説明

基板検査装置

【課題】撮像カメラヘッドユニットの着脱作業を容易にすることで、作業効率の向上を図るようにした。
【解決手段】液晶や半導体などで用いられるガラス基板の基板表面を検査するための基板検査装置の撮像カメラヘッドユニット10は、撮像カメラ11と、撮像カメラ11の姿勢を変更可能に固定させる取り付け支持台12と、撮像カメラ11を取り付け支持台12に固定させるカメラ固定部13と、撮像カメラ11が撮像する基板表面を照らす照明部14と、照明部14を取り付け支持台12に固定する照明固定部15と、取り付け支持台12に固定された取っ手16、17を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶(LCD)や半導体などで用いられる基板表面を検査するための撮像手段を有した基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶(LCD)や半導体などで用いられる薄板(被検査体)上の基板表面の検査では、被検査体(以下「ガラス基板」とする)を所定箇所で通過移動させ、その所定箇所に顕微鏡などに取り付けた撮像カメラを用いて基板表面の所定観察部位を観察するようにしている(例えば、特許文献1参照)。検査されるガラス基板は、コンベアなどの搬送装置によって移動されるのが一般的である。この搬送装置の上方の所定箇所には基板検査装置架台が設置され、その基板検査装置架台には、撮像カメラとその撮像カメラを固定するための取り付け支持台とからなる撮像カメラヘッドユニットが着脱可能に取り付けられている。そして、メンテナンスなどの際には、撮像カメラを手で持ち、撮像カメラヘッドユニットを持ち上げて基板検査装置架台から取り外しと取り付けを行うようにしていた。
【特許文献1】特開平11−264803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の基板検査装置では、複数の撮像カメラヘッドユニットが近接して装着されるため、その着脱時において、光学系が調整された撮像カメラと取り付け支持台を持ってカメラ支持部に対して着脱作業を行わなければならかった。また、近年ではガラス基板が2000mm、3000mmと大型化しており、このガラス基板を効率よく搬送させる手段として、エアーによってガラス基板を浮上させて搬送抵抗を小さくした状態で移動させる搬送装置が用いられている。このような搬送装置の高さは、基板の大型化にともない搬送ロボットのパスラインが高くなり、2000mmの基板では例えば床面から1.5mとなる。そして、このような搬送装置を使用する場合、基板検査装置架台に取り付けられている撮像カメラヘッドユニットの取り付け位置は、床面から2m程度の高さとなる。そのため、撮像カメラヘッドユニットの着脱時には、作業足場を設置して撮像カメラヘッドユニットを取り外したり取り付ける作業を行っていた。
そのため、作業足場上で撮像カメラヘッドユニットを着脱する場合には、作業員は不安定な体勢で重い撮像カメラヘッドユニットを持ち上げて運搬する作業を行うことになり、作業がしにくく、作業効率が低下するといった問題があった。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、撮像カメラヘッドユニットの着脱作業を容易にすることで、作業効率の向上を図るようにした基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る基板検査装置では、液晶や半導体などで用いられる薄板の基板表面を検査するための基板検査装置であって、撮像手段と、撮像手段を基板検査装置架台に固定する取り付け部と、取り付け部に固定された取っ手とを具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の基板検査装置によれば、撮像手段の取り付け部に取っ手を設けているため、例えば作業足場上などで高所作業となるような作業性の悪い場合でも、取っ手を把持することで撮像手段と取り付け部とからなる撮像カメラヘッドユニットを安定した姿勢で持つことができる。したがって、撮像カメラヘッドユニットを基板検査装置架台に着脱する作業を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
しかも、このように取っ手を備えたことで、従来のようにその着脱時に間違って光学系が調整された撮像手段を持ってしまって再調整するようなことを防ぐ効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の第一の実施の形態による基板検査装置について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態による基板検査装置の撮影部を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその側面図、図2は基板検査装置の撮像カメラヘッドユニットを示す側面図、図3は同じく撮像カメラヘッドユニットの正面図、図4は撮像カメラヘッドユニットの固定状態を示す部分拡大図、図5は取っ手を把持して撮像カメラヘッドユニットを持ち上げた状態を示す図、図6は撮像カメラヘッドユニットの着脱作業状態を示す図である。
【0008】
図1(a)及び(b)に示すように、本第一の実施の形態による基板検査装置1は、液晶(LCD)ディスプレイを製造するために用いられるガラス基板2上の基板表面2aを検査するものである。ガラス基板2は、搬送ステージ3上を移送される。搬送ステージ3は、例えば上方に向けてエアーを噴出し、そのエアーによりガラス基板2を浮上させ、搬送抵抗を少なくして横移動させる構成となっている。つまり、浮上したガラス基板2は、図示しない横移動手段によって搬送ステージ3の搬送方向(図1(a)では紙面に直交する方向、図1(b)では矢印E方向)に沿って移動する。
基板検査装置1は、撮像手段としてラインセンサカメラなどの撮像カメラ11を設けた撮像カメラヘッドユニット10と、複数の撮像カメラヘッドユニット10、10、…をガラス基板2の移動方向に直交する方向に並列に配置させる基板検査装置架台20とを備えている。
【0009】
先ず、基板検査装置架台20の構成について図面に基づいて説明する。
そして、図1(a)及び(b)に示すように、基板検査装置架台20は、搬送ステージ3の上方でその移動方向に直交する方向(幅方向)に配置される一対の支柱で支えられた門型の架台本体21と、架台本体21において搬送ステージ3の幅方向に設けられたガイドレール22、22と、ガイドレール22、22に沿って横移動するカメラ支持部23とを具備している。
カメラ支持部23は、複数の撮像カメラヘッドユニット10、10、…を固定させ、図示しない移動手段によってガイドレール22、22に沿って横移動可能とされている。
【0010】
続いて、撮像カメラヘッドユニット10の構成について図面に基づいて説明する。
図2及び図3に示すように、撮像カメラヘッドユニット10は、図1に示すガラス基板2の基板表面2aを撮像する撮像カメラ11と、撮像カメラ11をカメラ支持部23に着脱可能に固定させる取り付け支持台12(取り付け部)と、撮像カメラ11を取り付け支持台12に固定させるカメラ固定部13と、撮像カメラ11が撮像する基板表面2aを照らす照明部14と、照明部14を取り付け支持台12に固定する照明固定部15と、取り付け支持台12に固定された取っ手16、17とから概略構成されている。
ここで、以下に説明するにあたって、取り付け支持台12に対して撮像カメラ11や照明部14が固定される側を「前面」又は「正面」とし、その反対側を「背面」とする。
【0011】
撮像カメラ11は、光学調整がなされて検査精度を出した状態でカメラ固定部13により取り付け支持台12に固定されている。そして、撮像カメラ11は、ガラス基板2の基板表面2a(図1参照)に照明部14から照射された光を撮像するものであって、例えばラインセンサ照明系を採用することができる。
【0012】
撮像カメラ11は取り付け支持台12に対して位置を調整した状態で固定される。本基板検査装置1では、このような撮像カメラヘッドユニット10を基板検査装置架台20に取り付けることで、取り付け後に撮像カメラ11の調整を行わずにすむ構成となっている。
【0013】
図2及び図3に示す取り付け支持台12は、台座部12aと、台座部12aの後方側に立設した支持壁部12bとからなる。この支持壁部12bの上端前面12cには、カメラ固定部13が固定されている。そして、支持壁部12bの背面12dが、基板検査装置架台20のカメラ支持部23に着脱可能に固定されることになる(詳しくは後述する)。
【0014】
図2及び図3に示すように、台座部12aの前方上端部12e、12eには、照明固定部15の一端15aが固定されている。そして、照明固定部15の他端15bには、照明部14が所定の角度をもって固定されている。
照明部14は、上述したようにその下方で搬送ステージ3上を移動するガラス基板2の基板表面2a(図1参照)の所定位置に向けて照射するものである。
【0015】
図4に示すように、取り付け支持台12の背面12dには、側面視で略階段形状をなす固定係止部30(凹状溝)が形成されている。この固定係止部30は、取り付け支持台12の背面側から前面側に向かうにしたがって上向きに傾斜(傾斜角度θ)する傾斜面30aが形成されている。
また、カメラ支持部23の前面23aには、側面視で略V字形状をなす凸状係止部23bが形成されている。そして、固定係止部30の傾斜面30aを凸状係止部23bに載置させるようにして係止することで、撮像カメラヘッドユニット10がカメラ支持部23に位置決めされた状態で固定される。さらに具体的には、傾斜面30aによって形成される凹状部30bを、カメラ支持部23の凸状係止部23bに引っ掛けるようにして固定される。これにより、撮像カメラヘッドユニット10は、その自重でずれることなく固定され、位置決めされた状態となる。
【0016】
取っ手16、17は、取り付け支持台12の前面において上下方向の所定箇所に二箇所配置されている。ここで、二つの取っ手16、17を区別するために、符号16を上部取っ手とし、符号17を下部取っ手とする。
上部取っ手16は、棒状部材で略コの字形状をなし、中央部に把持部16aを有し、その両支持端部16b、16bが縦壁部12bの前面の所定位置に例えばボルトなどの固定手段によって固定されている。そして、この上部取っ手16は、撮像カメラ11の外周を囲うようにして配置されている。
一方、下部取っ手17は、上部取っ手16と同じように略コの字形状に形成され、その両支持端部17b、17bがそれぞれ台座部12aの平面視コの字状をなす前方上端部12e、12eに固定されている。
【0017】
これらの取っ手16、17は、取り付け支持台12の幅方向で両側部より内側となる範囲(取り付け支持台12の側部より外方に張り出すことのない範囲)に配置されている。つまり、正面視で取り付け支持台12の幅寸法からはみ出ないようになっている。これにより、互いに隣接する撮像カメラヘッドユニット10、10同士が干渉することなく横方向に並べて配置することができる(図1(a)参照)。
【0018】
上部取っ手16の取り付け位置は、撮像カメラヘッドユニット10の重心P(図2参照)より上方位置に取り付けられている。そして、撮像カメラヘッドユニット10の重心Pが両取っ手16、17間の略中央に位置するように配置されている。このように配置される取っ手16、17の把持部16a、17aを掴むことで、撮像カメラヘッドユニット10を安定した姿勢で持つことができる。
すなわち、図5に示すように、撮像カメラヘッドユニット10は、上部取っ手16の把持部16aを持ったときに、取り付け支持台12の背面12dが鉛直方向に対して所定角度αをもって正角(つまり、図5において撮像カメラヘッドユニット10が時計回りと反対方向に回転する角度)に傾く姿勢となる。
【0019】
なお、このように、取り付け支持台12の前面側に両取っ手16、17が設けられていることで、ほかの物体が撮像カメラ11に接触することを防止するプロテクターの役割を果たす構造となっている。
【0020】
次に、撮像カメラヘッドユニット10を基板検査装置架台20のカメラ支持部23に固定する方法について図6などを用いて説明する。
図6に示すように、撮像カメラヘッドユニット10の取り付け作業(取り外し作業時も同様)は、撮像カメラヘッドユニット10の前面側から作業を行うものとされ、その作業箇所には作業足場4が設けられている。着脱する作業員Mは、この作業足場4上において、二箇所の取っ手16、17の夫々の把持部16a、17a(図2及び図3参照)を掴んで持ち上げて撮像カメラヘッドユニット10を取付け箇所に運び、図4に示す固定係止部30の傾斜面30aをカメラ支持部23の凸状係止部23bに載置させることで、撮像カメラヘッドユニット10を所定箇所に取り付けることができる。このとき、上述したように、撮像カメラヘッドユニット10の重心Pが両取っ手16、17間の略中央となっているため、撮像カメラヘッドユニット10を安定した姿勢でバランスよく持ち上げることができる(図2参照)。
【0021】
上述のように本第一の実施の形態による基板検査装置では、撮像カメラ11の取り付け支持台12に取っ手16、17を設けているため、作業足場4上などで高所作業となるような作業性の悪い場合でも、取っ手16、17を把持することで撮像カメラヘッドユニット10を安定した姿勢で持つことができる。したがって、撮像カメラヘッドユニット10を基板検査装置架台20に着脱する作業を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
しかも、このように取っ手16、17を備えたことで、従来のようにその着脱時に間違って光学系で調整された撮像カメラを持ってしまって再調整するようなことを防ぐ効果もある。
【0022】
次に、本発明の第二の実施の形態について、図7に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図7は本発明の第二の実施の形態による撮像カメラヘッドユニットの図であって、(a)はその側面図、(b)はその正面図である。
図7(a)及び(b)に示す第二の実施の形態による第三取っ手18は、第一の実施の形態の取っ手16、17(図2及び図3参照)に代えて取り付けたものである。第二の実施の形態による取っ手18は、一箇所のみであり、その支持端部18b、18bを取り付け支持台12の上端前面12cに固定させている。
第二の実施の形態では、第一の実施の形態と同様の効果を奏すると共に、把持部18aの位置が、撮像カメラヘッドユニット10の上部側に位置していることから、上方に持ち上げやすい構造となっている。
【0023】
以上、本発明による基板検査装置の第一及び第二の実施の形態について説明したが、本発明は上記の第一及び第二の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、撮像カメラ11を固定する取り付け支持台12やカメラ固定部13、カメラ支持部23などの具体的な構造、形状、大きさ、取付け位置その他は、任意に設定することができる。また、搬送ステージ3、ガラス基板2、基板検査装置架台20の構成、その他についても、第一及び第二の実施の形態に限定されることはない。
また、固定係止部30は、傾斜面30aを有する構成であることに限定されず、例えば、側面視で略水平な段差面を形成させた固定係止部であってもかまわない。
そして、本第一及び第二の実施の形態の基板検査装置1では取り付け支持台12に照明部14が取り付けられているが、照明部を備えない基板検査装置であってもかまわないとされる。
さらに、取っ手は第一の実施の形態で二箇所、第二の実施の形態で一箇所としているが、これらの取り付け数量に限定されることはなく、その数量は三箇所以上であっても勿論かまわない。そして、取っ手の形状や取り付け位置についも任意であり、上述したように、撮像カメラヘッドユニット10の重心Pを考慮して配置させることが好ましいとされるが、これに限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一の実施の形態による基板検査装置の撮影部を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図2】基板検査装置の撮像カメラヘッドユニットを示す側面図である。
【図3】同じく撮像カメラヘッドユニットの正面図である。
【図4】撮像カメラヘッドユニットの固定状態を示す部分拡大図である。
【図5】取っ手を把持して撮像カメラヘッドユニットを持ち上げた状態を示す図である。
【図6】撮像カメラヘッドユニットの着脱作業状態を示す図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態による撮像カメラヘッドユニットの図であって、(a)はその側面図、(b)はその正面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 基板検査装置
2 ガラス基板
10 撮像カメラヘッドユニット
11 撮像カメラ(撮像手段)
12 取り付け支持台(取り付け部)
13 カメラ固定部
14 照明部
16、17、18 取っ手
20 基板検査装置架台
23 カメラ支持部
23b 凸状係止部
30 固定係止部(凹状溝)
30a 傾斜面
P 重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶や半導体などで用いられる薄板の基板表面を検査するための基板検査装置であって、
撮像手段と、
前記撮像手段を基板検査装置架台に固定する取り付け部と、
該取り付け部に固定された取っ手と、
を具備することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記取り付け部には、前記撮像手段が撮像する基板表面を照らす照明部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記取っ手は、前記取り付け部の幅方向両側部より内側に配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記取り付け部と前記撮像手段とによって撮像カメラヘッドユニットを構成してなり、
前記取っ手は、前記撮像カメラヘッドユニットの重心より上方に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記取り付け部と前記撮像手段とによって撮像カメラヘッドユニットを構成してなり、
前記取っ手は二箇所設けられ、前記撮像カメラヘッドユニットの重心が、前記二箇所の取っ手間の略中央に位置していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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