説明

基板装置

【課題】基板パターン配線効率の向上を図ることが可能な基板装置を提供する。
【解決手段】電気・電子部品としてのリレー15を横向きに実装し、この時、リレー15における接続端子24〜28を、空中配索されるバスバー20とプリント基板12とにそれぞれ直接接続をする。横向きの実装となるリレー15の部品側面32には、プリント基板12に対して当接可能な支持脚部33を設ける。支持脚部33は、部品側面32に直接又は間接的に設けるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品を実装するプリント基板の上方空間にバスバーを空中配索してなる基板装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4において、基板装置1は、自動車等の車両に搭載される電気接続箱の一構成として設けられており、プリント基板2を有している。このプリント基板2には、コネクタ3、リレー4、ヒューズ端子5、バッテリー側電源入力端子6、及びオルタネータ側電源入力端子7が配設、実装されている。基板装置1には、電源を分配するための回路や、コネクタ3同士の間での信号を中継するための回路等が設けられている。
【0003】
上記電源を分配するための回路について説明をすると、バッテリー側は、バッテリー側電源入力端子6→ヒューズ端子5(→図示しないヒューズ)→コネクタ3となる経路を有しており、オルタネータ側は、オルタネータ側電源入力端子7→リレー4→ヒューズ端子5(→図示しないヒューズ)→コネクタ3となる経路を有している。
【0004】
プリント基板2には、バッテリー側電源入力端子6又はオルタネータ側電源入力端子7とリレー4とを繋ぐ配線パターン(基板パターン)、リレー4とヒューズ端子5とを繋ぐ配線パターン(基板パターン)、ヒューズ端子5とコネクタ3とを繋ぐ配線パターン(基板パターン)、一方のコネクタ3と他方のコネクタ3とを繋ぐ配線パターン(基板パターン)が形成されている。
【0005】
プリント基板2における配線パターンのうち、例えば電源を分配するための回路にあっては、比較的大電流が流れる回路となることから、配線パターンの幅を大きくとる必要があるが、この場合、プリント基板2の高密度実装が困難になってしまうという問題点や、配線パターンを効率よく形成することが困難になってしまうという問題点を有している。
【0006】
そこで、上記の問題点を解消するためとして、下記特許文献1に開示された技術が有効であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−43810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された技術は、上記の問題点を解消するために有効であるが、本願発明者は更なる創意工夫の余地があると考えている。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、基板パターン配線効率の向上を図ることが可能な基板装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の基板装置は、電気・電子部品をプリント基板に実装するにあたり、複数の接続端子が突出する部品下面を前記プリント基板に対し略直交するような横向きの実装とし、且つ前記複数の接続端子のうち一つを前記プリント基板の上方空間に空中配索される電源供給用のバスバーに接続することを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、プリント基板に実装される電気・電子部品は、プリント基板を介してでなく空中配索されるバスバーによって直接電源が供給される。プリント基板には、電気・電子部品に対し電源を供給するための配線パターンが不要になる。
【0012】
請求項2記載の本発明の基板装置は、請求項1に記載の基板装置において、前記電気・電子部品における前記プリント基板に対向する部品側面に、前記プリント基板に対して当接可能な支持脚部を直接又は間接的に設けることを特徴とする。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、横向きに実装される電気・電子部品は、部品本体の側面(部品側面)がプリント基板に対して近づくような配置になるものの、部品側面に支持脚部を設けていることから、部品本体がプリント基板の回路面に例えば当接してしまうことはなく、結果、保護される。本発明によれば、部品側面に支持脚部を間接的に設ける場合に、電気・電子部品は既存のものを用いることが可能になり、逆に直接設ける場合には、例えば既存品に加工を施す必要があるものの、部品点数の増大を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された本発明によれば、基板パターン配線効率の向上を図ることが可能な基板装置を提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、基板装置の省スペース化を図ることができるという効果も奏する。
【0015】
請求項2に記載された本発明によれば、プリント基板の回路面を保護することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の基板装置を示す斜視図である。
【図2】バスバーとリレーの接続部分を示す拡大斜視図である。
【図3】リレーの斜視図である。
【図4】従来例の基板装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
電気・電子部品を横向きに実装し、この時、電気・電子部品における複数の接続端子を、空中配索されるバスバーとプリント基板とにそれぞれ直接接続をする。横向きの実装となる電気・電子部品の部品側面には、プリント基板に対して当接可能な支持脚部を設ける。支持脚部は、部品側面に直接又は間接的に設けるものとする。
【実施例】
【0018】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の基板装置を示す斜視図である。また、図2はバスバーとリレーの接続部分を示す拡大斜視図、図3はリレーの斜視図である。
【0019】
図1において、引用符号11は基板装置を示している。この基板装置11は、自動車等の車両に搭載される電気接続箱の一構成として設けられている。基板装置11は、矩形平板状のプリント基板12を有している。また、基板装置11は、車両に搭載されるバッテリーやオルタネータに接続される電源入力端子(図示省略)を含む電源用コネクタ13と、ヒューズ(図示省略)を装着するためのヒューズキャビティ14と、複数のリレー15(特許請求の範囲に記載した電気・電子部品に相当)と、図示しないワイヤハーネス端末に設けられるコネクタとの接続をするためのハーネス用コネクタ16、17と、後述する複数の回路とを備えて構成されている。複数の回路は、電源用コネクタ13、ヒューズキャビティ14、リレー15、及びハーネス用コネクタ16、17を相互に接続するための回路として備えられている。
【0020】
上記複数の回路のうち、電源用コネクタ13からのびてヒューズキャビティ14及び複数のリレー15へと複数に分岐する回路は、バスバー本体18及び複数の分岐バスバー19を有するバスバー20によって形成されている。バスバー20には、比較的大電流が流れるようになっている。また、ヒューズキャビティ14からハーネス用コネクタ16、17へとのびる複数の回路もバスバー21、22によって形成されている。バスバー21、22にも比較的大電流が流れるようになっている。バスバー20〜22は、大電流回路として形成されている。
【0021】
バスバー20〜22で構成される大電流回路は、プリント基板12の上方に存在する空間、すなわち上方空間23に空中配索されている。一方、このような大電流回路とは別に比較的小電流が流れる小電流回路にあっては、プリント基板12に所望の配線パターンで形成されている(小電流回路は従来同様であるものとし、詳細な説明は省略するものとする)。
【0022】
本実施例において、バスバー21、22の大電流回路に関しては、背景技術の欄の特許文献1(特開2007−43810号公報)に開示されたものと基本的に同じであるものとし、ここでの詳細な説明は省略するものとする(特にハーネス用コネクタ16、17との接続に用いる内容が基本的に同じであるものとする)。よって、以下では上方空間23に空中配索されるバスバー20(分岐バスバー19)による大電流回路、プリント基板12の上記小電流回路、及び、プリント基板12に実装されるリレー15について説明をする。
【0023】
バスバー20は、複数のリレー15に対しプリント基板12を介さずに電源を直接供給するためのものとして備えられている。従って、プリント基板12には、各リレー15に対する電源供給用の回路が形成されないようになっている。各リレー15は、プリント基板12に対して直接実装されるものの、バスバー20(分岐バスバー19)との接続のために、この実装が横向きとなるような実装状態になっている。
【0024】
図1ないし図3において、リレー15は、上記の如く横向きに実装されている。具体的には、図2及び図3に示す如く、5つの接続端子24〜28が突出する部品下面29を有し、この部品下面29がプリント基板12に対して略直交するような横向きに実装されている。リレー15は、これ自体が横向きになるため、5つの接続端子24〜28は真っ直ぐでなく、L字状に折り曲げられて形成されている(端子先端が上下方向外側に向くように折曲形成されている)。接続端子24〜26は、プリント基板12に従来と同じ方法で接続されている。また、接続端子27も接続補助部材30を介してプリント基板12に接続されている。接続端子28は、リレーSW側接続端子であって、バスバー20における分岐バスバー19の先端部分31に溶接(例えば抵抗溶接など)されている。
【0025】
リレー15は、接続端子28を介してバスバー20が接続されることから、プリント基板12を介さずに電源が直接供給されるようになっている。
【0026】
リレー15におけるプリント基板12に対向する部品側面32には、プリント基板12に対して当接可能となる支持脚部33が設けられている。支持脚部33は、部品側面32の四隅から突出するような突起形状に形成されている。支持脚部33は、本実施例において部品側面32を加工して直接的に設けられている(例えば複数の凸部を有する枠体を設け、この枠体を部品側面32に組み付けることも可能であるものとする。尚、支持脚部33を設けることは任意であるものとする)。
【0027】
支持脚部33に関して補足説明をすると、従来のようにリレーを正規の向き(図4のリレー4を参照)で使用する場合には、部品下面29から突出する凸部34が基板位置決め用として機能するようになっている。本発明において、リレー15は横向きに実装されることから、支持脚部33が凸部34と同じ機能を有するようになっている。
【0028】
以上、図1ないし図3を参照しながら説明してきたように、プリント基板12に実装される電気・電子部品としてのリレー15は、プリント基板12を介してでなく、プリント基板12の上方空間23に空中配索されるバスバー20によって直接電源が供給されることから、基板パターン配線効率の向上を図ることができるという効果を奏する。また、プリント基板12を介してでないことから、基板装置11の省スペース化を図ることができるという効果も奏する。
【0029】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
11…基板装置
12…プリント基板
13…電源用コネクタ
14…ヒューズキャビティ
15…リレー(電気・電子部品)
16、17…ハーネス用コネクタ
18…バスバー本体
19…分岐バスバー
20…バスバー
21、22…バスバー
23…上方空間
24〜28…接続端子
29…部品下面
30…接続補助部材
31…先端部分
32…部品側面
33…支持脚部
34…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気・電子部品をプリント基板に実装するにあたり、複数の接続端子が突出する部品下面を前記プリント基板に対し略直交するような横向きの実装とし、且つ前記複数の接続端子のうち一つを前記プリント基板の上方空間に空中配索される電源供給用のバスバーに接続する
ことを特徴とする基板装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板装置において、
前記電気・電子部品における前記プリント基板に対向する部品側面に、前記プリント基板に対して当接可能な支持脚部を直接又は間接的に設ける
ことを特徴とする基板装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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