説明

塗布フィルム及びその製造方法並びに光学補償フィルム

【課題】ワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布膜が形成された塗布フィルムにおいて、ワイヤーバーの両端部での塗布膜の剥がれ故障を防止する。
【解決手段】塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が、1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲となるように塗布膜を形成する。特に、塗布液の粘度が2cp以下の場合には、ワイヤーバー12は、ワイヤー40とロッド38と軸部材44とで構成され、ワイヤー40とロッド38との止め部分46をハンダで接合して該ハンダ部分の径をロッドにワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、且つ、止め部分46の幅をロッド端面48から1mm以上5mm以下の範囲にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布フィルム及びその製造方法並びに光学補償フィルムに係り、特に、走行するポリマーフィルムに塗布液をワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布膜が形成された塗布フィルム及びその製造方法並びに光学補償フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
連続走行するポリマーフィルム(ウエブともいう)の面上に塗布液を塗布する塗布装置としてワイヤーバー塗布装置がある。このワイヤーバー塗布装置は、丸棒状のロッドにワイヤーを螺旋状に密着巻きして形成されたワイヤー列を有するワイヤーバーを備え、走行するウエブに、該ウエブ幅方向に平行なスロット先端から押し出した塗布液ワイヤーバーを介して転移塗布するもので、簡単な装置構成でしかも薄層塗布が可能なことから広く用いられている。例えば、ワイヤーバーを用いた薄層塗布の一例としては、液晶表示装置において視野角特性を改善するために設ける光学補償シートや反射防止のために設ける反射防止膜等の機能性フィルムの製造がある。
【0003】
しかし、このようなワイヤーバーで塗布液を塗布した塗布フィルムでは、従来から塗布液がウエブ裏面へ回り込んだりして両端部の膜厚が厚くなるという問題があった。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1では、ワイヤー列の面長がスロット幅より長く、ウエブより短いワイヤーバーを使用して塗布することが提案されている。そして、特許文献2では、ワイヤーバー塗布装置のウエブ出口側(下流側)の堰形状を規定することで、ウエブ幅より狭い幅で塗布しても耳ムラを解消することが提案されている。また、特許文献3では、塗布中央部分にあたるワイヤーバーのワイヤー径を細径化することで、両端部の膜厚が厚くなるのを抑制することが提案されている。
【特許文献1】特開2005−34681号公報
【特許文献2】特開平6−269715号公報
【特許文献3】特開平6−170312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1〜3のようにワイヤーバーで塗布した塗布フィルム両端部の膜厚を抑制した場合においても、塗布した塗布フィルム両端部の塗布膜が剥がれてしまうという問題があった。特に、塗布膜が設けられた塗布フィルムを更に後処理する場合においては、剥がれた塗布膜が異物となり光学特性などに影響を与えてしまうことがある。
【0006】
そこで、特開2005−283670号公報では、配向膜層表面にラビング処理を施し、その上に液晶層を設けた光学補償シートにおいて、配向膜層の幅と液晶層の幅を、配向膜層よりも化学的耐久性の高い液晶層で配向膜層を覆うように規定し、液晶層形成後に膜が剥がれることを防止することが記載されている。
【0007】
しかしながら、このように他の塗布層で塗布膜が剥がれるのを防止するようにしても、配向膜を覆う液晶層の厚みが薄い場合には剥がれてしまうことがあるので、万全な対策とは言えない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布膜が形成された塗布フィルムにおいて、ワイヤーバーの両端部での塗布膜の剥がれ故障を防止することができる塗布フィルム及び光学補償フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、走行するポリマーフィルムに塗布液をワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布膜が形成された塗布フィルムにおいて、前記塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が、1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲となるように塗布膜が形成されたことを特徴とする。
【0010】
塗布フィルムにおけるワイヤーバーで塗布された両端部の塗布膜の剥がれを防止するためには塗布膜の厚塗り部高さに制限があり、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が4.0×10−3以下であれば、両端部の塗布膜の剥がれを防止することができるという知見を得た。また、塗布フィルムにおけるワイヤーバーで塗布された両端部の塗布膜の剥がれを防止するために、通常、厚塗り部の高さを制限することが考えられるが、単に厚塗り部の高さをフィルム中央部に合わせようとすれば、両端の耳厚塗り部において配向膜を覆っている液晶層の塗布膜が剥がれやすくなるという知見を得た。そして、本願発明者は、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比の下限が1.0×10−3までであれば、両端部の塗布膜の剥がれを防止することができるという知見を得た。
【0011】
即ち、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲となるように塗布膜が形成された塗布フィルムは、ワイヤーバーの両端部での塗布膜の剥がれを抑えることができ、塗布フィルムの剥がれ故障を防止することができる。
【0012】
尚、本発明において、「厚塗り部の高さ」とは、端部での塗布膜の最大厚みのことを指し、「厚塗り部の幅」とは、端部の耳厚塗り部分の断面積を「厚塗り部の高さ」で除した(厚塗り部分を四角形近似している)ときの代表長さのことを指す。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記塗布液の粘度が2cp以下の場合には、前記ワイヤーバーは、ワイヤーとロッドと該ロッドの中心軸を通る軸部材とで構成され、ワイヤーとロッドとの止め部分をハンダで接合して該ハンダ部分の径をロッドにワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、前記止め部分の幅をロッド端面から1mm以上5mm以下の範囲にすることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、2cp以下という低粘度な塗布液を塗布する場合に、ワイヤーとロッドとの止め部分がハンダで接合され、ハンダ部分の径をロッドにワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにしたワイヤーバーで、止め部分の幅をロッド端面から1mm以上5mm以下の範囲にしてポリマーフィルムに塗布液を塗布することで、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲の塗布フィルムを得ることができる。尚、ここで「粘度」は、塗布環境での温度においての塗布液の粘度である。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記塗布液の粘度が2cp以下の場合には、前記ワイヤーバーは、ワイヤーとロッドと該ロッドの中心軸を通る軸部材とで構成され、ワイヤーとロッドとの止め部分をハンダで接合して該ハンダ部分の径を前記ロッドに前記ワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、前記ワイヤーバーの両端部のロッド端面は、前記ロッドの中心軸を通る軸部材に対して10°以上90°以下の傾斜を持たせていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、2cp以下という低粘度な塗布液を塗布する場合に、ワイヤーとロッドとの止め部分がハンダで接合され、ハンダ部分の径をロッドにワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにしたワイヤーバーで、ロッド端面がロッドの中心軸を通る軸部材に対して10°以上90°以下の傾斜を持たせているワイヤーバーによってポリマーフィルムに塗布液を塗布することで、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲の塗布フィルムを得ることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1において、前記塗布液は、光学補償フィルムの光学異方性層を設ける液晶性ディスコネマティック化合物を含む塗布液であることを特徴とし、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の塗布フィルムを用いて製造されたことを特徴とする光学補償フィルムである。
【0018】
本発明は、光学異方性層を設けた液晶性ディスコネマティック化合物を含む塗布液を塗布する光学補償フィルムにおいて、特に有効である。
【0019】
請求項6に記載の発明は前記目的を達成するために、走行するポリマーフィルムに塗布液をワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布フィルムを製造する塗布フィルムの製造方法において、前記塗布液の粘度が2cp以下の場合には、前記ワイヤーバーは、ワイヤーとロッドと該ロッドの中心軸を通る軸部材とで構成され、ワイヤーとロッドとの止め部分をハンダで接合して該ハンダ部分の径を前記ロッドに前記ワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、前記止め部分の幅をロッド端面から1mm以上5mm以下の範囲にすることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は前記目的を達成するために、走行するポリマーフィルムに塗布液をワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布フィルムを製造する塗布フィルムの製造方法において、前記塗布液の粘度が2cp以下の場合には、前記ワイヤーバーは、ワイヤーとロッドと該ロッドの中心軸を通る軸部材とで構成され、ワイヤーとロッドとの止め部分をハンダで接合して該ハンダ部分の径を前記ロッドに前記ワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、前記ワイヤーバーの両端部のロッド端面は、前記ロッドの中心軸を通る軸部材に対して10°以上90°以下の傾斜を持たせていることを特徴とする。
【0021】
請求項6及び7の発明によれば、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲の塗布フィルムを提供することができる。従って、ワイヤーバーの両端部での塗布膜の剥がれを抑えることができ、塗布フィルムの剥がれ故障を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布膜が形成された塗布フィルムにおいて、ワイヤーバーの両端部での塗布膜の剥がれ故障を防止することができる塗布フィルム及びその製造方法並びに光学補償フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下添付図面に従って本発明に係るアルカリ鹸化ポリマーフィルムの製造方法及び装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0024】
以下、本発明に係る塗布フィルムの好ましい実施の形態を、塗布フィルムが光学補償フィルムの場合を例にして詳説する。
【0025】
[配向膜]
図1に示す本発明の光学補償フィルムを製造する製造ライン50は、セルロースアセテートフィルム(ポリマーフィルム)に、ワイヤーバー塗布装置10により塗布液である配向膜形成用樹脂が塗布され、乾燥装置76により塗布液を乾燥することで透明樹脂層が形成される。
【0026】
配向膜は、架橋された2種のポリマーからなることがさらに好ましい。2種のポリマーの一方は、それ自体架橋可能なポリマーまたは、架橋剤により架橋されるポリマーである。配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱又はpH変化により、ポリマー間で反応させて形成するか、あるいは、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
【0027】
ポリマーの架橋は、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液をセルロースアセテートフィルム上に塗布した後、加熱することにより実施できる。配向膜をセルロースアセテートフィルム上に塗設した後から、光学フィルムを得るまでのいずれかの段階で架橋させる処理を行なってもよい。配向膜上に形成される円盤状構造を有する化合物(光学異方層)の配向を考慮すると、円盤状構造を有する化合物を配向させた後に最終の架橋を行なうことも好ましい。すなわち、セルロースアセテートフィルム上にポリマーおよびポリマーを架橋することができる架橋剤を含む塗布液を塗布した場合、加熱乾燥した後、ラビング処理を行なって配向膜を形成し、次いでこの配向膜上に円盤状構造単位を有する化合物を含む塗布液を塗布し、ディスコティックネマティック相形成温度以上に加熱した後、冷却して光学異方層を形成する。
【0028】
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、さらにゼラチン、ポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが好ましく、ポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが特に好ましましく、重合度の異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
【0029】
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましく、85〜95%が最も好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3000であることが好ましい。変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。共重合変性の場合の導入基の例には、COONa、Si(OX)3 、N(CH3 3 ・Cl、C9 19COO、SO3 、Na、C12 25が含まれる。(Xは、プロトンまたはカチオンである)。連鎖移動変性基の場合の導入基の例には、COONa、SH、C1225が含まれる。ブロック重合変性の場合の導入基の例には、COOH、CONH2 、COOR、C6 5 が含まれる(Rは、アルキル基である)。
【0030】
これらの中でも鹸化度が85〜95%である未変性ポリビニルアルコールまたはアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
【0031】
ポリマー(好ましくは水溶性ポリマー、さらに好ましくはポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコール)の架橋剤の例には、アルデヒド(例、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド)、N−メチロール化合物(例、ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン)、ジオキサン誘導体(例、2,3−ジヒドロキシジオキサン)、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物(例、カルベニウム、2−ナフタレンスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−クロロピリジニウム、1−モルホリノカルボニル−3−(スルホナトアミノメチル))、活性ビニル化合物(例、1、3、5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホン)メタン、N’−メチレンビス−[β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド])、活性ハロゲン化合物(例、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン)、イソオキサゾール類およびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
【0032】
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で架橋剤が残存していると、充分な耐久性が得られない。そのような配向膜を液晶表示装置に使用すると、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にレチキュレーションが発生することがある。
【0033】
図2は本発明の塗布フィルムに塗布液を塗布するワイヤーバー塗布装置10の一例を示す断面図である。図3はワイヤーバー塗布装置の一部を切り欠いて内部が見えるようにした斜視図である。図4及び図5はワイヤーバー塗布装置10に設けられたワイヤーバー12の拡大断面図である。
【0034】
図2及び図3に示すように、バー塗布装置10は、主として、塗布ヘッド14と、ワイヤーバー12に近接走行するようにウエブ16をガイドする一対のガイドローラ18、18とで構成される。
【0035】
塗布ヘッド14は、主として、ワイヤーバー12と、ワイヤーバー12を回転自在に支持するバックアップ部材20と、コーターブロック22、24と、サイドブロック21、23(図3参照)から構成される。バックアップ部材20と各コーターブロック22、24との間には、マニホールド26、28及びスロット30、32が形成され、各マニホールド26、28に塗布液が供給される。各マニホールド26、28に供給された塗布液は、ウエブ幅方向に平行でウエブ走行方向に狭隘なスロット30、32を介してウエブ幅方向に均一に押し出される。これにより、ワイヤーバー12に対してウエブ16の送り方向の上流側(以下、「1次側」という)には1次側塗布ビード34が形成され、下流側(以下「2次側」という)に2次側塗布ビード36が形成される。従って、ワイヤーバー12はこれらの塗布ビード34、36を介して走行するウエブ16に塗布液を転移塗布する。
【0036】
マニホールド26、28から過剰に供給された塗布液は各コーターブロック22、24とウエブ16との間からオーバーフローし、側溝25、27(図3参照)を介して回収される。尚、マニホールド26、28への塗布液の供給はマニホールド26、28の中央部から行なっても、または端部から行なってもよい。
【0037】
また、塗布ヘッド14には、塗布液の給液幅規制及びオーバーフローした塗布液の排出(場合によってはリターン系を組み再利用)のためのサイドブロック21、23が設けられている。このサイドブロック21、23によって上記したスロット30、32のスロット幅が設定され、給液幅が規制されることによって、目標塗布幅が決まる。この場合、ウエブ16に全幅塗布すると、塗布液のウエブ16裏面への裏回りが発生するので、目標塗布幅はウエブ16幅よりも狭く設定され、ウエブ16両端に未塗布部分が形成されるように塗布される。
【0038】
このように塗布された塗布フィルムは、ウエブ16両端の塗布膜が厚塗りとなってしまう。そして、この厚塗り部分の塗布膜が剥がれてしまうという問題があった。特に、光学補償フィルムでは、この光学補償フィルムを偏向板に加工する工程において、ウエブ16両端の塗布膜が剥がれ、異物故障となってしまう。
【0039】
そこで、本発明は、ウエブ16両端の塗布膜の厚塗り部の高さと幅との比を1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲となるように形成することにした。
【0040】
塗布フィルムにおけるワイヤーバーで塗布された両端部の塗布膜の剥がれを防止するためには塗布膜の厚塗り部高さに制限があり、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が4.0×10−3以下であれば、両端部の塗布膜の剥がれを防止することができる。また、塗布フィルムにおけるワイヤーバーで塗布された両端部の塗布膜の剥がれを防止するために、単に厚塗り部の高さをフィルム中央部に合わせようとすれば、両端部の塗布膜が剥がれやすくなる。
【0041】
即ち、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲となるように塗布膜が形成された塗布フィルムは、ワイヤーバーの両端部での塗布膜の剥がれを抑えることができ、塗布フィルムの剥がれ故障を防止することができる。
【0042】
尚、本発明において、「厚塗り部の高さ」とは、端部での塗布膜の最大厚みのことを指し、「厚塗り部の幅」とは、端部の耳厚塗り部分の断面積を「厚塗り部の高さ」で除した(厚塗り部分を四角形近似している)ときの代表長さのことを指す。
【0043】
ワイヤーバー12は、図4及び図5に示すように、丸棒状のロッド38にワイヤー40を螺旋状に密着巻回して形成されたワイヤー列42を備えており、このワイヤー列42に塗布液を保持することにより、走行するウエブ16に塗布液を転移塗布する。
【0044】
本発明では、特に塗布液の粘度が2cp以下の場合には、図4に示すように、ワイヤーバー12は、ワイヤー40とロッド38と軸部材44とで構成され、ワイヤー40とロッド38との止め部分をハンダで接合して、その止め部分46の径をロッドにワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式とする。尚、軸部材44はロッド38の中心軸を通るように形成されている。
【0045】
そして、止め部分46の幅Lをロッド端面から1mm以上5mm以下の範囲にする。尚、ここで「粘度」は、塗布環境での温度においての塗布液の粘度である。
【0046】
2cp以下という低粘度な塗布液を塗布する場合に、ワイヤー40とロッド38との止め部分46がハンダで接合され、ハンダ部分の径をロッドにワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにしたワイヤーバー12で、止め部分46の幅Lをロッド端面から1mm以上5mm以下の範囲にしてポリマーフィルムに塗布液を塗布することで、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲の塗布フィルムを得ることができる。
【0047】
また、本発明では、特に塗布液の粘度が2cp以下の場合には、図5に示すように、ワイヤーバー12の両端のロッド端面48を軸部材44に対して10°以上90°以下の傾斜角度αを持たせることで、ポリマーフィルムに塗布液を塗布することで、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲の塗布フィルムを得ることができる。
【0048】
尚、ウエブ16に塗布される塗布膜のウエット厚みは、ロッド38の径とワイヤー40の径によって決まるため、ロッド径やワイヤー径は目標とする塗布膜の厚みに応じて決定される。例えば、ウエット塗布厚みが20μm以下の薄層塗布の場合には、ロッド径は2〜20mmの範囲、好ましくは5〜10mmの範囲であり、ワイヤー径は20〜400μmの範囲、好ましくは50〜100μmの範囲である。ワイヤーバー12を構成するロッド38及びワイヤー40の材質としては、ステンレスをはじめとする各種金属が使用可能であり、強度的に満足するものであればよい。
【0049】
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である架橋剤を含む上記ポリマーをセルロースアセテートフィルム上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、セルロースアセテートフィルム上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の表面の欠陥が著しく減少する。
【0050】
配向膜の乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
【0051】
配向膜は、セルロースアセテートフィルム上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理装置70でラビング処理することにより得ることができる。これにより、透明樹脂層に配向膜を形成させる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するために設けられる。
【0052】
ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0053】
ラビング処理装置70では、ラビングロール72、72をウエブ16の連続搬送工程内にある2つの搬送用ロール間に配置し、回転する該ラビングロール72、72にウエブ16をラップさせながら該ウエブ16を搬送することによって、連続してウエブ16表面にラビング処理を施すことが好ましい。この場合、ウエブ16の搬送方向に対し、回転軸を傾けてラビングロール72、72を配置することも可能である。ラビングロール72自身の真円度、円筒度、振れがいずれも30μm以下であることが好ましい。上記記載のラビング方法を用いた装置において、装置内に1セット以上の予備のラビングロールを備えていることが好ましい。除塵機74により、ウエブ16の表面に付着した塵が取り除かれる。
【0054】
[光学異方性層]
光学フィルムの光学異方性層は、配向膜上に形成される。
【0055】
グラビア塗布装置75により液晶性ディスコネマティック化合物を含む塗布液(液晶化合物溶液)を、ウエブ16の配向膜層上に塗布する。液晶性ディスコティック化合物として架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を用いられる。
【0056】
グラビア塗布装置75は、グラビアローラ52の下方に、液受けパン54が設けられており、この液受けパン54には塗布液が満たされている。そして、グラビアローラ52の約下半分は塗布液に浸漬されている。この構成により、グラビアローラ52表面のセルに塗布液が供給されることとなる。上流ガイドローラ57及び下流ガイドローラ58は、グラビアローラ52と平行な状態で支持されている。そして、上流ガイドローラ57及び下流ガイドローラ58は、両端部分を軸受部材(ボール軸受等)により回動自在に支持され、駆動機構を付されない構成のものが好ましい。グラビア塗布装置75は、クリーンルーム等の清浄な雰囲気に設置するとよい。その際、清浄度はクラス1000以下が好ましく、クラス100以下がより好ましく、クラス10以下が更に好ましい。
【0057】
尚、図1では、塗布装置として、グラビア塗布装置75の例で示したが、これに限定されない。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法等の方法を適宜使用することができる。
【0058】
次に、光学異方性層が形成されたウエブ16は、乾燥装置76により乾燥される。この場合、ウエブ16がグラビア塗布装置75(より正確には、グラビアローラ52)を通過してから3秒以内、又は、ウエブ16がグラビア塗布装置75を通過してから塗布液の塗布時に含有される有機溶媒に対する該有機溶媒の含有率が50%未満(より好ましくは70%未満)となるまでの何れか短い時間以内に乾燥装置76内に導入することが好ましい。
【0059】
そして、乾燥装置76では、塗布膜中の有機溶媒成分の濃度が塗布時の有機溶媒成分の濃度の50%以下(半分以下)に減少するまで、あるいは塗布膜の粘度が10mPa・s以上になるまでのうちの何れか早い方まで乾燥することが好ましい。
【0060】
塗布液の塗布時に含有される有機溶媒に対する有機溶媒の含有率(残存率)は次のように測定することができる。すなわち、乾燥装置76に導入される直前の塗布膜を「へら」を使用して速やかに掻き取り、掻き取った塗布膜を速やかにガラス製の密閉容器に入れ、蓋をして密閉する。ガラス製の密閉容器の重量を測定し、予め測定済みの風体重量を差し引いて、掻き取った塗布膜の重量を得る(塗布膜重量1)。ガラス製の密閉容器の蓋を開け、105°Cにセットしたオーブンに入れて1時間乾燥させる。ガラス製の密閉容器の重量を測定し、風体重量を差し引いて、乾燥後の塗布膜の重量を得る(塗布膜重量2)。そして、上記の塗布膜重量1と塗布膜重量2より、有機溶媒の含有率(残存率)を算出する。
【0061】
次に、乾燥装置76での乾燥が終了したウエブ16は、図1の後段乾燥ゾーン77、加熱ゾーン78、及び紫外線ランプ80を通過させる。これにより、乾燥されたウエブ16の塗布層は、加熱されてディスコティックネマティック相の液晶層が形成され、連続的に該液晶層に光照射されることにより、ディスコティック液晶を硬化する。この場合、加熱ゾーン78の加熱を、ウエブ16の液晶層を持たない側に、熱風または遠赤外線を付与することにより、あるいは加熱ローラを接触させることにより行なうことが好ましい。又は、ウエブ16の両面に、熱風または遠赤外線を付与することにより行なうことが好ましい。そして、配向膜及び液晶層が形成されたウエブは、巻取り機82に巻き取られる。
【0062】
以下にウエブ16上にディスコティック化合物からなる光学異方性層を塗設した光学フィルム(光学補償フィルム)を直接偏光板の保護フィルムとして用いる液晶表示装置について記載するが、これに限定されるものではない。
【0063】
これらに用いられるディスコティック化合物については特開平7−267902号、特開平7−281028号、特開平7−306317号の各公報に詳細に記載されている。それらによると、光学異方性層はディスクティック構造単位を有する化合物から形成される層である。即ち、光学異方性層は、モノマー等の低分子量の液晶性ディスコティック化合物層、または重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合(硬化)により得られるポリマー層である。それらのディスクティック(円盤状)化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスクティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、前記公報において円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、例えば前記低分子ディスコティック液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。さらに、ディスコティックネマティック相または一軸性の柱状相を形成し得る、円盤状化合物の少なくとも一種を含有し、かつ光学異方性を有することを特徴とする化合物を用いることが好ましい。また円盤状化合物がトリフェニレン誘導体であることが好ましい。ここで、トリフェニレン誘導体が、特開平7−306317号公報に記載の(化2)で表される化合物であることが好ましい。
【0064】
セルロースアシレートフィルムは、特開平8−5837号、特開平7−191217号、特開平8−50206号、特開平7−281028号の各公報に詳細に記載されている下記の基本構成を有する光学補償フィルムに用いることができる。セルロースアシレートフィルム及びその上に設けられた光学異方性層からなる光学補償フィルムが適用例であり、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物から形成される層である。LCDへの適用例としては、偏光板の片側に上記光学補償フィルムを粘着剤を介して貼り合わせる、もしくは、偏光素子の片側に保護フィルムとして、上記光学補償フィルムを接着剤を介して貼り合わせることが好ましい。光学異方素子は少なくともディスコティック構造単位(ディスコティック液晶が好ましい)を有することが好ましい。
【0065】
該ディスコティック構造単位の円盤面(以下、単に「面」とも言う)が、セルロースアシレートフィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面とセルロースアシレートフィルムとのなす角度が、光学異方性層の深さ方向において変化していることが好ましい。
【0066】
製造された光学補償フィルムは、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。光学補償フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。液晶セルのモードは、VAモード、TNモード、またはOCBモードであることが好ましい。
【0067】
尚、本実施形態においては、配向膜層を形成する工程、光学異方性層を形成する工程を1つのラインで製造することが出来る図1の製造ライン50で説明したが、例えば、配向膜の乾燥装置76の後に巻取り機を設けて1度ウエブ16を巻き取り、更にラビング処理装置70の前に送り出し機を設けてウエブ16をラビング処理装置70に送り出すというように、製造ラインを2つに分けて製造することも考えられる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0069】
ポリマーフィルムとしてセルローストリアセテートフィルム(商品名;フジタック、富士フイルム社製)を用い、配向膜形成用樹脂(塗布液)を塗布した。この塗布液は、主成分を直鎖アルキル変性ポリビニルアルコール(商品名;MP203、クラレ(株)社製)とし、溶媒には水を用いて調製した。溶媒は、図6の表に示す粘度になるように調整した。
【0070】
そして、図1の装置でバルクロール(ウエブ16)をラビング処理装置70でラビング処理した。なお、ラビング処理におけるラビングローラの回転周速を5.0m/秒とし、押し付け圧力を、配向膜樹脂層の1cm2あたり10kgf/cm2とした。
【0071】
ラビング処理を施したウエブ16に対し、塗布装置75にて塗布を行った。この塗布液には、ディスコティック化合物の混合物に対して光重合開始剤(商品名;イルガキュア907、日本チバガイギー社製)を1重量%添加した10重量%メチルエチルケトン溶液である、液晶性化合物を含む溶液を用い、湿潤膜厚5μmとなるように、10〜50m/分で搬送させたウエブ16に対して塗布した。塗布後のウエブ16を、乾燥装置76、後段乾燥ゾーン77、加熱ゾーン78、及び紫外線ランプ80を通過させた。そして、配向膜及び光学異方性層が形成された光学補償フィルムの表面端部を検査した。
【0072】
ここで、表中の評価において、配向膜にフィルム表面端部の耳剥がれが無く問題ないものを○、配向膜にフィルム表面端部の耳剥がれが有り問題あるものを×とした。尚、フィルム表面端部の配向膜の耳高さ及び耳幅は、連続フィルム膜厚み計測装置(Anritsu、film thickness tester、KG601B)で計測した。
【0073】
図6の表から分かるように、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲であるものは、評価が○であった。また、図6の表から分かるように、塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲とすることができるワイヤーバーの形状は、粘度が2cp以下の塗布液では、止め部分の幅をロッド端面から1mm以上5mm以下の範囲にしたもの、及び/又は、軸部材に対して10°以上90°以下の傾斜を持たせているものであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る光学補償フィルムの製造ラインを説明する説明図
【図2】ワイヤーバー塗布装置の断面図
【図3】ワイヤーバー塗布装置の一部を切り欠いて中が見えるようにした斜視図
【図4】本発明に係る光学補償フィルムの製造に用いるワイヤーバーの拡大断面図
【図5】本発明に係る光学補償フィルムの製造に用いるワイヤーバーの拡大断面図
【図6】実施例を示した表図
【符号の説明】
【0075】
10…ワイヤーバー塗布装置、12…ワイヤーバー、14…塗布ヘッド、16…ウエブ(ポリマーフィルム)、16A…ウエブ端部、18…ガイドローラ、20…バックアップ部材、21、23…サイドブロック、22、24…コーターブロック、26、28…マニホールド、30、32…スロット、34…1次側塗布ビード、36…2次側塗布ビード、38…ロッド、40…ワイヤー、42…ワイヤー列、44…軸部材、46…止め部分、48…端面、50…製造ライン、52…グラビアローラ、53…バックアップローラ、54…液受けパン、57…上流ガイドローラ、58…下流ガイドローラ、66…送り出し機、68…ガイドローラ、70…ラビング処理装置、72…ラビングローラ、74…除塵機、75…塗布装置、76…乾燥装置、77…後段乾燥装置、78…加熱装置、80…紫外線ランプ、82…巻取り機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するポリマーフィルムに塗布液をワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布膜が形成された塗布フィルムにおいて、
前記塗布膜端部の厚塗り部の高さと幅との比が、1.0×10−3以上4.0×10−3以下の範囲となるように塗布膜が形成されたことを特徴とする塗布フィルム。
【請求項2】
前記塗布液の粘度が2cp以下の場合には、
前記ワイヤーバーは、ワイヤーとロッドと該ロッドの中心軸を通る軸部材とで構成され、ワイヤーとロッドとの止め部分をハンダで接合して該ハンダ部分の径を前記ロッドに前記ワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、
前記止め部分の幅をロッド端面から1mm以上5mm以下の範囲にすることを特徴とする請求項1に記載の塗布フィルム。
【請求項3】
前記塗布液の粘度が2cp以下の場合には、
前記ワイヤーバーは、ワイヤーとロッドと該ロッドの中心軸を通る軸部材とで構成され、ワイヤーとロッドとの止め部分をハンダで接合して該ハンダ部分の径を前記ロッドに前記ワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、
前記ワイヤーバーの両端部のロッド端面は、前記ロッドの中心軸を通る軸部材に対して10°以上90°以下の傾斜を持たせていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布フィルム。
【請求項4】
前記塗布液は、光学補償フィルムの光学異方性層を設ける液晶性ディスコネマティック化合物を含む塗布液であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の塗布フィルム。
【請求項5】
請求項4に記載の塗布フィルムを用いて製造されたことを特徴とする光学補償フィルム。
【請求項6】
走行するポリマーフィルムに塗布液をワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布フィルムを製造する塗布フィルムの製造方法において、
前記塗布液の粘度が2cp以下の場合には、
前記ワイヤーバーは、ワイヤーとロッドと該ロッドの中心軸を通る軸部材とで構成され、ワイヤーとロッドとの止め部分をハンダで接合して該ハンダ部分の径を前記ロッドに前記ワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、
前記止め部分の幅をロッド端面から1mm以上5mm以下の範囲にすることを特徴とする塗布フィルムの製造方法。
【請求項7】
走行するポリマーフィルムに塗布液をワイヤーバーから成る塗布装置で塗布することで塗布フィルムを製造する塗布フィルムの製造方法において、
前記塗布液の粘度が2cp以下の場合には、
前記ワイヤーバーは、ワイヤーとロッドと該ロッドの中心軸を通る軸部材とで構成され、ワイヤーとロッドとの止め部分をハンダで接合して該ハンダ部分の径を前記ロッドに前記ワイヤーが巻かれた径と略同じ厚みにする形式であり、
前記ワイヤーバーの両端部のロッド端面は、前記ロッドの中心軸を通る軸部材に対して10°以上90°以下の傾斜を持たせていることを特徴とする塗布フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−242721(P2009−242721A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93668(P2008−93668)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】