説明

基板表面の加工方法、および基板表面加工装置

【課題】水中プラズマによって生成した高反応性物質が作用した基板表面の除去加工性を容易にし、さらにはプラズマの安定性を向上し、被加工物表面に目的外の貫通穴が生成されたり又は凹凸が多数形成されたりすることを回避し得る基板表面の加工方法、および基板表面加工装置を提供する。
【解決手段】水中でプラズマ生成し、かつ微粒子4を供給して被加工基板1の表面を除去加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面の加工方法、および基板表面加工装置に関するものであり、詳細には、水中でプラズマを発生させて、被加工物である基板表面の除去加工を高速かつ平滑に行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
純水中に微粒子を分散させて被加工物である基板表面に対して加工を行う特許文献1〜3に開示されている加工方法は、その加工面は平滑であるものの、その除去加工速度は遅く、最高でも0.4nm/min程度であり、生産装置として広く普及させることができない。また、特許文献5や非特許文献1に開示されている基板表面の加工方法では、図5に示すように、陰イオン交換物質および陽イオン交換物質の少なくとも一方を含む超純水液101に被加工物102である基板に接触させて、基板表面を除去加工する。尚、陰イオン交換物質および陽イオン交換物質は、超純水液101に溶解された状態で存在している。この加工方法では超純水中の水分子を電気分解により、電離し、生成された水酸基又は水酸基イオンを被加工物表面に供給し、被加工物原子と水酸基又は水酸基イオンとの反応によって、材料表面に清浄な酸化膜を形成したり又は材料表面原子をエッチングしたりして、目的とする形状を得るものとなっている。この加工方法では微粒子の効果によって平滑にエッチングできるものの、加工対象物は導電性の基板に限定される。
【0003】
一方、特許文献4に開示されているように、水中でプラズマを発生させて除去加工を行う方法は、種々の材料に対して、特許文献2等の方法と比較して高速に除去加工することができる。
【0004】
尚、本明細書では「エッチング」とは化学的な作用により被加工物表面を除去加工する方法を指す。そして、「除去加工」とは化学的作用、物理的作用のいずれか一方、又は両方を含む加工方法を意味する。また、「機械加工」とは物理的な作用のみによる除去加工方法を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−236939号公報(1989年9月21日公開)
【特許文献2】特開2006−159407号公報(2006年6月22日公開)
【特許文献3】特開2006−159379号公報(2006年6月22日公開)
【特許文献4】特開平10−58236号公報(1998年3月3日公開)
【特許文献5】特開2007−186746号公報(2007年7月28日公開)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Yoshio Ichii, Hidekazu Goto, Journal of the Electrochemical Society, 153, C694 (2006)
【非特許文献2】腐食防食協会編,腐食防食ハンドブック,丸善,p.8(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の基板表面の加工方法では、以下の問題を有している。
【0008】
すなわち、高周波のかかる電極と他方の電極として作用する被加工物との間では高温になる。プラズマはこの高温部において発生する。純水中で発生するプラズマ中にはOHラジカル、Hラジカル等の高反応性物質が多数存在し、被加工物を除去加工可能にするが、被加工物の表面には目的外の酸化物や、貫通穴が生成されてしまう。いずれにしても、純水中でプラズマを発生させ、被加工物の材料表面を除去加工する方法では、ピットが生成し、かつ酸化物が堆積するため、被加工物表面は凹凸が激しく、実用加工となり難い。
【0009】
この原因としては、第1に高反応性物質によって表面をケミカルにエッチング加工するため、エッチングは被加工物表面の原子の欠陥が存在する部分から進行し、エッチピットが生成されることが挙げられる。第2に酸化性の高反応性物質では表面に酸化物が堆積するため、酸化物が除去されず、除去加工が進行しなくなることが原因に挙げられる。
【0010】
第3に、純水中ではプラズマに揺らぎ生じるため、安定した除去加工痕が形成されなかったり、被加工物に対して直接放電したりする。直接アーク放電すると、被加工物の表面には目的外の貫通穴が生成されてしまう。いずれにしても、純水中でプラズマを発生させ、被加工物の材料表面を除去加工する方法では、被加工物表面は凹凸が激しく、実用加工となり難い。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、水中プラズマによって生成した高反応性物質が作用した基板表面の除去加工性を容易にし、さらにはプラズマの安定性を向上し、被加工物表面に目的外の貫通穴が生成されたり又は凹凸が多数形成されたりすることを回避し得る基板表面の加工方法、および基板表面加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の結果、水中においてプラズマを発生させ、粒子を供給することによって、基板表面を平滑に除去できることを見出した。すなわち、この基板表面の加工方法によれば、水中でのプラズマ生成による高反応物質を水の流れを利用して基板に供給することによって、基板表面の物性を変化させることができる。物性変化した部分に対して粒子を供給することによって、粒子表面のゼータ電位による電気化学的な効果、および粒子の基板表面に衝突する物理的な効果により基板表面を均一に除去加工できることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明の基板表面の加工方法は、上記課題を解決するために、水中でプラズマ生成し、かつ粒子を供給して基板表面を除去加工することを特徴としている。
【0014】
本発明の基板表面の加工方法では、前記プラズマ生成は、水中に設けられた基板以外の対向電極間に電界を付与することにより行うと共に、水中でのプラズマ生成による高反応物質、および粒子を水の流れを利用して基板に供給することが好ましい。
【0015】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子がプラズマの生成する電極間を通過することが好ましい。
【0016】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子は親水性であることが好ましい。
【0017】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子は、少なくとも一部に酸素元素を含有していることが好ましい。
【0018】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子の径は、10nm以上かつ100μm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子を分散させた水に、波長10nm〜800nmの光を照射して水素を発生させることが好ましい。例えば、前記粒子として光触媒機能を有する粒子を用いることが好ましい。
【0020】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子の径は、200nm以上かつ5μm以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子を分散させた水は、粒径1μm以上のSiO又はAlのうちいずれか1種類の粒子と、粒径1μm以下のTiOの粒子とを併せて含有した2種類の粒子を含むことが好ましい。
【0022】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子を分散させた水の除去加工処理後の廃液を、透析又はろ過により精製することが好ましい。
【0023】
本発明の基板表面の加工方法では、前記プラズマ生成においては、水中に気泡が導入されていることが好ましい。
【0024】
本発明の基板表面の加工方法では、前記プラズマ生成において、導入する気泡内のガス種は、ヘリウム、アルゴン、ネオン、酸素、二酸化炭素、水蒸気、窒素、アンモニアのうちいずれか1種類を含むことが好ましい。
【0025】
本発明の基板表面の加工方法では、前記プラズマは、グロー状のプラズマであることが好ましい。
【0026】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子を分散させた水をガラス管内に通し、このガラス管内でプラズマを発生させることが好ましい。換言すれば、プラズマを発生させるのはガラス管内であり、該ガラス管内のプラズマ発生領域を分散水が通過することが好ましい。
【0027】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子を分散させた水を、三叉状のガラス管内の一つの管から流入し、他の二つの管に電極をそれぞれ挿入して各管の合流点でプラズマを発生させ、このプラズマ発生領域を通過した直後に該ガラス管の吐出口から基板表面に吐出させることが好ましい。換言すれば、粒子を分散させた水は、三叉状のガラス管の1本を通過した後、プラズマ発生領域を通過し、通過した直後に貫通穴を通して基板表面に吐出すると共に、残りの2本の部分に電極が挿入されていることが好ましい。
【0028】
本発明の基板表面の加工方法では、前記ガラス管の吐出口の先端と基板との間の距離が0.5mm〜2mmであることが好ましい。
【0029】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子を分散させた水中でプラズマ生成するときの電界印加条件として、高周波(RF:radio frequency)の13.56MHz、その倍波の27.12MHz、その4倍波の40.68MHz、150MHz、又はマイクロ波の2.54GHzとすることが好ましい。
【0030】
さらに条件として、パルス状に電力を印加することが好ましい。このパルスの幅は1msec以下であり、印加電圧は0.1kV以上、繰り返し周波数は1Hz以上であることが好ましい。
【0031】
本発明の基板表面の加工方法では、前記粒子を分散させた水の流速は、1m/sec以上かつ50m/sec以下であることが好ましい。
【0032】
本発明の基板表面加工装置は、上記課題を解決するために、上記記載の基板表面の加工方法に用いる基板表面加工装置であって、プラズマを発生させるための2つの電極を有するプラズマ発生手段と、粒子を分散させた水を通す第1枝管と上記プラズマを発生させる電極をそれぞれ挿入する第2枝管および第3枝管とを有し、かつ第1枝管、第2枝管および第3枝管の合流点でのプラズマ発生領域の近傍に該粒子を分散させた水を基板表面に吐出させる吐出口を有する三叉管とを備えていることを特徴としている。
【0033】
すなわち、純水中で発生するプラズマによって除去加工される基板は、凹凸が激しく、また、酸化物が堆積するような加工痕となっていた。この原因は、第1に高反応性物質によって表面をケミカルにエッチングするため、エッチングは被加工物表面の原子の欠陥が存在する部分から進行し、エッチピットが生成されることが挙げられる。第2の原因は、純水中のプラズマで生成する高反応性物質が基板表面に作用しても、単純な水の流れのみでは、基板表面において物性的に変化した部分の除去が困難であると考える。さらには、第3の原因は、水中でのプラズマは不安定であるため、この安定しないプラズマによる基板表面の加工方法では、被加工物表面の加工痕形状も不安定なプラズマシースに依存した形状となることにあると考える。一定時間安定した加工痕が形成されれば、その加工痕の大きさ×時間にて任意の形状に除去加工することが可能になるが、純水中の除去加工では安定した加工痕が形成できないため、任意の形状も形成することができなかった。
【0034】
これに対して、本発明では、水中でプラズマ生成し、かつ粒子を供給して基板表面を除去加工することにより、物性的に変化した部分の除去加工性を容易にし、さらにはプラズマの安定化を図ることが可能になる。
【0035】
また、本発明では、プラズマ生成は、水中に設けられた基板以外の対向電極間に高周波等の電界を付与することにより行うと共に、粒子を分散させた水中でのプラズマ生成によるOHラジカル、オゾン、過酸化水素、Oラジカル等の高反応物質を水の流れを利用して基板に供給する。これにより、まず、高反応性物質が基板表面に作用することによって、基板表面の物性が変化する。次に、粒子の物理的衝撃およびゼータ電位を利用した化学的な効果によって、凸部を選択的に除去することが可能となり、平滑な表面を作製することができる。
【0036】
さらには、水中に分散した粒子がプラズマの生成する電極間を通過することにより、粒子表面での沿面放電が可能となり、安定したプラズマシースを作ることが可能になる。このとき、プラズマ生成するときに基板に電圧を印加することはない。したがって、被加工物である基板の表面に直接アーク放電することがなくなり、基板表面にダメージが発生するのを防止することができる。
【0037】
したがって、水中プラズマの安定性を向上し、被加工物表面に目的外の貫通穴が生成されたり又は凹凸が多数形成されたりすることを回避し得る基板表面の加工方法を提供することができる。さらに一定時間安定した加工痕が形成可能になることで、任意の形状にも除去加工することが可能になる。
【0038】
また、光が照射されることによってOHラジカルを生成する光触媒機能を有する粒子を混ぜたときには、水分子を分解し易くなる。このため、水中に含まれる活性酸素種つまり高反応物質は、絶対量が多くなり、基板表面に到達する頻度が高くなり、高速で除去加工することが可能になる。
【0039】
さらに、活性酸素種は粒子近傍での存在量が多いため、粒子の表面形状に依存した加工痕が形成される。粒子は多数存在しており、基板表面にランダムに衝突するため、加工痕は粒子の形状の重ね合わせにより形成される。すなわち、粒子形状が平滑であり、かつ衝突のランダム性が存在すれば、基板における平滑な表面の作製が可能になる。
【0040】
また、粒子の物理的衝撃およびゼータ電位を利用した化学的な効果によって、凸部を選択的にエッチングすることが可能となり、平滑な表面を作製することができる。
【0041】
さらに、この粒子を含有する水は、除去加工後、透析、ろ過により、加工生成物の除去が可能であるため、再利用が可能であり、従来のような廃液処理の問題も回避できる。また、単純に物理的に表面を除去する「機械加工」等とは異なり、加工表面のダメージが少なく、実用上十分な平滑性を実現することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の基板表面の加工方法は、以上のように、水中でプラズマ生成し、かつ粒子を供給して基板表面を除去加工する方法である。
【0043】
また、本発明の基板表面加工装置は、以上のように、上記記載の基板表面の加工方法に用いる基板表面加工装置であって、プラズマを発生させるための2つの電極を有するプラズマ発生手段と、粒子を分散させた水を通す第1枝管と上記プラズマを発生させる電極をそれぞれ挿入する第2枝管および第3枝管とを有し、かつ第1枝管、第2枝管および第3枝管の合流点でのプラズマ発生領域の近傍に該粒子を分散させた水を基板表面に吐出させる吐出口を有する三叉管とを備えているものである。
【0044】
それゆえ、水中プラズマによって生成した高反応性物質が作用した基板表面の除去加工性を容易にし、さらには水中プラズマの安定性を向上し、被加工物表面に目的外の貫通穴が生成されたり又は凹凸が多数形成されたりすることを回避し得る基板表面の加工方法、および基板表面加工装置を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明における基板表面加工装置の実施の一形態を示す構成図である。
【図2】上記基板表面加工装置の実験系におけるプラズマ発光時の発光分光測定結果を示すチャートである。
【図3】上記基板表面加工装置の実験系において、SiO微粒子を分散させた水中でプラズマを発生させて除去加工を行ったときの銅ウエハ表面のカメラによる観察結果を示す図である。
【図4】本実施の形態の比較例を示すものであり、上記基板表面加工装置の実験系において、比較のために純水中でプラズマを発生させて除去加工を行ったときの銅ウェハ表面のカメラによる観察結果を示す図である。
【図5】従来の基板表面加工装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の一実施形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0047】
本実施の形態の基板表面の加工方法は、基材表面を除去加工する方法であって、水中において、プラズマを生成し、粒子を供給することで基板表面を除去加工する方法である。
【0048】
すなわち、水中プラズマを用いた除去加工では活性酸素種により被加工物である基板を表面酸化し、その後にその酸化物を除去するという工程が必要である。これに対して、本実施の形態の基板表面の加工方法では、超純水中に微粒子を混ぜることによって、酸化膜の除去効果が向上することが実験により確認できた。また、除去加工後の表面粗さも微粒子の存在しない条件よりも良好であることを確認した。さらに、実験時においてプラズマが安定化することも確認できた。
【0049】
本実施の形態では、プラズマ生成は、水中に設けられた基板以外の対向電極間に高周波等の電界を付与することにより行うと共に、粒子を分散させた水中でのプラズマ生成によるOHラジカル、オゾン、過酸化水素、Oラジカル等の高反応物質を水の流れを利用して基板に供給することが好ましい。これにより、プラズマ生成するときに基板に電圧を印加することはない。したがって、被加工物表面に直接アーク放電することがなくなり、被加工物表面にダメージが発生するのを防止することができる。尚、本実施の形態では、高周波にてプラズマ生成しているが、本発明においては、必ずしもこれに限らず、直流電圧によるアーク放電、又はマイクロ波等の電界によるプラズマ生成を行うことが可能である。
【0050】
また、粒子は、酸素元素を含有する物質であることが好ましい。プラズマの発生している領域においては、酸化性物質が多数存在している。酸素を含有する粒子であれば物性が変化せず、繰り返し利用することが可能になるため、廃棄物を出さず、低環境負荷な加工法となる。
【0051】
粒子を構成する元素の種類としては特に制限されず、酸素元素とそれ以外の1元素との合計2種類の元素からなる粒子であってもよいし、又は酸素元素とそれ以外の2元素以上との合計3種類の元素以上からなる粒子であってもよい。
【0052】
粒子の粒径は、特に制限されない。具体例として、粒径の下限は、特に制限されないが、例えば、10nm以上であり、好ましくは100nm以上である。ただし、粒径が10nm以上でないと、後述する透析やろ過による不純物分離が困難になる。また、粒径の上限も特に制限されないが、例えば100μm以下であり、より好ましくは10μm以下であることが好ましい。水中に粒子を分散する場合、粒径は100μm以下でないと分散しない虞がある。
【0053】
上記粒子を分散させた分散水に、光を照射したときに、水素を発生することが好ましい。照射する光は限定されず、具体例として、光の波長の下限は10nm以上、上限は800nm以下であることが好ましい。
【0054】
すなわち、粒子は光触媒機能を有していることが好ましい。このような粒子として、例えば、二酸化チタン(TiO)が挙げられる。例えば、光触媒機能を有する二酸化チタン(TiO)に光を照射すると、その表面から電子が飛び出す。このとき、電子が抜け出た穴は正孔(ホール:h)と呼ばれており、プラスの電荷を帯びている。正孔は強い酸化力をもち、水から電子を奪うことによって下記の化学式に示すように、活性なOHラジカル(OH)と水素イオン(H)とを生成する。
【0055】
O+h→H+OH
この活性なOHラジカルは水分子と反応することによって、オゾン、過酸化水素、Oラジカル等の活性な物質を生成する。
【0056】
一方、光照射時に生成した、電子(e)が水分子に供給されると、下記の化学式のように水素ラジカルが発生する。様々な反応形態が予想されるが、最終的には水素ラジカル同士が反応した格好になり、水素ガスが発生する。
【0057】
O+e→OH +H
+H→H
このように光触媒機能を有している微粒子が存在することによって、活性種を基板表面まで輸送することが可能になり、高速で基材表面を酸化することが可能になる。
【0058】
また、分散水に含まれる粒子は、特に制限されないが、その粒径の下限は200nm以上であることが好ましい。また、その粒径の上限も特に制限されないが、5μm以下であることが好ましい。
【0059】
この理由は、加工したときに、被加工物表面では酸化物の堆積物が存在するが、粒径が200nm以上の粒子であれば、被加工物表面の酸化物の堆積物を物理的化学的に除去することが可能になる。また、5μm以下の粒子であれば水中に良好に分散し、沈殿し難く、基板表面加工装置のメンテナンス性を向上させる。
【0060】
分散水中の粒子の1種類は、特に制限されないが、例えば、TiO、SiO、Ta、Al、ZrO、CeO、ゼオライトが挙げられる。TiO、Taを含む粒子を用いればプラズマから発生するエネルギーを吸収し、微粒子表面でOHラジカル、オゾン、過酸化水素、又はOラジカル等の活性種を生成することができるようになる。さらには、プラズマ中で発生した活性種を基板表面まで輸送することが可能になり、高速で除去加工することが可能になる。
【0061】
また、TiO、SiO、Ta、Al、ZrO、CeO、ゼオライトのそれぞれの分散水は、それぞれ特有のpHを有しており、被加工物材料のPourbaix線図(非特許文献2)に応じて、エッチング特性が得られるよう粒子を選択することが好ましい。例えば銅の場合、塩基性においては酸化物が膜形成されるが、酸性になると、エッチング特性が得られる。したがって、銅の除去加工においてはSiOの粒子が分散水に含有されていることが好ましい。これによって、分散水は酸性になるので、エッチング特性を得ることができる。
【0062】
さらに、分散水が、SiO、又はAlのうちいずれか1種類の粒子を含有していることが望ましく、さらにTiOの粒子を併せて含有し、2種類の粒子からなることが好ましい。
【0063】
すなわち、それぞれの粒子の粒径については、特に制限されないが、SiO、Alは1μm以上であることが望ましく、TiOは1μm以下であることが好ましい。TiOは従来の粒子が存在しない場合と比較して高速に酸化膜を表面に作製する効果を有している。このため、粒径が1μm以上になると、1μm以下の場合と比較して同一密度内の粒子数に対する総表面積が小さくなるので、表面酸化能力の高いTiOとしては同一密度内の粒子数に対する総表面積を大きくするように粒径が小さい方がよい。酸化膜を効率的に除去するためには、粒子の物理エネルギーが必要であり、粒径が1μm以上の微粒子が必要である。ここで、SiO粒子表面はpHが酸性である。種々の材料を除去加工する場合において、Pourbaix線図から酸性でエッチングされる材料はSiOを用いることが望ましく、塩基性でエッチングされる材料に対してはAlを用いることが好ましい。
【0064】
また、除去加工処理後の分散水の廃液を、透析、ろ過により精製することが好ましい。除去加工後の廃液は、加工生成物由来の不純物が多く存在する。このような不純物が水中に存在すると、非特許文献1に記載のように、基板表面に不純物が析出したり、基板の電気特性が変化したりする。ここで、加工生成物等の不純物は、除去加工後の廃液から透析又はろ過によって除去することが可能となるため、清浄な状態で除去加工を行うことが可能になる。その結果、基板表面は、平滑に、かつ、電気特性を変えずに除去加工できる。
【0065】
本実施の形態によって表面除去加工できる基板の種類は、特に制限されず、例えば、有機物基板、導電性材料基板が挙げられ、例えば、シリコン基板や、チタン、鉄、アルミニウム、タングステン、モリブデン、銅、ゲルマニウム等の各種金属基板や、SUS又はジェラルミン等の合金基板や、半導体の露光に用いられるフォトレジストや、金型に対して離型時に付着する樹脂等の高分子材料や、窒化物基板として利用されるSiN、AlN、TaN、TiN等が挙げられる。基板の種類と粒子との組合せは、特に制限されないが、銅基板には、例えば、SiOとTiOとの2種類の微粒子混合分散水を使用することが好ましい。
【0066】
ここで、本実施の形態の基板表面の加工方法を実現する基板表面加工装置の一例について、図1に基づいて説明する。図1は、基板表面加工装置を示す構成図である。尚、この基板表面加工装置はあくまで一例であり、水中でプラズマを発生させて微粒子を供給すること以外は、何ら制限されない。
【0067】
本実施の形態の基板表面加工装置としてのエッチング装置10は、図1に示すように、基板としての被加工基板1を水としての超純水2に浸漬するための加工槽3と、プラズマを発生させるための2つの電極21・22を有するプラズマ発生手段としてのプラズマ発生装置20と、粒子としての微粒子4を分散させた超純水2を通す第1枝管31と上記プラズマを発生させる電極21・22をそれぞれ挿入する第2枝管32および第3枝管33とを有し、かつ第1枝管31、第2枝管32および第3枝管33の合流点でのプラズマ発生領域23の近傍に微粒子4を分散させた超純水2を被加工基板1の表面に吐出させる吐出口34を有するガラスからなる例えばT字状の三叉管30とを備えている。尚、本発明においては、三叉管30は必ずしもT字状に限らない。
【0068】
上記加工槽3からはポンプ5および廃水処理装置6を有する循環用パイプ7が配設されている。そして、ポンプ5を駆動することにより、加工槽3から排出された超純水2が循環用パイプ7を通して廃水処理装置6で透析、ろ過により精製された後、三叉管30の第1枝管31へ循環されるようになっている。
【0069】
上記プラズマ発生装置20は、高周波電源24により電極21・22の間のプラズマ発生領域23にて高周波プラズマを発生するものとなっている。
【0070】
上記エッチング装置10にて被加工基板1の表面を均一に除去加工するときの動作について説明する。
【0071】
まず、加工槽3の内部に微粒子4を含む超純水2を注入し、被加工基板1を超純水2中に浸漬させる。そして、ポンプ5を駆動させて、加工槽3内から超純水2を排出し、循環用パイプ7を通じて三叉管30の第1枝管31へ流入させ、吐出口34から吐出して加工槽3に超純水2を循環させる。これと同時に、プラズマ発生装置20の高周波電源24にて電圧を印加して電極21・22の間のプラズマ発生領域23に高周波プラズマを発生させる。高周波によるプラズマにて超純水2が水酸化物イオンと水素イオンとに分解され、かつ、超純水2の循環によってプラズマ発生領域23を通過しかつ吐出口34から吐出された微粒子4を含む超純水2が被加工基板1の表面に吹き付けられ、除去が行われる。尚、超純水2の流量および流速は、ポンプ5の制御によってコントロールできる。
【0072】
ここで、本実施の形態では、分散させる水としては、純水(比抵抗15.0MΩ・cm以上、電気伝導率0.0667μS・cm(25℃)以下)が好ましい。
【0073】
また、前記プラズマ生成においては水中に気泡が導入されていることが好ましい。気泡が存在することにより、気泡外において流れるイオン伝導がし難くなり、抵抗が高くなる。その結果、水の温度が高くなり易く、容易に水蒸気が電極近傍で生成し、水蒸気内で放電し易い。さらに、流れる気泡自体が電極近傍に存在することによって、気泡そのものの中で放電が行われる。放電する際に、用いた気泡を構成する元素の活性物が形成されるため、様々な種類の加工を行うことができる。気泡の種類は特に制限されないが、導入する気泡内のガス種は、ヘリウム、アルゴン、ネオン、酸素、二酸化炭素、水蒸気、窒素、アンモニアのうちいずれか1種類を含むことが望ましい。
【0074】
また、本実施の形態では、プラズマを発生させるのは例えばガラス管からなる三叉管30の内部であり、その三叉管30の内部のプラズマ発生領域23に分散水が通過することが好ましい。ガラス管からなる三叉管30の内部に分散水を通過させるのは、分散水の吐出方向を限定し、効率的な加工を行うためである。また、分散水がプラズマ発生領域23を直接通過するためには三叉管30の内部でプラズマを発生させることが好ましい。
【0075】
また、ガラス管は、三叉形状の三叉管30であることが望ましく、分散水はその三叉管30の第1枝管31を通過した後、プラズマ発生領域23を通過し、通過した直後に貫通穴である吐出口34を通して被加工基板1の表面に吐出することが望ましい。また、三叉管30の残りの2本の部分である第2枝管32および第3枝管33に電極21・22がそれぞれ挿入されていることが好ましい。
【0076】
三叉形状であることによって、電極21・22と第1枝管31での縦方向の水流路とを分離でき、電極21・22の先端部分に電界がかかり易くなり、目的の部分でプラズマを発生させ易くなる。また、プラズマ発生領域23を通過した直後に分散水が吐出できるため、プラズマ内で発生した活性種が失活する前に被加工基板1の表面と反応することが可能になる。尚、本実施の形態では三叉管30はガラス管にてなっているが、本発明においては、三叉管30は必ずしもこれに限らず、他の材料からなっていてもよい。
【0077】
上記三叉管30の吐出口34と被加工基板1の表面との距離も特に制限されないが、0.5mm〜2mmであることが好ましい。0.5mmよりも近い場合は、被加工基板1の表面に直接放電する回数が増加し、被加工基板1の表面に放電痕が生成され、平滑な加工を行うことができない虞がある。
【0078】
また、2mmを超えると、発生した活性種が被加工基板1の表面と反応する前に、活性度が低下し、高速な加工を行うことができなくなる虞がある。すなわち、水中プラズマ中で生成した高反応性物質は被加工基板1の表面に到達する前に、安定な物質に変化する虞がある。例えばOHラジカルは100万分の1秒程度の速度で、Hや水、オゾン、酸素ガス等の別の物質に変化するといわれている。このため、高反応性物質が被加工基板1の表面に到達せず、高速で加工することができない虞がある。
【0079】
また、プラズマ発生装置20におけるプラズマの周波数は特に制限されない。例えば、最もよく使われる高周波である13.56MHz、倍波の27.12MHz、その4倍波の40.68MHz、150MHz、又はマイクロ波と呼ばれる2.45GHzであることが好ましい。また、印加する電圧はパルス状であることが好ましく、パルス幅は1msec以下、印加電圧は0.1kV以上、繰り返し周波数は1Hz以上であることが好ましい。
【0080】
放電条件は特に制限されないが、13.56MHzの周波数の電源を用いた場合、高周波電力は20W〜300Wであることが好ましい。20W未満では加工が殆どされない。また、300Wを超える場合では被加工基板1の表面に直接放電する回数が増加し、被加工基板1の表面に放電痕が生成され、平滑な加工を行うことができない。電極21・22の間の距離も特に制限されないが、2mm〜50mmであることが好ましい。また、電極21・22のそれぞれの表面に誘電体が存在していてもよい。
【0081】
分散水を流す流速についても特に制限されない。例えば、流速の下限は特に制限されず、1m/secを超えることが好ましい。流速の上限についても特に制限されないが、50m/secを下回ることが好ましい。流速が1m/sec以上であることが好ましいが、この理由は、生成したOHラジカル等の活性酸素種が被加工基板1の表面に到達するまでに安定な物質に変化することを防ぐことができるからである。すなわち、水中プラズマ中で生成した高反応性物質が、被加工基板1の表面に到達したとしても、表面では酸化物が堆積し、効率的な加工を行うことができないということを防止することができる。
【0082】
OHラジカルやOやH、スーパーオキサイドアニオンは、時間が経過すると活性度が低下する。これら生成した活性種を、活性な状態で被加工基板1の表面に到達させるために、流速を増加させることが好ましい。また、流速50m/secを超えると大型のプランジャーポンプが必要となり、高価となり実用的な生産装置にならない。さらに、50m/secを超える分散水を吹き付けると、例えばパターニングした試料においては、パターンが水流の物理的なエネルギーにより破壊されるため、実用的でなくなる。
【0083】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0084】
本実施の形態の基板表面の加工方法について確認実験を行ったので、以下に説明する。
【0085】
まず、超純水2中に、微粒子4を投入し、スターラーにて攪拌させる。攪拌の回転数、時間に関しては、特に制限されず、沈殿物がなくなる程度まで攪拌することが好ましい。また、攪拌方法は、超音波振動を用いたもの、ビーズミル、ロールミルであってもよい。仮に沈殿物が分散しきらなくとも、上澄み液を用いて加工してもよい。
【0086】
次に、分散後の微粒子4を用いて、プラズマを水中で発生させて被加工基板1の表面の除去加工処理を行う。本実施例において、除去加工処理は、前述のように水中で発生するプラズマを利用したものである。
(1)微粒子分散水の調整
超純水2(比抵抗18.25MΩ・cm)中に、2%となるように直径2μmのSiOからなる微粒子4(商品名ハイプレシカ;宇部日東化成社製)を定量し、攪拌を行い、分散させた。攪拌はスターラーで行い、攪拌時間は2時間とした。除去加工には上澄み液を用いた。
(2)活性種の評価
図1に示すエッチング装置10の実験系において水中においてプラズマを発生させたときの発光分光測定を行った。測定結果を図2に示す。OHラジカルが存在する場合には、282nmや308nmの波長のピークが存在する。また、Hラジカルが存在する場合には、656nmの波長のピークが存在する。Oラジカルが存在する場合には、777nmや845nmの波長のピークが存在する。測定の結果、水中プラズマ中においてOHラジカル、Hラジカル、Oラジカルが存在することを確認した。
(3)銅薄膜付きウエハの加工
分散したSiO微粒子の溶液中でプラズマを発生させて銅薄膜付きウエハ(エレクトロニクスエンドマテリアルズコーポレーション社製)の表面除去加工を行った。除去加工には、図1に示すエッチング装置10を使用した。このエッチング装置10においては、金属棒の2本の電極21・22のうち1本をアース25に接続し、もう1本を高周波電源24に接続した。高周波電源24は周波数13.56MHzのものを使用した。
【0087】
上記金属棒からなる電極21・22の直径は2mmである。
【0088】
また、図1に示すように、この金属棒からなる電極21・22を内径4mmのガラス管からなる三叉管30に挿入し、第1枝管31、第2枝管32および第3枝管33の各管の合流点つまり三叉管30の中央部に微粒子4の分散水が流れるようにした。上記三叉管30の中央部の先端にはφ4mmの貫通孔からなる吐出口34が開いており、この吐出口34から吐出する分散水の流量は1.5L/minとした。また、ガラス管下面である吐出口34の先端と被加工基板1である銅薄膜付きウエハとの間の距離は1mm、加工時間は10分とした。尚、流量から求められる本実験における流速は1.2m/secに相当する。
【0089】
SiO微粒子分散水中でのプラズマ発生による除去加工後の表面についてのカメラによる表面観察像を図3に示す。また、比較のため、微粒子4の存在しない条件において除去加工した表面についても同様の測定を行った。その結果についても同様に図4に示す。
【0090】
また、触針式粗さ計(東京精密社製)による除去加工後の表面形状の測定を行った結果、微粒子分散水中でのプラズマ発生による加工を行ったサンプルでは中心線平均粗さ(Ra)が0.012μmであったのに対し、微粒子4なしでのプラズマ発生による加工を行ったサンプルではRaが0.019μmであった。表面形状の測定により、本基板表面の加工方法における深さ方向に対するエッチング速度はいずれの条件においても0.04μm/minであった。
【0091】
このように、本実施の形態の基板表面の加工方法により、加工後の表面形状は平滑にすることができた。上記の実験条件および結果について下記表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
また、カメラによる表面観察像から分かるように、微粒子分散水中でのプラズマ発生による除去加工を行ったサンプルでは、図3に示すように、黒色の酸化膜がないのに対して、微粒子4なしでのプラズマ発生による加工を行ったサンプルでは、図4に示すように、黒色の酸化膜が残留する結果となった。これはSiO表面においてはpHが酸性であることと、銅酸化膜が非特許文献2に示すPourbaix電位図から酸性では溶解されることとから、pHの変化を利用して酸化膜を効率的にエッチングつまり除去できたと考える。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、水中でプラズマを発生させて、基板に除去加工を行う基板表面の加工方法、および基板表面加工装置に関するものであり、ウエハ等の基板のエッチング加工に適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1 被加工基板(基板)
2 超純水(水)
3 加工槽
4 微粒子(粒子)
5 ポンプ
6 廃水処理装置
7 循環用パイプ
10 エッチング装置(基板表面加工装置)
20 プラズマ発生装置
21・22 電極
23 プラズマ発生領域
24 高周波電源
25 アース
30 三叉管
31 第1枝管
32 第2枝管
33 第3枝管
34 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中でプラズマ生成し、かつ粒子を供給して基板表面を除去加工することを特徴とする基板表面の加工方法。
【請求項2】
前記プラズマ生成は、水中に設けられた基板以外の対向電極間に電界を付与することにより行うと共に、
水中でのプラズマ生成による高反応物質、および粒子を水の流れを利用して基板に供給することを特徴とする請求項1記載の基板表面の加工方法。
【請求項3】
前記粒子がプラズマの生成する電極間を通過することを特徴とする請求項1又は2記載の基板表面の加工方法。
【請求項4】
前記粒子は親水性であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の基板表面の加工方法。
【請求項5】
前記粒子は、少なくとも一部に酸素元素を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項6】
前記粒子の径は、10nm以上かつ100μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項7】
前記粒子を分散させた水に、波長10nm〜800nmの光を照射して水素を発生させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項8】
前記粒子の径は、200nm以上かつ5μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項9】
前記粒子を分散させた水の除去加工処理後の廃液を、透析又はろ過により精製することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項10】
前記プラズマ生成においては、水中に気泡が導入されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項11】
前記粒子を分散させた水をガラス管内に通し、このガラス管内でプラズマを発生させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項12】
前記粒子を分散させた水を、三叉状のガラス管内の一つの管から流入し、他の二つの管に電極をそれぞれ挿入して各管の合流点でプラズマを発生させ、このプラズマ発生領域を通過した直後に該ガラス管の吐出口から基板表面に吐出させることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項13】
前記粒子を分散させた水の流速は、1m/sec以上かつ50m/sec以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の基板表面の加工方法に用いる基板表面加工装置であって、
プラズマを発生させるための2つの電極を有するプラズマ発生手段と、
粒子を分散させた水を通す第1枝管と上記プラズマを発生させる電極をそれぞれ挿入する第2枝管および第3枝管とを有し、かつ第1枝管、第2枝管および第3枝管の合流点でのプラズマ発生領域の近傍に該粒子を分散させた水を基板表面に吐出させる吐出口を有する三叉管とを備えていることを特徴とする基板表面加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−188473(P2010−188473A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35377(P2009−35377)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】