説明

増幅方法

プライマーが、検出プローブの一つまたは複数の塩基とのオーバーラップを有する、増幅のための方法、およびオリゴヌクレオチド増幅をモニターする方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容物が参照により本明細書に組み入れられる、2004年8月13日に提出された米国特許仮出願第60/601,206号の恩典を主張する。
【0002】
連邦政府助成研究または開発の下でなされた発明に対する権利に関する声明
適用されない。
【0003】
コンパクトディスクで提出された「配列表」、表、またはコンピュータープログラムリストの別紙の参照
適用されない
【背景技術】
【0004】
発明の背景
効率的なPCR増幅は、非常に感度がよく正確な検出を必要とする生物学的応用において特に必要である。ほとんどのプライマーおよびプローブ設計プログラムにおいて、プローブを最初に設計すべきであり、次にプライマーを重なり合う配列を伴わずにプローブに近接するように設計すべきである(例えば、Primer Express Software Version 2.0、Applied Biosystems, Foster City, CA)と推奨されている。PCR増幅法は診断産業において広く用いられている。意外にも本発明者らは、重なり合うプライマーおよびプローブがなおも効率的なPCRを生じることを発見し、これによって、特に難しい配列環境におけるプローブおよびプライマー設計の機会が拡大される。PCR法およびその臨床応用が開示されている(米国特許第4,683,202号(特許文献1);Lynch JR, Brown JM, J Med Genet,, 27:2〜7(1990)(非特許文献1);Yang S, Rothman RE. Lancet Infect Dis., 4:337〜48(2004)(非特許文献2))。
【0005】
本発明の新規増幅法における、重なり合うプローブおよびプライマーの概略図を図1に示す。
【0006】
5'-副溝結合分子(MB)-消光剤(Q)-オリゴヌクレオチド-蛍光体(Fl)-3'、5'-MB-Fl-オリゴヌクレオチド-Q-3'、または5'-Fl-オリゴヌクレオチド-Q-MB-3'プローブは、プライマーと重なり合っていない。PCR増幅の文献において、「プライマー対の3'-末端での相補性は、プライマー-二量体アーチファクトの形成を促進して、望ましい産物の収率を低減させることから、これを避けるべきである」と示唆されている(Innis, M. and Gelfand, D. Optimization of PCR in Innis, M., Gelfand, D., Sninsky, J. and White, T., Editors. PCR PROTOCOLS A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS. Academic Press, San Diego, CA. pages 3〜12, 1989(非特許文献3))。プローブおよびプライマーは、重なり合う相補的配列および利用可能な3'配列を有することから、プライマーと重なり合う5'-MB-Q-オリゴヌクレオチド-Fl-3'、5'-MB-Fl-オリゴヌクレオチド-Q-3'、または5'-Fl-オリゴヌクレオチド-Q-MB-3'プローブは、不良な増幅を生じるであろうと予想された。しかし、予想外にも、図1bの場合では効率的な増幅が起こることが観察された。理論に拘束されることなく、本発明者らは、MBリガンド、QおよびFlを含むプローブが、これらの成分が近接して存在する溶液中で堅固な構造を有するのではないかと疑った。本発明者らは、溶液中でのそのようなプローブが25〜95℃の温度範囲で失活することを示しており、1〜約7塩基のオーバーラップは、プローブの溶液中での安定な構造に打ち勝って水素結合を形成させるためには十分ではないことを示唆している。図1aにおいて、プライマー-プローブ二量体は如何なるアーチファクトも生じないはずである。3'末端はプライミングのために利用できない。驚くべきことに、このタイプの設計は良好な増幅を提供することができる。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,683,202号
【非特許文献1】Lynch JR, Brown JM, J Med Genet,, 27:2〜7(1990)
【非特許文献2】Yang S, Rothman RE. Lancet Infect Dis., 4:337〜48(2004)
【非特許文献3】Innis, M. and Gelfand, D. Optimization of PCR in Innis, M., Gelfand, D., Sninsky, J. and White, T., Editors. PCR PROTOCOLS A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS. Academic Press, San Diego, CA. pages 3〜12, 1989
【発明の開示】
【0008】
発明の簡単な説明
本発明は、ポリメラーゼに基づく増幅において、オリゴヌクレオチドプローブとオリゴヌクレオチドプライマー配列とが約1〜約7塩基重なり合う方法を記述する。本発明のプローブおよびプライマーは、任意で改変オリゴヌクレオチドである。一つの群の態様において、プライマー配列は重なり合い、増幅された標的は、間接的にまたはDNA結合物質によって検出される。
【0009】
本発明のプライマーおよびプローブは、それらがポリメラーゼ増幅と適合性である限り、約5〜40塩基のオリゴヌクレオチド、より好ましくは5〜30塩基のオリゴヌクレオチドである。
【0010】
本発明の一つの態様において、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、天然の塩基、すなわちグアニン、シトシン、アデニン、チミン、またはウラシルを含む。
【0011】
もう一つの態様において、本発明のプローブおよびプライマーは、一つまたは複数の非天然の混交または汎発塩基を含む。
【0012】
もう一つの態様において、プローブは放射波長約400 nm〜約900 nmの蛍光体および吸収波長約400 nm〜約900 nmの消光剤を含む、蛍光共鳴転移プローブ(FRET)である。蛍光体および消光剤は、販売元から入手可能である(例えば、Molecular Probes, Eugene, OR;Epoch Bioscience, Bothell, WA)から入手可能である。典型的に、プローブは長さが約8〜30塩基である。
【0013】
さらにもう一つの態様において、熱力学特性の差(△G)は、PCR増幅においてプローブおよびプライマー配列を実質的に重なり合わせるために十分に大きい。
【0014】
さらにもう一つの態様において、検出FRETプローブは、副溝結合分子、蛍光体、および消光剤を含む。好ましいプローブ共役体は式Iに示す式を有し、式中FlAおよびFlBは、共役体が少なくとも一つの消光剤と少なくとも一つの蛍光体とを含み、およびnが0または1である限り、蛍光体または消光剤のいずれかとなり得る。
式I

【0015】
関連する態様において、二つのプライマーは1〜7塩基重なり合う。増幅された標的は核酸結合試薬によって検出される。または、増幅された材料は、ビオチン化プライマーおよび当技術分野において公知の酵素的検出を用いて間接的に検出することができる。
【0016】
さらにもう一つの態様において、重なり合うプライマーおよびプローブは、連続的なプローブのモニタリングによって標的の増幅において用いられる。さらにもう一つの態様において、重なり合うプライマーおよびプローブは、少なくとも一つのプローブを用いてミスマッチ識別のために密接に関連する標的を増幅するために用いられる。関連する標的は、標的配列が、ミスマッチ1〜3個、好ましくはミスマッチ1または2個により異なる標的である。いくつかの態様において、各プローブの蛍光放射依存性を温度と共に測定することによって、増幅後融解曲線分析によって一ヌクレオチド多型を決定する。
【0017】
関連する態様において、重なり合うプライマーおよびプローブは、蛍光プローブエンドポイント検出のために核酸標的を増幅するために用いられる。
【0018】
発明の詳細な説明
先に記したように、本発明は、ポリメラーゼに基づく増幅において、オリゴヌクレオチドプローブおよびオリゴヌクレオチドプライマーが約1〜約7塩基重なり合う配列を有する、増幅法およびハイブリダイゼーション法を提供する。本発明のプローブおよびプライマーは、任意で改変されたオリゴヌクレオチドである。一般的に、本発明のプライマーおよびプローブは、ポリメラーゼ増幅と適合性である約5〜40塩基、より好ましくは5〜30塩基のオリゴヌクレオチドである。多くの態様において、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、天然の塩基、すなわち、グアニン、シトシン、アデニン、チミン、またはウラシルを含む;他の態様において、本発明のプローブおよびプライマーは、一つまたは複数の非天然の、混交または汎発塩基を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドプローブとオリゴヌクレオチドプライマーとの、または二つのプライマー間のオーバーラップは、プライマーまたは複数のプライマーの長さより短い。
【0019】
もう一つの態様において、プローブは、放射波長約400 nm〜約900 nmの蛍光体および吸収波長約400 nm〜約900 nmの消光剤を含む、蛍光共鳴転移プローブ(FRET)である。蛍光体および消光剤は、販売元から入手可能である(例えば、Molecular Probes, Eugene, OR;Epoch Bioscience, Bothell, WA)から入手可能である。典型的に、プローブは長さが約8〜40塩基であり、いくつかの態様において、プローブは長さが約8〜30塩基である。
【0020】
さらにもう一つの態様において、熱力学特性の差(△G)は、PCR増幅においてプローブおよびプライマー配列を実質的に重なり合わせるために十分に大きい。
【0021】
さらにもう一つの態様において、FRETプローブは、副溝共役体、蛍光体、および消光剤を含む。好ましいプローブ共役体は式Iに示す式を有し、式中FlAおよびFlBは、共役体が一つの消光剤および一つの蛍光体のみを含むように、蛍光体または消光剤のいずれかであり得、かつnは0または1である。
式I

【0022】
オリゴヌクレオチドおよび改変オリゴヌクレオチド
オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および核酸という用語は、改変または非天然のヌクレオチドを含むポリマーを含む、DNAもしくはRNA(またはその両者)の一本鎖または二本鎖ポリマーを指すために、またはNielsen et al. Science 254:1497〜1500(1991)によって開示されるペプチド核酸;ビシクロDNAオリゴマー(Bolli et al., Nucleic Acids Res. 24:4660〜4667(1996))および関連する構造が含まれるがそれらに限定されるわけではない、DNAまたはRNAに対して安定な塩基対形成を行うことができる他の任意のタイプのポリマーを指すために互換的に用いられる。本発明において用いられる結合物に関して、副溝結合分子(MB)部分は、オリゴヌクレオチドプローブの3'または5'末端のいずれかに付着して、消光剤または蛍光標識はオリゴヌクレオチドプローブの3'末端、5'末端、または内部部分に付着する。
【0023】
一本鎖であって、長さ100ヌクレオチドまたはそれ未満、より好ましくは40ヌクレオチドまたはそれ未満、さらにより好ましくは30ヌクレオチドまたはそれ未満、および最も好ましくは20ヌクレオチドまたはそれ未満を有するDNAオリゴヌクレオチドは、本発明の方法において好ましく、下限は約5ヌクレオチドである。
【0024】
オリゴヌクレオチドプライマー、および副溝結合分子と共に蛍光体/消光剤の対を含むオリゴヌクレオチド結合物はまた、天然に存在する塩基であるアデニン、シトシン、グアニン、チミンおよびウラシルの他に一つまたは複数の改変塩基を含んでもよい。改変塩基は、一つまたは複数の官能基の付加または欠失によって、複素環構造における差によって(すなわち、ヘテロ原子の代わりに炭素を用いる、またはその逆)、および/または一つもしくは複数のリンカーアーム構造の塩基に対する付着によって、天然に存在する塩基とは異なる塩基であると考えられる。好ましい改変ヌクレオチドは、ピリミジン構造またはプリン構造に基づくヌクレオチドであり、後者はより好ましくは7デアザプリンおよびその誘導体ならびにピラゾロピリミジンである(PCT国際出願国際公開公報第01/84958号に記述される、および同様に米国特許第6,127,121号に記述される)。
【0025】
本発明において用いるために最も好ましい改変塩基には、グアニン類似体6アミノ1H-ピラゾロ[3,4 d]ピリミジン4(5H)オン(ppGまたはPPG、同様にSuper G)およびアデニン類似体4アミノ1H-ピラゾロ[3,4 d]ピリミジン(ppAまたはPPA)が含まれる。キサンチン類似体1H-ピラゾロ[5,4 d]ピリミジン4(5H)-6(7H)-ジオン(ppX)も同様に用いることができる。これらの塩基類似体は、オリゴヌクレオチドにおいて存在する場合、ハイブリダイゼーションを強化して、ミスマッチの識別を改善する。天然に存在する塩基の全ての互変異性型、改変塩基、および塩基類似体が、本発明のオリゴヌクレオチド共役体に含まれてもよい。本発明において有用な他の改変塩基には、6-アミノ-3-プロプ-l-イニル-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、PPPG;6-アミノ-3-(3-ヒドロキシプロプ-l-イニ)ル-5- ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、HOPPPG;6-アミノ-3-(3-アミノプロプ-l-イニル)-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、NH2PPPG;4-アミノ-3-(プロプ-l-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、PPPA;4-アミノ-3-(3-ヒドロキシプロプ-l-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、HOPPPA;4-アミノ-3-(3-アミノプロプ-l-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、NH2PPPA;3-プロプ-l-イニルピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミノ、(NH2)2PPPA;2-(4,6-ジアミノピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)エチン-l-オール、(NH2)2PPPAOH;3-(2-アミノエチニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン(NH2)2PPPANH2;5-プロプ-l-イニル-l,3-ジヒドロピリミジン-2,4-ジオン、PU;5-(3-ヒドロキシプロプ-l-イニル)-l,3-ジヒドロピリミジン-2,4-ジオン、HOPU;6-アミノ-5-プロプ-l-イニル-3-ジヒドロピリミジン-2-オン、PC;6-アミノ-5-(3-ヒドロキシプロプ-l-イニ)-l,3-ジヒドロピリミジン-2-オン、HOPC;および6-アミノ-5-(3-アミノプロプ-l-イニ)-l,3-ジヒドロピリミジン-2-オン、NH2PC;5-[4-アミノ-3-(3-メトキシプロプ-l-イニル)ピラゾル[3,4-d]ピリミジニル]-2-(ヒドロキシメチル)オキソラン-3-オール、CH3OPPPA;6-アミノ-l-[4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-2-イル]-3-(3-メトキシプロプ-l-イニル)-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、CH3OPPPG;4,(4,6-ジアミノ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-l-オール、Super A;6-アミノ-3-(4-ヒドロキシ-ブト-l-イニル)-l,5-ジヒドロ-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;5-(4-ヒドロキシ-ブト-l-イニル)-lH-ピリミジン-2,4-ジオン、Super T;3-ヨード-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン((NH2)2PPAI);3-ブロモ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン((NH2)2PPABr);3-クロロ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン((NH2)2PPAC1);3-ヨード-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミン(PPAI):3-ブロモ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミン(PPABr);および3-クロロ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミン(PPACl)が含まれる。
【0026】
先に記述した改変残基の他に、本発明のオリゴヌクレオチドは、糖またはグリコシド部分の骨格を有し得る、好ましくは全てのヌクレオチド間の連結が天然に存在するホスホジエステル連結である2-デオキシフラノシドを有し得る。しかし、もう一つの態様において、2-デオキシ-β-D-リボフラノース基は、他の糖、例えばβ-D-リボフラノースに置換される。さらに、リボース部分の2-OHがC1-6アルキル基(2-(O-C1-6アルキル)リボース)、C2-6アルケニル基(2-(O-C2-6アルケニル)リボース)によって置換されている、またはフルオロ基(2-フルオロリボース)によって置換されている、β-D-リボフラノースが存在してもよい。本発明において有用な関連するオリゴマー形成糖は、「ロックされた」、すなわちC-4'とC-2'位の酸素原子との間にメチレン架橋を含む糖である。α-D-アラビノフラノシド、α-2'-デオキシリボフラノシド、または2',3'-ジデオキシ-3'-アミノリボフラノシドが含まれるがそれらに限定されるわけではない、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションと適合性である他の糖部分も同様に用いることができ、当業者に公知である。α-D-アラビノフラノシドを含むオリゴヌクレオチドは、米国特許第5,177,196号に記述されるように調製することができる。2',3'-ジデオキシ-3'-アミノリボフラノシドを含むオリゴヌクレオチドは、Chen et al. Nucleic Acids Res. 23:2661〜2668(1995)に記述されている。ロックされた核酸(Singh et al, Chem. Comm., 455〜456(1998);Wengel J. Acc. Chem. Res. 32:301〜310(1998))、および2'-ハロゲン-2'-デオキシリボフラノシドを含むオリゴヌクレオチド(Palissa et al., Z. Chem., 27:216(1987))の合成技法も同様に記述されている。本明細書に記述の改変オリゴヌクレオチドのリン酸骨格も同様に、オリゴヌクレオチドがホスホロチオエート連結および/またはメチルホスホネートおよび/またはホスホロアミデートを含むように改変することができる(Chen et al., Nucl. Acids Res., 23:2662〜2668(1995))。オリゴヌクレオチド連結の組み合わせもまた、本発明の範囲内である。さらに他の骨格改変が当業者に公知である。
【0027】
もう一つの群の態様において、本明細書に記述の改変塩基は、Tmsの平衡を保つためにPNAおよびDNA/PNAキメラに組み入れられ、改善されたミスマッチ識別を有する改変オリゴヌクレオチドを提供する。DNAおよびDNA類似体の様々な改変型は、プローブおよびプライマーとしてDNA分子を用いる場合の短所のいくつかを克服する試みにおいて用いられている。これらには、ペプチド核酸(PNA、ポリアミド核酸とも呼ばれる)が含まれる。Nielsen et al. Science 254:1497〜1500(1991)。PNAは、DNAおよびRNAにおいて見いだされるように、DNAおよびRNAの特徴である糖-ホスフェート骨格の代わりにポリアミド骨格によって連結される複素環塩基単位を含む。PNAは、相補的DNAおよびRNA標的配列とハイブリダイズすることができ、実際のところ、対応する核酸プローブより強くハイブリダイズする。PNAオリゴマーの合成において用いられるPNAオリゴマーおよび反応性モノマーの合成は、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;第5,773,571号;第5,736,336号;および第5,766,855号に記述されている。PNAおよびDNA/PNAキメラ合成ならびにPNA合成のための単量体に対する代替のアプローチが要約されている。Uhlmann et al. Angew. Chem. Int. Ed. 37:2796〜2823(1998)。したがって、DNA、PNA、またはDNA/PNAキメラのTmの平衡を保つために、通常の塩基、非置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン塩基(例えば、PPGおよびPPA)、3-置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、改変プリン、改変ピリミジン、5-置換ピリミジン、汎発性塩基、糖改変、骨格改変、または副溝結合分子の任意の組み合わせを用いることは、本発明の範囲内である。核酸、PNA、およびPNA/DNAキメラ合成にとって必要な改変塩基単量体単位の合成にとって必要な合成法は、当技術分野において利用可能であり、本出願およびUhlmann et al. Angew Chem. Int. Ed. 37:2796〜2823(1998)における方法を参照されたい。
【0028】
本明細書において記述の用途に関して、先に記述したように、オリゴヌクレオチドおよび改変オリゴヌクレオチドは、好ましくは5〜100塩基、より好ましくは5〜40塩基、さらにより好ましくは5〜30塩基、およびさらにより好ましくは5〜20塩基を有するであろう。いくつかの態様において、プローブ/共役体のオリゴヌクレオチド部分は5〜15塩基を有するであろう。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド部分は、6、7、8、9、10、11、12、13、または14塩基または改変塩基を有するであろう。
【0029】
熱力学特性に基づいて、改変塩基、副溝結合分子、蛍光体、および/または消光剤を用いるまたは組み入れることを指示することができるアルゴリズムを用いて、予測可能な方法で本発明の方法のプローブおよびプライマーを設計できることは、米国特許第6,683,173号に記述されている。したがって、核酸、PNA、またはDNA/PNAキメラとハイブリダイズした産物のTm(例えば、約5〜8℃以内)の平衡を保つために、通常の塩基、非置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン塩基(例えば、PPGおよびPPA)、3-置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、改変プリン、改変ピリミジン、5-置換ピリミジン、汎発性塩基、糖改変、骨格改変、または副溝結合分子の任意の組み合わせも用いることが、本発明によって企図される。
【0030】
副溝結合分子
本発明の方法において用いられるプローブ/共役体は、任意で共有結合した副溝結合分子(MB)を有するであろう。多様な適した副溝結合分子が文献において記述されている。例えばKutyavin, et al.米国特許第5,801,155号;Wemmer, D.E., and Dervan P.B., Current Opinon in Structural Biology, 7:355-361 (1997);Walker, W.L., Kopka, J.L. and Goodsell, D.S., Biopolymers, 44:323-334 (1997);Zimmer, C & Wahnert, U. Prog. Biophys. Molec. Bio. 47:31-112 (1986)およびReddy, B.S.P., Dondhi, S.M., and Lown, J. W., Pharmacol. Therap., 84:1-111 (1999)を参照されたい。
【0031】
MB(本明細書において記述される蛍光体および消光剤のようなリポーター群と同様に)をリンカーを通してオリゴヌクレオチドに付着させるための適した方法は、例えば米国特許第5,512,677号;第5,419,966号;第5,696,251号;第5,585,481号;第5,942,610号および第5,736,626号において記述されている。
【0032】
MBは一般的に、適した連結基を通してオリゴヌクレオチド部分の5'部分に付着するが、付着はオリゴヌクレオチド部分上の他の位置で行うことができる。5'末端での付着は、末端でオリゴヌクレオチド二本鎖の融解が始まることから、ハイブリッドの安定性の利点を提供するが、増幅反応の際のプローブのヌクレアーゼ消化も同様に低減および/または防止する。
【0033】
MBオリゴヌクレオチド共役体内のMBの位置はまた、そのような共役体の識別特性に影響を及ぼし得る。二本鎖内での対応のない領域のために、誤って対を形成した塩基の近位で副溝の形状の変化が起こるであろう。MBは完全にマッチしたDNA二本鎖の副溝内で最善に適合することから、副溝の形状の変化が起こるミスマッチは、ミスマッチを含む領域に対するMBの結合強度を低減させるであろう。したがって、MBのそのようなハイブリッドの安定化能は減少して、それによって完全にマッチした二本鎖をミスマッチと識別するMBオリゴヌクレオチド共役体の能力が増加するであろう。他方、ミスマッチがMBオリゴヌクレオチド共役体と相補的な領域の外側に存在する場合、等しい長さの非結合およびMB結合オリゴヌクレオチドの識別能は、ほぼ同じであると予想される。オリゴヌクレオチドプローブの一塩基対ミスマッチの識別能は、その長さに依存することから、より短いオリゴヌクレオチドは、ミスマッチの識別においてより有効である。本発明の文脈において、MBオリゴヌクレオチド共役体を用いる主な長所は、より大きい識別力を有する既に用いられているオリゴヌクレオチド(すなわち、20量体またはそれより短い)と比較して、MGB共役の十分な安定化効果により、かなり短いオリゴヌクレオチドを用いることができるという点である。
【0034】
一つの群の態様において、MBは、CC1065類似体、レキシトロプシン、ジスタマイシン、ネトロプシン、ベレニル、デュオカルミシン、ペンタミジン、4,6-ジアミノ-2-フェニルインドールおよびピロロ[2,1 c][1,4]ベンゾジアゼピンからなる群より選択される。
【0035】
さらに好ましい副溝結合分子は、以下の式から選択される分子である:

式中、下付文字mは、2〜5の整数であり;下付文字rは2〜10の整数であり;およびRaおよびRbは独立してオリゴヌクレオチドに対する連結基(直接または消光剤を通して間接的に)、H、-ORc、-NRcRd、-COORc、または-CONRcRdであり、式中RcおよびRdは、H、(C1-C12)ヘテロアルキル、(C2-C12)ヘテロアルケニル、(C2-C12)ヘテロアルキニル、(C1-C12)アルキル、(C2-C12)アルケニル、(C2-C12)アルキニル、アリール(C1-C12)アルキルおよびアリールから選択され、但し、RaおよびRbの一つはODN、Fl、またはQに対する連結基を表す。
【0036】
特に好ましい副溝結合分子には、3-カルバモイル-1,2-ジヒドロ-(3H)-ピロロ[3,2-e]インドール-7-カルボキシレートの三量体(CDPI3)、N-メチルピロル-4-カルボクス-2-アミドの五量体(MPC5)、およびミスマッチ識別の増加を示す他の副溝結合分子が含まれる。本発明の実践において有用であるさらなるMG部分は、同一出願人による米国特許第5,801,155号に開示されている。特定の態様において、MBは、水溶性増強基(例えば、糖、アミノ酸、カルボン酸、またはスルホン酸置換基等)を付着することができる。PCT/US/03/07467号を参照されたい。ジヒドロシクロピロロインドールトリペプチド(DPI3)オリゴヌクレオチド共役体は、Epoch BiosciencesによってMGB Eclipse Probe Systemとして販売されている。MGB(商標)は、Epoch Biosciences(Bothell, WA)の商標である。
【0037】
消光剤
最近開発された検出法は、蛍光強度の直接検出よりむしろプローブハイブリダイゼーションの検出のために、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)のプロセスを利用する。このタイプのアッセイにおいて、FRETは、消光剤分子の吸収スペクトルがドナー蛍光体の放射スペクトルと重なり合い、二つの分子が近位に存在する場合に、ドナー蛍光体(リポーター)とアクセプター分子(消光剤)との間に起こる。ドナー蛍光体の励起状態のエネルギーは、共鳴双曲子-誘導双極子相互作用によって隣接するアクセプターに転移され、それによってドナー蛍光の消光が起こる。アクセプター分子が蛍光体である場合、その蛍光は時に増加する可能性がある。ドナーおよびアクセプター分子間でのエネルギー転移効率は、分子間の距離に大きく依存する。この関係を説明する等式が公知である。フェルスター距離(Ro)は、エネルギー転移効率が50%である場合の、ドナーおよびアクセプター分子間の距離として記述される。衝突および電荷転移消光のような、蛍光消光の他のメカニズムも同様に公知である。消光剤および蛍光体の対、ならびにオリゴヌクレオチドに対するその結合を選択するための広範な指針が当技術分野において存在する(Haugland, R.P., HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS, Sixth Edition, Molecular Probes, Eugene, OR, 1996;米国特許第3,996,345号および第4,351,760号等)。好ましい消光剤は、同一出願人による米国特許第6,727,356号において記述され、参照により本明細書に組み入れられる。より詳しくは、表1は、引用された公知の化学反応に基づいて、プローブに導入するために適した官能基(例えば、FLAが消光剤であって、ODNおよびMB部分の付着部位を有するFlA-W)を有する構造に容易に改変することができる消光剤の構造を含む(例えば、Thiel, et al., J.fur prakt. Chemie, 328:497-514 (1986);米国特許第4,324,721 号および第4,054,560号;Timm, Melliand Textilberichte, 9:1090-1096 (1969);Hallas, J.S.D.C. 285-294 (1979);Beyer, et al., J Prakt. Chem., 24:100-104 (1964);Hutchings, et al., Chem. Europ. J. 3:1719-1727 (1997)およびMorley, et al., J. Phys. Chem. A., 102:5802-5808 (1998);Haak, et al., J. Chem. Res. Miniprint 10:2701-2735 (1998)およびRuggli et al., HeIv. Chim. Acta, 26:814-826 (1943)を参照されたい)。様々な位置で異なる組み合わせの置換基を有するさらなる構造(例えば、モノおよびビス-アゾ色素)を、色素化学分野において公知の化合物および方法に基づいて調製することができる(the Color Index, Issue 3 on CDD- ROM, pages 4009-4324;Society of Dyers and Colourists, Bradford, England; http://www.sdc.org.ukにおいて要約されている;国際公開公報第01/86001号も同様に参照されたい)。
【0038】
(表1)


【0039】
上記の消光剤は、約400〜800 nmの範囲に及び、多くは、MBに付着すると消光の改善を示す。改変版は、消光剤をオリゴヌクレオチド、MB、または固相支持体に共役させるために用いられる好ましい連結基として-N(CH2CH2OH)2を図示するが、他の適したリンカーの例が当技術分野において公知である、または本明細書において提供される。
【0040】
本明細書において本発明の局面のそれぞれに関する好ましい消光剤は、上記の表に記載の消光剤から選択されると共に、Biosearch Technologies, Inc(Black Hole(商標)消光剤:BH-1、BH-2、およびBH-3として提供される)のビスアゾ消光剤、Dabcyl、TAMRA、およびカルボキシテトラメチルローダミンから選択される。
【0041】
蛍光体
本発明において有用な蛍光体は一般的に、好ましくは連結基を通してオリゴヌクレオチドプローブの末端の3'または5'位への付着のために誘導体化されている蛍光有機色素である。当業者は、同様に有機色素であるが、蛍光であってもなくてもよい消光剤と共に、適した蛍光体が選択されることを認識するであろう。
【0042】
特定のプローブに関して適当な蛍光-消光対を選択するために、文献において入手可能な多くの実践指針が存在する。例えば、Clegg (上記引用);Wu et al. (上記引用);Pesce et al., editors, FLUORESCENCE SPECTROSCOPY (Marcel Dekker, New York, 1971);White et al., FLUORESCENCE ANALYSIS: A PRACTICAL APPROACH (Marcel Dekker, New York, 1970)等を参照されたい。文献にはまた、蛍光および色素原(消光)分子の網羅的な一覧表および蛍光-消光対を選択するためのその関連する光学特性を提供する参照文献、例えばBerlman, HANDBOOK OF FLUORESCENCE SPECTRA OF AROMATIC MOLECULES, 2ND EDITION (Academic Press, New York, 1971);Griffiths, COLOUR AND CONSTITUTION OF ORGANIC MOLECULES (Academic Press, New York, 1976);Bishop, editor, INDICATORS (Pergamon Press, Oxford, 1972);Haugland, THE HANDBOOK, A GUIDE TO FLUORESCENT PROBES AND LABELING TECHNOLOGIES (Invitrogen, Eugene, Ore. 2005);Pringsheim, FLUORESCENCE AND PHOSPHORESCENCE (Interscience Publishers, New York, 1949)等が含まれる。さらに、一般的な反応基によって共有的に付着させるために蛍光体および消光体を誘導体化する方法も同様に周知である。例えば、Haugland (上記引用);Ullman et al., 米国特許第3,996,345号:Khanna et al., 米国特許第4,351,760号等を参照されたい。
【0043】
好ましい蛍光体は、その多様な蛍光体が、連結基に付着させるために、またはオリゴヌクレオチドに直接付着させるために有用な置換基と共に市販されているキサンテン色素に基づく蛍光体である。蛍光化合物のもう一つの基は、α-またはβ-位にアミノ基を有するナフチルアミンである。そのようなナフチルアミノ化合物には、1-ジメチルアミノナフチル-5-スルホネート、1-アニリノ-8-ナフタレンスルホネート、および2-p-トルイジニル-6-ナフタレンスルホネートが含まれる。他の色素には、3-フェニル-7-イソシアネートクマリン、9-イソチオシアネートアクリジンおよびアクリジンオレンジのようなアクリジン;N-(p-(2-ベンゾキサゾリル)フェニル)マレイミド;ベンゾキサジアゾール、スチルベン、ピレン等が含まれる。さらに他の適した蛍光体には、レゾルフィン色素、ローダミン色素、シアニン色素およびBODIPY色素が含まれる。
【0044】
これらの色素およびオリゴヌクレオチドを付着させるための適当な連結方法論は、多くの参考文献、例えばKhanna et al. (上記引用);Marshall, Histochemical J., 7:299-303 (1975);Menchen et al., 米国特許第5,188,934号;Menchen et al., 欧州特許出願第87310256.0号;およびBergot et al., 国際公開公報第9105060号に記述されている。
【0045】
より詳しくは、本明細書に記述の蛍光体は、例えば化学または酵素的方法を用いてオリゴヌクレオチド部分に付着させることができる。例として、特定の部位で反応性化学基をオリゴヌクレオチドに組み入れる方法は、当業者に周知である。特定の部位に存在する反応性化学基を含むオリゴヌクレオチドを、化学的技術を用いて標識をプローブに共役させるために、相補的反応基(例えば、求核反応基を含むオリゴヌクレオチドを、求電子反応基に付着させた標識と反応させることができる)に付着させた標識と組み合わせることができる。例としての標識および標識をオリゴヌクレオチドに付着させる方法は、例えば、米国特許第5,824,796号;米国特許第5,210,015号;Kessler (ed.), Nonradioactive Labeling and Detection of Biomolecules, Springer-Verlag, Berlin, 1992;Kricka (ed.) Nonisotopic DNA Probe Techniques, Academic Press, San Diego, 1992;Howard (ed.) Methods in Nonradioactive Detection, Appleton & Lange, Norwalk, 1993に記述されている。オリゴヌクレオチドの非特異的化学標識は、例えばヌクレオチド塩基の特定の官能基と反応する化学物質とオリゴヌクレオチドとを組み合わせることによって、またはその後オリゴヌクレオチドを標識と反応させることによって得ることができる。例えば、Draper et al.(1980)Biochemistry 19:1774〜1781を参照されたい。標識をオリゴヌクレオチドに酵素的に組み入れることは、標識された前駆体を用いてオリゴヌクレオチドの酵素的改変または重合化を行うことによって、または既存のオリゴヌクレオチドに標識を酵素的に加えることによって達成することができる。例えば、米国特許第5,449,767号を参照されたい。酵素を改変する例には、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ等が含まれるがそれらに限定されるわけではない。既存のオリゴヌクレオチドに標識を加えることができる酵素の例には、キナーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、グリコシラーゼ等が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0046】
本発明の局面のそれぞれに関して、好ましい蛍光体は、シアニン、BODIPY類似体、5-FAM、6-FAM、TET(商標)、JOE(商標)、HEX(商標)、VIC(商標)、NED(商標)、TAMRA(商標)、ROX(商標)、Bothell Blue(商標)およびYakima Yellow(商標)(YY)から選択される。これらの蛍光体は、一般的にApplied Biosystems Inc., Foster City, CAおよびEpoch Biosciences, Inc., Bothell. WAのような販売元から入手することができる。
【0047】
核酸結合試薬によって増幅された核酸を検出するための均一な方法が開示されている(例えば、米国特許第5,994,056号、および第6,171,785号;ならびにBengtsson et al. Nucl. Acids Res., 31:e45(2003)を参照されたい)。CYBR(登録商標)Green I DNA結合物質は、増幅をモニターするために用いられている(米国特許第6,569,627号)。核酸結合色素は、例えばInvitrogen(Eugene, OR;http://probes.invitrogen.com)から市販されている。
【0048】
連結基
蛍光体、消光剤、および副溝結合分子をオリゴヌクレオチドの5'または3'末端に付着させるために多様な連結基および方法が当業者に公知である。例えば、Eckstein, editor, OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES: A PRACTICAL APPROACH (IRL Press, Oxford, 1991);Zuckerman et al., Nucleic Acids Research, 15:5305-5321 (1987);Sharma et al., Nucleic Acids Research, 19:3019 (1991);Giusti et al., PCR Methods and Applications, 2:223-227 (1993), Fung et al., 米国特許第4,757,141号;Stabinsky, 米国特許第4,739,044号;Agrawal et al., Tetrahedron Letters, 31:1543-1546 (1990);Sproat et al., Nucleic Acids Research, 15:4837 (1987);Nelson et al., Nucleic Acids Research, 17:7187-7194 (1989)等を参照されたい。合成の際にオリゴヌクレオチドに付着させることができるさらに他の市販の連結基を用いることができ、例えばClontech Laboratories(Palo Alto, Calif.)から入手可能である。蛍光体をオリゴヌクレオチド部分に付着させるための他の方法論は、ホスホロアミダイト部分によって誘導体化された色素によって固相合成の終局にホスホロアミダイト化学を用いる段階を含む。例えば、Woo et al., 米国特許第5,231,191号;Hobbs, Jr., 米国特許第4,997,928号;Reed, et al., PCT国際出願国際公開公報第01/42505号;米国特許出願第09/876,830号;米国特許第6,653,473号;および同一出願人による係属中の米国特許出願第10/026,374号を参照されたい。
【0049】
多数の一般的な連結法が利用可能であるが、オリゴヌクレオチドの長さ、副溝結合分子、蛍光体-消光剤対等のような他の要因と組み合わせて選択を行う場合、特定の連結基の選択は本発明の一つの局面を構成する。例えば、本発明において、副溝結合分子を用いることによって、より少ないヌクレオチド塩基を有するプローブの調製が可能となる。一般的に、約15塩基より少ない塩基を有するプローブは、不良なシグナル伝達および/または標的ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより使用不可能であると考えられている。さらに、より小さいプローブ(例えば、15個またはそれより少ない塩基を有するプローブ)は、消光剤/蛍光体がハイブリダイゼーションの際に適したシグナルを提供するためにしばしば十分に分離されないことから、ビーコンアッセイの場合には回避されている。
【0050】
本発明において、付着した副溝結合分子を有するより短いプローブは、有用であることが判明し、適当な連結基を選択することによって、蛍光体と消光剤との間の十分な空間を得ることができる。プローブおよび共役体は、一般的に一つまたは二つのタイプの連結基を有するであろう。式Iにおいて提供されるように、文字Kは二価の連結基を表し、文字Wは三価の連結基を表す。特定の連結基は一般的に、その合成の容易さ、固相合成における有用性、プローブ構築および使用の際の安定性、ならびに蛍光体と消光剤との間の適当な分離を提供するような、または副溝結合分子部分をプローブハイブリダイゼーションの際に形成された副溝と非共有結合によって相互作用させるために適した長さのつなぎを提供するような、プローブもしくは共役体にそれぞれ付与する物理的パラメータのために選択される。
【0051】
より詳しくは、Kは、蛍光体とプローブ/共役体のオリゴヌクレオチド部分との間の直接結合であるか、またはC、O、N、S、PおよびSiから選択される主鎖原子1〜50個を有する二価の連結基である。
【0052】
三価の連結基Wは、ODN、Q、およびMGBの間の適した付着および柔軟性を提供するために多様な構造を含み得る。一つの群の態様において、Wは、以下の式を有する三価の官能基である:

式中、窒素原子は、モノアゾまたはビスアゾ色素(消光剤、Q)の芳香環に直接付着して、典型的に消光剤の一部であると見なされ、ならびに成分A1およびA2は、C、N、S、P、SiおよびO、ならびに利用可能な価数を満たすためのさらなる水素原子から選択される原子1〜50個を有する結合または連結基/スペーサー部分から独立して選択される。さらに、A1およびA2のそれぞれは、環状成分、非環状(直線状または分岐)成分、またはその組み合わせを有し得る。
【0053】
使用法
プローブおよびプライマー配列が重なり合う本発明の方法は、特に難しい配列環境におけるプライマーおよびプローブ設計機会の拡大を含む、既存の方法に対して長所を提供する。本発明の方法は、例えばPCRのような増幅プロセスによってリアルタイムで特に有用に行われる。本発明の方法は、ハイブリダイゼーション検出に基づくフォーマット、プローブが5'-ヌクレアーゼ活性によって切断されるフォーマット、またはプライマーが重なり合い、増幅された標的を検出するために二本鎖核酸-特異的色素が用いられるプローブ非依存的フォーマットが含まれるがそれらに限定されるわけではない多様なフォーマットにおいて行うことができる。
【0054】
一つの態様において、プローブおよびプライマー配列は、実質的に重なり合い、好ましくは1〜20塩基、より好ましくは1〜10塩基、および最も好ましくは1〜7塩基重なり合う。
【0055】
本発明の方法において、プローブおよびプライマー配列のオーバーラップは、もう一つの核酸に対するオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションが関係する技術において有用である。これらには、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションがエンドポイントである技術;標的核酸に対する一つまたは複数のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、プライマーとしてオリゴヌクレオチド、および鋳型として標的核酸を用いる一つまたは複数のポリメラーゼ媒介伸長段階の前に起こる技術;標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションがもう一つのプライマーの伸長を遮断するために用いられる技術;および二つまたはそれ以上のオリゴヌクレオチドが標的核酸にハイブリダイズして、多数のオリゴヌクレオチド間の相互作用が測定される技術、が含まれるがそれらに限定されるわけではない。オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション条件、ならびに温度、イオン強度、および溶媒組成のようなハイブリダイゼーションの程度および特異性に影響を及ぼす要因は、当業者に周知である。例えば、Sambrook et al., 前記;Ausubel, et al, 前記;M. A. Innis et al. (eds.)PCR Protocols, Academic Press, San Diego, 1990;B.D. Hames et al. (eds.) Nucleic Acid Hybridisation: A Practical Approach, IRL Press, Oxford, 1985;およびvan Ness et al. (1991)Nucleic Acids Res. 19:5143-5151を参照されたい。さらに他の方法において、多数のプローブを用いて交互の標的部位領域を検出することができる(例えば、難しい配列を同定するため、ならびに標的の種および亜種を区別するために)。
【0056】
標的配列に対するプローブおよび/またはプライマーのハイブリダイゼーションは、周知の当技術分野において認識された塩基対形成特性に従って、アデニンがチミンまたはウラシルと塩基対を形成するように、およびグアニンがシトシンと塩基対を形成するように進行する。第二のヌクレオチドと塩基対を形成させるヌクレオチドの特性を相補性と呼ぶ。このように、アデニンはチミンおよびウラシルの双方と相補的であり;およびその逆も同じである;同様に、グアニンはシトシンと相補的であり、およびその逆も同じである。その全長に沿って標的配列と相補的であるオリゴヌクレオチドは、標的配列と完全に相補的である、完全にマッチしている、または十分に相補的であると言われ、およびその逆も同じである。オリゴヌクレオチドおよびその標的配列は、二つの配列における塩基の大多数が相補的であるが、一つまたは複数の塩基が非相補的である、またはミスマッチである場合に、関連する配列を有し得る。そのような場合、配列は、互いに実質的に相補的であると言うことができる。オリゴヌクレオチドの配列および標的配列が、それらが一つを除いて全てのヌクレオチド位置で相補的である場合、オリゴヌクレオチドおよび標的配列は互いに一ヌクレオチドミスマッチを有する。
【0057】
ハイブリダイゼーションに基づくシグナルプローブは当技術分野において周知であり、これには分子ビーコン(米国特許第6,037,130号)、ペプチド核酸ビーコン(米国特許第6,355,421号)、5'-副溝結合分子プローブ(国際公開公報第03/062445号、米国特許第6,472,153号および米国特許出願第10/976,365号)、および蛍光エネルギー転移プローブ(米国特許第6,911,310号および第6,174,670号を参照されたい)が含まれる。自己報告プライマーには、自己消光プライマー(Nazerenko et Ia, Nucl. Acids Res., 30:e37 (2002))、二本鎖スコーピオンプライマー(Solinas et al, Nucl. Acids Res., 29:e96 (2001))、サンライズプライマー(Nazarenko et al. Nucl. Acids Res., 25:2516-2521 (1997))およびPNA/DNAプライマー(Fiandaca et al, Genome Res., 11:609-13 (2001))が含まれる。
【0058】
改変塩基を組み入れる本発明において用いられるプライマーおよびプローブに関して、改変塩基は、その天然に存在する類似体の塩基対形成特異性を保持するであろうと理解される。例えば、PPPG類似体はシトシンと相補的であるが、PPPA類似体はチミンおよびウラシルと相補的である。PPPGおよびPPPA類似体は、グアニンおよびアデニンと比較して非相補的塩基とのいわゆる「ゆらぎ」対形成の傾向の低減を有するのみならず、3-置換基は二本鎖における結合親和性を増加させる。同様に、改変ピリミジンは天然に存在する対パートナーと特異的にハイブリダイズする。
【0059】
ハイブリダイゼーション条件は、当業者に周知であり、比較的広い限界内で変化し得る。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ミスマッチヌクレオチドを含むハイブリッドの形成に不都合であって、それによって完全にマッチしたハイブリッドまたはより少ないミスマッチを有するハイブリッドの形成を促進する程度を指し、より高いストリンジェンシーはミスマッチハイブリッドの認容性がより低いことと相関する。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響を及ぼす要因には、温度、pH、イオン強度、ホルムアミドおよびジメチルスルホキシドのような有機溶媒の濃度、ならびにカオトロピック剤が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0060】
このように、プローブ/共役体とその標的配列とのハイブリッド(二本鎖)の形成において、プローブ/共役体は、ハイブリダイゼーションにとって都合のよい温度、イオン強度、pH等の条件、すなわちハイブリダイゼーション条件で、標的配列を含むポリヌクレオチドと共に溶液中でインキュベートされる。ハイブリダイゼーション条件は、いくつかの状況において、ハイブリダイズする配列において一つまたは複数のミスマッチを有する核酸の対と比較して、完全にマッチした配列を有する二つの核酸のハイブリダイゼーションにとって都合がよいように選択される。他の状況において、ハイブリダイゼーション条件は、ミスマッチ配列間のハイブリダイゼーションを可能にするように、より少ないミスマッチを有する核酸間のハイブリダイゼーションに都合がよいように選択される。
【0061】
ハイブリダイゼーションの強度としても知られる標的配列に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの程度は、当技術分野において周知である方法によって決定される。好ましい方法は、ハイブリッド二本鎖のTmを決定することである。これは、前記のように、二本鎖を溶液中で徐々に上昇する温度に供する段階、および二本鎖の変性を、例えば変性を伴う塩基対のアンスタッキングと共に増加する紫外光の吸光度によってモニターする段階によって行われる。Tmは、変性を伴う紫外光吸光度における遷移温度中点であると一般的に定義される。または、Tmが公知の場合、望ましい二本鎖のTmの下であって望ましくない二本鎖のTmの上であるハイブリダイゼーション温度(固定されたイオン強度、pH、および溶媒濃度で)を選択することができる。この場合、ハイブリダイゼーションの程度の決定は、単にハイブリダイズしたプローブの存在に関して試験することによって行われる。
【0062】
プライマー伸長アッセイは、SNPタイピングに関して一般的に用いられ、同様に他の遺伝子タイピングおよび変異スクリーニング応用において用いることができる(Pastinen T. et al., Genome Res., 10:1031〜42(2000))。本発明において、副溝結合分子および場合によっては改変塩基の存在は、プライマー伸長アッセイを改善することができる。例えば、MBまたは5-置換ピリミジンまたは3-置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンによって提供される強められた二本鎖安定性によって、上昇した温度で伸長を行うことが可能となる。これは、標的分子における問題のある二次構造を上昇した温度で消失させることができることから都合がよい。同様に、プライマーに対する標的のハイブリダイゼーションは、より高温ではより速い。そのような反応では、TaqポリメラーゼおよびBst DNAポリメラーゼのような熱安定性のポリメラーゼを用いることができる。MBおよび改変塩基は、先に記述した長所を有するプローブおよびプライマーを提供することができるが、改変塩基を用いることは典型的に、プライマー伸長阻害を回避するために3'末端位置以外の位置であろう。
【0063】
さらに、MBおよび改変塩基は偽陽性シグナルの一つのクラスを消失させることによってアッセイの特異性を改善する。ヘアピン構造またはホモ二量体を形成するプライマー配列は、鋳型依存的伸長を行う傾向があり(プライマーの5'末端が鋳型として機能する)、それによって偽陽性シグナルが得られる。「鋳型」上のMBおよび改変塩基は、DNAポリメラーゼによる伸長を阻害する。このように、5'末端上のMBまたはプライマーの5'末端もしくは中央部上の改変塩基は、プライマーヘアピンまたはプライマー二量体からの伸長(偽陽性)を防止することができる。最後に、PPGを用いてG-に富むオリゴヌクレオチドによって形成された非極限構造を消失させることができ、それによってそのような配列におけるプライマー伸長アッセイを可能にする。
【0064】
本発明の改変オリゴヌクレオチドが特に有用である他のアッセイは米国特許第6,312,894号に記述されている。
【0065】
上記を考慮して、本発明は以下を含む、ポリヌクレオチド増幅を連続的にモニターするための方法を提供する:
(a)標的配列を含む試料を、標的配列の領域と相補的な一つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、重合化酵素、ヌクレオチド基質、および以下の式を有するオリゴヌクレオチド共役体と混合して混合物を提供する段階:

式中、MBは副溝結合分子であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBの他方は消光剤であり、Wは三価の連結基であり、ODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、Kは結合または連結基であり、ODN配列はプライマー配列と1〜7塩基重なり合い、ならびにODN部分は増幅される標的配列の部分と相補的な配列を有する;
(b)重合化にとって都合がよい条件で混合物をインキュベートする段階;ならびに
(c)増幅された標的に対する共役体のハイブリダイゼーションによって生じた蛍光をモニターすることによって増幅を連続的にモニターする段階。
【0066】
本発明はまた、以下を含む、ポリヌクレオチド増幅の連続的モニタリングのための代替法を提供する:
(a)標的配列を含む試料を、標的配列の領域と相補的な一つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、重合化酵素、ヌクレオチド基質、および以下の式を有するオリゴヌクレオチド共役体と混合して混合物を提供する段階:

式中、MBは副溝結合分子であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBの他方は消光剤であり、Wは三価の連結基であり、ODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、Kは、結合または連結基であり、ODN配列はプライマー配列と1〜7塩基のオーバーラップを有し、ならびにODN部分は増幅される標的配列の部分と相補的な配列を有する;
(b)5'-ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼによる重合化にとって都合がよい条件で混合物をインキュベートする段階;ならびに
(c)増幅された標的に対する共役体のハイブリダイゼーションおよび5'-ヌクレアーゼ活性による切断によって生成された蛍光をモニターすることによって増幅を連続的にモニターする段階。
【0067】
本発明はさらに、以下を含む、ポリヌクレオチド増幅を連続的にモニターするための第二の代替法を提供する:
(a)第一のプライマー配列が第二のプライマー配列と1〜7塩基重なり合う、標的配列を含む試料を、標的配列の領域と相補的な二つのオリゴヌクレオチドプライマー、重合化酵素、ヌクレオチド基質、および二本鎖核酸結合色素と混合して、混合物を提供する段階;
(b)重合化にとって都合がよい条件で混合物をインキュベートする段階;ならびに
(c)増幅された標的に対する色素の結合によって生成された蛍光をモニターすることによって、増幅を連続的にモニターする段階。
【0068】
関連する態様において、本発明は、以下を含む、ポリヌクレオチド増幅を連続的にモニターするための方法を提供する:
(a)標的配列を含む試料を、標的配列の領域と相補的な二つのオリゴヌクレオチドプライマー、重合化酵素、ヌクレオチド基質、および以下の式を有するオリゴヌクレオチド共役体と混合して混合物を提供する段階:

式中、MBは副溝結合分子であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBの他方は消光剤であり、Wは三価の連結基であり、ODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、Kは、結合または連結基であり、ODN配列はプライマー配列と1〜7塩基重なり合い、ならびにODN部分は増幅される標的配列の部分と相補的な配列を有する;
(b)重合化にとって都合がよい条件で混合物をインキュベートする段階;ならびに
(c)増幅された標的に対する共役体のハイブリダイゼーションによって生成された蛍光をモニターすることによって増幅を連続的にモニターする段階。
【0069】
代替の方法において、蛍光は増幅の終了後測定され、このタイプの方法はエンドポイント分析法として公知である。
【0070】
増幅技法は、連続的重合化によって、標的核酸配列の多くのコピーが通常指数的に生成される技法である。PCRのような多くの増幅反応は、反復性のプライマー依存的重合化反応を利用する。プライマーは、第二の鋳型核酸にハイブリダイズすることができ、ハイブリダイズすると、第二の核酸を鋳型として用いて重合化酵素(ヌクレオチド基質の存在下で)によって伸長され得る核酸である。重合化酵素には、DNAおよびRNAポリメラーゼならびに逆転写酵素等が含まれるがそれらに限定されるわけではない。異なる重合化酵素による重合化にとって都合がよい条件は当業者に周知である。例えば、Sambrook et al., 前記;Ausubel et al., 前記;Innis et al., 前記を参照されたい。一般的に、重合化酵素によって伸長可能となるために、プライマーは、非ブロック3'末端、好ましくは遊離のヒドロキシル基を有しなければならない。増幅反応の産物は、重合化酵素によって伸長されている伸長したプライマーである。
【0071】
このように、本発明の一つの好ましい態様において、開示のおよび本明細書に記述の方法は、PCRのような増幅反応を改善およびモニターするために有用である。例えば、米国特許第4,683,202号;第4,683,195号および第4,800,159号;Mullis and Faloona, 前記;およびSaiki et al., 前記を参照されたい。PCRの重合化段階は、PCRの変性段階にとって必要な上昇した温度のために、好熱性細菌から単離されたDNAポリメラーゼのような熱安定性の重合化酵素によって最もしばしば触媒される。
【0072】
さらにもう一つの局面において、本発明は、以下の段階を含む、ポリヌクレオチドが他のポリヌクレオチドの混合物に存在し、混合物における他のポリヌクレオチドの一つまたは複数が、標的配列と関連するが同一ではない配列を含む、ポリヌクレオチドにおける標的配列を検出するための方法を提供する:
(a)ポリヌクレオチドの混合物を、以下の式を有するオリゴヌクレオチド共役体に接触させる段階:

式中、MBは副溝結合分子であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBの他方は消光剤であり、Wは三価の連結基であり、ODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、Kは、結合または連結基であり;ODN配列はプライマー配列と1〜7塩基のオーバーラップを有し、ならびにODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、共役体は共役体のODN部分と完全に相補的である標的配列のみと安定なハイブリッドを形成し、共役体は他の如何なるポリヌクレオチドとも安定なハイブリッドを形成しない;ならびに
(b)ハイブリッド形成に基づいて産生された蛍光を測定する段階であって、ハイブリッドが形成されれば標的配列の存在が示される段階。
【0073】
好ましくは、他のポリヌクレオチドの少なくとも一つは、一つまたは複数のミスマッチ、より好ましくは1〜3個のスマッチ、および最も好ましくは一つのみの塩基ミスマッチを有する標的配列(関連する配列)を有する。
【0074】
本発明はまた、以下の段階を含む、ポリヌクレオチドが他のポリヌクレオチドの混合物に存在し、混合物における他のポリヌクレオチドの一つまたは複数が、標的配列に関連するが標的配列と同一ではない配列を含む(例えば、1〜3個のミスマッチ、好ましくは1または2個のミスマッチを有する)ポリヌクレオチドにおける標的配列を検出するためのもう一つの方法を提供する:
(a)オリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチド配列が、互いに1〜7塩基のオーバーラップを有し、オリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドがプライマーのODN部分と完全に相補的である標的配列のみと安定なハイブリッドを形成し、プライマーが他の如何なるポリヌクレオチドとも安定なハイブリッドを形成しない、ポリヌクレオチドの混合物を、二つのプライマーオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドに接触させる段階;および
(b)増幅された標的に対する核酸結合色素の結合に基づいて生成された蛍光を測定する段階であって、色素が結合すれば標的配列の存在が示される段階。
【0075】
先に記述したように、標的配列はプローブまたはプライマーに関するハイブリダイゼーション部位を含むヌクレオチド配列を指す。標的配列は、ゲノムDNA、cDNA、RNAおよびその任意の増幅産物が含まれるがそれらに限定されるわけではない任意の核酸において見い出され得、野生型遺伝子配列、変異体遺伝子配列、非コード配列、調節配列等を含み得る。標的配列は一般的に、長さがヌクレオチド100個未満、好ましくはヌクレオチド40個未満、および最も好ましくはヌクレオチド21個未満を有するであろう。
【0076】
本発明のこの局面において用いられる共役体は本質的に、本明細書において記述されている共役体と同じであり、ポリヌクレオチドは、どのポリヌクレオチドがオリゴヌクレオチド共役体とハイブリダイズするかを決定することによって区別することができる。オリゴヌクレオチド共役体またはプローブのハイブリダイゼーション条件は当業者に周知である。例えば、Sambrook et al., 前記;Ausubel et al., 前記;Innis et al., 前記;Hames et al., 前記;およびvan Ness et al., 前記を参照されたい。
【0077】
ハイブリダイゼーションは、当業者に周知であるいくつかの方法の一つによって、ハイブリダイズしたプローブを遊離のプローブと区別することによってアッセイすることができる(すなわち、ハイブリダイズした核酸を同定することができる)。これらには、標的核酸の固相支持体への直接または間接的な付着(第二の支持体結合プローブとのハイブリダイゼーションによって、または表面に結合したリガンドとプローブに結合したリガンドとの間の相互作用によって)の後のプローブとの直接または間接的なハイブリダイゼーション、およびハイブリダイズしていないプローブを除去するための洗浄;ヌクレアーゼ抵抗性の決定;浮遊密度決定;核酸二本鎖に対して特異的な親和性法(例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー);同じ標的核酸にハイブリダイズした多数のプローブ間の相互作用等が含まれるがそれらに限定されるわけではない。例えば、Falkow et al., 米国特許第4,358,535号;Urdea et al., 米国特許第4,868,105号および第5,124,246号;Freifelder, Physical Biochemistry, Second Edition, W. H. Freeman & Co., San Francisco, 1982;Sambrook, et al., 前記;Ausubel et al, 前記;Hames et al., 前記;および他の関連する参考文献を参照されたい。本明細書において記述したオリゴヌクレオチド共役体の二本鎖安定化能は、標的核酸における起こり得る閉鎖的二次構造を最小限にすることができるよりストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーションを可能にする。したがって、そのようなオリゴヌクレオチド共役体は、本発明のこの局面において特に好ましい。
【0078】
一つの群の好ましい態様において、本発明の方法において用いられるオリゴヌクレオチド共役体は、少なくとも一つのピラゾロ[3,4-d]ピリミジンおよび/または3-置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン塩基を有する。この群の態様において、共役体は、標的の伸長産物にハイブリダイズして、ハイブリダイゼーションの結果として、蛍光/消光体対の物理的状態の変化が起こる。
【0079】
この方法および関連する方法において本発明の方法のプライマー、プローブ、および共役体(5'-MB-FlA-ODN-FlB-3')を用いることにより、難しい配列環境においてより大きい速度、感度、および識別力をアッセイに適用することが可能となる。特に、プローブおよび共役体が、完全なハイブリッドと一塩基ミスマッチを含むハイブリッドとを識別する能力の増強は、例えば一ヌクレオチド多形の同定等においてリアルタイム増幅アッセイを用いることを促進するであろう。当業者は、本発明の組成物および方法のような、一ヌクレオチドミスマッチを識別することができる組成物および方法が同様に、互いに関して2、3、4、5、もしくは6個さえ、またはそれより多くのミスマッチを有する配列を識別することができると認識するであろう。
【0080】
なおもう一つの局面において、本発明は、以下の段階を含む、野生型、変異体およびヘテロ接合標的ポリヌクレオチドを区別するための方法を提供する:
(a)それぞれのプローブが以下の式を含み、第一のプローブが野生型標的ポリヌクレオチドに対して特異的であって、第二のプローブが変異体標的ポリヌクレオチドに対して特異的である、二つのプローブに、標的ポリヌクレオチドを含む試料を接触させる段階:

式中、MBは、副溝共役体であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBのもう一つは消光剤であり、Wは、三価の連結基であり、ODNは、オリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、ODN配列はプライマー配列と1〜7塩基のオーバーラップを有し;Kは結合または連結基であり;第一および第二のプローブは異なる蛍光体を有し、プローブのそれぞれはプローブのODN部分と完全に相補的である標的配列に限って安定なハイブリッドを形成する;ならびに
(b)ハイブリッド形成に基づいて生成された蛍光を測定する段階であって、ハイブリッドが形成されれば、野生型、変異体、およびヘテロ接合標的オリゴヌクレオチドのそれぞれの存在または非存在が示される段階。
【0081】
本発明のこの局面において、第一および第二のプローブと、そのそれぞれの標的との間で生成されたそれぞれのハイブリッドの融解温度(Tm)は、好ましくは互いに約5℃以内である。一つの群の好ましい態様において、プローブのそれぞれのODN部分は、8〜18塩基または改変塩基を有するオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、より好ましくは10〜15塩基または改変塩基を有するオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドである。他の好ましい態様において、プローブのそれぞれの蛍光体部分は、シアニン、BODIPY類似体、5-FAM(商標)、6-FAM(商標)、TET(商標)、JOE(商標)、HEX(商標)、VIC(商標)、NED(商標)、TAMRA(商標)、ROX(商標)、Bothell Blue(商標)およびYakima Yellow(商標)(YY)から選択される。これらの蛍光体は、一般的にApplied Biosystems Inc., Foster City, CAおよびEpoch Biosciences, Inc., Bothell. WAのような販売元から入手することができる。
【0082】
さらに他の好ましい態様において、プローブのそれぞれのODN部分は、少なくとも一つの改変塩基を含む。好ましくはそれぞれの改変塩基は、6アミノlH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン、4-アミノ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、lH-ピラゾロ[5,4-d]ピリミジン-4(5H)-6(7H)-ジオン、6-アミノ-3-プロプ-l-イニル-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、6-アミノ-3-(3-ヒドロキシプロプ-l-イニ)ル-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、6-アミノ-3-(3-アミノプロプ-l-イニル)-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、4-アミノ-3-(プロプ-l-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、4-アミノ-3-(3-ヒドロキシプロプ-l-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、4-アミノ-3-(3-アミノプロプ-l-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、3-プロプ-l-イニル-4,6-ジアミノピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、2-(4,6-ジアミノピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)エチン-l-オール、3-(2-アミノエチニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン、5-プロプ-l-イニル-l,3-ジヒドロピリミジン-2,4-ジオン、5-(3-ヒドロキシプロプ-1-イニル)-l,3-ジヒドロピリミジン-2,4-ジオン、6-アミノ-5-プロプ-1-イニル-3-ジヒドロピリミジン-2-オン、6-アミノ-5-(3-ヒドロキシプロプ-l-イニ)-l,3-ジヒドロピリミジン-2-オン、6-アミノ-5-(3-アミノプロプ-l-イニ)-l,3-ジヒドロピリミジン-2-オン、5-[4-アミノ-3-(3-メトキシプロプ- l-イニル)ピラゾル[3,4-d]ピリミジニル]-2-(ヒドロキシメチル)オキソラン-3-オール、6-アミノ-l-[4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキメチル)オキソラン-2-イル]-3-(3-メトキシプロプ-l-イニル)-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、4-(4,6-ジアミノ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-l-オール、6-アミノ-3-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1,5-ジヒドロ-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン、5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-lH-ピリミジン-2,4-ジオン、3-ヨード-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン、3-ブロモ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン、3-クロロ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン、3-ヨード-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミン、3-ブロモ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミンおよび 3-クロロ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミンから独立して選択される。
【0083】
もう一つの局面において、本発明は、以下の段階を含む、野生型、変異体、およびヘテロ接合標的ポリヌクレオチドを区別する方法を提供する:
(a)第一の増幅されたポリヌクレオチドから融解した第一のプローブの第一の融解プロフィール、および第二の増幅されたポリヌクレオチドから融解した第二のプローブの第二の融解プロフィールを決定するために、温度の関数として蛍光放射を測定する段階;ならびに
(b)第一の融解曲線を第二の融解曲線と比較する段階。
【0084】
他の好ましい態様において、試料は、増幅条件でプライマーの組にさらに接触され、それぞれのプライマーは先に提供された群から選択される改変塩基1〜10個を含む。したがって、本発明のもう一つの局面において、プライマーが、プライマー1個あたり一つまたは複数の改変塩基、より好ましくは1〜10個の改変塩基を含む、先に記述したプローブ/プライマー共役体を、増幅反応のためのプライマーと共に含むキットが提供される。
【0085】
実施例1
本実施例は、エンテロウイルスモデルにおける1〜11塩基対を有するプライマーおよびプローブのオーバーラップの効果を証明する。
【0086】
MGB Eclipse標識プローブを用いるリアルタイムPCR
リアルタイムPCRをABI Prism(登録商標)7900配列検出システム(SDS)(Applied Biosystems, Foster City, CA)(Afonina, I et al., J. Clin. Ligand Assay, Vol. 25, Vol. 23, pp.268)において行った。最初に95℃で2分間の後に、三段階PCR(95℃で5秒、56℃で20秒、および76℃で30秒間)プロフィール50サイクルを行った。定量的PCRのために、JumpStart Taqポリメラーゼ(Sigmaカタログ番号90 4184)を最終濃度0.37 U/μlで添加した最終Mg2+濃度5 mM(Sigma #D 74403)の市販の2×Jump Start(商標)Taq Ready Mix(商標)を用いた。プローブの最終濃度は0.2μMであった;双方のプライマーの濃度は0.1μMであった。反応物各5μlは、反応セットアップの前にスピードバクによって96または384ウェルプレートにおいて凍結乾燥した鋳型DNAまたはcDNA 10 ngを含んだ。日常的に、DNA試料は384ウェルプレートを用いて1試料あたり3個ずつ試験した。Biomek(登録商標)2000 Laboratory Automation Station(Beckman Coulter, USA)を用いてPCR反応をセットアップした。
【0087】
モデルシステム
エンテロウイルスMGB Eclipseアッセイのためのプライマーおよび重なり合うプローブ配列を表2に示す。
【0088】
(表2)プライマーおよび重なり合うプローブ配列
「A*」はスーパーAであり、MGBリガンドはDPI3であり、Qは、Eclipseダーククエンチャーであり、Fはフルオレセインである。

【0089】
これらのプローブをMGB Eclipseアッセイにおいて評価して、結果を図2に示す。
【0090】
図2に示すように、プライマーと0〜7塩基のオーバーラップを有する全てのプローブ(#1〜8)が増幅を示した。6塩基オーバーラップを有するプローブ(#7)は、オーバーラップを有しない対照と類似の増幅を示した。シグナルは、8塩基オーバーラップ(#9)では有意に低減したが、9〜11塩基オーバーラップ(#10〜12)では増幅関連シグナルは得られなかった。
【0091】
実施例2
本実施例は、プライマーとプローブとが1塩基重なり合うMGB EclipseアッセイによるBKポリオーマウイルスの検出を説明する。プローブおよびプライマーは、示したBKポリオーマウイルスコード配列VP1に対して設計した。リバースプライマーとの一塩基オーバーラップを以下に示す。

【0092】
プライマー配列を太字の斜体の小文字で示し、プローブ配列を太字の大文字で示す。オーバーラップするプライマーおよびプローブ塩基を太字および下線で示す。
【0093】
オーバーラップするプライマーおよびプローブによるBKウイルスの滴定を図3に示し、効率的なPCR増幅を示す。
【0094】
実施例3
MMP3(マトリクスメタロプロテナーゼ3(ストロメリシン1、プロゼラチナーゼ))多型に関してMGB Eclipseアッセイにおいて用いた一塩基プライマーおよびプローブオーバーラップを説明する。プローブおよびプライマーの設計を以下に示し、ここで「G*」はスーパーGである。リバースプライマーとプローブとの間で一塩基オーバーラップを設計した。プローブおよびプライマーの配列を以下に示す。

【0095】
PCR増幅を軽微な改変を加えて実施例1に記述したように行った:Mg2+濃度は2 mMであり、アニーリング温度は52℃であり、および融解段階はRotor-Gene 3000またはAB7900においてPCRが終了した後に行った。DNA試料102個における多型のMGB Eclipse PCR後の融解曲線遺伝子タイピングを図4に示す。無関係なCentre Etude Polymorphism Humaine(CEPH) DNA試料102個を研究使用にのみ用いることを明記した後に、Coriell Institute of Medical Research(http://locus.umdnj.edu/)から得た。
【0096】
図4は、野生型、ヘテロ接合体、および変異体DNA試料の効率的なPCR増幅および満足できるタイピングを示す。タイピングは、2チャンネルにおいて融解曲線の分析によって確認した。観察されたタイピングは、それぞれのDNA試料の公知の対立遺伝子型と一致した。
【0097】
実施例4
本実施例は、二つのプライマー配列が、インフルエンザA型アッセイに関するプローブ配列のそれぞれと4塩基重なり合う場合を説明する。さらに、本実施例は、PCR増幅後の蛍光のエンドポイント測定も示す。プローブおよびプライマーの設計を以下に示す。

【0098】
上記の鋳型配列において、プローブ配列を太字の大文字で示し、プローブにおけるオーバーラップ配列を小文字で示す。プライマー配列を大文字の斜体で示し、プライマーにおけるプローブ配列とのオーバーラップ配列を太字の斜体の小文字で示し、フラップ配列を下線で示す。MGBは、副溝結合分子リガンドであり、A*はスーパーA塩基、Flは、Gigハーバーグリーン、およびQは、Eclipseダーククエンチャーである。
【0099】
RT-PCRを、4 mM MgCl2を含む一段階のQuiagen、QuantiTectマスターミクスによって行い、これに15.2 U Ambion(Austin, TX)RNアーゼ阻害剤を加えて、アッセイ容積15 μlにおけるプローブおよびプライマーの最終濃度はそれぞれ、200 nMおよび1μMであった。RTを60℃で15分間行い、PCRは95℃で15分間の後に95℃で5秒間、56℃で20秒間、および76℃で15秒間のサイクルを繰り返した。蛍光放射は、ABI PRISM(登録商標)7900HT配列検出システム(Foster City, CA)においてPCR増幅後に定した。インフルエンザA RNAの1×106〜1×100コピーまでの滴定曲線に関するシグナル対ノイズ比を図5に示す。示されたように、インフルエンザA RNAの1×106〜1×101コピーまでの滴定曲線は、8.2〜10まで変化する蛍光シグナル対ノイズ比を示した。1×100希釈でさえ、鋳型なし対照(NTC)と区別することができた。
【0100】
当業者は提供された説明、図面、および実施例から、本発明の様々な態様に改変および変更を行うことができ、それらも以下の請求の範囲およびその同等物によって定義される本発明の範囲に含まれることを認識するであろう。特許、特許出願、および刊行物に対する全ての参考文献は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】標的上のプライマーおよびプローブの位置の略図を提供し、プライマー配列はプローブ配列と重なり合い(図1aおよび1b)、プライマー-プライマーが重なり合い(図1c)、およびプローブは二つのプライマー配列と重なり合う(図1d)。
【図2】表2において提供したプライマーおよびプローブを用いたMGB-Eclipseアッセイの結果を提供する。
【図3】BKウイルスのPCR増幅の結果を提供する。
【図4】DNA試料102個におけるMMP-3多型のPCR増幅後融解曲線多形タイピングを提供する。
【図5】異なるインフルエンザA RNA濃度に関してABI 7900上で25℃で読み取ったPCR後のプレートからの蛍光シグナル/ノイズ比を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、ポリヌクレオチド増幅を連続的にモニターするための方法:
(a)標的配列を含む試料を、標的配列の領域と相補的な一つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、重合化酵素、ヌクレオチド基質、および以下の式を有するオリゴヌクレオチド共役体と混合して混合物を提供する段階:

式中、MBは副溝結合分子であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBの他方は消光剤であり、Wは三価の連結基であり、ODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、Kは、結合または連結基であり、ここでODN配列はプライマー配列と1〜7塩基重なり合い、かつODN部分は増幅される標的配列の部分と相補的な配列を有する;
(b)重合化にとって都合がよい条件下で混合物をインキュベートする段階;ならびに
(c)増幅された標的に対する共役体のハイブリダイゼーションによって生成された蛍光をモニターすることによって増幅を連続的にモニターする段階。
【請求項2】
以下を含む、ポリヌクレオチド増幅を連続的にモニターするための方法:
(a)標的配列を含む試料を、標的配列の領域と相補的な一つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、重合化酵素、ヌクレオチド基質、および以下の式を有するオリゴヌクレオチド共役体と混合して混合物を提供する段階:

式中、MBは副溝結合分子であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBの他方は消光剤であり、Wは三価の連結基であり、ODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、Kは、結合または連結基であり、ODN配列はプライマー配列と1〜7塩基のオーバーラップを有し、かつODN部分は増幅される標的配列の部分と相補的な配列を有する;
(b)5'-ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼによる重合化にとって都合がよい条件下で混合物をインキュベートする段階;ならびに
(c)増幅された標的に対する共役体のハイブリダイゼーションおよび5'-ヌクレアーゼ活性による切断によって生成された蛍光をモニターすることによって増幅を連続的にモニターする段階。
【請求項3】
以下の段階を含む、ポリヌクレオチドが他のポリヌクレオチドの混合物中に存在し、混合物における他のポリヌクレオチドの一つまたは複数が、標的配列に関連するが同一ではない配列を含む、ポリヌクレオチドにおける標的配列を検出するための方法:
(a)ポリヌクレオチドの混合物を、以下の式を有するオリゴヌクレオチド共役体に接触させる段階:

式中、MBは副溝結合分子であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBの他方は消光剤であり、Wは三価の連結基であり、ODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、Kは、結合または連結基であり、ODN配列はプライマー配列と1〜7塩基のオーバーラップを有し、かつODNはオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、共役体は共役体のODN部分と完全に相補的である標的配列のみと安定なハイブリッドを形成し、かつ共役体は他の如何なるポリヌクレオチドとも安定なハイブリッドを形成しない;ならびに
(b)ハイブリッド形成に基づいて生成された蛍光を測定する段階であって、ハイブリッド形成が標的配列の存在を示す段階。
【請求項4】
以下の段階を含む、野生型、変異体およびヘテロ接合標的ポリヌクレオチドを区別するための方法:
(a)プローブのそれぞれが以下の式を含み、第一のプローブが野生型標的ポリヌクレオチドに対して特異的であって、第二のプローブが変異体標的ポリヌクレオチドに対して特異的である、二つのプローブに、標的ポリヌクレオチドを含む試料を接触させる段階:

式中、MBは、副溝結合分子であり、nは0または1であり、FlAおよびFlBの一つは蛍光体であり、FlAおよびFlBの他方は消光剤であり、Wは三価の連結基であり、ODNは、オリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドであり、Kは結合または連結基であり、ODN配列は、プライマー配列と1〜7塩基のオーバーラップを有し;ここで、第一および第二のプローブは異なる蛍光体を有し、プローブのそれぞれは、プローブのODN部分と完全に相補的である標的配列のみと安定なハイブリッドを形成する;ならびに
(b)ハイブリッド形成に基づいて生成された蛍光を測定する段階であって、ハイブリッド形成が、野生型、変異体、およびヘテロ接合標的オリゴヌクレオチドのそれぞれの存在または非存在を示す段階。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−509675(P2008−509675A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525843(P2007−525843)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/028815
【国際公開番号】WO2006/020909
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507046554)エポック バイオサイエシズ インコーポレーティッド (5)
【Fターム(参考)】