説明

塗布容器

【課題】流通筒部内に内容物が留まることを抑え、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制すること。
【解決手段】容器2と、容器の口部3に装着され、内部が容器内に連通する流通筒部4と、流通筒部内に容器外側に向けて付勢された状態で配設され、先端部5が流通筒部に形成された流通孔6内に流通筒部に対して出没自在に挿通された塗布栓7と、を備え、塗布栓において流通筒部内に位置する部分には、流通筒部内に形成された被シール面15に容器内側から当接及び離間するシール面18が形成され、流通筒部から容器内側に突出し、容器内と流通筒部内とを連通させる導入筒部8が備えられ、導入筒部には、側方に向けて開口する側面開口部22が形成され、この開口部の開口端縁23の少なくとも一部は、容器内側に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて凹む曲線をなす曲線部24となる塗布容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤等の内容物を適量塗布するのに好適な塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に収容した液剤等の内容物を適量塗布するための塗布容器として、例えば特許文献1記載のものが知られている。特許文献1記載の塗布容器は、容器の口部に装着された中栓(流通筒部)と、中栓の径方向内側にその軸方向に沿った容器の外側に向けて付勢された状態で配設されると共に先端部を中栓に形成された流通孔から前記容器の外側に突出させた塗布栓とを備えている。また、この塗布容器では、塗布栓の外周面に形成されたシール面と、中栓の内周面に形成された被シール面とが当接することで、容器の内部と外部とが遮断されている。
この塗布容器を用いて内容物を塗布する際には、塗布栓の先端部が下方を向くように容器を傾け、先端部を被塗布面に押し当てて塗布栓を中栓に対し容器の内側へ押し込みシール面と被シール面との当接を解除することで、流通孔から内容物を流出させ被塗布面に塗布する。そして、内容物を被塗布面に塗布し終えた後には、塗布栓の先端部の被塗布面への押し当てを解除して、塗布栓に作用する前記容器の外側に向く付勢力によりシール面を被シール面に当接させてシールすることで、内容物の流出を停止する。
【特許文献1】実用新案登録第2553493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の塗布容器では、内容物の塗布後に塗布栓の先端部が上方を向くように容器の傾きを元に戻して容器を正立させても、流通筒部内の内容物が、容器内に向けて流れ落ちずに流通筒部内にそのまま留まってしまうことがあった。このように流通筒部内に内容物が留まった状態で再び前述したような塗布を行った場合、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうことがあった。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、流通筒部内に内容物が留まることを抑え、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制することができる塗布容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る塗布容器は、内容物が収容される容器と、前記容器の口部に装着され、内部が前記容器内に連通する流通筒部と、前記流通筒部内にその軸方向に沿った容器の外側に向けて付勢された状態で配設され、先端部が前記流通筒部に形成された流通孔内に該流通筒部に対して出没自在に挿通された塗布栓と、を備え、前記塗布栓において前記流通筒部内に位置する部分には、前記流通筒部内に形成された被シール面に前記軸方向に沿った容器の内側から当接及び離間するシール面が形成された塗布容器であって、前記流通筒部から前記軸方向に沿った容器の内側に突出し、前記容器内と前記流通筒部内とを連通させる導入筒部が備えられ、前記導入筒部には、側方に向けて開口する側面開口部が形成され、この側面開口部の開口端縁の少なくとも一部は、前記軸方向に沿った容器の内側に向かうに従い漸次この導入筒部の径方向の内側に向けて凹む曲線をなす曲線部となっていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明に係る塗布容器によれば、導入筒部に側方に向けて開口する側面開口部が形成されているので、容器内に開口する導入筒部の開口面積を大きくすることができる。
また、側面開口部の開口端縁の少なくとも一部が前記曲線部となっているので、この開口端縁の全部が、前記容器の内側に向かうに従い漸次前記径方向の内側に向けて直線状に延びている場合と比べて、側面開口部内の内容物に働く凝集力(表面張力)を分散させて弱めることができる。
以上により、内容物を塗布した後に容器を正立させたときに、導入筒部内の内容物を容器内に流れ落とし易くすることが可能となり、この流れ落としに併せて流通筒部内の内容物も導入筒部を通して容器内に流れ落とし易くすることができる。従って、流通筒部内に内容物が留まることを抑え、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制することができる。
【0007】
また、流通筒部内の内容物を容器内に流れ落とすことで、流通筒部内はエアで満たされた状態になるが、前述したように容器内に開口する導入筒部の開口面積が大きいので、容器を傾けた際に、流通筒部内のエアを導入筒部を通して容器内に流入させ易く、且つ容器内の内容物を導入筒部を通して流通筒部内に流入させ易くする、つまり流通筒部内のエアと容器内の内容物との置換効率を向上することができる。
以上により、塗布栓の先端部を被塗布面に押し当てシールを解除して内容物を塗布する際に、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制しつつ、内容物を円滑に流出させることができる。
【0008】
また、本発明に係る塗布容器では、前記導入筒部には、前記軸方向に沿った容器の内側に向けて開口する端面開口部が形成され、前記側面開口部は、前記端面開口部に連なっていることが好ましい。
【0009】
この場合、導入筒部に前記軸方向に沿った容器の内側に向けて開口する端面開口部が形成されると共に、この端面開口部に側面開口部が連なっているので、容器内に開口する導入筒部の開口面積を拡大し、且つ側面開口部内及び端面開口部内の内容物に働く凝集力をより分散させることが可能となる。これらにより、内容物を塗布した後に容器を正立させたときに、導入筒部内の内容物を容器内に確実に流れ落とすことができる。
【0010】
また、本発明に係る塗布容器では、前記側面開口部の開口端縁において前記端面開口部に連なる部分は、前記軸方向に沿って延びる直線部となっていることが好ましい。
【0011】
この場合、側面開口部の開口端縁において端面開口部に連なる部分は、前記軸方向に沿って延びる直線部となっているので、容器内に開口する導入筒部の開口面積を更に拡大し、且つ側面開口部内及び端面開口部内の内容物に働く凝集力をより一層分散させることが可能となる。これらにより、内容物を塗布した後に容器を正立させたときに、導入筒部内の内容物を容器内により一層確実に流れ落とすことができる。
【0012】
また、本発明に係る塗布容器では、前記導入筒部及び前記流通筒部のうちの少なくとも一方には、前記容器内と前記流通筒部内とを連通させる第1流路が形成され、前記第1流路は、前記導入筒部の軸線を挟んだ前記側面開口部の反対側に配置されていることが好ましい。
【0013】
この場合、容器内と流通筒部内とを連通させる第1流路が前記軸線を挟んだ側面開口部の反対側に配置されているので、側面開口部が下方に位置すると共に第1流路が上方に位置するように容器を傾けたときに、容器内の内容物を側面開口部を通して流通筒部内に流入させ易くすると共に、流通筒部内のエアを第1流路を通して容器内に流入させ易くすることが可能となり、流通筒部内のエアと容器内の内容物とが同一流路内で流通することを抑え、両者の置換効率をより向上することができる。
【0014】
また、本発明に係る塗布容器では、前記流通筒部内には、前記塗布栓の先端部の前記容器の内側へ向けた移動を規制する規制部が配設され、前記規制部は、前記軸方向に沿って延びる筒状に形成されると共に、内部が前記導入筒部内に連通し、前記流通筒部の内周面と前記規制部の外周面との間には、前記シール面及び前記被シール面が離間したときに外部と連通する第2流路が形成され、前記規制部には、その内部と前記第2流路とを連通する連通開口が形成されていることが好ましい。
【0015】
この場合、塗布栓の先端部が前記容器の内側へ向けて移動したときに、塗布栓が規制部に当接して、この移動が規制される。これにより、塗布栓が過度に前記容器の内側に押し込まれることがなく、塗布栓の過度の押し込みに起因して例えば内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまったり、或いは塗布栓の先端部が元の位置に戻らなくなってしまったりするのを抑制することができる。
また、内容物の塗布後に容器を正立させたときには、第2流路内の内容物が連通開口を通して規制部内に引き込まれるように流入することになり、この流入によって導入筒部内の内容物を容器内に押し込ませることで流れ落とし易くすることができる。
【0016】
また、本発明に係る塗布容器では、前記導入筒部を径方向の外側から囲繞し、且つ前記導入筒部と一体に形成された外筒部が備えられていることが好ましく、更に、前記外筒部の前記軸方向に沿った容器の内側の端縁は、前記導入筒部の前記容器の内側の端縁よりも、前記軸方向に沿った容器の内側に位置することが好ましい。
【0017】
この場合、導入筒部と外筒部とが一体に形成されているので、導入筒部を、外筒部の前記端縁を鉛直方向下側に向けた姿勢で安定に自立させることが可能になる。これにより、例えば塗布容器の組み立て前等における導入筒部の取り扱い性を向上させることが可能となり、塗布容器の組み立ての容易化を図ることができる。なお、外筒部の前記端縁の位置は、導入筒部及び外筒部からなる構成品が自立可能な範囲で設定されていれば良く、例えば外筒部の前記端縁が導入筒部の前記端縁と軸方向で同等位置であっても良く、若しくは外筒部の前記端縁が導入筒部の前記端縁より若干、軸方向に沿った容器の外側に位置していても良い。
【0018】
また、本発明に係る塗布容器では、前記外筒部には、径方向で前記側面開口部に対向する部分の少なくとも一部にスリット部が形成されていることが好ましい。
【0019】
この場合、外筒部に前記スリット部が形成されているので、導入筒部内の内容物を容器内に円滑に流れ落とすことが可能になると共に、外筒部内に内容物が留まってしまうのを抑制することもできる。
以上より、塗布容器の組み立ての容易化を図りつつ、導入筒部内の内容物を容器内に確実に流れ落とすことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る塗布容器によれば、流通筒部内に内容物が留まることを抑え、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る第1実施形態の塗布容器を、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。図2は、図1に示す塗布容器においてオーバーキャップを取り外す過程を示す概略縦断面図である。図3は、図1に示す塗布容器においてオーバーキャップを取り外した状態を示す概略縦断面図である。
【0022】
塗布容器1は、図1に示すように、内容物が収容される容器2と、容器2の口部3に装着され、内部が容器2内に連通する流通筒(流通筒部)4と、流通筒4内にその軸方向に沿った容器2の外側に向けて付勢された状態で配設され、先端部5が流通筒4に形成された流通孔6内にこの流通筒4に対して突出高さが変動するように出没自在に挿通された塗布栓7と、を備えている。更に本実施形態では、塗布容器1は、流通筒4からその軸方向に沿った容器2の内側に突出し、容器2内と流通筒4内とを連通させる導入筒部8と、塗布栓7を前記容器2の外側に向けて付勢する付勢部材9と、容器2の口部3に着脱自在に装着されて、流通筒4及び塗布栓7の先端部5を覆うオーバーキャップ10と、を備えている。
【0023】
なお、図示の例では、容器2が有底筒状に形成されると共に塗布栓7の先端部5が棒状に形成されており、容器2、流通筒4、塗布栓7の先端部5、導入筒部8及びオーバーキャップ10は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸を軸線Oと称し、軸線O方向に沿ったオーバーキャップ10側(軸方向に沿った容器の外側)を上側、容器2側(軸方向に沿った容器の内側)を下側と称する。
【0024】
容器2の口部3の外周面には、雄ネジ3aが形成されている。
流通筒4の外周面における軸線O方向の中間部分には、周方向に沿った環状をなし径方向外側に突出するフランジ部11が形成されている。フランジ部11の外径は、容器2の口部3の外径と同等とされている。また、流通筒4においてフランジ部11よりも下側に位置する下側部分12は、口部3内に嵌合され、フランジ部11の下面は、容器2の口部3の上端縁に当接されている。
【0025】
また、流通筒4においてフランジ部11よりも上側に位置する上側部分13は、下側から上側に向かうに連れ漸次縮径している。また、前記上側部分13の上端部における外周面には、前記上側部分13における他の部分よりも軸線O方向に沿った単位長さあたりの縮径量が大きいテーパ面14が形成されている。また、図示の例では、流通筒4の上端開口部である流通孔6を画成する前記上端部における内周面は、軸線O方向の位置に関わらず内径が同等な平坦面となっている。また、流通筒4の上端部においてこの平坦面の下側に連なる部分の内周面には、上側から下側へ向かうに連れ漸次拡径する被シール面15が形成されている。
【0026】
また、塗布栓7は、前記先端部5と、先端部5の下側に連設され先端部5より大径な有頂筒状の基部16とからなる。先端部5の外径は、流通孔6の内径と同等若しくは若干小さくなっている。また、先端部5の外周面には、軸線O方向に沿って延びる溝5aが周方向に間隔を開け複数形成されている。また、図示の例では、先端部5の上側部分は、流通筒4から上側に突出している。
また、基部16は、流通筒4内に配設され、この基部16において先端部5に連設された天板部17の外周縁部には、上側から下側へ向かうに連れ漸次拡径すると共に、流通筒4内に形成された被シール面15に下側から当接及び離間するシール面18が形成されている。図示の例では、シール面18及び被シール面15は、軸線O方向に互いに離間している。また、図示の例では、基部16と流通筒4との間には、隙間があいている。また、基部16の内周面は、上側から下側に向かうに連れて漸次拡径している。
【0027】
また、導入筒部8は、流通筒4と別部材で構成され、その下側部分19が流通筒4から下側に突出するように流通筒4内に配設されている。また、導入筒部8の軸線O方向の中間部分には、径方向の外側に向けてフランジ部20が突設されている。フランジ部20の外径は、流通筒4の下端縁における内径より大きく、且つ前記下端縁の外径より小さくなっており、フランジ部20の上面は、前記下端縁に当接している。
また、導入筒部8においてフランジ部20より上側に位置する上側部分21は、流通筒4の下端開口部内に配置され流通筒4に対して軸線O方向に固定されている。図示の例では、前記上側部分21は、流通筒4の下端開口部内に嵌合されることで流通筒4に対して軸線O方向に固定されている。また、導入筒部8の上端縁の内径及び外径は、塗布栓7の基部16の内径及び外径よりそれぞれ大きくなっている。
【0028】
また、導入筒部8には、側方に向けて開口する側面開口部22が形成され、この側面開口部22の開口端縁23の少なくとも一部は、下側に向かうに従い漸次この導入筒部8の径方向の内側に向けて凹む曲線をなす曲線部24となっている。また、導入筒部8には、下側に向けて開口する端面開口部25が形成され、側面開口部22は、端面開口部25に連なっている。更に、側面開口部22の開口端縁23において端面開口部25に連なる部分は、軸線O方向に沿って延びる直線部26となっている。図示の例では、側面開口部22は、導入筒部8の前記下側部分19に形成され、曲線部24の上端がフランジ部20の下端と連なっている。また、曲線部24の下端は、直線部26の上端と連なっている。また、曲線部24の軸線O方向の大きさは、例えば前記下側部分19の軸線O方向の大きさの約1/3となっている。また、曲線部24の径方向の大きさは、例えば前記下側部分19の内径の約1/2となっており、直線部26の径方向の位置は、軸線O方向に沿った縦断面視で軸線Oと一致する位置となっている。
【0029】
また、導入筒部8及び流通筒4のうちの少なくとも一方には、容器2内と流通筒4内とを連通させる第1流路27が形成され、この第1流路27は、軸線Oを挟んだ側面開口部22の反対側に配置されている。図示の例では、第1流路27は、導入筒部8の外周面において流通筒4内に位置する部分から下端まで軸線O方向に沿って延びる溝部27aと、フランジ部20に形成され溝部27aに連通する切り欠き部27bと、を備えている。
また、付勢部材9は、軸線O周りに螺旋状に延びる樹脂バネからなり、その上端が塗布栓7の下端縁に連結され、その下端が導入筒部8の上端縁に連結されている。また、付勢部材9と流通筒4の内周面との間には、隙間があいている。また、図示の例では、塗布栓7、付勢部材9及び導入筒部8は、一体に形成されている。
【0030】
また、オーバーキャップ10は、多段筒状に形成された本体部28と、本体部28の上側を塞ぐ天板部29と、を備えている。本体部28の内周面における軸線O方向の中間部分には、下側を向き流通筒4のフランジ部11の上面に当接する環状の押さえ面30が形成されている。また、本体部28の内周面において押さえ面30よりも下側に位置する部分には、容器2の雄ネジ3aに螺合する雌ネジ10aが形成されている。また、本体部28において押さえ面30よりも上側に位置する部分は、本体部28において押さえ面30の下側に位置する部分よりも縮径して形成されている。
【0031】
また、オーバーキャップ10には、流通孔6を通した流通筒4の内部と外部との連通を遮断するシール部31と、塗布栓7の先端部5に上側から当接してこの塗布栓7を下側に向けて押下して、シール面18と被シール面15との当接を解除する押下部32と、が備えられている。
シール部31は、流通筒4及び容器2の少なくとも一方に上側から当接しており、図示の例では、シール部31は、オーバーキャップ10の天板部29の内面に下側に向けて突設された筒状体とされ、その下端縁33が、流通筒4における流通孔6の開口縁部34と当接している。図示の例では、シール部31は、軸線Oと同軸に配設され、その内径が流通孔6の内径と同等とされている。また、オーバーキャップ10の天板部29の内面には、軸線Oと同軸に配置された筒状の補助シール部35が突設されており、この補助シール部35の内周面が、シール部31の外周面全周に亘り連結されている。補助シール部35の内周面には、シール部31の下端縁の径方向外縁部から下側へ向かうに連れ漸次拡径すると共に流通筒4のテーパ面14に当接するテーパ面36が形成されている。また、図示の例では、補助シール部35の外径は、オーバーキャップ10の本体部28において押さえ面30よりも上側に位置する部分の内径より小さくなっている。
【0032】
押下部32は、オーバーキャップ10の天板部29の内面に設けられている。図示の例は、押下部32は、前記天板部29においてシール部31よりも径方向内側に配置されると共に下側に向けて突設されている。また、押下部32の突出高さは、シール部31の突出高さより小さくなっている。また、押下部32の外径は、シール部31の内径よりも小さく、押下部32とシール部31との間には隙間があいており、この隙間の径方向の大きさは、塗布栓7の先端部5に形成された溝5aの径方向の大きさと同等となっている。
【0033】
また、この塗布容器1では、図2に示すように、オーバーキャップ10を容器2の口部3から取り外す際、シール面18と被シール面15とが当接する前にシール部31による流通筒4の内部と外部との連通の遮断が解除される。図示の例では、シール面18と被シール面15とが当接する前に、シール部31の下端縁33と流通筒4における流通孔6の開口縁部34との当接が解除され、更に、流通筒4のテーパ面14と補助シール部35のテーパ面36、及びオーバーキャップ10の押さえ面30と流通筒4のフランジ部11の上面が軸線O方向にそれぞれ離間するようになっている。
【0034】
次に、以上のように構成された塗布容器1を利用して、内容物を塗布する方法について説明する。以下では、容器2内の内容物の液面位置が導入筒部8の下端より下側にあり、且つ流通筒4内がエアで満たされている場合を例として説明する。
【0035】
まず、図1及び図2に示すように、オーバーキャップ10が容器2の口部3に装着された状態でこのオーバーキャップ10を軸線O周りに回転させて、オーバーキャップ10を口部3に対して上側に移動させながら口部3から取り外す。この際、前述したように、シール面18と被シール面15とが当接する前にシール部31の下端縁33と流通筒4における流通孔6の開口縁部34等による流通筒4の内部と外部との連通の遮断が解除され、容器2の内部と外部とが、導入筒部8内、流通筒4内及びオーバーキャップ10内を通して連通される。これにより、容器2内の圧力を外気圧と同等にすることができる。
【0036】
この状態から更にオーバーキャップ10を取り外していくと、図3に示すように、シール面18と被シール面15とが当接し、容器2の内部と外部との連通が遮断される。なお、図示の例では、シール面18と被シール面15とは、オーバーキャップ10を口部3から取り外し終えた状態で当接しているが、オーバーキャップ10を取り外し終える前に当接しても良い。更に、シール面18と被シール面15とが当接するときには、押下部32と塗布栓7の先端部5とが当接した状態であっても良い。この場合、押下部32により塗布栓7が付勢部材9の付勢力に抗する力を受けた状態でシール面18と被シール面15とが当接するので、シール面18が前記付勢力により過度に加速されて被シール面15に衝突するのを防ぐことができる。
【0037】
次いで、オーバーキャップ10を容器2の口部3から取り外した後に、塗布栓7の先端部5が下方を向くように容器2を傾ける。これにより、流通筒4内のエアと容器2内の内容物とが置換される。この際、例えば容器2を側面開口部22が下方に位置すると共に第1流路27が上方に位置するように傾けると、容器2内の内容物を側面開口部22及び端面開口部25を通して流通筒4内に流入させ易くすると共に、流通筒4内のエアを第1流路27を通して容器2内に流入させ易くすることができる。
【0038】
次いで、塗布栓7の先端部5を被塗布面に押し当てて塗布栓7を流通筒4に対し容器2の内側へ押し込みシール面18と被シール面15との当接を解除することで、流通孔6から内容物を流出させ被塗布面に塗布する。そして、内容物を被塗布面に塗布し終えた後には、塗布栓7の先端部5の被塗布面への押し当てを解除して、塗布栓7に作用する前述の付勢力によりシール面18を被シール面15に当接させてシールすることで、内容物の流出を停止する。
【0039】
次いで、塗布栓7の先端部5が上方を向くように容器2の傾きを元に戻して容器2を正立させる。これにより、流通筒4内の内容物を容器2内に向けて流れ落とす。
次いで、オーバーキャップ10を容器2の口部3に装着させる。この際、図2に示すように、まず、押下部32が塗布栓7の先端部5に当接して、シール面18と被シール面15との当接を解除し、更にオーバーキャップ10を口部3に締め込んでいくと、図1に示すように、シール部31の下端縁33と流通筒4における流通孔6の開口縁部34、流通筒4のテーパ面14と補助シール部35のテーパ面36、及びオーバーキャップ10の押さえ面30と流通筒4のフランジ部11の上面がそれぞれ当接することで、容器2の内部と外部との連通が遮断される。
【0040】
以上に示した本実施形態の塗布容器1によれば、導入筒部8に側方に向けて開口する側面開口部22が形成されているので、容器2内に開口する導入筒部8の開口面積を大きくすることができる。
また、側面開口部22の開口端縁23の一部が前記曲線部24となっているので、この開口端縁23の全部が、下側に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて直線状に延びている場合と比べて、側面開口部22内の内容物に働く凝集力(表面張力)を分散させて弱めることができる。
以上により、内容物を塗布した後に容器2を正立させたときに、導入筒部8内の内容物を容器2内に流れ落とし易くすることが可能となり、この流れ落としに併せて流通筒4内の内容物も導入筒部8を通して容器2内に流れ落とし易くすることができる。従って、流通筒4内に内容物が留まることを抑え、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制することができる。
【0041】
また、流通筒4内の内容物を容器2内に流れ落とすことで、流通筒4内はエアで満たされた状態になるが、前述したように容器2内に開口する導入筒部8の開口面積が大きいので、容器2を傾けた際に、流通筒4内のエアを導入筒部8を通して容器2内に流入させ易く、且つ容器2内の内容物を導入筒部8を通して流通筒4内に流入させ易くする、つまり流通筒4内のエアと容器2内の内容物との置換効率を向上することができる。
以上により、塗布栓7の先端部5を被塗布面に押し当てシールを解除して内容物を塗布する際に、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制しつつ、内容物を円滑に流出させることができる。
【0042】
また、導入筒部8に軸線O方向に沿った容器2の内側に向けて開口する端面開口部25が形成されると共に、この端面開口部25に側面開口部22が連なっているので、容器2内に開口する導入筒部8の開口面積を拡大し、且つ側面開口部22内及び端面開口部25内の内容物に働く凝集力をより分散させることが可能となる。これらにより、内容物を塗布した後に容器2を正立させたときに、導入筒部8内の内容物を容器2内に確実に流れ落とすことができる。
【0043】
また、側面開口部22の開口端縁23において端面開口部25に連なる部分は、軸線O方向に沿って延びる直線部26となっているので、容器2内に開口する導入筒部8の開口面積を更に拡大し、且つ側面開口部22内及び端面開口部25内の内容物に働く凝集力をより一層分散させることが可能となる。これらにより、内容物を塗布した後に容器2を正立させたときに、導入筒部8内の内容物を容器2内により一層確実に流れ落とすことができる。
【0044】
また、容器2内と流通筒4内とを連通させる第1流路27が軸線Oを挟んだ側面開口部22の反対側に配置されているので、側面開口部22が下方に位置すると共に第1流路27が上方に位置するように容器2を傾けたときに、容器2内の内容物を側面開口部22及び導入筒部8内を通して流通筒4内に流入させ易くすると共に、流通筒4内のエアを第1流路27を通して容器2内に流入させ易くすることが可能となり、流通筒4内のエアと容器2内の内容物とが同一流路内で流通することを抑え、両者の置換効率をより向上することができる。なお、第1流路27が下方に位置すると共に側面開口部22が上方に位置するように容器2を傾けた場合においても、同様の効果が期待できる。
【0045】
また、オーバーキャップ10を容器2の口部3から取り外す際、シール面18と被シール面15とが当接する前にシール部31による流通筒4の内部と外部との連通の遮断が解除されるので、内容物を被塗布面に塗布するのに先立って流通筒4の内部と外部とを連通させることができる。従って、容器2内の圧力が高まった場合であっても、内容物を塗布する前にその容器2内の圧力を外気圧と同等にすることが可能となり、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうのを抑制することができる。
また、流通孔6を通した流通筒4の内部と外部との連通を遮断するシール部31が備えられているので、押下部32によりシール面18と被シール面15との当接が解除されているにも関わらず、例えば塗布容器1を搬送するために容器2を傾けた場合や、塗布容器1が不意に転倒した場合等にも、内容物が容器2の内部から外部に漏出するのを抑制することができる。
【0046】
また、シール部31が、流通筒4及び容器2の少なくとも一方に軸線O方向に沿った容器2の外側から当接することで流通筒4の内部と外部との連通を遮断しているので、オーバーキャップ10を取り外す際に容器2の口部3から僅かに移動させるだけで、シール部31による前述の連通の遮断を解除することが可能になり、この解除を確実にシール面18と被シール面15とが当接する前に行うことができる。
【0047】
また、シール部31が、オーバーキャップ10の天板部29の内面に軸線O方向に沿った容器2の内側に向けて突設された筒状体とされ、その下端縁33が、流通筒4における流通孔6の開口縁部34と当接しているので、例えば塗布容器1を搬送するために容器2を傾けた場合や、塗布容器1が不意に転倒した場合等に、容器2の内部の内容物が流通筒4内を通ってシール部31内に流入される。従ってこの際、流通筒4とシール部31との当接部分に内容物が集中することに起因してシール部31の外部に流れ出してしまうのを抑えることができる。しかも、このシール部31内の内容物を、傾いた容器2を単に正立させるだけで、流通孔6を通して容器2の内部に流入させることができる。
【0048】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る第2実施形態の塗布容器40を、図4を参照して説明する。
図4は、本発明に係る第2実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0049】
本実施形態の塗布容器40では、塗布栓7及び付勢部材9と、導入筒部41と、が別部材で構成されている。また、塗布栓7及び付勢部材9は、付勢部材9の下端に連結された嵌合筒部42と一体に形成されている。嵌合筒部42は、流通筒4における下端開口部内に嵌合されており、その下端の軸線O方向に沿った位置は、流通筒4の下端における軸線O方向に沿った位置と同等になっている。また、嵌合筒部42の上端縁の内径及び外径は、塗布栓7の基部16の内径及び外径よりそれぞれ大きくなっている。そして、この嵌合筒部42内には、導入筒部41の前記上側部分21が嵌合されている。
【0050】
また、流通筒4内には、塗布栓7の先端部5の下側へ向けた移動を規制する規制部43が配設されている。この規制部43は、軸線O方向に沿って延びる筒状に形成されると共に、内部が導入筒部41内に連通している。図示の例では、規制部43は、塗布栓7の基部16、付勢部材9及び嵌合筒部42の径方向内側に配設されると共に、その下端が導入筒部41の上端に連設されており、規制部43及び導入筒部41は、一体に形成されている。また、図示の例では、規制部43は、有頂筒状に形成され、上側から下側に向かうに従い漸次拡径している。
【0051】
また、塗布栓7の基部16及び付勢部材9と、規制部43との間には径方向に隙間があいている。また、規制部43の上端面と塗布栓7の基部16の天板部17の下面との間には、軸線O方向に隙間があいている。図示の例では、この隙間の大きさは、流通筒4から上側に突出する塗布栓7の軸線O方向の大きさと同等となっている。また、図示の例では、規制部43の上端面は、前記天板部17の下面と同等の大きさとなっている。また、図示の例では、塗布栓7の基部16の内側に、規制部43の頂部43aの上側部分が配置されている。
【0052】
また、流通筒4の内周面と規制部43の外周面との間には、シール面18及び被シール面15が離間したときに外部と連通する第2流路44が形成されている。図示の例では、第2流路44は、軸線O方向に沿って付勢部材9が配設されている範囲に形成されている。また、第2流路44は、流通筒4の内周面と塗布栓7の外周面との間及び流通孔6を通して外部と連通されている。
また、規制部43には、その内部と第2流路44とを連通する連通開口45が形成されている。図示の例では、連通開口45は、規制部43の周壁部43bに形成され、軸線O方向に長い長方形状をなしている。また、連通開口45は、前記周壁部43bに、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。また、連通開口45の上端における軸線O方向の位置は、第2流路44の軸線O方向の中央位置と等しくなっている。また、連通開口45の軸線O回りの大きさW1は、第2流路44の径方向の大きさW2より大きくなっている。
【0053】
次に、以上のように構成された塗布容器40を利用して、内容物を塗布する方法について説明する。
まず、オーバーキャップ10を口部3から取り外し、その後、塗布栓7の先端部5が下方を向くように容器2を傾けて、先端部5を被塗布面に押し当てて塗布栓7を流通筒4に対し容器2の内側へ押し込んで、流通孔6から内容物を流出させ被塗布面に塗布する。この際、塗布栓7の基部16の天板部17が規制部43の上端面に当接して、塗布栓7の先端部5の容器2の内側へ向けた移動が規制される。なお、図示の例では、規制部43の上端面と塗布栓7の基部16の天板部17の下面との間隔の大きさが、流通筒4から突出する塗布栓7の軸線O方向の大きさと同等となっているので、前記先端部5の上端面が流通筒4の上端面(開口縁部34)と軸線O方向において同等の位置で移動が規制される。
【0054】
次いで、内容物を被塗布面に塗布し終えた後には、塗布栓7の先端部5の被塗布面への押し当てを解除して内容物の流出を停止し、塗布栓7の先端部5が上方を向くように容器2を正立させて、流通筒4内の内容物を、容器2内に向けて流れ落とす。この際、流通筒4内の内容物は、第2流路44から連通開口45を通った後、更に規制部43内及び導入筒部41内を通り容器2内に流れ落とされる。なお、図示の例では、連通開口45の軸線O回りの大きさW1は、第2流路44の径方向の大きさW2より大きくなっており、連通開口45における流路抵抗が、第2流路44における流路抵抗よりも小さくなるので、内容物が連通開口45を通過する際、第2流路44から導入筒部41内に引き込まれるように通過すると考えられる。
【0055】
以上に示した本実施形態の塗布容器40によれば、第1実施形態の塗布容器1と同様の作用効果を奏することができる。
また、塗布栓7の先端部5が容器2の内側へ向けて移動したときに、塗布栓7が規制部43に当接して、この移動が規制される。これにより、塗布栓7が過度に軸線O方向に沿った容器2の内側に押し込まれることがなく、塗布栓7の過度の押し込みに起因して例えば内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまったり、或いは塗布栓7の先端部5が元の位置に戻らなくなってしまったりするのを抑制することができる。
また、内容物の塗布後に容器2を正立させたときには、第2流路44内の内容物が連通開口45を通して規制部43内に引き込まれるように流入することになり、この流入によって導入筒部41内の内容物を容器2内に押し込ませることで流れ落とし易くすることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、連通開口45の軸線O回りの大きさW1が、第2流路44の径方向の大きさW2より大きいものとしたが、これに限らない。
また、本実施形態では、規制部43の上端面と塗布栓7の基部16の天板部17の下面との間隔の大きさが、流通筒4から突出する塗布栓7の軸線O方向の大きさと同等となっているとしたが、これに限らない。
【0057】
〔第3実施形態〕
次に、本発明に係る第3実施形態の塗布容器50を、図5を参照して説明する。
図5は、本発明に係る第3実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0058】
本実施形態の塗布容器50では、導入筒部51の前記上側部分21が、流通筒4における下端開口部内に嵌合されている。また、規制部43の下端の外径は、導入筒部8の上端の外径より小さくなっており、導入筒部51には軸線O方向に直交する上端面51aが形成されている。
また、塗布栓7と付勢部材52とは別部材であり、付勢部材52は、軸線O回りに螺旋状に延びる金属バネからなると共に、導入筒部51の上端面51aと塗布栓7の下端面との間に介装されている。
【0059】
以上に示した本実施形態の塗布容器50によれば、第2実施形態の塗布容器40と同様の作用効果を奏することができる。
また、付勢部材52が金属バネなので、この付勢部材52による付勢力を長期間維持することができる。なお、この塗布容器50では、塗布栓7が押下部32によって下側に向けて押下されており、容器2にオーバーキャップ10が装着されているときには常に付勢部材52に前述した付勢力に抗する力が働いているため、この付勢力が短期間で弱まる恐れがある。
【0060】
〔第4実施形態〕
次に、本発明に係る第4実施形態の塗布容器60を、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、本発明に係る第4実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。図7は、図6に示す塗布容器において容器の口部内に配置された各構成要素を下側から見た図である。
なお、この第4実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0061】
本実施形態の塗布容器60には、図6に示すように、導入筒部41を径方向の外側から囲繞し、且つ導入筒部41と一体に形成された外筒部61が備えられている。
図示の例では、外筒部61は、フランジ部20の外周縁部から下側に向けて延設されており、導入筒部41の下側部分19を囲繞している。また、導入筒部41の下側部分19と外筒部61との間には隙間があいている。そして、外筒部61の下端縁61aは、導入筒部41の下端縁41aよりも下側に位置している。
【0062】
また、外筒部61には、径方向で側面開口部22に対向する部分の少なくとも一部にスリット部62が形成されている。
図示の例では、スリット部62は、軸線O方向に沿って外筒部61の下端から上端まで、つまり外筒部61の軸線O方向に沿った全域に亘って形成されている。また、図7に示すように、図示の例では、スリット部62は、例えば外筒部61において側面開口部22に径方向で対向する周方向部分の約1/3に亘って形成されている。更に、スリット部62は、前記周方向部分の軸線O回りにおける中心部に形成され、第1流路27と軸線Oを挟んで対向した位置に形成されている。
【0063】
また、図示の例では、外筒部61には、第1流路27の切り欠き部27bに連なる部分に、流路スリット部63が形成されている。図示の例では、流路スリット部63は、軸線O方向に沿って外筒部61の下端から上端まで、つまり外筒部61の軸線O方向に沿った全域に亘って形成されている。これにより、外筒部61を設けたことによって第1流路27を通した容器2内と流通筒4内(第2流路44)との間の内容物若しくは空気の流通が阻害されるのを防ぐことができる。
【0064】
また、外筒部61の流路スリット部63側の各周端部には、導入筒部41の下側部分19において第1流路27の溝部27aに軸線O回りで隣接する部分に向けて隔壁部64がそれぞれ延設されている。図6及び図7に示すように、図示の例では、隔壁部64は、外筒部61において流路スリット部63を画成する各周端縁と、フランジ部20において切り欠き部20bを画成する各周端縁と、面一になっている。また、図6に示すように、図示の例では、隔壁部64の軸線O方向に沿った大きさは、導入筒部41の下側部分19の軸線O方向に沿った全域に亘る大きさと同等となっている。これにより、導入筒部41と外筒部61との間の隙間及び側面開口部22を通して第1流路27と導入筒部41とが連通することに起因して内容物と空気との置換効率が低下するのを防ぐことができる。
【0065】
以上より、本実施形態の塗布容器60における外筒部61では、少なくとも軸線Oを挟んで対向する部分の下端縁61aが、導入筒部41の下端縁41aより下側に位置するように構成されている。
以上に示した本実施形態の塗布容器60によれば、第2実施形態の塗布容器40と同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
また、導入筒部41と外筒部61とが一体に形成されているので、導入筒部41を、外筒部61の下端縁61aを鉛直方向下側に向けた姿勢で安定に自立させることが可能になる。これにより、例えば塗布容器60の組み立て前等における導入筒部41の取り扱い性を向上させることが可能となり、塗布容器60の組み立ての容易化を図ることができる。
【0067】
また、外筒部61にスリット部62が形成されているので、導入筒部41内の内容物を容器2内に円滑に流れ落とすことが可能になると共に、外筒部61内に内容物が留まってしまうのを抑制することもできる。
以上より、塗布容器60の組み立ての容易化を図りつつ、導入筒部41内の内容物を容器2内に確実に流れ落とすことができる。
【0068】
なお、本実施形態では、外筒部61にスリット部62及び流路スリット部63を設けたが、これらは無くても構わない。この場合、例えば外筒部61と導入筒部41との隙間を大きくすること等によって、この隙間における内容物と空気との置換が良好に行えるようにすることが好ましい。また、各スリット部62、63の大きさ及び形状は本実施形態に示したものに限られず、また、各スリット部62、63は、複数箇所に分かれて形成されていても構わない。
【0069】
また、本実施形態では、外筒部61の下端縁61aは、導入筒部41の下端縁41aよりも下側に位置しているものとしたが、これに限られない。外筒部61の下端縁61aの位置は、導入筒部41及び外筒部61からなる構成品が自立可能な範囲で設定されていれば良く、例えば外筒部61の下端縁61aが導入筒部41の下端縁41aと軸線O方向で同等位置であっても良く、若しくは外筒部61の下端縁61aが導入筒部41の下端縁41aより若干上側に位置していても良い。
また、本実施形態では、第2実施形態に示した塗布容器40に外筒部61を採用した場合を説明したが、同様に第1実施形態に示した塗布容器1、第3実施形態に示した塗布容器50に外筒部を採用することも可能である。
【0070】
なお、本発明の技術的範囲は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記各実施形態では、塗布栓7の先端部5の外周面に軸線O方向に沿って延びる溝5aが周方向に間隔を開け複数形成されているとしたが、溝は前記先端部5の外周面において下側から上側へと内容物を通すように形成されていれば良く、これに代えて、例えば先端部5の外周面に螺旋状の溝を形成したり、周方向に沿って延びる環状の複数の溝を軸線O方向に繋いで形成したりしても構わない。
【0071】
また、前記各実施形態では、オーバーキャップ10を備えているが、オーバーキャップ10はなくても構わない。
また、前記各実施形態では、側面開口部22の開口端縁23において端面開口部25に連なる部分が、直線部26となっているとしたが、直線部26はなくても構わない。また、導入筒部8に端面開口部25を形成したが、側面開口部22が形成されていれば端面開口部25はなくても構わない。
【0072】
また、前記各実施形態では、流通筒4と導入筒部8、41、51とが別部材であるとしたが、流通筒4と導入筒部8、41、51とが一体に形成されていても構わない。
また、前記各実施形態では、第1流路27は、溝部27aと、切り欠き部27bと、からなるものとしたが、切り欠き部27bは無くても構わない。また、溝部27aは、軸線O方向に沿って形成されているとしたが、流通筒4内と容器2内とを連通させれば軸線O方向に沿っていなくても構わない。更にまた、第1流路27は、なくても構わない。
【0073】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る第1実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
【図2】図1に示す塗布容器においてオーバーキャップを取り外す過程を示す概略縦断面図である。
【図3】図1に示す塗布容器においてオーバーキャップを取り外した状態を示す概略縦断面図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
【図5】本発明に係る第3実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
【図6】本発明に係る第4実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
【図7】図6に示す塗布容器において容器の口部内に配置された各構成要素を下側から見た図である。
【符号の説明】
【0075】
O 軸線
1、40、50、60 塗布容器
2 容器
3 口部
4 流通筒(流通筒部)
5 先端部
6 流通孔
7 塗布栓
8、41、51 導入筒部
15 被シール面
18 シール面
22 側面開口部
23 側面開口部の開口端縁
24 曲線部
25 端面開口部
26 直線部
27 第1流路
43 規制部
44 第2流路
45 連通開口
61 外筒部
62 スリット部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器と、
前記容器の口部に装着され、内部が前記容器内に連通する流通筒部と、
前記流通筒部内にその軸方向に沿った容器の外側に向けて付勢された状態で配設され、先端部が前記流通筒部に形成された流通孔内に該流通筒部に対して出没自在に挿通された塗布栓と、を備え、
前記塗布栓において前記流通筒部内に位置する部分には、前記流通筒部内に形成された被シール面に前記軸方向に沿った容器の内側から当接及び離間するシール面が形成された塗布容器であって、
前記流通筒部から前記軸方向に沿った容器の内側に突出し、前記容器内と前記流通筒部内とを連通させる導入筒部が備えられ、
前記導入筒部には、側方に向けて開口する側面開口部が形成され、この側面開口部の開口端縁の少なくとも一部は、前記軸方向に沿った容器の内側に向かうに従い漸次この導入筒部の径方向の内側に向けて凹む曲線をなす曲線部となっていることを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布容器であって、
前記導入筒部には、前記軸方向に沿った容器の内側に向けて開口する端面開口部が形成され、
前記側面開口部は、前記端面開口部に連なっていること特徴する塗布容器。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布容器であって、
前記側面開口部の開口端縁において前記端面開口部に連なる部分は、前記軸方向に沿って延びる直線部となっていること特徴する塗布容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の塗布容器であって、
前記導入筒部及び前記流通筒部のうちの少なくとも一方には、前記容器内と前記流通筒部内とを連通させる第1流路が形成され、
前記第1流路は、前記導入筒部の軸線を挟んだ前記側面開口部の反対側に配置されていることを特徴する塗布容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の塗布容器であって、
前記流通筒部内には、前記塗布栓の先端部の前記容器の内側へ向けた移動を規制する規制部が配設され、
前記規制部は、前記軸方向に沿って延びる筒状に形成されると共に、内部が前記導入筒部内に連通し、
前記流通筒部の内周面と前記規制部の外周面との間には、前記シール面及び前記被シール面が離間したときに外部と連通する第2流路が形成され、
前記規制部には、その内部と前記第2流路とを連通する連通開口が形成されていることを特徴とする塗布容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の塗布容器であって、
前記導入筒部を径方向の外側から囲繞し、且つ前記導入筒部と一体に形成された外筒部が備えられていることを特徴とする塗布容器。
【請求項7】
請求項6に記載の塗布容器であって、
前記外筒部の前記軸方向に沿った容器の内側の端縁は、前記導入筒部の前記軸方向に沿った容器の内側の端縁よりも、前記容器の内側に位置することを特徴とする塗布容器。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の塗布容器であって、
前記外筒部には、径方向で前記側面開口部に対向する部分の少なくとも一部にスリット部が形成されていることを特徴とする塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−76839(P2010−76839A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275803(P2008−275803)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】