説明

塵芥収集車の塵芥積込制御装置

【課題】塵芥積込装置による塵芥収容箱への塵芥積込時に排出板を前方へ確実に移動させて塵芥を圧縮しつつ塵芥収容箱に効率よく積込む。
【解決手段】車体上に搭載され、内部に排出シリンダ19によって進退自在な排出板18が配設された塵芥収容箱2と、該塵芥収容箱2の後方開口部4に傾動自在に連設され、内部に塵芥積込装置Aを装備した塵芥投入箱3とからなる塵芥収集車1において、塵芥投入箱2に排出シリンダ19の収縮を制御する操作スイッチを設け、塵芥積込装置Aによる塵芥収容箱2への塵芥積込時、操作スイッチの操作により設定時間排出板18を前方に向けて移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車において塵芥収容箱内に塵芥を効率よく積み込むための塵芥積込制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、塵芥収集車には、塵芥収容箱内に排出シリンダを介して摺動可能な排出板が設けられ、塵芥収容箱への塵芥積込時、排出シリンダの背圧側油室を高圧に維持して積み込まれる塵芥の圧縮力に抗して排出板を保持する一方、塵芥の積み込みに伴って塵芥積込装置に作用する圧力が設定値以上に達すると、排出シリンダの背圧側油室を一定時間オイルリザーバに連通させることにより、排出シリンダを収縮させて排出板を塵芥収容箱の後部から前方に向かって自動的に移動させ、塵芥収容空間を拡大させて塵芥を圧縮しつつ積み込むようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−117502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述した塵芥収集車においては、塵芥積込装置による塵芥積込時に排出板が自動的に前方に移動するようになっているが、排出板が前進限界位置に近づくと、排出板が前方に円滑に移動しない場合があった。すなわち、排出板を進退させる排出シリンダには、それぞれ径が異なるシリンダを組込んだ多段式のシリンダが使用されていることにより、塵芥収容箱に塵芥を積み込むと、受圧面積の小さな細い径のシリンダから順に収縮し、排出シリンダの最終収縮段において、受圧面積が大きくなって、排出シリンダのピストン背圧側油室の圧力が、排出シリンダの圧油をオイルリザーバに還流させる圧力制御弁(例えば、リリーフ弁)の設定圧力よりも低くなり、排出シリンダが収縮しにくいという事態が発生することがあった。
【0004】
この場合、排出板を前方へ移動させる操作スイッチ、すなわち、排出シリンダを収縮させる操作スイッチは、運転席に設けられており、作業者は、排出板が収縮しにくい状況が生じた都度運転席に出向いて排出板を前方へ移動させる操作を行わなければならず、作業が煩雑になるという問題があった。しかも、操作スイッチを押圧操作する間、排出シリンダが伸縮することから、漫然と操作スイッチの押圧操作を継続すると、排出板が速やかに前進限界位置まで到達し、排出板との間で塵芥に十分な圧縮力を与えることができず、塵芥の積載効率が低下するものとなっていた。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、塵芥積込装置による塵芥収容箱への塵芥積込時に塵芥投入箱側からの操作によって排出板を確実に前方へ移動させて塵芥を圧縮しつつ塵芥収容箱に効率よく積込むことのできる塵芥収集車の塵芥積込制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車体上に搭載された塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方開口部に傾動自在に連設された塵芥投入箱と、塵芥収容箱の内部に排出シリンダによって進退自在に配設された排出板と、塵芥投入箱の内部に装備され、複数の油圧アクチュエータによって駆動される塵芥積込装置とよりなる塵芥収集車において、前記塵芥投入箱に排出シリンダの収縮を制御する操作スイッチを設け、塵芥積込装置による塵芥収容箱への塵芥積込時、操作スイッチの操作により設定時間排出板を前方に向けて移動させることを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、排出板を移動しないように停止させた状態で塵芥積込装置を作動させ、塵芥投入箱に投入された塵芥を圧縮しつつ塵芥収容箱に積み込む。そして、塵芥収容箱への塵芥の積込状況に基づいて、塵芥投入箱に設けた操作スイッチを操作すれば、設定時間だけ排出板の排出シリンダを収縮させることができる。これにより、排出板が前方に向かって若干移動し、塵芥収容箱に新たな塵芥収容空間を形成することから、塵芥積込装置によって新たな塵芥を圧縮しつつ塵芥収容箱に積み込むことができる。
【0008】
この結果、排出板を塵芥収容箱の前方限界位置まで確実に移動させることができ、塵芥収容箱を余すことなく活用して塵芥を圧縮しつつ積み込むことができる。
【0009】
本発明において、前記設定時間がセレクトスイッチによって複数個の時間から選択可能であることが好ましい。これにより、塵芥の種類などに対応して、複数個の設定時間から適正な時間を選択して排出板を前方に移動させることができる。
【0010】
本発明において、前記排出シリンダが多段式油圧シリンダであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、塵芥積込装置による塵芥収容箱への塵芥積込時に塵芥投入箱側からの操作によって排出板を確実に前方へ移動させて塵芥を圧縮しつつ塵芥収容箱に効率よく積込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1には、本発明の塵芥収集車の一実施形態が示されている。
【0014】
この塵芥収集車1は、車体上に搭載された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方開口部4に枢軸5回りに傾動自在に連設された塵芥投入箱3とから構成されている。
【0015】
塵芥投入箱3は、その前面が開放されて塵芥収容箱2の後方開口部4に連通されるとともに、背面下方に投入口6が開口され、その下部に塵芥の貯留室7が形成されている。そして、塵芥投入箱3内には、投入口6を通して貯留室7に投入された塵芥を押し潰して圧縮し、塵芥収容箱2内に積み込む塵芥積込装置Aが装備されている。
【0016】
まず、この塵芥積込装置Aの構成について説明する。
【0017】
塵芥投入箱3の両側壁には溝型鋼で形成された案内溝部材8が前方上端より後方下部に向って傾斜して敷設されており、その上端部には前記枢軸5が設けられている。また、塵芥投入箱3内にはその横巾一杯にひろがる昇降板9が収容され、昇降板9の両側縁の上下には案内ローラ10が軸着され、これらの案内ローラ10は案内溝部材8の内壁に沿って転動自在に嵌合されている。一方、昇降板9の背面上部には、ブラケットを介して枢軸11が設けられており、この枢軸11は、昇降板9の摺動距離に合致するように塵芥投入箱3の側壁に案内溝部材8の背面に沿って形成された切欠き12を越えて塵芥投入箱3の内方より外方に突出するようになっている。そして、塵芥投入箱3の外方に突出された枢軸11と塵芥投入箱3の下部外側間に第一伸縮シリンダ(昇降シリンダ)13が案内溝部材8の傾斜方向に沿って、かつ、その背面上方に偏位して連結されている。これにより、第一伸縮シリンダ13の伸縮作動によって昇降板9を案内溝部材8に沿って上下に往復移動させることができる。
【0018】
また、昇降板9の下端には、塵芥投入箱3の横幅方向一杯にひろがる押込板14が前後に揺動自在に軸支15され、押込板14の背面に突設した突片16と昇降板9の背面上部に設けられた枢軸11間に第二伸縮シリンダ(押込シリンダ)17が連結されている。これにより、第二伸縮シリンダ17の伸縮作動によって押込板14を軸支15部回りに前後に揺動させることができる。
【0019】
一方、塵芥収容箱2の内部には、前後方向に摺動自在な排出板18が配設されている。この排出板18は、塵芥収容箱2の内幅と略等しく、かつ、高さが塵芥収容箱2の底壁から頂壁までの高さと略等しく形成されている。そして、塵芥収容箱2の前部に固設されたブラケットと排出板18下部との間には、排出シリンダ19が連結されている。これにより、排出シリンダ19の伸縮作動によって排出板18を塵芥収容箱2内部で前後に往復移動させることができる。
【0020】
なお、前記排出シリンダ19は、それぞれ径の異なる3つのシリンダが組込まれた3段式シリンダであり、その大径シリンダ側が排出板18下部に、先端の小径シリンダ側が前部ブラケットにそれぞれ連結されている。
【0021】
次に、塵芥収集車1の油圧回路について図2により説明する。
【0022】
この油圧回路は、油圧ポンプPと、オイルリザーバTと、第一伸縮シリンダ13を伸縮制御する電磁制御弁V1と、第二伸縮シリンダ17を伸縮制御する電磁制御弁V2と、排出シリンダ19を伸縮制御する電磁制御弁V3とから主に構成されている。
【0023】
ここで、電磁制御弁V1はソレノイドSOLa,SOLbを有し、電磁制御弁V2はソレノイドSOLc,SOLdを有し、また、電磁制御弁V3はソレノイドSOLe,SOLfを有している。
【0024】
また、第二伸縮シリンダ17のピストン背圧側油室に連通する回路には、その圧力が設定圧力以上に達した場合に接点psが作動する圧力スイッチPSが接続されている。また、排出シリンダ19のピストン背圧側油室に連通する回路には、電磁切換弁Vおよび制御弁、例えば、リリーフ弁Rが接続されている。この電磁切換弁VはソレノイドSOLgを有し、通常、排出シリンダ19のピストン背圧側油室がオイルリザーバTに連通するのを阻止する位置に付勢されており、ソレノイドSOLgに通電すると、排出シリンダ19のピストン背圧側油室がオイルリザーバTに連通する位置に切り換えられるものである。また、リリーフ弁Rは、排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧力が設定圧力以上に達した際に、その圧油をオイルリザーバTに還流させるものである。
【0025】
次に、塵芥収集車の塵芥積込装置Aを制御する制御装置PLC(プログラマブル ロジック コントローラ)に対する入出力状態について図3により説明する。
【0026】
塵芥収集車1の運転席には、塵芥積込作業あるいは塵芥排出作業を選択する選択スイッチSW1、塵芥投入箱3の開閉スイッチSW2、排出板18の進退スイッチSW3などが設けられ、一方、塵芥投入箱3の後部には、塵芥積込装置Aの始動スイッチSW4、停止スイッチSW5、排出板18の前進スイッチSW6、作動時間を設定するセレクトスイッチSなどが設けられている(図4参照)。
【0027】
また、昇降板9を昇降させる第一伸縮シリンダ13が最伸長した状態を検出する光電スイッチ、近接スイッチなどの無接点スイッチLS1、第一伸縮シリンダ13が最収縮した状態を検出する無接点スイッチLS2、押込板14を揺動させる第二伸縮シリンダ17が最伸長した状態を検出する無接点スイッチLS4、第二伸縮シリンダ17が最収縮した状態を検出する無接点スイッチLS3が設けられている。これらの無接点スイッチのうち、無接点スイッチLS1,LS2は、塵芥投入箱3と第一伸縮シリンダ13との間において、また、無接点スイッチLS3,LS4は、昇降板9と第二伸縮シリンダ17との間において、それぞれ一方に検出体が、他方に被検出体が配設されて切換作動するようになっている(図4参照)。
【0028】
これらの各種スイッチSW1〜SW6、セレクトスイッチS、無接点スイッチLS1〜LS4、電磁制御弁V1〜V3のソレノイドSOLa〜SOLf、電磁切換弁VのソレノイドSOLg、圧力スイッチPSの接点psは、制御装置PLCに接続されており、制御装置PLCは、それぞれ各種スイッチSW1〜SW6、セレクトスイッチS、無接点スイッチLS1〜LS4、圧力スイッチPSの接点psの入力状況に基づいて予め設定された手順にしたがって対応するソレノイドSOLa〜SOLgに出力するようにプログラムされている。
【0029】
次に、このように構成された塵芥収集車1の作動について説明する。
【0030】
まず、塵芥収集車1の塵芥積込装置Aは、通常、図1実線(a)に示す塵芥の積込行程終了状態で停止している。この状態では、第一、第二伸縮シリンダ13,17は何れも最伸長状態にあり、無接点スイッチLS1,LS4を作動させている。これにより、昇降板9は上昇限界位置に、押込板14は前方揺動限界位置にそれぞれ移動している。この状態で塵芥投入箱3の投入口6より塵芥を貯留室7に投入し、始動スイッチSW4を押圧操作すると、制御装置PLCはソレノイドSOLdに通電する。これにより、電磁制御弁V2を上方位置に切り換えて第二伸縮シリンダ17を収縮作動させ、図1鎖線(b)に示すように押込板14をその両面が略水平位置になるまで反転させる。
【0031】
押込板14が後方揺動限界位置に達すると、すなわち、第二伸縮シリンダ17が最収縮すると、無接点スイッチLS3が作動し、制御装置PLCは、ソレノイドSOLdへの通電を解除して電磁制御弁V2を中立位置に戻すと同時に、ソレノイドSOLbに通電し、電磁制御弁V1を上方位置に切り換える。これにより、第一伸縮シリンダ13を収縮作動させて、昇降板9を案内溝部材8に沿って下降させ、昇降板9に連結された押込板14を図1鎖線(b)より(c)に示すようにその前面が略水平状態に保持したまま平行に下降させる。したがって、押込板14は、塵芥投入箱3の底面の円弧面との間で投入塵芥を押し潰すことができる。
【0032】
昇降板9が下降限界位置に達すると、すなわち、第一伸縮シリンダ13が最収縮すると、無接点スイッチLS2が作動し、制御装置PLCはソレノイドSOLbへの通電を解除して電磁制御弁V1を中立位置に戻すと同時に、ソレノイドSOLcに通電し、電磁制御弁V2を下方位置に切り換える。この結果、図1鎖線(c)に示す塵芥の押し潰し終了状態より第二伸縮シリンダ17が伸長作動し、押込板14を軸支15部を支点として図1鎖線(d)に示すように、その前面が略垂直状態になるまで時計回り方向に揺動させる。したがって、押込板14は、前行程で一次的に押し潰された塵芥を塵芥投入箱3の底面の平坦面との間で二次的に圧縮することができる。
【0033】
押込板14が前方揺動限界位置に達すると、すなわち、第二伸縮シリンダ17が最伸長すると、無接点スイッチLS4が作動し、制御装置PLCは、ソレノイドSOLcへの通電を解除して電磁制御弁V2を中立位置に戻すと同時に、ソレノイドSOLaに通電し、電磁制御弁V1を下方位置に切り換える。この結果、図1鎖線(d)に示す圧縮行程の終了状態より第一伸縮シリンダ13が伸長作動し、押込板14をその前面が略垂直状態を保持したまま平行に上昇させ、前行程にて圧縮した塵芥を塵芥収容箱2内に積み込むことができる。そして、昇降板9が上昇限界位置に達すると、すなわち、第一伸縮シリンダ13が最伸長すると、無接点スイッチLS1が作動し、制御装置PLCは、ソレノイドSOLaへの通電を解除して電磁制御弁V1を中立位置に戻すことにより、積込行程が終了し、塵芥積込装置Aの塵芥積込作動を停止するものである。
【0034】
以下、始動スイッチSW4の押圧操作により、塵芥積込装置Aは、反転行程、押し潰し行程、圧縮行程、積込行程の順に作動し、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込むことができる。
【0035】
なお、図1鎖線(b)に示される反転終了状態より図1鎖線(c)に至る押し潰し行程において、制御装置PLCは、昇降板9が下降を開始して設定時間が経過すると、昇降板9の下降を停止させ、押込板14による圧縮行程に移行させる。すなわち、昇降板9が塵芥によって下降が阻止され、第一伸縮シリンダ13が収縮側ストロークエンドに達することができなくても一定時間が経過すれば次の圧縮行程に移行するものである。
【0036】
また、圧縮行程において、制御装置PLCは、押込板14が前方への揺動を開始して設定時間が経過すると、押込板14による圧縮行程を停止させ、昇降板9の上昇による積込行程に移行させる。すなわち、押込板14が塵芥によって圧縮が阻止され、第二伸縮シリンダ17が伸長側ストロークエンドに達することができなくても一定時間が経過すれば次の積込行程に移行するものである。
【0037】
ところで、前述した塵芥の積込行程においては、排出シリンダ19を伸縮制御する電磁制御弁V3は中立位置にあって、排出シリンダ19が伸長した状態で、そのピストンロッド側油室およびピストン背圧側油室をポートブロックしている。したがって、塵芥積込装置Aによって塵芥が塵芥収容箱2内に積み込まれる際、排出シリンダ19は伸長状態に保持されており、塵芥は排出板に押圧されて排出板18との間で圧縮される。
【0038】
一方、塵芥積込装置Aによって塵芥が塵芥収容箱2内に順次積み込まれると、排出板18が積み込まれた塵芥の反力を受けて押圧されることにより、排出板18を支持している排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧力が徐々に上昇する。そして、排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧力が、リリーフ弁Rの設定圧力以上に上昇すれば、リリーフ弁Rが作動し、排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧油をオイルリザーバTに還流させる。これにより、排出板18を介して塵芥の押圧力を支持している排出シリンダ19の最初の段の小径のシリンダが収縮し、排出板18が前方に移動することから、塵芥収容箱2に新たな塵芥収容空間が形成され、塵芥積込装置Aを介して塵芥を新たな塵芥収容空間に圧縮しつつ塵芥収容箱2内に積み込むことができる。
【0039】
なお、排出シリンダ18が収縮すれば、そのピストン背圧側油室の圧力が低下し、リリーフ弁Rは元の位置に復帰してオイルリザーバへの圧油の還流を阻止する。
【0040】
以下、塵芥積込装置Aによって塵芥が塵芥収容箱2内に積み込まれることにより、排出板18が塵芥によって押圧され、排出板18を支持している排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧力が上昇し、リリーフ弁Rの設定圧力に達すれば、リリーフ弁Rが作動して、排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧油をオイルリザーバTに還流させる。これにより、排出シリンダ18の小径のシリンダが収縮して排出板18が前方へ移動し、塵芥収容箱2に新たな塵芥収容空間形成され、新たな塵芥収容空間に塵芥積込装置Aを介して塵芥を積み込むものである。
【0041】
塵芥積込装置Aによって塵芥収容箱2に順次塵芥が積み込まれることにより、塵芥による塵芥積込装置Aに作用する反力も徐々に増大する。すなわち、塵芥積込行程において、押込板14を軸支15部回りに反転させるように押込板14に作用する塵芥の反力も増大していく。この場合、第二伸縮シリンダ17を伸縮制御する電磁制御弁V2は中立位置にあって、第二伸縮シリンダ17を伸長した状態で、そのピストンロッド側油室およびピストン背圧側油室をポートブロックしている。したがって、塵芥の積み込みに伴って、押込板14に作用する塵芥の反力が増大すると、第二伸縮シリンダ17のピストン背圧側油室の圧力が徐々に上昇していく。
【0042】
一方、塵芥積込装置Aによって塵芥が順次積み込まれることにより、排出シリンダ19が小径のシリンダから順に収縮し、受圧面積が大きくなれば、排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧力が低下する。そして、排出シリンダ18の最終段の大径のシリンダが収縮するようになると、排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧力は、リリーフ弁Rの設定圧力よりも低くなり、リリーフ弁Rが作動しにくいものとなる。このとき、塵芥収容箱2に積み込まれる塵芥の反力によって押込板14を支持する第二伸縮シリンダ17のピストン背圧側油室の圧力が上昇しており、その圧力が圧力スイッチPSの設定圧力に達すると、接点psが切換作動することから、制御装置PLCは、ソレノイドSOLgに設定時間、例えば、1秒間通電し、電磁切換弁Vを下方位置に切り換えて、排出シリンダ19のピストン背圧側油室の圧油をオイルリザーバTに還流させる。これにより、排出シリンダ18の最終段の大径のシリンダが若干収縮し、排出板18が前方に移動する。排出板18が前方へ移動すれば、塵芥収容箱2に新たな塵芥収容空間を形成することから、新たな塵芥収容空間に塵芥積込装置Aを介して塵芥を圧縮しつつ塵芥収容箱2内に積み込むことができる。
【0043】
排出シリンダ18が収縮すれば、塵芥収容箱2に新たな塵芥収容空間が形成されることにより、排出板18に作用する塵芥の押圧力が緩和される。そして、排出板18に対する塵芥の押圧力が緩和されることに伴って、第二伸縮シリンダ17のピストン背圧側油室の圧力が圧力スイッチPSの設定圧力よりも低下すれば、接点psが切換作動し、制御装置PLCは、ソレノイドSOLgへの通電を解除し、電磁切換弁Vを元の位置に戻してオイルリザーバTへの圧油の還流を阻止する。
【0044】
また、塵芥としてダンボールを積み込む場合、ダンボールが固くて大きいときには、呑み込み性が低下することがある。特に、排出シリンダ19の最終段の大径のシリンダが収縮するようになると、呑み込み性の低下が顕著になるとともに、排出板18が前方へ円滑に移動しにくいことが生じる。このような事態が生じたときには、セレクトスイッチSを切換操作して塵芥の種類に対応する時間、例えば、2秒に設定した後、排出板18の前進スイッチSW6を押圧操作すれば、制御装置PLCは、ソレノイドSOLfに2秒間通電し、電磁制御弁V3を2秒間上方位置に切り換える。これにより、排出シリンダ19は、2秒間だけ収縮し、排出板18を前方に移動させることができる。排出板18が前方に移動すれば、塵芥収容箱2に新たな塵芥収容空間が形成され、塵芥積込装置Aを介して塵芥を新たな塵芥収容空間に圧縮しつつ塵芥収容箱2内に積み込むことができる。
【0045】
したがって、排出板18を前進限界位置に達するまで確実に前進させることができ、塵芥収容箱2の塵芥収容空間を余すことなく活用して塵芥を圧縮しつつ積み込むことができる。しかも、排出板18の前進操作を運転席に戻ることなく塵芥投入箱3側において操作することができ、作業者の利便性を向上させることができる。
【0046】
なお、本実施例では塵芥積込装置Aを昇降板9と押込板14とで構成したが、回転板と押込板とで構成することもでき、その構造を特に限定するものではない。
【0047】
また、塵芥投入箱3において、排出板18の前進を操作スイッチSW6とセレクトスイッチSによって制御する場合を例示したが、複数個の時間設定が可能で、かつ、ON−OFF機能を有するセレクトスイッチを用いて操作スイッチとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の塵芥収集車の一実施形態を示す断面側面図である。
【図2】図1の塵芥収集車の油圧回路図である。
【図3】図1の塵芥収集車の制御装置に対する入出力状態を示すブロック図である。
【図4】無接点スイッチおよび操作スイッチの取付位置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
9 昇降板
13 第一伸縮シリンダ(昇降シリンダ)
14 押込板
17 第二伸縮シリンダ(押込シリンダ)
18 排出板
19 排出シリンダ
A 塵芥積込装置
SW6 排出板の前進スイッチ(操作スイッチ)
S セレクトスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上に搭載された塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方開口部に傾動自在に連設された塵芥投入箱と、塵芥収容箱の内部に排出シリンダによって進退自在に配設された排出板と、塵芥投入箱の内部に装備され、複数の油圧アクチュエータによって駆動される塵芥積込装置とよりなる塵芥収集車において、前記塵芥投入箱に排出シリンダの収縮を制御する操作スイッチを設け、塵芥積込装置による塵芥収容箱への塵芥積込時、操作スイッチの操作により設定時間排出板を前方に向けて移動させることを特徴とする塵芥収集車の塵芥積込制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の塵芥収集車の塵芥積込制御装置において、前記設定時間がセレクトスイッチによって複数個の時間から選択可能であることを特徴とする塵芥収集車の塵芥積込制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の塵芥収集車の塵芥積込制御装置において、前記排出シリンダが多段式油圧シリンダであることを特徴とする塵芥収集車の塵芥積込制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−234738(P2009−234738A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83627(P2008−83627)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】