説明

塩酸プロピベリンの合成

本発明は、塩酸プロピベリンを合成するための2段階エステル化プロセスを提供する。本明細書で開示された合成スキームでは、ベンジル酸1を、公知の標準的方法でジ−プロピルエステルエーテル7に直接変換する。このようにして得られた中間体を、室温にてナトリウムt−ブトキシドの存在下でN−メチル4−ヒドロキシピペリジンと反応させて、プロピベリン塩基5を得る。その後これを最終的に塩酸プロピベリンに変換する。この合成プロセスは、非常に純粋な形態(99%を超える)の塩酸プロピベリンを非常に良好な収率で提供する。この化合物は、尿失禁の治療に非常に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩酸プロピベリンを合成するためのプロセスを提供する。詳しくは、本発明は、エーテル化−エステル化、その後のエステル交換により塩酸プロピベリンを合成するためのプロセスを提供する。より詳しくは、本発明は、エステル化及びエーテル化を単一段階で実施することにより塩酸プロピベリンを合成するためのプロセスを提供する。特に、本発明は、純粋な塩酸プロピベリンを提供する。
【背景技術】
【0002】
塩酸プロピベリンは、「尿失禁」の治療に使用される新しい種類の薬物である。プロピベリンは、尿失禁の治療に最も多く処方される薬物である。市販されている類似薬物は、オキシブチニン、酒石酸トルテロジン、及び塩化トロスピウムである。塩酸プロピベリンは、二重の作用機序を有する。第1は、膀胱平滑筋細胞のカルシウム流入の阻害及び細胞内カルシウムの調節であり、筋向性の鎮痙をもたらす。第2は、抗コリン性作用による骨盤神経の遠心性神経伝達の阻害である。塩酸プロピベリンは、脊髄傷害、例えば横断障害対麻痺に由来する過活動性膀胱症候群又は神経性排尿筋過活動(排尿筋反射亢進)の患者に生じる場合がある尿失禁及び頻尿の効果的な対症療法であることが示されている。塩酸プロピベリンは、患者にとって特に長期間許容できるものであるである。有害事象は全て、用量依存的、一時的、及び可逆的である。
【0003】
塩酸プロピベリンの合成は、幾つかの特許に記載されている。第1の特許は、1974年にStarke、Thomas、及びFrieseにより公開されたオランダ特許第106643号である。この特許に記載のプロセスでは、ベンジル酸がメチルエステルに変換され、その後それがヒドロキシルN−メチルピペリジノエステル中間体3に変換される(図1)。この反応は、ベンジル酸メチルの隣接ヒドロキシル基により媒介される競合的加水分解のため、収率が常に低い。更に、中間体4のプロピベリン塩基5への変換も、4に存在するtert−クロロの競合的加水分解のため収率が低い。
【0004】
第2の特許である、Luo,M、Ma X、Luo Pに対する中国特許第1285348号では、合成は、他の言及した特許とほとんど同様の反応順序である。
【0005】
この特許では、ベンジル酸は、ヒドロキシエステル中間体3に直接変換される(図2)。その間の主な問題の1つは、ピペリジン部分のクロロの除去であり、そのため、このプロセスは収率がより低い。第2の段階で、中間体4が水分により競合的に加水分解されて中間体3となり、そのため収率が低下する。
【0006】
韓国特許第20050011138号では、記載のプロセスにわずかな変化がある。ベンジル酸メチル6は、図3のように、ベンジル酸プロピルメチル7に変換される。その後、それはベンジル酸プロピルエーテル8に加水分解される。その後それは、光延反応を使用して最終的にプロピベリン塩基に変換される。光延反応は、トリフェニルオキシドの形態の廃棄物を多量に生成し、ジエチルアジドジカルボキシラート(DEAD)の取扱いは危険である。
【0007】
上記の特許のわずかに改変されたスキームが、韓国特許第20050011139号に示されている(図4)。このスキームでは、図3のベンジル酸プロピルメチル7が、光延反応を使用して調製され、その後それが、ナトリウムエトキシドを用いたエステル交換を使用してプロピベリン塩基に変換される。この場合も、光延反応の使用(図4)は、対費用効果が悪く、廃棄物の生成を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、従来技術特許の欠点を克服する、この塩酸プロピベリンを合成するための新しい単純化された合成経路が、本明細書で開示される。
【0009】
本発明の目的は、塩酸プロピベリンを合成するための新プロセスを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、カリウムt−ブトキシドによって触媒されるエステル交換による、塩酸プロピベリンを合成するためのプロセスを提供することである。
【0011】
本発明のまた別の目的は、エーテル化、その後のエステル化に重要な中間体を得ることによる合成プロセスを提供することである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、高い全収率をもたらすプロセスを提供することである。
【0013】
本発明のまた更なる別の目的は、本発明のプロセスにより純粋な生成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、塩酸プロピベリンを合成するためのプロセスであって、N−ジ−プロピルエステルエーテル7を含み、前記エステルを、不活性ガス下にて長期間絶えず撹拌しながらN−メチル−4−ピペリジノール及び触媒で処理し、前記反応の終了時に無機クロリドを添加してpHを中性にし、前記反応物を真空にかけて過剰N−メチル−4−ピペリジノールを回収して残渣を得、前記残渣を第1の有機溶媒で更に抽出し、水で洗浄し、前記抽出の後、減圧下で残渣を処理して有機溶媒を除去してプロピベリン塩基を得、前記粗生成物を第2の有機溶媒に溶解し、チャコール処理(charcolozing)し、塩酸で処理することにより更に処理して、塩酸プロピベリンを得るプロセスを提供する。
【0015】
本発明の実施形態では、使用される触媒は、相間移動触媒を伴うカリウムtブトキシド、ナトリウムt−ブトキシドであってもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態では、相間移動触媒は、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラホスホニウム、ポリエチレングリコール、アンモニウム、又はホスホニウム塩からなる群から選択されてもよい。
【0017】
本発明の別の実施形態では、使用される不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウムであってもよい。
【0018】
本発明のまた別の実施形態では、撹拌は、1〜3日間実施されてもよい。
【0019】
本発明の更に別の実施形態では、反応媒質を中和するための無機クロリドは、塩化アンモニウムの群から選択してもよい。
【0020】
本発明のまた別の実施形態では、第1の有機溶媒は、トルエンであってもよい。
【0021】
本発明のまた別の実施形態では、第2の有機溶媒は、アセトンであってもよい。
【0022】
したがって、本発明は、N−ジ−プロピルエステルエーテル7を合成するためのプロセスであって、無機酸試薬、有機試薬、無機塩、有機塩の存在下でベンジル酸1及びアルコールを使用することを含み、前記プロセスが、前記触媒及び試薬の存在下にて、10〜200%の範囲のモル比の割合でN−プロピルアルコールと共にベンジル酸1を還流し、N−ジ−プロピルエステルエーテル7を粘性液体として生成することを更に含むプロセスを提供する。
【0023】
本発明の実施形態では、アルコールは、Nプロピルアルコールであってもよい。
【0024】
本発明の別の実施形態では、無機酸は硫酸であってもよい。
【0025】
更に別の実施形態では、有機試薬は、メタン硫酸であってもよい。
【0026】
また別の実施形態では、無機塩は、オキシ塩化リンであってもよい。
【0027】
本発明のまた更なる実施形態では、有機塩は、塩化チオニルであってもよい。
【0028】
本発明の実施形態では、エステルの収率は、少なくとも90%である。
【0029】
したがって、本発明は、純粋な塩酸プロピベリンを提供する。
【0030】
本発明の実施形態では、塩酸プロピベリンは、尿失禁の治療に使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本明細書に添付の図面の図1は、オランダ特許(オランダ特許第106643号)などのような、2段階エステル化を用いる従来技術を表す。図中(11)はベンジル酸であり、(12)はベンジル酸エステルであり、(13)はヒドロキシルエステル中間体である。化合段階(22)は、(12)及び(13)にヒドロキシル基が存在するため収率が低い段階を指す。その後この段階(22)は、段階(23)でのプロピベリンクロロ塩基の形成に結び付く。この段階は、(14)クロロ中間体及び(15)プロピベリン塩基の段階を含む。
【図2】中国特許第1285348号のような別の従来技術エステル化を表す図である。この図では、ベンジル酸(11)は、4−クロロ−Nメチルピペリジン(16)と反応して、ヒドロキシルエステル中間体(13)を生成する。この段階は(24)により表される。SOCl触媒作用下でのこの段階は、プロピルアルコール作用下でプロピベリン塩基(15)の形成に結び付くクロロエステル中間体(17)を含む段階(25)に更に結び付く。
【図3】韓国特許第20050011138号のような従来技術を表す図である。図3の(11)はベンジル酸であり、メチルアルコール及び酸の存在下でベンジル酸メチル(18)の形成に結び付く。(19)は、メチルベンジル酸プロピルであり、アルカリ加水分解下でベンジル酸プロピルエーテル(20)を形成する。これは、非常に低い原子経済性を有する、PhPOを生成する代表的なMitsubishi反応である段階(26)に結び付く。
【図4】韓国特許第20050011139号のような従来技術を表す図である。(11)は、ベンジル酸であり、アルコール酸の存在下で段階(27)に結び付き、段階(27)の(18)はベンジル酸メチルであり、プロピルアルコール及びジエチルアジドジカルボキシラート(DEAD)の作用下で(19)メチルベンジル酸プロピルに結び付き、更にプロピベリンHCI(21)の形成に結び付く。
【図5】本発明の実施形態としての塩酸プロピベリンの合成を表す図である。この図の(30)は、R=Hの場合はベンジル酸であり、R=CHの場合、この化学物質はベンジル酸メチルを表す。これは、Nプロピルアルコール、SOCl、及び有機酸の作用下で、R=プロピルの場合はプロピルエステルエーテルの形成に結び付き、R=CHの場合はメチルエステルエーテルの形成に結び付く。この化合物(31)は、触媒作用下でプロピベリン塩基に結び付き、これが塩素付加されると、プロピベリンHCl(21)が産出される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書で開示された合成スキーム(図5)では、ベンジル酸1は、公知の標準的方法でジ−プロピルエステルエーテル7に直接変換される。これは、韓国特許第20050011138号における従来技術方法の光延反応のような、いかなる複雑な反応も必要とせず/多量の廃棄物を生成しない。このようにして得られた中間体を、室温にてナトリウムt−ブトキシドの存在下でN−メチル4−ヒドロキシピペリジンと反応させて、プロピベリン塩基5を得る。その後これを、最終的に塩酸プロピベリンに変換する。
【0033】
N−ジ−プロピルエステルエーテル(2,2,ジフェニル−2−プロピルオキシ−プロピルアセテート)7の合成。
図5に関して、R=H、R’=O−プロピルの場合
N−ジ−プロピルエステルエーテル7は、硫酸、メタン硫酸、オキシ塩化リン、PCl5、塩化チオニルなどの試薬の存在下でベンジル酸1及び過剰N−プロピルアルコールを使用して、ほぼ80〜95%の収率で古典的合成法で合成される。このように、ベンジル酸1(1kg)を、塩化チオニル(1.15kg)の存在下で6LtのN−プロピルアルコールと共に10時間還流する。10時間後、過剰n−プロピルアルコールを真空下で蒸留する。その結果生じた残渣を、10%炭酸ナトリウム溶液で洗浄してpHを中性にし、トルエン(3Lt)で抽出した。トルエンを減圧下で除去し、唯一の生成物としてベンジル酸プロピルエステルエーテル7を、ほぼ90%の収率(1.23kg)で粘性液体として得る。
【0034】
得られた化合物のNMRスペクトルは以下の通りである:
1H NMR(CDCl):7.50〜7.40&7.35〜7.25(2 多重線、10H)、4.12(t、2H)、3.19(t、2H)、1.70〜1.50(3、4H)、0.93(t、3H)、0.81(t、3H)。
13C NMR(CDCl):172.01、141.30、128.45、127.70、86.43、66.95、66.92、23.23、21.84、10.66、10.33。
【0035】
別の実施形態の手順では、ベンジル酸(1kg)1を、80〜110℃にてPCl5(1.82kg)で4時間処理する。このようにして得た残渣を、塩化チオニル(1.15kg)の存在下で6LtのN−プロピルアルコールと共に10時間還流する。10時間後、過剰n−プロピルアルコールを真空下で蒸留する。その結果生じた残渣を、10%炭酸ナトリウム溶液で洗浄してpHを中性にし、トルエン(3Lt)で抽出した。トルエンを減圧下で除去し、唯一の生成物としてベンジル酸プロピルエステルエーテル7を、ほぼ88%の収率(1.20kg)で粘性液体として得る。得られた化合物のNMRスペクトルは上記の通りである。別の実験で、ベンジル酸1(1kg)を、6LtのN−プロピルアルコールと共にオキシ塩化リン(1.50kg)で24時間還流する。このようにして得られた反応混合物を上記のように処理し、唯一の生成物としてN−ジ−プロピルエステルエーテル7をほぼ90%の収率(1.23kg)で粘性液体として得る。NMRは、上記の記載と同じである。
【0036】
ベンジル酸メチルエステル(0.241kg)を、塩化チオニル(125g)で処理し、50〜60℃で3時間加熱する。その結果生じたクロロ化合物を、n−プロピルアルコール(6Lt)と共に10時間還流する。10時間後、過剰n−プロピルアルコールを真空下で蒸留する。その結果生じた残渣を、10%炭酸ナトリウム溶液で洗浄してpHを中性にし、トルエン(3Lt)で抽出した。トルエンを減圧下で除去し、唯一の生成物としてベンジル酸プロピルエステルエーテル7(R’=OCH3)を、ほぼ88%の収率(1.20kg)で粘性液体として得る。得られた化合物のNMRスペクトルは、化合物7(R’=OCH3を有する)と同一である。
【0037】
以下の例は、例示のために示されているに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0038】
プロピベリン塩基及び塩酸塩の合成
実施例1
7(1.23kg)を、N−メチル−4−ピペリジノール(3kg)並びに触媒量のカリウムt−ブトキシド(246g)及び塩化テトラブチルアンモニウム(50g)で処理し、室温にて3日間窒素下で撹拌する。3日間の終わりで、TLC薄層クロマトグラフィー(1:1、アセトン:クロロホルム)は、ほぼ80〜90%の反応変換率を示す。TLCが十分であれば、塩化アンモニウム(400g)を添加してpHをほぼ中性にする。過剰N−メチル−4−ピペリジノールを、約5mmの圧力の高真空下で回収する。このようにして得られた残渣を、トルエン(4Lt)で抽出し、水(2Lt)で3回洗浄する。トルエンを減圧下で除去して、1.5kgの粗生成物(ほぼ100%)を得た。残渣をアセトン(1:6〜7)に溶解し、チャコール処理し(charcolizing)(10重量%)、塩酸で処理することにより、これを塩酸プロピベリンに変換し、216〜218℃で融解し、99.00〜100.00%のアッセイ及び99.50%を超えるHPLC純度を有する、0.9kg〜1.25kgのほぼ白色のプロピベリンHClを得ることができる。
【0039】
この化合物について得られたNMRスペクトルは以下の通りである。
1H NMR(CDCl):12.30&12.40(ブロード一重線、1H)、7.45〜7.25(2 多重線、10H)、5.14、5.00(2 ブロード多重線、1H)、3.23(三重線、2H)、2.48(二重線、3H)、1.62(五重線、2H)、0.91(三重線、3H)、3.07、3.03、2.45、2.1701.88(5 多重線、8H)。
13C NMR(CDCl):170.34、140.80、128.33、127.83、128.17、86.3、67.03、64.75、48.85、43.45、26.57、23.18、10.64。
【0040】
実施例2
ベンジル酸(1kg)1を、80〜110℃にてPCl5(1.82kg)で4時間処理する。このようにして得られた残渣を、塩化チオニル(1.15kg)の存在下で6LtのN−プロピルアルコールと共に10時間還流する。10時間後、過剰n−プロピルアルコールを真空下で蒸留する。その結果生じた残渣を、10%炭酸ナトリウム溶液で洗浄してpHを中性にし、トルエン(3Lt)で抽出した。トルエンを減圧下で除去し、唯一の生成物としてベンジル酸プロピルエステルエーテル7を、ほぼ88%の収率(1.20kg)で粘性液体として得る。得られた化合物のNMRスペクトルは上記の通りである。別の実験で、ベンジル酸1(1kg)を、6LtのN−プロピルアルコールと共にオキシ塩化リン(1.50kg)で24時間還流する。このようにして得られた反応混合物を上記のように処理し、唯一の生成物としてN−ジ−プロピルエステルエーテル7をほぼ90%の収率(1.23kg)で粘性液体として得た。(1.23Kg)のエステルエーテルを、上記のようにN−メチル−4−ピペリジノール(3kg)と反応させ、上記のように処理して、99〜100%のアッセイを有する約0.88kgの塩酸プロピベリンを得た。
【0041】
実施例3
ベンジル酸メチルエステル(0.241kg)を、塩化チオニル(125g)で処理し、50〜60℃で3時間加熱する。その結果生じたクロロ化合物を、n−プロピルアルコール(6Lt)と共に10時間還流する。10時間後、過剰n−プロピルアルコールを真空下で蒸留する。その結果生じた残渣を、10%炭酸ナトリウム溶液で洗浄してpHを中性にし、トルエン(3Lt)で抽出した。トルエンを減圧下で除去し、唯一の生成物としてベンジル酸プロピルエステルエーテル7(R’=OCH3)を、ほぼ88%の収率(1.20kg)で粘性液体として得る。実施例3から得られた7(1.23kg)を、上記のようにN−メチル−4−ピペリジノール(3kg)と反応させ、上記のように処理して、99〜100%のアッセイを有する約0.89kgの塩酸プロピベリンを得た。
【0042】
実施例4:
7(1.23kg)を、N−メチル−4−ピペリジノール(3kg)並びに触媒量のナトリウムt−ブトキシド(250g)及び塩化テトラブチルアンモニウム(50g)で処理し、室温にて3日間窒素下で撹拌する。3日間の終わりで、TLC薄層クロマトグラフィー(1:1、アセトン:クロロホルム)は、ほぼ80〜90%の反応変換率を示す。TLCが十分であれば、塩化アンモニウム(400g)を添加してpHをほぼ中性にする。過剰N−メチル−4−ピペリジノールを、約5mmの圧力の高真空下で回収する。このようにして得られた残渣を、トルエン(4Lt)で抽出し、水(2Lt)で3回洗浄する。トルエンを減圧下で除去して、1.5kgの粗生成物(ほぼ100%)を得た。残渣をアセトン(1:6〜7)に溶解し、チャコール処理し(10重量%)、塩酸で処理することにより、これを塩酸プロピベリンに変換し、216〜218℃で融解し、99.00〜100.00%のアッセイ及び99.50%を超えるHPLC純度を有する、0.9kg〜1.20kgのほぼ白色のプロピベリンHClを得ることができる。
【0043】
実施例5:
7(1.23kg)を、N−メチル−4−ピペリジノール(3kg)並びに触媒量のナトリウムt−ブトキシド(250g)及び臭化トリフェニルホスホニウム(50g)で処理し、室温にて3日間窒素下で撹拌する。3日間の終わりで、TLC薄層クロマトグラフィー(1:1、アセトン:クロロホルム)は、ほぼ80〜90%の反応変換率を示す。TLCが十分であれば、塩化アンモニウム(400g)を添加してpHをほぼ中性にする。過剰N−メチル−4−ピペリジノールを、約5mmの圧力の高真空下で回収する。このようにして得られた残渣を、トルエン(4Lt)で抽出し、水(2Lt)で3回洗浄する。トルエンを減圧下で除去して、1.5kgの粗生成物(ほぼ100%)を得た。残渣をアセトン(1:6〜7)に溶解し、チャコール処理し(10重量%)、塩酸で処理することにより、これを塩酸プロピベリンに変換し、216〜218℃で融解し、99.00〜100.00%のアッセイ及び99.50%を超えるHPLC純度を有する、0.9kg〜1.20kgのほぼ白色のプロピベリンHClを得ることができる。
【0044】
実施例6
7(1.23kg)を、N−メチル−4−ピペリジノール(3kg)並びに触媒量のナトリウムt−ブトキシド(250g)及びポリエチレングリコール−400(50g)で処理し、室温にて3日間窒素下で撹拌する。3日間の終わりで、TLC薄層クロマトグラフィー(1:1、アセトン:クロロホルム)は、ほぼ80〜90%の反応変換率を示す。TLCが十分であれば、塩化アンモニウム(400g)を添加してpHをほぼ中性にする。過剰N−メチル−4−ピペリジノールを、約5mmの圧力の高真空下で回収する。このようにして得られた残渣を、トルエン(4Lt)で抽出し、水(2Lt)で3回洗浄する。トルエンを減圧下で除去して、1.5kgの粗生成物(ほぼ100%)を得た。残渣をアセトン(1:6〜7)に溶解し、チャコール処理し(10重量%)、塩酸で処理することにより、これを塩酸プロピベリンに変換し、216〜218℃で融解し、99.00〜100.00%のアッセイ及び99.50%を超えるHPLC純度を有する、0.9kg〜1.20kgのほぼ白色のプロピベリンHClを得ることができる。
【0045】
本発明の主な利点は以下の通りである:
1.本発明は、純粋な塩酸プロピベリンをもたらす。
2.本プロセスは、最終生成物の高い全収率をもたらす。
3.本プロセスは、必要に応じて規模拡大が容易である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩酸プロピベリンを合成するためのプロセスであって、N−ジ−プロピルエステルエーテル7を含み、前記エステルを、不活性ガス下にて長期間絶えず撹拌しながらN−メチル−4−ピペリジノール及び触媒で処理し、前記反応の終了時に無機クロリドを添加してpHを中性にし、前記反応物を真空にかけて過剰N−メチル−4−ピペリジノールを回収して残渣を得、前記残渣を第1の有機溶媒で更に抽出し、水で洗浄し、前記抽出の後、減圧下で前記残渣を処理して有機溶媒を除去し、粗生成物を得、前記粗生成物を第2の有機溶媒に溶解し、チャコール処理し、塩酸で処理することにより更に処理して、塩酸プロピベリンを得るプロセス。
【請求項2】
使用される前記触媒が、相間移動触媒を伴うカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシドである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記相間移動触媒が、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラホスホニウム、ポリエチレングリコール、アンモニウム、又はホスホニウム塩からなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、ヘリウムである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記撹拌が、1〜3日間実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応媒質を中和するための前記無機クロリドが、塩化アンモニウムである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1の有機溶媒がトルエンである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第2の有機溶媒がアセトンである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1に記載のN−ジ−プロピルエステルエーテル7を合成するためのプロセスであって、無機酸試薬、有機試薬、無機塩、塩化チオニルの存在下でベンジル酸1及びアルコールを使用することを含み、前記触媒及び試薬の存在下にて、10〜200%の範囲のモル比の割合でN−プロピルアルコールと共にベンジル酸1を還流し、N−ジ−プロピルエステルエーテル7を粘性液体として生成することを更に含むプロセス。
【請求項10】
前記アルコールが、Nプロピルアルコールである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
アルコールが、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、及びそれらの任意の組合せと混合される、請求項9及び請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
無機酸が硫酸である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
前記無機塩がオキシ塩化リンである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
前記エステルの収率が、少なくとも90%である、請求項9に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−530050(P2012−530050A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514558(P2012−514558)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051911
【国際公開番号】WO2011/114195
【国際公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(511288142)
【氏名又は名称原語表記】ANDAGAR RAMAKRISHNA,Ramesha
【住所又は居所原語表記】No 15,R L Fine Chem,KHB Industrial Area,Yelahanka New Town,Bangalore 560 106 India
【出願人】(511288164)
【氏名又は名称原語表記】ROY,Anjan Kumar
【住所又は居所原語表記】No 15,R L Fine Chem,KHB Industrial Area,Yelahanka New Town,Bangalore 560 106 India
【Fターム(参考)】