説明

塗布液の塗布方法および光学フィルム

【課題】 塗布液が塗布される支持体の表面の変位の影響を抑えた状態で塗布膜の膜厚に応じた塗布液の塗布を行う技術を提供する。
【解決手段】 スロットダイ18の先端面16のうちスロット24よりも下流側の下流側ダイ先端面16Bを、上流側の上流側ダイ先端面16Aよりも支持体14に近接した位置に配置する。そして、下流側ダイ先端面16Bと支持体14との間隔を、支持体の表面の振れ幅の10倍以上に設定するとともに塗布層15の湿潤膜厚Tの30倍未満に設定する。そして、湿潤膜厚が0.5μm以上5.0μm未満の塗布層15を支持体14上に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布液の塗布方法、塗布液の塗布装置、および光学フィルムに係り、特に塗布液を精度良く吐出させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ウェブ(支持体)の表面に所望の厚さの塗布膜(塗布層)を塗布する塗布装置として、バーコータ方式、リバースロールコータ方式、グラビアロールコータ方式、エクストルージョンコータなどのスロットダイコータ方式、等が知られている。この中でもスロットダイコータ方式の塗布装置は、他の方式と比較して、高速で薄層の塗布が可能であることから多用されている。
【0003】
エクストルージョンコータに代表されるスロットダイコータ方式では、ウェブとスロットダイとの間に架設される塗布液のビードによってウェブ上に塗布液が塗布されるが、装置の製造誤差、外乱などの因子が塗布精度に大きな影響を及ぼすことがある。特に、薄層の塗布膜を形成する場合のように高精度な塗布液の塗布が要求される場合には、そのような因子の影響を無視することができない。このような事情を背景に、塗布不良を防いで均一な塗布膜を得るための手法がいくつか提案されている。
【0004】
例えば特許文献1では、ダイコータと基板との実ギャップと基準ギャップとの偏差の演算値に基づいて、ダイコータを基板に対して昇降させながら塗布を行う塗布方法が開示されている。この塗布方法は、「うねり」、「そり」、「厚みムラ」を有する基板に対して均一な厚みに塗布液を塗布することを目的としている。
【0005】
また、特許文献2では、平坦度が2μm以下のテーブル上にガラス基板を吸着保持し、ダイコータとテーブルとを相対的に移動させて、ダイコータによりガラス基板上に塗液を塗布する塗布方法が開示されている。この塗布方法は、ガラス基板上に所望の膜厚の塗布液を形成し、塗布不良を防ぐことを目的としている。
【0006】
また、特許文献3では、スロットダイの下流側リップ先端とウェブとの長さと、ウェブに塗布された液の湿潤膜厚と、が所定の関係式を満たし、スロットダイのポケット内の液圧を大気圧以上となるようにした塗布方法が開示されている。この塗布方法は、薄層の塗布膜表面におけるスジの発生を防ぐことを目的としている。
【0007】
また、特許文献4では、バックアップロールの回転による振れの振れ幅(変位量)を10μm未満とする塗布方法が開示されている。この塗布方法は、段状ムラのない塗膜を形成することを目的としている。
【特許文献1】特開平10−421号公報
【特許文献2】特開平8−243476号公報
【特許文献3】特開2003−236451号公報
【特許文献4】特開2003−251260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、様々な因子が塗布液の塗布精度に影響を及ぼすが、そのような因子の一つとして、スロットダイの先端部分(以下、「リップランド」とも称する)とウェブとの間隔(以下、「リップクリアランス」とも称する)が挙げられる。リップクリアランスとは、通常、塗布液が吐出されるスロットダイのスロット周辺部分とウェブとの間で最も近接する部分の間隔を意味し、いわゆるオーバーバイト構造のスロットダイを使用する場合には、よりウェブに近接する側のリップランド(通常は、上流側リップランド)のリップクリアランスを指す。
【0009】
このリップクリアランスは、塗布液のビードの状態を大きく左右する因子であり、ウェブ上に形成される塗布膜の膜厚に応じて決定されることが多い。例えば、上記の特許文献1や特許文献2に開示されている塗布液の塗布装置では、リップクリアランスとして、ウェブ上の塗布膜の膜厚のおおよそ10倍程度の値が選択されている。また、特許文献3で開示されている塗布液の塗布装置のようにリップクリアランス自体を規定することもあり、その場合には、通常、30μm〜150μm程度の間隔にリップクリアランスを設定することが多い。
【0010】
しかしながら、リップクリアランスの大きさを塗布膜の膜厚のみに基づいて決定する場合には、表面の凹凸などに基づくウェブ表面の変位に十分に対応することができず、塗布膜の面状にムラを生じさせてしまうことがある。特に、膜厚が5μm以下の薄層の塗布膜をウェブ上に形成する場合のようにリップクリアランスを小さくする場合に、リップクリアランスの具体的な大きさを塗布膜の膜厚のみに応じて決定すると、ウェブ表面の変位に基づくリップクリアランスの変動の割合が大きくなってしまい、塗布膜の面状が乱されやすくなる。また、薄層の塗布膜を形成する場合には、ウェブ表面の凹凸による塗布膜への直接的な影響が大きく、塗布膜の表面にも凹凸が現れることがある。
【0011】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、塗布液が塗布される支持体の表面の変位の影響を抑えた状態で塗布膜の膜厚に応じた塗布液の塗布を行うことができる塗布液の塗布方法と、そのような塗布方法によって得られる塗布層を含む光学フィルムと、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、バックアップローラにより支持された状態で連続走行する支持体の表面に向かってスロットダイのスロットから塗布液を吐出させて前記スロットダイと前記支持体との間に塗布液のビードを架設し、当該ビードにより前記支持体の表面に対して前記塗布液を塗布し、湿潤膜厚が0.5μm以上5.0μm未満である塗布層を前記支持体上に形成する塗布液の塗布方法に関する。この塗布液の塗布方法は、前記スロットダイの先端面のうち前記スロットよりも下流側の下流側ダイ先端面は、上流側の上流側ダイ先端面よりも前記支持体に近接した位置に配置され、前記下流側ダイ先端面と前記支持体との間隔は、前記支持体の表面の変位量の10倍以上にするとともに前記塗布層の湿潤膜厚の30倍未満である。
【0013】
本発明によれば、下流側ダイ先端面と支持体との間隔が支持体の表面の変位量の10倍以上とされるので、支持体の表面の振れ(変位)に十分に対応することができるリップクリアランスが確保される。また、下流側ダイ先端面と支持体との間隔が塗布層の湿潤膜厚の30倍以下とされるので、塗布液を精度良く塗布するためのリップクリアランスが確保される。したがって、支持体表面の振れの影響を抑えた状態で塗布液の塗布を行うことができるとともに、塗布層の膜厚に応じた塗布液の塗布を行うことができる。なお、ここでいう「上流側」とは、支持体の走行方向に関してスロットダイよりも前段側を意味し、「下流側」とは、支持体の搬送方向に関してスロットダイよりも後段側を意味する。また、「湿潤膜厚」とは、湿潤状態の塗布層の膜厚を意味し、主に、支持体上に塗布された直後から乾燥するまでの塗布層の膜厚を指す。また、「支持体の表面の変位量」とは、支持体の表面の振れ幅を指し、例えば、支持体の表面の凹凸、支持体を搬送するガイドローラの偏心や表面の凹凸、等に起因する。
【0014】
また、請求項2に記載のように、前記塗布液の粘度は、0mPasよりも大きく10mPas未満であってもよい。支持体の表面の振れの影響を受けやすいこのような低粘度の塗布液を使用する場合に、上述の塗布方法が特に有効であり、支持体の振れの影響を抑えた状態で塗布膜の膜厚に応じた塗布液の塗布を効果的に行うことができる。
【0015】
また、前記目的を達成するために請求項3に記載の発明は、上述の塗布液の塗布方法によって得られる塗布層を少なくとも1層有することを特徴とする光学フィルムに関する。
【0016】
本発明によれば、支持体の表面の振れの影響が抑えられた状態で塗布膜の膜厚に応じて塗布液が塗布されることによって得られる塗布層が用いられ、高品質の光学フィルムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の塗布液の塗布方法によれば、下流側ダイ先端面と支持体との間隔は、支持体の表面の振れに対して十分な間隔が確保されるとともに塗布膜の膜厚に応じた間隔が確保され、支持体表面の振れ(変位)の影響を抑えた状態で塗布層の膜厚に応じた塗布液の塗布を効果的に行うことができる。
【0018】
また、本発明の光学フィルムは、支持体の振れの影響が抑えられて精度良く形成された塗布層を含み、良好な品質を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態におけるスロットダイコータ式塗布システム10の構成図である。なお、図中のバックアップローラ12およびウェブ14の近傍の矢印は、本実施の形態の「バックアップローラ12によるウェブ14の搬送方向」、すなわち「ウェブ14の走行方向」を示す。
【0021】
本実施の形態のエクトルージョン型のスロットダイコータ式塗布システム10では、バックアップローラ12により支持された状態で連続走行するウェブ(支持体)14の表面に向かってスロットダイ18のスロット24から塗布液が吐出され、スロットダイ18とウェブ14との間に塗布液のビード20が液架橋される。そして、ビード20のウェブ上流側が減圧チャンバー26によって減圧された状態で、連続走行するウェブ14の表面にビード20の塗布液が塗布され、ウェブ14上に塗布膜(塗布層)15が形成される。
【0022】
なお、スロットダイ18によって塗布液が塗布される位置(以下、「塗布位置」とも称する)を基準にして、ウェブ14の走行方向に関し塗布位置よりも前段の部分を「ウェブ上流」と称し、後段の部分を「ウェブ下流」と称する。したがって、図1に示す横型のスロットダイ18では、ビード20の下側は「ウェブ上流側」となり、ビード20の上側は「ウェブ下流側」となる。また、ウェブの搬送方向と垂直を成すウェブの幅方向を「ウェブ幅方向」と称する。
【0023】
図2は、スロットダイ18の先端部周辺の拡大図である。
【0024】
スロットダイ18は、内部に設けられたマニホールド22と、マニホールド22からスロットダイ18の先端部に延在するスロット24と、を有する。また、スロットダイ18は、上流側ダイブロック18Aおよび下流側ダイブロック18Bの二つのブロックによって構成されており、マニホールド22およびスロット24が上流側ダイブロック18Aおよび下流側ダイブロック18Bの境界の一部となっている。このように、スロットダイ18を多ブロック構造とすることで、スロットダイ18の製造精度を高め、洗浄などの後処理を容易にする。なお、スロットダイ18の具体的な形状やサイズは、自重、使用時の環境や塗布液の温度、製作仕様限界、等に基づいて決定される。
【0025】
スロットダイ18の先端部分は先細り状に形成され、その先端はリップランド16と呼ばれる。スロット24のウェブ上流側(図1の下側)のリップランド16を上流側リップランド16Aと称し、ウェブ下流側(図1の上側)のリップランド16を下流側リップランド16Bと称する。
【0026】
一般的に上流側リップランド部16Aの塗布幅に垂直方向の長さは100μm〜1mmの範囲で用いられており、また、下流側リップランド部16Bの長さは30μm〜100μmの範囲で用いられる。また、上流側リップランド部16Aの長さは特に限定されないが200μm〜1mmが好ましく用いられる。また、リップの先端の真直度は幅方向に対して上流側および下流側ともに1m当たり10μm以下、好ましくは5μm以下にすることが好ましい。
【0027】
本実施の形態のスロットダイ18はオーバーバイト構造を有し、上流側リップランド16Aよりも下流側リップランド16Bのほうが、バックアップローラ12に巻き掛けられたウェブ14に近い位置に配置される。したがって、上流側リップランド16Aとウェブ14との間隔(以下、「上流側リップクリアランス」とも称する)Dは、下流側リップランド16Bとウェブ14との間隔(以下、「下流側リップクリアランス」とも称する)Dよりも大きい値となる。このようなオーバーバイト構造は、スロットダイ18のウェブ幅方向の全長に亘って略均一に形成されている。なお、塗布液の吐出方向(矢印A参照)に関する上流側リップランド16Aと下流側リップランド16Bとの距離Lを「オーバーバイト量」と称し、リップランド16とウェブ14との間隔を「リップクリアランス」と称する。
【0028】
一般に、ウェブ(支持体)14と下流側リップランド16Bとの距離は20〜200μm程度が好ましく、オーバーバイト量は30μm〜120μmの範囲で用いられる。
【0029】
以上の形状を満たすため、リップ先端の強度や表面状態の向上対策として、少なくともこの箇所を含むスロットダイ18の材質をタングステンカーバイト(以下WCと称す)を主成分とする超硬材質とする。超硬材質を用いることにより、表面形状の均質性とあわせ、常に吐出される塗布液によるリップの磨耗への対策にもなる。塗布液として、研磨剤を含む磁性体液等を塗布する場合は特に有効である。超硬材質としては平均粒径5μmのWC炭化物結晶に、Coをはじめとする結合金属で結合してなる材質を使用するが、結合金属はこれに限定されず、Ti、Ta、Nbをはじめとする各種金属を使用することもできる。なお、WC結晶の平均粒径は5μm以下であれば任意の平均粒径のものを用いてよい。
【0030】
また、リップランド部の長さは80μm〜120μmが好ましく用いられる。一般に、これらのオーバーバイト構造は、リップランド16とウェブ14の間隔が狭い低リップクリアランス構造を採用する場合、ビード20の下流側塗布液の圧損を小さくして、減圧チャンバー26における減圧値を小さくすることができる。そのため、これらの構造を採用する場合には、ビード20の変動が抑えられ、塗布液をウェブ14上に安定塗布することが可能となって、高精度な面状を有する塗布膜を提供することができる。
【0031】
マニホールド22は、スロットダイ18に供給された塗布液を塗布幅方向(ウェブ幅方向)へ拡流する液溜め部であり、ウェブ幅方向(長手方向)へ延びる。このマニホールド22は、略円形の断面形状を有し、ウェブ幅方向に沿って略同一の断面形状をもつ空洞部を構成する。マニホールド22のウェブ幅方向への有効長さは、ウェブ14に対する塗布幅と同等又は若干長く設定される。なお、マニホールド22は、「ポケット」とも称される。このマニホールド22には、図1に示すように、塗布液を貯留する塗布液タンク44が塗布液供給管46を介して接続され、塗布液供給管46には、塗布液タンク44からマニホールド22に塗布液を送る塗布液ポンプ42が設けられている。
【0032】
マニホールド22に対する塗布液の供給方式は、マニホールド22に塗布液を適切に供給することができればどのような手法であってもよい。例えば、マニホールド22の一端側から塗布液を供給する方式、マニホールド22の中央部から塗布液を供給する方式、マニホールド22の両端部に塗布液が漏れ出ることを防止する栓を設けて、マニホールド22の一方端から新規な塗布液を供給するとともに、他方端から抜き取られた一部の塗布液を再び一方端に循環させる方式、等が用いられうる。また、マニホールド22の断面形状は、略円形に限定されるものではなく、例えば半円形、台形などの矩形、あるいはそれらに類似する形状であってもよい。
【0033】
スロット24は、マニホールド22からスロット先端に至る狭隘な塗布液の流路を構成し、通常、0. 01〜0. 5mm程度の開口幅をもち、ウェブ幅方向(長手方向)に関してウェブ14に対する塗布液の塗布幅よりも大きい長さを有する。このスロット24は、スロットダイ18の先端部分における開口部24Aから塗布液を吐出させて、スロットダイ18とウェブ14との間にビード20を架設する。マニホールド22からウェブ14に向かって延びるスロット24の流路長は、塗布液の液組成、物性、供給流量、供給液圧、等の諸条件を考慮して設定可能であり、スロット24の開口部24Aから吐出される塗布液がウェブ幅方向に亘って略均一な流量および液圧をもつように、スロット24の流路長を設定することが好ましい。このスロット24のウェブ幅方向の両端部には、通常、塗布幅を規制する塗布幅規制板(図示省略)が挿入されている。
【0034】
上述のような構成を有するスロットダイ18の先端部分の下方には、図1に示すように、ビード20のウェブ上流側を減圧するための減圧チャンバー26が設けられている。減圧チャンバー26は、内部に空間形成するバックプレート26A、サイドプレート26B、リアプレート26C、およびボトムプレート26Dを有し、減圧状態を保持する箱形形状となっている。
【0035】
バックプレート26Aは、減圧チャンバー26のうちウェブ搬送方向の最も上流側に位置し、ウェブ14の幅方向に沿って配置される。サイドプレート26Bは、バックプレート26Aと垂直を成すように配置されて減圧チャンバー26の両側壁を構成し、バックアップローラ12と近接する縁部分(図示省略)がバックアップローラ12とほぼ同じ曲率を有する。リアプレート26Cは、スロットダイ18の下方において、バックプレート26Aとほぼ平行に配置されている。ボトムプレート26Dは、減圧チャンバー26の底部分を構成し、バックプレート26A、サイドプレート26B、およびリアプレート26Cと縁部分において接合する。そして、「バックプレート26Aとウェブ14の間」および「サイドプレート26Bとウェブ14の間」の各々には、所定の大きさの隙間が存在する。なお、バックプレート26Aには吸引口40が形成されており、吸引口40にはエア配管28が接続されている。
【0036】
減圧チャンバー26は、吸引口40およびエア配管28を介してブロア30に接続され、エア配管28の途中には、バルブ32およびバッファ装置34が設けられている。ブロア30は、吸引口40およびエア配管28を介して減圧チャンバー26内を吸引し、減圧チャンバー26内を負圧にする。バルブ32は、その開度に応じて減圧チャンバー26内の減圧度を調整する。バッファ装置34は、減圧チャンバー26内の圧力変動を小さくするための緩衝部としての役割を果たす。
【0037】
減圧チャンバー26内には、減圧チャンバー26内の圧力を測定する圧力計36が設けられており、圧力計36によって測定された減圧チャンバー26内の圧力はコントローラ38に逐次送られる。
【0038】
コントローラ38は、圧力計36の測定結果等に基づいて、バルブ32、塗布液ポンプ42、および他の機器類を制御する。例えば、コントローラ38は、圧力計36の測定結果に基づいてバルブ32の開度を調節して減圧チャンバー26内の圧力を所定の圧力に保ったり、塗布液ポンプ42を制御してスロットダイ18から吐出される塗布液の圧力を調整したりする。
【0039】
なお、ウェブ14や塗布液は、目的に応じた各種成分を含むものが使用されうる。一例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等の公知の各種プラスチックフィルム、紙、紙にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布またはラミネートした各種積層紙、アルミニウム、銅、スズ等の金属箔等、帯状基材の表面に予備的な加工層を形成させたもの、その他の可撓性部材、あるいはこれらを積層した各種複合材料を、ウェブ14の材質として使用することができる。
【0040】
また、塗布液の溶媒として、水、各種のハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトンなどを単独あるいは複数混合したものを使用することができる。
【0041】
また、塗布液として、光学補償シート塗布液、反射防止フィルム塗布液、防眩性付与液磁性塗布液、写真感光性塗布液、磁性塗布液、視野角拡大塗布液、表面保護液、帯電防止液、滑性用塗布液、カラーフィルタ用顔料液、あるいはその他の光学フィルム用塗布液を使用することができる。
【0042】
次に、本実施の形態におけるスロットダイ18のリップランド16とウェブ14との間隔(リップクリアランス)について説明する。
【0043】
一般に、オーバーバイト構造のエクストルージョン型ダイコータは、以下の式(1)で表される塗布限界を有する。なお、式(1)において、「d」は下流側リップクリアランスを示し、「h」は塗布膜15の湿潤膜厚を示し、「μ」は塗布液の粘度を示し、「σ」は塗布液の表面張力を示し、「v」は塗布速度(ウェブの搬送速度)を示す。
【0044】
【数1】

上記の式(1)によって示されるように、塗布液の塗布を行うことが可能な最大の下流側リップクリアランス(d)は、塗布膜15の湿潤膜厚(h)、塗布液の粘度(μ)、塗布液の表面張力(σ)、および塗布速度(v)に応じて決定される。したがって、下流側リップクリアランス(d)を塗布膜15の湿潤膜厚(h)の30倍以上に設定すると、例えば塗布速度(v)を遅くしなければならず、塗布膜15を効率良く大量に製造する観点からは好ましくない。
【0045】
本件発明者は、上述の事項を踏まえて鋭意研究した結果、下述する[実施例]で示唆されているように、以下の知見を得た。
【0046】
すなわち、表面の凹凸等に起因するウェブ14の表面の振れ(変位)の影響を低減させる観点から、湿潤膜厚が0.5μm以上5.0μm未満の塗布膜(塗布層)15をウェブ14上に形成する場合には、リップクリアランス、特に下流側リップクリアランスDを、ウェブ表面の振れ幅(変位量)の10倍以上に設定するとともに塗布膜15の湿潤膜厚の30倍未満に設定することが好ましい。
【0047】
このような範囲に下流側リップクリアランスDを設定することにより、ウェブ表面の振れに対する十分なリップクリアランスが確保されるとともに、塗布膜15の膜厚Tに応じて塗布液を精度良く塗布するためのリップクリアランスが確保される。したがって、本実施の形態のスロットダイコータ式塗布システム10によれば、「ウェブ14の表面の変位が塗布液の塗布精度に及ぼす影響の低減」と「塗布膜15の膜厚Tに応じた適切な塗布液の塗布」とを高いレベルで両立させることができる。
【0048】
また、塗布液の粘度を、0mPasよりも大きく調整するとともに10mPas未満に調整することが好ましい。本実施の形態のスロットダイコータ式塗布システム10は、ウェブ表面の振れが塗布膜15の品質に比較的大きな影響をもたらすこのような範囲の粘度の塗布液を使用する場合に特に効果を発揮し、ウェブ14の表面の変位の影響を抑えた状態で塗布膜15の膜厚Tに応じた適切な塗布液の塗布を実施することができる。
【0049】
上述の事項は本発明の一態様を例示したものであり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形が加えられたり、公知の要素を応用したりすることも可能であり、そのような各種態様も本発明の範囲に含まれうる。
【0050】
例えば、スロットダイコータ式塗布システム10におけるバックアップローラ12、スロットダイ18、および減圧チャンバー26は、ウェブ14上に塗布液を適切に塗布することができれば、どのような配置関係であってもよい。例えば、ウェブ14に対するスロットダイ18の塗布液の吐出角度、マニホールド22の断面形状、バックアップローラ12に対するウェブ14の巻き掛け状態、バックアップローラ12に対するウェブ14の巻き掛け部とスロットダイ18や減圧チャンバー26との相対位置関係、オーバーバイト量、等は、目的に応じて適宜調整可能である。
【実施例】
【0051】
以下に上述のスロットダイコータ式塗布システム10を用いた実施例について記述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
(共通の塗布条件)
以下の各実施例で用いられた塗布液は、以下のようにして調製された。すなわち、「屈折率が1.46の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7221、JSR(株)製)200g」に対し、「メチルイソプチルケトン200g」を添加して、攪拌する。そして、その攪拌された溶液を孔径1μmのポリプロピレン製フィルタ(PPE−01)によって濾過することで調製される低屈折率層用溶液を塗布液として使用した。
【0053】
また、各実施例における共通の塗布条件を以下の表1に示す。各実施例は、特に断りがない限り、表1に示されている塗布条件に従って行われた。
【0054】
【表1】

表1に示されているように共通の塗布条件は、オーバーバイト量が50μm、ウェブ14の走行方向に関するスロット幅が200μm、ウェブ14の走行方向に関する幅規制板の幅が195μm、ウェブ14の材質がトリアセチルセルロース(TAC−TD80U、富士写真フイルム株式会社製)、塗布液の表面張力が20mPas、塗布液の粘度が0.7mPasとなっている。また、上下リップ先端面の真直度が塗布幅1m当たり5μm、塗布液の温度(塗布液温)が25度となっている。
【0055】
尚、以下の各実施例で用いられる塗布液の粘度は、音叉型振動式粘度計(エーアンドディー社 SV−10)により、塗布液温が25度の条件で測定を行った。
【0056】
(ウェブの表面の振れ幅(変位量)の測定方法)
以下の各実施例では、バックアップローラ12上のウェブ14の表面の振れ幅(変位量)を光学式の変位計(例えば「キーエンス社製 LT−9000」)によって測定し、バックアップローラ12の一周期(一回転)におけるウェブ14の表面変位の最大値および最小値の差を「ウェブ14の表面の振れ幅」とした。そのため、ここでいう「ウェブ14の表面の振れ幅」は、スロットダイ18とウェブ14との間のリップクリアランスを変動させるウェブ14の変位量を意味する。したがって、例えば、ウェブ14の表面凹凸、膜厚変動、変形などの他に、バックアップローラ12の傷などの表面凹凸や偏心などに起因するものが「ウェブ表面の振れ幅」に含まれる。
【0057】
図3は、ウェブ14の表面の振れ幅(ウェブ表面変位量)とバックアップローラ12の回転角度との関係の一例を示すグラフである。図3に示す例では、ウェブ14の表面の最大変位(図3の「MAX」参照)と最小変位(図3の「MIN」参照)の差である「ウェブ14の表面の振れ幅」が約2.5μmとなっている。一般に、ウェブ14のみに起因する「ウェブ表面の振れ幅」は0〜1μm程度であり、バックアップローラ12のみに起因する「ウェブ表面の振れ幅」は0〜10μm程度であり、ウェブ14およびバックアップローラ12の両者に起因する「ウェブ表面の振れ幅」は、平均的には0〜5μm程度の範囲に収まるのが通常である。
【0058】
(塗布膜の面状の評価方法)
以下の各実施例では、ウェブ14上に形成される塗布膜(塗布層)15の面状の評価を、塗布膜15の乾燥時の膜厚(乾膜)を光学式膜厚計によって測定し、基準膜厚に対する測定膜厚の分布状態(膜厚精度)に基づいて行った。具体的には、「測定膜厚と基準膜厚との差の絶対値の最大値」の基準膜厚に対する割合を膜厚精度とした。
【0059】
(実施例1)
本例では、「下流側リップランド16Bとウェブ14との間隔(下流側リップクリアランスD)」および「ウェブ14の表面の振れ幅」を変えて、スロットダイ18から塗布液を吐出させた。具体的には、下流側リップクリアランスDを5μm、10μm、30μm、50μm、および70μmに変え、ウェブ14の表面の振れ幅を0.5μm、1.0μm、3.0μm、5.0μm、および7.0μmに変えた。
【0060】
以下の表2は、本例における下流側リップクリアランスD(表中の「リップCL」参照)と、塗布膜15の膜厚T(表中の「塗布膜厚」参照)と、ウェブ14の表面の振れ幅(表中の「ウェブ表面振れ幅」参照)と、塗布膜15の面状と、の関係を示す。なお、本例の下流側リップクリアランスDは、塗布膜15の膜厚Tの10倍に設定されている。
【0061】
【表2】

表中の「○」はウェブ14上の塗布膜15の膜厚精度が基準膜厚に対して±0.5%未満であることを示し、「△」はウェブ14上の塗布膜15の膜厚精度が基準膜厚に対して±1.0%未満であることを示し、「×」はウェブ14上の塗布膜15の膜厚精度が基準膜厚に対して±1.0%以上であることを示す。なお、表中の「−」は、ウェブ表面の振れ幅が下流側リップクリアランスDよりも大きく設定されることとなるため、塗布液の塗布を実施しなかったことを示す。
【0062】
表2に示されているように、下流側リップクリアランスDを塗布膜15の膜厚Tの10倍に設定した場合、塗布膜15の膜厚Tが大きい範囲、とりわけ5μm以上の範囲では、ウェブ表面の振れに十分に対応可能であることが確認された。特に、一般に使用されているウェブ14の表面の振れ幅は概ね0μm〜5μmの範囲に収まるので、通常の塗布膜製造であれば、リップクリアランスDが50μm以上であり塗布膜15の膜厚Tが5μm以上であれば、良好な品質の薄層の塗布膜15を提供することが可能である。一方、塗布膜15の膜厚Tが小さい範囲、とりわけ5.0μm未満の範囲では、十分な大きさの下流側リップクリアランスDが確保されず、ウェブ表面の振れ幅が大きい場合には、塗布膜15の面状が悪化することが確認された。特に、塗布膜15の膜厚Tが薄くなる程、ウェブ表面の変動に十分に対応することができず、良好な品質の薄層の塗布膜15を提供することが難しくなる。
【0063】
(実施例2)
本例では、塗布膜15の膜厚Tを一定に保つ一方で、下流側リップクリアランスDを変えて、スロットダイ18から塗布液を吐出させた。具体的には、下流側リップクリアランスDを15μm、30μm、90μm、および120μmに変えた。
【0064】
以下の表3は、本例における下流側リップクリアランスD(リップCL)と、ウェブ14上に塗布膜15を形成することができる限界の塗布速度(ウェブ搬送速度)(以下「限界塗布速度」とも称する)と、塗布膜15の面状(表中の「塗布膜の面状」参照)と、の関係を示す。なお、本例において、塗布膜15の膜厚Tは3μmに設定され、ウェブ表面の振れ幅は3μmに設定されている。
【0065】
【表3】

表3において、限界塗布速度が40m/min以上を示す場合には、単に「40m/min以上」と表記した。また、「○」、「△」、および「×」は、表2の場合と同様の内容を示す。
【0066】
表3に示されているように、下流側リップクリアランスD(リップCL)が大きくなるほど、限界塗布速度が遅くなることが確認された。特に、下流側リップクリアランスDが塗布膜15の膜厚T(3μm)の30倍以上の90μm以上になると限界塗布速度が遅くなり、塗布膜15を効率良く製造する観点からは好ましくない。したがって、下流側リップクリアランスDは、塗布膜15の膜厚Tの30倍未満に設定されるようにするのが好ましい。なお、塗布液の粘度や表面張力によっては、限界塗布速度が多少変動すると考えられる。
【0067】
(実施例3)
本例では、塗布膜15の膜厚Tおよび塗布速度(ウェブ搬送速度)を一定に保つ一方で、下流側リップクリアランスDおよびウェブ表面の振れ幅を変えて、スロットダイ18から塗布液を吐出させた。具体的には、下流側リップクリアランスDを15μm、30μm、60μm、および90μmに変え、ウェブ14の表面の振れ幅を0.5μm、1.0μm、3.0μm、および6.0μmに変えた。
【0068】
以下の表4は、本例における下流側リップクリアランスD(リップCL)と、ウェブ14の表面の振れ幅(ウェブ表面振れ幅)と、塗布膜15の面状との関係を示す。なお、本例において、塗布膜15の膜厚Tは3μmに設定され、塗布速度は15m/minに設定されている。また、表4中の「○」、「△」、および「×」は、表2の場合と同様の内容を示す。
【0069】
【表4】

表4に示されているように、良好な面状の塗布膜15を得る観点から、ウェブ表面の振れ幅に応じた適切な下流側リップクリアランスD(リップCL)が存在することが確認された。特に、下流側リップクリアランスDがウェブ表面の振れ幅の10倍程度の場合に、より好ましくは20倍程度の場合に、良好な面状の塗布膜15をウェブ14上に形成することができることが確認された。
【0070】
(実施例4)
本例では、ウェブ14の材質、下流側リップクリアランスD、およびウェブ表面の振れ幅を変えて、スロットダイ18から塗布液を吐出させた。具体的には、下流側リップクリアランスDを15μm、30μm、60μm、および90μmに変え、ウェブ14の表面の振れ幅を1.0μmおよび3.0μmに変え、ウェブ14の材質をトリアセチルセルロース(TAC)およびポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)に変えた。
【0071】
以下の表5は、本例における下流側リップクリアランスD(リップCL)と、ウェブ表面の振れ幅(ウェブ表面振れ幅)と、ウェブ14の材質(表中の括弧内参照)と、塗布膜15の面状との関係を示す。なお、本例において、塗布膜15の膜厚Tは3μmに設定され、塗布速度は15m/minに設定されている。
【0072】
【表5】

表5において、「TAC」はトリアセチルセルロース(TAC−TD80U、富士写真フイルム株式会社製)を示し、「PET」はポリエチレンテレフタレートフィルム(PET−FD−100M、富士写真フイルム株式会社製)を示す。また、表中の「○」、「△」、および「×」は、表2の場合と同様の内容を示す。
【0073】
表5に示されているように、塗布膜15の面状は、ウェブ14の材質には依存せず、ウェブ表面の振れ幅の影響を受けることが確認された。
【0074】
(実施例5)
本例では、塗布膜15の膜厚Tおよびウェブ表面の振れ幅を変えて、スロットダイ18から塗布液を吐出させた。具体的には、塗布膜15の膜厚Tを、1.0μm、3.0μm、5.0μm、および6.0μmに変え、ウェブ表面の振れ幅を1.0μm、3.0μm、および6.0μmに変えた。
【0075】
以下の表6は、本例における塗布膜15の膜厚T(表中の「塗布膜厚」参照)と、ウェブ表面の振れ幅(ウェブ表面振れ幅)と、塗布膜15の面状との関係を示す。なお、本例において、下流側リップクリアランスDは30μmに設定され、塗布速度は15m/minに設定されている。また、表6中の「○」、「△」、および「×」は、表2の場合と同様の内容を示す。
【0076】
【表6】

表6に示されているように、塗布膜15の膜厚Tが薄くなる程、ウェブ表面の振れ幅が塗布膜15の面状に大きな影響を及ぼすことが確認された。塗布膜15の膜厚Tが5μm以上の範囲では、塗布膜15の面状に対するウェブ表面の振れ幅の影響が比較的小さいが、塗布膜15の膜厚Tが5.0μm未満の範囲では、塗布膜15の面状に対するウェブ表面の振れ幅の影響が大きくなり、ウェブ表面の振れ幅の影響を無視し難くなる。また、下流側リップクリアランスD(30μm)がウェブ表面の振れ幅の約10倍以上となる範囲では、塗布膜15の面状に対するウェブ表面の振れ幅の影響が比較的小さいことが確認された。
【0077】
(実施例6)
本例では、塗布液の粘度およびウェブ表面の振れ幅を変えて、スロットダイ18から塗布液を吐出させた。具体的には、塗布液の粘度を0.7mPas、5.0mPas、および10mPasに変え、ウェブ表面の振れ幅を1.0μm、2.0μm、3.0μm、および6.0μmに変えた。
【0078】
以下の表7は、本例における塗布液の粘度(表中の「塗布液粘度」参照)と、塗布液中の増粘剤の溶解量(表中の「増粘剤量」参照)と、ウェブ表面の振れ幅(ウェブ表面振れ幅)と、塗布膜15の面状との関係を示す。
【0079】
【表7】

なお、塗布液の粘度は、溶剤系の増粘剤として働くエチルセルロースの塗布液に対する混合量によって調整された。また、本例では、下流側リップクリアランスDが20μmに設定され、塗布膜15の膜厚Tが3μmに調整され、塗布速度が30m/minに設定された。また、表7中の「○」、「△」、および「×」は、表2の場合と同様の内容を示す。
【0080】
表7に示されているように、塗布液の粘度が高くなる程、塗布膜15の面状に対するウェブ表面の振れ幅の影響が小さくなることが確認された。特に、塗布液の粘度が10mPas以上の場合には、下流側リップクリアランスDとウェブ表面の振れ幅とのバランスにかかわらず、塗布膜15の面状に対するウェブ表面の振れ幅の影響が小さいことが分かる。したがって、特に塗布液の粘度が10mPas未満の場合に、下流側リップクリアランスDをウェブ表面の振れ幅の10倍以上に設定することが効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスロットダイコータ式塗布システムの構成図である。
【図2】スロットダイの周辺の拡大図である。
【図3】ウェブの表面の振れ幅(ウェブ表面変位量)とバックアップローラの回転角度との関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0082】
10・・・スロットダイコータ式塗布システム、12・・・バックアップローラ、14・・・ウェブ、16・・・リップランド、16A・・・上流側リップランド、16B・・・下流側リップランド、18・・・スロットダイ、18A・・・上流側ダイブロック、18B・・・下流側ダイブロック、20・・・ビード、22・・・マニホールド、24・・・スロット、24A・・・開口部、26・・・減圧チャンバー、26A・・・バックプレート、26B・・・サイドプレート、26C・・・リアプレート、26D・・・ボトムプレート、28・・・エア配管、30・・・ブロア、32・・・バルブ、34・・・バッファ装置、36・・・圧力計、38・・・コントローラ、40・・・吸引口、42・・・塗布液ポンプ、44・・・塗布液タンク、46・・・塗布液供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックアップローラにより支持された状態で連続走行する支持体の表面に向かってスロットダイのスロットから塗布液を吐出させて前記スロットダイと前記支持体との間に塗布液のビードを架設し、当該ビードにより前記支持体の表面に対して前記塗布液を塗布し、湿潤膜厚が0.5μm以上5.0μm未満である塗布層を前記支持体上に形成する塗布液の塗布方法において、
前記スロットダイの先端面のうち前記スロットよりも下流側の下流側ダイ先端面は、上流側の上流側ダイ先端面よりも前記支持体に近接した位置に配置され、
前記下流側ダイ先端面と前記支持体との間隔は、前記支持体の表面の変位量の10倍以上にするとともに前記塗布層の湿潤膜厚の30倍未満であることを特徴とする塗布液の塗布方法。
【請求項2】
前記塗布液の粘度は、0mPasよりも大きく10mPas未満であることを特徴とする請求項1に記載の塗布液の塗布方法。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の塗布液の塗布方法によって得られる塗布層を少なくとも1層有することを特徴とする光学フィルム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−272269(P2006−272269A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98912(P2005−98912)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】