説明

基板検査装置および補正情報取得方法

【課題】ユニット保持部によってプローブユニットが保持されていない状態においても、移動機構によるユニット保持部の移動に際して生じる位置ずれをキャンセル可能な補正情報を取得する。
【解決手段】移動制御情報Dpに従って移動機構を制御して、位置特定用マーク6mが設けられたテストヘッド保持部6を「第2の撮像処理」の実行位置に移動させると共に(ステップ56(56a))、カメラ5を制御して、テストヘッド保持部6を撮像して撮像データD2を出力する「第2の撮像処理」を実行させ(ステップ57)、かつ、撮像データD2に基づいて特定されるマーク6mの位置と「保持部マーク位置情報」に基づいて特定されるマーク6mの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を、「プロービング処理」において使用する移動制御情報Dpを補正するための補正情報Drとして取得して記憶部に記憶させる(ステップ58,59)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象基板を保持した状態の基板保持部に対してプローブユニットを保持した状態のユニット保持部を移動させることでプローブユニットの検査用プローブを検査対象基板にプロービングさせる基板検査装置、および基板保持部に対してユニット保持部を移動させる移動制御情報を補正するための補正情報を取得する補正情報取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2010−169651号公報には、検査治具に配設された複数の検査用プローブを検査基板の配線パターンに当接させて配線パターンの良否を検査する基板検査装置が開示されている。この基板検査装置は、検査基板を載置可能に構成されると共に補助カメラ保持部を介して補助カメラが取り付けられた搬送テーブルと、搬送テーブルをX軸に沿って移動させる基板移動部と、検査治具を保持可能に構成された検査治具保持部をYZ面内で移動させる第1および第2の検査治具移動部と、第1および第2の検査治具移動部に取り付けられた主カメラと、基板移動部、第1および第2の検査治具移動部、主カメラとおよび補助カメラ等の動作を制御する制御装置とを備えて構成されている。この場合、上記の補助カメラ保持部には、テーブル位置決めマークが設けられ、検査治具には、治具位置決めマークが設けられ、検査基板には、基板位置決めマークが設けられている。
【0003】
この基板検査装置では、新たな検査治具および検査基板をセットしたときに、「プロービング位置の誤差」をキャンセルするための誤差データを取得する処理を実行する。具体的には、搬送テーブルを移動させて主カメラの下方に補助カメラ保持部を位置させた状態において主カメラによって補助カメラ保持部(テーブル位置決めマーク)を撮像する。この際には、制御装置によって主カメラの撮像結果が解析されてテーブル位置決めマークの位置が特定され、特定された位置と、設計上の位置との差(ずれ)が算出される。この際に算出された差は、「第1の差」として主記憶部に記憶される。この「第1の差」を取得することにより、基板移動部による搬送テーブルの移動時に生じる位置ずれをキャンセルすることが可能となる。
【0004】
また、搬送テーブルを移動させて主カメラの下方に検査基板を位置させた状態において主カメラによって検査基板(基板位置決めマーク)を撮像する。この際には、制御装置によって主カメラの撮像結果が解析されて基板位置決めマークの位置が特定されると共に、主カメラの下方に上記のテーブル位置決めマークが位置した状態から、主カメラの下方に基板位置決めマークが位置する状態までの移動距離(すなわち、テーブル位置決めマークに対する基板位置決めマークの相対的位置)が特定される。また、制御装置は、特定した相対的位置と設計上の位置との差(ずれ)を「第2の差」として算出して主記憶部に記憶させる。この「第2の差」を取得することにより、搬送テーブルに対する検査基板の位置ずれをキャンセルすることが可能となる。
【0005】
また、搬送テーブルを移動させて補助カメラによって検査治具(治具位置決めマーク)を撮像する。この際には、制御装置によって主カメラの撮像結果が解析されて治具位置決めマークの位置(すなわち、検査用プローブの位置)が特定され、特定された位置と、設計上の位置との差(ずれ)が算出される。この際に算出された差は、「第3の差」として主記憶部に記憶される。この「第3の差」を取得することにより、検査治具保持部に対する検査治具の位置ずれや、検査治具移動部による検査治具保持部(検査治具)の移動時に生じる位置ずれをキャンセルすることが可能となる。したがって、上記の「第1の差」、「第2の差」および「第3の差」に応じて各部の移動量等を補正することで、検査基板に対して検査用プローブを正確にプロービングすることが可能となる。
【0006】
なお、この基板検査装置では、主カメラや補助カメラの撮像結果に基づく上記の「第1の差」、「第2の差」および「第3の差」に応じて位置ずれを補正した「光学位置」と、検査対象基板に対する電気的検査の結果で特定される「適合位置」との間にずれが生じているときに、「第4の差」を取得して主記憶部に記憶させる構成が採用されているが、この「第4の差」に関する説明を省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−169651号公報(第6−16頁、第1−13図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来の基板検査装置、およびその誤差データの取得方法には、以下の解決すべき問題点が存在する。すなわち、従来の基板検査装置では、検査治具移動部による検査治具保持部(検査治具)の移動時に生じる位置ずれをキャンセルし得る誤差データ(第3の差)を取得する際に、補助カメラによって検査治具を撮像して、検査治具に設けられた治具位置決めマークの位置を特定して設計上の位置との差を演算する構成(方法)が採用されている。この場合、この主の基板検査装置では、大きさ、形状および配線パターンの種類等が相違する各種の基板を検査可能とするために、検査対象基板に応じた各種の検査治具を検査治具保持部にセットする(保持させる)ことができるように構成されている。
【0009】
このため、この種の基板検査装置では、どのような基板を検査対象とするかが未定の状態(例えば、製造完了直後)においては、検査治具保持部に検査治具がセットされていない。したがって、補助カメラによって検査治具を撮像して誤差データを取得する構成の従来の基板検査装置では、検査治具移動部による検査治具保持部の移動時に製造誤差に起因する位置ずれが生じる状態であったとしても、検査治具保持部に検査治具がセットされた状態となるまで、その位置ずれをキャンセルし得る誤差データを取得することができないという問題点がある。このため、従来の基板検査装置、およびその誤差データの取得方法では、プロービングに際して製造誤差に起因する位置ずれが生じる状態のまま基板検査装置を利用者に対して納品せざるを得ず、基板検査装置の品質の向上が困難となっているという問題点が存在する。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、ユニット保持部によってプローブユニットが保持されていない状態においても、移動機構によるユニット保持部の移動に際して生じる位置ずれをキャンセル可能な補正情報を取得し得る基板検査装置および補正情報取得方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく請求項1記載の基板検査装置は、検査対象基板を保持する基板保持部と、検査用プローブが配設されたプローブユニットを保持するユニット保持部と、前記基板保持部に対して前記ユニット保持部を移動させて当該ユニット保持部によって保持されている前記プローブユニットの前記検査用プローブを当該基板保持部によって保持されている前記検査対象基板にプロービングさせるプロービング処理を実行する移動機構と、前記基板保持部における前記検査対象基板の保持位置を撮像して第1の画像データを出力する第1の撮像処理を実行する第1の撮像部と、前記プロービング処理の実行位置および前記第1の撮像処理の実行位置に前記基板保持部を搬送する搬送機構と、前記移動機構によって前記ユニット保持部を移動させる際の移動量および移動方向を特定可能な移動制御情報を記憶する記憶部と、前記搬送機構による前記基板保持部の搬送、前記第1の撮像部による前記第1の撮像処理、および前記移動機構による前記プロービング処理を制御する処理部とを備えた基板検査装置であって、前記プロービング処理の実行位置において前記ユニット保持部を撮像して第2の画像データを出力する第2の撮像処理を実行する第2の撮像部を備え、前記ユニット保持部には、保持部位置特定用マークが設けられ、前記記憶部は、前記移動制御情報に従って前記第2の撮像処理の実行位置に移動させた状態の前記ユニット保持部における前記保持部位置特定用マークの前記第2の撮像部に対する基準の位置を特定可能な保持部マーク位置情報を記憶し、前記処理部は、前記移動制御情報に従って前記移動機構を制御して前記第2の撮像処理の実行位置に前記ユニット保持部を移動させると共に、前記第2の撮像部を制御して前記第2の撮像処理を実行させ、かつ、前記第2の画像データに基づいて特定される前記保持部位置特定用マークの位置と前記保持部マーク位置情報に基づいて特定される当該保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を、前記プロービング処理において使用する前記移動制御情報を補正するための補正情報として取得して前記記憶部に記憶させる補正情報取得処理を実行する。
【0012】
また、請求項2記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記第2の撮像部は、前記基板保持部によって保持可能に当該基板保持部とは別体に構成されて撮像部位置特定用マークが設けられた補正情報取得用基板に取り付けられ、前記記憶部は、前記補正情報取得用基板を保持した前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に位置させた状態における前記撮像部位置特定用マークの前記第1の撮像部に対する基準の位置を特定可能な撮像部マーク位置情報を記憶し、前記処理部は、前記補正情報取得処理において、前記搬送機構を制御して前記補正情報取得用基板を保持している前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、前記第1の撮像部を制御して前記第1の撮像処理を実行させ、かつ、前記第1の画像データに基づいて特定される前記撮像部位置特定用マークの位置と前記撮像部マーク位置情報に基づいて特定される当該撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得して前記記憶部に記憶させ、前記移動機構を制御して前記第2の撮像処理の実行位置に前記ユニット保持部を移動させる際に、前記撮像部位置情報に基づいて前記移動制御情報を補正する。
【0013】
さらに、請求項3記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記第2の撮像部は、前記基板保持部によって保持可能に当該基板保持部とは別体に構成されて撮像部位置特定用マークが設けられた補正情報取得用基板に取り付けられ、前記記憶部は、前記補正情報取得用基板を保持した前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に位置させた状態における前記撮像部位置特定用マークの前記第1の撮像部に対する基準の位置を特定可能な撮像部マーク位置情報を記憶し、前記処理部は、前記補正情報取得処理において、前記搬送機構を制御して前記補正情報取得用基板を保持している前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、前記第1の撮像部を制御して前記第1の撮像処理を実行させ、かつ、前記第1の画像データに基づいて特定される前記撮像部位置特定用マークの位置と前記撮像部マーク位置情報に基づいて特定される当該撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得して前記記憶部に記憶させ、前記第2の画像データに基づいて特定される前記保持部位置特定用マークの位置と前記保持部マーク位置情報に基づいて特定される当該保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を前記撮像部位置情報に基づいて補正して前記補正情報として取得する。
【0014】
また、請求項4記載の補正情報取得方法は、検査対象基板を保持する基板保持部と、検査用プローブが配設されたプローブユニットを保持するユニット保持部と、前記基板保持部に対して前記ユニット保持部を移動させて当該ユニット保持部によって保持されている前記プローブユニットの前記検査用プローブを当該基板保持部によって保持されている前記検査対象基板にプロービングさせるプロービング処理を実行する移動機構と、前記基板保持部における前記検査対象基板の保持位置を撮像して第1の画像データを出力する第1の撮像処理を実行する第1の撮像部と、前記プロービング処理の実行位置および前記第1の撮像処理の実行位置に前記基板保持部を搬送する搬送機構とを備えた基板検査装置において、前記移動機構によって前記ユニット保持部を移動させる際の移動量および移動方向を特定可能な移動制御情報を補正するための補正情報を取得する補正情報取得方法であって、前記移動制御情報に従って前記移動機構を制御して、保持部位置特定用マークが設けられた前記ユニット保持部を第2の撮像部によって撮像して第2の画像データを出力させる第2の撮像処理の実行位置に当該ユニット保持部を移動させると共に、前記第2の撮像部を制御して前記第2の撮像処理を実行させ、かつ、前記第2の画像データに基づいて特定される前記保持部位置特定用マークの位置と、前記移動制御情報に従って前記第2の撮像処理の実行位置に移動させた状態の前記ユニット保持部における前記保持部位置特定用マークの前記第2の撮像部に対する基準の位置を特定可能な保持部マーク位置情報に基づいて特定される当該保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を前記補正情報として取得する。
【0015】
また、請求項5記載の補正情報取得方法は、請求項4記載の補正情報取得方法において、前記基板保持部によって保持可能に当該基板保持部とは別体に構成されて撮像部位置特定用マークが設けられた補正情報取得用基板に取り付けられた前記第2の撮像部を使用すると共に、前記搬送機構を制御して前記補正情報取得用基板を保持している前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、前記第1の撮像部を制御して前記第1の撮像処理を実行させ、かつ、前記第1の画像データに基づいて特定される前記撮像部位置特定用マークの位置と、前記補正情報取得用基板を保持した前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に位置させた状態における前記撮像部位置特定用マークの前記第1の撮像部に対する基準の位置を特定可能な撮像部マーク位置情報に基づいて特定される当該撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得して、前記移動機構を制御して前記第2の撮像処理の実行位置に前記ユニット保持部を移動させる際に、前記撮像部位置情報に基づいて前記移動制御情報を補正する。
【0016】
さらに、請求項6記載の補正情報取得方法は、請求項4記載の補正情報取得方法において、前記基板保持部によって保持可能に当該基板保持部とは別体に構成されて撮像部位置特定用マークが設けられた補正情報取得用基板に取り付けられた前記第2の撮像部を使用すると共に、前記搬送機構を制御して前記補正情報取得用基板を保持している前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、前記第1の撮像部を制御して前記第1の撮像処理を実行させ、かつ、前記第1の画像データに基づいて特定される前記撮像部位置特定用マークの位置と、前記補正情報取得用基板を保持した前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に位置させた状態における前記撮像部位置特定用マークの前記第1の撮像部に対する基準の位置を特定可能な撮像部マーク位置情報に基づいて特定される当該撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得して、前記第2の画像データに基づいて特定される前記保持部位置特定用マークの位置と前記保持部マーク位置情報に基づいて特定される当該保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を前記撮像部位置情報に基づいて補正して前記補正情報として取得する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の基板検査装置、および請求項4記載の補正情報取得方法では、移動制御情報に従って移動機構を制御して第2の撮像部による第2の撮像処理の実行位置にユニット保持部を移動させると共に、第2の撮像部を制御して第2の撮像処理を実行させてユニット保持部を撮像させ、かつ、第2の撮像部から出力された第2の画像データに基づいて特定される保持部位置特定用マークの位置と、保持部マーク位置情報に基づいて特定される保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を、移動機構によってユニット保持部を移動させる際に使用する移動制御情報を補正するための補正情報として取得する。
【0018】
したがって、請求項1記載の基板検査装置、および請求項4記載の補正情報取得方法によれば、誤差データの取得に際して検査治具を撮像することを要件とする従来の基板検査装置、およびその誤差データの取得方法とは異なり、ユニット保持部によってプローブユニットが保持されていない状態においても、移動機構がユニット保持部を移動させる際に生じる位置ずれをキャンセル可能な補正情報を取得することができる。これにより、例えば、基板検査装置を利用者に対して納品する前に補正情報を取得することで、プロービングに際して製造誤差に起因する位置ずれが生じる状態のまま基板検査装置が利用者に対して納品される事態を回避することができるため、基板検査装置の品質を十分に向上させることができる。
【0019】
また、請求項2記載の基板検査装置、および請求項5記載の補正情報取得方法では、搬送機構を制御して補正情報取得用基板を保持している基板保持部を第1の撮像部による第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、第1の撮像部を制御して第1の撮像処理を実行させて補正情報取得用基板を撮像させ、かつ、第1の撮像部から出力された第1の画像データに基づいて特定される撮像部位置特定用マークの位置と、撮像部マーク位置情報に基づいて特定される撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得し、移動機構を制御して第2の撮像処理の実行位置にユニット保持部を移動させる際に、撮像部位置情報に基づいて移動制御情報を補正する。
【0020】
また、請求項3記載の基板検査装置、および請求項6記載の補正情報取得方法では、搬送機構を制御して補正情報取得用基板を保持している基板保持部を第1の撮像部による第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、第1の撮像部を制御して第1の撮像処理を実行させて補正情報取得用基板を撮像させ、かつ、第1の撮像部から出力された第1の画像データに基づいて特定される撮像部位置特定用マークの位置と、撮像部マーク位置情報に基づいて特定される撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得し、第2の画像データに基づいて特定される保持部位置特定用マークの位置と、保持部マーク位置情報に基づいて特定される保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を、撮像部位置情報に基づいて補正して補正情報として取得する。
【0021】
したがって、請求項2,3記載の基板検査装置、および請求項5,6記載の補正情報取得方法によれば、補正情報の取得時だけ必要となる第2の撮像部を複数の基板検査装置において共用することができるため、基板検査装置の製造コストを十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】補正情報取得処理50(50A)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、基板検査装置および補正情報取得方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示す基板検査装置1は、検査対象基板20を電気的に検査可能に構成された検査装置であって、基板保持部2、搬送機構3、カメラ4,5、テストヘッド保持部6、移動機構7、測定部8、操作部9、表示部10、処理部11および記憶部12を備えて構成されている。基板保持部2は、処理部11の制御に従って、予め規定された保持位置に載置された検査対象基板20を保持する。この場合、本例の基板検査装置1では、搬送機構3に取り付けられた4つの基板保持部2を備えて構成されている。搬送機構3は、一例として、回転型搬送機構(インデックステーブル式搬送機構)で構成されて、処理部11の制御に従って、基板保持部2に対して検査対象基板20を搬入する搬入位置、カメラ4による撮像処理(後述する「第1の撮像処理」)の実行位置、移動機構7によるプロービング処理の実行位置(検査処理の実行位置)、および基板保持部2から検査対象基板20を搬出する搬出位置に各基板保持部2を順次搬送する。
【0025】
カメラ4は、「第1の撮像部」に相当し、一例として、この基板検査装置1では、上記の撮像処理の実行位置に固定的に設置されている。このカメラ4は、搬送機構3によって撮像処理の実行位置に搬送された基板保持部2における検査対象基板20の保持位置を撮像して、「第1の画像データ」に相当する撮像データD1を出力する「第1の撮像処理」を実行する。カメラ5は、「第2の撮像部」に相当し、基板保持部2によって保持可能に基板保持部2とは別体に構成されて位置特定用マーク30m(「撮像部位置特定用マーク」の一例)が設けられた補正情報取得用基板30に取り付けられている。この場合、補正情報取得用基板30は、一例として、検査対象基板20と同程度の大きさで同程度の厚みの平板(図示せず)で構成されている。このカメラ5は、後述するように、基板保持部2によって補正情報取得用基板30が保持されることで基板保持部2と一体化されると共に、その基板保持部2が搬送機構3によってプロービング処理の実行位置に搬送された状態において、テストヘッド保持部6を撮像して「第2の画像データ」に相当する撮像データD2を出力する「第2の撮像処理」を実行する。
【0026】
テストヘッド保持部6は、「ユニット保持部」に相当し、検査対象基板20の種類に応じて製作されたテストヘッド40を保持する。この場合、テストヘッド40は、「プローブユニット」に相当し、一例として、接触型の複数の検査用プローブPが、図示しないプローブ支持板によって支持されて構成されている。また、テストヘッド保持部6には、「保持部位置特定用マーク」に相当する位置特定用マーク6mが設けられている。
【0027】
移動機構7は、処理部11の制御に従って、プロービング処理の実行位置に搬送された基板保持部2上の検査対象基板20に対してテストヘッド40を移動させることで、検査対象基板20に対して各検査用プローブPを接触(プロービング)させる「プロービング処理」を実行する。また、移動機構7は、処理部11の制御に従って、プロービング処理の実行位置に搬送された基板保持部2上の補正情報取得用基板30(カメラ5)に対してテストヘッド40を移動させることで、カメラ5に対してテストヘッド保持部6を規定の撮像位置に位置させる。この場合、移動機構7は、基板保持部2の上面におけるX方向・Y方向および基板保持部2に対する接離方向(Z方向)にテストヘッド保持部6を移動させると共に、基板保持部2の上面に沿ってテストヘッド保持部6を回転させることができるように構成されている。
【0028】
測定部8は、処理部11と相まって検査対象基板20の良否を検査する「検査部」を構成する。この測定部8は、テストヘッド40の各検査用プローブPを介して検査対象基板20に検査用電圧を印加する電源を備え、検査用電圧を印加した状態において検査対象基板20に流れる電流の電流値を測定して測定データとして処理部11に出力する測定処理を実行する。操作部9は、基板検査装置1の動作条件を設定操作するための各種操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部11に出力する。表示部10は、処理部11の制御に従い、基板検査装置1の動作条件を設定するための動作条件設定画面(図示せず)、検査対象基板20についての検査結果表示画面(図示せず)、および、後述するように補正情報取得用基板30を撮像した画像データの画像(図示せず)などを表示する。
【0029】
処理部11は、基板検査装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部11は、搬送機構3による基板保持部2(検査対象基板20、およびカメラ5が取り付けられた補正情報取得用基板30の搬送、カメラ4による撮像処理、および移動機構7によるテストヘッド保持部6(テストヘッド40)の移動を制御する。また、処理部11は、移動制御情報Dpを補正するための補正情報Drを取得する「補正情報取得処理」を実行する。この場合、移動制御情報Dpは、移動機構7によってテストヘッド保持部6を任意の位置に移動させる際(検査対象基板20に対するプロービング処理時や、カメラ5による撮像処理時にテストヘッド保持部6を規定の位置に移動させる際)のテストヘッド保持部6の移動量および移動方向を特定可能な情報で構成されている。また、補正情報Drは、移動機構7がテストヘッド保持部6を移動させる際に生じる位置ずれをキャンセルするための情報で構成されている。
【0030】
具体的には、補正情報Drは、移動機構7によってテストヘッド保持部6を任意の位置に移動させる際に、テストヘッド保持部6を基板保持部2(検査対象基板20、または補正情報取得用基板30)に向けて移動させる移動量および移動方向を、どの程度どの方向に補正するかを特定可能な情報が記録されて構成されている。この補正情報Drは、使用開始直後(製造完了直後)の基板検査装置1には存在せず、処理部11によって、後述する補正情報取得処理50(または、補正情報取得処理50A)が実行されることで生成されて記憶部12に記憶される。
【0031】
記憶部12は、基準位置情報Da,Db、カメラ位置情報Dc、移動制御情報Dp、補正情報Drおよび検査用基準データを記憶すると共に、処理部11の動作プログラムを記憶する。この場合、基準位置情報Daは、「撮像部マーク位置情報」に相当し、上記の保持位置に補正情報取得用基板30を正常に保持させた基板保持部2をカメラ4による撮像処理の実行位置に搬送した状態におけるカメラ4に対する位置特定用マーク30mの基準の位置を特定可能な情報で構成されている。また、基準位置情報Dbは、「保持部マーク位置情報」に相当し、移動制御情報Dpに従ってカメラ5による撮像処理の実行位置に移動させた状態のテストヘッド保持部6における位置特定用マーク6mのカメラ5に対する基準の位置を特定可能な情報で構成されている。
【0032】
さらに、カメラ位置情報Dcは、「撮像部位置情報」に相当し、上記の基準位置情報Daに基づいて特定される位置特定用マーク30mの位置と、基板保持部2によって保持されている補正情報取得用基板30をカメラ4によって撮像した撮像データD1に基づいて特定される位置特定用マーク30mの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を特定可能な情報(すなわち、基板保持部2に対するカメラ5の取り付け位置のずれの状態を特定可能な情報)で構成されている。このカメラ位置情報Dcは、図2に示す補正情報取得処理50において処理部11によって生成されて記憶部12に記憶させられる。
【0033】
この基板検査装置1では、製造完了後(利用者に対する納品前:すなわち、テストヘッド40や検査対象基板20が存在しない時点)において、図2に示す補正情報取得処理50を実行させることで、移動機構7によるテストヘッド保持部6の移動に際して生じる位置ずれをキャンセルし得る補正情報Drを取得することができるように構成されている。具体的には、まず、搬入位置に位置している基板保持部2に、カメラ5の取り付け面を上向きにして補正情報取得用基板30を保持させる。次いで、操作部9を操作して補正情報取得処理50の開始を指示する。この際に、処理部11は、搬送機構3を制御して、補正情報取得用基板30を保持している基板保持部2をカメラ4による撮像処理の実行位置に搬送させる(ステップ51)。続いて、処理部11は、カメラ4を制御して基板保持部2上の補正情報取得用基板30を撮像させる(ステップ52)。
【0034】
次いで、処理部11は、カメラ4から出力された撮像データD1を画像解析することで、補正情報取得用基板30の撮像時におけるカメラ4に対する位置特定用マーク30mの相対的な位置を特定する(ステップ53)。続いて、処理部11は、記憶部12から基準位置情報Daを読み出すと共に、撮像データD1に基づいて特定した位置特定用マーク30mの位置と、基準位置情報Daに基づいて特定した位置特定用マーク30mの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を特定し、特定した結果をカメラ位置情報Dcとして記憶部12に記憶させる(ステップ54)。
【0035】
次いで、処理部11は、搬送機構3を制御して、補正情報取得用基板30を保持している基板保持部2を移動機構7によるプロービング処理の実行位置(すなわち、テストヘッド保持部6が配設されている位置)に搬送させる(ステップ55)。続いて、処理部11は、移動制御情報Dpに従って移動機構7を制御してカメラ5による撮像処理の実行位置にテストヘッド保持部6を移動させる(ステップ56)。この際に、処理部11は、記憶部12に記憶させたカメラ位置情報Dcに基づいて移動制御情報Dpを補正して移動機構7を制御する。これにより、補正情報取得用基板30が位置ずれした状態で基板保持部2によって保持されていたとしても、この位置ずれがカメラ位置情報Dcに基づいてキャンセルされて、カメラ5による撮像処理の実行位置にテストヘッド保持部6を位置ずれさせることなく移動させることができる。
【0036】
次いで、処理部11は、カメラ5を制御してテストヘッド保持部6を撮像させる(ステップ57)。続いて、処理部11は、カメラ5から出力された撮像データD2を画像解析することで、テストヘッド保持部6の撮像時におけるカメラ5に対する位置特定用マーク6mの相対的な位置を特定する(ステップ58)。次いで、処理部11は、記憶部12から基準位置情報Dbを読み出すと共に、撮像データD2に基づいて特定した位置特定用マーク6mの位置と、基準位置情報Dbに基づいて特定した位置特定用マーク6mの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を特定し、特定した結果を補正情報Drとして取得して記憶部12に記憶させる(ステップ59)。以上により、補正情報取得処理50が完了し、移動機構7によるテストヘッド保持部6の移動に際して生じる位置ずれをキャンセルし得る補正情報Drが記憶部12に記憶される。
【0037】
一方、補正情報取得処理50が完了した基板検査装置1においては、移動機構7がテストヘッド保持部6を任意の位置に移動させる際に、処理部11が補正情報Drに基づいて移動制御情報Dpを補正して移動機構7を制御する。これにより、移動機構7が設計値どおりの任意に位置にテストヘッド保持部6を移動させることができる状態で基板検査装置1を利用者に対して納品することが可能となる。
【0038】
また、この基板検査装置1による検査対象基板20の検査に際しては、基板保持部2における検査対象基板20の位置ずれや、テストヘッド保持部6におけるテストヘッド40の位置ずれなどをキャンセルするための補正情報を取得する。具体的には、一例として、検査用プローブPのプロービングによって変色する感圧紙等で構成された打痕シートを貼付した模擬基板(図示せず)を基板保持部2の保持位置に載置して保持させると共に、その基板保持部2をカメラ4による撮像処理の実行位置に搬送する。次いで、カメラ4によって打痕シートを撮像することで、上記の模擬基板に設けられている基板位置特定用マーク(図示せず)の位置を特定する。
【0039】
続いて、基板保持部2に対して模擬基板を正常に保持させた状態における上記の基板位置特定用マークのカメラ4に対する基準の位置と、撮像データD1の画像解析によって特定された基板位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を特定し、特定した結果を基板保持部2に対する模擬基板の位置ずれ情報として記憶部12に記憶させる。次いで、模擬基板を保持させた基板保持部2をプロービング処理の実行位置に搬送して、プロービング処理を実行する。この際には、一例として、プロービング処理に際して使用する移動制御情報Dpを、上記の位置ずれ情報に基づいて補正することで、基板保持部2における模擬基板の位置ずれをキャンセルする。これにより、打痕シートの各部に検査用プローブPのプロービングによって変色した打痕が形成される。
【0040】
次いで、打痕の形成が完了した基板保持部2をカメラ4による撮像処理の実行位置に搬送して、カメラ4によって打痕シートを撮像する。続いて、カメラ4から出力された撮像データD1の画像を画像解析することで、打痕シートに形成された各打痕の位置をそれぞれ特定する。次いで、各検査用プローブPがプロービングされるべき基準の位置と、撮像データD1の画像解析によって特定された各打痕の位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を特定し、特定した結果を補正情報として取得する。これにより、基板保持部2における検査対象基板20の位置ずれや、テストヘッド保持部6におけるテストヘッド40の位置ずれなどをキャンセルし得る補正情報の取得が完了する。以上により、検査対象基板20の検査に際して、移動制御情報Dpを補正情報Drに基づいて補正することで検査対象基板20上の各検査点に対して検査用プローブPを正確にプロービングさせることが可能となる。
【0041】
このように、この基板検査装置1、および基板検査装置1による補正情報Drの取得方法では、移動制御情報Dpに従って移動機構7を制御してカメラ5による「第2の撮像処理」の実行位置にテストヘッド保持部6を移動させると共に、カメラ5を制御して「第2の撮像処理」を実行させてテストヘッド保持部6を撮像させ、かつ、カメラ5から出力された撮像データD2に基づいて特定される位置特定用マーク6mの位置と、基準位置情報Dbに基づいて特定される位置特定用マーク6mの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を、移動機構7によってテストヘッド保持部6を移動させる際に使用する移動制御情報Dpを補正するための補正情報Drとして取得する。
【0042】
したがって、この基板検査装置1、および基板検査装置1による補正情報Drの取得方法によれば、誤差データの取得に際して検査治具を撮像することを要件とする従来の基板検査装置、およびその誤差データの取得方法とは異なり、テストヘッド保持部6によってテストヘッド40が保持されていない状態においても、移動機構7がテストヘッド保持部6を移動させる際に生じる位置ずれをキャンセル可能な補正情報Drを取得することができる。これにより、例えば、基板検査装置1を利用者に対して納品する前に補正情報Drを取得することで、プロービングに際して製造誤差に起因する位置ずれが生じる状態のまま基板検査装置1が利用者に対して納品される事態を回避することができるため、基板検査装置1の品質を十分に向上させることができる。
【0043】
また、この基板検査装置1、および基板検査装置1による補正情報Drの取得方法では、搬送機構3を制御して補正情報取得用基板30を保持している基板保持部2をカメラ4による「第1の撮像処理」の実行位置に搬送させると共に、カメラ4を制御して「第1の撮像処理」を実行させて補正情報取得用基板30を撮像させ、かつ、カメラ4から出力された撮像データD1に基づいて特定される位置特定用マーク30mの位置と、基準位置情報Daに基づいて特定される位置特定用マーク30mの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向をカメラ位置情報Dcとして取得し、移動機構7を制御してカメラ5による「第2の撮像処理」の実行位置にテストヘッド保持部6を移動させる際に、カメラ位置情報Dcに基づいて移動制御情報Dpを補正する。
【0044】
したがって、この基板検査装置1、および基板検査装置1における補正情報Drの取得方法によれば、補正情報Drの取得時だけ必要となるカメラ5を複数の基板検査装置1において共用することができるため、基板検査装置1の製造コストを十分に低減することができる。
【0045】
なお、「基板検査装置」の構成、および「補正情報取得方法」の具体的な方法については、上記の基板検査装置1の構成、および基板検査装置1による補正情報Drの取得方法に限定されない。例えば、上記の例では、カメラ5による「第2の撮像処理」の実行位置にテストヘッド保持部6を移動させる際に、カメラ位置情報Dcに基づいて移動制御情報Dpを補正して移動機構7を制御しているが、図2に示す補正情報取得処理50Aのように、カメラ5による「第2の撮像処理」の実行位置にテストヘッド保持部6を移動させる際には、移動制御情報Dpを補正せずに、移動制御情報Dpに従って移動機構7を制御してテストヘッド保持部6を移動させ(ステップ56a)、「第2の撮像処理」によってカメラ5から出力された撮像データD2に基づいて特定される位置特定用マーク6mの位置と、基準位置情報Dbに基づいて特定される位置特定用マーク6mの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を、カメラ位置情報Dcに基づいて補正して補正情報Drとして取得する(ステップ59)構成および方法を採用することができる。なお、この補正情報取得処理50Aにおける上記のステップ56a,59以外の各ステップ毎の処理については、前述した補正情報取得処理50の各ステップ毎の処理と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0046】
このように、構成した基板検査装置1、および基板検査装置1における補正情報Drの取得方法によれば、前述した補正情報取得処理50を実行する基板検査装置1、および基板検査装置1による補正情報Drの取得方法と同様にして、補正情報Drの取得時だけ必要となるカメラ5を複数の基板検査装置1において共用することができるため、基板検査装置1の製造コストを十分に低減することができる。
【0047】
また、プロービングに際して移動機構7が基板保持部2に対してテストヘッド保持部6を移動させる構成に加えて、「搬送機構」、または「搬送機構に取り付けられた移動機構(図示せず)」がテストヘッド保持部6に対して基板保持部2を移動させる構成を付加することもできる。このような構成の基板検査装置においても、カメラ5から出力された撮像データD2に基づいて特定される位置特定用マーク6mの位置と、基準位置情報Dbに基づいて特定される位置特定用マーク6mの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向に基づいて、「搬送機構」、または「搬送機構に取り付けられた移動機構」がテストヘッド保持部6に対して基板保持部2を移動させる際に生じる位置ずれをキャンセル可能な「補正情報」を取得することができる。
【0048】
一方、前述した基板検査装置1では、「第1の撮像部」に相当するカメラ4が「撮像処理の実行位置」に固定的に設置されているが、図1に破線で示すように、「撮像処理の実行位置」においてカメラ4を任意のX−Y方向に移動させる移動機構7aを設けた基板検査装置においても、各検査点に対して検査用プローブPを正確にプロービングさせ得る補正情報Drを取得することができる。この場合、移動機構7aを設けた基板検査装置1では、移動機構7によるテストヘッド保持部6(テストヘッド40)の移動に際して生じる位置ずれ(移動機構7に存在する製造誤差に起因する位置ずれ:以下、「移動機構7に起因する位置ずれ」ともいう)と、移動機構7aによるカメラ4の移動に際して生じる位置ずれ(移動機構7aに存在する製造誤差に起因する位置ずれ:以下、「移動機構7aに起因する位置ずれ」ともいう)とが別個独立して存在することとなる。
【0049】
このため、移動機構7aによるテストヘッド保持部6(テストヘッド40)の移動(プロービング処理)によって模擬基板に形成した打痕を、移動機構7aによって移動させたカメラ4によって撮像して、基準のプロービング位置と、形成された打痕の位置とのずれ量およびずれの方向を取得したときには、移動機構7に起因して打痕の形成に際して生じた位置ずれと、移動機構7aに起因して打痕の撮像時に生じた位置ずれとが合わさった複合的な位置ずれが検出されることとなる。したがって、このような一般的な方法では、移動機構7に起因する位置ずれと、移動機構7aに起因する位置ずれとを個別に把握することができない。このため、検査対象基板20の電気的検査に際して、検査対象基板20に形成された位置合わせ用マークをカメラ4によって撮像する際に、移動機構7aによってカメラ4を撮像位置に移動させるための移動情報を補正することができない。
【0050】
しかしながら、移動機構7aを設けた基板検査装置においても、前述した基板検査装置1による補正情報取得処理50(50A)と同様の手順に従って「補正情報」を取得することにより、移動機構7に起因する位置ずれを個別的に補正し得る情報(以下、「移動機構7用の補正情報」ともいう)を取得することができる。なお、移動機構7用の補正情報の取得方法については、前述した補正情報取得処理50(50A)と同様のため、詳細な説明を省略する。したがって、模擬基板に形成した打痕をカメラ4によって撮像することで取得される上記の「複合的な位置ずれ」から、移動機構7用の補正情報に相当する位置ずれ量および位置ずれの方向を差し引くことで、移動機構7aに起因する位置ずれを個別的に補正し得る情報(以下、「移動機構7a用の補正情報」ともいう)を取得することができる。
【0051】
これにより、検査対象基板20の電気的検査に際して、検査対象基板20に形成された位置合わせ用マークをカメラ4によって撮像する際に、移動機構7aによってカメラ4を撮像位置に移動させるための移動情報を移動機構7a用の補正情報に基づいて補正することで、カメラ4を本来的な撮像位置に移動させた状態で検査対象基板20を撮像することができる。この結果、検査対象基板20が位置ずれした状態で基板保持機構2によって保持されていたとしても、その位置ずれ量および位置ずれの方向を正確に把握することができるため、プロービング処理に際して移動機構7によってテストヘッド保持部6(テストヘッド40)を移動させる際に、把握した位置ずれの状態に応じてプロービング位置を変化させることで、検査対象基板20に対して各検査用プローブPを正確にプロービングさせることができる。
【0052】
さらに、「搬送機構」として、回転型搬送機構である搬送機構3に代えて、ライン型搬送機構やロボットアーム式搬送機構(図示せず)を採用することもできる。また、「第2の撮像部」に関しては、「基板保持部」とは別体に構成した「撮像部」に代えて、「基板保持部」と一体化された「撮像部」や、「プロービング処理」の実行位置に固定的に設置された「撮像部」を「第2の撮像部」として使用する構成(方法)を採用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 基板検査装置
2 基板保持部
3 搬送機構
4,5 カメラ
6 テストヘッド保持部
6m,30m 位置特定用マーク
7 移動機構
11 処理部
12 記憶部
20 検査対象基板
30 補正情報取得用基板
40 テストヘッド
50,50A 補正情報取得処理
D1,D2 撮像データ
Da,Db 基準位置情報
Dc カメラ位置情報
Dp 移動制御情報
Dr 補正情報
P 検査用プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象基板を保持する基板保持部と、検査用プローブが配設されたプローブユニットを保持するユニット保持部と、前記基板保持部に対して前記ユニット保持部を移動させて当該ユニット保持部によって保持されている前記プローブユニットの前記検査用プローブを当該基板保持部によって保持されている前記検査対象基板にプロービングさせるプロービング処理を実行する移動機構と、前記基板保持部における前記検査対象基板の保持位置を撮像して第1の画像データを出力する第1の撮像処理を実行する第1の撮像部と、前記プロービング処理の実行位置および前記第1の撮像処理の実行位置に前記基板保持部を搬送する搬送機構と、前記移動機構によって前記ユニット保持部を移動させる際の移動量および移動方向を特定可能な移動制御情報を記憶する記憶部と、前記搬送機構による前記基板保持部の搬送、前記第1の撮像部による前記第1の撮像処理、および前記移動機構による前記プロービング処理を制御する処理部とを備えた基板検査装置であって、
前記プロービング処理の実行位置において前記ユニット保持部を撮像して第2の画像データを出力する第2の撮像処理を実行する第2の撮像部を備え、
前記ユニット保持部には、保持部位置特定用マークが設けられ、
前記記憶部は、前記移動制御情報に従って前記第2の撮像処理の実行位置に移動させた状態の前記ユニット保持部における前記保持部位置特定用マークの前記第2の撮像部に対する基準の位置を特定可能な保持部マーク位置情報を記憶し、
前記処理部は、前記移動制御情報に従って前記移動機構を制御して前記第2の撮像処理の実行位置に前記ユニット保持部を移動させると共に、前記第2の撮像部を制御して前記第2の撮像処理を実行させ、かつ、前記第2の画像データに基づいて特定される前記保持部位置特定用マークの位置と前記保持部マーク位置情報に基づいて特定される当該保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を、前記プロービング処理において使用する前記移動制御情報を補正するための補正情報として取得して前記記憶部に記憶させる補正情報取得処理を実行する基板検査装置。
【請求項2】
前記第2の撮像部は、前記基板保持部によって保持可能に当該基板保持部とは別体に構成されて撮像部位置特定用マークが設けられた補正情報取得用基板に取り付けられ、
前記記憶部は、前記補正情報取得用基板を保持した前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に位置させた状態における前記撮像部位置特定用マークの前記第1の撮像部に対する基準の位置を特定可能な撮像部マーク位置情報を記憶し、
前記処理部は、前記補正情報取得処理において、前記搬送機構を制御して前記補正情報取得用基板を保持している前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、前記第1の撮像部を制御して前記第1の撮像処理を実行させ、かつ、前記第1の画像データに基づいて特定される前記撮像部位置特定用マークの位置と前記撮像部マーク位置情報に基づいて特定される当該撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得して前記記憶部に記憶させ、前記移動機構を制御して前記第2の撮像処理の実行位置に前記ユニット保持部を移動させる際に、前記撮像部位置情報に基づいて前記移動制御情報を補正する請求項1記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記第2の撮像部は、前記基板保持部によって保持可能に当該基板保持部とは別体に構成されて撮像部位置特定用マークが設けられた補正情報取得用基板に取り付けられ、
前記記憶部は、前記補正情報取得用基板を保持した前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に位置させた状態における前記撮像部位置特定用マークの前記第1の撮像部に対する基準の位置を特定可能な撮像部マーク位置情報を記憶し、
前記処理部は、前記補正情報取得処理において、前記搬送機構を制御して前記補正情報取得用基板を保持している前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、前記第1の撮像部を制御して前記第1の撮像処理を実行させ、かつ、前記第1の画像データに基づいて特定される前記撮像部位置特定用マークの位置と前記撮像部マーク位置情報に基づいて特定される当該撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得して前記記憶部に記憶させ、前記第2の画像データに基づいて特定される前記保持部位置特定用マークの位置と前記保持部マーク位置情報に基づいて特定される当該保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を前記撮像部位置情報に基づいて補正して前記補正情報として取得する請求項1記載の基板検査装置。
【請求項4】
検査対象基板を保持する基板保持部と、検査用プローブが配設されたプローブユニットを保持するユニット保持部と、前記基板保持部に対して前記ユニット保持部を移動させて当該ユニット保持部によって保持されている前記プローブユニットの前記検査用プローブを当該基板保持部によって保持されている前記検査対象基板にプロービングさせるプロービング処理を実行する移動機構と、前記基板保持部における前記検査対象基板の保持位置を撮像して第1の画像データを出力する第1の撮像処理を実行する第1の撮像部と、前記プロービング処理の実行位置および前記第1の撮像処理の実行位置に前記基板保持部を搬送する搬送機構とを備えた基板検査装置において、前記移動機構によって前記ユニット保持部を移動させる際の移動量および移動方向を特定可能な移動制御情報を補正するための補正情報を取得する補正情報取得方法であって、
前記移動制御情報に従って前記移動機構を制御して、保持部位置特定用マークが設けられた前記ユニット保持部を第2の撮像部によって撮像して第2の画像データを出力させる第2の撮像処理の実行位置に当該ユニット保持部を移動させると共に、前記第2の撮像部を制御して前記第2の撮像処理を実行させ、かつ、前記第2の画像データに基づいて特定される前記保持部位置特定用マークの位置と、前記移動制御情報に従って前記第2の撮像処理の実行位置に移動させた状態の前記ユニット保持部における前記保持部位置特定用マークの前記第2の撮像部に対する基準の位置を特定可能な保持部マーク位置情報に基づいて特定される当該保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を前記補正情報として取得する補正情報取得方法。
【請求項5】
前記基板保持部によって保持可能に当該基板保持部とは別体に構成されて撮像部位置特定用マークが設けられた補正情報取得用基板に取り付けられた前記第2の撮像部を使用すると共に、前記搬送機構を制御して前記補正情報取得用基板を保持している前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、前記第1の撮像部を制御して前記第1の撮像処理を実行させ、かつ、前記第1の画像データに基づいて特定される前記撮像部位置特定用マークの位置と、前記補正情報取得用基板を保持した前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に位置させた状態における前記撮像部位置特定用マークの前記第1の撮像部に対する基準の位置を特定可能な撮像部マーク位置情報に基づいて特定される当該撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得して、前記移動機構を制御して前記第2の撮像処理の実行位置に前記ユニット保持部を移動させる際に、前記撮像部位置情報に基づいて前記移動制御情報を補正する請求項4記載の補正情報取得方法。
【請求項6】
前記基板保持部によって保持可能に当該基板保持部とは別体に構成されて撮像部位置特定用マークが設けられた補正情報取得用基板に取り付けられた前記第2の撮像部を使用すると共に、前記搬送機構を制御して前記補正情報取得用基板を保持している前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に搬送させると共に、前記第1の撮像部を制御して前記第1の撮像処理を実行させ、かつ、前記第1の画像データに基づいて特定される前記撮像部位置特定用マークの位置と、前記補正情報取得用基板を保持した前記基板保持部を前記第1の撮像処理の実行位置に位置させた状態における前記撮像部位置特定用マークの前記第1の撮像部に対する基準の位置を特定可能な撮像部マーク位置情報に基づいて特定される当該撮像部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を撮像部位置情報として取得して、前記第2の画像データに基づいて特定される前記保持部位置特定用マークの位置と前記保持部マーク位置情報に基づいて特定される当該保持部位置特定用マークの位置との位置ずれ量および位置ずれの方向を前記撮像部位置情報に基づいて補正して前記補正情報として取得する請求項4記載の補正情報取得方法。

【図1】
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【図2】
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