の形態における基板切断方法およびその基板切断方法を用いた電子素子の製造方法の概要を説明する図である。
【図5】本実施の形態における基板の切断状況を判断する第1の方法のフローチャートである。
【図6】本実施の形態における基板の切断状況を判断する第2の方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10…基板、11…LED、12a、12b…電極、15…粘着シート、16…金属リング、20…チップ、21…切断領域、50…基板切断装置、51…基体、52…ステージ、53…受け台、54…リングテーブル、55…支持体、56…ブレード保持体、57…ブレード、61…撮像部、62…表示部、63…駆動部、64…制御部、66…抽出部、67…計測部、68…判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に複数の電子素子が形成された基板に切断領域を形成する工程と、
前記基板の他方の面の、前記切断領域の形成された位置に対応する位置に駆動部がブレードを押圧する工程と、
前記ブレードを押圧する工程に際して、前記基板の一方の面上に形成された少なくとも1組のターゲットを撮像部が撮像する工程と、
前記ターゲットの撮像結果から、抽出部が前記1組のターゲットを抽出し、計測部が前記ブレードを押圧する工程における当該ターゲット間の距離の変化量を計測する工程と、
前記計測されたターゲット間の距離の変化量と、予め定められた設定値とによって、判定部が前記基板の切断状況を判定する工程と、
を含むことを特徴とする基板切断方法。
【請求項2】
前記1組のターゲットが、切断線を挟んで隣り合う1組のターゲットであることを特徴とする請求項1に記載の基板切断方法。
【請求項3】
前記変化量が予め定められた設定値より小さい場合に、前記ブレードを押圧する工程から繰り返す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の基板切断方法。
【請求項4】
前記1組のターゲットのそれぞれは、前記基板に押圧した前記ブレードを挟んで形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の基板切断方法。
【請求項5】
前記切断領域は、溝またはレーザ加工によって当該レーザ加工前よりも強度が低い領域であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の基板切断方法。
【請求項6】
前記基板は、粘着シートに貼り付けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の基板切断方法。
【請求項7】
基板上に形成された電子素子の製造方法であって、
一方の面に複数の電子素子が形成された基板に切断領域を形成する工程と、
前記基板の他方の面の、前記切断領域の形成された位置に対応する位置に駆動部がブレードを押圧する工程と、
前記ブレードを押圧する工程に際して、前記基板の一方の面上に形成された少なくとも1組のターゲットを撮像部が撮像する工程と、
前記ターゲットの撮像結果から、抽出部が前記1組のターゲットを抽出し、計測部が前記ブレードを押圧する工程における当該ターゲット間の距離の変化量を計測する工程と、
前記計測されたターゲット間の距離の変化量と、予め定められた設定値とによって、判定部が前記基板の切断状況を判定する工程と、
を含むことを特徴とする電子素子の製造方法。
【請求項8】
前記1組のターゲットが、切断線を挟んで隣り合う1組のターゲットであることを特徴とする請求項7に記載の電子素子の製造方法。
【請求項9】
電子素子の製造方法が、発光素子(LED)の製造方法であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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