説明

墓石の処理方法

【課題】廃墓石の好ましい処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】図(a)に示す廃墓石20を破砕工程により(b)に示す破砕石21と屑石24とにする。破砕石21は玉石化工程により、(c)に示す玉石25にする。屑石24は細かく砕いて(d)に示す砂26にする。玉石25は例えば(e)に示すような護岸材料に供することができる。護岸材料であれば大量消費が見込める。砂26は例えば(f)に示すような舗装材料に供することができる。舗装材料であれば大量消費が見込める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用しなくなった墓石を再利用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
墓石から得られる廃石を別の用途に利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実用新案登録第3096439号(図3、段落番号[0012])
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図4は従来の技術の基本原理を説明する図である。
供花のための穴101を設けるには、(a)に示すように中空ドリル102で、墓石材料103に切り込む。中空ドリル102を墓石材料103から引く抜くことで、円柱状の廃石104を取り除くことができ、供花用の穴101を確保することができる。
廃石104は、(b)に示すように、回転カッター105で切断することで、長さを整える。
長さを整えた廃石106は、砥石107などの研磨具で磨く。これで、磨き丸棒(皮脂取り石)が得られる。
【0004】
以上の説明から明らかなように、墓石材料から廃石を得たとしても、この廃石に切断、研磨などの加工を施す必要がある。墓石は一般に硬いため、回転カッターや砥石の消耗が激しいため、頻繁に新品と交換する必要がある。
すなわち墓石材料を、切断して、例えば置物や敷石に再利用しようとしても、加工費用が嵩む。
【0005】
特許文献1の技術は、「入魂式」前の墓石材料から得た廃石を出発材料としていると思われる。入魂前の墓石材料から得た廃石であれば、取扱いや使用には抵抗がない。しかし、入魂式が行われた後の墓石の場合は、いわゆる「たたり」の恐れがあるため、取扱いに注意を要し、使用にも強い抵抗がある。
そのため、墓所の墓石の再利用は、全くもしくは殆ど行われていないのが実情である。
【0006】
ところで、我が国では、少子化や核家族化が進むことから、家の数が急増し、その結果、新規に誂える墓石の数が増している。加えて、墓石の老朽化から墓石の更新も行われている。この結果、年間10万基もの使用しなくなった墓石(以下「廃墓石」と記す。)が発生している。この廃墓石は、墓所の一隅に山積みされたり、寺の境内に野積みされているのが現状である。
【0007】
廃墓石は、腐らないためどんどん累積し、墓所や寺の境内の有効スペースを圧縮する。 仮に、廃墓石を置物や敷石に再利用するにしても、引き取り、清掃、切断、研磨の手間が掛かるため、天然石を切断し、研磨する場合に比べて、コスト的な有利さが乏しい。
そこで、廃墓石を、再利用することを前提とした上で、安価な処理方法が求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、廃墓石の好ましい処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、御魂抜きの法要が行われた墓石を、破砕機により破砕することで破砕石を得る破砕工程と、前記破砕石を、突起や角が取れた玉石にする玉石化工程とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、玉石化工程では、破砕石を、回転筒に砂や液体からなる媒体と共に投入して回転処理することにより、突起や角が取れた玉石にする玉石化装置を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、御魂抜きの法要が行われた墓石を出発材料とするため、この墓石は普通の石材と見なされる。もし、廃墓石に御魂抜きの法要が行われていなければ、御魂抜きの法要を施せばよい。
【0012】
普通の石材を、破砕機で適当な大きさの破砕石にする。ただし、この破砕石は鋭い突起や角を有するためにこのままでは使用できない。そこで、玉石化工程を加えることで、鋭い突起や角が取れた玉石にする。
玉石は、堰堤の護岸材料や傾斜地での石垣材料に好適であり、用途は多数ある。
【0013】
破砕機は、汎用の岩石破砕機が適用できるため設備費用を抑えることができ、岩石破砕機であれば、大量の廃墓石を短時間で破砕することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、破砕石を、回転筒に砂や液体からなる媒体と共に投入して回転処理することにより、突起や角が取れた玉石にする玉石化装置を用いる。
玉石化装置は、破砕石を投入できる回転筒が主たる設備であるため、この設備は単純で済む。破砕石は回転筒を回転するだけで処理できるため、動力費用を抑えることができる。
これらの結果、廃墓石を安い費用で玉石にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る墓石の処理フロー図である。
ステップ番号(以下、STと略記する。)01:廃墓石を受取る。
ST02:受取った廃墓石が、御魂抜き法要を済ませてあるか否かを調べる。
例えば、法要を行った法師の証明が有る場合や、廃墓石の受取り人が法要に立ち会っている場合は、「御魂抜き法要済み」に当たる。無縁仏の廃墓石や時間が経過して法要が営まれたか否かが不明な場合は、御魂抜き法要が済んでいないと考えられる。
【0016】
ST02で否の場合は、ST03で御魂抜き法要を行う。これで、廃墓石は魂が抜かれた普通の石材となる。
【0017】
ST04:普通の石材となった廃墓石を破砕機で破砕する。破砕機はジョークラッシャと称する設備が好適である。ジョークラッシャは、固定歯板と、動力によって揺動する可動歯とを対向配置し、固定歯板と可動歯との間に石塊を供給して破砕する粗砕用砕石機である。
【0018】
破砕工程により、破砕石とともに屑石が発生する。そこで、ST05で分級、すなわち、破砕石と屑石とを区分する。
屑石は、細砕用砕石機で細かく砕き、砂にする(ST06)。一方、比較的大きな塊である破砕石は、ST07の玉石化工程により、玉石にする。
【0019】
図2は本発明の玉石化工程に好適な玉石化装置の原理図であり、玉石化装置10は、固定架台11と、この固定架台11に水平から垂直まで傾動可能に取付けた傾動フレーム12と、この傾動フレーム12に支持ローラ13・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ)を介して回転自在に取付けた回転筒14と、この回転筒14に被せる蓋15と、回転筒14を回転させるために回転筒14と傾動フレーム12との間に介在させた回転手段16と、前記傾動フレーム12を傾動させるために傾動フレーム12と固定架台11との間に介在させた傾動手段17とからなる。傾動手段17は油圧モータや減速機付き電動モータを駆動源とすることができる。回転手段16も同様である。
【0020】
回転筒14に、破砕石21・・・と、媒体としての砂22・・・及び水23とを投入し、蓋15で閉じる。そして、回転手段16の作用で回転筒14を所定速度で回転させる。この回転の途中で傾動手段17により、回転筒14の姿勢を変えることは適宜行えばよい。
【0021】
砂22・・・は破砕石21、21同士を穏やかに衝突させるための緩衝材の役割を果たし、水23は破砕石21の表面を滑りやすくするための潤滑剤の役割を果たす。なお、媒体は砂の代わりに小粒の石、水の代わりに油を使用することもでき、内容を変更することは差し支えない。
【0022】
回転筒14を回すと、破砕石21・・・は互いに接触し、加えて回転筒14の内面に接触することで、突起や角が取れて、丸みを帯びる。処理後、蓋15を外し、水平位置まで回転筒14を傾ければ、材料を取出すことができる。
【0023】
なお、玉石化装置10は、突起や角のある破砕石21を丸みの帯びた石にすることができる装置であれば、構造及び作動は適宜変更して差し支えない。
【0024】
図3は図1の補足説明図であり、(a)に示す廃墓石20を破砕工程により(b)に示す破砕石21・・・と屑石24・・・とにする。破砕石21・・・は玉石化工程により、(c)に示す玉石25・・・にする。屑石24・・・は細かく砕いて(d)に示す砂26・・・にする。
【0025】
玉石25・・・は例えば(e)に示すような護岸材料に供することができる。護岸材料であれば大量消費が見込める。
砂26・・・は例えば(f)に示すような舗装材料に供することができる。舗装材料であれば大量消費が見込める。
【0026】
尚、本発明で処理する墓石には、墓碑銘や施主名が刻まれた墓石本体の他、この墓石本体を支える石製台座を含めてもよい。
また、請求項1においては、玉石化工程に供する玉石化装置は、回転筒を用いない装置、例えば揺動筒を主体とする装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、使用しなくなった墓石の処理に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る墓石の処理フロー図である。
【図2】本発明の玉石化工程に好適な回転筒装置の原理図である。
【図3】図1の補足説明図である。
【図4】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0029】
10…玉石化装置、14…回転筒、16…回転手段、20…御魂抜きの法要が行われた墓石(廃墓石)、21…破砕石、22…砂、23…液体としての水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
御魂抜きの法要が行われた墓石を、破砕機により破砕することで破砕石を得る破砕工程と、前記破砕石を、突起や角が取れた玉石にする玉石化工程とからなることを特徴とする墓石の処理方法。
【請求項2】
前記玉石化工程では、前記破砕石を、回転筒に砂や液体からなる媒体と共に投入して回転処理することにより、突起や角が取れた玉石にする玉石化装置を用いることを特徴とする請求項1記載の墓石の処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate