説明

塵埃画像防止装置およびそれを用いたカメラ及び画像機器

【課題】デジタルカメラ、液晶プロジェクター等の映像機器において、画像生成のための光学部材に塵埃等が付着したままとならず、塵埃等の影が画像として写りこむことが無いようにした映像機器を提供することにある。
【解決手段】光学画像を光電変換するCCD27と、このCCD27の前面側に配設されている防塵フィルタ21と、この防塵フィルタ21に沿って略平行方向に相対移動するさいに、正又は負の電荷でもってこの防塵フィルタ21に付着した塵埃を集塵する集塵板403を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成用の画像機器の光路中に配置され、画像形成用光線の通過する光学素子に付着する塵埃を除去し、画像に塵埃が写り込むことを防止するようにした塵埃画像防止装置に関する。より具体的には、光電変換面上に照射された光に応じて画像信号を得る撮像素子を備えた電子撮像装置、例えばレンズ交換可能な一眼レフレックス式デジタルカメラ等の電子撮像装置、あるいは液晶表示素子に表示された画像をスクリーンに投影する液晶プロジェクター等に適した塵埃画像防止装置およびそれを用いたカメラ及び画像機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ本体に対して撮影光学系を着脱自在となるように構成し、ユーザが所望する撮影光学系を任意に着脱・交換することで、ひとつのカメラ本体に対して複数種類の撮影光学系を選択的に使用し得るように構成した所謂「レンズ交換可能な」デジタルカメラが、一般に実用化されている。このようなレンズ交換可能なデジタルカメラにおいて、撮影光学系をカメラ本体から取り外した際に撮影光学系の取り付け部から外界の塵埃がカメラ内部に侵入したりする。また、カメラ本体内部には、例えばシャッタ・絞り機構等の機械的に動作する各種機構が配置されていることから、これら各種の機構等からその動作中にゴミ等が発生する場合がある。近年、デジタルカメラ等の映像機器の画質が大変向上してきている。そのため、それら映像機器の画像を生成する光学系の光路中の光学素子に塵埃が付着し、生成する画像に塵埃の影を画像に生じさせてしまうといったことが、大きな問題となっている。また、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶表示素子等の画像を光源と投影光学系を用いてスクリーン上に拡大投影し、映像を観賞するといった液晶プロジェクターも実用化されているが、液晶表示素子等の表面に塵埃が付着し、塵埃の影がスクリーンに投影されてしまうことが発生することもあった。
【0003】
このようなデジタルカメラや液晶プロジェクター等の画像機器における光学素子に付着する塵埃の除去について種々の提案がなされている。このようなものとして、デジタルカメラの撮像素子の光電変換面側を封止・保護する防塵部材を備え、撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑制すると共に、防塵部材の外面側に付着する塵埃等に対しては、加振手段によって防塵部材に所定の振幅の振動を与え、これを除去するデジタルカメラが提案されている(特許文献1)。この先行技術によれば、小型かつ簡単な機構によって撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑制すると共に、防塵部材の外面側に付着する塵埃等を容易に除去し得るレンズ交換可能な形態のデジタルカメラを構成することができる。
【0004】
また、光学部材の表面に透明導電膜を形成して、導電膜に正電位あるいは負電位を与えて同じ極性に帯電した塵埃を除去する光学部品が提案されている(特許文献2)。
さらに、カメラ本体中にイオナイザーを設け、撮影レンズとCCD(Charge Coupled Devices)エリアセンサの間に配設されたフィルタ類の表面の帯電電荷を発生イオンにより中和することにより、塵埃のフィルタ類への付着を防止する構成が提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−204379
【特許文献2】特開平5−107405
【特許文献3】特開2001−358974
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された構成では、振動による塵埃除去は振動による慣性力により行われるため塵埃が微小な場合に質量が小さくなり、除去することが困難である。また、塵埃自体に大きな電荷を持つ場合は、その電気引力により強く付着しており、光学素子からの塵埃の除去も困難であり、撮像素子に影を生じて画像に写り込んでしまうことがあった。特許文献2のような構成では導電膜に電位を与えることにより、塵埃に誘電電荷を発生させて導電膜近辺の塵埃を逆に導電膜側に引きつけて表面に付着させてしまうといった問題が生じてしまう。さらに、特許文献3に示された構成では、イオナイザーと言った複雑な装置をカメラ内に設ける必要があり、カメラが大型化し、またイオナイザーを作動させてから実際に塵埃の電荷を中和させて塵埃を除去するまでに時間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、デジタルカメラ、液晶プロジェクター等の画像機器において、画像生成のための光学部材に塵埃等が付着したままとならず、塵埃等の影が画像として写りこむことが無いようにした映像機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1の発明に係わる画像機器は、光学的な画像を生成する画像機器の光学画像が生成される画像面と、上記画像面に対応する領域が透明部をなし、この透明部が上記画像面に対し所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、上記防塵部材に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板とを具備することを特徴とする。
また、第2の発明に係わる画像機器は、上記第1の発明において、上記画像面と上記防塵部材との両者が対向して形成される部位に、略密閉された空間部を構成すべく上記画像面及び上記防塵部材の周縁側で上記空間部を封止するように構成された封止構造部を具備することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために第3の発明に係わるカメラは、自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子と、上記光電変換面に対応する領域が透明部をなし、この透明部が上記撮像素子の前面側に所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、上記防塵部材に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板と、上記撮像素子と上記防塵部材との両者が対向して形成される部位に、略密閉された空間部を構成すべく上記撮像素子及び上記防塵部材の周縁側で上記空間部を封止するように構成された封止構造部と、上記撮像素子の光電変換面上に結像された像に対応するものとして当該撮像素子から得られた画像信号を記録に適合する形態の信号に変換するための画像信号処理回路を具備することを特徴とする。
また、第4の発明に係わるカメラは、上記第3の発明において、上記集塵板は、上記撮像素子への光路を開閉するシャッタに連動して動作することを特徴とする。
さらに第5の発明に係わるカメラは、上記第3の発明において、撮影レンズを装着するための撮影レンズ装着部を、さらに有し、上記撮影レンズは、上記撮影レンズ装着部において着脱可能であることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために第6の発明に係わる画像機器は、光学的な画像を生成する画像機器の光学画像が生成される画像面と、上記画像面に対応する領域が透明部をなし、この透明部が上記画像面に対し所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、上記防塵部材に振動を与える加振部材と、上記防塵部材面に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板とを具備することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために第7の発明に係わるカメラは、自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子と、全体として円形乃至多角形の板状をなし少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部をなし、この透明部が上記撮像素子の前面側に所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、上記防塵部材に振動を与える加振部材と、上記防塵部材面に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板と、上記撮像素子と上記防塵部材との両者が対向して形成される部位に、略密閉された空間部を構成すべく上記撮像素子及び上記防塵部材の周縁側で上記空間部を封止するように構成された封止構造部と、上記撮像素子の光電変換面上に結像された像に対応するものとして当該撮像素子から得られた画像信号を記録に適合する形態の信号に変換するための画像信号処理回路を具備することを特徴とする。
上記目的を達成するために第8の発明に係わる塵埃画像防止装置は、光学画像が生成される画像面を有する画像機器の塵埃画像防止装置であって、上記画像面に対応する領域が透明部をなし、この透明部が上記画像面に対し所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、上記防塵部材に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光学素子面に沿って負、又は、正の電荷で帯電した集塵板を移動させることにより塵埃を除塵するようにしたことで、画像生成のための光学部材に塵埃等が付着したままとならず、塵埃等の影が画像として写りこむことが無いようにした塵埃画像防止装置およびそれを用いたカメラ及び画像機器を提供することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に具体的に例示する本発明に係わる画像機器は、光電変換によって画像信号を得る撮像素子ユニットの映像をつくる光学系(撮影レンズ等)と像の間に存在し、塵埃が付着すると、像に塵埃の影を生成する光学素子の塵埃を除去する塵埃除去機構を有するものである。ここでは一例として電子カメラ(以下「カメラ」と略称する)の塵埃画像防止に係わる改良技術として説明する。特にレンズ交換可能な一眼レフレックス式電子カメラ(デジタルカメラ)を取り上げ、その第1実施形態を図1〜図22に基づき説明する。
最初に、本実施形態のカメラについて、その概略的な構成について説明する。図1及び図2は本実施形態に係わるカメラ1の構成を示している。図1はカメラ1の一部を切断してその機械的な内部構造を概略的に示す斜視図であり、図2はカメラ1の主に電気的な構成を概略的に示すブロック構成図である。
【0013】
まず図1に基づき、カメラ1の外観と機械的構造について説明する。本実施形態に係わるカメラ1は、それぞれが別体に構成されるカメラ本体部11及びレンズ鏡筒12とを有し、それぞれは互いに着脱自在に構成されている。レンズ鏡筒12は内部に複数のレンズを有する撮影光学系12aと、その駆動機構等を備えている。この撮影光学系12aは、被写体からの光束を透過させ、この被写体光束によって形成される被写体像を所定の位置(後述する撮像素子としてのCCD27の光電変換面(受光面)上)に結像せしめるように例えば複数の光学レンズ等によって構成される。そしてレンズ鏡筒12は、カメラ本体部11の前面に向けて突出するように装着される。なお、このレンズ鏡筒12については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様のものが適用される。したがって、その詳細な構成についての説明は省略する。
【0014】
カメラ本体部11は、内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ撮影光学系12aを保持するレンズ鏡筒12を着脱自在となるように配設するための連結部材である撮影光学系装着部11aをその前面に備えて構成された、所謂「一眼レフレックス方式」のカメラである。カメラ本体部11の前面側の略中央部には、被写体光束を当該カメラ本体部11の内部へと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成され、この露光用開口の周縁部に撮影光学系装着部11aが形成されている。また、カメラ本体部11の上部外面には露出モード、シャッタ速度、絞り値等を表示するとともに、以下に述べる防塵部材の動作を表示させるための動作表示LED(Light Emitting Diode)51aあるいは動作表示LCD(Light Crystal Display)51等で構成される表示部を有している。
【0015】
カメラ本体部11の外面側には、その前面に上述の撮影光学系装着部11aが配設されているほか、上面部や背面部等の所定の位置にカメラ本体部11を動作させるための各種の操作部材、例えば撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。これらの操作部材については、本発明とは直接関連しない部分であるので、図面の煩雑化を避けるために、レリーズボタン17以外の操作部材については、その図示及び説明を省略する。
【0016】
カメラ本体部11の内部には、図1に示す如くの各種の構成部材、例えば、撮影光学系12aによって形成される被写体像を光電変換するための撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Devices)27(図2、図3参照)を有する撮像ユニット15と、撮影光学系12aによって形成される被写体像をCCD27の光電変換面とは異なる所定位置に形成するための、いわゆる「観察光学系」を成すファインダ装置13と、CCD27の光電変換面への被写体光束の照射時間等を制御するために被写体光束の光路を開閉するシャッタ機構等を備えたシャッタ部14と、CCD27により取得した画像信号に対して各種の信号処理を施す画像信号処理回路等の電気回路を成す各種の電気部材が実装された主回路基板16を始めとする複数の回路基板(図1では主回路基板16のみを図示)等が、それぞれ所定位置に配設されている。
撮像ユニット15は、CCD(Charge Coupled Devices)27(図2、図3参照)を固定する撮像素子固定板28と、撮影光学系12a及びこのシャッタ部14を通過した被写体光束に基づき形成される被写体像に対応した画像信号を得る撮像手段であり、光電変換素子であるCCD27及びこのCCD27の光電変換面の前面側の所定位置に配設され当該光電変換面への塵埃等の付着を防止する光学素子であり防塵部材であって、フィルタ手段である防塵フィルタ21(詳細後述)等を有する。
さらに、カメラ本体部11の内部には、上記撮像ユニット15のシャッタ部側であって、防塵フィルタ21の前面に防塵フィルタ21と対向する面に電荷を発生させて防塵フィルタ21の面に付着した塵埃を電荷の電気引力で引き付けて集塵する集塵板403が配置されている。
なお、本実施形態では、撮像素子として、CCD27を用いているが、これに限らず、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等、被写体像を光電変換し、イメージ信号を取得できる素子であれば良いことは勿論である。
【0017】
ファインダ装置13は、撮影光学系12aを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導くように構成された反射鏡13bと、この反射鏡13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aにより形成される像を拡大して観察するに最適な形態の像を結像させる接眼レンズ13c等によって構成されている。反射鏡13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する位置とこの光軸上の所定の位置との間で回動自在に構成され、通常状態では、撮影光学系12aの光軸上にて当該光軸に対して所定角度、例えば角度45°に配置されている。これにより、撮影光学系12aを透過した被写体光束は、カメラ1が通常状態にある際は、反射鏡13bによってその光軸が折り曲げられ、反射鏡13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へ反射されるようになっている。
【0018】
カメラ1が撮影動作を行うにあたって、その実露光動作中には、反射鏡13bが撮影光学系12aの光軸から退避する所定位置に移動する。これによって被写体光束は、CCD27に導かれ、その光電変換面に被写体像が照射される。シャッタ部14は、例えばフォーカルプレーン方式のシャッタ機構や、このシャッタ機構の動作を制御する駆動回路等、従来のカメラ等で一般的に利用されているものと同様の機構を採用しており、その詳細な構成についての説明は省略する。
【0019】
次に、本発明の第1実施形態のカメラのシステム構成について図2に示すブロック図を用いて説明する。このカメラシステムは、カメラ本体部11と、アクセサリ装置(以下「アクセサリ」と略称する)としての交換レンズであるレンズ鏡筒12などからシステム構成されている。なお、カメラ本体部11に装着可能な外部電源や外付けのストロボユニット等ともシステム構成することは可能であるが、ここでは省略してある。
【0020】
ユーザが装着を希望するレンズ鏡筒12は、カメラ本体部11の前面に設けられた撮影光学系装着部11aを介して着脱自在に装着される。記録メディア39は、カメラ本体部11の内部に装着可能な各種のメモリカードや外付けのHDD等の外部記録媒体であり、図示しない通信コネクタを介してカメラ本体部11と通信可能かつ交換可能に接続される。レンズ鏡筒12の制御はレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下”Lμcom”と称する)5が行なう。カメラ本体部11の制御はボディ制御用マイクロコンピュータ(以下“Bμcom”と称する)50が行なう。尚、これらLμcom5とBμcom50とは、カメラ本体部11にレンズ鏡筒12が装着された状態において通信コネクタ6を介して通信可能に電気的接続がなされる。そしてカメラシステムとしてLμcom5がBμcom50に従属的に協働しながら稼動するようになっている。レンズ鏡筒12内には撮影光学系12a、これを保持するレンズ枠201と絞り3が設けられている。撮影光学系12aはレンズ駆動機構2内に設けられた図示しないDCモータによって駆動される。絞り3は絞り駆動機構4内に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動される。Lμcom5はBμcom50の指令に従ってこれら各モータを制御する。
【0021】
カメラ本体部11内には次の構成部材が図示のように配設されている。例えば、光学系としての一眼レフ方式の構成部材(ペンタプリズム13a、反射鏡13b、接眼レンズ13c、サブミラー13d、フォーカシングスクリーン13e)と、光軸上のフォーカスプレーン式のシャッタ部14と、上記サブミラー13dからの反射光束を受けて自動測距する為のAFセンサユニット30aが設けられている。また、このAFセンサユニット30aを駆動制御するAFセンサ駆動回路30bと、反射鏡13bを駆動制御するミラー駆動機構18と、シャッタ部14の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構19と、シャッタ先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路31と、測光センサ32aを含み、ペンタプリズム13aからの光束に基づき被写体輝度等の測定を行う測光回路32が設けられている。
【0022】
撮影光学系12aの光軸上には、この光学系を通過した被写体像を光電変換するための光電変換素子としてのCCD27が設けられている。このCCD27と撮影光学系12aとの間には、光学素子としての防塵フィルタ21が設けたれており、CCD27は、これによって保護されている。防塵フィルタ21の周縁部には、防塵フィルタ21を所定の周波数で振動させる加振手段の一部として、例えば振動部材としての振動部材22が、取り付けられている(図3、図4参照)。また、振動部材22は周波電圧を印加できるように構成され、この振動部材22が加振手段の一部としての防塵フィルタ駆動回路48によって防塵フィルタ21を振動させ、そのフィルタ表面に付着していた塵を除去できるとともに、振動では除去できない固着した塵埃の影を薄くするように構成されている。よって、このカメラシステムはいわゆる「防塵機能付きカメラ」に属する基本構造をもつ電子カメラである。なお、CCD27の周辺の温度を測定するために、防塵フィルタ21の近傍には、温度測定回路(不図示)が設けられている。防塵フィルタ21に付着した塵埃を除去するために、集塵機構駆動回路401、集塵制御回路402、集塵板403、保持箱414が設けられているが、これらについては後述する。
【0023】
このカメラシステムは、さらにCCD27に接続したCCDインターフェース回路34、液晶モニタ35、記憶領域として設けられたSDRAM38a、FlashROM38bおよび記録メディア39などを利用して画像処理する画像処理コントローラ40が設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性記憶手段として例えばEEPROMから成る不揮発性メモリ29が、Bμcom50からアクセス可能に設けられている。
【0024】
Bμcom50には、カメラ1の動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD51と動作表示用LED51a、および後述するカメラ操作スイッチ52(以下、スイッチは「SW」と略す)が接続されている。ここで動作表示用LED51aは防塵フィルタ駆動回路48が動作している期間、防塵フィルタ21の振動動作を表示する。上記カメラ操作SW52は、例えばレリーズSW、モード変更SWおよびパワーSWなど、カメラ1を操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。さらに、電源としての電池54と、この電源の電圧を、当該カメラシステムを構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路53が設けられている。なお、外部電源がジャック等を介して電源供給されたときに、この電圧変化を検知する電圧検出回路を併設してもよい。内蔵ストロボ301は、図示しない閃光発光管、DC/DCコンバータを含み、ストロボ制御回路302に接続され、Bμcom50の制御信号を受け、閃光発光を行う。
【0025】
上述の如く構成されたカメラシステムの各部は次のように動作する。まず画像処理コントローラ40は、Bμcom50の指令に従ってCCDインターフェース回路34を制御してCCD27から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ40でビデオ信号に変換され、液晶モニタ35にて出力表示される。ユーザはこの液晶モニタ35の表示画像から、撮影した画像イメージを確認できる。SDRAM38aは画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。またこの画像データはJPEGデータに変換された後には記録メディア39に保管されるように設定されている。
【0026】
CCD27は、透明な防塵フィルタ21によって保護されている。この防塵フィルタ21の周縁部にはそのフィルタ面を加振するための振動部材22が配置され、この振動部材22は、駆動手段としても働く防塵フィルタ駆動回路48によって駆動される。CCD27は、防塵フィルタ21を一面とし、囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。温度は振動部材22の弾性係数に、通常、影響し、その固有振動数を変化させる要因の1つであるため、動作時にその温度を計測してその固有振動数の変化を考慮しなければならない。この例の場合、温度測定回路に接続されたセンサ(不図示)が、CCD27の周辺温度を測定するため設けられている。尚、そのセンサの温度測定ポイントは、振動部材22の極近傍に設定されるのが好ましい。
【0027】
ミラー駆動機構18は、反射鏡13bを上昇(UP)位置と下降(DOWN)位置に駆動するための機構であり、この反射鏡13bがDOWN位置にある時、撮影光学系12aからの光束はAFセンサユニット30aとペンタプリズム13aに分割されて導かれる。AFセンサユニット30a内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路30bを介してBμcom50へ送信されて周知の測距処理が行われる。また、ペンタプリズム13aに隣接する接眼レンズ13cからはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム13aを通過した光束の一部は測光回路32内の測光センサ32aに導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
【0028】
続いて、本第1実施形態のカメラ1におけるシャッタ部14、シャッタチャージ機構19、CCD27、光学ローパスフィルタ25、防塵フィルタ21等からなる撮像ユニット15の詳細構造について以下に説明する。図3は、本実施形態のカメラ1における撮像ユニット15の一部を取り出し、これの要部を示す要部分解斜視図である。図4は撮像ユニット15の組立状態における、図1のY軸Z軸(レンズの光軸と一致)を含む切断面に沿う断面図である。なお、本第1実施形態のカメラ1の撮像ユニット15は、上述したようにCCD27を含む複数の部材で構成されるユニットであるが、図3及び図4では、その主要部を図示するに留めている。また、各構成部材の位置関係を示すため図3および図4では、画像信号処理回路やワークメモリ等から成る撮像系の電気回路が実装される主回路基板16も合わせて図示している。尚、この主回路基板16については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものが適用されるものとして、その詳しい説明は省略する。
【0029】
撮像ユニット15は、撮影光学系12aを透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得るCCD27と、このCCD27を固定支持する薄板状の部材から成る撮像素子固定板28と、CCD27の光電変換面の側に配設され、撮影光学系12aを透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くべく形成される光学的ローパスフィルタ(Low Pass Filter;以下「光学LPF」と称す)25と、光学LPF25とCCD27との間の周縁部に配置され、略枠形状の弾性部材等によって形成されるローパスフィルタ受け部材26を有している。また、撮像ユニット15は、CCD27を固定保持する撮像素子固定板28をビスにより固定すると共に、ローパスフィルタ受け部材26を介して光学LPF25をCCD27とで挟み込むことにより光学LPF25を固定保持する撮像素子収納ケース部材24(以下「CCDケース24」と称す)と、このCCDケース24の前面側に配置され防塵部材としての防塵フィルタ21に一方の開口部を密着し、他方の開口をCCDケース24の四角形開口部外周壁に密着して光学LPF25と防塵フィルタ21とで挟まれた空間を密閉する防塵フィルタ受け部材23を有している。さらに、撮像ユニット15は、CCDケース24に設けられた半球状のくぼみ24hに保持されたボール24gと、防塵フィルタ21を半球状の突起20aによりボール24gに押圧する押圧部材20と、CCD27の光電変換面の側であって光学LPF25の前面側において当該光学LPF25との間にボール24gにより所定の間隔を持つ所定の位置に対向配置される防塵部材である防塵フィルタ21を有している。さらに、撮像ユニット15は、防塵フィルタ21の周縁部に配設され当該防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えるための加振手段であり加振用部材であって、例えば電気機械変換素子22aをアルミ、ステンレス等の振動減衰の小さい弾性部材22bに固着し、突起22cを防塵フィルタ21に固着させた振動部材22と、この振動部材22を駆動する駆動回路である防塵フィルタ駆動回路48(図2参照)等によって構成されている。
【0030】
撮像手段であるCCD27は、撮影光学系12aを透過した被写体光束を自己の光電変換面に受けて光電変換処理を行なう。CCD27は、撮像素子固定板28を介して主回路基板16上の所定の位置に実装されている。この主回路基板16には、上述の如くに画像信号処理回路及びワークメモリ等が共に実装され、CCD27からの出力信号、即ち光電変換処理により得られた画像信号が処理される。前述のCCDケース24には、略中央部分に矩形状から成る開口24cが設けられ、この開口24cには、その後方側から光学LPF25及びCCD27が配設されている。上述の如く、光学LPF25とCCD27との間には、弾性部材等から成るローパスフィルタ受け部材26が配設されている。このローパスフィルタ受け部材26は、CCD27の前面側の周縁部にてその光電変換面の有効範囲を避ける位置に配設され、かつ光学LPF25の背面側の周縁部近傍に当接するようになっている。そして光学LPF25とCCD27との間を略気密性が保持されるように構成している。これにより、光学LPF25にはローパスフィルタ受け部材26による光軸方向への弾性力が働く。
【0031】
光学LPF25の前面側の周縁部を、CCDケース24の段部24aに対して略気密的に接触させるように配置することで、当該光学LPF25をその光軸方向に変位させようとするローパスフィルタ受け部材26による弾性力に抗して当該光学LPF25の光軸方向における位置を規制するようにしている。換言すれば、CCDケース24の開口24cの内部に背面側より挿入された光学LPF25は、段部24aによって光軸方向における位置規制がなされている。これにより、当該光学LPF25は、CCDケース24の内部から前面側へ向けて外部に抜け出ないようになっている。ここでCCDケース24の段部24aと光学LPF25の、前面側の周縁部との間にローパスフィルタ受け部材26と同様な弾性材料からなる環状シートを挟み込んでより気密性を高めても勿論良い。
【0032】
このようにして、CCDケース24の開口24cの内部に背面側から光学LPF25が挿入された後、光学LPF25の背面側には、CCD27が配設されるようになっている。光学LPF25とCCD27との間には、周縁部においてローパスフィルタ受け部材26が挟持される。また、CCD27は、上述したように撮像素子固定板28を挟んで主回路基板16に実装されている。そして、撮像素子固定板28は、CCDケース24の背面側からネジ孔24eに対してネジ28bによってスペーサ28aを介して固定されている。ここでスペーサ28aは必ずしも必要ではないが、撮像素子固定板28とCCDケース24の間に挟まれる部材の光軸方向の寸法がばらついた場合の気密性の保持に有効である。また、撮像素子固定板28には、主回路基板16がスペーサ16cを介してネジ16dによって固定されている。さらに撮像素子固定板28は、ネジ孔28cを通して不図示のネジによりカメラ本体部のネジ孔(不図示)に、光軸方向の取り付け位置及び傾きを調整するためのスペーサ(不図示)を挟んで固定されている。
【0033】
CCDケース24の前面側には、防塵フィルタ受け部材23の後端四角形開口部23aがCCDケース24の前面側開口部外周24fに嵌め込み固定されている。この防塵フィルタ受け部材23の後端四角形開口部23aはCCDケース24の前面側開口部外周24fの四角形よりも小さく形成され、ゴム弾性をもつ防塵フィルタ受け部材23は弾性変形されて嵌め込まれている。その一方で、防塵フィルタ受け部材23の前端部開口は開口が前端に行くにしたがって開口が広がる形状に形成され、組み込まれた状態でその開口の前端が防塵フィルタ21の裏面に弾性変形して接触している。これにより防塵フィルタ21と光学ローパスフィルタにより囲まれた空間が気密にされている。
【0034】
防塵フィルタ21は、全体として円形ないし多角形の板状を成し、少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部を成しており、この透明部が光学LPF25の前面側に所定の間隔をもって対向配置されている。すなわち、この透明部が画像面である光電変換面に対応する領域に対向配置されている。また、防塵フィルタ21の周縁部には、当該防塵フィルタ21に対して振動を与えるための振動部材22が固着されている。この振動部材22は所定の加振用部材であり、電気機械変換素子22aが一体的に弾性体22bに固着されている。この電気機械変換素子22aは、例えば接着剤による貼着等の手段により配設されている。一方、振動部材22の一端には突起22cが固着され、他端は突起22cの振動を阻害しないように粘弾性の接着剤でCCDケース24に固着されている。そして突起22cが防塵フィルタ21に固着されている。この電気機械変換素子22aは図示しない防塵フィルタ駆動部によって所定周期を有する駆動電圧を印加することで、固定された防塵フィルタ21と一体の弾性体22bに所定の振動、即ち定在波振動を発生させることができるように構成されている。なお、突起22cが形成されている位置は定在波振動の腹(振幅最大の位置)近傍である。発生する定在波は防塵フィルタ面内で略Y軸方向(図4参照)に振動する。ここで電気機械変換素子22aに印加する駆動電圧の周波数を防塵フィルタ21が固着した振動部材22が共振を起こす周波数に設定すると、発生する振動振幅が非共振の場合の数十倍から、数百倍となるので、防塵フィルタに付着した塵埃を振動の慣性力で除去する効果も非常に大きくなる。また、防塵フィルタに固着して振動では除去できない塵埃についても、CCD27に落とす影の濃度を薄くすることが出来き(詳細は別途述べる)、防塵フィルタ上の塵埃により発生する影の撮影画像への写りこみを防止することが出来る。
【0035】
ところで、上述したように、防塵フィルタ受け部材23とCCDケース24とは、相互に略気密的に嵌合するように設定さていると同時に、防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とは、押圧部材20の付勢力により、気密的に接合するように設定されている。また、CCDケース24に配設される光学LPF25は、光学LPF25の前面側の周縁部とCCDケース24の段部24aとの間で略気密的となるように配設されている。さらに、光学LPF25の背面側には、CCD27がローパスフィルタ受け部材26を介して配設されており、光学LPF25とCCD27との間でも、略気密性が保持されるようになっている。
【0036】
したがって、光学LPF25と防塵フィルタ21とが対向する間の空間には、所定の空隙部61aが形成される。また、光学LPF25とCCD27の対向する空間部61bが形成される。これら空隙部61a及び空間部61bは封止空間となっている。この封止空間61a、61bには外部から塵埃が入り込むことがないから、CCD27の光電変換面と撮影光学系12aとの間で外部からの塵埃の付着する面は防塵フィルタの撮像光学系12a側の面のみとなる。もちろん光電変換面は撮像素子パッケージ27aと保護ガラス27bにより密閉されているので、外部からの塵埃が付着することはない。
【0037】
次に、図3及び図5を用いて静電除塵を利用した防塵機構について説明する。防塵フィルタ21の撮影光学系12a側には集塵板403が固着された可動板405が上下方向にスライド自在に配置されている。可動板405には回転自在なリンクA406、リンクB407の夫々の一端が取り付けられ、リンクA406とリンクB407の他の回転軸部分は回転自在にカメラの固定部材500に取り付けられている。このリンク機構により、リンクAが回転軸周りに回転すると、可動板405が防塵フィルタ21の結像光線通過領域を上下に移動する。すなわち可動板405と一体の集塵板403が防塵フィルタ21の前面を上下に移動する。また、リンクB407にバネA408の一端が掛けられ、バネA408の他端は固定部材500に掛けられて、リンクB407はシャッタ側から見たときに時計廻りに回転する方向に付勢されている。従って可動板405はバネA408により常に下側に移動するように力が加わっている。しかし、リンクA406の他端に設けられたピン406aにチャージレバー412が係合しており(図8参照)、バネA408の付勢力に抗して、図3、図5に示す初期位置にセットされている。
【0038】
また、初期位置においては、リンクA406の他端側は、係止板409の一端側と係合可能な位置にある。この係止板409の他端側は、集塵機構駆動回路401としてのソレノイド410のロッド410aに植設されたピンに係合している。さらに、ピン406aと係合するチャージレバー412はチャージレバーバネ412aによって下方にバネ付勢されており、このためチャージレバー412の他端側は楕円型の駆動カム420に従動する構成となっている。この駆動カム420は、その回動中心が一致するギヤA420aと一体に構成され、このギヤA420aはギヤB421、ギヤC422cにそれぞれ歯合している。ギヤC422cはモータ422によって回転駆動されるように構成されている。このモータ422の回転駆動によって、シャッタチャージレバーと静電集塵用のチャージレバー412のチャージがなされる。
【0039】
図3及び図5に示す初期位置で集塵機構駆動回路410からの信号によりソレノイド410に通電され、ロッド410aが、バネ410bに抗して吸着されてロッド410aに植設されたピンに係合している係止板409は、図5の初期位置となる。なお、リンクA406は、前述したように、ピン406aがチャージレバー412によって既に、その回転が止められ、これによりリンクA406の回動は停止したままである。次にシャッタのチャージモータ422が回転するとシャッタカム420が回動し、シャッタカムに連動しているチャージレバー412が下方に退避し、ピン406aと係合が外れることからリンクA406のチャージレバー412による係止は解除される(図8参照)。ただし、この状態では、係止板409によってリンクA406は初期位置で係止されたままである。次にシャッタ先幕が走行する以前にソレノイド410への通電を停止させると吸着されていたロッド410aがバネ410bの押圧力により下方に動かされ、この動きにより係止板409は回転してリンクA406の係止は解除され、リンクA406は時計廻りに回転し、可動板405と集塵板403が防塵フィルタ21の結像光線通過領域を通過し、終端位置(図4参照)まで移動し、停止する。この終端位置でピン406aが先に退避位置に移動していたチャージレバー412と係合する。そして、シャッタ部14が作動してCCD27に露光が行われる。露光が終了すると、シャッタ部14は次の撮影に備えてバネチャージされる。このとき、シャッタカム420が動作してチャージレバー412は再び最初の位置まで動かされて停止する。するとチャージレバー412に係合しているリンクA406も一緒に持ち上げられて初期位置に戻る。
【0040】
次に上記の集塵板403の位置検出機構について説明する。
集塵板403は、可動板405に配された接点403aを介して基板411の電極411aに電気的に接続されている。この電極411aは後述する集塵制御回路(図13)のOUT2に接続されており、集塵制御回路を介して、集塵に必要な電位が集塵板403に供給される。なお、この実施態様では、図6に示すように誘電体を介して電位を与えているが、これに限らず、誘電体を介さずに直接導電体の電極を防塵フィルタ21に対向させても良い。また、集塵板403の先端側には位置検出用の反射板30が配設されている。さらに、集塵板403の初期位置にあるときに反射板30と対向する位置にフォトリフレクタ(以下「PR」と称す)PR37aと、集塵板403が終端位置にあるときに反射板30と対向する位置にPR37bが配される。反射板30は例えば銀シールなどにより構成され、集塵板403に両面テープなどで取り付けられる。このように構成することでPR37a、37bの出力を検知することにより、防塵用の集塵板403の位置を検出することができる。なお、このPR37a、37bによって、検出された集塵板403の位置に応じて静電除塵を行うための印加電圧を制御を行う。
【0041】
次に、図6を用いて、除塵動作について説明する。集塵板403の接点403aは、集塵制御回路402のOUT2に接続されており、また、防塵フィルタ21等の光学素子と保持箱414は、集塵制御回路402のOUT1に接続されている。なお、防塵フィルタ21及び保持箱414は、集塵制御回路402に対してOUT1端子を介して接地している。初期状態(図6の(1))では防塵フィルタ21の表面には+(プラス)や−(マイナス)に帯電したホコリなどが付着している。この帯電したホコリ等によって、防塵フィルタ21の表面には、ホコリの電荷とは逆電位の電荷が誘電されている。この状態でプラス電位を持つホコリ除去動作を開始する場合(図6の(2))、集塵制御回路402のOUT2はマイナス電位に下げられるので、集塵板403の防塵フィルタ21側はマイナスに帯電し、集塵板403が上から下へ走査するにつれて、防塵フィルタ21上のプラスに帯電しているホコリを集塵板403に吸い寄せ、防塵フィルタ21から除去することができる。この走査が終了し、集塵板403が保持箱414に格納される位置に達したことがPR37bにより検出されると、集塵制御回路402によって集塵板403をプラス電位として、集塵板403が集めたプラス電位を持つホコリを保持箱414に移動させる。保持箱414に移動したホコリは、保持箱414の表面に設けられた吸着剤414aに保持される。この吸着剤414aは例えば表面に粘着性を持つテープや、粘着剤により構成される。このようにして、プラス電位に帯電したホコリを集塵して保持箱414に移したのち、集塵板403は初期位置に復帰させる(図6の(4))。初期状態に復帰した集塵板403は、マイナス電位に帯電したホコリを、先ほどと同様にして図7の(5)乃至(8)の手順によって除去する。除去にあたっては、帯電電位についてプラス・マイナスが逆である以外は同様であるので、詳しい説明は省略する。
なお、集塵板403にOUT2端子を介して電圧が印加されていない際には、集塵板403は集塵制御回路402内の抵抗により、帯電した電荷が放出される。従って集塵板403は、電圧が印加されていない状態では集塵制御回路402に対して接地した状態となる。
【0042】
なお、本実施形態においては集塵板403に印加する電圧を変更することで集塵板403に付着したホコリを保持箱414に移動させたが、例えば、保持箱414に電圧を印加して保持箱414がホコリを吸着するようにしてもよい。また、保持箱414を誘電体で作成し、分極処理を施すことによって誘電体表面に永久電荷を持った材質で作成してホコリを吸着するようにしても勿論良い。誘電体としてはナイロン等の繊維を織ったり、不織布にしたものを用いると効果的である。集塵板403が終端位置に来て保持箱414に塵埃が保持される動作が終了するとカメラはクイックリターンミラー11をカメラ上方に跳ね上げて撮影光路から退避させ、次にシャッタ先幕を走行させ、適切な露光になるようにシャッタ後幕を走行させて露光を終わる。露光が終了した後、クイックリターンミラー11をファインダ観察光路に戻すと同時にシャッタ幕走行用のバネをシャッタカムにより、チャージする。このときシャッタカムとチャージレバー412とは連動しているので、可動板405も、可動板405を駆動するバネA408をチャージしつつ、初期位置に戻って保持される。
本実施態様では上述の静電気を利用した防塵機構の他に振動部材22を利用することによっても塵埃を除去する機構を設けている。静電気利用の防塵機構と振動による防塵機構は同時に作動させても良いし、別々のタイミングで動作させても良い。但し、同時に動作させると塵埃を除去する効果は大変大きなものとなる。
【0043】
次に、振動を利用した防塵について詳述する。前述したように防塵フィルタ21の表面に付着した塵埃は振動部材22の振動により防塵フィルタ21を振動させることにより、除去することが可能である。また、防塵フィルタ21に固着し振動部材の振動によっても除去できない塵埃については、防塵フィルタ21を露光中にY軸方向に振動させることによって、塵埃が撮像面に作る影を薄くすることが可能であり、画像に記録されないレベルの影の濃さにすることができる。
【0044】
防塵フィルタ21による塵埃の影を薄くする作用は図9、図10に示している。図9は撮影光学系12aの結像光線の一部が防塵フィルタ21上に固着している塵埃Xにより遮光され、影X‘が撮像面上に形成される状態を示す。この状態で防塵フィルタ21を上下(図4のY軸方向)に振動させると影X’はやはり上下に振動する。カメラの撮影露光中に影の大きさ以上の振幅で振動すれば、影の濃さは固定した場合の約1/2以下にすることが可能となり、塵埃の画像への写りこみ防止をすることができる。
【0045】
第1の実施形態の変形例を図11、図12に示す。図10は第1実施形態を示す図4の一部に対応する主要部の断面図であり、第1実施形態と異なるのは、第1に防塵フィルタの形状を矩形としてあること、第2に防塵フィルタ21を支持している構造が、図11に示す通り、断面円形の矩形環状の弾性部材(ゴム等)である防塵フィルタ受け部材23により直接防塵フィルタ21を支持し、支持と同時に空間61aを密閉していることである。
【0046】
また、図13は防塵フィルタ21及び、振動部材22のみを示し、振動部材22と防塵フィルタ21の動作を示している。ここで電気機械変換素子22aは積層された圧電体であり、所定の周波電圧を圧電体に印加すると圧電体はA方向に伸縮する。電気機械変換素子22aは弾性体22bのコの字部に固着されているので弾性体22bのはり部は支点を中心にB方向の円弧振動をする。さらに、周波電圧の周波数を振動部材22に防塵フィルタ21が固着された系の固有振動数(共振周波数)に設定するとB方向の振動は共振周波数でない電気信号を印加した場合の数十から数百倍の振幅に拡大される。共振周波数は1次のものから高次のものまで発生させることが可能で(図13参照)、高次の場合ははりの振動ははりに複数の節を持つ屈曲振動となる。この場合、突起が設けられる場所は屈曲振動の腹(振幅が最大の場所)にすると防塵フィルタ21を大きな振幅で振らせることが出来る。具体的な振幅としては共振させない状態では数μmであり、共振させた場合は数十μmから0.1mmを越える状態となる。振幅としては上記のように大きくても0.1mmレベルであるので図8のように弾性部材で直接防塵フィルタ21を受けても振動はゴムの変形によって他の部材に伝わることが無く、効率良く防塵フィルタ21を振動させることができる。
【0047】
そしてこの状態において、電気機械変換素子22aに対して周期的な電圧を印加することで防塵フィルタ21は振動し、当該防塵フィルタ21の表面に付着した塵埃等は除去される。また、防塵フィルタ21が面内方向に振動されることにより、図9、図10に示した様に防塵フィルタ21に固着した塵埃の影を薄くすることが可能となる。この時、振動の周波数は超音波領域にすることでより効果的である。これは超音波領域に振動をすると塵埃に与える慣性力を大きくすることが出来るし、図9、図10で示した効果もカメラが高速シャッタースピードになった場合も効果を発揮する。すなわち、20kHzの振動にすれば、シャッタースピード1/10000秒でシャッタが切られたとしても2回振動をすることになり、塵埃の影を薄くする効果は充分に発揮することが出来る。
【0048】
次に、図14に示す防塵フィルタ駆動回路48の回路図と、図15に示すタイムチャートに基づいて、この本実施形態における防塵機能付きカメラの防塵フィルタ21の駆動およびその動作について説明する。ここに例示した防塵フィルタ駆動回路48は図14に示す如くの回路構成を有し、その各部において、図15のタイムチャートで表わす波形の信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。
【0049】
防塵フィルタ駆動回路48は図14に例示の如く、N進カウンタ41、1/2分周回路42、インバータ43、複数のMOSトランジスタQ00、Q01、Q02、トランスT1および抵抗(R00)46から構成されている。上記トランスT1の1次側に接続されたトランジスタQ01およびトランジスタQ02のON/OFF切替え動作によって、そのトランスT1の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき電気機械変換素子22aを駆動させ、防塵フィルタ21を固着した振動部材22を共振させるようになっている。
【0050】
Bμcom50は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、このBμcom50内部に存在するクロックジェネレータ55を介して防塵フィルタ駆動回路48を次のように制御する。クロックジェネレータ55は、電気機械変換素子22a(圧電体等)へ印加する信号周波数より充分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ41へ出力する。この出力信号が図15中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そしてこの基本クロック信号はN進カウンタ41へ入力される。
【0051】
N進カウンタ41は、当該パルス信号をカウントし所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が図15中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路42を通してデューティ比を1:1へ変換する。尚、この変換されたパルス信号は図15中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
【0052】
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ01がONする。一方、トランジスタQ02へはインバータ43を経由してこのパルス信号が印加される。したがって、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたトランジスタQ02がONする。トランスT1の1次側に接続されたトランジスタQ01とトランジスタQ02が交互にONすると、2次側には図15中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。トランスT1の巻き線比は、電源回路53のユニットの出力電圧と電気機械変換素子22aの駆動に必要な電圧から決定される。尚、抵抗(R00)46はトランスT1に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
【0053】
電気機械変換素子22aを駆動するに際しては、トランジスタQ00がON状態にあり、電源回路53からトランスT1のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。図中トランジスタQ00のON/OFF制御はIOポートのP_PwContを介して行われる。N進カウンタ41の設定値“N”はIOポートD_NCntから設定でき、よって、Bμcom50は、設定値“N”を適宜に制御することで、電気機械変換素子22aの駆動周波数を任意に変更可能である。
【0054】
このとき、次式によって周波数は算出可能である。
N:カウンタへの設定値、
fpls:クロックジェネレータの出力パルスの周波数、
fdrv:電気機械変換素子へ印加される信号の周波数、
fdrv = fpls/2N …(式)
尚、この式に基づいた演算は、Bμcom50のCPU(制御手段)で行われる。
【0055】
さらに、このカメラ1は、超音波域(20kHz以上の周波数)の周波数で防塵フィルタを振動させる場合にカメラの操作者に防塵フィルタの動作を告知する表示部を有している。つまり、上記撮像手段の前面に配置され振動可能な透光性をもつ振動対象部材(防塵フィルタ21)に対して、加振手段(振動部材)で振動を与えるとき、加振手段の駆動回路の動作と連動してカメラ1の表示部(LCD表示部51)を動作させ、防塵フィルタの動作を告知することも可能となっている(詳細後述)。
【0056】
次に集塵制御回路402の構成について説明する。
Bμcom50内に設けられたDAC(digital-to-analog converter)66は、Bμcom50内のデジタル値に応じたアナログ電圧を発生するための回路であり、この出力は、集塵制御回路402内のDC/DC(direct current/direct current)コンバータ67に出力され、このDC/DCコンバータ67は、電源回路53によって電源供給されていると共に、その出力はトランジスタQ20に接続されている。このトランジスタQ20はトランスT2の中間タップに接続され、また制御端子はBμcom50のP_PWCont2に接続されている。トランスT2の一時側中間タップの両側にはそれぞれトランジスタQ21とQ22が接続されており、また2次側にはダイオードD20、D21、コンデンサC20、C21、抵抗R20、R21が図示の如く配置され極性切換SW70を介して出力OUT2に接続されている。また、トランスT2の2次側中間タップは、ダイオードD22、コンデンサC22、抵抗R22、R23を介して、Bμcom50のADC(analog-to-digital converter)68に接続されている。また、このADC68には、集塵制御回路402内に配置された湿度センサ69の出力も接続されている。
【0057】
トランスT2は、集塵板に印加する電圧を発生する直流電源である。その出力端子OUT2よりグランド端子OUT1に対してプラスの電圧とマイナスの電圧を出力できる。集塵に必要な高電圧はトランスT2によって発生される。トランスT2の1次側に入力する交流信号はトランジスタQ21、Q22によって発生される。Q21、Q22を駆動する信号は防塵フィルタ駆動回路のQ01、Q02と同じ駆動信号を用いる。駆動周波数は回路の特性に合わせる必要がある。したがって集塵板に高圧を印加する際には、N進カウンタの値を回路の特性に合わせて設定しなければならない。
【0058】
トランジスタQ20はDC/DCコンバータ67からトランスT2の1次側へ供給される電力をON・OFFする。集塵板に電圧を印加する際にはトランジスタQ20をON状態にしなければならない。トランジスタQ20はBμcom50のポートP_PWCont2によって制御される。DC/DCコンバータ67は電源回路53の出力電圧を所定の電圧に変換する。DC/DCコンバータの出力電圧はBμcom50からの供給されるVrefによって変化する。VrefのK(係数)倍の電圧がレギュレータから出力されてトランスT2へ出力される。トランスT2は1次側電圧をM倍にして出力する。したがってトランスT2の2次側にはVref・K・Mの電圧が発生する。この電圧が整流されて端子OUT2へ出力される。VrefはBμcom50内部に配置されたDAC(digital-to-analog converter)56が発生する。したがってBμcom50はDAC66を制御することでOUT2の出力電圧を所望の値に設定できる。
【0059】
トランスT2の2次側に接続されたダイオードD20、コンデンサC20はトランスT2が出力する交流電圧のプラス側のサイクルを整流し、プラスVref・K・Mの電圧を生成する。抵抗R20は集塵制御回路が使用されないときにC20に蓄積された電荷をディスチャージするためにある。トランスT2の2次側に接続されたダイオードD21、コンデンサC21、はトランスT2が出力する交流電圧のマイナス側のサイクルを整流し、マイナスVref・K・Mの電圧を生成する。抵抗R21は抵抗R20と同じ作用をなす。プラスの電圧は極性切換えSW70の端子1へ入力し、マイナスの電圧は端子2へ入力する。極性切換えSWは端子1若しくは端子2のいずれかを端子3へ接続する。接続の切換えはBμcomの端子P_PwChgによって制御できる。極性切換えSW70は高耐圧のリレー若しくは半導体素子から構成される。端子1と3が接続されるとプラスの電圧が集塵板に印加され、端子2と3が接続されるとマイナスの電圧が集塵板に印加される。
【0060】
トランスT2の2次側に設けられた中間タップは、電圧をモニタするためである。中間タップで発生した交流電圧はダイオードD22、コンデンサC22、抵抗R22,R23で構成された電圧モニタ回路で直流電圧に変換される。この電圧はBμcom50内部に配置されたADC(analog-to-digital converter)68で測定される。中間タップから電圧を検出することでトランス2が発生する高電圧を分圧し、この分圧電圧はR22,R23でさらに分圧されて、ADC68へ入力される。湿度センサ69はカメラ内部の湿度を測定するためにある。OUT2から出力される電圧が高すぎると空気中で放電し、予期しない障害を起こす虞がある。空気の絶縁抵抗は湿度が高くなると低下する。この絶縁抵抗に応じてOUT2から出力する電圧の最大値を規定する必要がある。湿度センサの出力はADC68から測定される。Bμcom50はこの測定値に応じてDAC66の設定値を設定する。
【0061】
次に、カメラボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)50が行なう制御について、図16乃至図19を参照しながら具体的な制御動作について説明する。
図16は本第1実施形態のカメラの動作制御をフローチャートで表わし、このBμcom50が行なうカメラシーケンス(メインルーチン)の手順を例示している。また、図17及び図18には、メインルーチン中に呼び出される静電除塵1と静電除塵2のフローチャートを示し、さらに、図19にはサブルーチン「無音加振動作」(表示動作も含む)の手順をフローチャートで表わしている。
【0062】
Bμcom50で稼動可能な図16に示すフローチャートに係わる制御プログラムは、カメラ1の電源SW(不図示)がON操作されると、その動作を開始する。最初に#001において、当該カメラシステムを起動するための処理が実行される。即ち、電源回路53を制御して当該カメラシステムを構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また各回路の初期設定を行なって、集塵板403への電圧印加フラグFを0にセットする。続いて、後述するサブルーチン「無音加振動作」(図19参照)をコールすることで、無音(即ち可聴範囲外)で防塵フィルタ21を振動させる(#002)。尚、ここで云う可聴範囲は一般人の聴力を基準にして約20Hz〜20000Hzの範囲内とする。この後、後述するサブルーチン「静電除塵動作1」をコールして集塵板403による除塵動作を実行する(#003)。
【0063】
続くステップ#004〜#031までは、周期的に実行されるステップ群である。まず、ステップ#004において、当該カメラに対するアクセサリの着脱を検出する。例えば、アクセサリの1つであるレンズ鏡筒12が、ボディユニット50に装着されたことを検出する着脱検出動作は、Lμcom5と通信を行なうことでレンズ鏡筒12の着脱状態を調べることによって検出する。アクセサリ類としては、レンズ鏡筒に限らず、他にベローズ、エクステンションチューブのようにレンズ開口部を介してカメラ本体に接続するものであれば良い。そして、所定のアクセサリがカメラ本体に装着されたことが検出された場合には、#006にて、サブルーチン「無音加振動作」をコールし、無音で防塵フィルタ21を振動させ除塵を行う。このサブルーチン「無音加振動作」が終了したら、次にサブルーチン「静電除塵動作1」をコールし(#007)、集塵板403による静電気を利用した除塵動作を実行した後、#008へと進む。
【0064】
このように、カメラ本体部11にアクセサリ、特にレンズ鏡筒12が装着されていない期間には、各レンズや防塵フィルタ21等に塵が付着する可能性が高いので、上述の如くレンズ鏡筒12の装着を検出したタイミングで塵を払う動作を実行することは有効である。また、レンズ交換時にカメラ内部に外気が循環し塵が進入して付着する可能性が高いので、このレンズ交換時に塵除去することは有意義である。一方、上記#005でレンズ鏡筒12がボディユニット50から外された状態であることを検出した場合は、そのまま次の#008へ移行する。ステップ#008では、当該カメラに配置されている所定のカメラ操作スイッチ52の状態検出を行う。
【0065】
次に、レリーズボタン17の半押しでONとなる1st.レリーズSW(不図示)が操作されたか否かを、カメラ操作SW52の出力に基づき当該SWのON/OFF状態で判定する(#009)。その状態を読み出し、もし1st.レリーズSWが所定時間以上ON操作されない場合には、図示しないタイマ機能の出力に基づいて、後述の#017へ移行して終了処理(スリープ等)となる。一方、1st.レリーズSWがON操作された場合には、#010にて、測光回路32から被写体の輝度情報を入手する。そしてこの情報からCCD27の露光時間(Tv値)とレンズ鏡筒12の絞り設定値(Av値)を算出する。
【0066】
その後、#011では、AFセンサ駆動回路30bを経由してAFセンサユニット30aの検知データを入手する。このデータに基づきピントのズレ量を算出する。#012では、その算出されたズレ量が許容範囲内にあるか否かを判定し、否の場合は#013でLμcom5およびレンズ駆動機構2を介して、撮影光学系12aの駆動制御を行い、#004へ戻る。一方、ズレ量が許容範囲内の場合は、サブルーチン「無音加振動作」をコールして無音で防塵フィルタ21を振動開始させ、除塵動作を行う(#014)。
【0067】
次に、レリーズボタン17の全押しでONとなる2nd.レリーズSW(不図示)がON操作されたか否かを判定する(#015)。この2nd.レリーズSWがON状態のときは、#018へ移行して所定の撮影動作(詳細後述)を開始するが、OFF状態のときはステップ#016へ移行する。#016では1stレリーズSWがONされた状態であるか否かをチェックする。1stレリーズSWがON状態であれば#015へと戻り、OFF状態であれば#017へと進む。撮影者がレリーズボタン17を半押し状態を維持していれば、このステップ#015と#016を繰り返し行い、待機状態となる。この状態で、撮影者がレリーズボタン17から手を離すと、電源SWの状態を検出し、電源SWがOFFされていれば終了処理を行い、一方、ONであれば#004に戻る。
【0068】
ステップ#015に戻り、2nd.レリーズSWがONとなると、撮像動作を開始する。撮像動作は、露出の為に予め設定された秒時(露出秒時)に対応した時間の電子撮像動作を制御する。上記撮影動作として、#018〜#027まで、所定の順序にて被写体の撮像を行う。まずLμcom5へAv値を送信し、絞り3の駆動を指令する(#018)。そして、フォーカルプレーンシャッタの先幕、後幕を電磁アクチュエータ(以下、「Act」と略す)により保持する(#019)。そして、ソレノイド410に電圧を印加して係止板409によりリンクA406を保持する(#020)。その後、フォーカルプレーンシャッタ14及び集塵板403のチャージレバーを退避させる(#021)。ステップ#022では、後述するサブルーチン「静電除塵動作2」をコールして、集塵板403による静電気による除塵動作を実行して#023へと進む。その後、反射鏡13bをUP位置へ移動させ(#023)、画像処理コントローラ40に対して「撮像動作」の実行を指令する(#024)。そして、シャッタ部14の先幕を保持している電磁ActをOFFすることで、先幕走行を開始させる(#025)。続いて、Tv値で示された時間に応じてシャッタ部14の後幕を保持している電磁ActをOFFし、後幕の走行を開始させる(#026)。このようにしてシャッタの開閉動作が行われて、CCD27への露光(撮像)が終了する(#027)。その後、反射鏡13bをDown位置へ駆動すると共に、シャッタ部14及び集塵板403のチャージ動作を行なう(#028)。その後、Lμcom5に対して絞り3を開放位置へ復帰させるように指令して(#029)、一連の撮像動作を終了する。
【0069】
続いて#030において、記録メディア39がカメラ本体部11に装着されているか否かを検出し、否の場合は、#032にて警告表示をする。そして再び上記#004へ戻り、前述のステップを繰り返す。一方、記録メディア39が装着されていれば、#031にて、画像処理コントローラ40に対し撮影した画像データを記録メディア39へ記録するように指令する。その画像データの記録動作が終了すると、ステップ#004に戻る。
【0070】
以上、メインルーチンを説明したが、次に、上述のサブルーチンについて、図17乃至図19に基づき説明する。まず、静電除塵1のサブルーチンについて図17を用いて説明する。図16に示すメインルーチンから静電除塵1のサブルーチンに移行すると、電圧印加フラグFを0に設定する(#301)。このフラグFは、集塵板403への印加電圧をプラスにするかマイナスにするかを決定するためのフラグであり、F=0の場合には、マイナスを印加し、F=1の場合には、プラスを集塵板403に印加する。その後、#302において、ソレノイド410に電圧を印加して集板403を保持する。続いて、#303において、チャージレバー412を退避させ(図3、図8)、除塵動作の準備を行った後、静電防塵動作2を実行する(#304)静電除塵動作2は図18のフローチャートを用いて後述するが、このサブルーチンは、集塵板403を実際に駆動するためのフローである。
【0071】
静電除塵2のサブルーチンが終了して、静電除塵1のサブルーチンに復帰すると続いて、シャッタ集塵板のチャージ、即ち、チャージレバー412のチャージ動作と(#305)、集塵板403の保持(#306)と、チャージレバーの退避を行う(#307)。これで、集塵板403による除塵動作の準備が終了するので、この後、静電除塵2のサブルーチンを実行する(#308)。ステップ#304での静電除塵2は、F=0において、即ち、集塵板403にマイナスを印加するものであったが、ステップ#308における静電除塵2は、集塵板403にプラスを印加するものである。この静電除塵2が終了すると、電圧印加フラグFをF=0に設定して、メインルーチンに復帰する。
【0072】
次に、静電除塵2のサブルーチンについて、図18を用いてサブルーチン静電除塵1から静電除塵2のサブルーチンに入る場合を例にとって説明する。静電除塵2のサブルーチンに入ると、まず、集塵制御回路402(図14)中の湿度センサ69から湿度情報を読み取り、印加電圧を決定する(#401)。次に、電圧印加フラグFが0であるか否かを検出する。前述したように、ステップ#301においてF=0が設定されているので、最初にここで判定する場合には、F=0であるから、Yesでステップ#403に移行する。#401で定めた印加電圧に基づいて防塵フィルタ21に対して集塵板403をマイナス電位に印加する(#403)。この状態で、ソレノイド410の保持を解除すると、集塵板403は防塵フィルタ21の前面を上から下へと走査しながら移動する(#404)。この間、集塵板は、図6(2)に示すように、塵埃を集塵しながら保持箱414まで移動する。
【0073】
次にPR37bの出力に基づいて終端位置まで走行を終了したか否かを判定し(#405)、終端位置まで駆動が終了している場合には、保持箱414に対して集塵板403にプラス電位を与え、集塵板403に付着した塵埃を、電気的反発力を利用して落とす(#406)。このプラス電位の印加を所定時間の間、継続した後(#407)、集塵板403への電位印加を終了する(#408)。この状態で、集塵板403にはOUT2端子を介して集塵制御回路402内の抵抗により除電される。続いて、電圧印加フラグFに1を設定して静電除塵1にリターンする。
【0074】
次に、図17の#308において静電除塵2のサブルーチンに移行する場合について説明する。まず、ステップ#401において湿度を検出し、印加電圧を設定した後に、電圧印加フラグの検出を行う。この場合はステップ#409において、F=1に設定しているので、Noで抜け、ステップ#410以下を実行する。1回目の静電除塵2ではマイナス電位を印加していたが、2回目の静電除塵2では、集塵板403にプラス電位を印加し(#410)、1回目に集塵することのできなかった、マイナスに帯電した塵埃を集塵する。続いて、#404と同様に集塵板403の保持を解除し(#411)、集塵板403が終端まで駆動したかを#405と同様に判定する(#412)。その後、保持箱415を基準に集塵板413に対して所定時間の間、マイナス電位を印加して、集塵板403に集まった塵埃を除去する(#413、#414、#415)。続いて電圧印加フラグFを0に設定して、本サブルーチンを終了し、復帰する。
このように、塵埃が防塵フィルタ21に付着している可能性の高いシステムの起動後(#003)や、アクセサリの装着後(#007)にて行われる静電除塵動作は、集塵板403にマイナス電圧とプラス電圧を印加する動作が共に行われる。これにより、防塵フィルタ21の表面上に付着している塵埃を確実に除去することが出来る。
次に図16に示すメインフローの#022からサブルーチン静電除塵2に入る場合について説明する。#022にて行われる静電除塵動作は、撮影の直前に防塵フィルタ21に付着している塵埃を除去するものである。この場合、先の#020、#021にて集塵板403の保持、チャージレバーの退避といった除塵動作の準備はメインフロー内で行われている。従って、#402にて確認される電圧印加フラグFの状態に応じて、#403もしくは#410へと進み、除塵動作を行った後、メインフローの#023へと進む。このように、#021にて行われる除塵動作は、集塵板403に対し、マイナスもしくはプラスの一方のみを印加した状態で行われる。しかしながら#409もしくは#416にて電圧印加フラグFの値を変更しているため、撮影を繰り返す毎に、集塵板403への印加電圧がマイナスとプラスとで交互に変化する。従って、撮影を2回行えば防塵フィルタ21に付着しているマイナス電荷のホコリもプラス電荷のホコリも除去することが出来る。
このように、撮影直前の除塵動作をマイナスもしくはプラスの電圧印加の一方のみとすることで、レリーズタイムラグを少なくすることができる。また、アクセサリの着脱などが行われていなければ、防塵フィルタ21の表面に塵埃が付着する可能性は低いため、撮影直前の除塵動作としては、マイナスもしくはプラスの電圧印加の一方のみとしても実用上問題がない。
【0075】
図19はサブルーチン「無音加振動作」の動作手順を表わすフローチャートであり、この無音加振動作において、加振手段へ連続的に供給される共振周波数の波形を表わすグラフを図20に示す。
【0076】
図19のサブルーチン「無音加振動作」は、防塵フィルタ21の塵除去の為の加振動作を目的とするルーチンであるので、振動周波数f0はその防塵フィルタ21の共振周波数に設定されている。例えばこの場合は、40kHz、少なくとも20kHz以上の振動に設定していることから、ユーザにとっては無音である。まず#200では、防塵フィルタ21を振動させるための駆動時間(Toscf0)と駆動周波数(共振周波数:Noscf0)に関するデータを、EEPROM29の所定領域に記憶されている中から読み出す。続いて加振モードの表示を行い(#201)、この表示期間が所定時間を経過したか否かを判定し(#202)、所定時間が経過していないときは加振モード表示を継続し、所定時間経過後は加振モード表示を停止する(#203)。この後、Bμcom50の出力ポートD_NCntから、駆動周波数Noscf0を、防塵フィルタ駆動回路48のN進カウンタ41へ出力する(#204)。
【0077】
続く#205〜#209では、塵除去動作が行われる。まず、Bμcom50の制御フラグP_pwContをHiとして、防振フィルタ駆動回路48のトランジスタQ00をオンとし、この回路48を動作状態にする。また、この制御フラグP_pwContのHiのタイミングで加振動作を開始したことを表示させる(#206)。次に、ステップ#207において表示開始(かつ加振動作開始)から所定時間が経過したかを判定し、所定時間が経過していないときは加振動作の表示を継続し、所定時間経過後は加振動作表示を終了(#208)する。この時の加振動作表示は時間経過、あるいは塵埃除去経過に応じて変化する表示をする(図22参照)。この場合の所定時間は、後に述べる加振動作の継続時間であるToscf0に略等しい。また、塵除去のために制御フラグP_pwContをHi(High value)に設定すると(#205)、振動部材22は所定の駆動周波数(Noscf0)で防塵フィルタ21を加振し、フィルタ面に付着した塵を振り払う。この塵除去動作で防塵フィルタ面に付着した塵が振り払われるとき、同時に、空気振動が起こり、超音波が発生する。但し、駆動周波数Noscf0で駆動されても、一般人の可聴範囲内の音にはならず、聞こえないので、実用上、特に問題はない。
【0078】
所定駆動時間(Toscf0)、防塵フィルタ21を振動させた状態で待機し(#207)、その所定駆動時間(Toscf0)経過後、制御フラグP_pwContをLo(Low value)に設定することで、加振終了表示をON(#210)するとともに、塵除去動作を停止させる。加振終了表示は所定時間経過後(#211)にOFF(#212)されて表示を終了する。そして、コールされたステップの次のステップへリターンする。
【0079】
このサブルーチンで適用される振動周波数f0(共振周波数(Noscf0))と駆動時間(Toscf0)は、図20にグラフで表わした如くの波形を示す。すなわち、一定の振動(f0=40kHz)が、塵除去に充分な時間(Toscf0)だけ続く連続的な波形となる。つまり、この振動形態が、加振手段に供給する共振周波数を調整して制御するものである。
なお、このサブルーチンを露光動作中に行えば、先に説明した変形例が実現できる。すなわち、撮像素子への露光中に防塵フィルタ21を動作させることにより、撮影時に塵埃が防塵フィルタ21に付着して画像に塵埃の影を写し込むことがなく、また、防塵フィルタ21に塵埃が固着して振動で除去できない場合でも塵埃の影を薄くすることが可能で、従来の振動のみで塵埃を除去していた防塵機構よりも、高い塵埃の影画像映りこみ防止効果をもつ電子カメラを提供することができる。また、加振動作の状態が表示により、撮影者に防塵機構の動作を告知することができる電子カメラでもある。
【0080】
図21は、本発明の表示手段の詳細を示してある。動作表示用LCD51は液晶板57aと液晶駆動回路57bとで構成される。図21に於いては、液晶板57aは全てのセグメントが点灯した状態が表記されている。液晶板57aの参照番号58a〜58sで示される各セグメント群は、以下に説明する各カメラ状態のパターンを表示している。
【0081】
すなわち、58aはフラッシュモードの状態を示すパターン、58bは測光モードの状態を示すパターン、58cはフォーカスモードの状態を示すパターン、58dは画質モードの状態を示すパターン、58eは絞り値の状態を示すパターン、58fはシャッタ速度の状態を示すパターン、58gは撮影可能枚数の状態を示すパターンである。また、58hは電池残量の状態を示すパターン、58iは画像調整の状態を示すパターン、58jはISOの状態を示すパターン、58kは色空間の状態を示すパターン、58lはホワイトバランスの状態を示すパターン、58mはリモコンの状態を示すパターン、58nはセルフタイマの状態を示すパターンである。更に、58oは露出レベルインジケータ、露出補正インジケータ、AFフレームの状態を示すパターン、58pは連続撮影可能枚数、露出補正値表示の状態を示すパターン、58qはオートブラケットの状態を示すパターン、58rはノイズリダクションの状態を示すパターン、58sは連写の状態を示すパターンである。
【0082】
いま、Bμcom50のIOポートDSP_DATAから液晶駆動回路57bに表示内容のデータが出力される。すると、液晶駆動回路57bからは上記表示内容のデータに応じて、液晶板57aの各セグメント群で形成される特定のパターン(例えば特定の文字、数字、絵)を選択するSEG信号と、特定のパターンを形成するのに使用される特定のセグメント群を選択するCOM信号とが出力される。これにより、液晶板57a上に表示内容データに対応したパターンの表示がなされる。
【0083】
図22には、本発明のより具体的な表示内容が表記されているもので、塵除去動作の状態を表示した例である。ここでは、図22に示されるシャッタ速度のパターン58fと撮影可能枚数のパターン58gの2つの表示のみが示され、上段はシャッタ速度を示す1文字7セグメントから成る4つのセグメント群から成り、下段は撮影可能枚数を示す1文字7セグメントから成る4つのセグメント群から成る。通常はこれらのセグメントはシャッタ速度と撮影可能枚数を示しており、例えば図22(a)のようにシャッタ速度1/8000秒、撮影可能枚数100枚を表す8000と100が表示されている。ここで、無音加振動作がスタートすると、図22(b)のような表示になり、加振動作が開始されるまで、図22(b)の表示が継続される。次に、加振動作が開始されると、図22(c)、(d)、(e)、(f)と順次表示される。そして、加振動作の停止で、図22(g)の表示が所定の時間継続されて一連の動作が終了する。この表示が終了した後には、最初の表示と同じ表示である図22(h)に表示は戻る。
なお、加振動作による除塵動作中についての表示を例にとって説明したが、集塵板による静電除塵動作中についても同様にユーザに対して告知する表示を行っても良い。
【0084】
以上のように、本発明の第1実施形態では、防振フィルタ21の撮影光学系12a側に、静電集塵機能を有する集塵板403を配置し、電源オン時、レンズ鏡筒12aの装着時及び撮像時に静電集塵を行うようにしたので、画像生成のための光学部材(防塵フィルタ21)に塵埃等が付着したままとならず、塵埃等の影が画像として写りこむことを減らすことができる。
【0085】
次に、本発明の第2実施形態について図23乃至図25を用いて説明する。第1実施形態では、集塵板403を防塵フィルタ21の前面を走査するための駆動源を、シャッタ駆動機構を利用してチャージバネのチャージを行っていたが、第2実施形態では、シャッタ駆動機構とは独立したチャージ機構を構成している。これに関連して、集塵機構駆動回路401は第1実施形態ではソレノイド410が対応していたが、第2実施形態では、これに加えてチャージレバー412をチャージするためのモータが追加される。したがって、第2実施形態は、図8を図23に示す機構に置き換え、図15乃至図19に示すフローチャートを図24及び図25に示すフローチャートに置き換える以外は、第1実施形態と同じであるので、相違点のみを説明する。
【0086】
図23は、集塵板のチャージ機構を示す要部拡大図である。図8に示した第1実施形態における集塵板とチャージ機構を示す要部拡大図と比較して、シャッタチャージレバー、シャッタチャージピン等が削除されているだけで他は同様である。この機構において、モータ422の駆動力はギヤC422a、ギヤB421、ギヤA420aを介して楕円形状を有する駆動カム420に伝達される。チャージレバー412の一端は駆動カム420に従動するので、楕円の長円側に接するときには、チャージレバー412はチャージされて上昇位置となり、一方、短円側に接するときには、チャージレバーは下降し、退避位置となる。
【0087】
図23および図24を用いて、この第2実施形態の動作を説明する。このフローは図16に示したメインルーチンとほぼ同様であるので、異なるステップは、#501、#503、#510乃至#512、及び#528であるので、異なるステップを中心にして説明する。まず、ステップ#501において、システム起動時の初期設定と電圧印加フラグFに0を設定する。第1実施形態では、電圧印加フラグFに0を設定していたが、第2実施形態では特にこのような設定を行わない。次に、図19に示す無音加振動作を行い(#002)、静電除塵動作を実行する(#503)。この静電除塵動作については、図24を用いて後述する。続いて、レンズ鏡筒12等のアクセサリの着脱状況を検出し(#004)、アクセサリが装着されたばかりのときには、レンズ開口部から塵埃等がカメラ本体部11に進入した可能性があることから、塵埃の除去のために、無音加振動作(#006)と静電除塵動作(#507:詳しくは図24)を行う。これらの動作の終了後またはアクセサリが装着されたばかりではないときには、続いてカメラ操作SW52の状態を検出し(#008)、この検出結果に基づいて、レリーズボタン17の半押しに連動する1Rスイッチが操作状態となっているかを判定する(#009)。
【0088】
1Rスイッチが操作状態となっていた場合には、撮影準備動作を開始するが、その前に、まず、集塵板403が初期位置にあるか否かについて、PR37aの検出出力に基づいて判定し(#510)、集塵板403が初期位置になかった場合には、集塵板403を初期位置に移動させる。そしてステップ#512にて集塵板の駆動を禁止する。これは、集塵板403が露光中に光路中に位置していると、撮影に影響を及ぼすので、ステップ#511のタイミングにて集塵板403を初期位置に移動させると共に、ステップ#512にて集塵板403の駆動を禁止することで、撮影に影響を及ぼすことのないようにするためである。
続いて、測光センサ32aの出力に基づいて被写体輝度を測定し、この値に基づいてシャッタ速度Tv値、絞り値Av値を算出する(#010)。この後、AF動作に移り、AFセンサユニット30aの出力に基づいて、焦点ズレ量を検出し(#011)、この焦点ズレ量が許容範囲内かを判定する(#012)。許容範囲外であった場合には、#013にて撮影光学系12aを焦点位置に到達するように、レンズ制御用マイクロコンピュータLμcom5を介してレンズ駆動機構2を制御し(#013)、終了したら、ステップ#004に戻る。
【0089】
ステップ#012に戻り、ズレ量が許容範囲内の場合には、図19に示される無音加振動作を行い(#014)、レリーズボタン17の全押し動作に連動する2Rスイッチがオンとなっているかを判定し(#015)、2Rスイッチが操作されていない場合には、再度、1Rスイッチがオンのままかを判定し(#016)、1Rスイッチが操作状態であれば、#015と#016を繰り返し行う待機状態となる。この状態で、まず1Rスイッチがオフとなると、即ち、レリーズ釦から手が離れるとステップ#017に進み、電源SWのオンオフ状態を判定し、オフであれば、電源オフ処理を行い、一方、電源オンのままであれば、ステップ#004に戻る。
【0090】
ステップ#015に戻り、2Rスイッチが操作されていた場合には、撮影動作に入り、まず、撮影レンズの絞り制御を行い(#018)、フォーカルプレーンシャッタで構成されたシャッタ部14の先幕後幕の保持を行う(#019)。ここで、第1実施形態においては集塵板403の保持動作を行っていたが、本第2実施形態では集塵板403の保持動作はサブルーチン静電除塵で行うこととしている。続いて、チャージレバー412の退避を行い(#021)、反射鏡13bのアップを行い(#023)、撮像動作を開始する(#024)。第1実施形態では、ステップ#021に続いて静電除塵動作2を行っていたが、本第2実施形態では静電除塵動作2は実行していない。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に静電除塵動作を実行することは可能であるが、撮像のたびに静電除塵を行うほどの必要性がないことから省略した。これによりレリーズタイムラグを減らすことができる。
【0091】
撮像が開始されると、シャッタ部14の先幕の保持が解除され(#025)、先幕が走行を開始し、シャッタTv値に応じた時間差でもって後幕の保持が解除され(#026)、後幕が走行を開始する。適正露光時間が経過すると、撮像を停止し(#027)、反射鏡13bを通常の観察状態にダウンさせ、シャッタ14のチャージを行う(#528)。本実施形態においては、集塵板403のチャージ機構をシャッタ14のチャージ機構と別個のものとしたので、集塵板403のチャージ動作を静電除塵のサブルーチンで行うこととしている。この後、絞り3を絞り込み状態から開放状態となるように絞り制御を行い(#029)、記録媒体39が装着されているか否かについて判定し(#030)、装着されていない場合には、警告表示を行い(#032)、装着されている場合には、画像データを記録媒体39に記録し(#031)、ステップ#004に戻る。
【0092】
次に、サブルーチン静電除塵について図25を用いて説明する。この静電除塵は、図18に示した静電除塵2のサブルーチンに類似しており、異なるのは、ステップ#602、#604、#613乃至#615、#623のみであり、これらの相違点を中心に説明する。ステップ#601において、湿度センサ69の出力に基づいて湿度を検出し、この検出結果に基づいて印加電圧を設定する(#601)。続いて、電圧フラグFに0を設定する(#602)。第1実施形態においては、メインルーチンにおいて、電圧フラグに0を設定していたが、第2実施形態においては、ステップ#602において電圧フラグの設定を行っている。その後、このフラグF=0か否かの判定を行い、F=0であった場合には、ステップ#604乃至#613において、防塵フィルタ21に対してマイナス電圧を印加することによる静電集塵動作を実行する。この後、集塵板403のチャージ動作を行って(#613)、ステップ#603に戻る。
【0093】
次に、ステップ#603にフラグFの判定を行うと、ステップ#612において、F=1が設定されていることから、Noで抜け、ステップ#614に進む。このステップ#614乃至#623はステップ#604乃至#613と集塵板403に印加する電圧の極性が異なることと、ステップ#622にて電圧印加フラグFを1に設定すること以外は、同じであることから詳細は省略するが、これらのステップにおいて、防塵フィルタ21に対してプラス電圧を印加することによる静電集塵を実行する。これらのステップを終了すると、集塵板403のチャージを行って(#623)、メインルーチンにリターンする。
なお本実施形態においては、集塵板403の保持(#604、#614)、チャージレバーの退避(#605、#615)、集塵板403のチャージ動作(#613、#623)を行っているが、これらの各動作は先に説明した第1実施形態ものと同等の動作である。
【0094】
以上、述べたように、本発明の第2実施形態においても、防塵フィルタ21の撮影光学系12a側に静電除塵機能を有する集塵板403を配置し、電源オン時、レンズ鏡筒12等のアクセサリ類の交換時等、撮影光学系装着部の開口部が外界に対して開放上状態となるときには、静電除塵を行うようにしたので、画像生成のための光学部材(防塵フィルタ21)に塵埃等が付着したままとならず、塵埃等の影が画像として写りこむことを減らすことができる。
また、第2実施形態では、集塵板403の駆動源をバネとして、これのチャージの駆動源をシャッタチャージ用モータとは独立させたので、集塵機能を動作させるタイミングの自由度を高くすることができる。なお、本実施形態では、撮像の直前に集塵機能を動作させていないが、勿論、第1実施形態のように動作させても良いことは勿論である(逆に第1実施形態において、撮像の直前の集塵機能を実施しないようにしても良いことは勿論である)。
【0095】
以上のように、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、上述した実施形態は次のように変形実施してもよい。
例えば、集塵板403による静電除塵動作は、防塵フィルタ21の前面を上下に並行移動したが、これに限らず、左右に並行移動でもよく、またワイパーのように回動タイプでも良い。また、静電除塵される対象は防塵フィルタ21であったが、これに限らず光学的に画像を形成される際に光束が通過する面であれば良い。さらに、静電除塵にあたっては、正電気と負電気でそれぞれ1回静電除塵したが、このように1対にしなくても、片側のみでも十分な場合がある。さらに、静電除塵は上から下への移動時のみに行うようにしたが、上から下への移動時に正電気で、下から上への移動時に負電気による静電除塵を行うように切換えても良いことは勿論である。また、防塵フィルタ21に対して集塵板403が移動するように構成したが、両者が相対移動すればよいことは勿論である。
また、上記の加振手段による塵埃除去手段の他に、空気流によって防塵フィルタの塵を除去する方式、あるいはワイパーにより防塵フィルタの塵を除去するような機構を組み合わせて用いても良いことは勿論である。また、上述した実施形態では電気機械変換素子は圧電体としていたが、電歪材料でも、超磁歪材でも勿論良い。また、加振する対象は、例示の防塵フィルタ21に限らず、光路上に在り光の透過性をもった部材等(例えばカバーガラスやハーフミラーなど)であってもよい。但しその部材は、振動によって、その表面に付着していた塵を振り払うと共に、その振動と共振によって可聴範囲内の音波を発するものとする。また、振動に係わる周波数や駆動時間などはその部材に対応した値に設定する。
【0096】
尚、本発明を適用する電子撮像装置としては、例示した電子カメラ(デジタルカメラ)に限らず、塵除去機能を必要とする装置であればよく、必要に応じて変形実施することで実用化され得る。より、具体的には液晶プロジェクターの液晶パネルと光源の間に本発明の防塵機構を設けても良い。このほかにも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0097】
本発明の実施形態によれば、撮像素子あるいは液晶パネルに塵埃の付着するのを防塵フィルタの静電除塵により防止でき、超音波振動によっても払い落とせない微小な塵埃の撮像素子への写りこみあるいはスクリーン面への映し出しを防止できる電子カメラあるいは液晶プロジェクタ等の映像機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態に係わる電子撮像装置(電子カメラ)の一部を切断し、その内部の機械的構造を示す斜視図である。
【図2】該電子カメラの主に電気的な構成を概略的に示すブロック構成図である。
【図3】該電子カメラにおける撮像ユニット15を分解して示す要部分解斜視図である。
【図4】組み立てた状態の当該撮像ユニット15の一部を切断して示す斜視図である。
【図5】集塵板駆動機構の要部を示す正面図である。
【図6】集塵板の動作と電荷の状態を示す要部断面図である。
【図7】図6に示す集塵板の動作と電荷の状態の続きを示す要部断面図である。
【図8】集塵板とシャッタチャージ機構を示す要部拡大図である。
【図9】防塵フィルタ21による塵挨の影を薄くする作用について説明するもので、撮影光学系12aの結像光線の一部が防塵フィルタ21上に固着している塵挨Xにより遮光され、影X′が撮像面上に形成される状態を示した図である。
【図10】防塵フィルタ21による塵挨の影を薄くする作用について説明するもので、(a)は防塵フィルタ21が静止状態にある時の撮像面上の影X′の状態を示した図、(b)は防塵フィルタ21が振動状態にある時の撮像面上の影X′の状態を示した図である。
【図11】本発明の第1実施形態のカメラに於ける撮像ユニット15の主要部の断面図であり、(a)は防塵フィルタ側から見た図、(b)は断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態における振動部材22と防塵フィルタ21の動作を示す図である。
【図13】振動部材81の共振周波数と振動の節と腹について説明する図である。
【図14】防塵フィルタ駆動回路と集塵制御回路の詳細を示す電気回路図である。
【図15】防塵フィルタの駆動とその動作に係わる波形信号を表すタイムチャートである。
【図16】本発明の第1実施形態における集塵動作を示すフローチャート図である。
【図17】図16に示すフローチャート図における静電防塵1のサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図18】図17に示すフローチャート図における静電防塵2のサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図19】図16に示すフローチャート図における無音加振動作のサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図20】加振手段へ連続的に供給される共振周波数の波形を表すグラフである。
【図21】表示手段の詳細を表すブロック構成図である。
【図22】表示手段の表示を表す図である。
【図23】本発明の第2実施形態における集塵板とシャッタチャージ機構を示す要部拡大図である。
【図24】本発明の第2実施形態における集塵動作を示すフローチャート図である。
【図25】図24に示すフローチャート図における静電除塵のサブルーチンを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0099】
1・・・カメラ、2・・・レンズ駆動機構、3・・・絞り、4・・・絞り駆動機構、5・・・レンズ制御用マイクロコンピュータ、6・・・通信コネクタ、11カメラ本体部、11a撮影光学系装着部、12・・・レンズ鏡筒、12a・・・撮影光学系、13・・・ファインダ装置、13a・・・ペンタプリズム、13b・・・反射鏡、13c・・・接眼レンズ、13d・・・サブミラー、13e・・・フォーカシングスクリーン、14・・・シャッタ部、15・・・撮像ユニット、16・・・主基板、17・・・レリーズ釦、18・・・ミラー駆動機構、19・・・シャッタチャージ機構、20・・・押圧部材、21・・・防塵フィルタ、22・・・振動部材、22a・・・電気機械変換素子、22b・・・弾性部材、23・・・防塵フィルタ受け部材、24・・・撮像素子収納ケース部材、25・・・光学的ローパスフィルタ(光学LPF)、26・・・ローパスフィルタ受け部材、27・・・CCD、28・・・撮像素子固定板、29・・・不揮発性メモリ、30a・・・AFセンサユニット、30b・・・AFセンサ駆動回路、32・・・測光回路、32a・・・測光センサ、33・・・温度測定回路、34・・・CCDインターフェース回路、35・・・液晶モニタ、36・・・フォトレフレクタ(PR)、38a・・・SDRAM、38b・・・FlashROM、39・・・記録メディア、40・・・画像処理コントローラ、41・・・N進カウンタ、42・・・1/2分周回路、43・・・インバータ、48・・・防塵フィルタ駆動回路、50・・・ボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)、51・・・LCD、51a・・・LED、52・・・カメラ操作SW、53・・・電源回路、54・・・電池、55・・・クロックジェネレータ、56・・・DAC、57・・・DC/DCコンバータ、58・・・ADC、59・・・湿度センサ、60・・・極性切換SW、61a・・・空隙、61b・・・空間部、70・・・外部電源、402・・・集塵制御回路、403・・・集塵板、405・・・可動板、406・・・リンクA、407・・・リンクB、408・・・バネA、409・・・係止板、410・・・ソレノイド、410a・・・ロッド、410b・・・バネ、412・・・チャージレバー、414・・・保持箱、500・・・カメラの固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的な画像を生成する画像機器の光学画像が生成される画像面と、
上記画像面に対応する領域が透明部をなし、この透明部が上記画像面に対し所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、
上記防塵部材に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板と、
を具備することを特徴とする画像機器。
【請求項2】
上記画像面と上記防塵部材との両者が対向して形成される部位に、略密閉された空間部を構成すべく上記画像面及び上記防塵部材の周縁側で上記空間部を封止するように構成された封止構造部を具備することを特徴とする請求項1に記載の画像機器。
【請求項3】
自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子と、
上記光電変換面に対応する領域が透明部をなし、この透明部が上記撮像素子の前面側に所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、
上記防塵部材に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板と、
上記撮像素子と上記防塵部材との両者が対向して形成される部位に、略密閉された空間部を構成すべく上記撮像素子及び上記防塵部材の周縁側で上記空間部を封止するように構成された封止構造部と、
上記撮像素子の光電変換面上に結像された像に対応するものとして当該撮像素子から得られた画像信号を記録に適合する形態の信号に変換するための画像信号処理回路と、
を具備することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
上記集塵板は、上記撮像素子への光路を開閉するシャッタに連動して動作することを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項5】
撮影レンズを装着するための撮影レンズ装着部を、さらに有し、上記撮影レンズは、上記撮影レンズ装着部において着脱可能であることを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項6】
光学的な画像を生成する画像機器の光学画像が生成される画像面と、
上記画像面に対応する領域が透明部をなし、この透明部が上記画像面に対し所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、
上記防塵部材に振動を与える加振部材と、
上記防塵部材面に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板と、
を具備することを特徴とする画像機器。
【請求項7】
自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子と、
全体として円形乃至多角形の板状をなし少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部をなし、この透明部が上記撮像素子の前面側に所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、
上記防塵部材に振動を与える加振部材と、
上記防塵部材面に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板と、
上記撮像素子と上記防塵部材との両者が対向して形成される部位に、略密閉された空間部を構成すべく上記撮像素子及び上記防塵部材の周縁側で上記空間部を封止するように構成された封止構造部と、
上記撮像素子の光電変換面上に結像された像に対応するものとして当該撮像素子から得られた画像信号を記録に適合する形態の信号に変換するための画像信号処理回路と、
を具備することを特徴とするカメラ。
【請求項8】
光学画像が生成される画像面を有する画像機器の塵埃画像防止装置であって、
上記画像面に対応する領域が透明部をなし、この透明部が上記画像面に対し所定の間隔を持って対向配設されている防塵部材と、
上記防塵部材に沿って略平行方向に相対移動するさいに、負、又は、正の電荷を上記防塵部材と対向する面に持つ集塵板と、
を具備することを特徴とする塵埃画像防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−208397(P2007−208397A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22200(P2006−22200)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】