説明

塩の形のmTOR阻害剤

塩の形の式(I)のmTOR阻害剤、ならびにこの調製、配合および疾患治療での使用。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、US Appl.No.61/070062(2008年3月19日)の優先権を主張し、この内容は全て参照として本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、哺乳類のラパマイシン標的タンパク質(mTOR)リン酸化酵素(FRAP、RAFT、RAPT、SEPとしても既知)の阻害剤である二環式化合物に関する。詳細には、本発明は、癌の治療に有用なmTOR阻害剤となる縮合二環式化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
高いレベルでのmTOR活性調節不全は、多様なヒト癌、ならびに結節性硬化症、PTEN関連過誤腫症候群、およびポイツ・ジェガース症候群をはじめとする幾つかの過誤腫症候群に関連していることが示されてきた。ラパマイシン類似体は癌に対するmTORリン酸化酵素阻害剤として臨床開発されているものの、CCI−779を用いた臨床成績は、乳癌および腎臓癌患者でやっと中程度である。これはおそらくラパマイシンがraptor−mTOR複合体(mTORC1)を通じてmTOR機能を部分的に阻害するからである。乳癌患者の2/3および腎臓癌患者の1/2でラパマイシン治療が効かないこともわかっている。細胞生存の調整とラパマイシン非依存的様式でアクチン細胞骨格系の調整に主要な役割を果たすPKCαの調節とに重要であるAKT(S473)のリン酸化に関与するrictor−mTOR複合体(mTORC2)が最近発見されたことからも、mTORのこうした活性の阻害がより広範囲な抗腫瘍活性およびより高い効力に重要である。従って、mTORC1およびmTORC2を阻害できる、mTORリン酸化酵素の直接の阻害剤となる新規化合物の開発が望まれる。
【0004】
細胞生存の調整とアクチン細胞骨格系の調整に主要な役割を果たすPKCαの調節とに重要であるAKTの(S473での)リン酸化においてmTORがラパマイシン非依存的に機能する(mTOR2により)という最近の発見から、mTOR機能のラパマイシンによる阻害は部分的であると思われる。従って、mTORC1とmTORC2の両方の機能を完全に阻害できる直接のmTORリン酸化酵素阻害剤の発見がより広範囲な抗腫瘍活性およびより高い効力のために必要である。本発明者らは、今回、多様な癌(乳房、肺、腎臓、前立腺、血液、肝臓、卵巣、甲状腺、消化管、およびリンパ腫など)およびその他の適応症(リウマチ様関節炎、過誤腫症候群、移植片拒絶、IBD、多発性硬化症、および免疫抑制など)の治療に用いることができる、直接のmTORリン酸化酵素阻害剤の発見について記載する。
【0005】
NSCLCの治療用EGFRリン酸化酵素阻害剤であるTarcevaの最近の成功、およびCML治療用Gleevecでの以前の成功は、癌の有効治療のための選択的リン酸化酵素阻害剤の開発が可能であることを示唆している。リン酸化酵素阻害剤をはじめとする抗癌剤が数種類存在するものの、抗癌剤のさらなる改善が引き続き必要とされており、選択性、効力が向上した、または毒性もしくは副作用が減少した新規化合物の開発が望まれる。つまり、癌患者の治療を目的として、mTOR阻害を示す化合物を開発することが望ましい。さらに、そうした化合物が他のリン酸化酵素(例えば、PI3K、Src、KDRなど)でも活性で、乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌、マントル細胞リンパ腫、子宮内膜癌、または他の過誤腫症候群にも効果を示してもよい。
【0006】
新規塩形態に関しては、これらが医薬製造、配合、貯蔵、および使用に関して好ましい特性を与えることが望ましい。例えば、塩は、その他既知の基準のなかでも、好ましい溶解性、吸湿性、安定性、一様性、再現性、純度を示すことが望ましい。
【0007】
US2007/0112005は、とりわけ、mTOR阻害化合物を開示している。本発明は、mTOR阻害剤化合物の特定の塩および形態、これらの調製、配合、および使用に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0112005号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
幾つかの態様において、本発明は、式(I):
【0010】
【化1】

で表される化合物の塩および多形を提供し、以下にこの詳細を記載する。塩は、US2007/0112005に記載される化合物から調製することができる。US2007/0112005は、化合物の調製、生物活性、および使用についても記載している。US2007/0112005はこの全体が本明細書中に参照として援用される。本発明は、塩、多形、これらの調製、配合、および疾患治療への使用を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1のトロメタミン塩の形のXRPDパターン。
【図2】実施例2のカルシウム塩の形のXRPDパターン。
【発明を実施するための形態】
【0012】
幾つかの態様において、本発明は、式(I)で表される化合物の医薬的に許容される塩を提供する:
【0013】
【化2】

式中:
およびXは、それぞれ独立してNまたはC−(Eaaであり;
はN、C−(Eaa、またはN−(Eaaであり;
、X、X、およびXは、それぞれ独立してNまたはCであり;
ただし、X、X、X、X、およびXの少なくとも1つは、独立してNまたはN−(Eaaであり;
は、C0−10アルキル、シクロC3−10アルキル、アミノメチルシクロC3−10アルキル、ビシクロC5−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロビシクロC5−10アルキルであり、このいずれもが、1つまたは複数の独立したG11置換基で場合により置換され;
は、−A(RB(W)または−B(G11A(Y)であり;
AおよびBは、それぞれ、五員および六員の芳香族もしくはヘテロ芳香族環であるか、一緒に縮合して5−ベンゾ[b]フリルおよび3−インドリルを除く九員のヘテロ芳香族系を形成するが、XおよびXがCHであり、X、X、およびXがCであり、XおよびXがNである場合は、2−インドリル、2−ベンゾオキサゾール、2−ベンゾチアゾール、2−ベンゾイミダゾリル、4−アミノピロロピリミジン−5−イル、4−アミノピロロピリミジン−6−イル、および7−デアザ−7−アデノシニル誘導体を除き;
またはQは−A(RA(Y)であり、式中それぞれのAは同一であるか異なっていて、五員の芳香族もしくはヘテロ芳香族環であるか、この2つは一緒に縮合して八員のヘテロ芳香族系を形成し;
は、独立して、水素、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、ヒドロキシル、ハロゲン、オキソ、アリール(1つ以上のR31基で場合により置換される。)、ヘタリール(1つ以上のR31基で場合により置換される。)、C1−6アルキル、−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−NR311S(O)0−2321、−C0−8アルキル−NR311S(O)0−2NR321331、−C0−8アルキル−S(O)0−2NR311321、−C0−8アルキル−NR311COR321、−C0−8アルキル−NR311CO321、−C0−8アルキル−NR311CONR321331、−C0−8アルキル−CONR311321、−C0−8アルキル−CON(R311)S(O)0−2321、−C0−8アルキル−CO311、−C0−8アルキル−S(O)0−2311、−C0−8アルキル−O−C1−8アルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘテロシクリル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキルヘテロシクリル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘテロシクリル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキルヘテロシクリル、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−NR311321、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、NO、CN、CF、OCF、OCHFであるが;ただしQは、N−メチル−2−インドリル、N−(フェニルスルホニル)−2−インドリル、またはN−tert−ブトキシカルボニルではなく;
Wは、独立して、水素、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、ヒドロキシル、ハロゲン、オキソ、アリール(1つ以上のR31基で場合により置換される。)、ヘタリール(1つ以上のR31基で場合により置換される。)、C1−6アルキル、−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−NR312S(O)0−2322、−C0−8アルキル−NR311S(O)0−2NR321331、−C0−8アルキル−NR311CO321、−C0−8アルキル−CON(R311)S(O)0−2321、−C0−8アルキル−S(O)0−2NR312322、−C0−8アルキル−NR312COR322、−C0−8アルキル−NR312CONR322332、−C0−8アルキル−CONR312322、−C0−8アルキル−CO312、−C0−8アルキルS(O)0−2312、−C0−8アルキル−O−C1−8アルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルシクリル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキルヘテロシクリル、−Oアリール、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−N(R312)−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−N(R312)−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−N(R312)−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−N(R312)−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−N(R312)−C0−8アルキルヘタリール、C0−8アルキル−NR312322、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、NO、CN、CF、OCF、OCHFであるが、ただしQは4−ベンジルオキシ−2−インドリルではなく;
Yは、独立して、水素、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、ヒドロキシル、ハロゲン、オキソ、アリール(1つ以上のR31基で場合により置換される。)、ヘタリール(1つ以上のR31基で場合により置換される。)、C0−6アルキル、−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−NR311S(O)0−2321、−C0−8アルキル−NR311S(O)0−2NR321331、−C0−8アルキル−NR311CO321、−C0−8アルキル−CON(R311)S(O)0−2321、−C0−8アルキル−S(O)0−2NR311321、−C0−8アルキル−NR311COR321、−C0−8アルキル−NR311CONR321331、−C0−8アルキル−CONR311321、−C0−8アルキル−CO311、−C0−8アルキルS(O)0−2311、−C0−8アルキル−O−C1−8アルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキルヘテロシクリル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−N(R311)−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−NR311321、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、NO、CN、CF、OCF、OCHFであるが、ただしQは2−カルボキシ−5−ベンゾ[b]チオフェニルではなく;
11は、ハロ、オキソ、−CF、−OCF、−OR312、−NR312322、−C(O)R312、−C(O)C3−8シクロアルキル、−CO3−8シクロアルキル、−CO312、−C(=O)NR312322、−NO、−CN、−S(O)0−2312、−SONR312322、NR312(C=O)R322、NR312C(=O)OR322、NR312C(=O)NR322332、NR312S(O)0−2322、−C(=S)OR312、−C(=O)SR312、−NR312C(=NR322)NR332341、−NR312C(=NR322)OR332、−NR312C(=NR322)SR332、−OC(=O)OR312、−OC(=O)NR312322、−OC(=O)SR312、−SC(=O)OR312、−SC(=O)NR312322、−P(O)OR312OR322、C1−10アルキリデン、C0−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、−C1−10アルコキシC1−10アルキル、−C1−10アルコキシC2−10アルケニル、−C1−10アルコキシC2−10アルキニル、−C1−10アルキルチオC1−10アルキル、−C1−10アルキルチオC2−10アルケニル、−C1−10アルキルチオC2−10アルキニル、シクロC3−8アルキル、シクロC3−8アルケニル、−シクロC3−8アルキルC1−10アルキル、−シクロC3−8アルケニルC1−10アルキル、−シクロC3−8アルキルC2−10アルケニル、−シクロC3−8アルケニルC2−10アルケニル、−シクロC3−8アルキルC2−10アルキニル、−シクロC3−8アルケニルC2−10アルキニル、−ヘテロシクリル−C0−10アルキル、−ヘテロシクリル−C2−10アルケニル、または−ヘテロシクリル−C2−10アルキニルであり、このいずれもが、1つ以上の独立したハロ、オキソ、−CF、−OCF、−OR313、−NR313323、−C(O)R313、−CO313、−C(=O)NR313323、−NO、−CN、−S(O)0−2313、−SONR313323、−NR313C(=O)R323、−NR313C(=O)OR323、−NR313C(=O)NR323333、−NR313S(O)0−2323、−C(=S)OR313、−C(=O)SR313、−NR313C(=NR323)NR333342、−NR313C(=NR323)OR333、−NR313C(=NR323)SR333、−OC(=O)OR333、−OC(=O)NR313323、−OC(=O)SR313、−SC(=O)OR313、−P(O)OR313OR323、または−SC(=O)NR313323置換基で場合により置換され;
またはG11は、アリール−C0−10アルキル、アリール−C2−10アルケニル、アリール−C2−10アルキニル、ヘタリール−C0−10アルキル、ヘタリール−C2−10アルケニル、またはヘタリール−C2−10アルキニルであり、これらの結合点は、記載されるとおり左または右のいずれかからであり、このいずれもが、1つ以上の独立したハロ、−CF、−OCF、−OR313、−NR313323、−C(O)R313、−CO313、−C(=O)NR313323、−NO、−CN、−S(O)0−2313、−SONR313323、−NR313C(=O)R323、−NR313C(=O)OR323、−NR313C(=O)NR323333、−NR313S(O)0−2323、−C(=S)OR313、−C(O)SR313、−NR323C(=NR313)NR333342、−NR313C(=NR323)OR333、−NR313C(=NR323)SR333、−OC(=O)OR313、−OC(=O)NR313323、−OC(=O)SR313、−SC(=O)OR313、−P(O)OR313OR323、または−SC(=O)NR313323置換基で場合により置換されるが、ただしRが4−ピペリジニルの場合G11はN−CHCOHではなく;
各例において、R31、R32、R33、R311、R321、R331、R312、R322、R332、R341、R313、R323、R333、およびR342は、独立して:アリール、ヘテロシクリル、もしくはヘタリール置換基で場合により置換されるC0−8アルキル、または1から6個の独立したハロ、−CON(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−CO(C0−8アルキル)、−OC0−8アルキル、−Oアリール、−Oヘタリール、−Oヘテロシクリル、−S(O)0−2アリール、−S(O)0−2ヘタリール、−S(O)0−2ヘテロシクリル、−S(O)0−20−8アルキル、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−N(C0−8アルキル)CON(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−N(C0−8アルキル)CO(C1−8アルキル)、−N(C0−8アルキル)CO(C3−8シクロアルキル)、−N(C0−8アルキル)CO(C1−8アルキル)、S(O)1−2N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−NR11S(O)1−2(C0−8アルキル)、−CON(C3−8シクロアルキル)(C3−8シクロアルキル)、−CON(C0−8アルキル)(C3−8シクロアルキル)、−N(C3−8シクロアルキル)CON(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−N(C3−8シクロアルキル)CON(C3−8シクロアルキル)(C0−8アルキル)、−N(C0−8アルキル)CON(C3−8シクロアルキル)(C0−8アルキル)、−N(C0−8アルキル)CO(C3−8シクロアルキル)、−N(C3−8シクロアルキル)CO(C3−8シクロアルキル)、S(O)1−2N(C0−8アルキル)(C3−8シクロアルキル)、−NR11S(O)1−2(C3−8シクロアルキル)、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、CN、CF、OH、または場合により置換したアリール置換基で場合により置換されるC0−8アルキルであるが;ただし、上記アリール、ヘテロシクリル、ヘタリール、アルキル、またはシクロアルキル基のそれぞれは、独立して−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、ヒドロキシル、ハロゲン、オキソ、アリール、ヘタリール、C0−6アルキル、−C0−8アルキルシクリル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−S(O)0−2−(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−S(O)0−2−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)CO(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)CO−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−CO−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C1−8アルキル−CO−(C0−8アルキル)、−C0−8アルキルS(O)0−2−(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−O−C1−8アルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルシクリル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘテロシクリル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルシクリル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘテロシクリル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキルシクリル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキルヘテロシクリル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキルヘタリール、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、NO、CN、CF、OCF、OCHF、−C0−8アルキル−C3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−S(O)0−2−C0−8アルキル、または1から4個の独立したC0−8アルキル、シクリル、もしくは置換シクリル置換基で場合により置換されたヘテロシクリルで、場合により置換されてもよく;
各例において、Eは、独立してハロ、−CF、−OCF、−OR、−NR3132、−C(=O)R31、−CO31、−CONR3132、−NO、−CN、−S(O)0−231、−S(O)0−2NR3132、−NR31C(=O)R32、−NR31C(=O)OR32、−NR31C(=O)NR3233、−NR31S(O)0−232、−C(=S)OR31、−C(=O)SR31、−NR31C(=NR32)NR3331、−NR31C(=NR32)OR33、−NR31C(=NR31)SR31、−OC(=O)OR31、−OC(=O)NR3132、−OC(=O)SR31、−SC(=O)OR31、−SC(=O)NR3132、C0−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、−C1−10アルコキシC1−10アルキル、−C1−10アルコキシC2−10アルケニル、−C1−10アルコキシC2−10アルキニル、−C1−10アルキルチオC1−10アルキル、−C1−10アルキルチオC2−10アルケニル、−C1−10アルキルチオC2−10アルキニル、シクロC3−8アルキル、シクロC3−8アルケニル、−シクロC3−8アルキルC1−10アルキル、−シクロC3−8アルケニルC1−10アルキル、−シクロC3−8アルキルC2−10アルケニル、−シクロC3−8アルケニルC2−10アルケニル、−シクロC3−8アルキルC2−10アルキニル、−シクロC3−8アルケニルC2−10アルキニル、−ヘテロシクリル−C0−10アルキル、−ヘテロシクリル−C2−10アルケニル、または−ヘテロシクリル−C2−10アルキニルであり、このいずれもが1つ以上の独立したハロ、オキソ、−CF、−OCF、−OR31、−NR3132、−C(=O)R31、−CO31、−C(=O)NR3132、−NO、−CN、−S(O)0−231、−SONR31、−NR31C(=O)R32、−NR31C(=O)OR31、−NR31C(=O)NR3233、−NR31S(O)0−231、−C(=S)OR31、−C(=O)SR31、−NR31C(=NR32)NR3331、−NR31C(=NR32)OR33、−NR31C(=NR32)SR33、−OC(=O)OR31、−OC(=O)NR3132、−OC(=O)SR31、−SC(O)OR31、または−SC(=O)NR3132置換基で場合により置換され;
または各例において、Eは、独立してアリール−C0−10アルキル、アリール−C2−10アルケニル、アリール−C2−10アルキニル、ヘタリール−C0−10アルキル、ヘタリール−C2−10アルケニル、またはヘタリール−C2−10アルキニルであり、これらの結合点は、記載されるとおり左または右のいずれかからであり、このいずれもが、1つ以上の独立したハロ、−CF、−OCF、−OR31、−NR3132、−C(O)R31、−CO31、−C(=O)NR3132、−NO、−CN、−S(O)0−231、−S(O)0−2NR3132、−NR31C(=O)R32、−NR31C(=O)OR32、−NR31C(=O)NR3233、−NR31S(O)0−232、−C(=S)OR31、−C(=O)SR31、−NR31C(=NR32)NR3331、−NR31C(=NR32)OR33、−NR31C(=NR32)SR33、−OC(=O)OR31、−OC(=O)NR3132、−OC(=O)SR31、−SC(=O)OR31、または−SC(=O)NR3132置換基で場合により置換され;
−NR3132、−NR311321、−NR312322、−NR332341、−NR313323、および−NR323333の場合、R31とR32、R311とR321、R312とR322、R331とR341、R313とR323、およびR323とR333は、それぞれ場合により、これらが結合した窒素原子と一緒になって三から十員の飽和もしくは不飽和環を形成し;前記環は、各例において、独立して、1つ以上の独立した−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、ヒドロキシル、ハロゲン、オキソ、アリール、ヘタリール、C0−6アルキル、−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)S(O)0−20−8アルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)S(O)0−2N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)CO(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−CON((C0−8アルキル))S(O)0−2(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−S(O)0−2N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)CO(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)CON(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−CON(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−CO(C0−8アルキル)、−C0−8アルキルS(O)0−2(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルシクリル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルアリール、−Oアリール、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−S−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキルC3−8シクロアルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキルヘテロシクロアルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキルアリール、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)−C0−8アルキルヘタリール、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、NO、CN、CF、OCF、またはOCHF置換基で場合により置換され;前記環は、各例において、独立して、場合により1つ以上の窒素以外のヘテロ原子を含み;および
mは、0、1、2、または3であり;nは、0、1、2、3、または4であり;およびaaは0または1である。
【0014】
実施形態の幾つかにおいて、化合物は、trans−4−[8−アミノ−1−(7−クロロ−4−ヒドロキシ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[1,5−α]ピラジン−3−イル]シクロヘキサンカルボン酸、cis−3−[8−アミノ−1−(7−クロロ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[1,5−α]ピラジン−3−イル]シクロブタンカルボン酸、trans−4−{8−アミノ−1−[7−(3−イソプロピル)フェニル−1H−インドール−2−イル]イミダゾ[1,5−α]ピラジン−3−イル}シクロヘキサンカルボン酸、またはtrans−4−{8−アミノ−1−[7−(2,5−ジクロロ)フェニル−1H−インドール−2−イル]イミダゾ[1,5−α]ピラジン−3−イル}シクロヘキサンカルボン酸ではない。
【0015】
実施形態の幾つかにおいて、以下から選択される化合物の、トロメタミン、ナトリウム、カルシウムおよびL−アルギニンからなる群より選択される医薬的に許容される塩が提供される:
【0016】
【化3】






【0017】
化合物は、当分野の一般技術に従って、US2007/0112005に記載されるように調製することができる。
【0018】
実施形態の幾つかにおいて、塩は、トロメタミン、ナトリウム、カルシウム、およびL−アルギニンから選択される。実施形態の幾つかにおいて、塩は、マグネシウム、カリウム、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチル−D−グルカミン、およびピペラジンから選択される。
【0019】
実施形態の幾つかにおいて、trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸の医薬的に許容される塩が提供され、この塩は、ナトリウム、カルシウム、L−アルギニン、マグネシウム、カリウム、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチル−D−グルカミン、およびトロメタミンから選択される。
【0020】
実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、ナトリウム、カルシウム、またはL−アルギニンから選択される。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、マグネシウム、カリウム、N,N−ジエチルエタノールアミン、またはN−メチル−D−グルカミンから選択される。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、トロメタミンである。
【0021】
実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、水和または溶媒和塩の形である。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、実質的に非晶質である。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、実質的に結晶性である。
【0022】
実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、少なくとも約95重量%が結晶性である。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、実質的に単一の結晶形である。
【0023】
実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、40℃および75%RHで30日間に約1重量%以下が分解する。
【0024】
実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、図1のものと実質的に相似したX線粉末回折パターンを示すトロメタミン塩である。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、DSC分析により約202から211℃で吸熱を示すトロメタミン塩の形である。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、水に対して約6mg/mLの溶解性を有するトロメタミン塩の形である。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、実施例1のものと実質的に同様な13C NMRスペクトルを有するトロメタミン塩の形である。実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、90から95%RHで2から4%の吸湿性を有するトロメタミン塩の形である。
【0025】
実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、MeOHを還流させながらこの中で約1時間(トロメタミン)1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)(約1から2当量)を反応させ、冷却し、ろ過し、洗い、乾燥させることにより調製される。実施形態の幾つかにおいて、出発物質の遊離化合物は、最初は無機塩を含まない。遊離化合物をEtOHまたはEtOH/水から結晶化させると、残留Pdが存在する場合にこれを除去するのに特に有用であり得る。実施形態の幾つかにおいて、トロメタミン塩は、約3当量のトロメタミンをEtOHまたはEtOH:水1:1中で反応させることにより形成される。実施形態の幾つかにおいて、トロメタミン塩は、MeOH:THF中でゆっくり冷却することにより調製される。
【0026】
実施形態の幾つかにおいて、塩の形は、図2のものと実質的に相似したX線粉末回折パターンを示すカルシウム塩である。
【0027】
生物活性:mTOR活性の阻害
組換え4E−BP1を基質として用いて、in vitro免疫沈降(IP)リン酸化酵素アッセイで化合物のmTORリン酸化酵素活性を阻害する能力を求めた。アッセイにより、mTORの既知の生理基質である4E−BP1のリン酸化を阻害する化合物の能力が求められる。HeLa細胞由来の免疫捕捉mTOR複合体を、リン酸化酵素アッセイ緩衝液中、様々な濃度の化合物およびHis−タグ4E−BP1とともに温置してから、ATPを添加して室温で反応を開始する。30分後に反応を止め、4℃で一晩かけて、ホスホリル化His−タグ4E−BP1をニッケルキレートプレートに捕捉する。次いで、ホスホ−4E−BPl(T37/46)一次抗体および対応する抗ウサギIgG HRP複合二次抗体を用いて、4E−BP1のホスホスレオニン含量を測定する。二次抗体は、一次抗体のホスホリル化4E−BP1への結合が、一次抗体に結合した二次抗体の量として定量的に求めることができるように、共有結合したレポーター酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、HRP)を有している。二次抗体の量は、適切なHRP基質との温置により求めることができる。
【0028】
用いた貯蔵試薬は以下のとおりである:細胞溶解緩衝液:40mMのHEPES、pH7.5、120mMのNaCl、1mMのEDTA、10mMのピロリン酸ナトリウム、10mMのβ−グリセロリン酸(グリセロホスフェート)、50mMのフッ化ナトリウム、1.5mMのバナジン酸ナトリウム、および0.3%のCHAPSを含有。Complete mini EDTA−free プロテアーゼ阻害剤(Roche、カタログ番号#11 836 170 001)。HeLa細胞ペレット(Paragon Bioservices)。タンパク質Gでコーティングした免疫沈降用プレート(Pierce、カタログ番号#15131)。mTOR(aka FRAP)N−19抗体(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号#sc−1549)。IP洗浄緩衝液:50mMのHEPES、pH7.5,150mMのNaClを含有。リン酸化酵素緩衝液:20mMのHEPES、pH7.5,10mMのMgCl2、4mMのMnCl2、10mMのb−メルカプトエタノール、および200uMのバナジン酸ナトリウムを含有。アッセイ用に新たに作成する。組換え4E−BP1(aka PHAS I)(Calbiochem、カタログ番号#516675)。4E−BP1貯蔵液(1mg/mL)をリン酸化酵素アッセイ緩衝液で120倍に希釈して30uL中0.25μg/ウェル濃度にする。ATP溶液はリン酸化酵素緩衝液の330uM ATP貯蔵液で調製。Ni−キレートプレート(Pierce、カタログ番号#15242)。抗体希釈緩衝液:TBST、5%の脱脂乳を含有。ホスホ−4E−BP1(T37/46)抗体:ホスホ−4E−BP1(T37/46)抗体(Cell Signaling Technology、カタログ番号#9459)を抗体希釈緩衝液で1:1000に希釈したもの。ロバ抗ウサギIgG−HRP結合体;抗ウサギIgG−HRP結合体(GE Healthcare、カタログ番号NA934)を抗体希釈緩衝液で1:10,000に希釈したもの。HRP基質:化学発光試薬(Pierce、カタログ番号#37074)
アッセイプロトコル:細胞ペレット25gを細胞溶解緩衝液60mLに加えて均一にし、それから12,000rpmで30分間遠心分離してHeLa細胞可溶化物を大量に調製した。透明な上清を新しい管に移し、等分して、急速凍結させ、使用するまで−80℃で貯蔵した。タンパク質Gでコーティングした96−ウェルプレートを溶解緩衝液で1回洗浄し、希釈mTOR抗体50μLを各ウェルに添加し、室温で30から60分間温置する。次いで、HeLa細胞可溶化物50μgを各ウェルに溶解緩衝液50μLで添加し、冷蔵室中4℃でシェーカー上に2から3時間温置した。可溶化物を除去して、プレートを完全溶解緩衝液100μLで洗浄した(3回)。プレートをさらに高塩濃度緩衝液100μLで2回洗浄した。希釈した4E−BP1(基質)を各ウェルに30μL添加する。化合物を様々な濃度で5μLずつ各ウェルに添加した。薬の濃度は30μMから0.1μMまで様々であった。最終DMSO濃度は1%であった。陽性対照ウェルにはDMSOのみを添加した。陰性対照ウェルについては、ATP溶液を添加せず、代わりにリン酸化酵素緩衝液15μLを添加し、ATPを15μL添加して反応を開始させ、陰性対照ウェル以外の残りのウェルには最終濃度100μMまでATPを添加した。反応は、室温で30分間行なった。次いで、反応液45μLをNi−キレートプレートに移し、4℃で一晩温置した。プレートを抗体希釈緩衝液で1回洗浄して、希釈ホスホ−4E−BP1抗体50μLを各ウェルに添加し、室温で1時間温置した。次いで、プレートをTBSTで洗浄して(4回)、希釈抗−ウサギ二次抗体50μLを各プレートに添加し、室温で1時間温置した。プレートをTBST100μLで洗浄した(4回)。各ウェルに、Pierce Femto化学発光試薬50μLを添加して、victor装置で化学発光を測定した。
【0029】
化合物の存在下で得られるアッセイシグナルと陽性対照および陰性対照のものとの比較により、ホスホ−4E−BP1リン酸化の阻害程度を化合物濃度範囲にわたって求めることができる。これらの阻害値を、S字形用量反応阻害曲線に当てはめて、IC50値(即ち4E−BP1のリン酸化を50%阻害する化合物濃度)を求める。
【0030】
4E−BP1(T37/46)のリン酸化阻害を測定する、mTOR細胞に基づく機構アッセイ
MDA−MB−231細胞を、完全培養培地90uL中2×10細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種し、COインキュベーター中で一晩37℃で培養する。COインキュベーター中37℃で3時間、細胞を、様々な化合物で用量反応様式で処理してから、細胞可溶化物を作成して、4E−BP1のT37/46でのリン酸化阻害を測定した。細胞可溶化物を、4E−BP1抗体でコーティングした96ウェルプレートに移し、4℃で一晩、ホスホ−4E−BP1(T37/46)を捕捉しながら温置する。ウェルを抗−ウサギホスホ−4E−BP1(T37/46)抗体および対応するヤギ抗−ウサギIgG−HRP結合体とともに温置して、各ウェルのホスホ−4E−BP1の量をさらに測定する。各ウェルに存在するHRP量を化学発光法により測定する。この量は、各ウェルのホスホ−4E−BP1量に相当する。6点用量反応曲線を用いて、IC50値を求めた。
【0031】
本発明の化合物は以下のうち少なくとも1つを示した:I)mTOR活性の阻害についての生化学アッセイで求められたとおり、0.001μMから11.00μMの間のIC50値で、有利には1.00μM未満のIC50値で、より有利には0.1μM未満のIC50値で、さらにより有利には0.01μM未満のIC50値で、免疫補足されたヒトmTORによる4E−BP1リン酸化を阻害した;II)mTOR細胞に基づく機構アッセイで、40μM未満のIC50値で4E−BP1(T37/46)のリン酸化を阻害した。例えば、trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸は、mTOR細胞に基づく機構アッセイで、約1μMのIC50値で4E−BP1(T37/46)のリン酸化を阻害した。
【0032】
薬学的組成物
本発明は、医薬的に許容されるキャリアまたは賦形剤1種以上とともに、またはこれを含まずに、望ましい投与様式に合わせて配合した本発明の化合物塩を含む組成物を含む。
【0033】
本発明の薬学的組成物は、活性成分として少なくとも1種の化合物、場合により医薬的に許容されるキャリア、および場合によりその他のアジュバントを含む。本発明の薬学的組成物は、経口、直腸、外用、および非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)投与に適した組成物を含むが、どのような場合にしろ最適な経路は、活性成分が投与されるこの個体(host)ならびに投与される症状の性質および重篤度に依存する。薬学的組成物は、簡便なように、単位剤形で存在することができ、薬学の当分野で周知である方法のいずれかにより調製することができる。使用可能な薬学的キャリアは、例えば、固体、液体、または気体であり得る。固体キャリアの例として、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が挙げられる。液体キャリアの例として、糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、および水が挙げられる。気体キャリアの例として、二酸化炭素および窒素が挙げられる。経口剤形の組成物の調製では、任意の便利な薬学的媒体を用いることができる。例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存料、着色剤などを用いて、懸濁液、エリキシル剤、および溶液などの経口液状製剤を形成することができる。また、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのキャリアを用いて、粉剤、カプセル剤、および錠剤などの経口固形製剤を形成することができる。投与が簡単であることから、錠剤およびカプセル剤は好適な経口投薬単位であるが、これにより固形の薬学的キャリアが用いられる。標準的な水性または非水性技法で、場合により、錠剤をコーティングしてもよい。
【0034】
本発明の組成物を含有する錠剤は、場合により1種以上の付属成分またはアジュバントとともに、圧縮または成型により調製することができる。圧縮錠剤は、適した装置で、自在に変化する形(粉末または顆粒など)の活性成分を、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、または分散剤と混合して、圧縮することにより調製できる。成型錠剤は、適した装置で、不活性液状希釈剤で濡らした粉末化合物の混合物を成型することにより製造できる。各錠剤は、好ましくは活性成分を約0.05mgから約5g含有し、各カシェ剤またはカプセル剤は、好ましくは活性成分を約0.05mgから約5g含有する。例えば、ヒトへの経口投与用配合物は、適切で便利な量のキャリア材料と配合された活性剤を約0.5mgから約5g含有することができ、活性剤は、組成物全体の約5から約95%まで様々な量が可能である。単位剤形は、一般に、活性成分を約1mgから約2g含有することができ、代表的には、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mg含有する。
【0035】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、活性化合物を水に加えた液剤または懸濁液として調製することができる。適した界面活性剤として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースを挙げることができる。分散剤も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの油混合物で調製することができる。さらに、保存料を加えて微生物の有害な増殖を防ぐことができる。注射に適した本発明の薬学的組成物として、滅菌水溶液および分散剤が挙げられる。そのうえさらに、薬学的組成物は、このような滅菌注射液または分散剤の即時調製用滅菌粉末の形にすることもできる。全ての場合において、最終的な注射形態は、滅菌状態でなくてはならず、簡単にシリンジに入れられる(syringability)ぐらいの流動性がなくてはならない。薬学的組成物は、製造および貯蔵条件下で安定でなくてはならない。従って、薬学的組成物は、好ましくは、微生物(細菌および真菌など)の混入作用から保護されるべきである。キャリアは、溶媒または、例えば、水、EtOH、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油、およびこれらの適した混合物を含有する分散媒体が可能である。
【0036】
上記の薬学的配合物は、上記のキャリア成分の他に、適切なように、希釈剤、緩衝液、香味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存料(酸化防止剤を含む。)などのさらなるキャリア成分を1種以上含むことができる。そのうえさらに、その他のアジュバントを加えることにより投与対象者の血液と等張な配合物にすることができる。本発明の塩を含有する組成物は、粉末または液体濃縮物の形態で調製することもできる。
【0037】
本発明は、本発明の化合物塩および少なくとも1種のさらなる活性剤(さらなる抗新生物薬、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、または化学療法薬など)を含有する組成物を含む。
【0038】
治療法
本発明は、癌をはじめとする過剰増殖性疾患の治療法を含み、この方法は、このような治療を必要としている患者に本発明の化合物塩を有効量で投与することを含む。過剰増殖性疾患として、卵巣癌、リンパ腫、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、腎臓癌、腎細胞癌、前立腺癌、血液の癌、肝臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、消化管の癌、腎細胞癌、マントル細胞リンパ腫、または子宮内膜癌が可能である。
【0039】
このように、治療を必要としている患者に本発明の化合物塩を有効量で投与することを含む腫瘍の治療法が提供される。この実施形態の幾つかにおいて、癌はリンパ腫または卵巣癌である。
【0040】
一般に、上記症状の治療には、1日あたり体重の約0.01mg/kgから約150mg/kgの投与レベル、または1日あたり患者あたり約0.5mgから約7gが有用となる。例えば、乳房、肺、腎臓、前立腺、血液、肝臓、卵巣、甲状腺、消化管の癌およびリンパ腫は、化合物を1日あたり体重1キログラムあたり約0.01から50mg、または1日あたり患者あたり約0.5mgから約3.5g投与することにより有効に治療され得る。実施形態の幾つかにおいて、1日あたり患者あたり約0.05mgから約2mg、または約0.1から約1mg/kgを投与することができる。任意の特定の患者についての実際の用量は、様々な要因(年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬の組合せ、および治療を受けている特定疾患の重篤度など)に依存する。
【0041】
(実施例)
化合物trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボン酸は既知であり、US2007/0112005(この中の実施例258)に従って調製することができる。trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸の塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、L−アルギニン塩、N−メチル−D−グルカミン塩、ピペラジン塩、およびトロメタミン塩を含む。)を調製した。
【実施例1】
【0042】
trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸トロメタミン塩。
【0043】
【化4】

【0044】
化合物trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボン酸は、当分野で既知のとおりに、例えば、US2007/0112005(この中の実施例258)に従って調製することができる。この生成物(5.01g、12.3mmol)をMeOH(75.0mL)に懸濁させて加熱還流させた。1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)(1.79g、14.8mmol)を加えて、反応物を1時間加熱還流させた。懸濁液を室温まで冷却してからろ過した。固体をMeOHで洗い、それから減圧下50℃で一晩乾燥させて、表題化合物を黄褐色固体として得た(4.57g、収率70.2%)。H NMR(400MHz,CDOD):δ1.67(dddd,J=12.8,12.8,12.8,2.8Hz,2H),1.87(dddd,J=13.2,13.2,13.2,3.2Hz,2H),2.14−2.17(m,4H),2.34(tt,J=12.4,2.8Hz,1H),3.40(tt,J=12.4,3.2Hz,1H),3.65(s,6H),4.01(s,3H),6.75(d,J=7.2Hz,1H),6.75(s,1H),7.04(dd,J=7.6,7.6Hz,1H),7.23(d,J=7.6Hz,1H),7.88(s,1H)。13C NMR(100MHz,DMSO):δ29.1,29.6,34.3,43.9,55.3,59.0,61.3,102.3,102.5,110.9,113.1,120.1,126.8,127.2,130.0,132.1,146.3,146.7,178.6。LCMS(ESI+):m/z407(MH)。元素分析:C2533として計算:C,56.92%;H,6.30%;N,18.58%;O,18.20%。実測:C,56.23%;H,6.31%;N,18.33%;O,18.63%。
【0045】
トロメタミン塩の特性決定データをまとめると以下のとおり:
(a)X線粉末回折分析(XRPD)[Inel XRG−3000w/CPS検出器w/2θ範囲120°]は、この塩が結晶形であることを示した(図1参照);
(b)示差走査熱量測定(DSC)[TA Instruments 2920またはQ1000]分析は202から211℃の溶融吸熱範囲とこれに続く分解を示した;
(c)熱重量(TG)分析[TA Instruments 2050または2950]は、150℃での塩の0.3から1%重量減少を示した;
(d)熱重量分析フーリエ変換分光(TGIR)分析は、水分に相当するわずかな重量減少(<1%)を示した;
(e)蒸気収着分析(DVS)[VTI SGA−100分析器]は、塩が、90から95%RHで2から4%という低吸湿性を示すことを示した;
(f)光学顕微鏡(OM)[Leica DM LP]分析は、塩の大部分が微小ロッド状で存在し交差偏光顕微鏡により複屈折が見られることを示した;および
(g)塩の溶解性は水に対して約6mg/mLであった。
(h)安定性データ:40℃および75%RHで30日後、明らかな分解は観測されなかった。
【0046】
トロメタミン塩の多形性スクリーニングは、10種の異なる溶媒のスラリーとして周辺温度で7日間置いた後の、トロメタミン塩のサンプルのXRPDパターンは、出発物質(表I)のものと一致し、実質的に図1と同様であったことを示した。そのうえさらに、トロメタミン塩の形はトロメタミン塩出発物質をIPA中で24時間還流させた後も一定したままであった。
【0047】
【表1】

【実施例2】
【0048】
trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸カルシウム塩。
【0049】
trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム(201mg、0.469mmol)を水(2.00mL)に溶解して加熱還流させた。二塩化カルシウム(51.8mg、0.467mmol)を加えると直ちに固体が析出した。反応物を室温に冷却してろ過した。固体を水で洗い、60℃で減圧乾燥して、表題化合物を黄褐色固体として得た(180mg、収率90%)。H NMR(400MHz,DMSO):δ1.67(dddd,J=12.8,12.8,12.8,2.8Hz,2H),1.87(dddd,J=13.2,13.2,13.2,3.2Hz,2H),2.14−2.17(m,4H),2.34(tt,J=12.4,2.8Hz,1H),3.40(tt,J=12.4,3.2Hz,1H),3.65(s,6H),4.01(s,3H),6.75(d,J=7.2Hz,1H),6.75(s,1H),7.04(dd,J=7.6,7.6Hz,1H),7.23(d,J=7.6Hz,1H),7.88(s,1H)。
【0050】
カルシウム塩の特性決定データをまとめると以下のとおり:(a)X線粉末回折分析(XRPD)は、この塩が結晶性であることを示した(図2参照);(b)示差走査熱量測定(DSC)分析は、145.5℃および178.2℃での広い吸熱を示した;(c)蒸気収着分析(DVS)は、塩が、0から95%RHで35%重量増加の吸湿性を示すことを示した;および(d)溶解性は水に対して1mg/mL未満であった。
【実施例3】
【0051】
trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム塩。
【0052】
trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボン酸(10g、24.6mmol)を脱イオン水(100mL)に懸濁させた。窒素下撹拌しながら、NaOH水溶液(50%NaOH(1.97g、24.6mmol)と脱イオン水(20mL)で調製)を10分かけて加えた。pH約8で透明な褐色溶液が形成された。チャコール(0.5g、5重量%)を加えた。混合物を5分間撹拌し、穏やかに吸引しながらガラスのマイクロファイバー(GF)と濾紙(二重)のフィルターでろ過した。フラスコとロートを脱イオン水少量ですすいだ。褐色のろ液を30から35℃で減圧濃縮した。得られる粘性固体を30分間40から45℃(水浴)で減圧下に置き、実質的に乾燥した残渣を得て、これを乾燥皿に移した。固体を真空オーブン中50℃で5時間超乾燥させ、表題化合物を黄褐色固体として得た(10.1g、収率96%)。H NMR(400MHz,DMSO):δ1.43(dddd,J=12.6,12.8,12.8,2.4Hz,2H),1.68(dddd,J=12.4,12.4,12.4,2.8Hz,2H),1.99−2.02(m,5H),3.12(tt,J=12.0,2.8Hz,1H),3.92(s,3H),6.61(d,J=7.6Hz,1H),6.67(s,1H),6.88(dd,J=7.6,7.6Hz,1H),7.12(d,J=8.0Hz,1H),7.72(s,1H)。元素分析:C2121Na・HOとして計算:C,56.50%;H,5.19%;N,18.82%;Na,5.15%。実測:C,56.44%;H,4.76%;N,18.51%;Na,4.55%。
【0053】
ナトリウム塩の特性決定データをまとめると以下のとおり:(a)X線粉末回折分析(XRPD)は、この塩の大部分が非晶質であることを示した;(b)示差走査熱量測定(DSC)分析は、98.3℃で広い吸熱、ならびに224.1℃および256.8℃で発熱を示した;(c)熱重量(TG)分析は、250℃で塩の3.8%重量損失を示した;(d)蒸気収着分析(DVS)は、塩が、0から95%RHで37%重量増加の吸湿性を示すことを示した;および(e)溶解性は水に対して30mg/mL超であった。
【実施例4】
【0054】
trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸L−アルギニン塩。
【0055】
trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸(11.1g、27.4mmol)およびL−アルギニン(5.72g、32.9mmol)をHO(78.0mL)およびEtOH(78.0mL)に希釈した。懸濁液を加熱還流して透明な溶液とし、それからゆっくりと室温に冷却した。16時間後、懸濁液を氷浴で30分間冷却してろ過した。オフホワイト固体を80℃で2日間減圧乾燥し、表題化合物を得た(12.9g、収率81%)。H NMR(400MHz,CDOD):δ1.59−1.78(m,3H),1.79−1.90(m,3H),2.13(brd,J=10.8Hz,4H),2.35(tt,J=12.4,3.6Hz,1H),3.20−3.42(m,1H),3.37(tt,J=12.0,2.8Hz,1H),3.66(brs,4H),3.98(s,3H),6.72(d,J=7.6Hz,1H),6.72(s,1H),7.01(dd,J=8.0,8.0Hz,1H),7.22(d,J=8.4Hz,1H),7.84(s,1H)。X線粉末回折分析(XRPD)は、この塩が非晶質であることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウム、カルシウム、L−アルギニン、マグネシウム、カリウム、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチル−D−グルカミン、またはトロメタミンから選択される、trans−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸の医薬的に許容される塩。
【請求項2】
塩の形は、ナトリウム、カルシウム、またはL−アルギニンから選択される、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
塩の形は、マグネシウム、カリウム、N,N−ジエチルエタノールアミン、またはN−メチル−D−グルカミンから選択される、請求項1に記載の塩。
【請求項4】
塩の形は、トロメタミンである、請求項1に記載の塩。
【請求項5】
トロメタミン塩の水和物または溶媒和物の形である、請求項1に記載の塩。
【請求項6】
実質的に非晶質形である、請求項1から5のいずれか一項に記載の塩。
【請求項7】
実質的に結晶形である、請求項1から5のいずれか一項に記載の塩。
【請求項8】
少なくとも約95重量%の量が結晶で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の塩。
【請求項9】
実質的に単一の結晶形の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の塩。
【請求項10】
40℃および75%RHで30日間で約1重量%以下が分解する、請求項1から9のいずれか一項に記載の塩。
【請求項11】
図1のものと実質的に相似したX線粉末回折パターンを示すトロメタミン塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項12】
実質的に実施例1のものである13C NMRスペクトルを示す、請求項4または7から11のいずれか一項に記載の塩。
【請求項13】
90から95%RHで約2から4%の吸湿性を有する、請求項4または7から12のいずれか一項に記載の塩。
【請求項14】
DSC分析により約202から211℃で鋭い吸熱を示す、請求項4または7から13のいずれか一項に記載の塩。
【請求項15】
水に対して少なくとも約6mg/mLの溶解性を有する、請求項4または7から14のいずれか一項に記載の塩。
【請求項16】
図2のものと実質的に相似したX線粉末回折パターンを示すカルシウム塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項17】
少なくとも1種の医薬的に許容される賦形剤とともに、またはこれを含まずに配合された請求項1から16のいずれか一項に記載の塩を含む薬学的組成物。
【請求項18】
治療を必要としている患者に請求項1から16のいずれか一項に記載の塩を有効量で投与することを含む、腫瘍の治療法。
【請求項19】
治療を必要としている患者に請求項1から16のいずれか一項に記載の塩を有効量で投与することを含む、リンパ腫または卵巣癌の治療法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−515410(P2011−515410A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500920(P2011−500920)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/037505
【国際公開番号】WO2009/117482
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510143262)オーエスアイ・フアーマスーテイカルズ・インコーポレーテツド (8)
【Fターム(参考)】