説明

基板加熱装置

【課題】ランプヒータの断線を確実に検知するといった機能を損なうことなく、断線の誤検知を防止できる生産性のよい基板加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱室11a内にランプヒータ21からなるヒータユニット2R,2Lのうち複数本のランプヒータ毎に分けてヒータグループとし、ヒータグループを並列接続して夫々電力供給するように構成する。ヒータユニットを加熱制御するときの電流値の変化に基づき複数の変曲点を通る検知基準特性を予め取得し、ヒータユニットに基板Wを対向させて制御手段7により処理基板を加熱制御するときの電流値が、検知基準特性を基に設定した許容範囲を超えると、ヒータの断線を検知する断線検知手段を備える。電流値の単位時間当たりの変化量を測定し、電流値が許容範囲を超えて変化したときの前記変化量が所定値以下であると、断線検知手段による検知をキャンセルするキャンセル手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱室内に設けられ、一方向たるX方向に長手のランプヒータの複数本を当該X方向に直交するZ方向に所定間隔で列設してなるヒータユニットと、ヒータユニットの作動を制御する制御手段とを備えた基板加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種の基板加熱装置は、例えば、太陽電池パネルの製造工程において所定面積の基板を所定温度に予備加熱するために用いられる。この場合、基板加熱装置の加熱室の底面には、X方向にのびる案内レールが設けられ、この案内レールには、ステージがスライド自在に係合している。ステージには基板ホルダが立設され、基板ホルダに、処理すべき基板が保持されるようになっている。そして、加熱室を所定圧力に減圧した状態で基板ホルダで保持された基板を、X方向及びZ方向に直交する方向で所定間隔を置いてヒータユニットに対向する加熱位置に移動し、ヒータユニットの各ランプヒータに夫々電力供給し、基板をその全面に亘って略均等に加熱する。この場合、コスト低減等の理由から、ヒータユニットのうち複数本のランプヒータ毎に分けてヒータグループとし、ヒータグループを並列接続して夫々電力供給するように構成することが一般的である。
【0003】
上記基板加熱装置においては、ヒータユニットを構成するランプヒータのいずれかが断線すると、局所的に基板への熱量が低下することで、基板面内に温度むらが生じてしまい、このような状態で加熱処理済みの基板を後工程に移送して処理すると、製品不良が生じる。このため、上記基板加熱装置には、通常、ランプヒータの断線を検出するヒータ断線検知手段が設けられている。ここで、ランプヒータは、温度による抵抗値変化が非常に大きいことが知られている。このようなランプヒータの制御には、位相制御を用いることが通常であるが、交流電圧を印加して加熱制御する際に操作量が低い状態から、操作量が高い状態までの抵抗値の変化を測定すると、抵抗値が低い状態から高い状態へ曲線状に変化すると共に温度が低い状態での抵抗値上昇率が大きくなる。このため、上記の如く、温度による抵抗値変化の大きなランプヒータが複数本並列接続されている状態では、いずれのランプヒータが断線したことを検知することは困難である。
【0004】
以上のことから、ヒータグループ毎に夫々電力供給して加熱制御したときの電流値の変化に基づき、複数の変曲点を通る検知基準特性を予め取得しておき、加熱位置にてヒータユニットにより基板を加熱するとき、実際に基板を加熱制御するときの電流値が、検知基準特性を基に設定した許容範囲を超えると、ランプヒータの断線を検知するようにしたものが例えば特許文献1で知られている。この場合、変曲点の数や許容範囲を適宜設定すれば、ランプヒータの断線を確実に検知できる。然し、基板を所定温度に加熱制御するとき、例えば基板が所定温度に達するまでの間で電流値が、ランプヒータの断線以外の原因で許容範囲を超えて変化する場合があり、断線の誤検知を生じることが判明した。このような場合に、基板の加熱制御を停止したのでは、生産性や製品歩留まりが低下する。このことは、基板の加熱温度の設定を変更した直後の場合にも生じ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−178166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、ランプヒータの断線を確実に検知するといった機能を損なうことなく、断線の誤検知を防止できる生産性のよい基板加熱装置を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、加熱室内に設けられ、一方向たるX方向に長手のランプヒータの複数本を当該X方向に直交するZ方向に所定間隔で列設してなるヒータユニットと、ヒータユニットの作動を制御する制御手段とを備えた基板加熱装置であって、ヒータユニットのうち複数本のランプヒータ毎に分けてヒータグループとし、ヒータグループを並列接続して夫々電力供給するように構成し、前記ヒータユニットを加熱制御するときの電流値の変化に基づき複数の変曲点を通る検知基準特性を予め取得し、ヒータユニットに基板を対向させて制御手段により処理基板を加熱制御するときの電流値が、検知基準特性を基に設定した許容範囲を超えると、ヒータの断線を検知する断線検知手段を備えたものにおいて、前記電流値の単位時間当たりの変化量を測定し、前記電流値が前記許容範囲を超えて変化したときの前記変化量が所定値以下であると、断線検知手段による検知をキャンセルするキャンセル手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、キャンセル手段を設けたため、例えば、基板が所定温度に達するまでの間で電流値が上記許容範囲を超えて変化した場合でも、単位時間当たりの電流値の変化量が所定値以下であれば、断線検知手段による検知がキャンセルされる。その結果、断線の誤検知に基づいて、基板の加熱制御が不必要に停止されるといったことが防止されて生産性が向上する。
【0009】
ところで、上記基板加熱装置において、加熱位置に基板がない状態で加熱手段を作動させると、ランプヒータ同士の熱干渉により、定常の温度変化とは異なる電流挙動をとるようになる。特に、Z方向で中央に位置するランプヒータでは、Z方向両側からの熱干渉により温度の変化が異なる場合があり、このような場合には上記許容範囲を超えて電流が流れ、誤検出を生じ易い。このため、前記ヒータユニット間での基板の有無を検知する検知手段が設けられ、検知手段にて基板の存在が確認できないとき、断線検知手段による検知をキャンセルする他のキャンセル手段を更に備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の基板加熱装置の平面図。
【図2】図1に示す基板加熱装置のヒータユニットを説明する側面図。
【図3】ヒータグループに電力する電源ユニットの構成を説明する図。
【図4】(a)及び(b)は、検知基準特性の取得及びこの取得した検知基準特性から許容範囲を設定する手順を説明する図。
【図5】ヒータユニットによる加熱制御を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、所定面積のガラス基板(基板)を加熱制御する本発明の実施形態の基板加熱装置を説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の基板加熱装置1は、加熱室11aを画成する真空チャンバ11を備え、図外の真空ポンプにより所定圧力に減圧保持できる。真空チャンバ11相互に対向する内側面には、一方向たるX方向(図1中、左右方向)に長手のランプヒータ21の複数本を当該X方向に直交するZ方向(図2中、上下方向)に所定間隔で列設したヒータユニット2R、2Lが夫々設けられている。本実施形態では、2個のヒータユニット2R、2Lを、X方向及びZ方向に直交するY方向に所定間隔で対向配置している。この場合、ランプヒータ21の全長は、基板WのX方向の長さより長く設定され、また、ランプユニット2R、2LのZ方向の高さは、基板WのZ方向の長さより大きく設定されている。また、真空チャンバ11内の中央部には金属製の遮蔽板3が設けられ、ヒータユニット2R、2Lの相互干渉を防止しつつ、同時に2枚の基板Wを加熱できるようになっている。
【0012】
真空チャンバ11のX方向の前後には、ゲートバルブGVを夫々を介在させて、図外の真空ポンプにより所定圧力に減圧保持できる、第1及び第2の各予備室12a、13aを画成する他の真空チャンバ12、13が連設されている。加熱室11aと、前側及び後側の予備室12a、13aとの底部には、両ヒータユニット2R、2Lと遮蔽板との間を通ってX方向に線状にのびるように2本のレール部材4R、4Lが、X方向及びY方向に直交するY方向に所定間隔を存して夫々設けられている。
【0013】
レール部材4R、4Lには、特に図示しないが、駆動源付きのステージがスライド自在に係合し、ステージには基板Wの片面がヒータユニット2R、2Lに夫々対向した姿勢で基板Wを保持する基板ホルダ5R、5Lが立設されている。そして、前側の予備室12aにて基板Wを基板ホルダ5R、5Lに保持させた後、ゲートバルブGVの開状態でステージを移動させると、当該ステージがゲートバルブGVを設けた空間を跨いで加熱室11aに移動し、両基板ホルダ5R、5Lがヒータユニット2R、2Lと遮蔽板3との間の加熱位置に到達すると、基板Wの片面がその全面に亘ってヒータユニット2R、2Lと対向する。また、加熱処理後、ゲートバルブGVの開状態でステージを移動させると、当該ステージがゲートバルブGVを設けた空間を跨いで後側の予備室13aに移動し、後側の予備室13aにて加熱処理済みの基板Wが回収される。
【0014】
ヒータユニット2R、2Lのうちランプヒータ21の複数本が並列接続され、この並列接続したものをヒータグループ2a、2b、2cとし、ヒータグループ2a、2b、2c毎に電源ユニット6から夫々電力供給されるようになっている。本実施の形態では、10本のランプヒータ21をヒータグループ2a、2b、2cとしている。電源ユニット6は、図3に示すように、通電によりランプヒータ21を夫々加熱する交流電源61と、通電される交流電流値を測定する電流値検出部62と、交流電源61とヒータグループ2a、2b、2cとの間に介設され、交流電源61からの電力投入をオンオフ制御するスイッチング素子63とを介してループ状に直列接続して構成される。電源ユニット6はまた、ヒータグループ2a、2b、2cに並列接続された電圧値検出部64を備え、これらの電流値検出部62及び電圧値検出部64からの出力が、交流電源6を制御する制御ユニット7に入力されるようになっている。
【0015】
制御ユニット(制御手段)7は、マイクロコンピュータ、記憶素子やシーケンサ等を備えた公知のものである。制御ユニット7にはまた、この制御ユニット7からの操作量に応じて交流電源61からの交流電圧をオンオフ駆動する駆動部65が接続されている。そして、制御ユニット7には、加熱制御しようとする基板Wの設定温度(設定値)が入力でき、これに応じて、ヒータグループ2a、2b、2cへの電力投入を制御するだけでなく、スライダや真空ポンプ等の基板加熱装置の各部品の作動を統括管理するようになっている。また、ヒータグループ2a、2b、2c毎に温度センサTCが配置され、ヒータグループ2a、2b、2cの周辺温度が測定できる。そして、加熱制御時、制御ユニット7に温度センサTCからの出力(測定値)が入力され、測定値と設定値との偏差が小さくなるように操作量を例えばPID演算して出力でき、制御ユニット7からの操作量に応じて駆動部65にて交流電源61からの交流電圧をオンオフ駆動される。なお、駆動部65の制御は公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0016】
また、制御ユニット7は、電流値検出部62からの交流電流値に基づき、ランプヒータ21の断線を検知し、警報信号を出力すると共にランプヒータ21への加熱制御を即時停止するようになっている。以下、断線検知方法を説明する。即ち、ヒータユニット2R、2Lの全てのランプヒータ21が断線していない状態で、真空雰囲気にて基板Wをヒータユニット2R、2Lに夫々対向した位置に夫々移動する。この状態で基板Wの事前加熱制御により検知基準特性Fを先ず得る。即ち、図4(a)及び(b)に示すように、制御ユニット7により、常温時の加熱開始操作量P1から定格電力を印加して最大加熱操作量P2までの間で、検知基準用の操作量の複数点を所定間隔で任意に出力し、操作点p1〜p6に対応する、そのときの電流値を電流値検出部62にて測定して制御ユニット7に入力する。この場合、検知基準用の操作点p1〜p6にて夫々測定した電流値が変曲点を構成し、電流値i6が最大加熱点P2となる。このように得られた各操作点p1〜p6毎の各電流値間を結んで最大加熱点P2に至るように得た特性が検知基準特性Fとなり、これを制御ユニット7の記憶素子に記憶させておく。なお、その事前加熱制御時に得られた各操作点i1〜i6に対応する電流値間を補間多項式、例えば最小二乗法、ラグランジェの補間多項式、ニュートンの近似式等で補間して得た曲線特性を上記検知基準特性Fとしてもよい。
【0017】
次に、上記の如く得た検知基準特性に対し、ランプヒータ21の断線と判断しない許容範囲たる不感帯Dを設ける。この場合、不感帯Dは、装置内温度やヒータユニットへの電流、電圧が安定するまでの時間等を考慮して適宜設定される。そして、実際にヒータユニット2R、2Lにより基板Wを加熱制御するのに際しては、制御ユニット7によりヒータグループ2a〜2c毎に、操作量に応じた電流値が上記不感帯Dの範囲内のものであるかを判別し、不感帯Dを超えて電流値が低下等したとき、ヒータグループ2a〜2cを構成するランプヒータ21のいずれかが断線したと判断し、これを検知する。
【0018】
ところで、上記の如く、基板Wを所定温度に加熱制御するとき、例えば基板Wが所定温度に達するまでの間で電流値が、ランプヒータ21の断線以外の原因で上記不感帯Dを超えて変化する場合があり、断線の誤検知を生じることが判明した。このような場合に基板Wの加熱制御を停止したのでは、製品歩留まりが低下する。このことは、基板Wの加熱温度の設定を変更した直後の場合にも生じ易い。
【0019】
そこで、本実施形態では、制御ユニット7により、加熱開始操作量P1から定格電力を印加して基板Wを所定温度に加熱制御するときの設定値に対応する操作量まで、各ランプヒータ21に交流電源61から電力投入(通電)する間で、電流値検出部62にて検出した電流値の単位時間当たりの変化量を測定し、電流値が不感帯Dを超えて変化したときの変化量が所定値以下であると、断線検知手段による検知をキャンセルするキャンセル手段を設けることとした。この場合、各ランプヒータ21への電力投入を複数回繰り返し、そのときの平均電流や平均電圧を考慮して適宜設定すればよい。
【0020】
ところで、加熱室11a内にて基板Wがない状態でヒータユニット2R、2Lを作動させると、各ヒータユニット2R、2Lのランプヒータ21同士の熱干渉により、定常の温度変化とは異なる電流挙動をとるようになる。特に、Z方向で中央に位置するヒータグループ2bでは、Z方向両側のヒータグループ2a、2cからの熱干渉により温度の変化が異なる場合があり、このような場合には不感帯Dを超えて電流が流れ、誤検出が生じ易い。他方で、上記の如く、遮蔽板3の両側で基板Wを同時に加熱制御するような場合において、一方の基板ホルダ5に基板Wがないため、当該一方のヒータユニット2R、2Lによる加熱制御を行わないと、加熱室11a内の雰囲気が変化して基板を確実に所定温度で加熱処理できない虞がある。このため、前側の予備室12aから加熱室11a内に基板ホルダ5を移動させたとき、基板ホルダ5に基板Wが保持されていることを検出するために、基板Wの有無を検知する検出手段たるセンサSを加熱室11a内に設けている。そして、センサSにて基板Wの存在が確認できないとき、断線検知手段による検知をキャンセルする他のキャンセル手段を更に設けることとした。なお、センサSとしては、光学式のもの等公知のものが利用できる。以下、図5を参照して、実際の基板加熱制御を説明する。
【0021】
大気雰囲気の前側の予備室12aにて両基板ホルダ5に基板Wを夫々保持させ、当該予備室12a内の真空引きする。併せて、加熱室11aは所定圧力まで減圧しておく。予備室12aが所定圧力まで減圧されると、ゲートバルブGVを開けて、ステージを移動させ、両基板ホルダ5R、5Lに保持された基板Wがヒータユニット2R、2Lと遮蔽板3との間で、基板Wの片面がその全面に亘ってヒータユニット2R、2Lに対向する位置に移動する。このとき、センサSにて基板Wの有無が検出される。基板Wが所定位置に到達すると、加熱開始指示により、加熱開始操作量P1から定格電力を印加して基板Wを所定温度に加熱制御するときの設定値に対応した操作量まで各ランプヒータ21に交流電源6から電力投入(通電)していく(STEP1)。
【0022】
次に、設定操作量に到達するまでの間、及び所定温度にて基板Wを加熱制御している間(設定加熱時間内)、電流値検出部62にて測定した電流値ieが検知基準特性に対して設定した許容範囲内にものであるかを判断する(STEP2)。電流値ieが許容範囲内のものである場合、操作量に応じて駆動部65にて交流電源からの交流電圧をオンオフ駆動されて加熱制御が継続して行われる(STEP3)。そして、設定した加熱時間が形成すると、ランプヒータ21への通電が停止されて加熱制御が終了する。
【0023】
他方で、電流値ieが許容範囲を超えて変化した場合には、加熱室11aへと基板Wを搬送する際にセンサSにより判断された基板Wの有無が確認され(STEP4)、基板Wが存在しない場合には、ランプヒータ21の断線検知をキャンセルして加熱制御が行われる(STEP3)。基板Wが存在する場合には、制御ユニット9により単位時間当たりの電流値ieの変化量Dが予め設定した設定変化量Ds以下であるかを判別し(STEP5)、設定変化量Dsより小さいときには、ランプヒータ21の各々には断線が生じていないと判断し、ランプヒータ21の断線検知をキャンセルして加熱制御が行われる(STEP3)。他方、設定変化量Dsより大きいときには、ランプヒータ21のいずれかが断線していると判断し(STEP6)、ヒータユニット2R、2Lを停止して、警報信号を外部に出力する。なお、ヒータユニット2R、2Lを停止せずに、基板Wに対する加熱不良であることを警報信号として外部に出力するようにしてもよい。この場合、ランプヒータ21のいずれかが断線しているヒータグループのみの加熱量を制御して、基板加熱を継続することもできる。そして、本実施形態では、STEP4が基板の有無に基づく他のキャンセル手段に対応し、STEP5が電流値の変化量に基づくキャンセル手段に対応する。
【0024】
以上によれば、キャンセル手段を設けたため、例えば、基板Wが所定温度に達するまでの間で電流値が上記許容範囲を超えて変化した場合や基板Wがないため許容範囲を超えて変化した場合でも、単位時間当たりの電流値の変化量が所定値以下であれば、断線検知手段による検知がキャンセルされる。その結果、基板Wの加熱制御が停止されるといったことが防止されて生産性が向上する。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記実施形態では、温度センサTCからの出力によるフィードバック制御するものに本発明を適用したものを例に説明したが、ランプヒータに通電電流を一定にして加熱制御を行うものにも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0026】
1…基板加熱装置、2R、2L…ヒータユニット、2a、2b、2c…ランプグループ、21…ランプヒータ、7…制御ユニット(制御手段)、D…許容範囲(不感帯)、F…検知基準特性、W…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室内に設けられ、一方向たるX方向に長手のランプヒータの複数本を当該X方向に直交するZ方向に所定間隔で列設してなるヒータユニットと、ヒータユニットの作動を制御する制御手段とを備えた基板加熱装置であって、
ヒータユニットのうち複数本のランプヒータ毎に分けてヒータグループとし、ヒータグループを並列接続して夫々電力供給するように構成し、
前記ヒータユニットを加熱制御するときの電流値の変化に基づき複数の変曲点を通る検知基準特性を予め取得し、ヒータユニットに基板を対向させて制御手段により処理基板を加熱制御するときの電流値が、検知基準特性を基に設定した許容範囲を超えると、ヒータの断線を検知する断線検知手段を備えたものにおいて、
前記電流値の単位時間当たりの変化量を測定し、前記電流値が前記許容範囲を超えて変化したときの前記変化量が所定値以下であると、断線検知手段による検知をキャンセルするキャンセル手段を設けたことを特徴とする基板加熱装置。
【請求項2】
前記ヒータユニットに対向した基板加熱位置での基板の有無を検知するセンサを備え、センサにて基板の存在が確認できないとき、断線検知手段による検知をキャンセルする他のキャンセル手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の基板加熱装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−8494(P2013−8494A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139203(P2011−139203)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】