説明

基板間コネクタ及び電気回路装置

【課題】複数の基板間で比較的大電流を流す場合、特別のスペースを必要とせず、基板を多段接続することが容易であり、基板の間隔を自由に設定することができ、複数の基板を接続する作業性が優れている基板間コネクタ及び電気回路装置を提供することを目的とする。
【解決手段】貫通口を備える導電性の筒状体と、上記筒状体の内壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、第1基板に搭載されるソケットと、上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体を具備し、第2基板に搭載されるプラグとを有する基板間コネクタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板間を接続する基板間コネクタ及び電気回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの基板を互いに接続する場合、配線とコネクタとを使用して、2つの基板を互いに接続する方法、コネクタとコネクタとを使用して、2つの基板を互いに接続する方法、または、電線を直接半田付けすることによって、2つの基板を互いに接続する方法が知られている(たとえば、特許文献 1参照)。
【0003】
図5は、複数の基板を接続する従来例を示す図である。
【0004】
図5(1)は、配線W11とコネクタC11とを使用し、また、配線W12とコネクタC12とを使用して、2つの基板を互いに接続する例を示す図である。図5(2)は、コネクタC21とコネクタC22とコネクタC23を使用して、複数の基板を互いに接続する例を示す図である。図5(3)は、半田PSによって、電線W3を基板に直接半田付けすることによって、複数の基板を互いに接続する例を示す図である。
【特許文献1】特開2003−132975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の基板間で比較的大電流を流す場合、図5(1)に示す挿抜可能なコネクタC11、C12と、配線W11、W12とを介して接続すると、大型のコンタクトを使用したコネクタが必要であり、現実的には、複数のコンタクトを並列に使用し、大型のコネクタを複数設置するためのスペースが必要であるという問題がある。
【0006】
複数の基板間で比較的大電流を流す場合、図5(2)に示すコネクタ対コネクタ接続を使用すると、基板間の隙間が小さい場合には、多段の接続が困難であるという問題があり、また、基板の間隔がコネクタの長さで決定され、自由度がないという問題がある。
【0007】
複数の基板間で比較的大電流を流す場合、図5(3)に示す電線W3を基板に直接半田付けすると、省スペースではあるが、半田付けするために、その作業性が悪く、また、半田付け後に基板を取り外すことが困難であるという問題がある。さらに、基板間の隙間が小さい場合には、多段の接続が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は、複数の基板間で比較的大電流を流す場合、特別のスペースを必要とせず、基板を多段接続することが容易であり、基板の間隔を自由に設定することができ、複数の基板を接続する作業性が優れている基板間コネクタ及び電気回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、貫通口を備える導電性の筒状体と、上記筒状体の内壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、第1基板に搭載されるソケットと、上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体を具備し、第2基板に搭載されるプラグとを有する基板間コネクタである。
【0010】
また、本発明は、貫通口を備える導電性の筒状体を具備し、第1基板に搭載されるソケットと、上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体と、上記棒状体の外壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、第2基板に搭載されるプラグとを有する基板間コネクタである。
【0011】
さらに、本発明は、第1基板と、第2基板と、貫通口を備える導電性の筒状体と、上記筒状体の内壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、上記第1基板に搭載されているソケットと、上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体を具備し、上記第2基板に搭載されているプラグとを有する電気回路装置である。
【0012】
そして、本発明は、第1基板と、第2基板と、貫通口を備える導電性の筒状体を具備し、上記第1基板に搭載されているソケットと、上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体と、上記棒状体の外壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、上記第2基板に搭載されているプラグとを有する電気回路装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の基板間で比較的大電流を流す場合、特別のスペースを必要とせず、基板を多段接続することが容易であり、基板の間隔を自由に設定することができ、複数の基板を接続する作業性が優れているという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1である基板間コネクタC1を示す図である。
【0016】
基板間コネクタC1は、少なくとも1つのソケットS1と、プラグP1とによって構成され、基板間を電気的に接続するコネクタである。
【0017】
ソケットS1は、筒状体11と、ルーバーL1とを有する。筒状体11は、キャップ12と、貫通口13とを有し、導電性を有する。ルーバーL1は、筒状体11の内壁に設けられ、導電性を有し、第1基板に搭載される。キャップ12は、ルーバーL1が筒状体11から抜け落ちることを防止する。なお、ルーバーL1が抜け落ちる心配がなければ、キャップ12で留める構造を採用する必要はない。
【0018】
なお、ルーバーL1は、筒状体11の軸心に向かって凸状を有する細い線が複数、環状に設けられている(筒状体11を、図1中、上から見た場合、環状を有する)導体である。
【0019】
プラグP1は、棒状体21と、鍔22と、先端部23とを有し、ソケットS1との間で、機械的かつ電気的に接続が可能である。棒状体21は、ソケットS1の貫通口13に挿入される導電性の棒状体であり、第2基板に搭載される。鍔22は、棒状体21の先端部23とは反対側の端部に設けられている。なお、棒状体21を、図1中、上から下に向かって、ソケットS1に挿入するようにしてもよい。
【0020】
図2は、コネクタC1を使用した電気回路装置100を示す図である。
【0021】
電気回路装置100は、第1基板B11、B12と、第2基板B2と、ソケットS1と、プラグP1とを有する。図2に示すソケットS1は、図1に示すソケットS1と同じであり、図2に示すプラグP1は、図1に示すプラグP1と同じである。
【0022】
プラグP1は、第2基板B2に半田付けされ、ソケットS1は、第1基板B11、B12に半田付けされ、プラグP1がソケットS1に圧入等で機械的かつ電気的に接続されている。なお、プラグP1と第2基板B2とを、機械的かつ電気的に接続するようにしてもよく、ソケットS1と第1基板B11、B12とを、機械的かつ電気的に接続するようにしてもよい。
【0023】
第2基板B2に接続されているプラグP1を、第1基板B11に接続されているソケットS1に挿入し、また、第1基板B12に接続されているソケットS1に挿入することによって、基板B2、B11、B12の相互間で、機械的かつ電気的に接続される。
【0024】
図2に示す例では、第2基板B2に、1個のプラグP1を接続しているが、第2基板B2に、複数個のプラグP1を接続するようにしてもよい。
【0025】
プラグP1の長さ範囲内であれば、第2基板B2と第1基板B11との間隔を自由に設定することができ、また、第1基板B11と第1基板B12との間隔を自由に設定することができる。上記間隔が設定された後に、第2基板B2と第1基板B11との間に図示しないスペーサを挿入し、第1基板B11と第1基板B12との間に、図示しないスペーサを挿入すれば、上記間隔をさらに容易に維持することができる。なお、第2基板B2と第1基板B11との間隔を維持する場合、第1基板B11と第1基板B12との間隔を維持する場合、スペーサを挿入する以外の構造で維持するようにしてもよい。
【0026】
コネクタC1、電気回路装置100は、実装が省スペースでありながら、ソケットS1にルーバーL1を使用しているので、プラグP1、ソケットS1を介して、大電流を通電することができる。また、貫通口13によって形成されている貫通型であるので、基板を多段に接続することができる。つまり、2枚の基板を積層することができ、また、4枚以上の基板を多段に接続することもできる。また、プラグP1をソケットS1に挿入した後に、ソケットS1からプラグP1を引き抜き、第1基板B11と第1基板B12との接続を解除する作業が容易であり、第2基板B2と、第1基板B11との接続を解除する作業が容易である。
【0027】
また、コネクタC1、電気回路装置100は、多段に接続された基板の間隔を自由に設定することができ、基板間隔の設定に自由度がある。さらに、ソケットS1を基板に、半田付けによって固定する場合、自動化が可能であり、プラグP1、ソケットS1を基板に実装した後に、それらを組み立てる作業が容易であるので、製造コストを削減することができる。
【実施例2】
【0028】
図3は、本発明の実施例2である基板間コネクタC2を示す図である。
【0029】
基板間コネクタC2は、基板間コネクタC1において、ルーバーをソケットではなく、プラグに設けた実施例である。
【0030】
基板間コネクタC2は、ソケットS2と、プラグP2とを有する。
【0031】
ソケットS2は、ルーバーとキャップとを具備しない筒状体11aによって形成され、第1基板B11、B12に搭載されるソケットである。筒状体11aには、貫通口13が設けられている。
【0032】
プラグP2は、棒状体21と、鍔22と、先端部23と、ルーバーL2とを有し、第2基板B2に搭載される。
【0033】
棒状体21は、ソケットS2の貫通口13に挿入される導電性の棒状体である。ルーバーL2は、棒状体21の外壁に設けられている。なお、棒状体21を、図3中、上から下に向かって、ソケットS2に挿入するようにしてもよい。
【0034】
なお、ルーバーL2は、棒状体21の放射方向に向かって凸状を有する細い線が複数、環状に設けられている(棒状体21を、図3中、上から見た場合、環状を有する)導体である。
【0035】
図4は、コネクタC2を使用した電気回路装置200を示す図である。
【0036】
電気回路装置200は、第1基板B11、B12と、第2基板B2と、ソケットS2と、プラグP2とを有する。図4に示すソケットS2は、図3に示すソケットS2と同じであり、図4に示すプラグP2は、図3に示すプラグP2と同じである。
【0037】
プラグP2は、第2基板B2に半田付けされ、ソケットS2は、第1基板B11、B12に半田付けされ、プラグP2がソケットS2に圧入等で機械的かつ電気的に接続されている。なお、プラグP2と第2基板B2とを、機械的かつ電気的に接続するようにしてもよく、ソケットS2と第1基板B11、B12とを、機械的かつ電気的に接続するようにしてもよい。
【0038】
第2基板B2に接続されているプラグP2を、第1基板B11に接続されているソケットS2に挿入し、また、第1基板B12に接続されているソケットS2に挿入することによって、基板B2、B11、B12の相互間で、機械的かつ電気的に接続される。
【0039】
図4に示す例では、第2基板B2に、1個のプラグP2を接続しているが、第2基板B2に、複数個のプラグP2を接続するようにしてもよい。
【0040】
プラグP2の長さ範囲内であれば、第2基板B2と第1基板B11との間隔を自由に設定することができ、また、第1基板B11と第1基板B12との間隔を自由に設定することができる。上記間隔が設定された後に、第2基板B2と第1基板B11との間に図示しないスペーサを挿入し、第1基板B11と第1基板B12との間に、図示しないスペーサを挿入すれば、上記間隔を容易に維持することができる。なお、第1基板B11と第1基板B12との間隔を維持する場合、第1基板B11と第1基板B12との間隔を維持する場合、スペーサを挿入する以外の構造で維持するようにしてもよい。
【0041】
コネクタC2、電気回路装置200は、実装が省スペースでありながら、プラグP2にルーバーL2を使用しているので、プラグP2、ソケットS2を介して、大電流を通電することができる。また、貫通口13によって形成されている貫通型であるので、基板を多段に接続することができる。つまり、2枚の基板を積層することができ、また、4枚以上の基板を多段に接続することもできる。また、プラグP2をソケットS2に挿入した後に、ソケットS2からプラグP2を引き抜き、第1基板B11と第1基板B12との接続を解除する作業が容易であり、第2基板B2と、第1基板B11との接続を解除する作業が容易である。
【0042】
また、コネクタC2、電気回路装置200は、多段に接続された基板の間隔を自由に設定することができ、基板間隔の設定に自由度がある。さらに、ソケットS2を基板に、半田付けによって固定する場合、自動化が可能であり、プラグP2、ソケットS2を基板に実装した後に、それらを組み立てる作業が容易であるので、製造コストを削減することができる。なお、ソケットS2を基板に固定する場合、半田付け以外方法で固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例1である基板間コネクタC1を示す図である。
【図2】コネクタC1を使用した電気回路装置100を示す図である。
【図3】本発明の実施例2である基板間コネクタC2を示す図である。
【図4】コネクタC2を使用した電気回路装置200を示す図である。
【図5】複数の基板を接続する従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
C1、C2…基板間コネクタ、
S1、S2…ソケット、
11、11a…筒状体、
12…キャップ、
13…貫通口、
L1、L2…ルーバー、
P1、P2…プラグ、
21…棒状体、
22…鍔、
23…先端部、
B11、B12…第1基板、
B2…第2基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通口を備える導電性の筒状体と、上記筒状体の内壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、第1基板に搭載されるソケットと;
上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体を具備し、第2基板に搭載されるプラグと;
を有することを特徴とする基板間コネクタ。
【請求項2】
貫通口を備える導電性の筒状体を具備し、第1基板に搭載されるソケットと;
上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体と、上記棒状体の外壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、第2基板に搭載されるプラグと;
を有することを特徴とする基板間コネクタ。
【請求項3】
第1基板と;
第2基板と;
貫通口を備える導電性の筒状体と、上記筒状体の内壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、上記第1基板に搭載されているソケットと;
上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体を具備し、上記第2基板に搭載されているプラグと;
を有することを特徴とする電気回路装置。
【請求項4】
第1基板と;
第2基板と;
貫通口を備える導電性の筒状体を具備し、上記第1基板に搭載されているソケットと;
上記ソケットの上記貫通口に挿入される導電性の棒状体と、上記棒状体の外壁に設けられている導電性のルーバーとを具備し、上記第2基板に搭載されているプラグと;
を有することを特徴とする電気回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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