説明

塩素含有重合体用無機充填材

【課題】エラストマー系改質剤との併用により、衝撃強さを大きく向上させることができ、同時に曲げ強さを維持しつつ曲げ弾性率を向上させることが可能な塩素含有重合体用無機充填材を提供する。
【解決手段】湿式下で調製された炭酸カルシウムとカオリンとの粉砕物からなり、炭酸カルシウム(A)とカオリン(B)とをA:B=9:1乃至1:9の重量比で含み、且つレーザ回折散乱法での平均粒径が0.1乃至1.0μmの範囲にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂等の塩素含有重合体に配合される塩素含有重合体用無機充填材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂に代表される塩素含有重合体は、経済性、成形性、加工性に優れ、多くの用途に使用されているが、最近では、その成形性などの特性を活かし、複雑な断面形状を有しており、異形押出しにより成形される窓枠などの建材用途への適用も期待されている。
【0003】
しかしながら、窓枠等の建材は、当然のことながら、衝撃強さ、曲げ強さ、弾性率及び寸法安定性が基本的特性として要求されており、塩化ビニル樹脂等の塩素含有重合体は、このような基本的特性において不満足であるため、その用途が制限されているのが現状である。
【0004】
塩化ビニル樹脂等の機械的特性を向上させるために種々の提案もなされており、例えば、特許文献1には、塩化ビニル系樹脂に、エラストマー系改質剤、具体的には、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリル系改質剤などを配合した塩化ビニル系樹脂組成物が提案されている。
【特許文献1】特開2003−73518号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにエラストマー系改質剤を配合した場合には、衝撃強さをある程度向上させることはできるものの、さらなる衝撃強さの向上が求められているのが実情である。また、衝撃強さの向上に伴い、曲げ強さや弾性率の低下をもたらし、これら特性の低下により寸法安定性が低下しているという問題もある。
【0006】
寸法安定性を向上させるためには、通常、シリカや炭酸カルシウム等の各種無機充填材の配合が効果的であるが、これらの無機充填材の配合は、衝撃強さの低下をもたらしてしまい、結局、衝撃強さとともに、曲げ強さや弾性率が高められ、寸法安定性にも優れた塩化ビニル系樹脂組成物は未だ提供されていない。
【0007】
従って本発明の目的は、エラストマー系改質剤との併用により、衝撃強さを向上させることができ、同時に曲げ強さを維持しつつ、弾性率を向上させることが可能な塩素含有重合体用無機充填材を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の塩素含有重合体用無機充填材を製造する方法並びに、該無機充填材が配合された塩素含有重合体組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、塩化ビニル系樹脂に代表される塩素含有重合体の機械的特性について種々検討した結果、ある種の条件下で混合することにより調製された炭酸カルシウムとカオリンとの混合物は、上記課題を達成し得るという新規知見を見出し、本発明に到達した。
【0009】
本発明によれば、湿式下で調製された炭酸カルシウムとカオリンとの粉砕物からなり、炭酸カルシウム(A)とカオリン(B)とをA:B=9:1乃至1:9の重量比で含み、且つレーザ回折散乱法での平均粒径が0.1乃至1.0μmの範囲にあることを特徴とする塩素含有重合体用無機充填材が提供される。
【0010】
本発明によれば、また、炭酸カルシウム(A)とカオリン(B)とをA:B=9:1乃至1:9の重量比で混合し、該混合物を湿式下で粉砕し、乾燥することを特徴とする塩素含有重合体用無機充填材の製造方法が提供される。
【0011】
上記の製造方法においては、炭酸カルシウムとカオリンとの混合物100重量部当り200乃至1000重量部の水を加えて水性スラリーを調製し、該スラリーを用いて粉砕を行うことが好適である。
【0012】
本発明によれば、さらに、塩素含有重合体100重量部当り、前記塩素含有重合体用無機充填材が1乃至30重量部、及びエラストマー系改質剤が2乃至20重量部の量で配合されていることを特徴とする塩素含有重合体組成物が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塩素含有重合体用無機充填材は、炭酸カルシウム(A)とカオリン(B)との微細な混合粉末(平均粒径が0.1乃至1.0μm)である。特に重要な点は、湿式下での共粉砕により一定の重量比(A:B=9:1乃至1:9)で混合されている点にあり、これにより、エラストマー系改質剤と併用して塩素含有重合体に配合したときに、衝撃強さを低下させず、むしろ大きく向上させ、同時に曲げ強さを維持しつつ、曲げ弾性率を向上させることができる。
【0014】
本発明の無機充填材によって塩素含有重合体の特性が向上する理由は明確に解明されたわけではないが、本発明者等は次のように推定している。即ち、カオリンは板状粒子構造を有しているが、湿式下で共粉砕することにより、カオリンの表面に炭酸カルシウムの粒子がメカノケミカル的に反応して、両者は一体の粒子として挙動することに起因しているのではないかと思われる。例えば、図1のSEM写真に示されているように、本発明の無機充填材では、板状のカオリン粒子の表面に、炭酸カルシウムの微粒子が付着し、この状態で、2つの粒子が一体的に分散していることが判る。この結果、これらの粒子を塩素含有重合体中に均一に分散することができ、エラストマー系改質剤による衝撃強さの向上を補強するとともに、曲げ強さを維持しつつ、曲げ弾性率も高められ、優れた寸法安定性がもたらされるものと信じられる(後述の表1参照)。
【0015】
このように、本発明の無機充填材とエラストマー系改質剤との併用により、塩化ビニル樹脂等の塩素含有重合体の曲げ強さを維持しつつ衝撃強さ、曲げ弾性率を向上させ、且つ寸法安定性を高めることができるため、かかる無機充填材等が配合された塩素含有重合体組成物は、窓枠等の建材としての用途に特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の無機充填材において、炭酸カルシウムとしては、特に制限されず、例えば重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムの何れも使用することができる。
【0017】
また、炭酸カルシウムとの共粉砕に供されるカオリンは、板状結晶のケイ酸アルミニウム塩鉱物であり、例えば、そのX線回折像は、下記の面間隔(dx)にピーク強度を有する。
面間隔(dx)Å 相対強度(%)
7.17 100
4.366 60
3.579 80
【0018】
即ち、カオリンは、2八面型1:1層状ケイ酸塩であり、理想的には四面体陽イオンとしてSiのみ、八面体陽イオンとしてAlのみを有しており、1:1層の組成はAlSi・(OH)で表されるものである。このようなカオリンとしては、例えばカオリナイト、デッカイト、ハロイサイト等のカオリン族粘土鉱物を挙げることができる。本発明において用いるカオリンの酸化物基準での組成は、例えばカオリナイトを例にとると、以下の通りである。
SiO:40乃至55重量%
Al:35乃至50重量%
O:10乃至20重量%
TiO等のその他の酸化物:10重量%以下
【0019】
本発明において、炭酸カルシウム(A)とカオリン(B)とは、A:B=9: 1乃至1:9、特に8:2乃至2:8の重量比で使用され、以下に述べる共粉砕に供される。炭酸カルシウムの量が少ない場合(或いはカオリンのみの使用)では、曲げ強さや曲げ弾性率を向上させることはできるが、衝撃強さを大きく向上させることができない。また、カオリンの量が少ない場合(或いは炭酸カルシウムのみの使用)も、衝撃強さを大きく向上させることができない。従って、本発明では、上記のような量バランスで、炭酸カルシウム(A)とカオリン(B)とを使用することが必要となる。
【0020】
炭酸カルシウムとカオリンとの共粉砕は、これらを上記量比で混合した後、湿式下で行うことにより、例えば、炭酸カルシウムとカオリンとの混合物100重量部当り、200乃至1000重量部、特に400乃至600重量部の量で水を混合して水性スラリーを調製して共粉砕が行われる。水の量が少ないと、スラリー粘度の上昇により粉砕媒体(球石等)とスラリーの共回りが起こり、粉砕が困難となってしまうおそれがある。また、水を必要以上に多量に存在させた場合には、粉砕効率が著しく低下し、粉砕に長時間要したり、或いは微粉砕が困難となってしまうおそれがある。
【0021】
共粉砕は、ボールミル、チューブミル、ダイノーミル等の混合粉砕機を用いて行うことができる。
【0022】
また、共粉砕の程度は、レーザ回折散乱法での共粉砕物の平均粒径(D50)が0.1乃至1.0μm、特に0.3乃至0.7μmの範囲となるまで行われる。この平均粒径が、必要以上に微細になるまで共粉砕が行われると、カオリンと炭酸カルシウムとが付着一体化した粒子が凝集し易くなり、この結果、曲げ強さや曲げ弾性率の向上はある程度確保することができるが、エラストマー系改質剤による衝撃強さの向上を補強増大させることができなくなってしまう。また、平均粒径が上記範囲よりも大きい場合には、カオリンと炭酸カルシウムとが付着一体化した粒子の均一分散性が大きく損なわれ、衝撃強さや曲げ強さ、曲げ弾性率等の何れの特性も向上させることが困難となってしまう。
【0023】
上記のような共粉砕後の乾燥品をサンプルミル等で解砕することにより、所定の量比で炭酸カルシウムとカオリンとを含有し、且つ所定の粒度を有する本発明の無機充填材が得られる。
【0024】
上述した本発明の無機充填材は、エラストマー系改質剤と共に塩素含有重合体に混練されて塩素含有重合体組成物とし、これにより塩素含有重合体の特性向上が図られる。
【0025】
塩素含有重合体への配合に際しては、必要により、脂肪酸、シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、或いはリン酸エステルなどによる表面処理によって、その疎水性を高めることができ、これにより、塩素含有重合体に配合する際の発泡を有効に抑制することができる。このような表面処理剤は、通常、本発明の無機充填材100重量部当り、0.1乃至5重量部程度でよい。
【0026】
エラストマー系改質剤としては、それ自体公知のものを使用することができ、例えば、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等を、単独或いは2種以上の組み合わせで使用することができる。本発明において、衝撃強さの向上効果の点で、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単位にブタジエンなどのジエン系単位やスチレン単位などを含むアクリルゴムが特に好適に使用される。
【0027】
また、上記の無機充填材やエラストマー系改質剤が配合される塩素含有重合体としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体などが使用される。
【0028】
また、上記のような無機充填材やエラストマー系改質剤が配合された塩素含有重合体組成物において、衝撃強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率の観点から、本発明の無機充填材は、塩素含有重合体100重量部当り、1乃至30重量部、特に3乃至20重量部の量で配合され、エラストマー系改質剤は、塩素含有重合体100重量部当り、2乃至20重量部、特に5乃至15重量部の量で配合されるのが好ましい。
【0029】
また、かかる塩素含有重合体組成物には、塩素の脱離を抑制するための安定剤、例えば鉛系或いは非鉛系安定剤を適宜配合され、さらには、用途に応じては、本発明の無機充填材による特性向上効果が損なわれない程度の量で、滑剤、加工助剤、紫外線吸収剤、或いはその他の無機充填材等を適宜配合することもできる。
【0030】
このような塩素含有重合体組成物は、衝撃強さとともに、曲げ弾性率や曲げ強さが高く、窓枠に代表される建材などの異形押出し成形品の用途に極めて有効に適用することができる。
【実施例】
【0031】
本発明の優れた効果を、以下の実施例で説明する。なお、実施例で行った、試験の測定方法は、以下の通りである。
【0032】
(1)粒径測定
Coulter社製 Particle Size Analyzer Model LS13 320を使用し、レーザ散乱法により測定した。
【0033】
(2)試験片の作製
下記配合、 方法にて試験片を作製した。
基本配合 重量部
塩化ビニル樹脂(重合度=1050) 100.0
エラストマー系改質剤(アクリル系強化剤) 8.0
非鉛系安定剤 4.0
表面処理炭酸カルシウム 3.0
滑剤 0.8
株式会社川田製作所製 SUPERMIXER SM V−20を使用し、基本配合に無機充填材粉体を配合して、常温にて1500回転/分で5分間混合し、塩化ビニル樹脂混合物を作製した。
次に、上記塩化ビニル樹脂混合物を押出機本体 MEDIA RECOVERY社製 HAAKE RHEOCORD 90、ミキサー部 HAAKE RHEOMEX CTW 100 THERMO HAAKE TYP 557−2204、混合物供給部 HAAKE BUCHLER INSTRUMENTS社製 METERING FEED HOPPER MODEL 23−00−600を使用し、樹脂温度200〜210℃にて幅20〜27mm、厚さ1.5〜2.5mmの押出成形試験片を作製した。
更に、上記押出成形試験片を株式会社 神藤金属工業所製 SF−70を使用し、220℃、圧力10kg/cmで3分間予熱後、圧力150kg/cmで5分間加熱成形し、圧力150kg/cmで2分間通水冷却を行い、厚さ4mmの押出成形試験片のプレスシートを作製した。
曲げ特性試験片は、DUMBBEL社製 CUTTING MACHINE SDAP1200FBRH2TRPを使用し、上記で作製した押出成形試験片のプレスシートをJIS K7203に準拠して作製した。
シャルピー衝撃試験片は、曲げ特性試験片と同様に裁断して作製した後、切削機を使用することにより、JIS K7111に準拠してシャルピーエッジワイズ衝撃シングルノッチ付き試験片を作製した。
【0034】
(3)曲げ特性試験
TOYO BALDWIN社製 TENSILON/UTM−III−500にて、JIS K7203に準拠して行った。
【0035】
(4)シャルピー衝撃試験
日本理学工業社製 IMPACT TESTERにてJIS K7111に準拠して行った。
【0036】
(実施例1)
直径3mmのアルミナボール13kgと水4kgを入れた15Lポットミルに、炭酸カルシウム700gとカオリン300gを仕込み、20時間湿式粉砕を行った。得られたスラリーをステンレス製バットに移し替え、130℃にて一昼夜蒸発乾固した。乾燥物をサンプルミルで粉砕を行い、炭酸カルシウムとカオリンとの共粉砕微粉末を得た。
得られた炭酸カルシウムとカオリンとの共粉砕微粉末の粒度測定を行った。
次に、得られた粉体を配合して、各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表1に示す。また、微粉末のSEM写真(倍率:5000倍)を図1に示す。
【0037】
(実施例2)
炭酸カルシウム600gとカオリン400gの配合品1kgを原料として、実施例1と同様の方法にて共粉砕微粉末を得て、粒度測定を行った。
次に、得られた粉体を配合して、実施例1と同様の方法で各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表1に示す。
【0038】
(実施例3)
炭酸カルシウム500gとカオリン500gの配合品1kgを原料として、実施例1と同様の方法にて共粉砕微粉末を得て、粒度測定を行った。
次に、得られた粉体を基本配合に配合して、実施例1と同様の方法で各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例4)
炭酸カルシウム200gとカオリン800gの配合品1kgを原料として、実施例1と同様の方法にて共粉砕微粉末を得て、粒度測定を行った。
次に、得られた粉体を基本配合に配合して、実施例1と同様の方法で各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
(実施例5)
炭酸カルシウム600gとカオリン400gの配合品1kgを原料として、湿式粉砕時間のみ3時間とし、その他は実施例1と同様の方法にて共粉砕微粉末を得て、粒度測定を行った。
次に、得られた粉体を基本配合に配合して、実施例1と同様の方法で各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
(実施例6)
直径3mmのアルミナボール13kgと水4kgを入れた15Lポットミルに、炭酸カルシウム1000gを仕込み、20時間湿式粉砕を行った。得られたスラリーをステンレス製バットに移し替え、130℃にて一昼夜蒸発乾固した。乾燥物をサンプルミルで粉砕を行い、炭酸カルシウムの微粉末を得た。
カオリンについても同様に行い、カオリンの微粉末を得た。
得られた炭酸カルシウムとカオリンそれぞれの微粉末の粒度測定を行った。
次に、得られた炭酸カルシウムとカオリンを重量比で6:4の割合で配合して、各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表2に示す。
【0042】
(比較例1)
基本配合のみで、実施例1と同様の方法で各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表3に示す。
【0043】
(比較例2)
株式会社川田製作所製 SUPERMIXER SM V−10に炭酸カルシウム1050gとカオリン450gを仕込み、約900回転/分で5分間混合した混合物を、日本ニューマティック株式会社製 PJM−100SP型ジェットミルにて乾式粉砕のみを行い粉砕微粉末を得て、粒度測定を行った。
次に、得られた粉体を基本配合に配合して、実施例1と同様の方法で各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表3に示す。
【0044】
(比較例3)
炭酸カルシウム1kgのみを原料として、実施例1と同様の方法にて粉砕微粉末を得て、粒度測定を行った。
次に、得られた粉体を基本配合に配合して、実施例1と同様の方法で各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表3に示す。
【0045】
(比較例4)
カオリン1kgのみを原料として、実施例1と同様の方法にて粉砕微粉末を得て、粒度測定を行った。
次に、得られた粉体を基本配合に配合して、実施例1と同様の方法で各試験片を作製し、物性を測定した。結果を表3に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例1で得た塩素含有重合体用無機充填材のSEM写真(倍率:5000倍)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式下で調製された炭酸カルシウムとカオリンとの粉砕物からなり、炭酸カルシウム(A)とカオリン(B)とをA:B=9:1乃至1:9の重量比で含み、且つレーザ回折散乱法での平均粒径が0.1乃至1.0μmの範囲にあることを特徴とする塩素含有重合体用無機充填材。
【請求項2】
炭酸カルシウム(A)とカオリン(B)とをA:B=9:1乃至1:9の重量比で混合し、該混合物を湿式下で粉砕し、乾燥することを特徴とする塩素含有重合体用無機充填材の製造方法。
【請求項3】
前記混合物100重量部当り200乃至1000重量部の水を加えて水性スラリーを調製し、該スラリーを用いて粉砕を行う請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
塩素含有重合体100重量部当り、請求項1記載の塩素含有重合体用無機充填材が1乃至30重量部、及びエラストマー系改質剤が2乃至20重量部の量で配合されていることを特徴とする塩素含有重合体組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2007−99801(P2007−99801A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287702(P2005−287702)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000193601)水澤化学工業株式会社 (50)
【Fターム(参考)】