説明

基板検査装置

【課題】基板サイズに伴う基板検査装置の大型化を抑制すると共に、検査効率を向上させる。
【解決手段】基板検査装置1は、基板Wを取り扱う検査エリアEAを有し、検査者Pは前面2A側の検査エリアEAから目視検査を行う。検査エリアEAの前面側には、床FLより低い領域に基板受け入れ部35が形成されており、基板受け入れ部35に基板W及び基板ホルダ15を進入させることで基板Wの上部が低い位置になるようにしてある。基板受け入れ部35にはカバー36が装着されており、カバー36に形成された孔37から空気を排気できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイに用いられる大型の基板を検査する際に使用される基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイの製造工程では、基板検査装置を用いてガラス製の基板の表面を目視で検査することが知られている。ここで、近年ではフラットパネルディスプレイなどに用いられる基板が大型化していることから、基板位置を固定したままで基板全体に照明光を一様に照射しながら観察者が検査をすることは困難であった。このため、検査者の視野範囲のみを照明し、基板を保持するホルダを検査者に対して移動させることで、基板全面に対して検査を行っていた。例えば、特許文献1に開示されている基板検査装置は、床面に設置された装置本体の前面側に支持アームを回動自在に支持させ、支持アームの先端部に基板を保持するホルダをスライド自在に取り付けた構成を有する。基板の下側を検査するときはホルダ枠を支持アームに沿って上昇させる。基板の上側を検査するときはホルダを支持アームに沿って下降させる。なお、基板を交換するときは、支持アームを倒すと共にホルダを水平にしてから受け渡しロボットで基板を搬入出する。
【特許文献1】特開2004−286621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大型の基板を動かしたときに床面や天井と干渉しないようにするためには、基板サイズに合わせて基板検査装置を高くしなければならなかった。これに伴って、基板検査装置を設置する工場の天井も高くする必要があった。このため、既存の工場では、基板検査装置を設置できなくなることがあった。又は、基板サイズに合わせて工場の天井を高くしなければならなかった。さらに、このように基板サイズ及び装置サイズが大きくなると、検査者は基板の上部を目視できるように踏み台などを使用しなければならなかった。
また、基板の大型化に伴ってホルダの設置位置が高くなるので、これに合わせて基板を搬入出するパスラインが高くなっていた。このため、基板の搬入出に使用するローダーなどのレイアウトに制約が生じていた。また、基板を照明するための光学系が高所に配置されるので、ランプ交換時などの作業工数を増加させる原因になっていた。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり。基板サイズに伴う基板検査装置の大型化を抑制すると共に、検査効率を向上させることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、検査試料である基板を目視で検査する基板検査装置であって、検査者が検査を行う検査エリアと基板を取り扱う試料エリアが装置本体によって区画されており、前記試料エリアは前記検査エリアの底面より低い位置まで基板を進入可能な基板受け入れ部を有することを特徴とする基板検査装置とした。
この基板検査装置では、基板の上部を検査するときに、検査エリアの底面より低い領域に基板を進入させる。これによって、基板上部の位置が従来よりも低くなる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、基板の上部を検査するときに、検査エリアの底面より低い領域に基板を進入させることで基板位置を低くできるので、工場の天井を高くしなくてもサイズの大きい基板を検査できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態において同じ構成要素には同一の符号を付してある。また、重複する説明は省略する。
【0007】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、基板検査装置1は、工場の床FLに設置された装置本体2を有し、装置本体2の前面2A側に検査者Pが立って基板Wの外観検査を目視で行うマクロ検査装置である。装置本体2内は、試料である基板Wを取り扱う試料エリアSA1になっている。これに対して、検査者Pがいる領域は、検査者Pが検査のための作業を行う検査エリアEAになっている。
【0008】
図1及び図2に示すように、装置本体2内の試料エリアSA1には、床FLに対して固定される水平スライド装置11が設けられている。水平スライド装置11は、離間して配置される一対のスライドベース11Aを有し、各スライドベース11Aには装置本体2の背面2B側に向かって斜めに延びるガイド部材12が一本ずつ支持されている。水平スライド装置11は、これら一対のガイド部材12を図1に実線で示す検査位置から仮想線で示す受け渡し位置CP1までの間で、前後方向に水平移動させる機構を有する。なお、前後方向とは、図1に示すX方向である。
ガイド部材12は、その前面側にレール12Aが長手方向に沿って敷設されている。これらレール12Aのそれぞれには、回動駆動部13が1つずつ移動自在に取り付けられている。
各回動駆動部13は、回転軸14を回転自在に支持している。回転軸14は、前後方向に直交する幅方向に平行に延びており、基板Wを保持する基板ホルダ15が固定されている。なお、幅方向とは、図1に示すY方向である。
【0009】
基板ホルダ15は、矩形の枠本体21を有し、枠本体21の開口部22を上側から覆うように基板Wが載置される。枠本体21には、複数のピン23が基板Wを囲むように配置されている。これらピン23は、基板Wの側面に突き当てられることで基板Wの位置決めすると共に、基板Wの移動を防止する役割を有する。例えば、下部や一方の側部に配置されているピン23が枠本体21に固定されており、上部や他方の側部に配置されているピン23が枠本体21に移動自在に取り付けられている。このようすると、移動自在なピン23で基板Wを押圧し、固定されたピン23に押し付けることで位置決め及び保持が行える。また、枠本体21には、基板Wを吸着保持する吸着装置24が基板Wの外周に沿って配設されている。
さらに、基板ホルダ15には、開口部22を縦断するように複数の桟25が取り付けられている。これら桟25は、大型の基板Wが撓まないように裏面側から基板Wを支持する。桟25には、基板Wの裏面に当接するピンや、基板Wを吸着保持する、図示しない吸着装置が設けられている。なお、桟25は、この実施の形態に必須の構成要素ではない。
【0010】
図1に示すように、装置本体2の前面2A側の上部には、基板ホルダ15に保持された基板Wを落射照明で照明するマクロ照明装置31が設けられている。マクロ照明装置31は、ランプ32と、ランプ32の光を下方に折り返すミラー33と、ミラー33からの光が入射されるレンズ34を有し、装置本体2の前面2A側に移動させた基板Wを照明できるようになっている。レンズ34は、例えば、フレネルレンズである。なお、この基板検査装置1では、試料エリアSA1の一部として、マクロ照明装置31が収容される領域SA11が、検査エリアEAの上方に突出している。
【0011】
ここで、装置本体2の前面2A側には、床FLの一部を凹設した基板受け入れ部35が形成されている。基板受け入れ部35は、基板Wを前面2A側に傾斜配置したときに基板W及び基板ホルダ15の下部が進入可能な大きさを有する。例えば、ガラス基板では、一辺が2500mmなので、基板Wを45°の傾斜配置したときに、標準的な体型の検査者Pが基板Wの上部を目視で観察できるように40〜60cmの深さを有する。
さらに、基板受け入れ部35には、カバー36が装着されている。カバー36は、基板受け入れ部35の凹形状に略倣った外形を有するので、基板W及び基板ホルダ15が進入する空間は確保されている。カバー36の底部には、孔37が少なくとも1つ穿設されており、天井CLからダウンフローされた空気が抜け出せるようになっている。孔37にホースなどを接続し、排気用のファンで強制排気させても良い。この実施の形態では、検査エリアEAの底面EGは、床FLと一致しており、検査者Pは底面EGに立って検査を行う。これに対して、基板受け入れ部35は、床FL及び底面EGより低い位置にある。つまり、試料エリアSA1は、床FL及び底面EG以下に延びる領域(基板受け入れ部35)を1つ有している。
【0012】
なお、試料エリアSA1と検査エリアEAを区画する装置本体2の前面2Aには、検査者Pが基板Wを目視で観察できるように窓38が形成されている。また、窓38の付近には、検査者Pが操作する操作装置39が設けられている。操作装置39は、不図示の制御装置に接続されており、基板Wの姿勢や、照明光の切り替えなどの各種の操作が行えるようになっている。また、基板Wの装置本体2の背面2B側には、バックライト照明装置40が設けられている。バックライト照明装置40は、基板Wを裏面側から照明し、基板Wを透過した透過光で欠陥などの検査を行う際に使用される。
【0013】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
最初に基板Wを搬入するときは、図3に示すように、ガイド部材12を背面2B側に移動させ、予め決められた基板受け渡し位置CP1で基板ホルダ15を水平にして待機させる。不図示のローダーで基板Wを搬入したら、ピン23を駆動させて基板Wを位置決め保持する。さらに、吸着装置24で真空引きして基板Wを吸着保持する。なお、基板Wを受け渡しする際の高さは、基板ホルダ15を回転軸14回りに回転させたときに、軌跡C1に示すように、基板ホルダ15が床FLに干渉しない高さになっている。図1では、床FLの高さは、装置本体2の底面の高さと略同一である。装置本体2の底面の高さは、必ずしも床FLの高さと略同一である必要はなく、また、符号EGで示す検査エリアの底面の高さも必ずしも床FLの高さと略同一である必要はない。
検査を開始するときは、回動駆動部13で基板W表面が観察者に向かうように基板ホルダ15を傾斜させる。さらに、水平スライド装置11を駆動させて、基板Wを検査者Pの近くまで前進させる。このとき、図1に示すように、基板ホルダ15の中心位置の高さは、基板受け渡し位置CP1と略同じ高さである。好ましくは、基板ホルダ15の回転軸14の高さは、検査者Pが基板Wの中央部分を目視で観察することができるように配置する。
【0014】
マクロ照明装置31が照明するエリアは基板Wの一部なので、この状態では検査者Pが全ての領域を観察することはできない。そこで、操作装置39の操作によって基板ホルダ15をガイド部材12に沿って移動させる。図4に破線で示す上点位置H1まで、基板ホルダ15を天井CL側で最も高い位置に上昇させたときには、基板Wの下部がマクロ照明装置31で照明され、検査者Pはこの領域を観察することができる。
また、基板ホルダ15をガイド部材12に沿って下げて、下点位置H2で示すように、基板受け入れ部35内に進入させて床FL側で最も低い位置まで降下させたときには、基板Wの上部が照明され、検査者Pはこの領域を観察することができる。なお、基板Wを揺動させた方が見やすい欠陥も存在する。このような場合には、基板ホルダ15を回転軸14回りに揺動させる。基板受け入れ部35は、下点位置H2で基板ホルダ15を揺動させた場合でも干渉しない大きさに形成されている。さらに、基板Wの裏面を検査者Pに向けた状態で検査を行う場合には、基板受け渡し位置CP1で基板ホルダ15を回転させてから前方に移動させる。
【0015】
この実施の形態によれば、装置本体2の前面2A側に基板受け入れ部35を設けて基板Wの下端を床FLや検査エリアEAの底面EGより低い領域まで進入可能にしたので、従来に比べて低い位置での観察が可能になる。このため、従来では天井CLを高くしなければならない基板サイズであっても天井位置を変えることなく検査が行える。一般に、天井CLにはダウンフローを形成する装置や、電気配線などが通されているので、天井面を高くする作業は困難であるが、この実施の形態では天井面は変更を加える必要がないので、設備の有効活用が図れて設置コストを低減できる。また、天井面を高くすると、クリーンルームの体積が大幅に増えるので、クリーン度を確保するために空調装置の能力を増強するなど、ランニングコストが高くなるが、この実施の形態ではそのような虞れはない。
さらに、マクロ照明装置31の位置を従来に比べて低く保てるので、組立やメンテナンスが容易になる。
【0016】
また、この実施の形態によれば、基板受け入れ部35で示す凹部を設けたので、装置全体の高さが抑えられることから、従来の装置構成に比べてローダーに基板Wを受け渡す高さを低くすることができる。基板搬送のパスラインを低く設定することができるので、ローダーなどのレイアウトの自由度が高まると共に、他の装置の高さに合わせるために基板を大きく昇降させる機構をローダーに設ける必要がなくなる。基板Wの上げ下げを少なくできるので、検査のタクトタイムを減少できる。また、検査者Pにとっても踏み台などを用意する必要がなくなるというメリットがある。
基板受け入れ部35内ではカバー36に開けた孔37から排気を行うので、基板受け入れ部35内に塵埃が溜まることはない。
【0017】
ここで、図5に示すように、基板受け入れ部45は、装置本体2の前面2Aを越えて検査エリアEAの下に延びても良い。基板受け入れ部45によって試料エリアSA1が突出することで、傾斜配置した基板W及び基板ホルダ15をさらに下げることが可能になる。基板Wが大型の場合では、傾斜して保持した基板Wの移動下限位置を低くしない限り、検査者Pと基板Wの観察位置との距離が遠くなる傾向になる。本実施の形態では、検査者Pと基板Wとの距離の調整幅を大きくすることができる。その結果、検査者Pは、検査目的に応じて様々な距離から選択して適切な距離で観察できる。また、検査者Pにさらに近い位置で基板W及び基板ホルダ15を傾斜したままで下げたときにも床FLに干渉しなくなる。なお、検査エリアEAからみた場合には、検査エリアEAが上下方向で試料エリアSA1に挟まれるように、つまり試料エリアSA1に検査エリアEAが突出した形状になっている。ここでも、基板受け入れ部45の形状に略倣うカバー46が設けられている。カバー46は、基板W及び基板ホルダ15を受け入れ可能な形状を有し、底部には空気を排気するための孔37が設けられている。
【0018】
(第2の実施の形態)
図6に示すように、基板検査装置51は、基板受け入れ部35よりも背面2B側に第二の基板受け入れ部52が設けられている。この基板受け入れ部52は、ガイド部材12が背面側の基板受け渡し位置CP1にあるときの回転軸14の下方の領域を中心に形成されている。これによって、試料エリアSA2は、2ヶ所で床FL及び底面EG以下に延びる領域、つまり基板受け入れ部35,52を有する。
基板受け入れ部52の大きさは、基板受け渡し位置CP1で基板ホルダ15を回転させたときに基板ホルダ15の一部が進入し、かつ基板ホルダ15と床FLとが干渉しない大きさである。基板受け渡し位置CP1に対応して基板受け入れ部52を設けることで、回転軸14の位置が第1の実施の形態に比べてさらに低くなっている。基板受け入れ部52には、カバー53が装着されている。カバー53は、基板受け入れ部52に略倣った形状で、基板W及び基板ホルダ15を受け入れ可能な形状を有し、底部に形成された孔54から空気を排気できる。
【0019】
なお、この実施の形態では、基板受け渡し位置CP1が低くなることで、前面側で基板Wをより低い位置まで下げられるように基板受け入れ部35が深くなっているが、基板受け入れ部35の深さは、基板受け入れ部52と略同じであっても良い。
【0020】
この基板検査装置51では、第1の実施の形態より低い位置であるが、第1の実施の形態と同様に基板Wの受け渡しが行われる。基板Wを位置決め保持したら、検査者P側の前面2Aで基板Wを傾斜配置させ外観検査を行う。必要に応じて基板受け入れ部35内に基板ホルダ15及び基板Wの一部を進入させながら上点位置H1と下点位置H2の間で全面の観察を行う。また、基板Wの全面を離れた位置から観察する場合や、バックライト照明で観察する場合には、ガイド部材12を受け渡し位置CP1まで後退させてから基板ホルダ15を傾斜させる。基板ホルダ15及び基板Wの一部が基板受け入れ部52内に進入することで床FLとの干渉が回避される。基板受け入れ部52の深さが基板受け入れ部35と略等しい場合には、基板受け入れ部52の位置でも下点位置H2まで基板Wを下げることが可能になる。
【0021】
この実施の形態によれば、基板受け入れ部52で示す凹部を設けたので基板受け渡し位置CP1をさらに低くすることができる。このため、基板Wのパスラインをさらに低く設定することができるので、装置レイアウトの自由度が高くなると共に、検査のタクトタイムを減少できる。基板受け入れ部52のカバー53に形成されている孔54から空気を排出する構成にしたので、塵埃などが基板受け入れ部52に溜まることはない。前面2A側の基板受け入れ部35を設けたことによる効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0022】
(第3の実施の形態)
図7に示すように、基板検査装置61は、床FLより下方に下がる基板受け入れ部62を有する。この基板受け入れ部62の前面2A側のX方向の位置は、検査エリアEAの前面のX方向の位置に略等しく、基板受け入れ部62の背面2B側はガイド部材12が基板受け渡し位置CP1において基板ホルダ15を回転させたときに干渉しない位置まで下方に延びている。基板受け入れ部62は、装置本体2の前面2Aを越えて検査エリアEAの下に延びても良い。基板受け入れ部62によって試料エリアSA3が突出することで、傾斜配置した基板W及び基板ホルダ15をさらに下げることが可能になる。これによって、試料エリアSA3は、床FL及び底面EGより低い領域に延びる基板受け入れ部62を1つ有する形状になっている。
基板受け入れ部62の深さは、基板Wを前面2A側で下点位置H2まで下げたときに床FLと干渉しない大きさである。例えば、X方向の一辺が2500mmのガラス基板を床面に対して45°〜75°で傾斜配置したときでは、40〜60cmの深さを有する。基板受け入れ部62の深さは前面2A側から背面2B側まで略一定であっても良い。さらに、基板受け入れ部62にはカバー63が挿入されている。カバー63の底部に穿設された孔64から空気が抜け出せるようになっている。なお、基板受け入れ部62は、背面2Bまで連続して形成されても良い。
【0023】
この基板検査装置61では、基板Wを位置決め保持したら、検査者P側の前面2Aで基板Wを傾斜配置させ外観検査を行う。必要に応じて基板受け入れ部62内に基板ホルダ15及び基板Wの一部を進入させながら全面の観察を行う。また、基板Wの全面を離れた位置から観察する場合や、バックライト照明で観察する場合には、ガイド部材12を後退させる。基板受け入れ部62が連続しているので、基板Wを傾斜させたまま観察に適した位置まで後退させることができる。また、基板ホルダ15を水平に戻してからガイド部材12を後退させ、観察に適した位置で基板ホルダ15を再び傾斜させても良い。基板ホルダ15を傾斜したままで前進又は後退させると、検査に適した位置がわかり易くなる。いずれの場合も、基板受け入れ部62の存在によって基板ホルダ15及び基板Wと床FLとの干渉が防止される。基板受け入れ部62の深さが一定の場合には、基板Wを下点位置H2まで下げた状態で基板Wを検査者Pに近接・離隔させることができる。
【0024】
この実施の形態によれば、基板受け入れ部62で示す凹部を有することで第1、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、前面側の位置と基板受け渡し位置CP1の間の任意の位置で基板を回転させたり、傾斜配置したりすることができる。
【0025】
なお、本発明は、前記の各実施の形態に限定されずに広く応用することができる。
例えば、基板受け入れ部35,52,62は、前面側に対して背面側を浅くするなど位置によって変化させても良い。背面側で基板Wを下点位置まで下ろす必要がない場合には、基板受け渡し位置CP1の高さで基板ホルダ15を回転させたときに干渉しない深さにすれば良い。
床FLは工場の床として説明したが、工場の床の上に設置されたベースであっても良い。床FLと底面EGが一致しない場合には、基板受け入れ部35,52,62の底が床FLと同じ高さになることがある。基板受け入れ部35,52,62の底が床FLより高くなっても良いが、この場合には装置1,51,61が高くなってしまうので、天井CLを高くしないで済むように基板受け入れ部35,52,62の底は床FL以下であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板検査装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。照明装置の断面図は省略している。
【図3】基板の受け渡し位置に基板を配置した図である。
【図4】前面側で基板の検査を行う動作を説明する図であって、上点位置と下点位置の間で移動するようする示す図である。
【図5】試料エリアが検査エリアの下方に延びている場合を説明する側面図である。
【図6】基板受け渡し位置を低くできるように凹部を2つ設けた場合の側面図である。
【図7】前面から基板受け渡し位置まで凹部を設けた場合の側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1,51,61 基板検査装置
2 装置本体
31 マクロ照明装置
35,45,52,62 基板受け入れ部であって、検査エリアの底面より低い領域
36,53,63 カバー
37,54,64 孔
EA 検査エリア
EG 底面
FL 床
SA1,SA2,SA3 試料エリア
SA11 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査試料である基板を目視で検査する基板検査装置であって、
検査者が検査を行う検査エリアと基板を取り扱う試料エリアが装置本体によって区画されており、前記試料エリアは前記検査エリアの底面より低い位置まで基板を進入可能な基板受け入れ部を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記試料エリアの前記基板受け入れ部は、前記装置本体が設置されている床面より低い領域まで延びていることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記基板受け入れ部は、前記検査エリアに面する前面側のみに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記基板受け入れ部は、前記検査エリアの下方まで延びていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項5】
基板を照明する照明装置を収容する領域が前記試料エリアとして前記検査エリアの上方に突出して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記基板受け入れ部は、基板の受け渡しを行う位置の下方に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項7】
前記基板受け入れ部は、検査エリアに面する前面側から基板の受け渡しを行う位置の下方の領域まで連続して設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項8】
前記検査エリアの底面に基準にしたときの前記基板受け入れ部の深さは、基板を保持するホルダを回転可能とする深さであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項9】
前記基板受け入れ部には、前記検査エリアの底面より低い領域の形状に略倣って形成されたカバーが設けられており、前記カバーには前記試料エリア外に空気を排出できる孔が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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