説明

基礎杭の施工方法

【課題】比較的簡単かつ低コストで杭頭部を強化できる基礎杭の施工方法を提供する。
【解決手段】中空の既製杭を使用した既知の各種埋込み杭工法により,掘削孔40内にセメントミルクの充填された中空杭30を建て込む(図11(A))。そして,中空杭30の中空空間32内に存在するスライムやセメントミルクが液状又はゲル状にあるときに,除去容器10等を使用して任意の深さ迄の前記中空空間32内のスライム及び/又はセメントミルクを除去し,これにより現れた中空空間32の底部に杭内蓋体74を配置すると共に,前記杭内蓋体74上に生コンクリートを充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は杭基礎等における基礎杭の施工方法に関し,より詳細には,中空の既製杭を使用した埋込み杭工法において,基礎杭の杭頭部(本明細書に於いて,「杭頭」は,杭の頂部及び頂部近傍を,「杭頭部」を杭頭の内部及び杭頭上の掘削孔内の空間を含む概念として用い,両者を含めて単に,「杭頭部」ということもある。)から中空杭の任意の所望の深さ迄の範囲を強化し,杭全体を強化可能な基礎杭の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋,集合住宅,その他の構造物の基礎工法において,支持層の深さにまで達する基礎杭を設け,この基礎杭の杭頭上に構造物の基礎を形成する杭基礎工法が,例えば軟弱地盤,液状化地盤等に構造物を構築する際に広く用いられている。
【0003】
このような杭基礎における基礎杭の施工方法の一例として,中空の既製杭を使用した埋込み杭工法では,アースオーガ等の掘削機で形成された掘削孔内に,根固め液,周辺固定液としてセメントミルクを注入した後に,鋼管やコンクリート製の中空杭を建て込み,又は掘削孔内に中空杭を建て込んだ後,杭の中空孔を介してセメントミルクを根固め液として注入することにより,支持層に対する根固め,拡大球根の造成,周辺地盤と中空杭との一体化が行われている。
【0004】
そして,このようにして製造された基礎杭上には,前述したように構造物の基礎部分が形成されると共に,この基礎部分が杭頭部に接合されている。
【0005】
このような杭基礎の構造において,基礎杭の頭部とその上に形成される構造物の基礎部分とは,前述したように一般に接合されていることから,例えば地震等による揺れが生じたときに,基礎杭の杭頭及び杭全体が,当該基礎杭が埋設された地中地盤と上部構造物を支える基礎部分と一体の動きをするため,上部構造物から伝達される水平力や回転力によって杭頭付近に大きな曲げモーメントや剪断力等が集中する。
【0006】
特に,軟弱地盤や液状化地盤では,地震等が生じると地盤変位がより大きなものとなるために杭頭部付近に発生する剪断力や曲げモーメントはさらに大きいものとなる。
【0007】
このように,上部構造物と基礎杭を含む地中地盤とが同期して一体の動きをすることにより生じる杭頭部の曲げモーメントや剪断力に抗するために,使用する既製杭として大径のものを使用したり,または,設置する杭の本数を増やすことも考えられるが,この方法では,杭基礎の施工コストが高くなる。
【0008】
なお,杭頭部を強化する方法としては,杭全体を大径とするのではなく,杭頭部から所定の深さまでを他の部分に比較して大径に形成して水平抵抗を満足させたものや(特許文献1参照),杭頭部から所定の深さに至る杭の外周に鋼管を巻き付けて補強することが提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
この発明の先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】特開2004−132047号公報(0006欄,図1)
【特許文献2】特開平10−131176号公報(0002欄,図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のように,基礎杭の杭頭部分を他の部分に比較して大径に形成することにより,又は,杭頭部分を鋼管等で補強することにより,使用する杭全体を大径とする場合や,使用する杭の本数を増加する場合に比較して,杭基礎の施工コストを低減させることができる。
【0011】
しかし,基礎杭の杭頭部分を他の部分に比較して大径に形成するために,特許文献1に記載の発明では,杭頭位置付近に大径部を有する杭穴を掘削し,掘削孔に中空杭を立て込んだ後,前記杭穴の大径部に充填固化材を充填するという作業を必要とし,通常の埋込み杭工法に比較して作業工数の増加と,使用材料の増加を伴う。
【0012】
杭頭部に鋼管等を巻き付けて補強する特許文献2に記載の工法にあっても同様で,杭頭部に鋼管を巻き付けるために杭頭部の外周を掘り下げ,鋼管を巻き付けた後に再度埋め戻す作業が必要である等,作業工数の増加と,鋼管等の使用材料の増加を伴う。
【0013】
そのため,杭基礎を施工するために必要な工期が長期化すると共に,施工コストが嵩むものとなる。
【0014】
なお,掘削孔内にセメントミルクを充填すると,掘削孔内に残ったスライム等が比重差によって浮き上がる。そのため,中空杭の中空空間のうち,杭頭部分にあってはスライム又はスライムを多量に含むセメントミルクが存在することとなり,これをそのまま硬化させることとなるが,これらは,杭の強度,剛性には何ら寄与しない。
【0015】
本発明は,上記従来技術の欠点を解消するために成されたものであり,中空杭を使用した埋込み杭工法の作業工程中において,比較的簡単かつ低コストで前述のスライム等の混入による強度低下を防止するのみならず,さらに杭頭部を強化し,杭に高強度,高剛性を付与して中空杭の肉厚を減少し,あるいはその杭径を小さいものを選択することができるなどコストダウンを図ることもできる基礎杭の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために,本発明の基礎杭の施工方法は,中空の既製杭を使用した埋込み杭工法において,掘削孔40内に建て込んだ中空杭30の中空空間32内に存在するスライムやセメントミルクが液状又はゲル状にあるときに,杭頭部31から,杭全体に及ぼす強化の度合いに対応した任意の深さ,杭底部あるいはその近傍に達する範囲迄の前記中空空間32内に除去容器を挿入し,前記中空空間内のスライム及び/又はセメントミルクを収容し,これを外部に排出除去する工程と,
前記スライム及び/又はセメントミルクが除去された中空空間の底部に蓋体(杭内蓋体74)を配置する工程と,
前記蓋体(杭内蓋体74)上に充填・硬化材を充填することを特徴とする(請求項1)。
【0017】
前記充填・硬化材として生コンクリートを用いることができる(請求項2)。
【0018】
また,前記充填・硬化材の充填後,前記中空杭の杭頭部を杭頭蓋体で被蓋することができる(請求項3)。
【0019】
さらに,前記中空空間内に前記充填・硬化材としてモルタルを充填し,前記中空杭内に,該中空杭30の内径より小径の外径を有し,前記中空杭頂部に上端が略達する長さの中子杭を挿入すれば,より一層の杭の強化を図ることが出来る(請求項4)。
【0020】
さらに,前記中空杭30の杭頭部31を,前記掘削孔40内の所定の深さに配置して,前記杭頭部31から前記掘削孔40の上端に至る前記掘削孔内に,円筒状の筒矢板60を挿入すると共に,前記筒矢板60に囲まれた空間を介して前記スライム及び/又はセメントミルクの除去,前記中空空間32底部に対する前記蓋体(杭内蓋体74)の配置,及び前記充填・硬化材の充填を行い,
前記充填・硬化材の充填後,前記筒矢板60の下端開口を下部蓋体68で被蓋すると共に,前記筒矢板60の上端開口を上部蓋体67で被蓋するようにしても良い(請求項5)。
【0021】
さらに,前述のスライム及び/又はセメントミルクの除去に際しては,除去容器10として,除去すべき前記スライム及び/又はセメントミルクが存在する空間を被覆可能に形成され,内部に前記スライム及び/又はセメントミルクを導入する回収空間12を備えると共に,底部側において前記回収空間を開放する開口13を備えた除去容器本体11と,前記除去容器本体11の前記開口13を被蓋する開閉自在の蓋板14を備えたものを準備し,
前記除去容器10を底部より前記中空杭30の中空空間32内に挿入し,
前記蓋板14を開放して前記回収空間12内に前記スライム及び/又はセメントミルクを導入すると共に,
前記蓋板14で前記開口13を被蓋して,前記除去容器10を前記中空空間32内より抜き取ることにより,前記中空空間32内のスライム及び/又はセメントミルクを除去することができる(請求項6)。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した本発明の構成により,本発明の基礎杭の施工方法によれば,従来技術にはない以下の顕著な効果を得ることができた。
【0023】
強化すべき杭頭部31を含む中空杭30の中空空間32内より,スライムや,スライムを含むセメントミルクを除去し,これらを除去した後の中空空間32内に,充填・硬化材としてセメントミルクに比較して硬化後の強度が高い生コンクリートあるいは中子杭を挿入する前工程としてモルタルを充填することにより,杭頭部31ないし,中空杭30全体を容易かつ,低コストで強化することができた。
【0024】
しかも,スライムやセメントミルクが除去された中空空間32の底部に杭内蓋体74を配置したことで,充填・硬化材としてセメントミルクに比較して比重の大きい生コンクリートあるいは中子杭を,セメントミルク中に沈降させることなく杭頭部31ないし,中空杭30全体を強化すべく硬化させることができた。
【0025】
前記方法において,更に充填・硬化材として生コンクリートの充填後に杭頭部31を杭頭蓋体(図示せず)で被蓋する構成にあっては,杭頭部31に泥水や土砂等が浸入することを防止することができ,生コンクリートにこれらの不純物が混入することによる杭頭部31の強度低下を良好に防止することができ,かつ,泥水や土砂等の除去作業を省略できた。
【0026】
また,中空杭30の杭頭部31が,掘削孔40内の所定の深さに配置されている場合,前記スライム及び/又はセメントミルクの除去,杭内蓋体74の配置,及び生コンクリートの充填を,前記杭頭部31から前記掘削孔40の上端に至る前記掘削孔40内に,筒矢板60を挿入した状態で行うことにより,作業中に掘削孔40の内壁が崩壊して生じた土砂や,湧水等に伴う泥水が,中空杭30内に浸入することを防止できた。
【0027】
しかも,充填・硬化材として生コンクリートの充填後,前記筒矢板60の下端開口を下部蓋体68で,上端開口を上部蓋体67で被蓋することにより,充填された生コンクリートに不純物が混入することを防止できた。
【0028】
さらに,前記筒矢板60は,基礎杭の杭頭上の空間を占めていることから,その後に行われる根伐等の作業時に,例えばバック−ホーのバケット等との接触から杭頭部31を保護し,接触による破損等に伴う杭頭部31の強度低下を未然に防止することができた。
【0029】
杭頭部31における中空空間32内のスライム及び/又はセメントミルクの除去を,前述した構成を備えた除去容器10によって行うことにより,中空空間32内への除去容器10の挿入と抜き取りという極めて簡単な作業によりスライムやセメントミルクを容易に除去することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に,本発明の実施形態を添付図面を参照しながら以下説明する。
【0031】
1.本発明の概要
本発明の基礎杭の施工方法は,中空の既製杭を使用した既知の埋込み杭工法の作業工程中に,更に以下の作業工程を含む。
【0032】
(1) スライム及び/又はセメントミルクの除去工程
本工程では,中空の既製杭を使用した埋込み杭工法の工程中において,掘削孔40内に建て込んだ中空杭30の中空空間32内に存在するスライムやセメントミルクが未だ硬化前の液状又はゲル状にあるときに,所望の杭全体に及ぼす強度向上効果に対応して,杭頭部31から任意の深さ迄の前記中空空間32内のスライム及び/又はセメントミルクを除去する。
【0033】
なお,このスライム及び/又はセメントミルクの除去に先立って,杭頭部31が掘削孔40内の所定深さに設けられている場合には,杭頭部31から掘削孔40の上端に至る掘削孔40内に,円筒状の筒矢板60を挿入し,この筒矢板60で囲まれた空間を介して作業を行うことで,掘削孔40の内壁の保護と,中空杭30の中空空間32に対する土砂や泥水の浸入を防止するようにしても良い。
【0034】
(2) 杭内蓋体の配置工程
本工程では,前記スライム及び/又はセメントミルクが除去された中空空間32の底部に杭内蓋体74を配置する。
【0035】
(3-1) 生コンクリートの充填
本工程では,前記杭内蓋体74上に生コンクリートを充填する。
【0036】
なお,上記生コンクリートの充填後,杭頭部31に杭内蓋体74を被せて,前記中空杭30の中空空間32内に土砂や泥水等が浸入することを防止しても良く,また,前記筒矢板60を使用する場合には,前記筒矢板60の下端開口を下部蓋体68で,上端開口を上部蓋体67で被蓋して,中空杭30の中空空間32内に土砂や泥水等が浸入することを防止すると共に,中空杭30の杭頭部31を保護するように構成しても良い。
【0037】
(3-2)中子杭の挿入
本発明の他の実施形態においては,前記(3-1)の工程に代えて,中空杭30の中空空間32において,前記杭内蓋体74上にモルタルを充填する。
【0038】
ついで,後述中空杭と同様の杭体で,中空杭30の内径より小径の外径を有し,杭内蓋体74上で前記中空杭頂部に上端が略達する長さの中子杭を前記中空空間32内に挿入する。
【0039】
2.基礎となる基礎杭の施工方法
前述のように,本発明の基礎杭の施工方法は,中空の既製杭を使用した既知の埋込み杭工法を基礎とし,この埋込み杭工法中において,前記作業工程を更に含めることにより杭頭部31の強化を可能としたものであり,掘削孔40内に建て込んだ中空杭30の中空空間32内にセメントミルクが充填された状態が生じ得るものであれば,既知のいずれの埋込み杭工法を基礎としても良い。
【0040】
例えば,掘削孔40内にセメントミルクを充填後,中空杭30の建て込みを行う場合,セメントミルクの充填前に中空杭30を建て込み,この中空杭30の例えば中空空間32を介してセメントミルクの充填を行う場合等,基礎とする埋込み杭工法の施工手順に拘わりなく,本発明の基礎杭施工方法を適用することができ,また,使用する中空杭30についても,PC杭,PHC杭等のコンクリート製のもの,鋼管等の金属製の杭,その他,SC杭などの鋼管コンクリート杭等,その材質を問わない。
【0041】
3.使用する機器
本発明の基礎杭の施工方法にあっては,基礎とする既知の埋込み杭工法で使用する機器(例えばアースオーガ等の掘削機等)の他に,これに追加する前述した各工程を実現するための機器を使用する。本実施形態にあっては一例として,下記に示すような機器を使用する。
【0042】
(1)除去容器
除去容器10は,前述したスライム及び/又はセメントミルクの除去工程で,中空杭30の中空空間32内よりスライム及び/又はセメントミルクを除去するために使用するもので,この除去容器10は,杭頭部31より前記中空杭30の中空空間32内に挿入され,前記空間を被覆可能に形成された除去容器本体11(11a,11b,11c)を有する。
【0043】
図1〜3に示した除去容器10は,ここでは,除去容器本体11を中空杭30の中空空間32内に挿入可能な直径の円筒状に形成しているが,この除去容器10の除去容器本体11部分の径あるいは形状は,図示のように円筒状に限定されず,例えば,使用する既製杭の形状等に対応し,各種の形状に形成することが可能である。
【0044】
この除去容器10の除去容器本体11内には,図2に示すように除去されるスライム及び/又はセメントミルクを回収するための回収空間12が形成されていると共に,この回収空間12の底部側において,スライム及び/又はセメントミルクをこの除去容器本体11内の回収空間12に導入するための開口13が形成され,更に,この開口13を内側より被蓋する蓋板14が設けられている(図2及び図3参照)。
【0045】
前述の開口13は,除去容器10を杭頭部31の中空空間32内に底部側より挿入した際に,液状ないしはゲル状のスライム及び/又はセメントミルクを導入可能な位置であればいずれの位置に設けても良く,本実施形態にあっては,有底円筒状に形成された前記除去容器本体11の底面にこの開口を形成している。
【0046】
また,前述の蓋板14は,前記開口13を閉塞可能な大きさを有すると共に,前記不要物の流入圧力によって前記開口13を開放可能と成すように前記回収空間12内に揺動可能に固定されており,図示の実施形態にあっては,その一端を除去容器本体11の底板にヒンジ15により固定して,前記開口13の閉塞時,蓋板14が前記開口13を内部より覆うことにより閉塞すると共に,前記ヒンジ15を支点として揺動することにより,底板上で立ち上がり,前記開口13を開放するように構成されている。
【0047】
なお,図示の実施形態にあっては,この蓋板14を片開きの構成としているが,例えば二枚の蓋板を,所謂「観音開き」となるように取り付けても良く,前述したように前記開口13を閉塞し得ると共に,回収空間12内に流入する不要物の流入圧力によって前記開口13を開放可能な構成であれば,如何なる構成としても良い。
【0048】
なお,図2中,Sはストッパであり,前述の蓋板14の開放時,この蓋板14が,90度未満の開放角度となるように蓋板14の揺動範囲を規制する。
【0049】
例えば図2に示す実施形態において,蓋板14の開放角度が90度を超え,その先端(自由端)が除去容器本体11の内壁と接触する迄揺動すると,蓋板14はこの位置で安定して開口13を被蓋する方向に揺動しなくなるおそれがあるが,図2に示すようにストッパSによって蓋板14の開放角を90度未満の位置(本実施形態にあっては85度)で規制することにより,蓋板14は,スライム及び/又はセメントミルクの導入時の圧力より開放された時に自重により,または,中空杭の中空空間より抜き取る際のスライム及び/又はセメントミルクの重量により,確実に開口13側に倒れて開口13を塞ぐ。
【0050】
前記除去容器本体11内の回収空間12は,前記除去容器本体11内にスライム及び/又はセメントミルクが導入された際に,このスライム及び/又はセメントミルクの導入量に応じて回収空間12内の空気を排出することができるよう,その上方部分が開放されており,本実施形態にあっては,除去容器本体11を円筒体により構成し,この円筒体である除去容器本体11の上端を開口している。
【0051】
以上のように構成された除去容器本体11の上端には,この除去容器10の吊り下げ等を可能とするための連結部19が設けられている。
【0052】
本実施形態にあっては,円筒体である除去容器本体11の上端開口内に,除去容器本体11の内周間に掛け渡された支持材21を設け,この支持材21に前述の連結部19を設けている。
【0053】
図1,2の実施形態にあっては,前記除去容器本体11の上部開口内周間を直径方向に掛け渡す第1のH型鋼21aと,この第1のH型鋼21aの長さ方向の中央部分と除去容器本体11の内周間に掛け渡された第2及び第3のH型鋼21b,21cによって,平面視において十字状に直交するように前記支持材21を形成し(図1参照),除去容器本体11の上端開口を塞ぐことなく,除去容器本体11上端部の補強と連結部19の取り付けとを可能としている。
【0054】
このように構成された支持材21の中央部分には,前述の連結部19が設けられており,本実施形態にあっては,この連結部19として掘削機のスクリューロッドのジョイント部に使用されている,六角柱状の継手(オス)を固着している。
【0055】
このように連結部19を設けることにより,スクリューロッドの先端に設けられた継手(メス)内に前記連結部19を挿入すると共に,スクリューロッドに設けられた継手(メス)に設けたピン孔と,前記連結具19に設けたピン孔に共に係止ピンを挿入することで,除去容器10を容易にスクリューロッドの先端に取り付けることができる。
【0056】
なお,除去容器10の構成は,図1〜3を参照して説明した構成に限定されず,各種の変更が可能である。
【0057】
(2)排出補助手段
図4〜7中50は,前記除去容器10と共に組み合わせて使用することにより,前述の除去容器10によって抜き取られたスライムやセメントミルクの排出を容易に行うことがでる排出補助手段50である。
【0058】
この排出補助手段50は,前記除去容器10を載置可能と成す基台55と,この基台55上に立設された係合突起56を備え,除去容器10をこの排出補助手段50の基台55上に載置した際に,係合突起56が前記除去容器10の底部に設けた開口13を被蓋する蓋板14を押し上げて,除去容器10内に収容された不要物の排出を行う。
【0059】
なお,除去容器10自体に回収されたスライム及び/又はセメントミルクの排出を容易とするための手段を設ける場合には,このような排出補助手段を別途設ける必要がなく,例えば,除去容器10の蓋板14に,開口の被蓋時,下向きに突出する係合突起を設ける等して,床面や地面上に除去容器を載置した際に,係合突起の下端が地面や床面等との接触により押し上げられて蓋板14が開くように構成しても良い。
【0060】
図示の実施形態において,排出補助手段50は,H型鋼や角パイプ等を2本平行に配置して構成された脚部51,51の上面間に,同様にH型鋼や角パイプ等からなる3本の横架材52,53,54を架設して前記基台55を形成し,この基台55の横架材52,53,54上に前記除去容器10を載置可能として,横架材間(図示の例では横架材53,54間)に形成された間隔により,不要物の排出空間を確保している。
【0061】
この排出補助手段50には,前記係合突起56が正確に前記蓋板14をここでは押し上げることができるように,排出補助手段50に対する除去容器10の載置位置を規制乃至は誘導するための手段を設けることが好ましく,本実施形態にあっては,基台55の上面より4枚の規制片57a〜57dを突出し,この規制片57a〜57dで囲まれた空間内に除去容器10の底部が配置されるように構成している(図6及び7参照)。
【0062】
なお,前記基台55に設けた符号58で示す部材は,吊下リングであり,本実施形態にあっては,この吊下リング58を前記脚部51,51の長さ方向の両端部のそれぞれ上面に固着することにより,ワイヤ等を取り付け可能として,吊り下げ,移動等を容易に行うことができるように構成している。
【0063】
(3)筒矢板
図8(A),(B)は,杭頭部31から地表面までの掘削孔40の高さが,例えば2m以上などと高い場合,あるいは,掘削孔40の地盤が軟弱である場合,杭頭部31の掘削孔地盤から湧水する場合などの施工に好適な筒矢板60に関し,前述のスライム及び/又はセメントミルクの除去工程から充填・硬化材の生コンクリートあるいはモルタルの充填迄の全工程において,掘削孔40内に挿入されていると共に,前記生コンクリートの充填後には,この筒矢板60の上下開口を被蓋することにより,中空杭30の杭頭部31より土砂や泥水等が浸入することを防止すると共に,杭頭部31を破損等より保護する。
【0064】
図9〜図10において,この筒矢板60は,ここでは,掘削孔40の内周より小径の外形を有する円筒状を成す,断面L字状の上下の枠体61,62間に鉄筋などの保持杆63を挿入し,上下の突出端の螺子部を枠体61,62にナットなどで固定し,上下枠体61,62を連結し,該上下枠体にそれぞれ対向方向に設けたガイド片64,64内に,金属製筒体あるいはボイド管などの筒体70を嵌め込み固定したものである。65は挿入部で,中空杭30の杭頭部31内周に嵌合する外径を有する下部枠体62底縁に突設した中空杭30の杭頭部31への挿入のガイド又は保持のための環状の板片状部材である。図8の実施例では,ボイド管70を上下に重ねて筒矢板60の全長を高くしており,このためジョイント71を介して上下に保持杆63を連結し,この保持杆の適宜位置に環状の支持片72を設け,突設部73上下において,上下のボイド管70を支持している。従って,筒矢板60の全高ないし全長は,杭頭部31に対応して任意に設定できる。
【0065】
保持杆63は,筒体70内周に円周を等分割した位置に設けられており,外部からの土圧に抗して,筒矢板60に剛性を付与している。
【0066】
前述の筒矢板60は,充填・硬化材としての生コンクリート充填後にその上部及び下部開口を着脱自在の例えば金属製の平板状の上下部の蓋体67,68で被蓋し,根切り作業を行った後,養生後,前記筒矢板60を前記上下部の蓋体67,68と共に搬出して除去する。これにより,根伐作業によって杭頭部の損壊等が生ずることを防ぐことが出来る。
【0067】
当然ながら,中子杭は,中空杭30内にとどまる。
【0068】
なお,杭頭部31から地表面までの掘削孔40の高さが比較的低いとき,あるいは,掘削孔40の地盤が軟弱でない場合,又は,杭頭部31の掘削孔地盤から湧水するおそれのない場合などの施工には,前記筒矢板60の使用には及ばないが,生コンクリートの充填後,前記杭頭に図示せざる蓋体(杭頭蓋体)を載置して,杭頭から地表面までを埋め戻し,又は埋め戻すことなく根伐を行い,その後,前記杭頭蓋体を除去するようにしても良い。
【0069】
(4)杭内蓋体
杭内蓋体74は,前述したように,中空杭30の杭頭部31から任意の深さ迄,スライム及び/又はセメントミルクが除去されたことにより空間として現れた中空空間32の底部に載置され,中空杭30内に挿入可能なサイズに形成された円盤状を成す。
【0070】
この杭内蓋体74を前記中空空間32内の底部,従って除去されずに残るセメントミルクの液面上に配置すると共に,後述するように,この杭内蓋体74上に充填・硬化材を充填して,前記杭内蓋体74は,中空杭30内の所定の位置に埋設される。
【0071】
この杭内蓋体74は,セメントミルクに比較して比重の高い生コンクリートを直接,硬化前の液状又はゲル状のセメントミルク上に充填すると,生コンクリートがセメントミルク中に沈降して中空杭30の底部に溜まり,杭頭部31の所望の位置に留めることができないという問題を解消するために設けたものであり,予めこの杭内蓋体74を中空杭30内配置して,この杭内蓋体74上に生コンクリートを充填することにより,杭頭部31寄りの所定の位置において生コンクリートを硬化させることが可能となる。
【0072】
従って,この杭内蓋体74は,充填された生コンクリートがセメントミルク中に沈降することを防止し得るものであれば,材質,形状等は特に限定されず,各種材質,形状のものを使用することができる。
【0073】
一例として,本実施形態にあっては,中空杭内に嵌装される円盤状に形成された鋼鉄など金属製の板体を前述の杭内蓋体として使用する。
【0074】
4.基礎杭の施工方法
次に,前述した各機器を使用した,本発明の杭基礎の施工方法について以下説明する。
【0075】
(A)既知の埋込み杭工法による処理段階
図11(A)は,中空の既製杭を使用した,既知の埋込み杭工法による施工途中の基礎杭であり,この段階において,掘削孔40内に建て込んだ中空杭30内には,硬化前の液状又はゲル状のセメントミルクが存在している。
【0076】
図示の実施形態において,中空杭30の杭頭部31は,掘削孔40の上端(地表)に対して低い位置に設けられているが,この中空杭30の杭頭部31を越えて存在する土砂は,その後,中空杭30上に造成される構造物の基礎を形成する際に,根伐によって除去される部分である。
【0077】
(B)筒矢板の取り付け,及びスライム及び/又はセメントミルクの除去
図11(B)は,杭基礎の施工工程において前述した図11(A)の状態にある中空杭30の中空空間32内より,前述した除去容器10を使用してスライム及び/又はセメントミルクを除去する工程である。
【0078】
本実施形態にあっては,この除去容器10による除去を行うにあたって,中空杭30の杭頭部31から掘削孔40の上端部にかけての内周に,掘削孔40の内径に対して小径に形成された前述の筒矢板60を挿入すると共に,この筒矢板60の下端に設けた挿入部65が中空杭30の杭頭部31において中空空間32内に挿入されるように載置した。
【0079】
この筒矢板60によって掘削孔40の内壁を保護すると共に,掘削孔40の内壁が崩壊する等して生じた土砂や,掘削孔40内における湧水に伴う泥水等が,中空杭30の中空空間32内に入り込むことを防止している。
【0080】
図11(B)に示す実施形態は,この除去容器10と筒矢板60とを同時に掘削孔40内に挿入する状態を説明したものであるが,予め筒矢板60を掘削孔40内に挿入して掘削孔40の内壁保護と中空杭30内への土砂や湧水の浸入を防いだ状態で,筒矢板60によって囲まれた空間を介して除去容器10を中空杭30の中空空間32内に挿入しても良く,掘削孔40の内壁の保護・中空杭30に対する土砂,湧水の浸入防止と,中空杭30内のスライム及び/又はセメントミルクの除去とを効率的に行うことができるものであれば,筒矢板60の取り付け手順は図示の実施形態に限定されない。
【0081】
このように,掘削孔40内に前記筒矢板60を挿入した状態で除去容器10を使用して,中空杭30内のスライムやセメントミルクの除去が行われる。
【0082】
この除去容器10は,前述したように本実施形態にあっては円筒状の本体11内に液状又はゲル状のスライム及び/又はセメントミルクを回収するための回収空間12を有すると共に,この回収空間12の底部において下方に向かって開口する開口13を有し,この開口13を被蓋する,開閉自在な蓋板14が設けられているものであり,一例として,図11(B)に示すようにこの除去容器10を掘削機のスクリュロッドの先端に取り付けて中空杭30の中空空間32内に挿入すると,中空空間32内のスライム及び/又はセメントミルクの圧力により,除去容器10の開口13を閉じていた蓋板14が開き,これによってスライム及び/又はセメントミルクが除去容器10の回収空間12内に流入する。
【0083】
このようにして除去容器10内にスライム及び/又はセメントミルクの流入が完了すると,このスライム及び/又はセメントミルクの流入により開口13を開いていた蓋板14が自重によって開口13を閉じる。
【0084】
そして,中空杭30の中空空間32内より除去容器10を抜き取ると,除去容器10の回収空間12内に導入されたスライム及び/又はセメントミルクの重量により蓋板14は完全に開口13を閉じ,回収空間内に閉じ込められたスライム及び/又はセメントミルクは除去容器10と共に中空杭30の中空空間32より抜き取られて除去される。
【0085】
このようなスライム及び/又はセメントミルクの除去は,所望の杭全体に及ぼす強度向上効果に対応して,中空杭30の杭頭部31からどの程度の長さ(深さ)まで行うかに応じて,必要な深さまで行い,除去容器10の一回の挿入によっては必要量のスライム及び/又はセメントミルクが除去できない場合には,この作業を繰り返して必要な深さまでスライム及び/又はセメントミルクの除去を行う。
【0086】
なお,図11(B)を参照して説明した前述の実施形態にあっては,掘削孔内に前記筒矢板60を挿入した状態で中空杭内のセメントミルクを除去するものとして説明したが,前述した筒矢板は,例えば,杭頭から掘削孔の上端迄の深さが2m以下であり,また,掘削孔内に湧水等が生じていない場合には,これを省略しても良い。
【0087】
(C)除去容器からのスライム及び/又はセメントミルクの排出
前述の除去容器10によって除去されたスライム及び/又はセメントミルクは,除去容器10と共に掘削孔40外に抜き取られ,図11(C)に示すように,前述した排出補助手段50が設けられている場合には,この排出補助手段50上に載置されて,排出される。
【0088】
(D)杭内蓋体の配置
このようにして,中空杭30内のスライム及び/又はセメントミルクを所定量除去し終えると,中空杭30の杭頭部31内にはスライム及び/又はセメントミルクが除去された中空空間32が現れる。
【0089】
この中空空間32の底部,すなわち,除去されずに中空杭30内に残ったセメントミルクの液面上には,図11(D)に示すように,円盤状に形成された杭内蓋体74を例えば押し込み棒等によって押し込むことにより配置する。
【0090】
この杭内蓋体74の配置により,後述する生コンクリートを充填するための床面が形成され,これにより充填された生コンクリートが,セメントミルク内に沈降することが防止される。
【0091】
(E−1)生コンクリートの充填
図11(E)は,以上のようにして中空杭30内に配置された杭内蓋板74上に,生コンクリートを充填する工程である。
【0092】
本実施形態において,生コンクリートの充填は,中空杭30内にトレーミー管を挿入することによって行い,このトレーミー管の下端から生コンクリートを充填しながら徐々にトレーミー管を上方に抜き取ることにより,杭頭部31の所定の位置まで生コンクリートを充填する。
【0093】
(E−2)中子杭の挿入
中子杭の挿入は,(E−1)工程に於ける生コンクリートの充填に代えて,上述した各種モルタルを杭内蓋体74上に充填する。
【0094】
図示は,省略するが,本発明の他の実施形態においては,中空杭30の中空空間32において,前記杭内蓋体74上にモルタルを充填する。このモルタルは,高強度,無収縮,樹脂モルタルから選択され,後に前記中空空間32に挿入される中子杭の体積分以上の量を注入充填する。
【0095】
ついで,後述中空杭と同様,PC,PHC,RC, 鋼管,鋼管巻コンクリート製で,中空杭30の内径より小径の外径を有し,杭内蓋体74上で前記中空杭頂部に上端が略達する長さの中子杭を前記中空空間32内に挿入する。
【0096】
前記中子杭の挿入により,前記モルタルは,中子杭の頂部から溢れ中空杭30内周と中子杭外周間の間隙に充満する。これにより,中空杭30と中子杭の固結が達成できる。
【0097】
(F)杭頭部の被蓋
このようにして,生コンクリートの充填あるいは,中子杭の挿入が完了すると,中空杭30の杭頭部31を被蓋する蓋体を,例えば押し込み棒等で押し込むことで杭頭部31に被せ(図11(F)),中空杭30の中空空間32内に土砂や泥水等が浸入することを防止する。
【0098】
この中空杭30の杭頭部31を被蓋する蓋体は,筒矢板60を掘削孔40内に挿入した状態で前記各作業を行う本実施形態にあっては,この筒矢板の下部枠体62に形成された開口を塞ぐ,下部蓋体68によって行うものとしても良い。
【0099】
なお,前述したように,杭頭部31から掘削孔40の上端(地表)迄の距離が2m以下である場合等,前述の筒矢板60を使用せずに前記各作業を行った場合には,中空杭30の杭頭部31に直接,図示せざる杭頭蓋体を被せて,図示の工程に代えることもできる。
【0100】
(G)筒矢板上端の被蓋
このようにして,中空杭30の杭頭部31を被蓋した後,さらに,前記筒矢板60の上部枠体61に形成された開口を上部蓋体67によって被蓋し,この状態で筒矢板60は,根伐が完了する迄,中空杭30の杭頭部31上に載置される。
【0101】
このように,中空杭30の杭頭部31は,下部蓋体68,上部蓋体67,及び筒矢板60によって保護され,土砂や泥水等が中空杭30の中空空間32内に浸入することが防止されているだけでなく,杭頭部31上の空間が前記筒矢板60によって占められていることから,この筒矢板60が杭頭部31に対する一種の保護体として作用し,例えばバック−ホー等の掘削機を使用して根伐作業を行う際に,バック−ホーのバケット等との接触から杭頭部31を保護し,このような接触による杭頭の破損等を防止することができる。
【0102】
(H)筒矢板の除去
以上のようにして,基礎の形成位置の根伐が終了すると,前述の筒矢板60が前記上下部の蓋体67,68と共に杭頭部31上より除去される。
【0103】
このようにして,根伐底に中空杭30の杭頭部31が出現し,この杭頭部31上に上部構造物の基礎の施工が可能となっている。
【0104】
(I)その他
以上のようにして形成された根伐内には,地固め,割栗の敷設,コンクリートパネルの設置,配筋等の必要な処理を行った後,コンクリートが打設され,これにより,前述の中空杭30によって形成された基礎杭上に,構造物の基礎が形成される。
【0105】
必要に応じて前記中空杭30の杭頭部31には,接合用配筋を取り付け,この接合用配筋を上部に形成する基礎の配筋と接合すると共に,基礎中に埋設等して,杭頭部を基礎に固定しても良い。
【0106】
このようにして形成される基礎杭は,前述のように杭頭部31における中空空間32内から,強度低下の原因となるスライムや,このスライム等の不純物を含むセメントミルクを除去することによって強度の低下を防止できるだけでなく,除去されたスライムやセメントミルクに代えて,硬化後の強度が比較的高い生コンクリートを充填しているために,中空杭30の杭頭部31のみならず,杭全体は強化されたものとなる。
【0107】
その結果,杭頭部31の径を拡大することなく,又は,杭頭部31に鋼管を巻く等の補強を行うことなく,中空の既製杭を使用した既知の埋込み杭工法をベースとして,杭頭部の強化を容易に行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】除去容器の一実施形態を示す平面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】排出補助手段の一実施形態を示す正面図。
【図5】排出補助手段の一実施形態を示す平面図。
【図6】排出補助手段上に除去容器を載置した状態の正面図。
【図7】排出補助手段上に除去容器を載置した状態の平面図。
【図8】(A)は,筒矢板60の全体図,(B)は,部分断面図。
【図9】(A),(B)は,それぞれ筒矢板60の上下枠体を示すもので,同図(A)は上部枠体61の平面図,同図(B)は,下部枠体の底面図。
【図10】上下蓋体67,68及び上部蓋体67の取り付け構造を示す図で,同図(A)は,上部蓋体67の底面図,同図(B)は,上部蓋体67の筒矢板60への取り付け状態を示す部分図,同図(C)は,下部蓋体の平面図である。
【図11】本発明の基礎杭の施工方法を示す工程図であり,(A)は中空杭中にセメントミルクが充填された状態,(B)はスライム及び/又はセメントミルクの除去工程,(C)は排出補助手段による排出工程,(D)は杭内蓋体の配置工程,(E)は生コンクリートの充填工程,(F)は杭頭蓋体による杭頭の被蓋工程,(G)は筒矢板の上端開口の被蓋工程,(H)は根伐後に筒矢板を除去する工程。
【符号の説明】
【0109】
10 除去容器
11 除去容器本体
12 回収空間
13 開口
14 蓋板
15 ヒンジ
19 連結部(継手)
21 支持材
21a 第1の支持材
21b 第2の支持材
21c 第3の支持材
30 中空杭
31 杭頭部
32 中空空間
40 堀削孔
50 排出補助手段
51 脚部
52,53,54 横架材
55 基台
56 係合突起
57a〜57d 規制片
58 吊下リング
60 筒矢板
61 上部枠体
62 下部枠体
63 保持杆
64,64 ガイド片
65 挿入部
67 上部蓋体
68 下部蓋体
70 筒体
71 ジョイント
72 支持片
73 突設部
74 杭内蓋体
S ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の既製杭を使用した埋込み杭工法において,
掘削孔内に建て込んだ中空杭の中空空間内に存在するスライムやセメントミルクが液状又はゲル状にあるときに,杭頭部から任意の深さ迄,除去容器を挿入し,前記中空空間内のスライム及び/又はセメントミルクを収容し,これを外部に排出除去する工程と,
前記スライム及び/又はセメントミルクが除去された中空空間の底部に蓋体を配置する工程と,
前記蓋体上に充填・硬化材を充填する工程とを含むことを特徴とする基礎杭の施工方法。
【請求項2】
前記蓋体上に充填・硬化材として生コンクリートを充填する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の基礎杭の施工方法。
【請求項3】
前記生コンクリートの充填後,前記中空杭の杭頭部を杭頭蓋体で被蓋することを特徴とする請求項2記載の基礎杭の施工方法。
【請求項4】
前記中空空間内の前記蓋体上に充填・硬化材としてモルタルを充填し,前記中空杭内に,該中空杭の内径より小径の外径を有し,前記中空杭頂部に上端が略達する長さの中子杭を挿入することを特徴とする請求項1記載の基礎杭の施工方法。
【請求項5】
前記中空杭の杭頭部を,前記掘削孔内の所定の深さに配置して,前記杭頭部から前記掘削孔の上端に至る前記掘削孔内に,円筒状の筒矢板を挿入すると共に,前記筒矢板で囲まれた空間を介して前記スライム及び/又はセメントミルクの除去,前記中空空間底部に対する前記蓋体の配置,及び前記充填・硬化材の充填を行い,
前記充填・硬化材の充填後,前記筒矢板の下端開口を下部蓋体で被蓋すると共に,前記筒矢板の上端開口を上部蓋体で被蓋することを特徴とする請求項1,2又は4記載の基礎杭の施工方法。
【請求項6】
除去すべき前記スライム及び/又はセメントミルクが存在する空間を被覆可能に形成され,内部に前記スライム及び/又はセメントミルクを導入する回収空間を備えると共に,底部側において前記回収空間を開放する開口を備えた除去容器本体と,前記除去容器本体の前記開口を被蓋する開閉自在の蓋板を備える除去容器を準備し,
該除去容器を該除去容器底部より前記中空杭の中空空間内に挿入し,
前記蓋板を開放して前記回収空間内に前記スライム及び/又はセメントミルクを導入すると共に,
前記蓋板で前記開口を被蓋して,前記除去容器を前記中空空間内より抜き取ることにより,前記中空空間内のスライム及び/又はセメントミルクを除去することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の基礎杭の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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