説明

増設ケーブル取り出し用補助枠体

【課題】 電装ボックス内に増設した増設電装品からの信号を容易に外部に取り出し可能な構造を提供することである。
【解決手段】 電装ボックスに形成されたケーブルの取り出しを可能とする開口部と、該開口部を塞ぐと共にケーブルの取り出し位置を規制する閉塞プレートとを備えたケーブル接続構造に使用する増設ケーブル取り出し用補助枠体であって、該電装ボックスに形成された前記開口部を囲繞する複数の側壁と、該電装ボックスに取り付けられる第1の取付部と、該閉塞プレートが取り付けられる第2の取付部とを有し、少なくとも1つの前記側壁には該電装ボックス内部から増設ケーブルを取り出すケーブル取り出し穴が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装ボックス内に電装品を増設した際に、該増設電装品に接続された増設ケーブルの取り出しを可能とする増設ケーブル取り出し用補助枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが格子状に形成された分割予定ラインによって区画されて表面に形成された半導体ウエーハは、研削装置によって裏面が研削されて所定の厚みに加工された後、ダイシング装置によって個々のデバイスに分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
研削装置及びダイシング装置等の加工装置にはCPU、配電盤等の電装品を収容する電装ボックスが配設されており、電装品に接続された複数のケーブルが電装ボックスに形成された開口部を介して電装ボックスの外部のケーブルに接続されている。
【0004】
電装ボックスに形成された開口部にはケーブルが連通する位置を規制する取り出し穴が形成された閉塞プレートが着脱自在に装着されていて、必要に応じて電装品を増設した際には増設電装品に接続されたケーブルを取り出す取り出し穴を閉塞プレートに増設できる構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−7543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、閉塞プレートに新しく取り出し穴を形成するには、全てのケーブルを取り外し閉塞プレートを電装ボックスから取り外して加工しなければならず、煩に耐えないばかりか加工装置の稼動が制限され不経済であるという問題がある。
【0007】
また、加工装置を製造したメーカーに対して過去の設計図に基づいて新しい取り出し穴を増設した閉塞プレートを依頼しても設計図を紛失していたり、或いはユーザー側が自ら閉塞プレートに取り出し穴を増設しており、設計図に基づいて新たに増設穴を形成してもユーザーが形成した増設穴と重複し、納品した閉塞プレートが利用できない場合があるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電装ボックス内に電装品を増設した際に、該電装品に接続されたケーブルを取り出す取り出し穴を増設するのに適した増設ケーブル取り出し用補助枠体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、電装ボックスに形成されたケーブルの取り出しを可能とする開口部と、該開口部を塞ぐと共にケーブルの取り出し位置を規制する閉塞プレートとを備えたケーブル接続構造に使用する増設ケーブル取り出し用補助枠体であって、該電装ボックスに形成された前記開口部を囲繞する複数の側壁と、該電装ボックスに取り付けられる第1の取付部と、該閉塞プレートが取り付けられる第2の取付部とを有し、少なくとも1つの前記側壁には該電装ボックス内部から増設ケーブルを取り出すケーブル取り出し穴が形成されていることを特徴とする増設ケーブル取り出し用補助枠体が提供される。
【0010】
好ましくは、電装ボックスは開口部の回りに形成された複数のねじ穴を有しており、閉塞プレートは該ねじ穴に対応した位置に複数の第1貫通穴を有している。そして、補助枠体の第1の取付部及び第2の取付部には閉塞プレートに形成された第1貫通穴に対応する位置に複数の第2貫通穴が形成されていて、雄ねじを第1及び第2貫通穴を通してねじ穴に螺合することにより、閉塞プレートと補助枠体とが電装ボックスに形成された開口部を塞ぐように電装ボックスに取り付けられる。好ましくは、補助枠体は2分割可能に組み立てられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、閉塞プレートに加工を施すことなく、増設ケーブルの取り出し穴を容易に増設することができる。また、補助枠体を装着する際に、装着の妨げとなるケーブルのみを閉塞プレートから取り外せばよいことから作業性が良好であると共に、加工装置の稼動の制限が抑制される。
【0012】
更に、補助枠体を2分割可能なように構成すると、既存のケーブルを全く取り外すことなく補助枠体を電装ボックスに装着することができ、作業性が更に良好になると共に加工装置の稼動の制限が更に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】閉塞プレートを利用した従来のケーブル接続構造の外観斜視図である。
【図2】閉塞プレートを電装ボックスから取り外した状態の斜視図である。
【図3】本発明実施形態の増設ケーブル取り出し用補助枠体を利用したケーブル接続構造の分解斜視図である。
【図4】図4(A)は本発明実施形態の増設ケーブル取り出し用補助枠体を利用したケーブル接続構造の斜視図、図4(B)は図4(A)のA部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、図1及び図2を参照して、電装ボックス内からケーブルを取り出す従来のケーブル接続構造について説明する。図2に示すように、電装ボックス2には矩形状の開口部4が形成されており、この開口部4を塞ぐように図1に示す閉塞プレート16が電装ボックス2に着脱可能に装着される。
【0015】
図2に示すように、雌コネクタ6はケーブル10を介して電装ボックス2内に収容された電装品に接続されており、雌コネクタ8もケーブル12を介して電装ボックス2内に収容された他の電装品に接続されている。開口部4の角部周辺の電装ボックス2には4個のねじ穴14が形成されている。
【0016】
図1に示すように、閉塞プレート16に形成された貫通穴17(図3参照)を通してねじ18を電装ボックス2のねじ穴14に螺合することにより、閉塞プレート16が開口部4を塞ぐように電装ボックス2に取り付けられる。
【0017】
このように電装ボックス2に取り付けられた閉塞プレート16の内側に雌コネクタ6,8を固定する。そして、ケーブル24に接続された雄コネクタ28をケーブル取り出し穴を通して雌コネクタ6に嵌合することにより、ケーブル10がケーブル24に接続される。
【0018】
同様に、ケーブル26に接続された雄コネクタ22をケーブル取り出し穴を通して雌コネクタ8に嵌合することにより、ケーブル12がケーブル26に接続される。ケーブル10,12,24,26は例えば信号ケーブルである。
【0019】
次に、図3及び図4を参照して、本発明実施形態の増設ケーブル取り出し用補助枠体を使用したケーブル接続構造について説明する。28は増設ケーブル取り出し用補助枠体であり、矩形状に形成されている。補助枠体28は4つの側壁30a,30b,30c,30dを有しており、これらの側壁30a〜30dにより電装ボックス2に形成された開口部4を囲繞する。
【0020】
補助枠体28は更に、電装ボックス2に取り付けられる第1の取付部32と、閉塞ブレード16が取り付けられる第2の取付部34を有している。第1の取付部32には矩形状の開口33が形成されており、第2の取付部34にも矩形状の開口35が形成されている。
【0021】
第1の取付部32及び第2の取付部34には閉塞プレート16に形成された4個の貫通穴17に対応する位置にそれぞれ4個の貫通穴36が形成されている。側壁30aには電装ボックス2の内部から図示しない増設ケーブルを取り出すためのケーブル取り出し穴38が形成されている。この増設ケーブルは電装ボックス2の内部に増設した増設電装品に接続されている。
【0022】
補助枠体28は分割線40a,40bにより分割可能に組み立てられている。補助枠体28の分割線40aは、図4(A)のA部分の拡大図である図4(B)に示すように、薄肉部48と50が合わさったような構造をしている。分割線40b部分についても同様である。
【0023】
電装ボックス2の内部のケーブル10,12はある程度の弛みがあるように電装ボックス2内に収容されているので、雌コネクタ6,8及び雄コネクタ20,22を閉塞プレート16から取り外すことなく、図3に示すように閉塞プレート16を電装ボックス2から取り外して引き出すことができる。
【0024】
本実施形態の増設ケーブル取り出し用補助枠体28を使用して閉塞プレート16を電装ボックス2に取り付けるには、図3に示すように閉塞プレート16を電装ボックス2から引き出し、分割線40a,40bで2つに分割した補助枠体28をケーブル10,12の左右から互いに近づけて補助枠体28を組み立てる。
【0025】
そして、図4(A)に示すように、ねじ42を閉塞プレート16の貫通穴17及び補助枠体28の第1の取付部32及び第2の取付部34に形成された貫通穴36を通して、図2に示す電装ボックス2のねじ穴14に螺合することにより、閉塞プレート16及び補助枠体28が電装ボックス2に形成された開口部14を塞ぐように電装ボックス2に取り付けられる。
【0026】
補助枠体28のケーブル取り出し穴38部分の側壁30aの内側に電装ボックス2内に増設された電装品に増設ケーブルを介して接続された雌コネクタを固定し、図4(A)に示すようにケーブル46に接続された雄コネクタ44をケーブル取り出し穴38を通して増設ケーブルに接続された雌コネクタに嵌合することにより、電装ボックス2内の増設ケーブルがケーブル46に接続され、増設電装品からの信号を外部に取り出すことができる。
【0027】
上述した実施形態の補助枠体28は2分割可能に組み立てられているが、補助枠体28は一体物であってもよい。この場合には、ケーブル10,12に接続された雌コネクタ6,8を閉塞プレート16から取り外し、ケーブル10,12を補助枠体28の開口部32,34を潜らせた後、雌コネクタ6,8を再び閉塞プレート16に固定する必要がある。
【0028】
上述した実施形態によれば、側壁30aにケーブル取り出し穴38が形成された増設ケーブル取り出し用補助枠体28を使用して閉塞プレート16を電装ボックス2に取り付けるので、閉塞プレート16に何ら加工を施すことなく増設ケーブルの取り出し穴を増設することができる。
【0029】
また、補助枠体28を電装ボックス2に装着する際に、装着の妨げとなるケーブル10,12を閉塞プレート16から取り外せばよいことから作業性が良好であるとともに、電装ボックスが装着される加工装置の稼動の制限が抑制される。
【0030】
更に、上述した実施形態のように補助枠体28を2分割するように構成すると、既存のケーブル10,12,24,26を全く取り外すことなく補助枠体28を電装ボックス2に装着することができ、作業性が更に良好になるとともに、電装ボックス2が装着された加工装置の稼動の制限が更に抑制される。
【符号の説明】
【0031】
2 電装ボックス
4 開口部
6,8 雌コネクタ
10,12,24,26,46 ケーブル
14 ねじ穴
16 閉塞プレート
20,22,44 雄コネクタ
28 増設ケーブル取り出し用補助枠体
30a,30b,30c,30d 側壁
32 第1の取付部
34 第2の取付部
38 ケーブル取り出し穴
40a,40b 分割線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装ボックスに形成されたケーブルの取り出しを可能とする開口部と、該開口部を塞ぐと共にケーブルの取り出し位置を規制する閉塞プレートとを備えたケーブル接続構造に使用する増設ケーブル取り出し用補助枠体であって、
該電装ボックスに形成された前記開口部を囲繞する複数の側壁と、該電装ボックスに取り付けられる第1の取付部と、該閉塞プレートが取り付けられる第2の取付部とを有し、
少なくとも1つの前記側壁には該電装ボックス内部から増設ケーブルを取り出すケーブル取り出し穴が形成されていることを特徴とする増設ケーブル取り出し用補助枠体。
【請求項2】
該電装ボックスは前記開口部の回りに形成された複数のねじ穴を有しており、該閉塞プレートは該ねじ穴に対応した位置に複数の第1貫通穴を有しており、
前記第1の取付部及び前記第2の取付部には該閉塞プレートに形成された前記第1貫通穴に対応する位置に複数の第2貫通穴が形成されていて、雄ねじを前記第1及び第2貫通穴を通して該ねじ穴に螺合することにより、該閉塞プレートと該補助枠体とが該電装ボックスに形成された前記開口部を塞ぐように該電装ボックスに取り付けられることを特徴とする請求項1記載の増設ケーブル取り出し用補助枠体。
【請求項3】
該補助枠体は2分割可能に組み立てられている請求項1又は2記載の増設ケーブル取り出し用補助枠体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−177227(P2010−177227A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14929(P2009−14929)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】