説明

塗装パラメータを予測し適用するための方法およびその使用

所定の塗装応答が生成されるように、塗装パラメータを予測し適用するための方法およびそれらの使用。一実施形態において、この方法は、塗装パラメータ−応答モデルを準備する工程と、塗装パラメータを予め定めてモデルを入力する工程と、モデルおよび入力されたパラメータに基づいて塗装応答を定める工程と、パラメータを塗料または塗装装置に適用する工程とを含む。別の実施形態において、この方法は、塗装パラメータ−応答モデルを準備する工程と、塗装応答を予め定めてモデルを入力する工程と、モデルおよび入力された応答に基づいて塗装パラメータを定める工程と、パラメータを塗料または塗装装置に適用する工程とを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装方法に関し、より詳細には、所望の塗料応答を達成するために、塗料および塗料塗布装置の入力値として適切なパラメータを予測し適用するための方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
実験室のコーティング科学者は、塗料特性と塗料応答との間の相関を研究するために、複雑な実験計画を行っている。この作業は、一般に、典型的には塗料特性と塗料応答との間の相関の三次元表示である数学的モデルを生成する。これらのモデルは、典型的には、たとえば、塗料粘度、フィルム構造(film build)、および光沢などの多数の塗料特性を相関させる。
【0003】
計画された実験は、また、噴霧空気、ファン空気、塗料流量、ベル速度、または成形空気などの塗料プロセス入力パラメータの、フィルム構造およびパターン幅などの塗料応答出力に及ぼす影響を示す応答表面プロットを与えることができる。このデータは、新たなプロセスが設定されるときに非常に有用である。しかし、表面プロットの使用は、自動車または産業工場塗装環境において使用するには厄介であり、また、入力パラメータのいかなる信頼性のある変更も行うために、専用ソフトウェアおよび熟練したユーザを必要とする。そのような、工場塗装環境は、塗装パラメータを定めるための実験の計画方法の使用がない。
【0004】
新たな産業塗料ライン、塗料技術、またはアプリケータ技術が設置されるとき、塗料および塗装装置からの特定の塗装応答が望ましく、塗料流量、噴霧空気、ファン空気速度、ベル速度、成形空気、電圧などの関連したパラメータを定めなければならない。これは、また、既存の塗料ライン、塗料技術、または塗布装置にあてはまる。パラメータを定めることは、典型的には、実際には、工場塗装環境において、塗装装置のユーザの側で、試行錯誤ベースで行われる。これは、新たな塗装装置の設置および始動に特にあてはまる。これらの方法は、設定点を作成するのに効果的であるが、それらは、また、時間がかかり、繰返しである。
【0005】
さらに、系統的に行われない限り、試行錯誤のプロセスは、どのように設定点の小さい変更が最終塗料仕事の質をもたらすことがあるかについて情報を提供しない(すなわち、各入力パラメータの作業ウィンドウの理解もさまざまなパラメータの相互作用の理解もない)。したがって、装置パラメータが塗装プロセスを変更することが必要なとき、エンジニアは、「経験に基いた推測」を行うことを強制される。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,162,426号明細書
【特許文献2】米国特許第4,591,533号明細書
【特許文献3】米国特許第5,314,945号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、この一般的なタイプの先行技術の方法の欠点を克服する所望の塗料応答を達成するために、塗料および塗料塗布装置の塗装パラメータを予測する方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定の塗装応答が生成されるように、塗装パラメータを予測し適用するための方法およびそれらの使用を請求する。一実施形態において、この方法は、塗装パラメータ−応答モデルを準備する工程と、塗装パラメータを予め定めてモデルに入力する工程と、モデルおよび入力されたパラメータに基づいて塗装応答を定める工程と、パラメータを塗料または塗装装置に適用する工程とを含む。別の実施形態において、この方法は、塗装パラメータ−応答モデルを準備する工程と、塗装応答を予め定めてモデルに入力する工程と、モデルおよび入力された応答に基づいて塗装パラメータを定める工程と、パラメータを塗料または塗装装置に適用する工程とを含む。
【0009】
本発明の方法および使用は、添付の図面と関連して読まれると、次の好ましい実施形態の説明から最もよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ここで使用されるように、「塗装パラメータ」は、ベル速度、成形空気、流体送出速度、目標距離、ライン速度、塗装ブース温度、ブース湿度、ブースダウン/サイドドラフト、循環温度、循環流量/圧力、IR電気的設定、対流空気流れ対流空気温度、フラッシュ時間、ベーク時間/温度、ベークランプ(bake ramp)(毎分華氏度)、ライン速度、ベルカップ計画、装置タイプ/製造業者、装置目標距離、電圧、フィルムスプリット(すなわち、第1のコート/第2のコート)、レシプロケータ流体、レシプロケータ先端速度、パーセント重なり、ガン/キャップ/ノズル計画、流体送出、成形空気、噴霧空気、粘度、パーセンテージ不揮発性物質、塗布温度、成分タイプ/レベル、技術/化学(水担持(waterborne)化学または純溶剤ベースの化学など)、原料供給業者、供給業者工場/位置、製造装置タイプ/製造業者、製造ドウェル時間、調整の数/量、剪断履歴、処理温度、および保管時間/温度を含むが、これらに限定されない。
【0011】
「塗装応答」という用語は、光沢−水平、光沢−垂直、イメージの明確さ−水平(DOI−H)、DOI−垂直、剥離−水平、剥離−垂直、OAR−水平(この応答は、光沢応答、DOI応答、および剥離応答に基づいている)、OAR−V、色外観応答(L、a、b色値など)、塗布される塗料固形分、フィルム構造、スプレーパターンサイズ/直径、スプレーパターンのパーセンテージ変化、スプレーパターン形状(すなわち、円形、楕円形、葉巻、台地、双峰、ピークなど)、スプレーパターン特徴を予測する数式、パーセント重なり、移送効率、ポップ(pop)値、垂下値、ピンホーリング値、色Lab値、メタリックな輝き、金属フロップ(flop)などを含むが、これらに限定されないことが意味される。
【0012】
本発明は、所望の塗料応答を達成するために、塗料および塗料塗布装置の入力値として適切なパラメータを予測するための方法およびその使用に関する。適切に計画された応答表面実験の統計的分析が、本発明の方法で使用するための、結果として生じる塗料応答を正確に表し、したがって予測することができるアルゴリズムを提供する。
【0013】
好ましい実施形態において、塗料応答は、噴霧空気、ファン空気、塗料流量、ベル速度、成形空気などのプロセス入力塗装パラメータの影響を示す表面プロットに基いた、スプレーガンまたは回転ベルアプリケータからのパターンサイズおよびフィルム構造を含む。これらの応答とこれらのパラメータとの間の相関に基いたアルゴリズムが、新たな塗料ライン、塗料技術、またはアプリケータの塗装パラメータ始動設定を設定し定めようと試みるときに特に有用である。アルゴリズムは、また、所望の塗料応答を受けるために既存の塗料および塗装装置を調整するのに有用である。
【0014】
アルゴリズムを使用して、アルゴリズム計算を行うことができるいかなるプログラムで、いかなるコンピュータまたはデバイス上で実行することができる塗装パラメータ計算ツールを準備してもよい。たとえば、塗料アプリケータ特定計算器を使用することによって、ユーザが、塗装装置パラメータを入力し、所望の塗装応答を達成するようにそれらを操作することができる。さらに、塗布パラメータが工場塗装環境における調整を必要とするとき、ユーザは、塗布計算器を使用して、バランスのとれた塗装プロセスを維持するように、適用可能な作業ウィンドウ内でパラメータを調整することができる。
【0015】
逆に、アルゴリズムを使用して、塗装パラメータが所望の塗装応答に基づいて計算される塗布計算器ツールを準備してもよい。たとえば、ユーザは、スプレーパターンサイズ、スプレーパターン形状、およびフィルム構造などの塗装応答を入力してもよく、計算器に基いたアルゴリズムは、関連する塗装パラメータを定める。この方法は、目標応答を達成する入力パラメータを計算するための目標応答を使用する範囲をユーザに与える。この実施形態は、既存の塗装装置の日々の調整が必要であるとき、特に有用であろう。
【0016】
図1は、塗料アプリケータのための塗料処理パラメータ予測ツールが開発され使用される本発明の実施形態における全工程を示す。この方法を、新たなライン、または既存のライン上の新たなアプリケータの初期プロセスパラメータ設定点の基礎として用いてもよい。本質的に、本発明に基いた方法は、ユーザが、所定の塗装応答または応答許容差に基づいて、試行錯誤の実験を必要とせずに、プロセスパラメータを計算することを可能にする。
【0017】
ここで、図2を参照すると、塗料スプレージェット30または塗料スプレー雲30を供給する典型的な回転ベル塗料アプリケータ20の概略図が示されている。塗料は、典型的には電極10によって帯電される。塗料は、一般に基材40と呼ばれる物体40上に堆積される。
【0018】
塗装アプリケータ20の水平移動または垂直移動によって、塗料層を図2の基材40上に製造することができ、塗料厚さ分布を測定することができる。図3、典型的な回転ベル塗料アプリケータによって塗布されるような実際の塗料厚さ分布のグラフ表示は、2次元形式のそのような塗料層分析の結果を示し、マイクロメートル単位の塗料層厚さは縦座標上で特定され、測定値が横座標上で特定される。
【0019】
回転ベル塗料アプリケータ、またはそれに関してはいかなるアプリケータによる基材上への塗料の塗布は、いくつかのパラメータによって制御される。これらのパラメータの適切な位置決めが、最適な塗料特性または応答をもたらす。本発明の利点は、ユーザが、産業塗装環境における長い研究に頼る必要なく、効率的に、最適な応答を与えるパラメータを選択するための手段を提供されることである。
【0020】
再び図1を参照すると、開始ブロック110が、ブロック112が実行されるべきであることを示す。ブロック112において、塗料処理パラメータ−応答モデルを数学的に構築することができるソフトウェアパッケージが選択される。有用なソフトウェアパッケージの例は、米国ペンシルバニア州ステートカレッジのミニタブ・インコーポレイテッド(Minitab Inc. of State College, Pennsylvania, U.S.A.)から入手可能なミニタブ(Minitab)バージョン13以上、および米国ノースカロライナ州ケアリーのSASインスティテュート・インコーポレイテッドJMPソフトウェア(SAS Institute Inc. JMP Software of Cary, North Carolina, U.S.A.)から入手可能なJMPバージョン5である。しかし、入力と出力との間の相関を数学的にモデリングし定めることができるいかなるソフトウェアパッケージまたはプログラムも使用してもよい。
【0021】
図1において、ブロック114において、塗装パラメータ−応答モデルを構築するために使用されるべき塗料応答が定められる。上述の塗料応答は典型的である。しかし、当業者には容易に明らかないかなる塗料応答も使用してもよい。対応して、ブロック116において、研究された塗料および/または塗装装置に特有のパラメータおよび許容差が定められる。先に述べられたものを含むいかなる塗装パラメータおよび許容差応答も使用してもよい。許容差とは、そのような塗料のまたは塗装装置の操作パラメータのそれらの実際的な限界または範囲を意味する。たとえば、回転ベルアプリケータベル−カップ毎分回転数(rpm)操作パラメータが、高いおよび低いrpm限界に基いた操作許容差を有する。
【0022】
本発明の一実施形態において、好ましい塗料応答は、フィルム構造、スプレーパターン幅、およびスプレーパターン形状を含む。好ましい塗装パラメータは、空気圧スプレーガンの噴霧空気、ファン空気、塗料体積固形分、ガンヘッド速度、および塗料流量である。別の実施形態において、好ましい塗料応答は、フィルム構造、スプレーパターン幅、およびスプレーパターン形状を含み、ベル速度、成形空気、塗料体積固形分、アプリケータ速度、および塗料流量が、回転ベルアプリケータの好ましいパラメータである。
【0023】
再び図1を参照すると、塗装パラメータ−応答アルゴリズムによって少なくとも1つの塗装パラメータを1つまたは複数の塗装応答と相関させるモデルが数学的に準備される、ブロック118。モデルを準備するいかなる数学的手段も使用してもよい。技術が、個別のファクタ反復、外挿および曲線の当てはめ、実験の計画、および統計的分析手段から変わってもよい。
【0024】
好ましくは、たとえば図4によって示されているように、実験の計画を用いて、塗装パラメータと塗装応答との間の相関を定める。この方法は、相関を示す数学的モデルを統計的分析および曲線の当てはめ技術によって構築することができるデータを生成する。170で一般に示された実験の計画は、多数のパラメータ172と応答174との間の相関を構築することができるデータを示す。この例における塗装パラメータ172は、目標距離(インチ)、ベル速度(Krpm)、成形空気(SLPM)、およびベル流体送出速度(cc/min.)である。例の塗装応答174は、フィルム構造(ミクロン)およびスプレーパターン直径(インチ)である。
【0025】
再び図1のブロック118を参照すると、好ましい実施形態において、計画された実験は、塗装パラメータ/応答データを生成する。統計的分析プログラムによってパラメータと応答とを相関させるアルゴリズムを使用して、塗装パラメータ−応答モデルを準備することができる。本発明の実施形態において生成されたアルゴリズムの例は、次のように与えられる。
【0026】
【表1】

【0027】
上記アルゴリズムによって示されるように、塗装応答が、ファン空気、噴霧空気、粘度などの多数のパラメータのいずれの関数であってもよい。次に、1つまたは複数のそのようなアルゴリズムを、少なくとも1つの塗装パラメータを1つの塗装応答またはいくつかの応答と相関させる塗装パラメータ−応答モデルを準備する際に使用してもよい。
【0028】
塗装パラメータ−応答モデルが準備された後、次に、少なくとも1つの塗装パラメータおよび値を、関連した目標または目標範囲とともに、予め定め、モデルに入力してもよい、図1のブロック130。次に、モデルは、塗装応答値または値の範囲を定め出力する、図1のブロック132。
【0029】
図5は、塗装応答および塗装パラメータを入力する/出力するのに好ましい、一般に汎用ユーザインタフェースGUI(一般に200で)とも呼ばれるコンピュータ−ヒューマン入力−出力スキームを示す。図5に示された特定のインタフェースは、従来の回転ベルアプリケータの始動設定のためのスプレーパターン計算器として役立つ。コンピュータ−ヒューマンインタフェースは、パラメータ210および応答220を表示する。応答220は、パラメータ−応答モデルを使用して、パラメータ210に基づいて計算される。ユーザ(またはコンピュータ−ヒューマンインタフェースに結合されたコンピュータプログラム)が、パラメータ210の各々の値を修正して、応答220に及ぼす修正の影響を定めることができる。
【0030】
図5に示されているようなコンピュータ−ヒューマンインタフェースを使用して、1つまたは複数の塗装応答の所望のレベルを達成するように、塗装パラメータレベルを修正することができる。好ましい実施形態の場合、シンプレックス数学的技術を使用して、ユーザが、塗装パラメータレベルとともに塗装応答レベルを最適化するのを助ける。
【0031】
好ましくは、図5に示されているようなコンピュータ−ヒューマンインタフェースを準備するために使用されるコンピュータソフトウェアは、エクセル(Excel)ソフトウェアアプリケーションを使用するマイクロソフト・ウィンドウズ(登録商標)(Microsoft Windows(登録商標))OSに基づいている。これらのソフトウェアプログラムは米国のマイクロソフト・コーポレーション(Microsoft Corporation of U.S.A)から入手可能である。しかし、いかなる適切なソフトウェアプログラムを使用してもよい。入力し、計算し、出力することができるいかなるソフトウェアも使用してもよい。
【0032】
コンピュータ−ヒューマンインタフェースは、塗装装置から分離したまたは塗装装置と接続されたコンピュータ上に存在してもよい。本発明は、いかなる特定のコンピュータ−ヒューマンインタフェースレイアウトにも限定されず、インタフェースを使用して入力し出力を適用するいかなる実際的な手段も使用してもよい。
【0033】
コンピュータ−ヒューマンインタフェースを塗装装置コンピュータに埋込み、装置始動ならびに日々の継続している装置調整および最適化のために使用してもよい。たとえば、コンピュータ−ヒューマンインタフェースを使用して、継続している装置調整および最適化シナリオにおいて、目標にされた塗装応答に基づいて、塗装パラメータを計算し適用してもよい。
【0034】
再び図1を参照すると、ブロック134において、塗装パラメータに基づいて応答値を定めるためにパラメータ−応答モデルを使用して、必要に応じて、多数の反復を行ってもよい。多数の反復を行って、パラメータ−応答傾向を一般に研究するか、所望のパラメータ値に焦点をしぼることができる。反復をいかなる実際的な手動手段または自動手段によって行ってもよい。
【0035】
図1のブロック136および138において、次に、ユーザは、所望の塗装応答または複数の塗装応答を得るように、塗装パラメータを選択し適用してもよい。いかなる効果的な手段、手動または自動、によって、パラメータを選択し適用してもよい。
【0036】
実施形態において、本発明は、塗装プロセスパラメータの結果として、スプレーパターンのサイズおよび形状、ならびにフィルム構造、またはさらには移送効率を予測するためのツールとして役立つ。このツールを、新たなライン、または既存のライン上の新たなアプリケータの初期プロセス設定点の基礎として使用してもよい。ツールを、また、既存の装置、施設、または塗料技術の、日々ベースの連続改良のために使用してもよい。本質的に、ツールは、プロセスエンジニアが、非常にさまざまなシナリオにおいて、プロセスパラメータ出力を定めるために物理的実験を行うことなく、プロセスパラメータ出力を計算することを可能にする。
【0037】
本発明は、さらに、塗料塗布装置を比較するためのツールとして役立ってもよい。たとえば、異なった塗料アプリケータモデル、同じアプリケータモデルの異なったバージョンもしくは構造、または特定のモデルの異なった構成要素もしくは同じ構成要素の異なったバージョンを、本発明を用いて比較してもよい。
【0038】
本発明によれば、典型的に用いられる塗料アプリケータ技術のいくつかの例は、空気圧スプレー、静電空気圧スプレー、静電回転ベルなどの従来の技術である。好ましい技術は、静電向上を伴ったまたは伴わない空気噴霧スプレー、および高速回転静電ベルであり、というのは、これらの技術は、典型的には、ほとんどの産業または自動車塗料塗布プロセスに用いられるからである。しかし、当該技術におけるいかなる容易に知られている塗料塗布技術も、本発明の実施形態と関連して用いてもよい。
【0039】
さらに、塗装装置という用語が、塗料をスプレーする装置のみに限定されるべきでなく、またスプレーヤ内に供給されるための塗料を準備する工場における塗装装置を含むことが理解されるべきである。したがって、本発明は、また、スプレー塗装装置内に供給される塗料の粘度のような他の塗装属性の設定を確立することができる。たとえば、粘度塗装パラメータを、上で説明されたように、垂下またはポップのような塗装応答と相関させることができる。このように、スプレー塗装装置内に最終的に供給される材料は、最適な塗装パラメータおよび塗料応答に基づいて準備される。
【0040】
本発明は、測定可能な応答およびパラメータがある限り、いかなるタイプの塗料またはコーティング、およびいかなるアプリケータとともに用いてもよい。ベースコート、クリアコート、プライマーコーティング、エレクトロコーティング、複合系、トリコート(tricoats)、着色クリアコート。本発明を用いて、単一コート塗料、および、ベースコート−クリアコート、ベースコート−中間コート−クリアコートトリコート系、ウェット−オン−ウェット(wet−on−wet)プライマー−ベースコート系、または当業者には容易に明らかないかなる他の組合せなどであるがこれらに限定されない複合コーティング系の塗装パラメータを予測してもよい。
【0041】
本発明に基づいて、コーティング組成物と関連して使用されるクリアコート、ベースコート、またはプライマーサーフェイサー組成物の性質は、決して重要でない。標準的な溶剤担持系、水担持系、または粉末ベースの系を含む、非常にさまざまな市販の産業クリアコート、ベースコート、またはプライマーサーフェイサー組成物のいずれも、本発明に使用してもよい。低VOC(揮発性有機含有量)を有し、かつ現在の汚染規制を満たす高固形分溶剤担持クリアコート、ベースコート、およびプライマーサーフェイサーが、より一般に使用される。典型的には、有用な溶剤担持コーティングとしては、イソシアネートで架橋されたポリオールポリマーの2K(2成分)系、およびメラミンで架橋されたアクリルポリオールの1K系またはポリオールおよびメラミンと組合された1Kアクリロシラン系が挙げられるがこれらに限定されない。エポキシ酸系も使用することができる。そのような仕上げは、自動車およびトラックに、高い光沢およびDOI(イメージの明確さ)を含む魅力的な審美的外観を有するミラー状外部仕上げを与える。使用することができる適切な1K溶剤担持アクリロシランクリアコート系が、参照により本明細書に援用する米国特許公報(特許文献1)に開示されている。適切な1K溶剤担持アクリル/メラミンクリアコート系が、参照により本明細書に援用する米国特許公報(特許文献2)に開示されている。また、1K水担持ベースコートを使用してもよく、これらは、典型的には、溶剤担持ベースコートと同じ特性をもたらす。いかなる従来の水担持ベースコートも塗布することができる。典型的には、これらは、アクリルポリマーとアルキル化メラミンホルムアルデヒド架橋剤との水性分散系である。有用な組成物が、参照により本明細書に援用する、1994年5月24日に発行されたニックル(Nickle)およびウェルナー(Werner)の米国特許公報(特許文献3)に教示されている。
【0042】
本発明の実施形態に使用することができるコンピュータまたはデバイスのタイプは、特に限定されないが、たとえば、パーソナルコンピュータであってもよい。本発明による計算を行うことができるいかなるコンピュータまたはデバイスも使用してもよい。
【0043】
本発明は、塗装パラメータを定め適用するための方法に具体化されるようにここで示され説明されたが、それにもかかわらず、示された詳細に限定されることは意図されない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の構成の構成要素のさまざまな他の修正、変更、追加、または代用が、当業者には明らかであろう。本発明は、ここで述べられた例示的な実施形態によって限定されず、むしろ、特許請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】塗装装置パラメータ/塗料応答モデルを準備し、予測されるパラメータを定め適用するための工程を示すフローチャートである。
【図2】典型的な回転ベル塗料アプリケータ、およびそれによって発生されたスプレー雲の概略側面図である。
【図3】典型的な回転ベル塗料アプリケータによって塗布されるような実際の塗料厚さ分布を表す二次元グラフである。
【図4】塗料装置パラメータと塗料応答との間の相関を定めるための実験の計画の部分としての、各ランが行の実験ランの典型的な表である。
【図5】塗装応答および塗料装置パラメータを入力する/出力するための、コンピュータ−ヒューマン入力−出力スキーム、またはGUIの表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の塗装応答が生成されるように、塗装パラメータを予測し適用するための方法であって、
a.塗装パラメータ−応答モデルを準備する工程であって、前記モデルが、塗装パラメータ−応答アルゴリズムによって、少なくとも1つの塗装パラメータを少なくとも1つの塗装応答と相関させる工程と、
b.少なくとも1つの塗装パラメータを予め定めて、前記モデルの前記パラメータ−応答アルゴリズムに入力する工程と、
c.前記モデルの前記パラメータ−応答アルゴリズム、および前記パラメータまたは複数のパラメータに基づいて、少なくとも1つの目標塗装応答を定める工程と、
d.前記塗装応答または複数の塗装応答を得るように、いかなる前記パラメータまたは複数のパラメータも塗装装置に適用する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
所定の塗装応答が生成されるように、塗装パラメータを予測し適用するための方法であって、
a.塗装パラメータ−応答モデルを準備する工程であって、前記モデルが、塗装パラメータ−応答アルゴリズムによって、少なくとも1つの塗装パラメータを少なくとも1つの塗装応答と相関させる工程と、
b.少なくとも1つの目標塗装応答を予め定めて、前記モデルの前記パラメータ−応答アルゴリズムに入力する工程と、
c.前記モデルの前記パラメータ−応答アルゴリズム、および前記応答または複数の応答に基づいて、少なくとも1つの塗装パラメータを定める工程と、
d.前記塗装応答または複数の塗装応答を得るように、いかなる前記パラメータまたは複数のパラメータも塗装装置に適用する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記塗装パラメータ−応答モデルが、前記塗装パラメータを前記塗装応答と相関させる実験の計画に基づいていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記塗装パラメータ−応答モデルが、複数の塗装パラメータを複数の塗装応答と相関させることを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記塗装応答を入力し、前記塗装パラメータの許容レベル範囲を入力し、塗装パラメータを定めるためのコンピュータ−ヒューマンインタフェースを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の塗料応答が、スプレーパターン直径および平均スプレーパターンフィルム構造を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
塗料応答としてスプレーパターン形状をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
塗料応答として移送効率をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
塗装パラメータを定めるための請求項1に記載の方法の使用。
【請求項10】
塗装パラメータの初期設定点を定めるための請求項1に記載の方法の使用。
【請求項11】
塗料塗布装置または装置構成要素を比較するための請求項1に記載の方法の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−508937(P2007−508937A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536841(P2006−536841)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/035102
【国際公開番号】WO2005/042173
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】