説明

塗装作業用送風ダクトおよび塗装作業用給気装置

【課題】塗装作業空間の変更が容易となる塗装作業用給気装置を実現する。
【解決手段】本発明の塗装作業用送風ダクト3aは、筒状で給気入口を有し、先端が閉じている、布状の塗装作業用送風ダクト3aである。
また、本発明の塗装作業用給気装置は、この塗装作業用送風ダクト3aと、この塗装作業用送風ダクト3aに温風または乾燥空気を供給する給気発生装置1とを有する塗装作業用給気装置である。
また、本発明の塗装作業用給気装置は、塗装作業を行う空間の上部に設置された塗装作業用送風ダクト3aと、この送風ダクト3aに温風または乾燥空気を供給する給気発生装置1と、塗装作業を行う空間の下に設置された排気手段とを有するものであっても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業に用いる塗装作業用送風ダクトおよび塗装作業用給気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装を行う場所では、作業環境を良化するため、換気を行うことが必要となる。
【0003】
また、塗りむら等を防止する方法として、塗装作業を行う空間に均一な速度で空気を落下させる方法が知られている。
【0004】
そして、天井から空気を落下させる方法として、天井裏にフィルターを敷き詰める方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3121671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塗装作業を行う空間の空気の状態、例えば温度むら、湿度むらが塗装の出来具合に影響するため、塗装を行う空間の場所に合わせて配管を行っている。
【0006】
したがって、塗装作業空間のレイアウト変更を行った場合には、それに合わせて天井裏等にある配管を変更する配管工事をしなければならず大変であった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、塗装作業空間の変更が容易な塗装作業用送風ダクトおよびそれを用いた塗装作業用給気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明の塗装作業用送風ダクトは、筒状で給気入口を有し、先端が閉じている、布状の塗装作業用送風ダクトであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の塗装作業用給気装置は、この塗装作業用送風ダクトと、この塗装作業用送風ダクトに温風または乾燥空気を供給する給気発生装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗装作業用送風ダクトおよび塗装作業用給気装置によれば、送風ダクトがやわらかい材料でできているために、従来よりも、取り付け、取り外しが容易であるため、変更が容易な塗装作業用空間を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の塗装作業用給気装置の正面図であり、図2は、図1の塗装作業用給気装置の上面図である。
【0012】
給気発生装置である温風供給手段1は、外気を所定の温度に加熱し、加熱した空気を天井のレール1aから吊るされた箱2に供給する。
【0013】
次に、箱2に送られた空気は天井のレール1aから吊るされた塗装作業用送風ダクトである布製の円筒状の送風ダクト3aに送られる。
【0014】
そして、円筒形の送風ダクト3aの網目から空気が排出される。
【0015】
送風ダクト3aの断面は円であるため効率良く空気を運ぶことができる。
【0016】
また、布製の筒に圧縮された空気を送り込むだけで布の筒は円筒形となるため取り扱いが容易である。
【0017】
このようにして、排出される空気の量は送風ダクト3aの表面のどの場所でもほほ同じであるため、送風ダクト3aの下では下に移動する空気の速度は、ほぼ均一になっている。
【0018】
箱2には図2のごとく4本の送風ダクト3a〜3dが接続されているため、4本の送風ダクト3a〜3dに供給される空気の圧力は同じである。
【0019】
そのため、この4本の送風ダクト3a〜3dの下では、下向きに移動する空気の移動速度は、均一となる。
【0020】
このようにして4本の送風ダクト3a〜3dから出た空気は、塗装作業を行っている空間を均一の速度で下がり、塗装作業を行う場所の床4に設けられた孔から吸い込まれてファン5によって外部に移動する。
【0021】
このようにすれば、塗装作業を行っている空間の空気の移動速度を均一にすることができるため、塗装むら等の塗装の不具合を防止することができる。
【0022】
なお、天井に、照明器具等の設置物6(図2)があり、この部分には送風ダクト3a〜3cを取り付けることができない場合には、その部分のみ送風ダクト3a〜3dが設置されないよう短い送風ダクト3dを選択することが可能となる。
【0023】
このように、送風ダクト3a〜3dの長さを変更できるようにすることにより、天井の状況に合わせてフレキシブルに送風ダクト3a〜3dを配置することができる。
【0024】
図3は、本実施の形態の塗装作業用給気装置を取り外し可能なユニット単位に分解した場合の斜視図である。
【0025】
箱2は複数の小箱7で構成されていて、小箱7には送風ダクト3a〜3dと接続するための出口8と、その出口8の反対側の温風供給手段1からの温風を受け取るための入口(図示せず)と、隣の小箱7に温風を送るまたは隣の小箱7から温風を受け取るための第1の連結孔9と、この小箱7を天井またはレール1a〜1dに取り付けるための取付部10とを有している。使用していない入口と第1の連結孔9は第1の蓋11で覆われる。
【0026】
送風ダクト3a〜3dは、より短い小ダクト12と終端小ダクト13を繋げて構成している。
【0027】
小ダクト12は開口部を2箇所有するが、終端小ダクト13の開口部は1箇所で先端側が閉じられている。
【0028】
小ダクト12同士、小ダクト12と終端小ダクト13はファスナーで接続され、小ダクト12の長さと数を選択することにより送風ダクト3a〜3dの長さを調節することが可能である。
【0029】
小ダクト12と終端小ダクト13は、レール1a〜1dに繋げることができる吊下金具14を有しているので、送風ダクト3a〜3dは天井に設けられたレール1a〜1dから吊り下げることができる。
【0030】
床4は複数の床ユニット15から構成されている。
【0031】
床ユニット15の上面は空気の吸い込み口となる多数の孔が開いていて、四つの側面にはそれぞれ、隣の床ユニット15に吸い込んだ空気を送る、または、隣の床ユニット15から空気を受け入れるための第2の連結孔16を有している。
【0032】
床ユニット15の一つはファン5と接続されていて、床ユニット15の上面から吸い込まれた空気はファン5を通じて別の場所に移動する。
【0033】
第2の連結孔16の内、隣の床ユニット15またはファン5と接続されていないものについては、第2の蓋17が取り付けられる。
【0034】
以上のように、本実施の形態の塗装作業用給気装置は、送風ダクト3a〜3cが布状であるために、レール1a〜1dに吊下金具14を吊り下げる等の簡易な方法で設置をすることができるため、レイアウト変更のための塗装作業場所の変更に容易に対応することができる。
【0035】
また、塗装作業空間の大きさに比べて大きな製品を塗装する場合は、塗装作業用空間の端では空気の移動速度が遅くなるため、塗装作業用空間の中心部と端で塗装が乾く速度が異なり、塗装むらが発生するが、本実施の形態の塗装作業用給気装置であれば、大きな製品を塗装する場合にその製品の大きさと形に合わせて小箱7や小ダクト12を増設したり、送風ダクト3a〜3dの向きを変える等して、容易に、塗装作業空間を広げたり、向きを変えたりすることができるため、塗装むらの発生を防止することができる。
【0036】
また、送風ダクト3a〜3dは布製であるため、温風供給手段1が供給する空気の中に塵が含まれていても、送風ダクト3a〜3dからは塵が含まれていない空気が出る。
【0037】
そのため、別途フィルターを設置せずに、塗装した場所に塵が付着する不具合を防止することができる。
【0038】
すなわち、送風ダクト3a〜3dがフィルターの働きを兼ねている。
【0039】
なお、送風ダクト3a〜3d内に塵が蓄積すると、送風ダクト3a〜3dから空気が出る時の圧力損失が大きくなるため、天井に差圧センサを設けて、差圧センサの出力が一定となるように温風供給手段1のモータをインバータ制御する等して送風ダクト3a〜3dから出る空気の圧力を一定に保つようにする。
【0040】
送風ダクト3a〜3d内の塵が多量となり、温風供給手段1から供給する空気圧を最大にしても送風ダクト3a〜3dから出る空気の圧力が不十分となった場合は、送風ダクト3a〜3dを取替え・清掃等して送風ダクト3a〜3d内の塵を取り除く。
【0041】
また、送風ダクトが金属製であると、固有周波数の騒音の発生、結露の発生、熱損失の問題が発生するが、本発明の実施の形態の送風ダクト3a〜3dは布製であるため、騒音、結露、熱損失は金属製に比べて少なくなるという効果がある。
【0042】
なお、送風ダクト3a〜3dはポリエステル繊維であるテトロンフィラメントでできていることが望ましい。
【0043】
このようにすることにより、粉塵(0.5μm〜30μm)を99%以上の捕集効率で捕集することが可能となる。
【0044】
なお、上記の実施の形態では、給気発生装置として温風供給手段1を用いたが、これに限らず、乾燥した空気を発生する手段等、塗装した表面の乾燥を促進する気体を発生させる手段であれば良い。
【0045】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では小ダクト12の断面は円であったが、第2の実施の形態では断面が半円の小ダクト12について説明する。
【0046】
図4は、第2の実施の形態の塗装作業用給気装置用の小ダクト12の斜視図であり、図5はその断面図である。
【0047】
半円の円弧側18が下側になっていて、上側の布の内側は硬い板19と接している。
【0048】
そして、硬い板19の両端には吊下金具14が取り付けられている。
【0049】
このようにすることにより、送風ダクト3a〜3dから出る空気を下側により多く出すことができる。
【0050】
そのため、空気を供給できる範囲が広くなるという効果がある。
【0051】
したがって、塗装作業を行える空間が広くなるというメリットがある。
【0052】
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態では、小ダクト12の形状を保持するために硬い板19を用いたが、硬い板の代わりに布の上から半円状の金具20を被せ布の形状をかまぼこの形状、すなわち円柱を半分にした形状にしたものである。
【0053】
図6は第3の実施の形態の塗装作業用給気装置用の小ダクト12の断面図であり、図7はその斜視図である。
【0054】
布の上に半円状の金具20を被せるのは布の表面の一部であるため、送風ダクト3a〜3dからの空気の噴出を妨げることがない。
【0055】
このようにして、断面を半円状にした場合も、半分以上の空気は下側に噴出するため、空気を供給できる範囲が広くなり、塗装作業を行える空間が広くなるというメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の塗装作業用送風ダクトおよび塗装作業用給気装置は変更が容易な塗装作業空間の実現に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態の塗装作業用給気装置の正面図
【図2】本発明の第1の実施の形態の塗装作業用給気装置の上面図
【図3】本発明の第1の実施の形態の塗装作業用給気装置の分解斜視図
【図4】本発明の第2の実施の形態の塗装作業用給気装置用の小ダクトの斜視図
【図5】本発明の第2の実施の形態の塗装作業用給気装置用の小ダクトの断面図
【図6】本発明の第3の実施の形態の塗装作業用給気装置用の小ダクトの断面図
【図7】本発明の第3の実施の形態の塗装作業用給気装置用の小ダクトの斜視図
【符号の説明】
【0058】
1 温風供給手段(給気発生装置)
1a,1b,1c,1d レール
2 箱
3a,3b,3c,3d 送風ダクト(塗装作業用送風ダクト)
4 床
5 ファン
6 設置物
7 小箱
8 出口
9 第1の連結孔
10 取付部
11 第1の蓋
12 小ダクト
13 終端小ダクト
14 吊下金具
15 床ユニット
16 第2の連結孔
17 第2の蓋
18 円弧側
19 硬い板
20 金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状で給気入口を有し、先端が閉じている、布状の塗装作業用送風ダクト。
【請求項2】
請求項1記載の塗装作業用送風ダクトと、
この塗装作業用送風ダクトに温風または乾燥空気を供給する給気発生装置とを有する
塗装作業用給気装置。
【請求項3】
塗装作業を行う空間の上部に設置された
請求項1記載の塗装作業用送風ダクトと、
この送風ダクトに温風または乾燥空気を供給する給気発生装置と、
前記塗装作業を行う空間の下に設置された排気手段とを有することを特徴とする
塗装作業用給気装置。
【請求項4】
前記塗装作業用送風ダクトの断面が円であることを特徴とする請求項3記載の塗装作業用給気装置。
【請求項5】
前記塗装作業用送風ダクトの断面が半円で円弧側が下であることを特徴とする請求項3記載の塗装作業用給気装置。
【請求項6】
前記塗装作業用送風ダクトの材質がポリエステル繊維であるテトロンフィラメントであることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか一つに記載の塗装作業用給気装置。
【請求項7】
前記塗装作業用送風ダクトの近傍に圧力センサを有することを特徴とする請求項3から請求項6までのいずれか一つに記載の塗装作業用給気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−243780(P2009−243780A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91144(P2008−91144)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】