説明

塵芥投入箱およびこれを備えた塵芥収集車

【課題】作業者による塵芥投入口の扉の開閉作業の負担を解消することが可能な塵芥収集車の塵芥投入箱およびこれを備えた塵芥収集車の提供。
【解決手段】昇降により塵芥投入口6を開閉するテールゲート7と、テールゲート7を昇降させる扉開閉アーム10と、扉開閉アーム10を作動させる油圧シリンダ13とを備えた塵芥収集車1の塵芥投入箱5において、油圧シリンダ13の作動開始から所定時間経過後に油圧シリンダ13を停止させるPLCと、テールゲート7の最上位置および最下位置にそれぞれ設けられたストッパと、油圧シリンダ13を作動させる圧油が所定以上の圧力となったときに開弁するリリーフ弁とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や工場などから発生した塵芥を収集する塵芥収集車や、展示会場などに設置された塵芥収集コンテナなどに塵芥を投入するための塵芥投入箱およびこれを備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車には、収集した塵芥を収容するための塵芥収容箱が搭載されており、その後方に塵芥投入箱が連なった状態に設けられている。塵芥投入箱に投入された塵芥は、塵芥投入箱内に装備された塵芥積込装置により塵芥収容箱の方へ積み込まれる。また、塵芥投入箱の後面には、塵芥を投入するための塵芥投入口が設けられている。この塵芥投入口には、塵芥収集車の走行中、塵芥投入箱内から外へ塵芥、汚水などが飛散しないように、塵芥投入口を閉鎖する扉が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示の塵芥投入箱では、塵芥投入口にスライド昇降により塵芥投入口を開閉する扉が設けられている。この扉を下方へスライドさせると、塵芥投入口が閉鎖され、上方へスライドさせると、塵芥投入口が開放される。ところが、このような塵芥投入箱の扉は重く、この開閉作業は、作業者にとって大きな負担となっている。
【0004】
そこで、かかる作業者の負担を軽減するためのアシスト機構が開発されている。例えば、特許文献2,3に開示のアシスト機構は、アーム、スライダや引張コイルばねなどで構成されており、塵芥投入口の扉にアシスト力を付与する。これにより、扉を閉鎖している状態から引き上げる際に必要な力や、扉を開放している状態から静かに閉める際に必要な支持力が大幅に緩和され、扉を開閉する際の作業者の負担が大幅に軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−314061号公報
【特許文献2】特開2007−269412号公報
【特許文献3】特開2008−285317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2,3に記載の塵芥投入箱では、アシスト機構により作業者の負担が大幅に軽減されているとはいえ、扉の開閉作業は作業者自身が行う必要がある。
【0007】
そこで、本発明においては、作業者による塵芥投入口の扉の開閉作業の負担を解消することが可能な塵芥投入箱およびこれを備えた塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の塵芥投入箱は、昇降により塵芥投入口を開閉する扉と、扉を昇降させる扉開閉アームと、扉開閉アームを作動させる油圧シリンダとを備えた塵芥収集車の塵芥投入箱において、油圧シリンダの作動開始から所定時間経過後に油圧シリンダを停止させる制御手段と、扉の最上位置および最下位置にそれぞれ設けられたストッパと、油圧シリンダを作動させる圧油が所定以上の圧力となったときに開弁するリリーフ弁とを備えたものである。
【0009】
本発明によれば、所定時間が経過するまでの間、油圧シリンダによって扉開閉アームを作動させて扉を昇降させ、扉の最上位置および最下位置にそれぞれ設けられたストッパに到達すると、油圧シリンダを作動させる圧油が所定以上の圧力となってリリーフ弁が開弁し、圧油が逃げるので、扉開閉アームは動かなくなり、扉はそれ以上昇降しなくなる。そして、油圧シリンダの作動開始から所定時間経過後に油圧シリンダを停止させることにより、扉の開閉動作が完了する。また、万が一、扉に作業者や塵芥等のものが挟まれてしまった場合には、所定時間経過前であってもリリーフ弁が開弁して油圧シリンダを作動させる圧油が逃げるので、扉の昇降は停止する。なお、扉の昇降は、作業者の手足や塵芥等が挟まれた状態で停止するが、この作動力は、作業者の手足に怪我させるほど大きくないように調整されている。また、作動終了後は、扉が手動で容易に開くように調整されているので、万が一、挟まれても手足を容易に怪我もなく取り外すことができる。
【0010】
さらに、本発明の塵芥投入箱は、油圧シリンダを作動させるために圧油の流路を切り換える流路切換弁を備え、この流路切換弁は、塵芥投入口から投入された塵芥を塵芥収容箱へ積み込む塵芥積込装置を圧油により作動させるための流路切換弁群に連なった状態に設けられたものであることが望ましい。これにより、流路切換弁が一箇所にまとめられ、部品点数が少なくなる。
【0011】
また、本発明の塵芥投入箱は、制御手段は、油圧シリンダの作動開始から扉がストッパに到達するまでの時間に所定時間を加えた時間の経過後に油圧シリンダを停止させるものであることが望ましい。これにより、扉の開閉の際に抵抗が加わり、扉がストッパに到達するまでの時間が予定以上に延びたとしても、さらに所定時間の経過までは扉の昇降を継続させることができる。
【発明の効果】
【0012】
(1)昇降により塵芥投入口を開閉する扉と、扉を昇降させる扉開閉アームと、扉開閉アームを作動させる油圧シリンダとを備えた塵芥収集車の塵芥投入箱において、油圧シリンダの作動開始から所定時間経過後に油圧シリンダを停止させる制御手段と、扉の最上位置および最下位置にそれぞれ設けられたストッパと、油圧シリンダを作動させる圧油が所定以上の圧力となったときに開弁するリリーフ弁とを備えたことにより、塵芥投入口を自動的に開閉することができ、作業者による塵芥投入口の扉の開閉作業の負担を解消することが可能となる。また、万が一、扉に作業者や塵芥等のものが挟まれてしまった場合には、所定時間経過前であっても扉の昇降は停止する。また、作業者の手足が挟まれても、手足に怪我をさせるほど、その作動力は大きくないように調整されているので、安全性が高い。
【0013】
(2)油圧シリンダを作動させるために圧油の流路を切り換える流路切換弁を備え、この流路切換弁は、塵芥投入口から投入された塵芥を塵芥収容箱へ積み込む塵芥積込装置を圧油により作動させるための流路切換弁群に連なった状態に設けられたものであることにより、流路切換弁が一箇所にまとめられ、部品点数が少なくなるので、管理が容易となる。
【0014】
(3)制御手段が、油圧シリンダの作動開始から扉がストッパに到達するまでの時間に所定時間を加えた時間の経過後に油圧シリンダを停止させるものであることにより、扉の開閉の際に抵抗が加わり、扉がストッパに到達するまでの時間が予定以上に延びたとしても、さらに所定時間の経過までは扉の昇降を継続させることができ、塵芥投入口の開閉を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態における塵芥収集車の左側面図である。
【図2】図1の塵芥収集車の背面図である。
【図3】(a)は図1の塵芥収集車の塵芥投入箱の左側面図であって、内部が見えるように左側部を省略して表した図、(b)は(a)のA矢視図であって、扉を省略して表した図である。
【図4】図3(a)のB−B断面図である。
【図5】図3(a)のC矢視図である。
【図6】図3(a)のA矢視スケルトン図である。
【図7】油圧回路構成の一部を示す油圧回路図である。
【図8】扉自動開閉装置の電気回路図である。
【図9】PLCの制御フロー図である。
【図10】本発明の別の実施形態を示す塵芥投入箱の左側面図であって、内部が見えるように左側部を省略して表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の実施の形態における塵芥収集車の側面図、図2は図1の塵芥収集車の背面図である。図3(a)は図1の塵芥収集車の塵芥投入箱の左側面図であって、内部が見えるように左側部を省略して表した図、(b)は(a)のA矢視図であって、扉を省略して表した図である。図4は図3(a)のB−B断面図、図5はC矢視図、図6はA矢視スケルトン図である。なお、図3〜図6には、各図に共通の直交3軸X−Y−Zを示している。
【0017】
図1および図2において、本発明の実施の形態における塵芥収集車1は、車体2の前部に運転席3が配置され、その後方に塵芥収容箱4が搭載されている。塵芥収容箱4の後方には、塵芥投入箱(ホッパ)5が連設されている。塵芥投入箱5内には、図示しない従来周知の塵芥積込装置が装備されている。塵芥投入箱5の後部には、塵芥を投入するための略矩形状の塵芥投入口6が開口されている。
【0018】
塵芥投入口6から投入された塵芥は、塵芥積込装置により塵芥収容箱4側へ積み込まれるようになっている。また、塵芥収容箱4内には、図示しない排出板が車体前後方向に摺動可能に配設されている。排出板は、塵芥収容箱4内の横幅および上下高さと略同じ大きさに形成された板状体である。この排出板は塵芥積込時には徐々に前方に移動し、排出時には後方に移動する。
【0019】
また、塵芥投入口6には、走行中に塵芥投入箱5から塵芥や汚水等が外へ飛散することを防止するために、昇降により塵芥投入口6を開閉する扉としてのテールゲート7が設けられている。テールゲート7は上下にスライド可能となっており、塵芥投入口6の上方へ移動することにより塵芥投入口6が開放される。
【0020】
テールゲート7は、塵芥投入口6の開口形状に対応した形状となっており、塵芥投入箱5の後面形状に調和するように湾曲した薄板材、該薄板材の裏面に固設された補強フレームなどで構成されている。図3に示すように、塵芥投入箱5の左右一対の側板8(左の側板は図示を省略している。)には、このテールゲート7を案内するための断面コ字状の上部ガイドレール9aおよび下部ガイドレール9bが設けられている。
【0021】
テールゲート7の四隅には、案内子7aが設けられている。各案内子7aは、それぞれ上部および下部ガイドレール9a,9bに転動自在に嵌入されている。これにより、テールゲート7は、上部および下部ガイドレール9a,9bに沿って昇降するようになっている。また、下部ガイドレール9bの上端および下端には、それぞれストッパ15a,15bが設けられている。これらストッパ15a,15bに案内子7aが当接し、テールゲート7を開放位置あるいは閉鎖位置に保持することができる。
【0022】
さらに、本実施形態における塵芥投入箱5は、作業者の腕力を必要とすることなく、テールゲート7を自動的に昇降させて塵芥投入口6を開閉する扉自動開閉装置を備えている。この扉自動開閉装置は、扉開閉アーム10、スライダ11(図4参照。)、引張コイルばね12、油圧シリンダ13などで構成されている。
【0023】
扉開閉アーム10は、油圧シリンダ13の伸縮動作によりテールゲート7を昇降させるものである。扉開閉アーム10の一端側は、テールゲート7の移動方向に対して略直交する方向(Z軸方向)に軸線を配したピン継手10aを介して側板8に回転自在に連結されている。一方、扉開閉アーム10の他端側は、Y軸方向に軸線を配したピン継手10b、Z軸方向に軸線を配したピン継手10cおよび後述するスライダ11を介してテールゲート7の裏面に回転および車幅方向(X軸方向)に移動自在に連結されている。ピン継手10cは、ピン継手10bよりも先端側に設けられている。これにより、扉開閉アーム10は、テールゲート7の昇降動作に連動して一端側の連結位置であるピン継手10aを中心に回動するようになっている。
【0024】
スライダ11は、図4に示すように、スライドシャフト11a、円筒部11bや連結ピン11c等で構成されている。スライドシャフト11aは、テールゲート7の裏面上部に固定された真っ直ぐな軸材からなり、車幅方向(X軸方向)に延在している。円筒部11bは、スライドシャフト11aの長手方向に沿ってスライド自在に、かつスライドシャフト11aの軸線周りに回動自在に、スライドシャフト11aに外嵌されている。連結ピン11cは、その軸線がスライドシャフト11aの長手方向に対して直交するように、円筒部11cの外周部に突設されている。なお、連結ピン11cは、前述のピン継手10cを兼ねている。
【0025】
引張コイルばね12(付勢部材)は、一端側のフック12aが扉開閉アーム10の中間部上側に固設された掛止部10dに掛止(連結)されている。また、引張コイルばね12の他端側のフック12bは、扉開閉アーム10の基端部(ピン継手10a)より高位置において、側板8上に固設されたばね掛止部14に掛止(連結)されている。これにより、引張コイルばね12は、扉開閉アーム10を、その一端側の連結位置であるピン継手10aを中心に上方回動する方向へ付勢する。なお、引張コイルばね12は、テールゲート7の昇降位置にかかわらず、常に張力が発生するように設けられている。
【0026】
油圧シリンダ13は、その伸長動作により扉開閉アーム10を作動させるものである。油圧シリンダ13の一端側となるシリンダの端部は、Z軸方向に軸線を配したピン継手13aを介して側板8に回転自在に連結されている。但し、このピン継手13aは、前述のピン継手10aより下側に設置されている。一方、油圧シリンダ13の他端側となるロッドの端部は、Z軸方向に軸線を配したピン継手13bを介して扉開閉アーム10の中間部下側に回転自在に連結されている。
【0027】
このように設けられた油圧シリンダ13が伸長すると、油圧シリンダ13および扉開閉アーム10は、それぞれピン継手13aおよびピン継手10a周りに上方へ回動する。そして、この上方へ回動する扉開閉アーム10は、スライダ11を介してテールゲート7を上昇させる。一方、油圧シリンダ13が収縮すると、油圧シリンダ13および扉開閉アーム10は、それぞれピン継手13aおよびピン継手10a周りに下方へ回動する。そして、この下方へ回動する扉開閉アーム10は、スライダ11を介してテールゲート7を下降させる。
【0028】
次に、油圧シリンダ13の油圧系統について説明する。図7は本実施形態における塵芥収集車1の油圧回路構成の一部を示す油圧回路図である。図7に示すように、本実施形態における塵芥収集車1では、塵芥投入箱5のロックおよび開閉動作、塵芥積込装置を構成する摺動板の上昇・下降動作および圧縮板の圧縮・反転動作、塵芥収容箱4内の排出板の前後動作をそれぞれ行わせるための油圧シリンダ(図示せず。)をそれぞれ作動させるための流路切換弁群20a,20b,20c,20dを含む油圧切替部20を備えている。
【0029】
そして、本実施形態においては、油圧シリンダ13を作動させるための流路切換弁20eも、これらの流路切換弁群20a〜20dに連なった状態に設けられており、この流路切換弁20eを含めて油圧切替部20を構成している。油圧切替部20には、リザーバ21から入力配管23を通じて油圧ポンプ22により圧油(作動油)が供給される。また、作動油は、油圧切替部20からリターン配管24を通ってリザーバ21へ戻るようになっている。油圧ポンプ22は、塵芥収集車1のエンジン(図示せず。)から動力取出装置(PTO)により取り出された動力により駆動される。
【0030】
流路切換弁20eの吐出側の2ポートには、それぞれ2位置2ポートの第1切換弁30および第2切換弁31が接続されている。第1および第2切換弁30,31は、ポペット型電磁切換弁であり、内部リークが非常に少ないという特徴がある。
【0031】
第1切換弁30と油圧シリンダ13のロッド側ポート13cとは、油圧シリンダ13側への流れを許容するように配置された一方向絞り弁32を介して接続されている。第2切換弁31と油圧シリンダ13のヘッド側ポート13dとは、油圧シリンダ13側への流れを許容するように配置された一方向絞り弁33を介して接続されている。
【0032】
また、この油圧回路においては、油圧シリンダ13のヘッド側およびロッド側の圧油をいつでも開放できるように、圧油開放手段が設けられている。図7に示す圧油開放手段は、架設配管34a、第1開閉弁35a、第2開閉弁35b、ドレン配管34b等で構成されている。架設配管34aは、油圧シリンダ13のロッド側ポート13cとヘッド側ポート13dに連通するように設けられている。第1開閉弁35aは、この架設配管34aの途中位置に介設されている。ドレン配管34bは、油圧シリンダ13のロッド側ポート13cがリザーバ21に連通するように設けられている。第2開閉弁35bは、このドレン配管34bの途中位置に介設されている。
【0033】
このような圧油開放手段の2つの開閉弁35a,35bを開放することで、油圧シリンダ13のヘッド側およびロッド側の圧油が開放され、この油圧シリンダ13と連動するテールゲート(図7では「T/G」と示す。)7が手動操作により容易に昇降可能となる。なお、圧油開放手段は、油圧シリンダ13のヘッド側およびロッド側の作動油の圧力を開放して、この油圧シリンダ13のロッドを自在に伸縮できるようにするものであれば良い。
【0034】
さらに、この油圧回路においては、流路切換弁20eと第1および第2切換弁30,31との間に、供給される圧油が所定のセット圧以上の圧力となったときに開弁するリリーフ弁36a,36bがそれぞれ設けられている。これにより、油圧シリンダ13のヘッド側およびロッド側の圧油、すなわち油圧シリンダ13を作動させる圧油が所定以上の圧力となった際に、それぞれリリーフ弁36a,36bが開弁され、圧油はリターン配管24へと戻される。
【0035】
次に、油圧シリンダ13を伸縮させる際の各弁の切換動作等について説明する。
【0036】
油圧シリンダ13を伸長させる場合は、第1および第2開閉弁35a,35bを閉鎖状態とし、油圧ポンプ22を駆動する。そして、流路切換弁20eをa位置に切り換え、第1切換弁30をb位置に切り換え、第2切換弁31をa位置に切り換える。すると、油圧ポンプ22から入力配管23を通じて供給される作動油が油圧シリンダ13のヘッド側ポート13dに供給されるとともに、油圧シリンダ13のロッド側ポート13cからリターン配管24へ作動油が戻されて、油圧シリンダ13のロッドが伸長する。
【0037】
そして、油圧シリンダ13の伸長動作を停止させる場合は、上記状態より、流路切換弁20eをc位置に切り換え、第1切換弁30をa位置に切り換える。すると、油圧シリンダ13のヘッド側ポート13dへの作動油の供給が停止し、さらにロッド側ポート13cおよびヘッド側ポート13dの作動油の逃げ道が閉ざされる。これにより、油圧シリンダ13は伸長動作を停止するとともに、その状態を維持するようになる。また、第1および第2切換弁30,31をa位置に保持することで、内部リークが非常に少なくなり、油圧シリンダ13が収縮して、テールゲート7が降下してしまうことが防止される。
【0038】
一方、油圧シリンダ13を収縮させる場合は、上記停止状態より、流路切換弁20eをb位置に切り換え、第1切換弁30をa位置に保持して、第2切換弁31をb位置に切り換える。すると、油圧ポンプ22から入力配管23を通じて供給される作動油が油圧シリンダ13のロッド側ポート13cに供給されるとともに、油圧シリンダ13のヘッド側ポート13dからリターン配管24へ作動油が戻されて、油圧シリンダ13のロッドが収縮する。
【0039】
そして、油圧シリンダ13の収縮動作を停止させる場合は、上記状態より、流路切換弁20eをc位置に切り換え、第2切換弁31をa位置に切り換える。すると、油圧シリンダ13のロッド側ポート13cへの作動油の供給が停止し、さらにロッド側ポート13cおよびヘッド側ポート13dの作動油の逃げ道が閉ざされる。これにより、油圧シリンダ13は収縮動作を停止するとともに、その状態を維持するようになる。
【0040】
ここで、図8を参照して扉自動開閉装置の電気回路構成について説明する。図8は扉自動開閉装置の電気回路図である。
【0041】
図8において上昇用ボタン41および下降用ボタン42は、テールゲート7を昇降させるためのスイッチであり、塵芥投入箱5の側部に設けられている。上昇用ボタン41および下降用ボタン42は、制御手段としてのPLC(プログラマブルロジックコントローラ)40に接続されている。ソレノイド25a,25bは、前述の流路切換弁20eを作動させるアクチュエータである。ソレノイド30a,31aは、それぞれ前述の第1および第2切換弁30,31を作動させるアクチュエータである。
【0042】
PLC40は、上昇用ボタン41が押下されたときは、ソレノイド25a,30aへ通電する。これにより、流路切換弁20eはa位置に切り換えられ、第1切換弁30はb位置に切り換えられ、第2切換弁31はa位置に保持される。また、PLC40は、下降用ボタン42が押下されたときは、ソレノイド25b,31aへ通電する。これにより、流路切換弁20eはb位置に切り換えられ、第1切換弁30はa位置に保持され、第2切換弁31はb位置に切り換えられる。
【0043】
また、上昇用ボタン41も下降用ボタン42も押下されないときは、PLC40は、ソレノイド25a,25b,30a,31aのいずれへも通電せず、流路切換弁20eは中立のc位置に、第1切換弁30はa位置に、第2切換弁31はa位置にそれぞれ保持される。このように、流路切換弁20e、第1切換弁30および第2切換弁31の切り換えは、上昇用ボタン41および下降用ボタン42の操作に連動してPLC40により行われる。
【0044】
また、PLC40は、上昇用ボタン41および下降用ボタン42が押下されてから所定時間の経過を監視し、油圧シリンダ13の作動開始から所定時間経過後に、ソレノイド25a,25b,30a,31aを非通電状態とする。これにより、流路切換弁20eは中立のc位置に、第1切換弁30はa位置に、第2切換弁31はa位置にそれぞれ切り換えられ、油圧シリンダ13は停止する。
【0045】
次に、塵芥投入口6を開閉するテールゲート7の昇降動作について、図6のスケルトン図、図7の油圧回路図および図9のPLC40の制御フロー図を参照して説明する。
【0046】
図6(a)は、油圧シリンダ13を最も収縮させて、テールゲート7を最下位置まで降下させた状態を示す。このとき、上昇用ボタン41および下降用ボタン42がいずれも押下されないときは、流路切換弁20eは中立のc位置に、第1切換弁30はa位置に、第2切換弁31はa位置にそれぞれ保持されており、この状態でテールゲート7の昇降位置を固定する場合は、第1および第2開閉弁35a,35bを閉鎖したままとしておく。
【0047】
図6(a)の状態からテールゲート7を上昇させ、塵芥投入口6を開口させる場合は、上昇用ボタン41を押下する。PLC40は上昇用ボタン41が押下されると(図9のS100)、ソレノイド25a,30aへ通電する(S101)。これにより、流路切換弁20eはa位置に切り換えられ、第1切換弁30はb位置に切り換えられ、第2切換弁31はa位置に保持される。すると、油圧シリンダ13が伸長し、この伸長動作に連動して、扉開閉アーム10は、ピン継手10aを中心に上方へ回動する。
【0048】
そして、扉開閉アーム10の先端部に連結されたテールゲート7が、図6(b)に示すように上昇する。このとき、PLC40は所定時間の経過を監視しており(S102)、所定時間の経過まではソレノイド25a,30aへの通電を継続する(S101)。そして、遂には、図6(c)に示すように、テールゲート7が最上位置のストッパ15aに到達して塵芥投入口6が全開する。
【0049】
なお、PLC40には、S102において監視する所定時間として、図6(a)に示す最下位置での油圧シリンダ13の作動開始から、図6(c)に示すテールゲート7が最上位置のストッパ15aに到達するまでの時間に所定時間を加えた時間が設定されている。したがって、テールゲート7が最上位置のストッパ15aに到達した後もPLC40はソレノイド25a,30aへの通電を継続するが、テールゲート7はストッパ15aに到達しているため、扉開閉アーム10はそれ以上回動することができず、油圧シリンダ13は伸長動作を停止し、ヘッド側の圧力が高くなる。
【0050】
そして、この油圧シリンダ13のヘッド側の圧力が所定以上の圧力となったとき、リリーフ弁36bが開弁し、作動油がリターン配管24を通じてリザーバ21へと戻される。その後、所定時間が経過すると(S102)、PLC40はソレノイド25a,30aへの通電を停止する(S103)。これにより、流路切換弁20eは中立のc位置に、第1切換弁30はa位置に、第2切換弁31はa位置にそれぞれ切り換えられ、油圧シリンダ13は停止状態を維持し、テールゲート7は最上位置に固定される。これにより、塵芥投入口6への塵芥投入作業が可能となる。
【0051】
次に、塵芥投入作業が終了するなどして、テールゲート7を下降させ、塵芥投入口6を閉口させる場合は、図6(c)に示す状態で下降用ボタン42を押下する。PLC40は下降用ボタン42が押下されると(S100)、ソレノイド25b,31aへ通電する(S101)。これにより、流路切換弁20eはb位置に切り換えられ、第1切換弁30はa位置に保持され、第2切換弁31はb位置に切り換えられる。すると、油圧シリンダ13が収縮し、この収縮動作に連動して扉開閉アーム10は、ピン継手10aを中心に下方へ回動する。
【0052】
これにより、この扉開閉アーム10の先端部に連結されたテールゲート7は、図6(c)に示す最高位置より、同図(b)に示すように降下していく。このとき、PLC40は所定時間の経過を監視しており(S102)、所定時間の経過まではソレノイド25b,31aへの通電を継続する(S101)。そして、遂には、図6(a)に示すように、テールゲートが最下位置のストッパ15bに到達して塵芥投入口6が全閉する。
【0053】
なお、PLC40には、S102において監視する所定時間として、図6(c)に示す最上位置での油圧シリンダ13の作動開始から、図6(a)に示すテールゲート7がストッパ15bに到達するまでの時間に所定時間を加えた時間が設定されている。したがって、テールゲート7がストッパ15bに到達した後もPLC40はソレノイド25b,31aへの通電を継続するが、テールゲート7はストッパ15bに到達しているため、扉開閉アーム10はそれ以上回動することができず、油圧シリンダ13は収縮動作を停止し、ロッド側の圧力が高くなる。
【0054】
そして、この油圧シリンダ13のロッド側の圧力が所定以上の圧力となったとき、リリーフ弁36aが開弁し、作動油がリターン配管24を通じてリザーバ21へと戻される。その後、所定時間が経過すると(S102)、PLC40はソレノイド25b,31aへの通電を停止する(S103)。これにより、流路切換弁20eは中立のc位置に、第1切換弁30はa位置に、第2切換弁31はa位置にそれぞれ切り換えられ、油圧シリンダ13は停止状態を維持し、テールゲート7は最下位置に固定される。これにより、塵芥収集車1の走行中に振動などによってテールゲート7が開いてしまうことはなく、安全に走行することができるようになる。
【0055】
以上に説明した塵芥収集車1の塵芥投入箱5によれば、油圧シリンダ13の伸縮力によって塵芥投入口6のテールゲート7を自動的に開閉することができるので、作業者によるテールゲート7の開閉作業の負担を解消することができる。また、この塵芥投入箱5では、万が一、テールゲート7に作業者や塵芥等のものが挟まれてしまった場合にも、リリーフ弁36a,36bが作動するが、作業者の手足に怪我をさせるほど、その作動力は大きくなく、テールゲート7の昇降が停止するので、安全性が高い。また、作業者の手足などが挟まれたときには、安全側にテールゲート7を一旦昇降させ、手足が挟まれた状態を解消させても良い。
【0056】
また、この塵芥投入箱5では、PLC40が、油圧シリンダ13の作動開始からテールゲート7がストッパ15aあるいは15bに到達するまでの時間に所定時間を加えた時間の経過後に油圧シリンダ13を停止させるものであるため、テールゲート7の開閉の際に抵抗が加わり、テールゲート7がストッパ15aあるいは15bに到達するまでの時間が予定以上に延びても、さらに所定時間の経過まではテールゲート7の昇降が継続するので、塵芥投入口6の開閉を確実に行うことができる。
【0057】
また、引張コイルばね12には、テールゲート7の昇降位置にかかわらず、常に張力が発生するようになっている。つまり、引張コイルばね12の張力は、テールゲート7の荷重の一部ないし全部を支持するように働いている。したがって、引張コイルばね12が設けられていない場合と比較して、油圧シリンダ13にかかる負担が軽減されるので、油圧シリンダ13のシリンダ径の小型化を図ることができる。
【0058】
また、この塵芥投入箱5では、図7に示すように、油圧回路に第1および第2開放弁35a,35b等からなる油圧開放手段が設けられているため、何らかの事情(油圧ポンプ22やソレノイド25a,25b,30a,31aの故障等)により、油圧シリンダ13の伸縮力によるテールゲート7の開閉が不能に陥った場合には、第1および第2開放弁35a,35bを開放することによって、手動操作にてテールゲート7を開閉することができる。この場合、引張コイルばね12の張力は、テールゲート7の荷重の一部ないし全部を常に支持するように働くので、作業者は比較的楽にテールゲート7を昇降させることができる。
【0059】
上記実施形態においては、塵芥投入箱5の後面に扉開閉アーム10が設置された例を挙げて説明したが、本発明は、塵芥投入箱5の側面に扉開閉アームが設置されたものについても適用可能である。例えば、図10に示すような塵芥投入箱に本発明を適用することができ、同様の作用効果が奏される。
【0060】
図10において、符号52は扉開閉アームであり、塵芥投入箱50の側面に一端部が回転自在に支持され、他端部がテールゲート51の上端側部に回転自在に連結されている。この扉開閉アーム52が支点52aを中心に回動することでテールゲート51が昇降する。符号53は引張コイルばねであり、その一端部は、扉開閉アーム52の途中位置に掛止され、その他端部は塵芥投入箱50の側面の所定位置に掛止されている。扉開閉アーム52は、この引張コイルばね53の弾性力によって、上方回動する方向へ付勢されている。
【0061】
符号54は、油圧シリンダである。この油圧シリンダ54は、一端側が塵芥投入箱50の側面に回転自在に連結されており、他端側が扉開閉アーム52の中間部に回転自在に連結されている。油圧シリンダ54の油圧系統については、前述の図7と同様である。
【0062】
油圧シリンダ54が伸長すると、2点鎖線で示すように、油圧シリンダ54および扉開閉アーム52は、それぞれ支点54aおよび支点52a周りに上方回動し、テールゲート51を上昇させる。一方、油圧シリンダ54が収縮すると、油圧シリンダ54および扉開閉アーム52は、それぞれ支点54aおよび支点52a周りに下方回動し、テールゲート51を下降させる。
【0063】
なお、本実施形態においては、塵芥収容箱4および塵芥投入箱5が車体2上に搭載された塵芥収集車1について説明したが、塵芥投入箱4および塵芥投入箱5により塵芥収集コンテナを構成することも可能である。この塵芥収集コンテナは、運搬車両に積み降ろし可能として、塵芥収集車1と同様に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、家庭や工場などから発生した塵芥を収集する塵芥収集車や塵芥収集コンテナなどに塵芥を投入するための塵芥投入箱およびこれを備えた塵芥収集車に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 塵芥収集車
2 車体
3 運転席
4 塵芥収容箱
5,50 塵芥投入箱
6 塵芥投入口
7,51 テールゲート
8 側板
10,52 扉開閉アーム
11 スライダ
12,53 引張コイルばね
13,54 油圧シリンダ
14 ばね係止部
15a,15b ストッパ
20 油圧切替部
20a,20b,20c,20d,20e 流路切換弁
21 リザーバ
22 油圧ポンプ
25a,25b,30a,31a ソレノイド
30 第1切換弁
31 第2切換弁
32,33 一方向絞り弁
35a 第1開閉弁
35b 第2開閉弁
36a,36b リリーフ弁
40 PLC
41 上昇用ボタン
42 下降用ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降により塵芥投入口を開閉する扉と、
前記扉を昇降させる扉開閉アームと、
前記扉開閉アームを作動させる油圧シリンダと
を備えた塵芥投入箱において、
前記油圧シリンダの作動開始から所定時間経過後に前記油圧シリンダを停止させる制御手段と、
前記扉の最上位置および最下位置にそれぞれ設けられたストッパと、
前記油圧シリンダを作動させる圧油が所定以上の圧力となったときに開弁するリリーフ弁と
を備えた塵芥投入箱。
【請求項2】
前記油圧シリンダを作動させるために前記圧油の流路を切り換える流路切換弁を備え、
この流路切換弁は、前記塵芥投入口から投入された塵芥を塵芥収容箱へ積み込む塵芥積込装置を圧油により作動させるための流路切換弁群に連なった状態に設けられたものである請求項1記載の塵芥投入箱。
【請求項3】
前記制御手段は、前記油圧シリンダの作動開始から前記扉が前記ストッパに到達するまでの時間に所定時間を加えた時間の経過後に前記油圧シリンダを停止させるものである
請求項1または2に記載の塵芥投入箱。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の塵芥投入箱を備えた塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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