説明

塗料組成物、それを用いた塗装方法、および凹凸模様を有する塗装品

【課題】光沢の落ち着いた高級感のある表面外観(いわゆる「レザートン」)を有する塗膜を1回の塗装で形成することができる塗料組成物を提供すること。
【解決手段】塗膜形成用樹脂と粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子とを含有することを特徴とする塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物、それを用いた塗装方法、および塗装品に関し、より詳しくは、凹凸模様を有する塗膜を形成するための塗料組成物および塗装方法、ならびに表面に凹凸模様を有する塗装品に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ本体などの塗装品の外観を光沢の落ち着いた高級感の漂うものにするために、従来から、塗装品の表面に凹凸模様を付与する塗装、いわゆるレザートン塗装が施されている。従来の塗装方法は、平滑表面を形成する工程とその平滑表面に凹凸模様を形成する工程との2工程を必要とし、さらに凹凸模様を形成する際に塗料の吹付量やエアー吹付圧力、塗料粘度などの調節が必要であるために作業者の熟練度が求められ、安定性や再現性に欠けることが多かった。
【0003】
特開昭57−10372号公報(特許文献1)には、平滑表面に所望の凹凸模様を施した母型を使用して成形型を作製し、この成形型を用いて表面に凹凸模様を有する樹脂成形品を製造する方法が開示されている。さらに、特開2001−224987号公報(特許文献2)には、双頭スプレーガンでの一方のスプレーガン本体のみでベース塗材の塗膜を形成し、直後に他方のスプレーガン本体のみで前記ベース塗膜上に粒状固体材を付着させる模様塗装方法が開示されている。しかしながら、これらの方法はいずれも2工程を必要とするものであった。
【0004】
一方、塗膜形成用樹脂と粒子とを含む塗料組成物としてつや消し塗料が知られている。つや消し効果を得るための粒子として、特開平5−105825号公報(特許文献3)には粒径が5〜50μmのガラス粉末、特開平8−1086号公報(特許文献4)には平均粒径が3μm以下のシリカ系つや消し微粒子、特開2003−64320号公報(特許文献5)にはアスペクト比が10〜300、平均粒子径が3μm以下の無機板状粒子、特開2003−291255号公報(特許文献6)には平均粒径d50が10〜50μmの真球状樹脂微粒子、特開2005−82779号公報(特許文献7)には平均粒子径0.1〜300μmのセルロース粉末、特開2005−225929号公報(特許文献8)には平均粒子径が2〜20μm、50μmふるい上残量が3質量%以下の珪藻土が開示されている。また、特許文献4には、塗膜表面にしぼ模様を形成するための粒子として、平均粒子径が10〜80μmのポリアミド樹脂粒子および平均粒子径が10〜80μmのポリアクリロニトリル樹脂粒子が開示されている。
【特許文献1】特開昭57−10372号公報
【特許文献2】特開2001−224987号公報
【特許文献3】特開平5−105825号公報
【特許文献4】特開平8−1086号公報
【特許文献5】特開2003−64320号公報
【特許文献6】特開2003−291255号公報
【特許文献7】特開2005−82779号公報
【特許文献8】特開2005−225929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光沢の落ち着いた高級感のある表面外観(いわゆる「レザートン」)を有する塗装品を得るために、1回の塗装で凹凸模様を有する塗膜を基材上に形成することができる塗料組成物、それを用いた塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の大きさの粒子または塗膜形成時に特定の大きさとなる粒子を含有する塗料組成物を用いることにより1回の塗装で基材上に凹凸模様を有する塗膜を形成することができ、光沢の落ち着いた高級感のある表面外観が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の塗料組成物は、塗膜形成用樹脂と、粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子とを含有することを特徴とするものである。前記粒子としては、熱可塑性樹脂からなる粒子および樹脂を内包するカプセル状粒子が好ましい。前記カプセル状粒子としては、その被膜の溶融温度が100℃以下であり、前記カプセル状粒子に内包された樹脂が、紫外線硬化性樹脂または前記溶融温度以上で硬化する熱硬化性樹脂である、ものが好ましい。
【0008】
また、本発明の他の塗料組成物は、塗膜形成用樹脂と、炭化水素ガスを内包し、前記炭化水素ガスの熱膨張により粒径が増大し且つ熱膨張後の粒度分布における最大粒径が1mm以上となるカプセル状粒子と、を含有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の塗料組成物において、前記塗膜形成用樹脂100質量部に対する前記粒子の含有量は1〜20質量部であることが好ましい。
【0010】
本発明の塗装方法は、基材上に本発明の塗料組成物を1回塗装して前記基材の表面に凹凸模様を有する塗膜を形成することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の塗装方法は、基材上に、前記塗膜形成用樹脂と前記樹脂を内包するカプセル状粒子とを含有する塗料組成物を1回塗装する工程と、塗装された前記塗料組成物を、前記カプセル状粒子の被膜の溶融温度以上の温度で加熱して乾燥および/または硬化させ、且つ前記被膜を溶融して前記カプセル状粒子に内包された樹脂を前記カプセル状粒子から流出させる工程と、流出した樹脂に紫外線照射または加熱処理を施して前記樹脂を硬化させることにより塗膜表面に凸部を形成して前記基材表面に凹凸模様を有する塗膜を形成する工程と、を含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明の塗装方法は、基材上に、前記塗膜形成用樹脂と、前記炭化水素ガスを内包するカプセル状粒子とを含有する塗料組成物を1回塗装する工程と、塗装された前記塗料組成物に加熱処理を施して乾燥および/または硬化させ、且つ炭化水素ガスを内包する前記カプセル状粒子を熱膨張させて前記基材表面に凹凸模様を有する塗膜を形成する工程と、を含むことが好ましい。
【0013】
本発明の塗装品は、基材、および前記基材上に形成され、塗膜形成用樹脂またはその硬化物と粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子とを含有する塗膜を備え、凹凸模様を有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の塗装品は、基材と、前記基材上に本発明の塗装方法により形成された塗膜とを備え、凹凸模様を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1回の塗装により凹凸模様を有する塗膜を再現性よく安定して基材上に形成することができ、光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を有する塗装品を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0017】
本発明の塗料組成物は、塗膜形成用樹脂と、粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子とを含有することを特徴とするものである。前記最大粒径が1mm以上の粒子としては、塗膜形成後も粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子として塗膜中に残存するもの(以下、この粒子を含む塗料組成物を「第一の塗料組成物」という。)や、樹脂を内包し且つ熱処理により被膜が溶融するカプセル状粒子(以下、このカプセル状粒子を含む塗料組成物を「第二の塗料組成物」という。)などが挙げられる。また、本発明では、前記最大粒径が1mm以上の粒子の代わりに、炭化水素ガスを内包し、この炭化水素ガスの熱膨張により粒径が増大し且つ熱膨張後の粒度分布における最大粒径が1mm以上となるカプセル状粒子を用いることもできる(以下、このカプセル状粒子を含む塗料組成物を「第三の塗料組成物」という。)。
【0018】
先ず、本発明の第一の塗料組成物について説明する。前記第一の塗料組成物は、塗膜形成用樹脂と、粒度分布における最大粒径が1mm以上であり且つ塗膜形成後も粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子として塗膜中に残存する粒子とを含有するものである。
【0019】
前記塗膜形成用樹脂としては、通常の塗料に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、およびビニル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。これらの樹脂のうち、塗膜物性の観点からウレタン樹脂およびアクリルウレタン樹脂が好ましい。
【0020】
本発明の第一の塗料組成物に含まれる粒子は粒度分布における最大粒径が1mm以上のものである。最大粒径が前記下限未満になると、塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない。一方、塗膜からの粒子の脱離を防止するという観点から前記最大粒径の上限は2mmであることが好ましい。
【0021】
また、光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を有する塗膜を得るためには、前記粒子が、塗膜形成後も粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子として塗膜中に残存する必要がある。本発明では、このような粒子として塗膜形成時の乾燥処理や加熱処理によって粒子の形状や大きさがほとんど変化しないものを使用する。
【0022】
前記粒子の平均粒径は50〜1000μmであることが好ましく、100〜500μmであることがより好ましい。平均粒径が上記下限未満になると塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると塗膜から粒子が脱離する傾向にある。また、前記粒子のアスペクト比は特に限定されないが、光沢の落ち着いたより高級感のある表面外観を有する塗膜が得られる点で1.1以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。また、得られる塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すように塗膜表面に確実に凹凸模様を形成するためには、前記アスペクト比は10以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。
【0023】
本発明の第一の塗料組成物に含まれる粒子の構造は特に制限されず、例えば、内部に空隙を有さない構造、多孔質構造、および中空構造(以下、これらの構造を有する粒子をそれぞれ「中実粒子」、「多孔質粒子」、および「中空粒子」という。)など公知の粒子構造が挙げられる。前記中実粒子としては単一相からなる粒子や、コア/シェル構造の粒子などが挙げられる。
【0024】
前記単一相からなる粒子としては、例えば、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、ポリエチレン、およびスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂からなる粒子、およびウレタン系樹脂およびエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなる粒子が挙げられる。前記コア/シェル構造の粒子としては、例えば、アクリル系樹脂またはポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂からなる芯部とウレタン系樹脂またはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなる殻部とを備えるもの(樹脂を内包するカプセル状粒子)が挙げられる。前記多孔質粒子としては、例えば、多孔質シリカ粒子、アルミナ粒子、およびリン酸カルシウム系セラミックス粒子などの多孔質無機粒子が挙げられる。前記中空粒子としては、例えば、空気を内包し、ウレタン系樹脂またはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなる殻部を備えるものが挙げられる。
【0025】
これらの粒子のうち、塗料組成物中に均一に分散でき、凹凸模様を再現性よく形成できる点で熱可塑性樹脂からなる中実粒子が好ましく、アクリル系樹脂からなる中実粒子がより好ましい。
【0026】
本発明の第一の塗料組成物において、前記粒子の含有量は、前記塗膜形成用樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、5〜10質量部であることがより好ましい。前記粒子の含有量が上記下限未満になると、塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると塗膜から粒子が脱離する傾向にある。
【0027】
また、本発明の第一の塗料組成物の形態は粉体型、エマルション型、または溶剤型などいずれのものでもよい。エマルション型または溶剤型の場合に用いる溶媒としては、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、キシレン類、およびトルエン類などの公知の塗料用溶媒が挙げられる。また、前記第一の塗料組成物には、硬化触媒、分散剤、レベリング剤、可塑剤、沈殿防止剤などの公知の各種塗料用添加剤が含まれていてもよい。
【0028】
次に、図面を参照しながら、この第一の塗料組成物を用いた本発明の塗装方法の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は前記図面に限定されるものではない。なお、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0029】
本発明の第一の塗料組成物を用いた塗装方法(以下、「第一の塗装方法」という。)は、基材上に前記第一の塗料組成物を1回塗装し、次いで乾燥および/または加熱することにより前記基材の表面に凹凸模様を有する塗膜を形成するものである。前記第一の塗料組成物に含まれる粒子は塗膜形成時の乾燥処理や加熱処理によって粒子の形状や大きさがほとんど変化しないものであるから、この方法により、図1に示すように、基材11、およびこの基材11上に形成され、前記塗膜形成用樹脂またはその硬化物12と前記最大粒径が1mm以上の粒子13とを含む塗膜14を備える塗装品が得られる。前記塗膜14の平均膜厚は10〜50μmであることが好ましく、20〜30μmであることがより好ましい。前記平均膜厚が上記下限未満になると塗膜から前記粒子が脱離する傾向にあり、他方、上記上限を超えると前記粒子が塗膜中に埋没し、塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない傾向にある。
【0030】
また、前記第一の塗料組成物には前記最大粒径が1mm以上の粒子が含まれ、この粒子により塗膜に容易に凸部が形成されるため、前記第一の塗料組成物を基材上に1回塗装するだけで凹凸模様を有する塗膜を形成することができる。これにより、塗装コストが削減できるとともに、安定して凹凸模様を形成することができる。さらに、前記最大粒径が1mm以上の粒子が均一に分散している第一の塗料組成物を使用すると、再現性よく凹凸模様を形成することができる。
【0031】
前記基材としては特に制限されず、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ナイロン、ビニル樹脂、およびセルロースなどからなる基材が挙げられる。
【0032】
具体的な塗装手段としては、吹付け塗装、刷毛塗り、ローラー塗り、静電塗装、ロールコーティング、電着塗装、焼付け塗装、浸漬後引き上げ法、およびフローコーティングなどの公知の塗装手段が挙げられる。
【0033】
前記第一の塗装方法における乾燥条件および加熱条件は、使用する塗膜形成用樹脂、粒子、溶媒、基材などの種類に応じて適宜設定することができる。
【0034】
次に、本発明の第二の塗料組成物について説明する。前記第二の塗料組成物は、塗膜形成用樹脂と、粒度分布における最大粒径が1mm以上であって、樹脂を内包し且つ熱処理により被膜が溶融するカプセル状粒子とを含有するものである。
【0035】
前記第二の塗料組成物に含まれる粒子は粒度分布における最大粒径が1mm以上である。最大粒径が前記下限未満になると被膜が溶融して内包されていた樹脂が流出、硬化しても十分な大きさの凸部が塗膜表面に形成されず、光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を有する塗膜を得ることができない。一方、前記最大粒径の上限は特に限定されないが、2mmであることが好ましい。
【0036】
前記第二の塗料組成物に含まれる粒子は、樹脂を内包し且つ熱処理により被膜が溶融するカプセル状粒子(以下、「溶融型カプセル状粒子」という。)である。前記被膜の溶融温度は100℃以下であることが好ましい。このような被膜に用いられる材料としては寒天およびゼラチンなどが挙げられる。
【0037】
また、溶融型カプセル状粒子に内包される前記樹脂は、前記被膜が溶融して前記カプセル状粒子から流出した後、硬化するものであれば特に制限されないが、例えば、紫外線硬化性樹脂、および前記被膜の溶融温度以上の温度で熱硬化する熱硬化性樹脂などが好ましい。前記紫外線硬化性樹脂としては、アクリル樹脂系やエポキシ樹脂系のものなどが挙げられる。前記熱硬化性樹脂としてはウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、およびエポキシ樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂を使用する場合、塗膜形成用樹脂から形成される層と内包された樹脂から形成される凸部とが一体化した塗膜が得られる点で塗膜形成用樹脂と同種の樹脂を内包することが好ましい。
【0038】
前記溶融型カプセル状粒子は、滴下法などの公知の方法により製造することができる。例えば、液中などに、前記内包される樹脂を2重ノズルの内側から、寒天などの被膜材料を外側から流出させる。このとき、通常、樹脂と被膜材料とを同一且つ一定の流出速度で流出させることが好ましい。その後、この2重構造の流出物に振動などを与えて適当な大きさに切断することにより樹脂が内包されたシームレスカプセル粒子が得られる。このシームレスカプセル粒子の粒径は前記流出物の切断間隔を調整したり、2重ノズルの径を変更することにより調整することができる。
【0039】
前記溶融型カプセル状粒子の平均粒径は800〜1500μmであることが好ましく、900〜1000μmであることがより好ましい。平均粒径が上記下限未満になると塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると塗膜表面の凸部が大きくなりすぎ、レザートン模様を呈さない傾向にある。
【0040】
本発明の第二の塗料組成物に含まれる塗膜形成用樹脂としては、前記溶融型カプセル状粒子の被膜を溶融させる前または溶融させる時に、乾燥および/または硬化するものであれば特に限定されない。この条件を満たすものであれば、前記第一の塗料組成物において例示したものと同様のものを使用することができる。
【0041】
本発明の第二の塗料組成物において、前記溶融型カプセル状粒子の含有量は、前記塗膜形成用樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。前記溶融型カプセル状粒子の含有量が上記下限未満になると塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると塗膜表面の凸部が多くなりすぎ、適度な凹凸模様が得られない傾向にある。
【0042】
また、本発明の第二の塗料組成物の形態は粉体型、エマルション型、または溶剤型などいずれのものでもよい。エマルション型または溶剤型の場合に用いる溶媒としては、前記第一の塗料組成物において例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記第一の塗料組成物と同様、本発明の第二の塗料組成物にも公知の各種塗料用添加剤が含まれていてもよい。
【0043】
次に、図面を参照しながら、この第二の塗料組成物を用いた本発明の塗装方法の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は前記図面に限定されるものではない。なお、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
本発明の第二の塗料組成物を用いた塗装方法(以下、「第二の塗装方法」という。)は、基材上に前記第二の塗料組成物を1回塗装し、次いで加熱処理、および必要に応じて紫外線照射を施すことにより前記基材の表面に凹凸模様を有する塗膜を形成するものである。
【0045】
前記塗装により、図2Aに示すように、基材21上に、塗膜形成用樹脂22と前記溶融型カプセル状粒子23とを含む塗膜24が形成される。具体的な塗装手段としては、第一の塗装方法において例示したものと同様のものが挙げられる。前記基材としては、第一の塗装方法において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0046】
その後、加熱処理を施して前記塗膜24を乾燥および/または硬化させる。前記加熱処理の条件は、使用する塗膜形成用樹脂、溶融型カプセル状粒子、溶媒、基材などの種類に応じて適宜設定することができるが、前記溶融型カプセル状粒子の被膜の溶融温度以上の温度で加熱することが好ましい。これにより前記溶融型カプセル状粒子23の被膜23aが溶融し、前記溶融型カプセル状粒子23に内包された樹脂23bが前記溶融型カプセル状粒子23から流出する。
【0047】
次いで、流出した樹脂に紫外線照射または加熱処理を施して前記樹脂を硬化させることにより、図2Bに示すように、塗膜形成用樹脂またはその硬化物25からなる膜の表面に前記樹脂の硬化物26からなる凸部が形成される。これにより、基材21と、この基材21上に形成され、前記塗膜形成用樹脂またはその硬化物25および前記溶融型カプセル状粒子に内包されていた樹脂の硬化物26からなる凸部とを含む塗膜27とを備える塗装品が得られる。前記紫外線照射および加熱処理の条件は、使用する紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。
【0048】
このようにして形成された塗膜27の平均膜厚は10〜50μmであることが好ましく、20〜30μmであることがより好ましい。前記平均膜厚が上記下限未満になると塗装時に前記溶融型カプセル状粒子が脱離する傾向にあり、他方、上記上限を超えると塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない傾向にある。
【0049】
また、前記第二の塗料組成物には前記最大粒径が1mm以上の溶融型カプセル状粒子が含まれ、この粒子により塗膜に容易に凸部が形成されるため、前記第二の塗料組成物を基材上に1回塗装し、加熱処理、および必要に応じて紫外線照射を施すだけで凹凸模様を有する塗膜を形成することができる。これにより、塗装コストが削減できるとともに、安定して凹凸模様を形成することができる。さらに、前記最大粒径が1mm以上の溶融型カプセル状粒子が均一に分散している第二の塗料組成物を使用すると、再現性よく凹凸模様を形成することができる。
【0050】
次に、本発明の第三の塗料組成物について説明する。前記第三の塗料組成物は、塗膜形成用樹脂と、炭化水素ガスを内包し、この炭化水素ガスの熱膨張により粒径が増大するカプセル状粒子(以下、「熱膨張型カプセル状粒子」という。)とを含有するものである。本発明の第三の塗料組成物において、前記熱膨張型カプセル状粒子の熱膨張後の粒度分布における最大粒径は1mm以上である。この最大粒径が前記下限未満になると、塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない。一方、塗膜からの粒子の脱離を防止するという観点から前記最大粒径の上限は2mmであることが好ましい。
【0051】
前記熱膨張型カプセル状粒子は内包する炭化水素ガスの熱膨張により粒径が増大、すなわち、体積が増大するため、被膜が熱可塑性樹脂からなるものであることが好ましい。
【0052】
前記熱膨張型カプセル状粒子に内包される炭化水素ガスは、加熱により膨張するものであれば特に制限されないが、熱膨張率が20〜70倍であるものが好ましい。このような炭化水素ガスとしては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、およびn−オクタンなどが挙げられる。
【0053】
前記熱膨張型カプセル状粒子の熱膨張前の粒径は特に限定されないが、塗装のしやすさという観点から、熱膨張前の平均粒径は5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
【0054】
本発明では、このような熱膨張型カプセル状粒子として、大日精化工業(株)製マイクロカプセルM430などの市販品を使用することができる。
【0055】
本発明の第三の塗料組成物に含まれる塗膜形成用樹脂としては、前記熱膨張型カプセル状粒子を熱膨張させる際に乾燥および/または硬化するものであれば特に限定されない。この条件を満たすものであれば、前記第一の塗料組成物において例示したものと同様のものを使用することができる。
【0056】
本発明の第三の塗料組成物において、前記熱膨張型カプセル状粒子の含有量は、前記塗膜形成用樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、5〜10質量部であることがより好ましい。前記熱膨張型カプセル状粒子の含有量が上記下限未満になると塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると塗膜表面の凸部が多くなりすぎ、適度な凹凸模様が得られない傾向にある。
【0057】
また、本発明の第三の塗料組成物の形態は粉体型、エマルション型、または溶剤型などいずれのものでもよい。エマルション型または溶剤型の場合に用いる溶媒としては、前記第一の塗料組成物において例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記第一の塗料組成物と同様、本発明の第三の塗料組成物にも公知の各種塗料用添加剤が含まれていてもよい。
【0058】
次に、図面を参照しながら、この第三の塗料組成物を用いた本発明の塗装方法の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は前記図面に限定されるものではない。なお、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
本発明の第三の塗料組成物を用いた塗装方法(以下、「第三の塗装方法」という。)は、基材上に前記第三の塗料組成物を1回塗装し、次いで加熱処理を施すことにより前記基材の表面に凹凸模様を有する塗膜を形成するものである。
【0060】
前記塗装により、図3Aに示すように、基材31上に、塗膜形成用樹脂32と前記熱膨張型カプセル状粒子33とを含む塗膜34が形成される。具体的な塗装手段としては、第一の塗装方法において例示したものと同様のものが挙げられる。前記基材としては、第一の塗装方法において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0061】
その後、加熱処理を施して前記塗膜34を乾燥および/または硬化させる。前記加熱処理の条件は、使用する塗膜形成用樹脂、熱膨張型カプセル状粒子、溶媒、基材などの種類に応じて適宜設定することができるが、前記熱膨張型カプセル状粒子に内包された炭化水素ガスの熱膨張温度以上の温度で加熱することが好ましい。これにより、前記熱膨張型カプセル状粒子33に内包された炭化水素ガス33bが熱膨張する。その結果、前記熱膨張型カプセル状粒子33の粒径が増大し、図3Bに示すように、粒度分布における最大粒径が1mm以上の熱膨張したカプセル状粒子36が塗膜37中に形成され、前記塗膜37の表面に凹凸模様が形成される。これにより、基材31と、この基材31上に形成され、前記塗膜形成用樹脂またはその硬化物35、および前記熱膨張したカプセル状粒子36を含む塗膜37とを備える塗装品が得られる。
【0062】
このようにして形成された塗膜37の平均膜厚は10〜50μmであることが好ましく、20〜30μmであることがより好ましい。前記平均膜厚が上記下限未満になると塗膜から前記熱膨張したカプセル状粒子が脱離する傾向にあり、他方、上記上限を超えると前記熱膨張したカプセル状粒子が塗膜中に埋没し、塗膜が光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を示すほどの十分な凹凸模様が塗膜表面に形成されない傾向にある。
【0063】
また、前記第三の塗料組成物には熱膨張により粒度分布における最大粒径が1mm以上となる熱膨張型カプセル状粒子が含まれ、この粒子により塗膜に容易に凸部が形成されるため、前記第三の塗料組成物を基材上に1回塗装し、加熱処理を施すだけで凹凸模様を有する塗膜を形成することができる。これにより、塗装コストが削減できるとともに、安定して凹凸模様を形成することができる。さらに、前記熱膨張型カプセル状粒子が均一に分散している第三の塗料組成物を使用すると、再現性よく凹凸模様を形成することができる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、粒子の粒度分布は以下の方法により測定した。
【0065】
(粒度分布測定)
粒度分布測定装置((株)島津製作所製、型番「SALD2200」)を使用して測定した。
【0066】
(実施例1)
樹脂固形分濃度35質量%のアクリルウレタン樹脂塗料(大橋化学工業(株)製、商品名「ポリナール#800」、硬化温度:100℃)100質量部に最大粒径2mmのアクリル樹脂粒子(E1)10質量部を添加して混合し、塗料組成物(E1)を調製した。
【0067】
ポリカーボネート射出成型品の表面に前記塗料組成物(E1)を加熱処理後の塗膜の平均膜厚が30μmとなるように1回吹付け塗装した後、オーブンを用いて100℃で加熱して硬化させ、凹凸模様を有する塗膜を形成した。
【0068】
得られた塗膜の表面を目視観察したところ、ランダムな凹凸模様が認められ、表面がレザートンの塗装品が得られた。
【0069】
(比較例1)
前記アクリル樹脂粒子(E1)の代わりに最大粒径0.1mmのアクリル樹脂粒子(C1)(東洋紡績(株)製、商品名「タフチックAR650」、平均粒径100μm、アスペクト比1)10質量部を使用した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート射出成型品の表面に塗膜を形成した。得られた塗膜の表面を目視観察したところ、わずかな凹凸模様が認められ、つや消し状態ではあったが、実用上好ましいレザートンは認められなかった。
【0070】
(実施例2)
主剤として紫外線硬化型アクリル樹脂と溶媒としてエポキシアクリレートとを含む紫外線硬化性樹脂組成物(25℃における粘度:4000〜6000mPa・s)100質量部に希釈剤を1〜2質量部の範囲で添加して紫外線硬化性樹脂組成物の粘度(25℃)を2000〜3000mPa・sに調整した。
【0071】
滴下法用カプセル製造装置のカプセル内溶液用タンクに前記紫外線硬化性樹脂組成物を仕込み、カプセル被膜液用タンクに寒天(溶融温度:85℃)を仕込んだ。前記カプセル製造装置の2重ノズルの内側から前記紫外線硬化性樹脂組成物を、外側から寒天を、一定速度で流出させ、この2層の液に両側から振動を与えて切断して、前記紫外線硬化性樹脂組成物を内包し、100〜5000μmの粒径分布を有するシームレスカプセル粒子(E2)(平均粒径1000μm)を作製した。
【0072】
樹脂固形分濃度35質量%のアクリルウレタン樹脂塗料(大橋化学工業(株)製、商品名「ポリナール#800」、硬化温度:100℃)100質量部に前記シームレスカプセル粒子(E2)を5質量部添加して混合し、塗料組成物(E2)を調製した。
【0073】
ポリカーボネート射出成型品の表面に前記塗料組成物(E2)を加熱処理後の塗膜の平均膜厚が30μmとなるように1回吹付け塗装した後、オーブンを用いて100℃で加熱した。このとき、塗膜形成用樹脂である前記アクリルウレタン樹脂が硬化すると同時に前記シームレスカプセル粒子(E2)の被膜が溶融して内包された前記紫外線硬化性樹脂組成物が流出した。これにより前記アクリルウレタン樹脂の硬化膜上に前記紫外線硬化性樹脂組成物の液滴が形成された。その後すぐに紫外線を照射して前記液滴を硬化させて凹凸模様を有する塗膜を形成した。
【0074】
得られた塗膜の表面を目視観察したところ、ランダムな凹凸模様が認められ、表面がレザートンの塗装品が得られた。
【0075】
(実施例3)
主剤としてアクリルウレタン樹脂(大橋化学工業(株)製、商品名「ポリナール#800」、硬化温度:100℃)を使用した以外は実施例2と同様にして熱硬化性樹脂組成物を調製し、次いで、この熱硬化性樹脂組成物を内包し、100〜5000μmの粒径分布を有するシームレスカプセル粒子(E3)(平均粒径1000μm)を作製した。
【0076】
次に、前記シームレスカプセル粒子(E2)の代わりにこのシームレスカプセル粒子(E3)を5質量部使用した以外は実施例2と同様にして塗料組成物(E3)を調製した。
【0077】
ポリカーボネート射出成型品の表面に前記塗料組成物(E3)を加熱処理後の塗膜の平均膜厚が30μmとなるように1回吹付け塗装した後、オーブンを用いて100℃で加熱した。これにより、塗膜形成用樹脂である前記アクリルウレタン樹脂が硬化すると同時に前記シームレスカプセル粒子(E3)の被膜が溶融して内包された前記紫外線硬化性樹脂組成物が流出し、さらに流出した熱硬化性樹脂組成物も同時に硬化して凹凸模様を有する塗膜が形成された。
【0078】
得られた塗膜の表面を目視観察したところ、ランダムな凹凸模様が認められ、表面がレザートンの塗装品が得られた。
【0079】
(比較例2)
前記カプセル製造装置の2重ノズルを変更した以外は実施例2と同様にして100〜900μmの粒径分布を有するシームレスカプセル粒子(C2)(平均粒径300μm)を作製した。前記シームレスカプセル粒子(E2)の代わりにこのシームレスカプセル粒子(C2)を5質量部使用した以外は実施例2と同様にしてポリカーボネート射出成型品の表面に塗膜を形成した。得られた塗膜の表面を目視観察したところ、わずかな凹凸模様が認められ、つや消し状態ではあったが、レザートンは認められなかった。
【0080】
(実施例4)
樹脂固形分濃度35質量%のアクリルウレタン樹脂塗料(大橋化学工業(株)製、商品名「ポリナール#800」、硬化温度:100℃)100質量部に、炭化水素ガスを内包し、被膜が熱可塑性樹脂からなる粒径約15μmのカプセル状粒子(E4)(大日精化工業(株)製、商品名「マイクロカプセルM430」)10質量部を添加して混合し、塗料組成物(E4)を調製した。前記カプセル状粒子(E4)は熱膨張により内部の炭化水素ガスが膨張して粒径が増大し、600〜1100μmの粒径分布を有する中空球状粒子となるものである。
【0081】
ポリカーボネート射出成型品の表面に前記塗料組成物(E4)を加熱処理後の塗膜の平均膜厚が30μmとなるように1回吹付け塗装した後、オーブンを用いて100℃で加熱した。このとき、塗膜形成用樹脂である前記アクリルウレタン樹脂が硬化すると同時に前記カプセル状粒子(E4)の被膜が軟化し且つ前記炭化水素ガスが熱膨張して前記カプセル状粒子(E4)の体積が増大した。これにより、塗膜の表面に凹凸模様が形成された。
【0082】
得られた塗膜の表面を目視観察したところ、ランダムな凹凸模様が認められ、表面がレザートンの塗装品が得られた。
【0083】
(比較例3)
前記カプセル状粒子(E4)の代わりに、炭化水素ガスを内包し、被膜が熱可塑性樹脂からなる粒径約6μmのカプセル状粒子(C3)(松本油脂製薬(株)製、商品名「マツモトマイクロスフェアーF36」)を10質量部使用した以外は実施例4と同様にしてポリカーボネート射出成型品の表面に塗膜を形成した。なお、前記カプセル状粒子(C3)は熱膨張により内部の炭化水素ガスが膨張して粒径が増大し、120〜420μmの粒径分布を有する中空球状粒子となるものである。
【0084】
得られた塗膜の表面を目視観察したところ、わずかな凹凸模様が認められ、つや消し状態ではあったが、レザートンは認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明によれば、1回の塗装で光沢の落ち着いた高級感のある表面外観を有する塗膜を形成することが可能となる。
【0086】
したがって、本発明の塗料組成物は、いわゆるレザートン塗装性に優れるため、光沢の落ち着いた高級感のある表面外観が要求される、カメラ用外装部品、携帯電話用外装部品、オーディオ製品をはじめとする家電製品の外装部品などの塗装品に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第一の塗装方法において得られる塗装品を模式的に示す断面図である。
【図2A】本発明の第二の塗装方法において、本発明の塗料組成物を基材上に塗装する工程で得られる中間塗装品を模式的に示す断面図である。
【図2B】本発明の第二の塗装方法において得られる塗装品を模式的に示す断面図である。
【図3A】本発明の第三の塗装方法において、本発明の塗料組成物を基材上に塗装する工程で得られる中間塗装品を模式的に示す断面図である。
【図3B】本発明の第三の塗装方法において得られる塗装品を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
11…基材、12…塗膜形成用樹脂またはその硬化物、13…粒子、14…塗膜、21…基材、22…加熱処理前の塗膜形成用樹脂、23…溶融型カプセル状粒子、23a…被膜、23b…カプセル状粒子に内包された樹脂、24…加熱処理前の塗膜、25…塗膜形成用樹脂またはその硬化物、26…カプセル状粒子から流出した樹脂の硬化物、27…塗膜、31…基材、32…加熱処理前の塗膜形成用樹脂、33…熱膨張型カプセル状粒子、33a…被膜、33b…炭化水素ガス、34…加熱処理前の塗膜、35…塗膜形成用樹脂またはその硬化物、36…熱膨張したカプセル状粒子、36a…被膜、36b…熱膨張した炭化水素ガス、37…塗膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜形成用樹脂と、粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子とを含有することを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
前記粒子が熱可塑性樹脂からなる粒子であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記粒子が樹脂を内包するカプセル状粒子であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記カプセル状粒子の被膜の溶融温度が100℃以下であり、
前記カプセル状粒子に内包された樹脂が、紫外線硬化性樹脂または前記溶融温度以上で硬化する熱硬化性樹脂である、
ことを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項5】
塗膜形成用樹脂と、
炭化水素ガスを内包し、前記炭化水素ガスの熱膨張により粒径が増大し且つ熱膨張後の粒度分布における最大粒径が1mm以上となるカプセル状粒子と、
を含有することを特徴とする塗料組成物。
【請求項6】
前記塗膜形成用樹脂100質量部に対する前記粒子の含有量が1〜20質量部であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項7】
基材上に請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の塗料組成物を1回塗装して前記基材の表面に凹凸模様を有する塗膜を形成することを特徴とする塗装方法。
【請求項8】
基材上に請求項4に記載の塗料組成物を1回塗装する工程と、
塗装された前記塗料組成物を、前記カプセル状粒子の被膜の溶融温度以上の温度で加熱して乾燥および/または硬化させ、且つ前記被膜を溶融して前記カプセル状粒子に内包された樹脂を前記カプセル状粒子から流出させる工程と、
流出した樹脂に紫外線照射または加熱処理を施して前記樹脂を硬化させることにより塗膜表面に凸部を形成して前記基材表面に凹凸模様を有する塗膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする塗装方法。
【請求項9】
基材上に請求項5に記載の塗料組成物を1回塗装する工程と、
塗装された前記塗料組成物に加熱処理を施して乾燥および/または硬化させ、且つ炭化水素ガスを内包する前記カプセル状粒子を熱膨張させて前記基材表面に凹凸模様を有する塗膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする塗装方法。
【請求項10】
基材、および前記基材上に形成され、塗膜形成用樹脂またはその硬化物と、粒度分布における最大粒径が1mm以上の粒子とを含有する塗膜を備えることを特徴とする凹凸模様を有する塗装品。
【請求項11】
基材と、前記基材上に請求項8に記載の塗装方法により形成された塗膜とを備えることを特徴とする凹凸模様を有する塗装品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2009−108125(P2009−108125A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278925(P2007−278925)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】