説明

塵芥収集車

【課題】 塵芥投入箱Tの投入口T1を開閉する蓋本体51を容易に取り外すことができるようにした塵芥収集車を提供することを目的とする。
【解決手段】車体フレームF上に搭載した塵芥収容箱Bと、該塵芥収容箱Bの後方に設けられるとともに後部に投入口T1及び内部に積込装置2を有する塵芥投入箱Tと、投入口T1を開閉する蓋5とを備えた塵芥収集車Gであって、前記塵芥投入箱Bはスライドレール91を備え、前記蓋5は、蓋本体51と、該蓋本体51の両端部の上下に上部ローラ52b(上部スライド部)と下部ローラ52a(下部スライド部)とを備え、上部ローラ52bと下部ローラ52aとが前記スライドレール91に沿って移動することで投入口T1を開閉し、スライドレール91は、車両後方に向けて開けた切欠部91hと、取り付けた際には切欠部91hを覆いスライドレール91の一部となるカバー92とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塵芥収集車は、運転室と、運転室の下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレームと、車体フレームの上方に配置された塵芥収容箱と、塵芥収容箱の後方に配置された塵芥投入箱とを備えている。塵芥投入箱内には塵芥を積み込むための積込装置が設けられており車体後面にあたる位置に設けた投入口から塵芥投入箱に塵芥を投入し、積込装置を作動することにより塵芥を塵芥収容箱内に積載する。
【0003】
そして、塵芥収集車は投入口を閉鎖する開閉扉を備えており、開閉扉は、塵芥投入箱の左右サイドパネル内面に長手方向を車両上下方向に向けて固定したガイドレールに沿って上下移動することで投入口を開閉する構造が開示されている。
この開閉扉は四隅にガイドローラを備え、4つのガイドローラをガイドレールに挿入することにより、開閉扉を上下移動する際のガタつきを抑えることができるようになっている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−314061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような開閉扉は4つのガイドローラをガイドレールに挿入し、嵌めこまれているため開閉扉が損傷したとしても取り替えることができない。
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、開閉扉を容易に取り外すことができるようにした塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明の塵芥収集車は、車体フレーム上に搭載した塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方に設けられるとともに後部に投入口及び内部に積込装置を有する塵芥投入箱と、投入口を開閉する蓋とを備えた塵芥収集車であって、前記塵芥投入箱はスライドレールを備え、前記蓋は、蓋本体と、該蓋本体の両端部の上下に上部スライド部と下部スライド部とを備え、上部スライド部と下部スライド部とが前記スライドレールに沿って移動することで投入口を開閉し、スライドレールは、車両後方に向けて開けた切欠部と、取り付けた際には切欠部を覆いガイドレールの一部となるカバーとを有することを特徴としている。
蓋本体を破損するなどし、蓋本体を取り外す必要がある場合は、カバーを取り外すことにより切欠部を開放し、蓋本体を車両後方に向けて容易に取り外すことができる。
【0008】
前記スライドレールは上部スライド部と下部スライド部とをスライド可能に連続し、前記切欠部はスライドレールの中央部に設けてもよく、これにより、カバーをひとつにすることができるため、安価に塵芥収集車を製造することができる。
【0009】
また、前記塵芥投入箱は投入口下部に揺動可能なテーブルを備え、前記テーブルを起立姿勢で保持する被係合部をカバーに取り付けてあってもよく、これによると、カバーを取り外すとテーブルを展開するので、カバーを取り外す際にテーブルと引っ掛かることを防止することができ、さらに蓋本体の取り外し作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0010】
このような構成の塵芥収集車によれば、蓋本体を破損するなどし、蓋本体を取り外す必要がある場合は、蓋本体を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の塵芥収集車を左舷側から見た側断面図である。
【図2】塵芥収集車の平面図である。
【図3】塵芥収集車の後部側の側面図であって、投入口を蓋により閉鎖した状態を示した図である。
【図4】塵芥投入箱をロック解除した状態を示すとともに、投入口を開放した状態を示した側面図である。
【図5】塵芥収集車のスイッチボックスの正面図である。
【図6】塵芥収集車の背面図である。
【図7】図3のVII線断面図であって、(a)はカバーをガイドレール取り付けた状態を示す図、(b)はカバーを外した状態を示す図である。
【図8】他実施例を示した図であり、(a)は塵芥投入箱の後方下部の拡大側面図、(b)は後面の左下部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1のように塵芥収集車Gは、運転室(キャブ)Cと、運転室Cの下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレームFと、車体フレームFの上方に配置された塵芥収容箱Bと、塵芥収容箱Bの後方に配置された塵芥投入箱Tとを備えている。塵芥投入箱T内には塵芥を積み込むための積込装置2が設けられており、塵芥収容箱Bには積み込まれた塵芥を排出するための排出装置1が設けられている。
【0013】
図2のように、車体フレームFは、車両前後方向に延びる左右一対の縦フレームF1と、車幅方向に延びる複数の横フレームF2とを有している。
【0014】
縦フレームF1は、車幅方向の内側に開口するチャンネル部材により形成されている。横フレームF2は、左右の縦フレームF1を補強するものであり、前方側に開口するチャンネル部材により形成されている。横フレームF2の両端部は、左右の縦フレームF1間に配置された状態で、例えば、リベット(図示せず)により各縦フレームF1に固定されている。
【0015】
図1のように、塵芥収集車Gの車体フレームF上には塵芥収容箱Bが搭載されており、その塵芥収容箱Bの底壁B2は、後下がりの緩やかな傾斜面となっている。
【0016】
塵芥収容箱Bの後面は、その上部から下部に向かって後方に傾斜しており、その全面にわたり後端開口部(図示せず)が開口されており、その後端開口部の周囲は、補強部材B3(図4参照)により縁取り補強されており、この補強部材B3は、塵芥収容箱Bの底壁よりも下方に延長されている。
【0017】
図1を参照して排出装置1について説明する。塵芥収容箱B内には、積込位置にある塵芥投入箱Bに対して進退可能な排出板(ディスチャージプレート)10が配設されており、この排出板10の後方(塵芥収容箱B内で排出板10と後端開口部との間)に、塵芥を収容する収容スペースB1が形成されている。
【0018】
排出板10は、塵芥収容箱Bの内部空間の横幅ほぼ一杯にわたる排出板本体10aと、排出板本体10a背面に一体的に連結される支持枠10bとで構成される。そして、排出板10と塵芥収容箱Bとの間には、該排出板10を起立姿勢で前後摺動可能に案内支持するガイド機構11が設けられている。
【0019】
排出板10の背面と塵芥収容箱Bとの間には、該排出板10を車両前後方向に進退駆動する一段の又は多段式(テレスコピック型)の油圧式のディスチャージシリンダ12が連結される。そのディスチャージシリンダ12は、塵芥収容箱Bの底壁B2にほぼ沿って前後方向に延びるように配置されている。
【0020】
以上の構成により、収容スペースB1が空のとき、排出板10は排出位置より少し前方に位置する初期位置(図1実線)にあり、積込装置2により塵芥収容箱B内に積み込まれた塵芥を、積込装置2と排出板10との間で圧縮するようになっている。そして、上記塵芥の積み込み量が増加すると、ディスチャージシリンダ12を徐々に収縮させて排出板10を前方へ移動させ、図1に2点鎖線で示した前方位置まで移動することで収容スペースB1を広げるようになっている。また、ディスチャージシリンダ12を伸長させて排出板10を塵芥収容箱Bより突出した後方位置まで移動させることにより、塵芥収容箱Bに収容された塵芥を外部へ排出できるようになっている。
【0021】
図1のように塵芥収容箱Bの後端開口部には、塵芥を投入可能な塵芥投入口T1を後端に有する塵芥投入箱Tが連設される。塵芥投入箱Tは、上部に設けられた支点T3を中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱Bに対しての開閉動作が可能である。塵芥投入箱Tは、塵芥収容箱Bの後端開口部を閉鎖する閉鎖位置と、上方回動により後端開口部を開放して塵芥を排出することができる開放位置との間で回動するようになっている。また、塵芥投入箱Tの前方下部には、塵芥を塵芥収容箱に収容するための開口部T2が設けられている。塵芥投入箱Tは左右一対の側壁T4間を複数の補強桁T5を連結して構成されている。
【0022】
図1を参照して、塵芥投入箱T内に設けられている積込装置2について説明する。まず塵芥投入箱Tの左右の側壁T4には斜め上下に延びるガイドレール23が設けられており、スライダ20に取り付けられた左右一対二組のローラ25は、このガイドレール23内を斜め上下に移動することができる。スライダ20は図1のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。また、スライダ20の下端部には、ピン20aを介して押込板21が回動自在に取り付けられている。押込板21もまた、図1のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。一方、プッシュシリンダ22のシリンダ側端部はピン22aにより左右両側壁T4に取り付けられており、ピストン側端部はピン20bにより、スライダ20の上端部に接続されている。他方、プレスシリンダ24のシリンダ側端部はピン24aにより押込板21に接続されており、ピストン側端部はピン20bにより、スライダ20の上端部に接続されている。スライダ20は押込板21とともに、プッシュシリンダ22の伸長作動により斜めに上昇し、収縮作動により斜めに下降する。また、押込板21は、プレスシリンダ24の伸長動作によりピン20aを中心として時計回り方向に回動し、収縮作動により反時計回り方向に回動する。
【0023】
以上の構成により、塵芥投入箱T内に投入された塵芥は、押込板の反転工程により、後方位置へ移動後、一次圧縮、二次圧縮工程により圧縮され、押込工程により塵芥収容箱B内へと押し込むことができる。この動作を1サイクルとして塵芥投入箱Tに投入された塵芥を塵芥収容箱Bへ積み込む。そして、上記各工程を順次動作させるために、塵芥投入箱T内の適所には、スライダ20の上昇位置及び下降位置、並びに押込板の後方位置及び前方位置を各々検出する第1〜第4近接スイッチ(図示せず)が設けられる。
【0024】
積込動作の詳細について説明する。積込動作はプッシュシリンダ22とプレスシリンダ24とを伸縮作動させることで、スライダ20を上昇位置に保持した状態で押込板21の前方位置から後方位置への後方回動により行われる反転工程と、押込板21を後方位置に保持した状態でスライダ20を上昇位置から下降位置まで下降させることにより行われる一次圧縮工程と、スライダ20を下降位置に保持した状態で押込板の後方位置から前方位置への前方回動により行われる二次圧縮工程と、押込板21を前方位置に保持した状態でスライダ20を下降位置から上昇位置まで上昇させることにより行われる押込工程との一連の工程により行われる。該積込動作を行うことで、塵芥投入箱T内の投入塵芥が塵芥収容箱B内に強制的に押し込まれる。
【0025】
図6において、塵芥投入箱Tの左右両端に配置された一対のスイングシリンダ(油圧アクチュエータ)30は、上端が塵芥収容箱Bに取り付けられ、下端が塵芥投入箱Tに取り付けられている。このスイングシリンダ30を伸長動作させると塵芥投入箱Tが上方回動(開放)され(図1の二点鎖線)、収縮作動させると塵芥投入箱Tが下方回動(閉鎖)される(図1の実線)。
【0026】
図3において、車体フレームFの後部には、塵芥投入箱Tを車体フレームFに固縛するためのロック装置4が設けられている。このロック装置4は、車体フレームF側に回動可能に取り付けられたフック40と、塵芥投入箱T側に固定されたロックピン41と、フック40を回動させるためのロックシリンダ(油圧アクチュエータ)42と、フック40とロックシリンダ42とを連結する連結機構43とを備えている。
【0027】
フック40は、車体フレームFの下面に固定されたブラケット44にピン40aを介して回動自在に取り付けられている。ロックピン41は、塵芥投入箱Tの下部前面に固定されており、フック40の先端部が下方から係脱可能に係合されている。ロックシリンダ42のシリンダ側端部は塵芥収容箱Bの下部にピン42aを介して取り付けられている。ロックシリンダ42のピストン側端部は、ピン43fを介して後述する第1連結ブラケット43cに取り付けられている。ロックシリンダ42のピストン径は、スイングシリンダ30のピストン径よりも小径に形成されている。
【0028】
連結機構43は、塵芥収容箱Bの底部に回転可能に取り付けられたトルクシャフト43aと、このトルクシャフト43aの外周面に固定された第1連結ブラケット43C及び第2連結ブラケット43dと、第2連結ブラケット43dとフック40とを連結している連結片43eとによって構成されている。連結片43eの一端はピン43gを介して第2連結ブラケット43dに取り付けられ、連結片43eの他端はピン43hを介してフック40の基端部に取り付けられている。
【0029】
以上の構成により、ロックシリンダ42を図3のロック状態から伸長作動させると、第1連結ブラケット43Cを介してトルクシャフト43aが図3反時計回り方向に回転する。この回転により連結片43eは、図4に示すように、第2連結ブラケット43dを介して図E右方向へ押され、フック40がピン40aを中心に図3時計回り方向に回動する。これにより、フック40とロックピン41との係合が解除され、塵芥投入箱Tはロック解除された状態となる。また、ロックシリンダ42を図4の状態から収縮作動させると、連結機構43が上記と逆の動きをすることによって、フック40がロックピン41に係合し、塵芥投入箱Tは開口部T2を閉鎖した状態でロックされる。
【0030】
塵芥投入箱Tの後部には、塵芥が投入される塵芥投入口T1が形成されており、この塵芥投入口T1を上下にスライドして開閉する蓋5が設けられている。
【0031】
図5を参照して運転室内Cに設けられている操作装置6について説明する。運転室C内に設けられているスイッチボックス60には、メインスイッチ60a、投入箱スイッチ60b、排出スイッチ60c、かき出しスイッチ60d、メインランプ60e、ロックランプ60fが設けられている。メインスイッチ60aは、「積込」、「OFF」、「排出」のいずれかの位置に保持することができるスイッチであり、「OFF」から「積込」位置に操作することで積込動作が可能である。「排出」位置ではディスチャージシリンダ12やスイングシリンダ30を動作させることができる。
【0032】
投入箱スイッチ60bは、「上」に操作すると塵芥投入箱Tが上昇し、「下」に操作すると塵芥投入箱Tが下降する。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。排出スイッチ60cは、「排出」に操作するとディスチャージシリンダ12が伸長動作して排出板10が最後方位置まで後退し、「戻り」に操作すると排出板10が初期位置に戻る。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。
【0033】
かき出しスイッチ60dは、「自動」または「手動」の選択スイッチであり、「自動」位置では、塵芥投入箱Tを上方端まで回動させると自動的に積込と同様の動作が行われ、塵芥投入箱Tの底に残っている塵芥を排出することができる。「手動」位置では、塵芥投入箱Tを上昇させた時、「手動」に操作すると積込と同様の動作が行われ、塵芥投入箱Tの底に残っている塵芥を排出することができる。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻る。
【0034】
メインランプ60eは、スイッチボックス60の各スイッチ操作が可能な状態のとき点灯している。ロックランプ60fは、ロック装置4が図3のようにロック状態のとき点灯している。
【0035】
図6を参照して塵芥投入箱Tに設けられている操作装置6について説明する。塵芥投入箱Tの左右両側壁T4の後部には、それぞれスイッチボックス61、62が設けられている。スイッチボックス61の側面には、積込装置2の動作として「連続サイクル」または「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するため選択スイッチ61aが、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ61b、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ61cがそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ61cは右側のスイッチボックス62にも設けられている。
【0036】
図3,図4,図6を参照して蓋5の詳細構造について説明する。
塵芥投入箱Tの側壁T4の後端縁には、スライドレール91が溶接により固定されている。当該スライドレール91は、投入口T1の側縁に位置する下スライドレール91aと、下スライドレール91aに連結部91bを介して連結されるとともに車両前後方向に長手方向を向けた上スライドレール91cとを有する。下スライドレール91aと上スライドレール91cとは断面コ字状のチャンネル材よりなり、連結部91bは断面コ字状のチャンネル材を湾曲させている。下スライドレール91aと連結部91bと上スライドレール91cとはコ字状断面の開口が一致するように溶接にて連結固定している。そして、スライドレール91は左右一対あり、コ字状断面の開口が対向するように左右の両側壁T4に固定している。スライドレール91(下スライドレール91a)の下限91dは開口内部に溶接固定したプレートが、上限はクッションゴム91eがそれぞれ配置されている。
【0037】
蓋5は、蓋本体51と、蓋本体51の表面に固定したハンドル51aと、蓋本体51の両端であってその上下に回転可能に取付けた4個のスライドローラ52(スライド部)とを有している。スライドローラ52は、蓋本体51を塵芥収集車Gに搭載した状態で車両下方に位置するものを下部ローラ52a(下スライド部)、一方、上方に位置するものを上部ローラ52b(上スライド部)と呼ぶ。スライドローラ52はスライドレール91の開口内部に配置し、その動きをスライドレール91の長手方向(下スライドレール91aの箇所にあっては略車両上下方向、上スライドレール91cの箇所にあっては略車両前後方向)にかぎり移動することができる。なお、上下はそれぞれ下限91dとクッションゴム91eとによりそれ以上の移動を規制している。
【0038】
また、蓋5は、投入口T1を閉鎖した状態(図3,閉鎖位置と呼ぶ)もしくは開放した状態(図4,開放位置と呼ぶ)で保持するためのロックバー53を備えている。ロックバー53はハンドル51aの内部に設けられたレバー(図示せず)を操作することにより、蓋本体51の両側縁より突出した状態と蓋本体51の内部に格納した状態とに位置を変化することができ、スライドレール91に設けた下ロック孔91f又は上ロック孔91gに係脱することができる。
【0039】
蓋5はさらに付勢部材54を備えており、蓋5の開閉時に上方向に不勢力を付与している。付勢部材54は、スプリング54aを内蔵したパイプ状の連動部材54bと、連動部材54bの外周と蓋本体51の上端縁とにその両端を連結したバンド54cを備える。連動部材54bは左右両端を側壁T4に回転可能に支持されている。スプリング54aは一端を側壁T4に、他端を連動部材54bに連結している。従って連動部材54bが回転することによりスプリング54aは捻られ、弾性変形する。そして、蓋本体51は、投入口T1を開放した位置(図4)において、バンド54cを連動部材54bに巻きつけるとともにスプリング54aの復元力がおおよそ零になるように側壁T4と取付けた付勢部材54と連結している。この状態から蓋本体51を閉鎖位置まで下方に移動すると、バンド54cは蓋本体51により繰り出され、連動部材54bを回転させる。すると、スプリング54aが捻られて復元力が蓄積され、蓋本体51を上方に持ち上げる力が生じる。
【0040】
投入口T1の下縁(蓋5の下方)にはテーブル55を備えてある。テーブル55はヒンジ55aにより上下方向に揺動可能に支持され、走行時には起立姿勢で保持するためのロック55bを有する。
【0041】
以上のような蓋5による投入口T1の開閉について説明する。まず、開放操作を説明する。
塵芥収集車がゴミステーション間を移動する場合には投入口T1から塵芥が零れ落ちることを防止するため蓋5を閉鎖している。蓋本体51は図3に示す状態であって、詳しくは下部ローラ52aが下限91dに当接し、ロックバー53は左右に突出することで下ロック孔91fに挿入され、閉鎖位置で保持されている。この状態で作業者がハンドル51aを握り、図示しないレバーを操作することでロックバー53を蓋本体51の内部に格納し、下ロック孔91fとの係合が解除される。これにより蓋本体51はスライドレール91に沿って移動することができるようになる。作業者はハンドル51aを引き上げて蓋本体51を上方に持ち上げる。このとき付勢部材54が上方に持ち上げる方向に復元力を作用させているため作業者は容易に蓋本体51を持ち上げて投入口T1を開放することができる。
【0042】
付勢部材54のバンド54cは左右2本あり、蓋本体51の左右を引き上げるが、この引き上げ力を生じさせるスプリング54aの復元力は単一の連動部材54bを介して一対のバンド54cに作用するため、左右のバンド54cが蓋本体51に作用する力は差が生じない。従って、いずれか一方のバンド54cによる作用力が大きいことにより蓋本体51が斜めになり、スライドレール91内をこぜてしまうことを防止することができる。
なお、上部ローラ52bは車両前後方向に向かって配置された上スライドレール91cに沿って移動するため、蓋本体51の上縁は車両前方に向かって移動する。これにより蓋本体51はその姿勢を寝かせた状態へと変化させつつ補強桁T5の下方を移動し、塵芥投入箱T内部に収納される。
【0043】
そして、蓋本体51を上方に持ち上げ、蓋本体51の上縁とクッションゴム91eとが接触すると、レバーを操作してロックバー53を突出させる。この時ロックバー53は上ロック孔91gと合う位置にあり、突出したロックバー53は上ロック孔91gと係合する。これにより蓋本体51は開放位置で保持される(図4)。以上により、投入口T1の開放操作が完了する。
【0044】
投入口T1を開放しゴミステーションに捨てられた塵芥を収集し終えた後は、再び投入口T1を閉鎖する。このときはハンドル51aを握ってレバーを操作し、ロックバー53を解除して蓋本体51を下降させる。下部ローラ52aが下限91dに当接すると投入口T1の閉鎖が完了するので、レバーを操作し、ロックバー53と下ロック孔91fとを係合させる。
【0045】
塵芥収集車Gは蓋5(詳細には蓋本体51)を取り外すための切欠部91hを有している。図7を参照し、切欠部91hの詳細構造について説明する。
図7は、図3のVII線断面図であり、図7(a)は切欠部91hを閉鎖した状態を示し、図7(b)は切欠部91hを開放した状態を示している。
スライドレール91の中央部(下スライドレール91cの上部)には車両後方に相当する位置(図7にあっては紙面上方)に切欠部91hが設けられている。通常、塵芥収集車Gを使用する際は切欠部91hをカバー92が覆っている。具体的には、断面L字状のアングル材により形成されたカバー92は図7(a)に示したように横部92aをスライドレール91の切欠部91hを覆い、縦部92bをスライドレール91の側面に沿うように配置し、ボルト93aを縦部92bと側壁T4とに予め設けた孔に通し、側壁T4の内面に溶接固定したナット93bにねじ込むことで固定する。これにより、スライドローラ52は、カバー92の横部92aに規制され、切欠部91hから車両後方に移動することはない。従って、蓋本体51のスライドローラ52はスライドレール91の内部に案内されて、蓋本体51を上下に移動することができる。
【0046】
蓋本体51を破損するなどし、蓋本体51を取り外す必要がある場合は、ボルト93aを取外し、カバー92を切欠部91hから取り除く。これにより切欠部91hが解放されるのでスライドローラ52を矢印方向に移動させることができる。これにより、蓋本体51を車両後方に取り外すことができる。
【0047】
蓋本体51を外す場合には、例えば開放位置まで蓋本体51を持ち上げておき、下部ローラ52aをまず切欠部91hを通し、その後蓋本体51を下げて上部ローラ52bを切欠部91hから通せばよい。この方法であれば蓋本体51を塵芥投入箱Tから取り外す作業をおこなう間中、付勢部材54の作用力を蓋本体51の上縁に加えておくことができるため、作業中に蓋本体51が急に落下して作業者が怪我してしまうことを防止することができる。
そして、付勢部材54のバンド54cは左右が均等に繰り出されるため、蓋本体51の下方に配置されたハンドル51aを持った状態で取り外し作業をおこなったとしても、蓋本体51の上縁が極端に左右に揺れ、姿勢を崩してしまうことを抑制できる。
【0048】
スライドレール91は、前記スライドレールは上部スライド部と下部スライド部とをスライド可能に連続している(すなわち、下スライドレール91aと上スライドレール91cとを連結部91bにより連結し、上下のスライドローラ52が上下スライドレール91a,cのいずれに対しても移動できるようにしている)ので、カバー92をひとつ設けるだけで上下のスライドローラ52を取り外すことができる。
【0049】
次に、図8を参照して本発明の他実施例について説明する。
基本構成は上記の実施例と同一であるため説明を省略する。なお、本他実施例は、切欠部91hの位置とカバー92が上記実施例と異なる。
【0050】
本実施例では、スライドレール91(下スライドレール91a)の下端が開放可能であり、切欠部91hの代わりとなる。下スライドレール91aの下端は斜め方向に切断されており、塵芥収集車Gの下方及び後方に向かって解放されている。蓋本体51が閉鎖位置に至ると当接するスライドレールの下限91dはカバー92'の内面に溶接固定されており、カバー92'を塵芥投入箱Tに取り付けることで蓋本体51を閉鎖位置で止めることができる。一方、カバー92'を取り外すと下限91dも一緒に取り外すことができる。カバー92'の車両後方側にはく字状に折り曲げた保護板94が溶接固定され、保護板94にロック孔95(被係合部)が設けられている。なお、ロック孔95は前述のテーブル55のロック55bが係合し、テーブル55を起立姿勢で保持する。
【0051】
蓋本体51を破損するなどし、蓋本体51を取り外す必要がある場合は、ボルト93aを外し、カバー92'を取り外す。これにより、カバー92'裏面に溶接された下限91dも取り外され、下スライドレール91aの下端が解放される。この状態から、蓋本体51を下方に下げ、スライドローラ52を下部ローラ52a,上部ローラ52bの順に図8(a)に示した矢印の方向に取り出すことで塵芥投入箱Tから蓋本体51を取り外すことができる。
カバー92'にはロック孔95を一体的に固定しているため、カバー92'を取り外せばロック55bとロック孔95との係合が解除される。これによりテーブル55は起立姿勢を保持できなくなり、展開姿勢(一点鎖線の姿勢)まで回動する。すると、テーブル55を蓋本体51の下縁から遠ざかるため、蓋本体51を取り外す際にテーブル55と接触してしまうことを抑制することができる。
【0052】
また、カバー92'に一体的に固定した保護板94は通常時には投入口T1に塵芥を投入する際に、投入しようとする塵芥がスライドレール91(特に下スライドレール91aの下端)に接触し、スライドレール91の変形を防止するためのガードである。その特性上、保護板94は変形ないし破損する頻度が高く、交換を要する機会が多いが、着脱するカバー92'に取り付けてあるため、カバー92'ごと交換すればよく、保護板94の修理に時間を必要としない。
【0053】
なお、本発明は上記2つの実施例に制限されない。例えば、積込装置2は押込板21がサイクル運動することで塵芥収容箱Bに積み込むいわゆるプレス式であったが、回転板と押込板の2枚のプレートの協働により塵芥収容箱Bに積み込むいわゆる回転板式や、その他の積込装置を備えた塵芥収集車であってもよい。塵芥収容箱内の塵芥を排出する機構も、その他のものを採用してもよい。
【0054】
スライドレール91は、下スライドレール91aと上スライドレール91cとを連結部91bにより連結し、上下のスライドローラ52が上下スライドレール91a,cのいずれに対しても移動できるようにしているが、一本の長尺なチャンネル材を用いてもよい。また、上下スライドレール91a,cを連結せず、それぞれに対して下部ローラ52a,上部ローラ52bがスライドするようにしてもよい。このとき、カバー92は2本のスライドレールそれぞれに設ければよい。
上記実施例では上下のスライド部としてローラを例示したが、回転しないスライド部材、例えば樹脂製シューなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0055】
G 塵芥収集車
B 塵芥収容箱
T 塵芥投入箱
5 蓋
51 蓋本体51
52 スライドローラ
52a 下部ローラ52a(下部スライド部)
52b 上部ローラ52b(上部スライド部)
54 付勢部材
55 テーブル
91 スライドレール
92 カバー
92' カバー
93a ボルト
93b ナット
94 保護板
95 ロック孔(被係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム上に搭載した塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方に設けられるとともに後部に投入口及び内部に積込装置を有する塵芥投入箱と、投入口を開閉する蓋とを備えた塵芥収集車であって、
前記塵芥投入箱はスライドレールを備え、
前記蓋は、蓋本体と、該蓋本体の両端部の上下に上部スライド部と下部スライド部とを備え、上部スライド部と下部スライド部とが前記スライドレールに沿って移動することで投入口を開閉し、
スライドレールは、車両後方に向けて開けた切欠部と、取り付けた際には切欠部を覆いガイドレールの一部となるカバーとを有することを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記スライドレールは上部スライド部と下部スライド部とをスライド可能に連続し、
前記切欠部はスライドレールの中央部に設けたことを特徴とする請求項1記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記塵芥投入箱は投入口下部に揺動可能なテーブルを備え、
前記テーブルを起立姿勢で保持する被係合部をカバーに取り付けたことを特徴とする塵芥収集車

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−60239(P2013−60239A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197779(P2011−197779)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】