説明

塗工包装用紙

【課題】本発明は、白色度が高く、フレキソインキ発色性と印刷面のコントラストに優れ、かつ、通常包装用紙として適用されるニス加工、ラミネート等の加工適性、製袋適性に優れた塗工包装用紙を提供するものである。
【解決手段】原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を含有する塗工層を有する塗工包装用紙において、前記原紙が30質量%以上の針葉樹晒クラフトパルプを含有する晒クラフトパルプからなり、さらに前記塗工層に顔料として焼成カオリンを含有し、塗工面のJIS Z 8148に準じて測定した白色度が75%以上であることを特徴とする塗工包装用紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色度が高く、フレキソ印刷適性に優れ、製袋適性を備えた塗工包装用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷物の多色化が進み、要求される印刷品質の高級化、印刷速度の高速化が進んできており、それに対応する包装用紙の開発が求められている。ショッピングバックに代表されるような紙製手提げ袋に用いられる包装用紙においても、印刷品質の高級化が強く要求されている。印刷品質の高級化手法としては、例えば、高速で高精細なオフセット印刷やグラビア印刷での印刷が一般的である。特に、白色度の高い紙にオフセット、グラビア印刷をすると、画線部と非画線部とのコントラストがはっきりし、印刷の冴えなどが際立つ。しかしながら、包装用紙においては、フレキソ印刷の使用状況はいまだに多く、その印刷品質は、オフセット印刷やグラビア印刷に比べて見劣り感がすることは否めない。一方、フレキソ印刷の技術進歩も目覚しく、小ロット多品種化や環境と安全性問題、コスト削減などの市場課題に対して、近年のデジタル化の波とともに、画期的で斬新な技術でもって注目されている。さらに印刷品質についても、他の印刷方式と比較しても遜色ないレベルまで改良されている。フレキソ印刷は上述のごとく、水性化や無溶剤化の面で大きな優位性が認められ、欧米の包装分野では既にフレキソ印刷が主流となっており、日本においても普及の兆しがある。このようなフレキソ技術を駆使して、一般に使用されているオフセット用やグラビア用印刷用紙にフレキソ印刷をしても、インキ発色性が劣るので濃度の高い印刷ができず、多量にインキを載せると、画線部のインキが紙に吸着せず、流れる現象が起き、印刷品質を高級化するには不十分であった。
【0003】
また、包装用紙は、品物を包装、保持する役割が必要なため、印刷品質だけでなく、強度、剛度などの品質も重要な要素のひとつである。印刷品質と強度を両立する手法として例えば、原紙に両性ポリアクリルアミド系紙力剤及びポリアミドエピクロロヒドリン系紙力剤を含有させ、湿潤強度を持たせた原紙の片面にピグメント層を形成することが例示されている(特許文献1)。
【0004】
原紙抄紙時に表裏の繊維配向角の差、及び繊維配向比をある範囲に調整し、少なくとも一方の面に1〜10g/mの塗工層を設けることが提示されている(特許文献2)。
【0005】
また、針葉樹クラフトパルプを50重量%以上用いて形成され、縦横引っ張り強度比が1.7以上に調整された原紙上の少なくとも片面に顔料と接着剤とを含有する塗工層が1〜10g/m形成された坪量が100〜500g/mの範囲の塗工包装用紙が提示されている(特許文献3)。これら開示された例はいずれもフレキソ印刷を想定しているものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−248394号公報
【特許文献2】特開2006−83487号公報
【特許文献3】特開2006−97149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フレキソ印刷時におけるフレキソインキ発色性に優れ、白色度が高く、印刷のコントラストが際立ち、かつ、通常包装用紙として適用されるニス加工、ラミネート加工時の加工適性、製袋適性に優れた塗工包装用紙を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を含有する塗工層を有する塗工包装用紙において、前記原紙が30質量%以上の針葉樹晒クラフトパルプを含有する晒クラフトパルプからなり、さらに前記塗工層に顔料として焼成オリンを含有し、塗工面のJIS Z 8148に準じて測定した白色度が75%以上であることを特徴とする塗工包装用紙である。
前記焼成カオリンの含有量が顔料100質量部に対して、20〜100質量部であることが好ましい。
前記顔料100質量部に対し、タルクが80質量部以下を含有することが好ましい。
塗工層中に顔料100質量部に対し、澱粉誘導体が2〜40質量部含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、白色度が高くて、フレキソ印刷におけるインキ発色性が優れた、より高いコントラストのある塗工包装用紙を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に、フレキソ印刷は水性タイプのインキを使用して印刷が実施されることから、印刷面の吸水性度合いによりインキの浸み込みが異なる。このため、フレキソインキにおけるインキ発色性、および網点再現性は、印刷面の吸水性の度合いとフレキソインキ量に大いに影響される。包装用紙表面に形成する塗工層中に焼成カオリンが存在するとフレキソインキ吸収性が極めてよくなり、この焼成カオリンの配合量、及びその他の顔料配合量を調整することにより、各種のフレキソ印刷機に適応したインキ発色性の優れた品質を得ることができる。
【0011】
焼成カオリンを塗工層中に含有するとフレキソ印刷適性を改善する理由は必ずしも定かではないが、焼成カオリンは、天然に産するカオリンをキルンなどで約800℃程度の高温処理することにより、カオリンの結晶構造中に存在する結晶水を放出させたもので、結晶構造が崩壊して非晶質な構造となり、不透明性、多孔質でインキ吸収性に優れた性質を持っている。このことから、焼成カオリンのもつ空隙性によって、顔料中にインキを取り込み、またインキ中の溶剤が均一に吸収されて、インキの発色性と均一性が得られ、また密着性の向上による網点の再現性も得られるものと考える。焼成カオリンの含有量は20〜100質量部が好ましく、より好ましくは40〜90質量部である。
【0012】
また、焼成カオリンが多孔質なため、他の顔料と比べてより光が拡散されやすく、少ない塗工量で白色度の向上が発揮され、フレキソ印刷時の画線部と非画線部とのコントラストがはっきりし、印刷の冴えなどが際立つ効果が得られる。
【0013】
焼成カオリンは塗料の保水性を著しく低下させることが知られている。塗料保水性が低いと、原紙中に塗料が浸透し易くなり、均一な塗工層が原紙表面に形成することが困難となる。また、塗工装置によっては、塗工筋が発生したり、全く塗工が出来なくなったりすることがある。その対処として、塗料中に澱粉誘導体を使用することが好ましい。本発明で使用される澱粉誘導体としては、例えば、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリン、冷水可溶性澱粉などが挙げられる。その配合量としては、顔料100質量部あたり2〜40質量部が好ましい。10〜30質量部の割合で配合することがより好ましい。澱粉誘導体の配合量が少なすぎると塗工液の保水効果が得られにくい。一方、澱粉誘導体の配合量が多すぎると塗膜の吸水性が低下する虞がある。なお、インキ発色性向上に対して効果を阻害しない範囲において、本発明に使用される塗料中に、防滑剤、染料等の添加剤を併用してもよい。
【0014】
本発明に使用される水分散性樹脂は、一般の塗被紙製造分野で使用されている公知の接着剤が適宜使用される。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレンーメチルメタクリレートーブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体ラテックス等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性した重合体または共重合体ラテックス等の水分散性接着剤等が使用でき、1種または2種以上を適宜選択して使用できる。なお、例示した水分散性樹脂の中で、費用と接着強度のバランスの良い、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを使用することがより好ましい。また、水分散性接着剤の塗工層中の配合量としては、顔料100質量部に対して8〜30質量部が好ましく、さらに好ましくは、10〜25質量部である。これは、焼成カオリンが上述のごとく、多孔質な特徴があることから、塗工層の強度を十分に発現させるに足る範囲である。
【0015】
本発明の水分散性樹脂以外で使用できる接着剤としては、ポリビニルアルコール類が例示される。これら水分散性および/または水溶性接着剤から1種または2種以上を適宜選択して使用できる。
【0016】
本発明に使用する焼成カオリン以外の顔料としては、製紙分野で通常使用されている顔料、例えば、クレー、構造化カオリン、エンジニアードカオリン、タルク、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、硫酸カルシウム等の一種または二種以上を使用することができる。この中でも、タルクを使用することが好ましい。これは包装用紙として各種袋を作成するに際し、印刷後の後加工、製袋加工時に塗工表面に異物が接触して擦れた時、異物付着による汚れの発生を防ぐことができるからである。その作用は、タルクが扁平顔料で、塗工層に存在すると摩擦抵抗を低減させる性質を有していることによる。一般的に製紙用のタルクは、セディグラフによって測定した平均粒径が1〜5μm、クロライト含有率は0〜90%であるが、中でもクロライト含有率5〜50%のタルクの使用は、顔料の分散性と加工時の汚れを軽減させる効果のバランスがとれているため、より好ましい。また、タルク配合部数は顔料100質量部当たり、80質量部以下が好ましい。5質量部以上を含有するとその効果が顕著に発現される。クロライト含有率によりタルク配合部数は変わるものの、さらに好ましくは15〜60質量部である。なお、焼成カオリンを除く顔料は、フレキソインキの吸収性の観点から、本発明の所望する効果を阻害しない範囲で使用するのが望ましいが、プラスチックピグメント等の有機顔料はインキ吸収性が劣るので好ましくない。
【0017】
本発明において、焼成カオリンを含有する塗料の塗工層は、単層であっても、複層であっても差し支えないが、全体の塗工量は0.5〜10g/m2が好ましい。塗工量がこの範囲であると、経済性にすぐれ、且つ水性フレキソ印刷のインキ発色性が優れた塗工包装用紙が得られる。より好ましい塗工量としては、1.5〜7g/m2である。
【0018】
本発明の塗料を原紙に塗工するに当たっては、塗被紙製造に一般に使用される塗工装置が使用でき、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールサイズプレスコーター、フィルムメタリングサイズプレスコーター等の塗工装置を使用して、オンマシン方式またはオフマシン方式で原紙の表面に、単層または多層で塗工される。塗工時の顔料組成物の固形分濃度は、10〜75質量%の範囲で選ぶことができるが、塗工量が0.5〜10g/m2の範囲に留まるよう、また、塗工するコーターを考慮し、適宜調整することが好ましい。
【0019】
塗工包装用紙の場合、袋の外面にあたる面のみ印刷されることから、本発明も片面のみ塗工するほうが経済的に好ましい。ところが、片面のみ塗工すると紙は塗工面側にカールする性質があるので、カール矯正をするのが好ましい。カール矯正には、従来から行われている方法を選択することが可能である。なお、塗料を塗工するコーターとしてゲートロールコーターを選択すると、表面を焼成カオリン含有の塗料を塗工し、裏面をカール矯正用の塗料を1回のパスで同時に塗工できるので、ゲートロールコーターで塗工することが経済的により好ましい。
【0020】
本発明で塗工された塗工包装用紙は、塗工面や印刷適性をさらに向上させるために、カレンダー処理をすることが出来る。例えば、金属ロール間でニップするマシンカレンダーや弾性ロールにコットンロールを用いたスーパーカレンダーや弾性ロールに合成樹脂ロールを用いたソフトニップが挙げられる。ソフトニップカレンダーは合成樹脂ロール表面の耐熱温度がコットンロールに比べて高く設定することが可能なため、高温での処理が可能であり、同一の平滑性を目標とした場合、スーパーカレンダーに比べて処理線圧を低く設定できるので好ましい態様である。
【0021】
本発明に使用されるパルプは晒クラフトパルプから選ばれる。晒クラフトパルプは高強度を確保することが出来、また漂白による白色度の高さが利点であることから、本発明の塗工包装用紙は晒クラフトパルプから得られた高白色度原紙とカオリンを含有する塗工層の相乗効果で白色度、特に見た目の白さが一層向上し、フレキソ印刷時の画線部と非画線部のコントラストがより鮮明になり、印刷の冴えも際立つ効果が得られる。晒クラフトパルプの種類は特に限定がなく、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(以下、NBKPと称する)、広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPと称する)があげられる。塗工包装用紙は製袋機械を通した場合に折り目からの割れ等の製袋工程時の問題が発生しやすいため、本発明はこの問題を解決する為、LBKPに比べ繊維長が長く、繊維間の結合が強いNBKPを30質量%以上配合する。原紙の地合い、抄紙の観点から、NBKPを80質量%以下配合することが好ましい。
【0022】
内添薬品は必要に応じて、例えば、硫酸バンド、ロジン等のサイズ剤、ポリアミド、澱粉等の紙力増強剤、濾水歩留まり向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロヒドリン等の耐水化剤、染料等が使用される。
【0023】
原紙の抄紙条件においても特に限定は無く、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、丸網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。抄紙方式としては、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ抄紙等のいずれの方式でも使用できる。これらの抄紙条件で抄紙された原紙の米坪としては、30〜180g/mが製袋加工するのに適した坪量であり包装用紙として好ましい。より好ましくは、50〜150g/mである。
【実施例】
【0024】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらの範囲に限定されるものでない。なお、例中の「部」、「%」は特に断わらない限り、質量部、質量%を示す。
【0025】
実施例1
(塗料の作成)
焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、BASF社製)90部、カオリン(商品名:ミラグロスJ、BASF社製)10部、接着剤(商品名:PA−8064、エイアンドエル社製)15部、酸化澱粉(商品名:GRS−T110、王子コーンスターチ社製)20部(いずれも固形分換算)からなる塗工液を、濃度40%となるよう調製した。
【0026】
560mlCSFのNBKPを60%、460mlCSFのLBKP40%を混合し、カチオン化澱粉(商品名:ピラーP3YK、ピラースターチ社製)0.5%、硫酸バンド1.3%、サイズ剤(商品名:ペローザーE3655、東邦化学工業社製)0.4%を添加して調製した紙料で抄紙し、引き続きゲートロール塗工装置により上記塗料を片面に乾燥重量が3g/m2(固形分)となるように塗工し、反対面には、酸化澱粉(商品名:GRS−T110、王子コーンスターチ社製)を0.5g/mとなるように塗工、乾燥後、カレンダー処理をして紙水分6.0%、坪量120g/mの塗工包装用紙を得た。
【0027】
実施例2
実施例1において、塗料中の顔料を焼成カオリン70部、タルク(商品名:ミクロタッチ、日本ミストロン社製)30部、接着剤を7部とした以外は実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
【0028】
実施例3
実施例1において、塗料中の顔料を焼成カオリン30部、タルク70部、接着剤を5部、酸化澱粉を35部、塗工量を12g/m、反対面をポリビニルアルコール(商品名:ゴーセナールKS、日本合成化学社製)0.5g/mとした以外は実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
【0029】
実施例4
実施例1において、塗料中の顔料を焼成カオリン100部、塗工量を0.5g/mとした以外は、実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
【0030】
実施例5
実施例1において、塗料中の顔料を焼成カオリン15部、カオリン25部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化社製)60部、接着剤を5部とした以外は実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
【0031】
比較例1
実施例1において、酸化澱粉を両面塗工量0.4g/mとした以外は実施例1と同様にして包装用紙を得た。
【0032】
比較例2
実施例1において、原紙のパルプとして560mlCSFの針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)を25%、460mlCSFの広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を50%、新聞古紙を脱墨処理したパルプ25%を混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
【0033】
比較例3
実施例1において、塗料中の顔料をカオリン50部、重質炭酸カルシウム50部、接着剤を11部、酸化澱粉を7部、塗工量を7.5g/m、反対面をポリビニアルアルコール0.8g/mとした以外は、実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
【0034】
比較例4
実施例1において、原紙のパルプとして560mlCSFのNBKP20%、460mlCSFのLBKP80%とした以外は、実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
【0035】
得られた塗工包装用紙について、下記の評価方法で評価を行い、得られた結果を表1にしめした。なお、本発明における測定及び評価については特に記載のない限り、23℃、50%RHの環境下で行った。
【0036】
(平滑度)
JAPAN TAPPI No.5−2:2000に準じ、王研式平滑度計(ASAHI−SEIKO社製)を使用した。
【0037】
(白色度)
JIS Z 8148:2001に準じて分光白色度測色計(スガ試験機社製)を用いて測定した。
【0038】
(フレキソ印刷におけるインキの発色性)
K印刷プルーファー(RK Print−Coat Instruments社製)、100線/インチに彫刻したアニロックスプレートで、水性フレキソ藍インキ(商品名:ラップトーンHR、サカタインクス社製)を使用して、得られた塗工包装用紙に印刷した。印刷した面をカラー反射濃度計(Model404G、X−Rite社製)でシアンインキ濃度を計測した。
【0039】
(印刷部インキ流れ)
上記K印刷プルーファーにて印刷した部分を観察し、印刷面のインキが均一に定着されているかを拡大鏡と目視で評価した。
[評価基準]
◎:拡大鏡、目視ともインキが均一に定着されている。
○:拡大して印刷部分を観察すると、不均一部が一部存在するが、目視では均一に定着
されている。
×:インキが用紙に吸収し難く、余ったインキが泳いでおり、目視の観察でインキ定着
面が不均一である。
【0040】
(製袋適性)
自動製袋機にて、底幅115mm、袋幅315mm、袋長さ315mmの角底袋(手提げ袋)に加工した。加工後に折部の割れ、印刷部の割れを総合で目視評価を行った。
[評価基準]
◎:全く割れが発生しない。
○:ごく一部割れが発生した。
×:割れが定常的に発生した。
【0041】
【表1】

【0042】
上記表1に明らかなように、本発明の要件を満たす実施例1〜5は、本発明の要件をいずれか欠く比較例1〜4に対して、白色度が高く、印刷部のインキ流れがなく、インキ発色性に優れ、製袋適性が良好であった。即ち、比較例1、3は塗工層中に焼成カオリンを含有していないため、インキ発色性が劣り、比較例2は原紙に未晒パルプを使用したため、白色度が低く、コントラストが劣っていた。比較例4は針葉樹晒クラフトパルプの含有量が少なく、製袋適性が劣っていた。
以上の通り、本発明により白色度に優れ、フレキソ印刷インキ、特に水性フレキソインキに対しても優れたインキ発色性と印刷面のコントラストを持ち、さらに製袋適性に優れた塗工包装用紙を得ることが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を含有する塗工層を有する塗工包装用紙において、前記原紙が30質量%以上の針葉樹晒クラフトパルプを含有する晒クラフトパルプからなり、さらに前記塗工層に顔料として焼成カオリンを含有し、塗工面のJIS Z 8148に準じて測定した白色度が75%以上であることを特徴とする塗工包装用紙。
【請求項2】
前記焼成カオリンの含有量が顔料100質量部に対して、20〜100質量部である請求項1記載の塗工包装用紙。
【請求項3】
前記顔料100質量部に対し、タルクが80質量部以下を含有する請求項1または2記載の塗工包装用紙。
【請求項4】
塗工層中に顔料100質量部に対し、澱粉誘導体が2〜40質量部含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の塗工包装用紙。

【公開番号】特開2011−38216(P2011−38216A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187614(P2009−187614)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】