塗料混合装置
【課題】本発明は、構造を簡素にできる塗料混合装置を提供する。
【解決手段】塗料混合装置20は、制御装置70を備える。制御装置70は、第1,2の塗料保持タンク80,90から供給される互いに異なる塗料を混合タンク30内で混合する場合、第1,2のバルブ45,48と第1,2のポンプ44,47とのうち用いられる塗料保持タンクと混合タンク30とを結ぶ供給通路に設けられるポンプとバルブとの動作を制御して、複数の塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を混合タンク30に供給する。
【解決手段】塗料混合装置20は、制御装置70を備える。制御装置70は、第1,2の塗料保持タンク80,90から供給される互いに異なる塗料を混合タンク30内で混合する場合、第1,2のバルブ45,48と第1,2のポンプ44,47とのうち用いられる塗料保持タンクと混合タンク30とを結ぶ供給通路に設けられるポンプとバルブとの動作を制御して、複数の塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を混合タンク30に供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のボデーに塗布される塗料を混合する塗料混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両のボデーに塗料を塗布する場合、複数の塗料を混合して適した色を作成する。このため、塗料混合装置が用いられている。
【0003】
この種の塗料混合装置は、各々異なる色の塗料を保持する複数のタンクと、これらタンクが有する色を混ぜ合わせる粘調混合部とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、この種の塗料混合装置は、所望される色を作成するにあたり、各タンクから吐出される塗料の量を調整する定量調整装置を備えている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−135459号公報
【特許文献2】特開平6−226154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように粘調混合部を備える構造と、特許文献2のように定量調整装置を備える構造と、もしくは、粘調混合部と定量調整装置とを両方備える構造とでは、装置の構造が複雑になる。さらに、装置自体のイニシャルコストが高くなるとともに、その後のランニングコストとが高くなる。このため、塗料混合装置の構造が複雑になることは好ましくない。
【0007】
本発明の目的は、構造を簡素にできる塗料混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に記載の塗料混合装置は、各々異なる色の塗料を保持する複数の塗料保持タンクと、前記各塗料保持タンクから塗料が供給される被接続装置と、前記各塗料保持タンクと前記被接続装置とを連通し、前記各塗料保持タンクから前記被接続装置に塗料を導く供給通路と、前記各供給通路に設けられて、前記各塗料保持タンクから前記被接続装置に塗料を送り込むポンプと、前記各供給通路に設けられて当該供給通路を開閉するバルブと、前記被接続装置に供給された塗料の量を検出する流量計と、前記ポンプの動作と前記バルブの動作とを制御する制御部とを備える。前記制御部は、複数の前記塗料保持タンクから供給される互いに異なる塗料を前記被接続装置内で混合する場合、用いられる複数の前記塗料保持タンクと前記被接続装置とを結ぶ前記供給通路に設けられる前記ポンプと前記バルブとの動作を制御して、複数の前記塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を前記被接続装置に供給する。
【0009】
本願の請求項2に記載の塗料混合装置では、請求項1に記載の塗料混合装置において、前記被接続装置は、混合タンクである。
【0010】
本願の請求項3に記載の塗料混合装置では、請求項1または請求項2に記載の塗料混合装置において、前記流量計は、前記各混合通路に設けられる。
【0011】
本願の請求項4に記載の塗料混合装置では、請求項2に記載の塗料混合装置において、前記流量計は、前記混合タンクの下流に設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塗料混合装置では、塗料を混合する場合、複数の塗料保持タンクのうち用いられる塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料が混合される。そして、このサイクルは、複数回繰り返される。繰り返す回数に応じて、混合度合いは高まるので、求める混合度合い(品質)に合わせて繰り返す回数を設定すればよい。言い換えると、一巡のうちに供給される塗料の合計量を少なくすると、混合度合いは高まるので、求める混同度合いに合わせて、一巡中に供給する塗料の合計量を決定すれば良い。1つずつ順番に塗料が混合されることによって、塗料が混ざりやすくなるので、別途にスティックミキサーなどの塗料を混ぜ合わせる装置を必要としない。このため、塗料混合装置の構成を簡素にすることができる。
【0013】
さらに、複数の塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を被接続装置に混合することによって、各塗料保持タンクから被接続装置に混合される塗料の量を調整する定量混合装置を必要としない。この点について具体的に説明する。
【0014】
複数の塗料保持タンクから被接続装置へ塗料を混合する際に、1つずつ順番に混合することによって、塗料を混合している塗料保持タンクと被接続装置とを連結する混合通路に対して、当該塗料の流れを妨げる方向の圧力(被接続装置側から塗料保持タンク側に向かう圧力)が生じない。
【0015】
このため、バルブが開いている時間と混合される塗料の量との相関関係が一定となり、それゆえ、バルブの開く時間を制御することによって、混合する塗料の量を調整することができるようになる。この結果、別途に定量混合装置などを必要としないので、塗料混合装置の構成を簡素にすることができる。
【0016】
また、被接続装置として混合タンクを用いることによって、混合される塗料を効率よく混合することができる。
【0017】
また、各混合通路に流量計が設けられることによって、各塗料保持タンクから混合される塗料の量を、各々検出することができる。このため、混合された塗料の合計量に不足が生じた場合に、不足した塗料の種類と、各塗料の種類における不足量とを検出できるので、不足分の塗料が追加された後であっても、塗料の混合比を保つことができる。
【0018】
また、流量計を混合タンクの下流に設けることによって、混合タンクで混合された塗料の量を計測することになるので、流量計の数を多くすることがなく、それゆえ、塗料混合装置の構造を簡素にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る塗料塗布システムの動作を示す概略図。
【図2】図1に示された塗料混合装置の動作とガンの動作とを示すフローチャート。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る塗料塗布システムを示す概略図。
【図4】図3に示された塗料混合装置の動作とガンの動作とを示すフローチャート。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る塗料塗布システムを示す概略図。
【図6】図5に示された塗料混合装置の動作とガンの動作とを示すフローチャート。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る塗料塗布システムを示す概略図。
【図8】図7に示された塗料混合装置の動作とガンの動作とを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1の実施形態に係る塗料混合装置を、図1,2を用いて説明する。図1は、本実施形態の塗料混合装置20を概略的に示す概略図である。また、図1は、塗料混合装置20に、塗料塗布用のガン10が接続された状態を概略的に示す概略図でもある。
【0021】
塗料混合装置20とガン10とは、塗料が塗布される被塗布物の一例である自動車のボデー100に塗料を塗布する塗料塗布システム200を構成している。なお、塗料混合装置20とガン10とは、互いに接続(連結)可能であるとともに、当該接続(連結)を解除可能である。
【0022】
図1に示すように、塗料混合装置20は、複数の塗料保持タンクと、混合タンク30と、供給系40と、流量計50と、連結管60と、制御装置70とを備えている。
【0023】
複数の塗料保持タンクは、各々異なる色の塗料を保持している。本実施形態では、一例として、白色の塗料を保持する第1の塗料保持タンク80と、黒色の塗料を保持する第2の塗料保持タンク90とを備えている。第1,2の塗料保持タンク80,90は、本発明でいう塗料保持タンクの一例である。
【0024】
なお、本実施形態では、一例として2つの塗料保持タンク80,90が用いられているが、これに限定されるものではない。塗料保持タンクの数は、所望される色によって増減が可能であり、その数は限定されるものではない。
【0025】
混合タンク30は、後述される供給系40によって第1,2の塗料保持タンク80,90に連結されており、第1,2の塗料保持タンク80,90が保持する塗料が供給されるとともに当該塗料を混合して保持可能である。本実施形態では、混合タンク30は、本発明で言う被接続装置の一例である。
【0026】
供給系40は、第1,2の塗料保持タンク80,90の各々と混合タンク30とを互いに独立した状態で連結する。本実施形態では、第1,2の塗料保持タンク80,90が用いられる構造であるので、供給系40は、第1の塗料保持タンク80と混合タンク30とを連結する第1の供給系41と、第2の塗料保持タンク90と混合タンク30とを連結する第2の供給系42とを備えている。
【0027】
なお、供給系は、各塗料保持タンクと混合タンクとを連結するので、例えば、異なる複数の塗料保持タンク(第1,2の塗料保持タンク80,90以外の塗料保持タンク、例えば、5つや6つの塗料保持タンク)を備える構造である場合には、当該複数の塗料保持タンクの各々1つずつと混合タンクとが供給系によって互いに連結される。各塗料保持タンクに用いられる供給系の構造は互いに同様であってよい。供給系の構造の一例を、第1,2の供給系41,42を用いて説明する。
【0028】
第1の供給系41は、第1の供給通路43と、第1のポンプ44と、第1のバルブ45とを備えている。第1の供給通路43は、例えば管部材で形成されており、一端が混合タンク30に連結されて当該混合タンク30に連通しており、他端が第1の塗料保持タンク80に連結されて当該第1の塗料保持タンク80に連通している。第1の供給通路43は、本発明で言う供給通路の一例である。
【0029】
第1の供給通路43は、第1の塗料保持タンク80と混合タンク30とを連通している。第1のポンプ44は、第1の供給通路43中に設けられており、第1の塗料保持タンク80内に保持される塗料を混合タンク30に向かって吐出して供給可能である。第1のポンプ44は、本発明で言うポンプの一例である。
【0030】
第1のバルブ45は、第1の供給通路43中に設けられている。一例として、第1のバルブ45は、第1の供給通路43において第1のポンプ44の下流であって混合タンク30の上流の位置に設けられている。第1のバルブ45は、第1の供給通路43を開閉する。第1のバルブ45が開いている状態では、塗料は、第1のバルブ45を通過して混合タンク30に導かれる。第1のバルブ45が閉じている状態では、塗料は第1のバルブ45を通過できず、それゆえ、塗料は混合タンク30に導かれない。第1のバルブ45は、本発明で言うバルブの一例である。
【0031】
第2の供給系42は、第2の供給通路46と、第2のポンプ47と、第2のバルブ48とを備えている。第2の供給通路46は、例えば管部材で形成されて、一端が混合タンク30に連結されて当該混合タンク30に連通しており、他端が第2の塗料保持タンク90に連結されて当該第2の塗料保持タンク90に連通している。第2の供給通路46は、本発明で言う供給通路の一例である。
【0032】
第2の供給通路46は、第2の塗料保持タンク90と混合タンク30とを連通している。第2のポンプ47は、第2の供給通路46中に設けられており、第2の塗料保持タンク90中の塗料を混合タンク30に向かって吐出して供給可能である。第2のポンプ47は、本発明で言うポンプの一例である。
【0033】
第2のバルブ48は、第2の供給通路46中に設けられている。一例として、第2のバルブ48は、第2の供給通路46において第2のポンプ47の下流であって混合タンク30の上流の位置に設けられている。第2のバルブ48は、第2の供給通路46を開閉する。第2のバルブ48が開いている状態では、塗料は、第2のバルブ48を通過して混合タンク30に導かれる。第2のバルブ48が閉じている状態では、塗料は第2のバルブ48を通過できず、それゆえ、塗料は混合タンク30に導かれない。第2のバルブ48は、本発明で言うバルブの一例である。
【0034】
連結管60は、混合タンク30に連結されている。連結管60と混合タンク30とは、互いに連通している。連結管60は、混合タンク30内に保持された塗料をガン10に導くことが可能である。このため、連結管60の位置は、第1,2の塗料保持タンク80,90からガン10までの塗料の流れにおいて、混合タンク30よりも下流に位置する。ここで言う下流とは、本発明で言う下流のことである。
【0035】
なお、混合タンク30において連結管60と接続される部位にはバルブ31が設けられている。当該バルブが閉じている状態では連結管60を通して混合タンク30内の塗料が外部に出ないので、バルブ31が閉じている状態では混合タンク30内に塗料を保持可能である。当該バルブが開いた状態では混合タンク30内の塗料が連結管60に吐出可能である。なお、このバルブは、混合タンク30に設けられることに限定されない。例えば、連結管中60に設けられてもよい。
【0036】
連結管60は、ガン10に着脱可能に連結される。ガン10は、例えば自動車のボデー100に塗料を吹き付けることによってボデー100に塗料を塗布する。ガン10は、塗料を保持するタンク11を備えている。連結管60がガン10に連結された状態では、混合タンク30から塗料をガン10のタンク11内に導くことができる。連結管60中には、混合タンク30からタンク11に塗料を吐出して供給するポンプ32が設けられている。
【0037】
ガン10は、内部印加型の静電塗装を行う。このため、ガン10から塗料を噴射する際には、ガン10内で塗料に電荷が印加される。そして、ガン10より噴射された塗料は、電荷によってボデー100に導かれる。
【0038】
このため、ガン10から塗料が噴射される際には、連結管60はガン10から外されてガン10から電流が塗料混合装置20に流れることを防止している。なお、ガン10が外部印加型(ガン10より塗料が噴射された後に、塗料に電荷が印加される)である場合は、ガン10が塗料を噴射する際に連結管60が混合タンク30に連結された状態であってもよい。
【0039】
流量計50は、連結管60中に設けられており、連結管60を流れる塗料の流量を検出する。流量計50は、本発明で言う流量計の一例である。
【0040】
制御装置70は、第1,2のバルブ45,48の動作と、第1,2のポンプ44,47の動作とを制御する。また制御装置70は、流量計50より当該流量計50が検出した塗料の量のデータが送信される。また、本実施形態では、一例として、制御装置70は、バルブ31とポンプ32とガン10との動作を制御する。制御装置70は、本発明で言う制御部の一例である。
【0041】
なお、第1,2のバルブ45,48と第1,2のポンプ44,47と流量計50とバルブ31とポンプ32とガン10とは、制御装置70に有線で接続されて動作信号やデータの送受信を行うようにしてもよいし、または無線形式で動作信号やデータの送受信を行うようにしてもよい。
【0042】
つぎに、塗料混合装置20の動作とガン10の動作とを合わせた動作、つまり、塗料を混ぜ合わせるとともに当該混ぜ合わされた塗料をボデー100に塗布し終えるまでの動作(塗料塗布システム200の動作)を説明する。
【0043】
図2は、塗料塗布システム200の動作を示すフローチャートである。本実施形態では、塗料混合装置20が一例として白色:黒色が4:1の割合で混ぜられて形成される塗料を200ml(ミリ リットル)作成し、ガン10が混合された塗料をボデー100に塗布する動作を一例として説明する。なお、200mlは、一例として、1つのボデー100に対して一回の塗布動作で用いられる塗料の量である。
【0044】
図2に示すように、まず、作業員は、ステップST1において、制御装置70に塗料混合比を入力する。このとき、作業員は、制御装置70の入力部71より、上記データの入力を行う。本実施形態では、上記したように、一例として、白色:黒色が4:1の割合で混ぜられて形成される塗料を、200ml形成する。このため、白色:黒色の比率を4:1と入力する。ついで、ステップST2に進む。
【0045】
ステップST2では、作業員は、入力部71より制御装置70に塗料の所要量を入力する。作業員は、本実施形態では、一例として、200mlと入力する。ついで、ステップST3に進む。
【0046】
ステップST3では、作業員は、1サイクルでの吐出量を制御装置70に入力する。本実施形態では、一例として、1サイクルの吐出量の合計は、20mlとされている。なお、1サイクルの塗料の吐出量の合計は、求める混合塗料の品質(混合度合い)に応じて設定すればよい(ステップST3)。1サイクルでの吐出量の入力が終了すると、ついで、ステップST4に進む。
【0047】
ステップST4では、制御装置70は、サイクル吐出回数を算出する。ここで、サイクル吐出回数について説明する。まず、混合タンク30への塗料の混合について、具体的に説明する。
【0048】
制御装置70は、第1,2の塗料保持タンク80,90の1つずつから順番に塗料を混合タンク30に供給するよう、第1,2のポンプ44,47と、第1,2のバルブ45,48とを制御する。
【0049】
具体的には、まず、第1の塗料保持タンク80から混合タンク30に向かって塗料を吐出するべく、第1のバルブ45が開かれるとともに第1のポンプ44が駆動される。このとき、第2のポンプ47は停止されるとともに第2のバルブ48は閉じられる。このことによって、第1の塗料保持タンク80から塗料が供給されている際には第2の塗料保持タンク90から塗料は供給されない。
【0050】
ついで、第2の塗料保持タンク90から塗料を混合タンク30に供給すべく、第2のバルブ48が開くとともに第2のポンプ47が駆動される。このとき、第1のポンプ44の動作は停止されるとともに第1のバルブ45は閉じられる。このため、第2の塗料保持タンク90から塗料が供給される際に第1の塗料保持タンク80から塗料が供給されることがない。
【0051】
また、第1,2の塗料保持タンク80,90から順番に塗料を供給する際、一巡のうち供給される塗料の合計量は、例えば、20mlとする。具体的には、一度第1の塗料保持タンク80から塗料を供給し、ついで一度第2の塗料保持タンク90から塗料を供給するサイクルを1サイクルとし、この1サイクル中に混合タンク30内に供給される塗料の合計量、つまり1サイクル中に第1の塗料保持タンク80から供給される塗料の量と第2の塗料保持タンク90から供給される塗料の量との合計量を20mlとする。
【0052】
なお、例えば5つや6つなどの他の複数の塗料保持タンクから混合タンク30に塗料を供給する場合であっても、これら複数の塗料保持タンクから1度ずつ順番に供給される(1サイクル)とともに、1サイクル中に混合タンク30内に供給される塗料の合計量は、20mlである。
【0053】
サイクル吐出回数算出とは、ステップST2で求められる塗料所要量に対して、何サイクル必要であるかを算出することである。
【0054】
このため、ステップST4では、ステップST2で入力された求められる塗料所要量と1サイクルでの塗料の供給量とに基づいてサイクル数が算出される。本実施形態では、塗料所要量が200mlであり、かつ、1サイクルでの吐出量が20mlであるので、サイクル吐出回数は、10回となる。
【0055】
なお、例えば塗料所要量が210mlである場合では、サイクル吐出回数は、10.5回となる。小数が出る場合は、繰り上がり、それゆえ、サイクル吐出回数は、11回となる。サイクル吐出回数が算出されると、ついで、ステップST5に進む。
【0056】
本実施形態では、1サイクルの塗料の合計量は、20mlに設定されている。また、塗料の混合比が4:1であるので、1サイクルで第1の塗料保持タンク80から供給される塗料の量は16mlとなり、1サイクルで第2の塗料保持タンク90から吐出される塗料の量は、4mlとなる。
【0057】
なお、例えば塗料所要量が210mlである場合では、サイクル吐出回数は、11回となる。このため、予め1サイクルでの吐出量が20mlとされた場合であっても、1サイクルでの吐出量は、略19mlとなる。このように、1サイクルでの塗料の供給合計量は予め設定されているが(本実施形態では一例として20mlに設定)、ステップST4で算出されるサイクル吐出回数によって、変更される。
【0058】
ステップST5では、制御装置70は、1サイクル中に第1,2の塗料保持タンク80,90の各々からの塗料の吐出時間を算出する。本実施形態では、第1のポンプ44が単位時間(1秒あたり)に吐出する塗料の量は常に同じである。第2のポンプ47も同様である。このため、第1,2のバルブ45,48の開く時間によって、第1,2の塗料保持タンク80,90から供給される塗料の量が変化する。ここで言う、塗料の吐出時間とは、1サイクル中の第1,2のバルブ45,48の開く時間である。
【0059】
なお、第1のバルブ45の開く時間と、当該開く時間内に供給される塗料の量との相関関係は、予め例えばマップなどのデータとして制御装置70に記憶されている。同様に、第2のバルブ48が開く時間と、当該開く時間内に供給される塗料の量との相関関係は、予め例えばマップなどのデータとして制御装置70に記憶されている。
【0060】
このため、ステップST5では、1サイクル中の第1,2の塗料保持タンク80,90からの供給量と上記されたマップなどのデータとに基づいて、1サイクル中の第1,2のバルブ45,48の開く時間が算出される。
【0061】
なお、本実施形態では、一例として第1,2のポンプ44,47の性能(吐出力)が同じであるので、第1のバルブ45の開く時間は、第2のバルブ48の開く時間の4倍となる。ついで、ステップST6に進む。
【0062】
ステップST6では、混合タンク30に塗料を供給するべく、制御装置70は、第1,2のポンプ44,47の動作と、第1,2のバルブ45,48の動作とを制御する。具体的には、1サイクル中、第1,2の塗料保持タンク80,90から1つずつ順番に塗料が供給されるとともに、1サイクル中に第1の塗料保持タンク80からは16mlの塗料が混合タンク30に供給され、1サイクル中に第2の塗料保持タンク90からは4mlの塗料が混合タンク30に吐出されるように、第1,2のポンプ44,47の動作と、第1,2のバルブ45,48の動作とが制御される。
【0063】
さらに具体的には、まず、第1の塗料保持タンク80から塗料が16ml供給されるように、第1のバルブ45が開かれるとともに第1のポンプ44が駆動される。このとき、第2の供給系42(第2の塗料保持タンク90)から塗料が供給されないように、第2のバルブ48が閉じられるとともに第2のポンプ47は停止される。
【0064】
ついで、ステップST5で算出された吐出時間第1のバルブ45が開くと、第1のバルブ45が閉じられるとともに第1のポンプ44が停止される。このことによって、第1の供給系41(第1の塗料保持タンク80)から塗料が供給されなくなる。
【0065】
ついで、第2の塗料保持タンク90から4ml塗料を供給するべく、第2のバルブ48を開くとともに第2のポンプ47が駆動される。第2のバルブ48がステップST5で算出された吐出時間開くと、第2のバルブ48が閉じられるとともに第2のポンプ47が停止される。
【0066】
以上の動作が1サイクルとなる。なお、混合タンク30に塗料が供給される際には、混合タンク30から連結管60を通して外部に塗料が流出することがないように、混合タンク30のバルブ31が閉じられるとともにポンプ32の動作は停止される。
【0067】
上記説明された1サイクルの動作が10回(10サイクル)行われることによって、混合タンク30内には少量ずつ順番に塗料が供給されることになるので、塗料は、当該塗料を混ぜ合わせるためのミキサーなどを必要とすることなく、自然に充分に混合される。10サイクルにわたる塗料の供給が終了すると、ついで、ステップST7に進む。
【0068】
ステップST7では、10サイクルにわたる塗料の供給が終了すると、制御装置70は、第1,2のポンプ44,47の動作を停止するとともに、第1,2のバルブ45,48は、閉じられる。このため、第1,2の塗料保持タンク80,90から混合タンク30に塗料が供給されることはない。ついで、ステップST8に進む。
【0069】
ステップST8では、混合タンク30に供給されて混合された塗料がガン10のタンク11に充填される。具体的には、連結管60がガン10に連結されていることが確認されると、例えば混合タンク30のバルブ31が開放されるとともにポンプ32が動作されることによって、混合タンク30からガン10のタンク11に塗料が充填される。なお、この動作は、制御装置70によって行われてもよいし、または作業員によって行われてもよい。本実施形態では、一例として、制御装置70が行う。言い換えると、制御装置70によってバルブ31の動作とポンプ32の動作とが制御される。
【0070】
このとき、ガン10のタンク11に充填される塗料の量は、流量計50によって検出される。流量計50によって検出された塗料の量は、制御装置70に送信されている。ついで、ステップST9に進む。
【0071】
ステップST9では、混合タンク30内の塗料が全てガン10のタンク11に充填されると、塗料の充填作業が終了される。具体的には、制御装置70は、予めポンプ32の単位時間あたりの吐出量を取りマップなどのデータとして記憶し、ポンプ32が所定時間動作したら充填完了として、混合タンク30のバルブを閉じるとともに、混合タンク30から塗料を吐出するポンプの動作が停止する。ついで、ステップST10に進む。なお、ステップST9の動作は、制御装置70によって行われてもよいし、または、作業員によって行われてもよい。本実施形態では、一例として、制御装置70が行う。
【0072】
ステップST10では、制御装置70は、流量計50の検出結果より、ガン10のタンク11内に充填された塗料の量を確認する。ついで、ステップST11に進む。
【0073】
ステップST11では、制御装置70は、ガン10のタンク11に充填された塗料の量が許容範囲内であるか否かを判定する。許容量は、ステップST1で入力された塗料所要量に対して任意に設定可能であり、予め制御装置70に入力されている。制御装置70は、流量計50によって検出された量が許容範囲内であると判定すると、ステップST12に進む。
【0074】
ステップST12では、制御装置70の制御によってガン10が操作されて塗料がボデー100に塗布される。具体的には、ガン10が塗料を噴射する前に、連結管60がガン10から取り外される。このことによって、ガン10と塗料混合装置20との連結が解除される。ガン10は、内部印加型である。ガン10と塗料混合装置20との連結が解除されることによって、連結管60を通して塗料混合装置20に電流が流れることが抑制される。ついで、ステップST13に進む。
【0075】
なお、本実施形態では、一例として制御装置70がガン10の動作を制御しているが、例えば作業員などがガン10の動作を制御してもよい。
【0076】
ステップST13では、ボデー100への塗料の塗布が完了すると、制御装置70は、ガン10による塗装作業が終了する。ついで、ステップST14に進む。
【0077】
ステップST14では、ガン10が次に塗布する塗料の色が確認される。具体的には、作業員は、つぎにボデー100に塗布する塗料の色を確認する。
【0078】
ステップST14で、つぎに塗布動作で用いられる色が異なる色である場合は、ステップST15に進む。ステップST15では、塗料混合装置20の洗浄が行われる。具体的には、一例として作業員によって、混合タンク30からガン10までの流路とガン10のタンク11とが洗浄される。これは、次に塗布する予定の色に、前に用いた塗料の色が混じることを防止するためである。
【0079】
洗浄が完了すると、塗料混合装置20とガン10とによる塗布動作が終了する。ついで、異なる色の塗料を作成してボデー100に塗布する場合は、ステップST1に戻り、ステップST1から処理が行われる。
【0080】
ステップST11において、ガン10に充填された塗料の量が、許容範囲内ではない場合は、ステップST16に進む。ステップST16では、制御装置70は、第1,2の塗料保持タンク80,90から塗料を供給する動作に異常が生じたと判定する。ついで、ステップST17に進む。ステップST17では、例えば作業員によって、混合タンク30と連結管60とが洗浄される。ついで、ステップST18に進む。
【0081】
ステップST18では、制御装置70は、流量計50によって検出された塗料の量と、ガン10のタンク11に充填されるべき塗料の量との比較に基づいて、塗料の不足量を算出する。この不足量は、ガン10のタンク11にさらに充填することが望まれる量である。
【0082】
なお、ステップST18では、制御装置70は、実際に第1,2のバルブ45,48が開いた時間に対する、流量計50によって検出された塗料の量に基づいて、第1,2のバルブ45,48の開く時間と塗料の供給量についてのデータを更新する。
【0083】
この場合、流量計50によって検出される、ガン10のタンク11に充填されたと認識される塗料の混合比は、ステップST1で入力された混合比が保たれていると仮定されて、第1,2のバルブ45,48の開く時間と吐出量との相関関係のデータが更新される。つまり、供給された塗料中の白色塗料と黒色塗料の混合比は、4:1が保たれていると仮定されて算出される。この更新された相関関係のデータは、ステップST5で用いられる。ステップST5では、1サイクルでの吐出時間(第1,2のバルブ45,48の開く時間)が算出されるが、ここで用いられる、第1,2のバルブ45,48の開く時間に対する混合される塗料の量のデータ(例えばマップなど)は、ステップST18で更新されたものが用いられる。
【0084】
このように構成される塗料混合装置20では、第1の塗料保持タンク80が保持する塗料と第2の塗料保持タンク90が保持する塗料とを混合して所望の色の塗料を作成する場合、第1,2の塗料保持タンク80,90から順番に1つずつ塗料が供給される。1つずつ順番に塗料を供給されることによって、塗料が混ざりやすくなる。
【0085】
このように、複数の塗料を混合して所望の色の塗料を作成する場合に、複数の塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を混合タンクに供給するとともに、塗料を供給すべき塗料保持タンクが塗料を供給しているときに当該塗料保持タンク以外の塗料保持タンクから塗料が同時に供給されないようにすることによって、塗料が自然に充分混ぜ合わせられるようになるので、別途にスティックミキサーなどの塗料を混ぜ合わせる装置を必要としない。このため、塗料混合装置20の構成を簡素することができる。
【0086】
さらに、複数の塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を混合タンクに供給するとともに、塗料を供給すべき塗料保持タンクが塗料を供給しているときに当該塗料保持タンク以外の塗料保持タンクから塗料が同時に供給されないようにすることによって、各塗料保持タンクから混合タンク30に供給される塗料の量を調整する定量供給装置を必要としない。この点について具体的に説明する。
【0087】
複数の塗料保持タンクから混合タンク30へ塗料を供給する際に、1つずつ順番に供給することによって、塗料を供給している塗料保持タンクと混合タンク30とを連結する供給通路に対して、当該塗料の流れを妨げる方向の圧力(混合タンク30側から塗料保持タンク側に向かう圧力)が生じない。
【0088】
例えば、第1,2の塗料保持タンク80,90から混合タンク30に同時に塗料を供給する場合、第1の供給通路43には、第2のポンプ47による圧力が混合タンク30側から作用する。同様に、第2の供給通路46には、第1のポンプ44による圧力が混合タンク30側から作用する。
【0089】
この結果、第1,2のバルブ45,48が開いている時間と供給される塗料の量との相関関係が一定にならず、それゆえ、塗料を所望の量供給するためには定量供給装置が必要になる。
【0090】
しかしながら、本実施形態で説明されたように、第1の塗料保持タンク80から塗料が供給されているときには第2の塗料保持タンク90から塗料が供給されないようにし、かつ、第2の塗料保持タンク90から塗料が供給されているときには第1の塗料保持タンク80から塗料が供給されないようにすることによって、塗料を供給している塗料保持タンクに連結される供給通路に塗料の流れを妨げる圧力が作用することがない。
【0091】
このため、バルブが開いている時間と供給される塗料の量との相関関係が一定となり、それゆえ、バルブの開く時間を制御することによって、供給する塗料の量を調整することができるようになる。この結果、別途に定量供給装置などを必要としないので、塗料混合装置20の構成を簡素することができる。
【0092】
また、1サイクル中に塗布される塗料の量を求める混合塗料の品質(混合度合い)に合わせ、適正に設定することによって、1サイクル中に供給される複数種類の塗料が求める品質に混ぜ合わされるようになる。
【0093】
また、混合タンク30が用いられる構造であるので、塗料を効率よく混合することができる。また、混合タンク30の下流に流量計50が設けられる構造であるので、流量計の数を多くすることがない(本実施形態では、1つの流量計が用いられる)。このため、塗料混合装置20の構造を簡素にすることができる。
【0094】
なお、複数の塗料保持タンク(本実施形態では一例として第1,2の塗料保持タンク80,90)を備える構造であっても、いずれか1つの塗料保持タンクが保持する塗料のみを用いる場合にガン10のタンク11への塗料の充填量に異常が生じた場合は、流量計50は、どの塗料保持タンクからの供給に異常が生じたかを正確に判定することができる。
【0095】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る塗料混合装置を、図3,4を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態は、流量計の配置構造が第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について説明する。
【0096】
図3は、本実施形態の塗料塗布システム200を概略的に示す概略図である。図3に示すように、本実施形態では、流量計の配置構造が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、流量計50に代えて、第1の流量計51と、第2の流量計52とを備えている。
【0097】
第1の流量計51は、第1の供給通路43中に設けられている。第1の流量計51は、第1のバルブ45と混合タンク30との間に配置されており、第1の供給通路43を通過する塗料の量を検出する。第1の流量計51は、本発明で言う流量計の一例である。
【0098】
第2の流量計52は、第2の供給通路46中に設けられている。第2の流量計52は、第2のバルブ48と混合タンク30との間に配置されており、第2の供給通路46を通過する塗料の量を検出する。第2の流量計52は、本発明で言う流量計の一例である。
【0099】
第1,2の流量計51,52の検出結果は、制御装置70に送信される。なお、例えば5つや6つの供給通路を備える構造である場合では、これら複数の供給通路の各々に流量計が設けられるとともに、各流量計の検出結果が制御装置70に送信される。
【0100】
ついで、本実施形態の塗料塗布システム200の動作を説明する。図4は、本実施形態の塗料塗布システム200の動作を示すフローチャートである。なお、図2と同様の動作を示すステップは、図2と同様のステップ符号を付して説明を省略する。
【0101】
本実施形態では、ステップST6,7で第1,2の塗料保持タンク80,90から混合タンク30に塗料が供給される際に、第1,2の流量計51,52によって、第1,2の塗料保持タンク80,90の各々から供給される塗料の量(全てのサイクルで供給される塗料の合計量)が検出される。
【0102】
ステップST10では、制御装置70は、第1,2の流量計51,52によって検出された塗料の合計量がガン10のタンク11に充填された塗料の合計量であるとして、ガン10のタンク11に充填された量が許容値であるか否かを判定する。
【0103】
また、図4に示すように、本実施形態では、ステップST18に代えてステップST20が用いられ、ステップST17についでステップST20に進む。ステップST20では、制御装置70は、ステップST2で制御装置70に入力される塗料所要量と第1,2の流量計51,52によって検出された塗料の合計量とを比較して塗料の不足量を算出するとともに、第1,2の流量計51,52の各々の検出結果より、第1の塗料保持タンク80から供給される塗料の不足量と、第2の塗料保持タンク90から供給される塗料の不足量とを各々に算出する。
【0104】
また、制御装置70は、第1,2の塗料保持タンク80,90の保持する塗料の不足量に基づいて、第1,2のバルブ45,48の開く時間の調整を行う。具体的には、第1,2の流量計51,52の検出結果に基づいて得られる第1,2の塗料保持タンク80,90から供給された塗料の量と、第1,2のバルブ45,48が実際に開いた時間とに基づいて、第1,2のバルブ45,48の各々における開いた時間と塗料の供給量との相関関係を算出し、第1,2のバルブ45,48の開く時間と供給される塗料の量とデータ(例えばマップなど)が更新される。ついで、ステップST5に戻る。
【0105】
ステップST5では、制御装置70は、ステップST20で算出されて更新された、第1,2のバルブ45,48の開く時間と供給される塗料との相関関係のデータに基づいて、1サイクル中の第1,2のバルブ45,48の開く時間が算出される。以降の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0106】
本実施形態では、第1,2の流量計51,52が設けられることによって、第1,2の塗料保持タンク80,90から供給される塗料の量を、各々検出することができる。このため、第1の実施形態の効果に加えて、ガン10のタンク11に充填された塗料に不足が生じた場合に、不足量を補うべくさらに供給される塗料における混合比を求めることができるので、ガン10のタンク11に充填される塗料の混合比を所望の混合比に保つことができる。
【0107】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係る塗料混合装置を、図5,6を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態では、塗料混合装置20が混合タンク30を備えない点などが第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について、具体的に説明する。
【0108】
図5は、本実施形態の塗料塗布システム200を示す概略図である。図5に示すように、本実施形態の塗料混合装置20は、混合タンク30を備えていない。このため、バルブ31とポンプ32とも設けられていない。
【0109】
連結管60は、第1,2の供給通路43,46の合流部250に連結されている。このため、流量計50は、第1,2の供給通路43,46の合流部250よりも下流に配置される。連結管60は、本発明で言う連結部の一例である。
【0110】
なお、例えば5つや6つの供給通路が用いられる構造である場合では、これら複数の供給通路の合流部の下流に流量計50が設けられる。本実施形態では、塗料の混合は、ガン10のタンク11で行われる。本実施形態では、ガン10が本発明で言う被接続装置の一例となる。
【0111】
本実施形態の塗料塗布システム200の動作を説明する。図6は、本実施形態の塗料塗布システム200の動作を示すフローチャートである。図6において、第1の実施形態の図2で説明されたフローチャートと同様の動作を示すステップは、同一の符号を付して説明を省略する。
【0112】
本実施形態は混合タンク30を備える構造ではなく、ガン10のタンク11で塗料が混合される。このため、本実施形態では、図6に示すように、ステップST8,ST9が省略されて、塗料はタンク11に直接供給される。
【0113】
本実施形態では、混合タンク30が用いられないので、第1の実施形態の効果に加えて、より一層、塗料混合装置20の構成を簡素にすることができる。
【0114】
つぎに、本発明の第4の実施形態に係る塗料混合装置を、図7,8を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態では、塗料混合装置20が混合タンク30を備えない点などが第2の実施形態と異なる。他の構造は、第2の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について具体的に説明する。
【0115】
図7は、本実施形態の塗料塗布システム200を示す概略図である。図7に示すように、本実施形態の塗料混合装置20は、混合タンク30を備えておらず、ガン10のタンク11で塗料が混合される。このため、バルブ31とポンプ32とも備えられていない。本実施形態では、ガン10が本発明で言う被接続装置の一例である。
【0116】
つぎに、本実施形態の塗料塗布システム200の動作を説明する。図8は、塗料塗布システム200の動作を示すフローチャートである。図8において図4と同様の動作を示すステップは、同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態では、ガン10のタンク11で塗料の混合が行われる。このため、図8に示すように、本実施形態では、第2の実施形態の図4で説明された動作に対して、ステップST8,9が省略されて、塗料がタンク11に直接供給される。
【0117】
本実施形態では、混合タンク30が用いられないので、第2の実施形態の効果に加えて、より一層、塗料混合装置20の構成を簡素にすることができる。
【0118】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0119】
10…ガン(被接続装置)、20…塗料混合装置、30…混合タンク、43…第1の供給通路(供給通路)、44…第1のポンプ(ポンプ)、45…第1のバルブ(バルブ)、46…第2の供給通路(供給通路)、47…第2のポンプ(ポンプ)、48…第2のバルブ(バルブ)、50…流量計、51…第1の流量計(流量計)、52…第2の流量計(流量計)、60…連結管(連結部)、70…制御装置(制御部)、80…第1の塗料保持タンク(塗料保持タンク)、90…第2の塗料保持タンク(塗料保持タンク)、250…合流部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のボデーに塗布される塗料を混合する塗料混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両のボデーに塗料を塗布する場合、複数の塗料を混合して適した色を作成する。このため、塗料混合装置が用いられている。
【0003】
この種の塗料混合装置は、各々異なる色の塗料を保持する複数のタンクと、これらタンクが有する色を混ぜ合わせる粘調混合部とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、この種の塗料混合装置は、所望される色を作成するにあたり、各タンクから吐出される塗料の量を調整する定量調整装置を備えている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−135459号公報
【特許文献2】特開平6−226154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように粘調混合部を備える構造と、特許文献2のように定量調整装置を備える構造と、もしくは、粘調混合部と定量調整装置とを両方備える構造とでは、装置の構造が複雑になる。さらに、装置自体のイニシャルコストが高くなるとともに、その後のランニングコストとが高くなる。このため、塗料混合装置の構造が複雑になることは好ましくない。
【0007】
本発明の目的は、構造を簡素にできる塗料混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に記載の塗料混合装置は、各々異なる色の塗料を保持する複数の塗料保持タンクと、前記各塗料保持タンクから塗料が供給される被接続装置と、前記各塗料保持タンクと前記被接続装置とを連通し、前記各塗料保持タンクから前記被接続装置に塗料を導く供給通路と、前記各供給通路に設けられて、前記各塗料保持タンクから前記被接続装置に塗料を送り込むポンプと、前記各供給通路に設けられて当該供給通路を開閉するバルブと、前記被接続装置に供給された塗料の量を検出する流量計と、前記ポンプの動作と前記バルブの動作とを制御する制御部とを備える。前記制御部は、複数の前記塗料保持タンクから供給される互いに異なる塗料を前記被接続装置内で混合する場合、用いられる複数の前記塗料保持タンクと前記被接続装置とを結ぶ前記供給通路に設けられる前記ポンプと前記バルブとの動作を制御して、複数の前記塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を前記被接続装置に供給する。
【0009】
本願の請求項2に記載の塗料混合装置では、請求項1に記載の塗料混合装置において、前記被接続装置は、混合タンクである。
【0010】
本願の請求項3に記載の塗料混合装置では、請求項1または請求項2に記載の塗料混合装置において、前記流量計は、前記各混合通路に設けられる。
【0011】
本願の請求項4に記載の塗料混合装置では、請求項2に記載の塗料混合装置において、前記流量計は、前記混合タンクの下流に設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塗料混合装置では、塗料を混合する場合、複数の塗料保持タンクのうち用いられる塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料が混合される。そして、このサイクルは、複数回繰り返される。繰り返す回数に応じて、混合度合いは高まるので、求める混合度合い(品質)に合わせて繰り返す回数を設定すればよい。言い換えると、一巡のうちに供給される塗料の合計量を少なくすると、混合度合いは高まるので、求める混同度合いに合わせて、一巡中に供給する塗料の合計量を決定すれば良い。1つずつ順番に塗料が混合されることによって、塗料が混ざりやすくなるので、別途にスティックミキサーなどの塗料を混ぜ合わせる装置を必要としない。このため、塗料混合装置の構成を簡素にすることができる。
【0013】
さらに、複数の塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を被接続装置に混合することによって、各塗料保持タンクから被接続装置に混合される塗料の量を調整する定量混合装置を必要としない。この点について具体的に説明する。
【0014】
複数の塗料保持タンクから被接続装置へ塗料を混合する際に、1つずつ順番に混合することによって、塗料を混合している塗料保持タンクと被接続装置とを連結する混合通路に対して、当該塗料の流れを妨げる方向の圧力(被接続装置側から塗料保持タンク側に向かう圧力)が生じない。
【0015】
このため、バルブが開いている時間と混合される塗料の量との相関関係が一定となり、それゆえ、バルブの開く時間を制御することによって、混合する塗料の量を調整することができるようになる。この結果、別途に定量混合装置などを必要としないので、塗料混合装置の構成を簡素にすることができる。
【0016】
また、被接続装置として混合タンクを用いることによって、混合される塗料を効率よく混合することができる。
【0017】
また、各混合通路に流量計が設けられることによって、各塗料保持タンクから混合される塗料の量を、各々検出することができる。このため、混合された塗料の合計量に不足が生じた場合に、不足した塗料の種類と、各塗料の種類における不足量とを検出できるので、不足分の塗料が追加された後であっても、塗料の混合比を保つことができる。
【0018】
また、流量計を混合タンクの下流に設けることによって、混合タンクで混合された塗料の量を計測することになるので、流量計の数を多くすることがなく、それゆえ、塗料混合装置の構造を簡素にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る塗料塗布システムの動作を示す概略図。
【図2】図1に示された塗料混合装置の動作とガンの動作とを示すフローチャート。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る塗料塗布システムを示す概略図。
【図4】図3に示された塗料混合装置の動作とガンの動作とを示すフローチャート。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る塗料塗布システムを示す概略図。
【図6】図5に示された塗料混合装置の動作とガンの動作とを示すフローチャート。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る塗料塗布システムを示す概略図。
【図8】図7に示された塗料混合装置の動作とガンの動作とを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1の実施形態に係る塗料混合装置を、図1,2を用いて説明する。図1は、本実施形態の塗料混合装置20を概略的に示す概略図である。また、図1は、塗料混合装置20に、塗料塗布用のガン10が接続された状態を概略的に示す概略図でもある。
【0021】
塗料混合装置20とガン10とは、塗料が塗布される被塗布物の一例である自動車のボデー100に塗料を塗布する塗料塗布システム200を構成している。なお、塗料混合装置20とガン10とは、互いに接続(連結)可能であるとともに、当該接続(連結)を解除可能である。
【0022】
図1に示すように、塗料混合装置20は、複数の塗料保持タンクと、混合タンク30と、供給系40と、流量計50と、連結管60と、制御装置70とを備えている。
【0023】
複数の塗料保持タンクは、各々異なる色の塗料を保持している。本実施形態では、一例として、白色の塗料を保持する第1の塗料保持タンク80と、黒色の塗料を保持する第2の塗料保持タンク90とを備えている。第1,2の塗料保持タンク80,90は、本発明でいう塗料保持タンクの一例である。
【0024】
なお、本実施形態では、一例として2つの塗料保持タンク80,90が用いられているが、これに限定されるものではない。塗料保持タンクの数は、所望される色によって増減が可能であり、その数は限定されるものではない。
【0025】
混合タンク30は、後述される供給系40によって第1,2の塗料保持タンク80,90に連結されており、第1,2の塗料保持タンク80,90が保持する塗料が供給されるとともに当該塗料を混合して保持可能である。本実施形態では、混合タンク30は、本発明で言う被接続装置の一例である。
【0026】
供給系40は、第1,2の塗料保持タンク80,90の各々と混合タンク30とを互いに独立した状態で連結する。本実施形態では、第1,2の塗料保持タンク80,90が用いられる構造であるので、供給系40は、第1の塗料保持タンク80と混合タンク30とを連結する第1の供給系41と、第2の塗料保持タンク90と混合タンク30とを連結する第2の供給系42とを備えている。
【0027】
なお、供給系は、各塗料保持タンクと混合タンクとを連結するので、例えば、異なる複数の塗料保持タンク(第1,2の塗料保持タンク80,90以外の塗料保持タンク、例えば、5つや6つの塗料保持タンク)を備える構造である場合には、当該複数の塗料保持タンクの各々1つずつと混合タンクとが供給系によって互いに連結される。各塗料保持タンクに用いられる供給系の構造は互いに同様であってよい。供給系の構造の一例を、第1,2の供給系41,42を用いて説明する。
【0028】
第1の供給系41は、第1の供給通路43と、第1のポンプ44と、第1のバルブ45とを備えている。第1の供給通路43は、例えば管部材で形成されており、一端が混合タンク30に連結されて当該混合タンク30に連通しており、他端が第1の塗料保持タンク80に連結されて当該第1の塗料保持タンク80に連通している。第1の供給通路43は、本発明で言う供給通路の一例である。
【0029】
第1の供給通路43は、第1の塗料保持タンク80と混合タンク30とを連通している。第1のポンプ44は、第1の供給通路43中に設けられており、第1の塗料保持タンク80内に保持される塗料を混合タンク30に向かって吐出して供給可能である。第1のポンプ44は、本発明で言うポンプの一例である。
【0030】
第1のバルブ45は、第1の供給通路43中に設けられている。一例として、第1のバルブ45は、第1の供給通路43において第1のポンプ44の下流であって混合タンク30の上流の位置に設けられている。第1のバルブ45は、第1の供給通路43を開閉する。第1のバルブ45が開いている状態では、塗料は、第1のバルブ45を通過して混合タンク30に導かれる。第1のバルブ45が閉じている状態では、塗料は第1のバルブ45を通過できず、それゆえ、塗料は混合タンク30に導かれない。第1のバルブ45は、本発明で言うバルブの一例である。
【0031】
第2の供給系42は、第2の供給通路46と、第2のポンプ47と、第2のバルブ48とを備えている。第2の供給通路46は、例えば管部材で形成されて、一端が混合タンク30に連結されて当該混合タンク30に連通しており、他端が第2の塗料保持タンク90に連結されて当該第2の塗料保持タンク90に連通している。第2の供給通路46は、本発明で言う供給通路の一例である。
【0032】
第2の供給通路46は、第2の塗料保持タンク90と混合タンク30とを連通している。第2のポンプ47は、第2の供給通路46中に設けられており、第2の塗料保持タンク90中の塗料を混合タンク30に向かって吐出して供給可能である。第2のポンプ47は、本発明で言うポンプの一例である。
【0033】
第2のバルブ48は、第2の供給通路46中に設けられている。一例として、第2のバルブ48は、第2の供給通路46において第2のポンプ47の下流であって混合タンク30の上流の位置に設けられている。第2のバルブ48は、第2の供給通路46を開閉する。第2のバルブ48が開いている状態では、塗料は、第2のバルブ48を通過して混合タンク30に導かれる。第2のバルブ48が閉じている状態では、塗料は第2のバルブ48を通過できず、それゆえ、塗料は混合タンク30に導かれない。第2のバルブ48は、本発明で言うバルブの一例である。
【0034】
連結管60は、混合タンク30に連結されている。連結管60と混合タンク30とは、互いに連通している。連結管60は、混合タンク30内に保持された塗料をガン10に導くことが可能である。このため、連結管60の位置は、第1,2の塗料保持タンク80,90からガン10までの塗料の流れにおいて、混合タンク30よりも下流に位置する。ここで言う下流とは、本発明で言う下流のことである。
【0035】
なお、混合タンク30において連結管60と接続される部位にはバルブ31が設けられている。当該バルブが閉じている状態では連結管60を通して混合タンク30内の塗料が外部に出ないので、バルブ31が閉じている状態では混合タンク30内に塗料を保持可能である。当該バルブが開いた状態では混合タンク30内の塗料が連結管60に吐出可能である。なお、このバルブは、混合タンク30に設けられることに限定されない。例えば、連結管中60に設けられてもよい。
【0036】
連結管60は、ガン10に着脱可能に連結される。ガン10は、例えば自動車のボデー100に塗料を吹き付けることによってボデー100に塗料を塗布する。ガン10は、塗料を保持するタンク11を備えている。連結管60がガン10に連結された状態では、混合タンク30から塗料をガン10のタンク11内に導くことができる。連結管60中には、混合タンク30からタンク11に塗料を吐出して供給するポンプ32が設けられている。
【0037】
ガン10は、内部印加型の静電塗装を行う。このため、ガン10から塗料を噴射する際には、ガン10内で塗料に電荷が印加される。そして、ガン10より噴射された塗料は、電荷によってボデー100に導かれる。
【0038】
このため、ガン10から塗料が噴射される際には、連結管60はガン10から外されてガン10から電流が塗料混合装置20に流れることを防止している。なお、ガン10が外部印加型(ガン10より塗料が噴射された後に、塗料に電荷が印加される)である場合は、ガン10が塗料を噴射する際に連結管60が混合タンク30に連結された状態であってもよい。
【0039】
流量計50は、連結管60中に設けられており、連結管60を流れる塗料の流量を検出する。流量計50は、本発明で言う流量計の一例である。
【0040】
制御装置70は、第1,2のバルブ45,48の動作と、第1,2のポンプ44,47の動作とを制御する。また制御装置70は、流量計50より当該流量計50が検出した塗料の量のデータが送信される。また、本実施形態では、一例として、制御装置70は、バルブ31とポンプ32とガン10との動作を制御する。制御装置70は、本発明で言う制御部の一例である。
【0041】
なお、第1,2のバルブ45,48と第1,2のポンプ44,47と流量計50とバルブ31とポンプ32とガン10とは、制御装置70に有線で接続されて動作信号やデータの送受信を行うようにしてもよいし、または無線形式で動作信号やデータの送受信を行うようにしてもよい。
【0042】
つぎに、塗料混合装置20の動作とガン10の動作とを合わせた動作、つまり、塗料を混ぜ合わせるとともに当該混ぜ合わされた塗料をボデー100に塗布し終えるまでの動作(塗料塗布システム200の動作)を説明する。
【0043】
図2は、塗料塗布システム200の動作を示すフローチャートである。本実施形態では、塗料混合装置20が一例として白色:黒色が4:1の割合で混ぜられて形成される塗料を200ml(ミリ リットル)作成し、ガン10が混合された塗料をボデー100に塗布する動作を一例として説明する。なお、200mlは、一例として、1つのボデー100に対して一回の塗布動作で用いられる塗料の量である。
【0044】
図2に示すように、まず、作業員は、ステップST1において、制御装置70に塗料混合比を入力する。このとき、作業員は、制御装置70の入力部71より、上記データの入力を行う。本実施形態では、上記したように、一例として、白色:黒色が4:1の割合で混ぜられて形成される塗料を、200ml形成する。このため、白色:黒色の比率を4:1と入力する。ついで、ステップST2に進む。
【0045】
ステップST2では、作業員は、入力部71より制御装置70に塗料の所要量を入力する。作業員は、本実施形態では、一例として、200mlと入力する。ついで、ステップST3に進む。
【0046】
ステップST3では、作業員は、1サイクルでの吐出量を制御装置70に入力する。本実施形態では、一例として、1サイクルの吐出量の合計は、20mlとされている。なお、1サイクルの塗料の吐出量の合計は、求める混合塗料の品質(混合度合い)に応じて設定すればよい(ステップST3)。1サイクルでの吐出量の入力が終了すると、ついで、ステップST4に進む。
【0047】
ステップST4では、制御装置70は、サイクル吐出回数を算出する。ここで、サイクル吐出回数について説明する。まず、混合タンク30への塗料の混合について、具体的に説明する。
【0048】
制御装置70は、第1,2の塗料保持タンク80,90の1つずつから順番に塗料を混合タンク30に供給するよう、第1,2のポンプ44,47と、第1,2のバルブ45,48とを制御する。
【0049】
具体的には、まず、第1の塗料保持タンク80から混合タンク30に向かって塗料を吐出するべく、第1のバルブ45が開かれるとともに第1のポンプ44が駆動される。このとき、第2のポンプ47は停止されるとともに第2のバルブ48は閉じられる。このことによって、第1の塗料保持タンク80から塗料が供給されている際には第2の塗料保持タンク90から塗料は供給されない。
【0050】
ついで、第2の塗料保持タンク90から塗料を混合タンク30に供給すべく、第2のバルブ48が開くとともに第2のポンプ47が駆動される。このとき、第1のポンプ44の動作は停止されるとともに第1のバルブ45は閉じられる。このため、第2の塗料保持タンク90から塗料が供給される際に第1の塗料保持タンク80から塗料が供給されることがない。
【0051】
また、第1,2の塗料保持タンク80,90から順番に塗料を供給する際、一巡のうち供給される塗料の合計量は、例えば、20mlとする。具体的には、一度第1の塗料保持タンク80から塗料を供給し、ついで一度第2の塗料保持タンク90から塗料を供給するサイクルを1サイクルとし、この1サイクル中に混合タンク30内に供給される塗料の合計量、つまり1サイクル中に第1の塗料保持タンク80から供給される塗料の量と第2の塗料保持タンク90から供給される塗料の量との合計量を20mlとする。
【0052】
なお、例えば5つや6つなどの他の複数の塗料保持タンクから混合タンク30に塗料を供給する場合であっても、これら複数の塗料保持タンクから1度ずつ順番に供給される(1サイクル)とともに、1サイクル中に混合タンク30内に供給される塗料の合計量は、20mlである。
【0053】
サイクル吐出回数算出とは、ステップST2で求められる塗料所要量に対して、何サイクル必要であるかを算出することである。
【0054】
このため、ステップST4では、ステップST2で入力された求められる塗料所要量と1サイクルでの塗料の供給量とに基づいてサイクル数が算出される。本実施形態では、塗料所要量が200mlであり、かつ、1サイクルでの吐出量が20mlであるので、サイクル吐出回数は、10回となる。
【0055】
なお、例えば塗料所要量が210mlである場合では、サイクル吐出回数は、10.5回となる。小数が出る場合は、繰り上がり、それゆえ、サイクル吐出回数は、11回となる。サイクル吐出回数が算出されると、ついで、ステップST5に進む。
【0056】
本実施形態では、1サイクルの塗料の合計量は、20mlに設定されている。また、塗料の混合比が4:1であるので、1サイクルで第1の塗料保持タンク80から供給される塗料の量は16mlとなり、1サイクルで第2の塗料保持タンク90から吐出される塗料の量は、4mlとなる。
【0057】
なお、例えば塗料所要量が210mlである場合では、サイクル吐出回数は、11回となる。このため、予め1サイクルでの吐出量が20mlとされた場合であっても、1サイクルでの吐出量は、略19mlとなる。このように、1サイクルでの塗料の供給合計量は予め設定されているが(本実施形態では一例として20mlに設定)、ステップST4で算出されるサイクル吐出回数によって、変更される。
【0058】
ステップST5では、制御装置70は、1サイクル中に第1,2の塗料保持タンク80,90の各々からの塗料の吐出時間を算出する。本実施形態では、第1のポンプ44が単位時間(1秒あたり)に吐出する塗料の量は常に同じである。第2のポンプ47も同様である。このため、第1,2のバルブ45,48の開く時間によって、第1,2の塗料保持タンク80,90から供給される塗料の量が変化する。ここで言う、塗料の吐出時間とは、1サイクル中の第1,2のバルブ45,48の開く時間である。
【0059】
なお、第1のバルブ45の開く時間と、当該開く時間内に供給される塗料の量との相関関係は、予め例えばマップなどのデータとして制御装置70に記憶されている。同様に、第2のバルブ48が開く時間と、当該開く時間内に供給される塗料の量との相関関係は、予め例えばマップなどのデータとして制御装置70に記憶されている。
【0060】
このため、ステップST5では、1サイクル中の第1,2の塗料保持タンク80,90からの供給量と上記されたマップなどのデータとに基づいて、1サイクル中の第1,2のバルブ45,48の開く時間が算出される。
【0061】
なお、本実施形態では、一例として第1,2のポンプ44,47の性能(吐出力)が同じであるので、第1のバルブ45の開く時間は、第2のバルブ48の開く時間の4倍となる。ついで、ステップST6に進む。
【0062】
ステップST6では、混合タンク30に塗料を供給するべく、制御装置70は、第1,2のポンプ44,47の動作と、第1,2のバルブ45,48の動作とを制御する。具体的には、1サイクル中、第1,2の塗料保持タンク80,90から1つずつ順番に塗料が供給されるとともに、1サイクル中に第1の塗料保持タンク80からは16mlの塗料が混合タンク30に供給され、1サイクル中に第2の塗料保持タンク90からは4mlの塗料が混合タンク30に吐出されるように、第1,2のポンプ44,47の動作と、第1,2のバルブ45,48の動作とが制御される。
【0063】
さらに具体的には、まず、第1の塗料保持タンク80から塗料が16ml供給されるように、第1のバルブ45が開かれるとともに第1のポンプ44が駆動される。このとき、第2の供給系42(第2の塗料保持タンク90)から塗料が供給されないように、第2のバルブ48が閉じられるとともに第2のポンプ47は停止される。
【0064】
ついで、ステップST5で算出された吐出時間第1のバルブ45が開くと、第1のバルブ45が閉じられるとともに第1のポンプ44が停止される。このことによって、第1の供給系41(第1の塗料保持タンク80)から塗料が供給されなくなる。
【0065】
ついで、第2の塗料保持タンク90から4ml塗料を供給するべく、第2のバルブ48を開くとともに第2のポンプ47が駆動される。第2のバルブ48がステップST5で算出された吐出時間開くと、第2のバルブ48が閉じられるとともに第2のポンプ47が停止される。
【0066】
以上の動作が1サイクルとなる。なお、混合タンク30に塗料が供給される際には、混合タンク30から連結管60を通して外部に塗料が流出することがないように、混合タンク30のバルブ31が閉じられるとともにポンプ32の動作は停止される。
【0067】
上記説明された1サイクルの動作が10回(10サイクル)行われることによって、混合タンク30内には少量ずつ順番に塗料が供給されることになるので、塗料は、当該塗料を混ぜ合わせるためのミキサーなどを必要とすることなく、自然に充分に混合される。10サイクルにわたる塗料の供給が終了すると、ついで、ステップST7に進む。
【0068】
ステップST7では、10サイクルにわたる塗料の供給が終了すると、制御装置70は、第1,2のポンプ44,47の動作を停止するとともに、第1,2のバルブ45,48は、閉じられる。このため、第1,2の塗料保持タンク80,90から混合タンク30に塗料が供給されることはない。ついで、ステップST8に進む。
【0069】
ステップST8では、混合タンク30に供給されて混合された塗料がガン10のタンク11に充填される。具体的には、連結管60がガン10に連結されていることが確認されると、例えば混合タンク30のバルブ31が開放されるとともにポンプ32が動作されることによって、混合タンク30からガン10のタンク11に塗料が充填される。なお、この動作は、制御装置70によって行われてもよいし、または作業員によって行われてもよい。本実施形態では、一例として、制御装置70が行う。言い換えると、制御装置70によってバルブ31の動作とポンプ32の動作とが制御される。
【0070】
このとき、ガン10のタンク11に充填される塗料の量は、流量計50によって検出される。流量計50によって検出された塗料の量は、制御装置70に送信されている。ついで、ステップST9に進む。
【0071】
ステップST9では、混合タンク30内の塗料が全てガン10のタンク11に充填されると、塗料の充填作業が終了される。具体的には、制御装置70は、予めポンプ32の単位時間あたりの吐出量を取りマップなどのデータとして記憶し、ポンプ32が所定時間動作したら充填完了として、混合タンク30のバルブを閉じるとともに、混合タンク30から塗料を吐出するポンプの動作が停止する。ついで、ステップST10に進む。なお、ステップST9の動作は、制御装置70によって行われてもよいし、または、作業員によって行われてもよい。本実施形態では、一例として、制御装置70が行う。
【0072】
ステップST10では、制御装置70は、流量計50の検出結果より、ガン10のタンク11内に充填された塗料の量を確認する。ついで、ステップST11に進む。
【0073】
ステップST11では、制御装置70は、ガン10のタンク11に充填された塗料の量が許容範囲内であるか否かを判定する。許容量は、ステップST1で入力された塗料所要量に対して任意に設定可能であり、予め制御装置70に入力されている。制御装置70は、流量計50によって検出された量が許容範囲内であると判定すると、ステップST12に進む。
【0074】
ステップST12では、制御装置70の制御によってガン10が操作されて塗料がボデー100に塗布される。具体的には、ガン10が塗料を噴射する前に、連結管60がガン10から取り外される。このことによって、ガン10と塗料混合装置20との連結が解除される。ガン10は、内部印加型である。ガン10と塗料混合装置20との連結が解除されることによって、連結管60を通して塗料混合装置20に電流が流れることが抑制される。ついで、ステップST13に進む。
【0075】
なお、本実施形態では、一例として制御装置70がガン10の動作を制御しているが、例えば作業員などがガン10の動作を制御してもよい。
【0076】
ステップST13では、ボデー100への塗料の塗布が完了すると、制御装置70は、ガン10による塗装作業が終了する。ついで、ステップST14に進む。
【0077】
ステップST14では、ガン10が次に塗布する塗料の色が確認される。具体的には、作業員は、つぎにボデー100に塗布する塗料の色を確認する。
【0078】
ステップST14で、つぎに塗布動作で用いられる色が異なる色である場合は、ステップST15に進む。ステップST15では、塗料混合装置20の洗浄が行われる。具体的には、一例として作業員によって、混合タンク30からガン10までの流路とガン10のタンク11とが洗浄される。これは、次に塗布する予定の色に、前に用いた塗料の色が混じることを防止するためである。
【0079】
洗浄が完了すると、塗料混合装置20とガン10とによる塗布動作が終了する。ついで、異なる色の塗料を作成してボデー100に塗布する場合は、ステップST1に戻り、ステップST1から処理が行われる。
【0080】
ステップST11において、ガン10に充填された塗料の量が、許容範囲内ではない場合は、ステップST16に進む。ステップST16では、制御装置70は、第1,2の塗料保持タンク80,90から塗料を供給する動作に異常が生じたと判定する。ついで、ステップST17に進む。ステップST17では、例えば作業員によって、混合タンク30と連結管60とが洗浄される。ついで、ステップST18に進む。
【0081】
ステップST18では、制御装置70は、流量計50によって検出された塗料の量と、ガン10のタンク11に充填されるべき塗料の量との比較に基づいて、塗料の不足量を算出する。この不足量は、ガン10のタンク11にさらに充填することが望まれる量である。
【0082】
なお、ステップST18では、制御装置70は、実際に第1,2のバルブ45,48が開いた時間に対する、流量計50によって検出された塗料の量に基づいて、第1,2のバルブ45,48の開く時間と塗料の供給量についてのデータを更新する。
【0083】
この場合、流量計50によって検出される、ガン10のタンク11に充填されたと認識される塗料の混合比は、ステップST1で入力された混合比が保たれていると仮定されて、第1,2のバルブ45,48の開く時間と吐出量との相関関係のデータが更新される。つまり、供給された塗料中の白色塗料と黒色塗料の混合比は、4:1が保たれていると仮定されて算出される。この更新された相関関係のデータは、ステップST5で用いられる。ステップST5では、1サイクルでの吐出時間(第1,2のバルブ45,48の開く時間)が算出されるが、ここで用いられる、第1,2のバルブ45,48の開く時間に対する混合される塗料の量のデータ(例えばマップなど)は、ステップST18で更新されたものが用いられる。
【0084】
このように構成される塗料混合装置20では、第1の塗料保持タンク80が保持する塗料と第2の塗料保持タンク90が保持する塗料とを混合して所望の色の塗料を作成する場合、第1,2の塗料保持タンク80,90から順番に1つずつ塗料が供給される。1つずつ順番に塗料を供給されることによって、塗料が混ざりやすくなる。
【0085】
このように、複数の塗料を混合して所望の色の塗料を作成する場合に、複数の塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を混合タンクに供給するとともに、塗料を供給すべき塗料保持タンクが塗料を供給しているときに当該塗料保持タンク以外の塗料保持タンクから塗料が同時に供給されないようにすることによって、塗料が自然に充分混ぜ合わせられるようになるので、別途にスティックミキサーなどの塗料を混ぜ合わせる装置を必要としない。このため、塗料混合装置20の構成を簡素することができる。
【0086】
さらに、複数の塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を混合タンクに供給するとともに、塗料を供給すべき塗料保持タンクが塗料を供給しているときに当該塗料保持タンク以外の塗料保持タンクから塗料が同時に供給されないようにすることによって、各塗料保持タンクから混合タンク30に供給される塗料の量を調整する定量供給装置を必要としない。この点について具体的に説明する。
【0087】
複数の塗料保持タンクから混合タンク30へ塗料を供給する際に、1つずつ順番に供給することによって、塗料を供給している塗料保持タンクと混合タンク30とを連結する供給通路に対して、当該塗料の流れを妨げる方向の圧力(混合タンク30側から塗料保持タンク側に向かう圧力)が生じない。
【0088】
例えば、第1,2の塗料保持タンク80,90から混合タンク30に同時に塗料を供給する場合、第1の供給通路43には、第2のポンプ47による圧力が混合タンク30側から作用する。同様に、第2の供給通路46には、第1のポンプ44による圧力が混合タンク30側から作用する。
【0089】
この結果、第1,2のバルブ45,48が開いている時間と供給される塗料の量との相関関係が一定にならず、それゆえ、塗料を所望の量供給するためには定量供給装置が必要になる。
【0090】
しかしながら、本実施形態で説明されたように、第1の塗料保持タンク80から塗料が供給されているときには第2の塗料保持タンク90から塗料が供給されないようにし、かつ、第2の塗料保持タンク90から塗料が供給されているときには第1の塗料保持タンク80から塗料が供給されないようにすることによって、塗料を供給している塗料保持タンクに連結される供給通路に塗料の流れを妨げる圧力が作用することがない。
【0091】
このため、バルブが開いている時間と供給される塗料の量との相関関係が一定となり、それゆえ、バルブの開く時間を制御することによって、供給する塗料の量を調整することができるようになる。この結果、別途に定量供給装置などを必要としないので、塗料混合装置20の構成を簡素することができる。
【0092】
また、1サイクル中に塗布される塗料の量を求める混合塗料の品質(混合度合い)に合わせ、適正に設定することによって、1サイクル中に供給される複数種類の塗料が求める品質に混ぜ合わされるようになる。
【0093】
また、混合タンク30が用いられる構造であるので、塗料を効率よく混合することができる。また、混合タンク30の下流に流量計50が設けられる構造であるので、流量計の数を多くすることがない(本実施形態では、1つの流量計が用いられる)。このため、塗料混合装置20の構造を簡素にすることができる。
【0094】
なお、複数の塗料保持タンク(本実施形態では一例として第1,2の塗料保持タンク80,90)を備える構造であっても、いずれか1つの塗料保持タンクが保持する塗料のみを用いる場合にガン10のタンク11への塗料の充填量に異常が生じた場合は、流量計50は、どの塗料保持タンクからの供給に異常が生じたかを正確に判定することができる。
【0095】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る塗料混合装置を、図3,4を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態は、流量計の配置構造が第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について説明する。
【0096】
図3は、本実施形態の塗料塗布システム200を概略的に示す概略図である。図3に示すように、本実施形態では、流量計の配置構造が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、流量計50に代えて、第1の流量計51と、第2の流量計52とを備えている。
【0097】
第1の流量計51は、第1の供給通路43中に設けられている。第1の流量計51は、第1のバルブ45と混合タンク30との間に配置されており、第1の供給通路43を通過する塗料の量を検出する。第1の流量計51は、本発明で言う流量計の一例である。
【0098】
第2の流量計52は、第2の供給通路46中に設けられている。第2の流量計52は、第2のバルブ48と混合タンク30との間に配置されており、第2の供給通路46を通過する塗料の量を検出する。第2の流量計52は、本発明で言う流量計の一例である。
【0099】
第1,2の流量計51,52の検出結果は、制御装置70に送信される。なお、例えば5つや6つの供給通路を備える構造である場合では、これら複数の供給通路の各々に流量計が設けられるとともに、各流量計の検出結果が制御装置70に送信される。
【0100】
ついで、本実施形態の塗料塗布システム200の動作を説明する。図4は、本実施形態の塗料塗布システム200の動作を示すフローチャートである。なお、図2と同様の動作を示すステップは、図2と同様のステップ符号を付して説明を省略する。
【0101】
本実施形態では、ステップST6,7で第1,2の塗料保持タンク80,90から混合タンク30に塗料が供給される際に、第1,2の流量計51,52によって、第1,2の塗料保持タンク80,90の各々から供給される塗料の量(全てのサイクルで供給される塗料の合計量)が検出される。
【0102】
ステップST10では、制御装置70は、第1,2の流量計51,52によって検出された塗料の合計量がガン10のタンク11に充填された塗料の合計量であるとして、ガン10のタンク11に充填された量が許容値であるか否かを判定する。
【0103】
また、図4に示すように、本実施形態では、ステップST18に代えてステップST20が用いられ、ステップST17についでステップST20に進む。ステップST20では、制御装置70は、ステップST2で制御装置70に入力される塗料所要量と第1,2の流量計51,52によって検出された塗料の合計量とを比較して塗料の不足量を算出するとともに、第1,2の流量計51,52の各々の検出結果より、第1の塗料保持タンク80から供給される塗料の不足量と、第2の塗料保持タンク90から供給される塗料の不足量とを各々に算出する。
【0104】
また、制御装置70は、第1,2の塗料保持タンク80,90の保持する塗料の不足量に基づいて、第1,2のバルブ45,48の開く時間の調整を行う。具体的には、第1,2の流量計51,52の検出結果に基づいて得られる第1,2の塗料保持タンク80,90から供給された塗料の量と、第1,2のバルブ45,48が実際に開いた時間とに基づいて、第1,2のバルブ45,48の各々における開いた時間と塗料の供給量との相関関係を算出し、第1,2のバルブ45,48の開く時間と供給される塗料の量とデータ(例えばマップなど)が更新される。ついで、ステップST5に戻る。
【0105】
ステップST5では、制御装置70は、ステップST20で算出されて更新された、第1,2のバルブ45,48の開く時間と供給される塗料との相関関係のデータに基づいて、1サイクル中の第1,2のバルブ45,48の開く時間が算出される。以降の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0106】
本実施形態では、第1,2の流量計51,52が設けられることによって、第1,2の塗料保持タンク80,90から供給される塗料の量を、各々検出することができる。このため、第1の実施形態の効果に加えて、ガン10のタンク11に充填された塗料に不足が生じた場合に、不足量を補うべくさらに供給される塗料における混合比を求めることができるので、ガン10のタンク11に充填される塗料の混合比を所望の混合比に保つことができる。
【0107】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係る塗料混合装置を、図5,6を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態では、塗料混合装置20が混合タンク30を備えない点などが第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について、具体的に説明する。
【0108】
図5は、本実施形態の塗料塗布システム200を示す概略図である。図5に示すように、本実施形態の塗料混合装置20は、混合タンク30を備えていない。このため、バルブ31とポンプ32とも設けられていない。
【0109】
連結管60は、第1,2の供給通路43,46の合流部250に連結されている。このため、流量計50は、第1,2の供給通路43,46の合流部250よりも下流に配置される。連結管60は、本発明で言う連結部の一例である。
【0110】
なお、例えば5つや6つの供給通路が用いられる構造である場合では、これら複数の供給通路の合流部の下流に流量計50が設けられる。本実施形態では、塗料の混合は、ガン10のタンク11で行われる。本実施形態では、ガン10が本発明で言う被接続装置の一例となる。
【0111】
本実施形態の塗料塗布システム200の動作を説明する。図6は、本実施形態の塗料塗布システム200の動作を示すフローチャートである。図6において、第1の実施形態の図2で説明されたフローチャートと同様の動作を示すステップは、同一の符号を付して説明を省略する。
【0112】
本実施形態は混合タンク30を備える構造ではなく、ガン10のタンク11で塗料が混合される。このため、本実施形態では、図6に示すように、ステップST8,ST9が省略されて、塗料はタンク11に直接供給される。
【0113】
本実施形態では、混合タンク30が用いられないので、第1の実施形態の効果に加えて、より一層、塗料混合装置20の構成を簡素にすることができる。
【0114】
つぎに、本発明の第4の実施形態に係る塗料混合装置を、図7,8を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態では、塗料混合装置20が混合タンク30を備えない点などが第2の実施形態と異なる。他の構造は、第2の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について具体的に説明する。
【0115】
図7は、本実施形態の塗料塗布システム200を示す概略図である。図7に示すように、本実施形態の塗料混合装置20は、混合タンク30を備えておらず、ガン10のタンク11で塗料が混合される。このため、バルブ31とポンプ32とも備えられていない。本実施形態では、ガン10が本発明で言う被接続装置の一例である。
【0116】
つぎに、本実施形態の塗料塗布システム200の動作を説明する。図8は、塗料塗布システム200の動作を示すフローチャートである。図8において図4と同様の動作を示すステップは、同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態では、ガン10のタンク11で塗料の混合が行われる。このため、図8に示すように、本実施形態では、第2の実施形態の図4で説明された動作に対して、ステップST8,9が省略されて、塗料がタンク11に直接供給される。
【0117】
本実施形態では、混合タンク30が用いられないので、第2の実施形態の効果に加えて、より一層、塗料混合装置20の構成を簡素にすることができる。
【0118】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0119】
10…ガン(被接続装置)、20…塗料混合装置、30…混合タンク、43…第1の供給通路(供給通路)、44…第1のポンプ(ポンプ)、45…第1のバルブ(バルブ)、46…第2の供給通路(供給通路)、47…第2のポンプ(ポンプ)、48…第2のバルブ(バルブ)、50…流量計、51…第1の流量計(流量計)、52…第2の流量計(流量計)、60…連結管(連結部)、70…制御装置(制御部)、80…第1の塗料保持タンク(塗料保持タンク)、90…第2の塗料保持タンク(塗料保持タンク)、250…合流部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々異なる色の塗料を保持する複数の塗料保持タンクと、
前記各塗料保持タンクから塗料が供給される被接続装置と、
前記各塗料保持タンクと前記被接続装置とを連通し、前記各塗料保持タンクから前記被接続装置に塗料を導く供給通路と、
前記各供給通路に設けられて、前記各塗料保持タンクから前記被接続装置に塗料を送り込むポンプと、
前記各供給通路に設けられて当該供給通路を開閉するバルブと、
前記被接続装置に供給された塗料の量を検出する流量計と、
前記ポンプの動作と前記バルブの動作とを制御する制御部と
を具備し、
前記制御部は、複数の前記塗料保持タンクから供給される互いに異なる塗料を前記被接続装置内で混合する場合、用いられる複数の前記塗料保持タンクと前記被接続装置とを結ぶ前記供給通路に設けられる前記ポンプと前記バルブとの動作を制御して、複数の前記塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を前記被接続装置に供給する
ことを特徴とする塗料混合装置。
【請求項2】
前記被接続装置は、混合タンクである
ことを特徴とする請求項1に記載の塗料混合装置。
【請求項3】
前記流量計は、前記各混合通路に設けられる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗料混合装置。
【請求項4】
前記流量計は、前記混合タンクの下流に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の塗料混合装置。
【請求項1】
各々異なる色の塗料を保持する複数の塗料保持タンクと、
前記各塗料保持タンクから塗料が供給される被接続装置と、
前記各塗料保持タンクと前記被接続装置とを連通し、前記各塗料保持タンクから前記被接続装置に塗料を導く供給通路と、
前記各供給通路に設けられて、前記各塗料保持タンクから前記被接続装置に塗料を送り込むポンプと、
前記各供給通路に設けられて当該供給通路を開閉するバルブと、
前記被接続装置に供給された塗料の量を検出する流量計と、
前記ポンプの動作と前記バルブの動作とを制御する制御部と
を具備し、
前記制御部は、複数の前記塗料保持タンクから供給される互いに異なる塗料を前記被接続装置内で混合する場合、用いられる複数の前記塗料保持タンクと前記被接続装置とを結ぶ前記供給通路に設けられる前記ポンプと前記バルブとの動作を制御して、複数の前記塗料保持タンクから1つずつ順番に塗料を前記被接続装置に供給する
ことを特徴とする塗料混合装置。
【請求項2】
前記被接続装置は、混合タンクである
ことを特徴とする請求項1に記載の塗料混合装置。
【請求項3】
前記流量計は、前記各混合通路に設けられる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗料混合装置。
【請求項4】
前記流量計は、前記混合タンクの下流に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の塗料混合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−213120(P2011−213120A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135409(P2011−135409)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【分割の表示】特願2009−66762(P2009−66762)の分割
【原出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【分割の表示】特願2009−66762(P2009−66762)の分割
【原出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
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