説明

基板検査装置

【課題】1台の検査装置によってさまざまな検査要求に対応可能な基板検査装置を提供する。
【解決手段】基板検査装置の検査本体部は、被検査基板を搬入側から搬出側まで搬送する搬送区域と、被検査基板に所定の検査を行うための検査治具を配置した検査区域とを備え、さらに、搬送区域に配置されていて、被検査基板を搬入側から搬出側まで搬送する第1の搬送装置と、第1の搬送装置の搬送方向と直交する方向に被検査基板を搬送するように配置された第2の搬送装置であって、第1の搬送装置の所定の位置と検査区域内の検査治具を配置した位置との間で被検査基板を搬送するための第2の搬送装置とを備え、第2の搬送装置が被検査基板を保持する把持装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物に予め設定される検査点間の電気的特性を検出して、検査点間の導通検査やリーク検査を行う基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板検査装置は、多数の接触子、プローブ、探針、接触ピン等を取り付けた治具と検査装置とを備える。検査装置は、治具を検査対象物に接近させることによって接触子等の先端を検査点に接触させ、接触子等を経由して検査点に検査装置から電流或いは電気信号を供給する一方、その検査点から電気信号を検出することによって、検査点間の電気的特性を検出して、検査点間の導通の適否やリークの有無の検査を行う。
【0003】
対象物としては、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板又は半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP (chip size package)などの半導体装置(LSI(Large Scale Integration)など)が該当する。
【0004】
例えば、被検査物が基板であり、それに搭載されるものがIC等の半導体回路や抵抗器などの電気・電子部品の場合には、基板に形成された配線や電極が検査の対象物になる。この場合には、検査対象物の配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前のプリント配線基板、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルに配線が形成された回線基板に設けられた検査点間の抵抗値やリーク電流等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断する。
【0005】
対象物が、LSIである場合には、LSIに形成される電子回路が対象部となり、この電子回路の表面パッドが夫々対象点となる。この場合には、LSIに形成される電子回路が所望の電気的特性を有していることを保証するために、検査点間の電気的特性を測定して、この電子回路の良否を判断する。
【0006】
基板検査装置においては、搬送装置を用いて、基板を搬入装置から検査装置に搬送して検査装置において上記の検査を行い、検査済みの基板は搬送装置によって検査装置から選別格納部に搬送される。選別格納部では、検査結果に応じて基板を所定の位置に分類して収容する。検査装置においては、基板が搬送されてくると、治具移動手段によって基板接続治具の検査用の接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を被検査基板の対象点まで移動させてそれに当接させて対象物の所定の検査を行い、検査が終了すると、治具移動手段によりその治具を対象点から待機位置まで移動させる。この動きが、所定の対象点の検査が完了するまで繰り返し行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−54228号公報 特許文献1は、基板を保持する一対の保持部と基板の搬送機構と接触位置のずれを補正する検査部とを備える回路基板検査装置を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の回路基板検査装置は接触位置のずれを補正する手段を備えることによって検査精度を高めている。近年では、経済状況の低迷を反映して検査後の最終製品の価格を下げるため、製造段階での費用の減額の要望が高まっている。
【0009】
本発明は、その要望にこたえるために、1台の検査装置によってさまざまな検査要求に対応可能な基板検査装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、高速で基板検査を行うことによって基板検査装置のランニングコストを下げることのできる基板検査装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、治具の組立及びメンテナンスを容易にすることによって基板検査装置のランニングコストを下げることのできる基板検査装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、検査の際の治具の動きを効率よく制御することによって基板検査装置のランニングコストを下げることのできる基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明に係る基板検査装置の検査本体部は、被検査基板を搬入側から搬出側まで搬送する搬送区域と、前記被検査基板に所定の検査を行うための検査治具を配置した検査区域とを備え、さらに、前記搬送区域に配置されていて、前記被検査基板を前記搬入側から前記搬出側まで搬送する第1の搬送装置と、該第1の搬送装置の搬送方向と直交する方向に前記被検査基板を搬送するように配置された第2の搬送装置であって、前記第1の搬送装置の所定の位置と前記検査区域内の前記検査治具を配置した位置との間で前記被検査基板を搬送するための第2の搬送装置とを備え、該第2の搬送装置が前記被検査基板を保持する把持装置を備えることを特徴とする。
【0014】
その基板検査装置の検査本体部において、前記検査治具が、プローブを備える治具ヘッド部とプローブへの信号の切換を行うスキャナブロックとを備えてもよい。
【0015】
その基板検査装置の検査本体部において、前記第2の搬送装置の前記把持装置が、上側の固定部と下側の押さえ部とを備え、該下側の押さえ部が回動することによって、前記被検査基板を保持したり解放したりすることができる。
【0016】
そのいずれかの基板検査装置の検査本体部において、前記検査本体部の前記検査治具がCCDカメラを備え、CCDカメラが前記被検査基板上の所定のマークを検出することによって、前記検査治具の水平方向及び垂直方向の位置のずれと傾きのずれとを修正することができる。
【0017】
また、本発明に係る基板検査装置は、被検査基板を1枚ずつ搬入するための搬送装置を備える搬入部と、請求項1乃至4のいずれかの検査本体部と、該検査本体部において検査された前記被検査基板を検査の結果に応じて選別して格納する選別格納部とを備え、前記被検査基板が、前記搬入部から前記検査本体部の前記搬入側に供給され、さらに、前記搬出側から前記選別格納部に搬送されることを特徴とする。
【0018】
その基板検査装置において、前記検査本体部は、直方体形状の筐体に形成されており、さらに、前記筐体の一方の前記搬入側に、前記搬入部と連通連結される入口部が形成され、前記筐体の他方の搬出側に、前記選別格納部と連通連結される出口部が形成され、前記第1の搬送装置は、前記入口部から前記出口部へ直線的に前記被検査基板を搬送するよう配置され、前記第2の搬送装置は、前記第1の搬送装置の前記所定の位置から直角に配置されていて、前記第1の搬送装置の所定の位置から前記検査区域内の前記検査治具を配置した位置までの間で前記被検査基板を往復動するようにしてもよい。
【0019】
その基板検査装置において、前記搬入部は前記被検査基板を吸引して持ち上げて前記搬送装置に乗せるための吸引装置を備えることができる。
【0020】
そのいずれかの基板検査装置において、選別格納部が、検査結果に応じて、前記被検査基板を、断線の可能性あり、短絡の可能性あり、又は、それらに該当しないに選別して格納することができる。
【0021】
また、本発明に係る基板を検査して検査結果に応じて選別格納する方法は、被検査基板を積み重ねて1枚ずつ検査本体部に搬入する搬入工程と、該搬入工程から搬入された前記被検査基板を搬出工程に至るまで直線状に搬送する第1の搬送工程と、該第1の搬送工程における搬送経路の所定の位置において該搬送方向と直交する方向に、前記被検査基板を検査区域まで搬送する第2の搬送工程と、前記検査区域において、該検査区域内にある検査治具と前記被検査基板との位置の整列を図る整列工程と、前記検査区域において、前記被検査基板の電気的特性を検査して、断線の可能性あり、短絡の可能性あり、又は、それらに該当しないに選別する検査及び選別工程と、前記検査区域から前記第1の搬送工程の前記搬送経路の所定の位置まで前記被検査基板を搬送する第3の搬送工程と、前記被検査基板を前記検査区域から搬出する搬出工程と、該搬出工程で搬出された前記被検査基板を前記検査及び選別工程での結果に応じてそれぞれ選別した位置に格納する格納工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、1台の検査装置によってさまざまな検査要求に対応可能な基板検査装置を提供することができる。
【0023】
本発明によると、高速で基板検査を行うことによって基板検査装置のランニングコストを低減する基板検査装置を提供することができる。
【0024】
本発明によると、治具の組立及びメンテナンスを容易にすることによって基板検査装置のランニングコストを低減する基板検査装置を提供することができる。
【0025】
また、本発明によると、検査の際の治具の動きを制御することによって基板検査装置のランニングコストを低減する基板検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る基板検査装置の概略の構成を示す平面図である。
【図2】図2は、ワークホルダーの把持部の一実施形態の一部の概略の構成を示す拡大正面図である。
【図3】図3は、図1の3A−3A線から矢印方向に見た検査本体部の簡略化した拡大図である。
【図4】図4は、図1に示す基板検査装置の検査区域における基板検査の方法を説明するために検索位置内の装置の一部を簡略化して示す正面拡大図である。
【図5A】図5Aは、基板検査における被検査基板の検査対象領域と検査治具の動きとの関係を説明するための簡略化した斜視図である。
【図5B】図5Bは、被検査基板の検査対象領域が異なる場合に、検査治具の動きと検査速度との関係を説明するための簡略化した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付図面に基づいて、本発明に係る基板検査装置について説明を行う。なお、各添付図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等を行っている。図面同士で同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0028】
[基板検査装置の概略]
図1は、本発明の一実施形態に係る基板検査装置1の概略の構成を示す。基板検査装置1は、搬入部10、検査本体部12及び選別格納部14を備える。
【0029】
搬入部10は、複数枚の被検査基板を積み重ねて一番上の被検査基板から1枚ずつ順に検査本体部12内に送り込むもので、積み重ねた被検査基板の一番上の被検査基板を吸引して持ち上げるための吸引装置(図示せず)と、被検査基板を1枚ずつ検査本体部12内に送り込むための一対のコンベア18−1とを備える。
【0030】
図1は、被検査基板20−1が一番上の被検査基板として示している。吸引装置は、被検査基板20−1上の所定の複数の位置を吸引して持ち上げて、その基板の両側端面を一対のコンベア18−1上に乗せる。コンベア18−1に乗せられた被検査基板20−1は、コンベア18−1によって検査本体部12内に送り込まれる。
【0031】
検査本体部12は、直方体形状の筐体に形成されていて、搬入部10と連通連結される搬入側には入口部を備え(図示せず)、この入口部を経由して搬入部10から被検査基板が搬入される。また、検査本体部12は、被検査基板を搬入部10側から選別格納部14まで直線状に搬送するための一対のコンベア18−2、18−3、18−4(第1の搬送装置)と、被検査基板の検査を行うための検査区域12dとを備える。図1においては、ある時刻において、各コンベア18−2、18−3、18−4に1枚の被検査基板20−2,20−3,20−4が乗せられた状態を示すが、これに限られず必要に応じて各コンベアは所定の枚数の被検査基板を搬送することができる。一方、被検査基板の搬送される概念を説明する観点から、図1は、1枚の被検査基板が、20−1から20−4まで順に搬送される状態を示していると理解してもよい。
【0032】
また、検査本体部12は、一対のコンベア18−3によって搬送された被検査基板20−3を直交方向にある検査区域12d内の所定の検査位置20pまで往復搬送するための一対の搬送装置19(第2の搬送装置)を備える。一対の搬送装置19には、一点鎖線で示すワークホルダー22が設けられていてこのワークホルダー22を移動することによって被検査基板20を検査位置20pまで搬送する。ワークホルダー22については後述する。
【0033】
検査区域12で検査された被検査基板は、一対の搬送装置19によって検査位置20pから一対のコンベア18−3上に戻され、次に一対のコンベア18−4まで搬送されて、さらに選別格納部14まで搬送される。検査本体部12には、筐体の搬出側に、選別格納部14と連通連結される出口部(図示せず)が形成されていて、被検査基板は、この出口部を経由して検査本体部12から選別格納部14に搬送される。
【0034】
選別格納部14は、OPEN格納区域14−1、LEAK格納区域14−2及びPASS格納区域14−3に分けられていて、それらの区域を横切る一対のコンベアベルト18−5を備える。
【0035】
OPEN格納区域14−1は、検査の結果、断線の可能性があると判断された被検査基板を格納する区域で、LEAK格納区域14−2は、漏れ電流や短絡の可能性があると判断された被検査基板を格納する区域で、PASS格納区域14−3は、それらに該当せず問題がないと判断された被検査基板を格納する区域である。検査本体部12で検査された基板は、コンベアベルト18−5に乗せられた後、検査結果に応じて、いずれかの区域に格納される。
【0036】
なお、検査本体部12の入り口に上下方向に配置された一対の粘着性のローラ23を設けて、被検査基板をそれらの間を通過させることによって塵やごみを取り除くようにしてもよい。
【0037】
(ワークホルダー)
ワークホルダー22は、一対の搬送装置19のそれぞれに対向して取り付けられた把持装置42を備える。各搬送装置19上には3個から4個の把持装置42が取り付けられていて、一対のコンベア18−3によって搬送された被検査基板20−3の搬送方向の前後、言い換えると、基板検査装置1の搬入部10及び選別格納部14に向かう側の端面を把持する(図2)。被検査基板の大きさに応じて使用する把持装置の数を変更することができる。
【0038】
図2に示すように、各把持装置42は、上側の固定部42fと下側の押さえ部42gとを備える。被検査基板を保持していない時には、一点鎖線で示すように、下側の押さえ部42gが下側に回転して上側の固定部42fと下側の押さえ部42gとの間を開放する。被検査基板20−3がコンベアベルト18−3に乗せられて、一点鎖線で示す位置に到達すると、図示せぬ装置によって一点鎖線で示す被検査基板20−3が上方に持ち上げられる。その持ち上げられた被検査基板が、上側の固定部42fの下側の面に接すると、その際に下側の押さえ部42gが回転して被検査基板20−3の下側の面を押さえ、それによって、上側の固定部42fと下側の押さえ部42gとの間で被検査基板20−3を保持する。この状態で、一対の搬送装置19がワークホルダー22を移動して被検査基板を検査区域の検査位置20p(図1)まで搬送する。
【0039】
(検査区域)
検査区域12dには、上下に配置された一対の検査治具26U,26Dが配置されている(図3)。各検査治具は基台28を備えており、基台28には、アライメント用CCDカメラ21、ヘッド部34及びスキャナブロック27−1,27−2が取り付けられている。
【0040】
ヘッド部34は、被検査基板上の所定の検査点に接触するプローブ(接触子)を保持する。プローブは、スキャナブロック27−1,27−2を経由して図示せぬ基板検査装置の制御装置に接続されていて、制御装置とプローブとの間で基板検査用の信号の送受信が行われる。また、制御装置は、プローブから受信した信号に基づいて、検査した基板を、選別格納部14のOPEN格納区域14−1、LEAK格納区域14−2又はPASS格納区域14−3のいずれかに格納するかを決定する。この決定にあたっては、テスト内容に応じて、例えば、印加テスト電圧:1から250V、設定抵抗値:1オームから10MΩ、テスト電流:0.5mAから20mA等を選択して使用する。
【0041】
アライメント用CCDカメラ21は、被検査基板上の所定のマークを検出することによって被検査基板に対するヘッド部34の垂直方向及び水平方向の位置のずれや傾きのずれを検出する。この検出信号に基づいて基台28を直線方向に移動したり回転したりして位置や傾きを修正し、被検査基板の検査点とヘッド部34のプローブの先端位置との整列を図る。各検査治具26U,26Dの移動は例えばリニアモータ機構による。
【0042】
スキャナブロック27−1,27−2は、機能させるプローブへの信号の切換を行う回路装置である。例えば、この実施形態の各スキャナブロックが同時に最大8000本のプローブの信号の切換を行うことができるとすると、1回の走査において、最大、16000本のプローブを機能させて基板検査を行うことができることになる。このため、基台28に取り付けるスキャナブロックの数を増加すると、計算上では、1回に同時に走査できるプローブの数は、そのスキャナブロックの数に比例することになる。例えば、同じ性能を持つスキャナブロックをさらに2つ増設して合計で4台にすると、1回の走査において、最大、32000の検査点を同時に検査することができることになる。ただし、スキャナブロックを増設するためには、必要に応じて、基台を拡張したり、スキャナブロックの重さを考慮して基台の剛性を高めたりする必要がある。ただし、必ずしも最大数の検査点を1回の走査で検査しなければならないわけではなく、必要に応じて1回で走査する検査点の数と走査を繰り返す数とは任意に選択することができる。スキャナブロックにおける機能と被検査基板上の検査点の数との関係は図5A及び図5Bに基づいて後述する。
【0043】
図3は、図1の3A−3A線から矢印方向に見た検査本体部12の検査区域12dにある装置の一部を簡略化して示す拡大図である。図3において、検査区域12dは矢印で示す方向にある。検査区域12dでは、上下の位置に配置された検査治具26U,26Dの間にワークホルダー22によって被検査基板20−3が搬送される。各検査治具26U,26Dでは、アライメント用CCDカメラ21によって被検査基板上の所定のマークを検出し、それを基準として、各検査治具26U,26Dを直線方向に移動したり回転したりして位置や傾きの修正を行い、検査前の所定の位置に検査治具26U,26Dを配置する。
【0044】
図4は、検査前の所定の位置に検査治具26U,26Dを配置した状態を示す。その図に示すように、被検査基板20−3は、把持装置42によって両側の側面を保持された状態で、検査治具26U,26Dの上下のヘッド部34の間に配置されている。各ヘッド部34からはプローブpの先端部が突出しており、検査が開始されると、2つのヘッド部34がともに被検査基板20−3に接近してプローブpの先端部を所定のブロックの検査点に接触させ、基板検査装置の制御装置(図示せず)によって信号の送受信が行われて基板の検査が行われる。必要に応じて、ヘッド部34を隣のブロックに移動して同様の検査を行う。さらに必要に応じて、図3においてクロスする矢印に示すように、検査治具26U,26Dを移動させて、このステップを繰り返す。
【0045】
(検査治具)
各検査治具26U,26Dでは、スキャナブロック27−1,27−2とヘッド部34とは、基台28と接続部32とを経由して電気的配線により接続されている。この場合、両者を直結した場合には検査治具を8000個の検査点用又は16000個の検査点用としての専用機として用いることができる。それに代えて、接続部32にアダプター機能を持たせてヘッド部34を取り外し自在にするとともにプローブを再使用可能にすると、あらゆる被検査基板の検査に対し廉価で対応可能になる。また、それに代えて、接続部32に変換機能を持たせると配線を変更することなくあらゆる被検査基板の検査に対応可能になる。
【0046】
図5Aは、基板検査における被検査基板の検査対象領域と検査治具の動きとの関係を説明するための簡略化した斜視図である。図面の簡略化のために、上方に位置する検査治具26Uのみを示し、下方の検査治具26Dは省略しているが、下方の検査治具26Dについても上方の検査治具26Uと同様の関係が成立する。図5Bは、被検査基板の検査対象領域が異なる場合に、検査治具の動きと検査速度との関係を説明するための簡略化した平面図である。
【0047】
図5Aにおいては、被検査基板20の検査対象領域を大きく3ブロック20a,20b,20cに分けて検査する場合を示す。例えば、各スキャナブロックが3000個の検査点用である場合に、検査対象領域の各ブロックが8000個の検査点を有するときには、検査治具のスキャナブロックは2つのスキャナブロックを用いて4000個の検査点に対応させ、各ブロックを2回で走査するようにする。具体的には、最初に検査対象ブロック20aの半分の奥側の部分にヘッド部34を移動してその部分を走査し、次に残りの半分の手前側の部分にヘッド部34を移動してその部分を走査する。これで、検査対象ブロック20aの検査が完了する。次に、ヘッド部34を隣の検査対象ブロック20bの半分の奥側の部分に移動してその部分を走査し、次にヘッド部34を残りの半分の手前側の部分に移動してその部分を走査して検査対象ブロック20bの検査を完了させる。最後に、さらにヘッド部34を隣の検査対象ブロック20cの半分の奥側の部分を走査し、次にヘッド部34を残りの半分の手前側の部分に移動してその部分を走査して検査対象ブロック20cの検査を完了させる。これにより被検査基板20の検査が完了する。
【0048】
図5B(i)では、例えば、被検査基板上に16000個の検査点が存在する場合に、検査治具のスキャナブロックの合計がそれに対応可能であれば、1回の走査で被検査基板の検査を終了することができる。
【0049】
図5B(ii)においては、例えば、被検査基板上に16000個の検査点が存在する場合に、それを2つのブロックに分けて検査することも可能である。この場合には、検査治具の各スキャナブロックが8000個の検査点に対応可能であると、1台のスキャナブロックを使用すれば足りる。
【0050】
図5B(iii)においては、例えば、被検査基板上に15000個の検査点が存在する場合に、それを3つのブロックに分けて検査することも可能である。この場合には、各検査ブロックは5000個の検査点になるので、検査治具のスキャナブロックが8000個の検査点に対応可能であるときには、1台のスキャナブロックの一部を用いて各検査ブロックの走査を順に行う。
【0051】
図5B(iv)においては、例えば、被検査基板上に16000個の検査点が存在する場合に、それを4つのブロックに分けて検査することも可能である。この場合には、各検査ブロックは4000個の検査点になるので、検査治具のスキャナブロックが8000個の検査点に対応可能であるときには、1台のスキャナブロックの一部を用いて各検査ブロックの走査を行う。
【0052】
このように、スキャナブロックの検査点へ対応可能な最大数まで1回の走査で検査点を走査することができる。しかし、必要に応じて検査対象領域をいくつかのブロックに分けて数回のステップを用いて検査したとしても、検査治具による走査と移動とを繰り返すことによる検査開始から検査終了時までの時間はそれほど増加することはない。例えば、ある試験データによると、被検査基板上に6000個の検査点がある場合に、それを1回で走査した時間は約9.9秒であるが、その6000個の検査点を3000個の検査点ずつ2回で走査した時間は約11.1秒であり、その6000個の検査点を2000個の検査点ずつ3回で走査した時間は約11.9秒であり、その6000個の検査点を1500個の検査点ずつ4回で走査した時間は約12.7秒であり、走査回数が増加すると走査完了までの時間は長くはなったが、走査回数に比例するような遅れの増加はなかった。
【0053】
[基板検査方法の概略]
基板検査装置1を用いて基板検査を行う際の概略を説明する。
【0054】
まず、基板検査装置1の搬入部10に被検査基板を積み重ねる。搬入部10では、積み重ねた被検査基板の一番上の被検査基板20−1を吸引装置を用いて持ち上げてその基板の両側端面を一対のコンベア18−1上に乗せる。コンベア18−1に乗せられた被検査基板20−1は、コンベア18−1から検査本体部12の入口部を経由して検査本体部12内に搬送される(搬入工程)。
【0055】
第1の搬送工程として、検査本体部12内では、先に搬入されていてコンベア18−2に乗せられている被検査基板20−2が、次のコンベア18−3に搬送され、それと同期して、搬入部10から搬入された被検査基板20−1が被検査基板20−2に代わってコンベア18−2上に搬送される。
【0056】
コンベア18−3に搬送された被検査基板20−3は、下方から持ち上げられて、図2に示すように、一対の搬送装置19に設けられたワークホルダー22の対向する把持装置42の間に運ばれる。その持ち上げられた被検査基板20−3の前後の縁部が各把持装置42の上側の固定部42fの下側の面に接すると、下側の押さえ部42gが回転して被検査基板20−3の下側の面を押さえ、それによって、上側の固定部42fと下側の押さえ部42gとの間で被検査基板20−3が保持される。この状態で、一対の搬送装置19がワークホルダー22を移動して被検査基板を検査区域の検査位置20p(図1)まで搬送する(第2の搬送工程)。
【0057】
被検査基板が検査位置20pに配置されると、一対の検査治具26U,26Dがその被検査基板の上下に配置される。各検査治具のアライメント用CCDカメラ21によって被検査基板上の所定のマークが検出されて各検査治具の位置及び傾きが修正され、これにより、各検査治具のヘッド部34のプローブの先端位置と被検査基板の検査点との整列が図られる(整列工程)。
【0058】
基板検査が開始されると、2つのヘッド部34が、被検査基板20−3に接近してプローブpの先端部を所定のブロックの検査点に接触させ、基板検査装置の制御装置(図示せず)によって信号の送受信が行われて基板の検査が行われる。必要に応じて、ヘッド部34を隣の検査点ブロックに移動して同様の検査を行い、さらに必要に応じてその移動を繰り返す。
【0059】
基板検査装置の制御装置は、この検査によって得られたデータに基づいて、被検査基板が選別格納部14のOPEN格納区域14−1、LEAK格納区域14−2又はPASS格納区域14−3のいずれかに格納するかを決定する。この検査では、被検査基板20−3は、検査の結果、断線の可能性がなく、漏れ電流や短絡の可能性もなく、問題がないと判断されたとする。この結果に基づき、基板検査装置の制御装置は、被検査基板20−3をPASS格納区域14−3に格納すると決定する(検査及び選別工程)。
【0060】
基板検査が終了すると、検査治具26U,26Dが被検査基板20−3から離れ、搬送装置19が、ワークホルダー22を移動して、被検査基板20−3をコンベア18−3上に戻す(第3の搬送工程)。被検査基板20−3がコンベア18−3上に到達すると、把持装置42の下側の押さえ部42gが下側に回転して開かれて被検査基板20−3が開放されるとともに、下側の保持装置(図示せず)が被検査基板20−3を保持しながらコンベア18−3上に載置する。
【0061】
被検査基板20−3がコンベア18−3に載ると、コンベア18−3は、検査本体部20の出口部を経由して、その基板を次のコンベア18−4に乗るように搬送する(搬出工程)。コンベア18−4はさらにその基板を選別格納部14のコンベア18−5に乗せる。コンベア18−5は、基板検査装置の制御装置からの検査結果を示す信号に基づいて、被検査基板20−3をOPEN格納区域14−1及びLEAK格納区域14−2を通過させてPASS格納区域14−3まで搬送しそこに格納する(格納工程)。
【0062】
以上、本発明に係る基板検査装置の一実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
【符号の説明】
【0063】
1・・・基板検査装置
10・・・搬入部
12・・・検査本体部
12d・・・検査区域
14・・・選別格納部
18−1,18−2,18−3,18−4,18−5・・・コンベア
20,20−1,20−2,20−3,20−4・・・被検査基板
20p・・・検査位置
21・・・CCDカメラ
22・・・ワークホルダー
23・・・粘着性ローラ
26U,26D・・・検査治具
27−1,27−2・・・スキャナブロック
28・・・基台
34・・・ヘッド部
42・・・把持装置
p・・・プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査基板を搬入側から搬出側まで搬送する搬送区域と、
前記被検査基板に所定の検査を行うための検査治具を配置した検査区域とを備える基板検査装置の検査本体部であって、
前記搬送区域に配置されていて、前記被検査基板を前記搬入側から前記搬出側まで搬送する第1の搬送装置と、
該第1の搬送装置の搬送方向と直交する方向に前記被検査基板を搬送するように配置された第2の搬送装置であって、前記第1の搬送装置の所定の位置と前記検査区域内の前記検査治具を配置した位置との間で前記被検査基板を搬送するための第2の搬送装置とを備え、該第2の搬送装置が前記被検査基板を保持する把持装置を備える、基板検査装置の検査本体部。
【請求項2】
請求項1の基板検査装置の検査本体部において、前記検査治具が、プローブを備える治具ヘッド部とプローブへの信号の切換を行うスキャナブロックとを備える、基板検査装置の検査本体部。
【請求項3】
請求項1又は2の基板検査装置の検査本体部において、前記第2の搬送装置の前記把持装置が、上側の固定部と下側の押さえ部とを備え、該下側の押さえ部が回動することによって、前記被検査基板を保持したり解放したりする、基板検査装置の検査本体部。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの基板検査装置の検査本体部において、前記検査本体部の前記検査治具がCCDカメラを備え、CCDカメラが前記被検査基板上の所定のマークを検出することによって、前記検査治具の水平方向及び垂直方向の位置のずれと傾きのずれとを修正することができる、基板検査装置の検査本体部。
【請求項5】
被検査基板を1枚ずつ搬入するための搬送装置を備える搬入部と、
請求項1乃至4のいずれかの検査本体部と、
該検査本体部において検査された前記被検査基板を検査の結果に応じて選別して格納する選別格納部とを備え、
前記被検査基板が、前記搬入部から前記検査本体部の前記搬入側に供給され、さらに、前記搬出側から前記選別格納部に搬送される、基板検査装置。
【請求項6】
請求項5の基板検査装置において、前記検査本体部は、直方体形状の筐体に形成されており、さらに、
前記筐体の一方の前記搬入側に、前記搬入部と連通連結される入口部が形成され、
前記筐体の他方の搬出側に、前記選別格納部と連通連結される出口部が形成され、
前記第1の搬送装置は、前記入口部から前記出口部へ直線的に前記被検査基板を搬送するよう配置され、
前記第2の搬送装置は、前記第1の搬送装置の前記所定の位置から直角に配置されていて、前記第1の搬送装置の所定の位置から前記検査区域内の前記検査治具を配置した位置までの間で前記被検査基板を往復動する、基板検査装置。
【請求項7】
請求項5又は6の基板検査装置において、前記搬入部は前記被検査基板を吸引して持ち上げて前記搬送装置に乗せるための吸引装置を備える、基板検査装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかの基板検査装置において、選別格納部が、検査結果に応じて、前記被検査基板を、断線の可能性あり、短絡の可能性あり、又は、それらに該当しないに選別して格納する、基板検査装置。
【請求項9】
基板を検査して検査結果に応じて選別格納する方法であって、
被検査基板を積み重ねて1枚ずつ検査本体部に搬入する搬入工程と、
該搬入工程から搬入された前記被検査基板を搬出工程に至るまで直線状に搬送する第1の搬送工程と、
該第1の搬送工程における搬送経路の所定の位置において該搬送方向と直交する方向に、前記被検査基板を検査区域まで搬送する第2の搬送工程と、
前記検査区域において、該検査区域内にある検査治具と前記被検査基板との位置の整列を図る整列工程と、
前記検査区域において、前記被検査基板の電気的特性を検査して、断線の可能性あり、短絡の可能性あり、又は、それらに該当しないに選別する検査及び選別工程と、
前記検査区域から前記第1の搬送工程の前記搬送経路の所定の位置まで前記被検査基板を搬送する第3の搬送工程と、
前記被検査基板を前記検査区域から搬出する搬出工程と、
該搬出工程で搬出された前記被検査基板を前記検査及び選別工程での結果に応じてそれぞれ選別した位置に格納する格納工程とを含む、基板を検査して検査結果に応じて選別格納する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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