説明

壁パネルと天井下地材の連結構造

【課題】上階からの騒音が天井下地材を介して壁パネルに伝わることを防止して騒音の発生を防止する。
【解決手段】壁パネル1の上端面に嵌込溝6を形成する。嵌込溝6内に上向きに開口する溝形の緩衝材7を嵌め込む。緩衝材7内に連結用部材8を嵌め込む。連結用部材8の上部を壁パネル1よりも上方に突出する。連結用部材8の上面に天井下地材2の下面を当接する。天井下地材2の下面と壁パネル1の上端面との間に隙間11を形成する。天井下地材2にビス又は釘からなる固着具10を挿入する。固着具10の先端側を連結用部材8にのみ固着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁パネルと天井下地材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の壁パネルと天井下地材の連結構造では、図4及び図5に示すように、間仕切壁を構成する壁パネル1の上端面に天井下地材2としての野縁3の下面を当接し、該壁パネル1と野縁3とを固着具10で連結している。壁パネル1はパネル枠4の両面に壁材5を取付けることで形成され、パネル枠4の上枠材4aの上端部は両壁材5よりもやや上方に突出している。上枠材4aの上面には野縁3の下面を当接してあり、この上枠材4aと野縁3をビスのような固着具10で固着している。
【0003】
また図6では、上階の梁14に取付けた連結具13の両側に野縁3の長手方向の端部を差込み、この野縁3と連結具13とで天井下地材2を構成している。壁パネル1は図4と同様のものであり、該壁パネル1の上枠材4aの上面に連結具13の下面を当接し、この上枠材4aと連結具13の下面部を固着具10で固着している。
【0004】
また特許文献1には図4の例と同様に、野縁と壁パネルをビスのような固着具で連結した連結構造が開示してある。
【0005】
しかし上記いずれの例においても、天井下地材2を固着具10により壁パネル1の上端部に直接固着しているので、上階の床の振動が天井下地材2及び固着具10を介して壁パネル1に直接伝わり、壁パネル1から騒音が発生する恐れがある。
【特許文献1】特開2001−271444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、上階からの騒音が天井下地材を介して壁パネルに伝わることを防止して騒音の発生を防止できる壁パネルと天井下地材の連結構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る壁パネルと天井下地材の連結構造は、壁パネル1の上端面に嵌込溝6を形成し、該嵌込溝6内に上向きに開口する溝形の緩衝材7を嵌め込み、該緩衝材7内に連結用部材8を嵌め込むと共に該連結用部材8の上部を壁パネル1よりも上方に突出し、連結用部材8の上面に天井下地材2の下面を当接すると共に該天井下地材2の下面と壁パネル1の上端面との間に隙間11を形成し、前記天井下地材2にビス又は釘からなる固着具10を挿入して、該固着具10の先端側を連結用部材8にのみ固着して成ることを特徴とする。
【0008】
このように天井下地材2に挿入した固着具10の先端側を壁パネル1の嵌込溝6に緩衝材7を介して嵌め込んだ連結用部材8にのみ固着して天井下地材2と壁パネル1を連結することで、上階からの騒音が天井下地材2を介して壁パネル1に伝わり難くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、天井下地材に挿入した固着具の先端側を壁パネルの嵌込溝に緩衝材を介して嵌め込んだ連結用部材にのみ固着して天井下地材と壁パネルを連結することで、上階からの騒音が天井下地材を介して壁パネルに伝わり難くなり、これにより騒音の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1及び図2は本例の壁パネルと天井下地材の連結構造を示すものであり、天井下地材2を構成する野縁3に壁パネル1を連結している。
【0011】
野縁3は断面ロ字状の長尺な鋼管からなり、図示は省略するが上階の床梁からなる梁間に架設されている。
【0012】
壁パネル1は図示しない床上に立設されて隣接する部屋を仕切る間仕切壁を構成し、木製の角材を矩形状に枠組みしてなるパネル枠4と、パネル枠4の両面に貼着した内装材からなる壁材5を備えている。
【0013】
パネル枠4の上枠材4aは両壁材5の上端よりも下方に控えて位置し、これにより壁パネル1の上端面の中央部には壁パネル1の幅方向の全長に亘って嵌込溝6が形成されている。つまり本例では上方に開口する断面凹状の嵌込溝6の底面部を上枠材4aで構成し、また同嵌込溝6の側面部を上枠材4aよりも上方に突出した各壁材5の上端部で構成している。嵌込溝6にはブチルゴムのような弾性材料で形成された断面コ字溝状の緩衝材7を全長に亘って嵌め込んであり、この緩衝材7は嵌込溝6の内面に両面テープで貼着してある。
【0014】
緩衝材7の内側には長尺な木製角材からなる連結用部材8を緩衝材7の長手方向の全長に亘って圧入して嵌め込んであり、連結用部材8の両側面及び下面は前記上向きに開口したコ字状の緩衝材7の両側面片7a及び底面片7bの夫々に当接している。連結用部材8の上下寸法は嵌込溝6の溝深さよりも長く、連結用部材8の上部は壁パネル1の壁材5の上端よりも上方に突出している。また連結用部材8の上面は緩衝材7の両側面片7aの上端面と略面一であり、野縁3の下面が当接される当接面9となっている。
【0015】
上記壁パネル1と該壁パネル1に平面視で垂直な野縁3を連結するには、緩衝材7を介して嵌込溝6内に固定された連結用部材8の当接面9に野縁3の下面を当接し、この状態で野縁3の上面側からビスのような固着具10を挿通して、該固着具10の先端側を連結用部材8に固着する。なおこの固着具10の先端は連結用部材8の底部にまでは至っているが緩衝材7には至っておらず、つまり固着具10の先端側は連結用部材8にのみ固着される。またこの連結状態では壁パネル1の各壁材5の上端面と野縁3の下面との間に隙間11が形成され、壁パネル1は野縁3に直接接触しない状態となる。そしてこの後、野縁3の下面には天井材が設けられ、天井が形成される。
【0016】
このように本例の壁パネル1と天井下地材2の連結構造では、壁パネル1の上端面に形成した嵌込溝6に緩衝材7を介して連結用部材8を嵌め込み、このように緩衝材7に嵌め込むだけで取付けた連結用部材8にのみ野縁3側から挿入した固着具10の先端側を固着するので、野縁3に固着された連結用部材8と壁パネル1は直接接触せずこの間には緩衝材7が介在する。またこの場合、壁パネル1の上端と野縁3の下面とも直接接触せずこの間に隙間11が形成される。従って上階からの騒音が野縁3を介して壁パネル1に伝わり難くなり、壁パネル1から騒音が発生することを防止できる。
【0017】
次に上記とは異なる例を以下に示す。なお図1の例と同一の構成については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0018】
図3は本例の壁パネルと天井下地材の連結構造を示すものであり、天井下地材2を構成する連結具13に壁パネル1を連結している。
【0019】
連結具13は、上階の床梁からなる梁14に取付けた取付部材15と、壁パネル1上にビスのような固着具10により取付けた平板状の取付プレート16と、取付部材15の両側に配置される野縁ランナー17とを備え、各野縁ランナー17は取付プレート16及び取付部材15にビスのような固着具18で接続してある。なお取付部材15、野縁ランナー17、取付プレート16は全て金属製である。
【0020】
取付部材15は梁14と比較して短尺であり、断面コ字状の本体部19で主体を構成している。本体部19の両側片19aの先端部には上下方向に離間した上横片部21及び下横片部22を対向する側片19aに向けて突出してあり、各側片19aにおける上横片部21と下横片部22は取付部材15の長さ方向(図3のように梁14に取付けた状態で梁14の長手方向と平行となる方向)にずれ、また上横片部21同士及び下横片部22同士の夫々も取付部材15の長さ方向にずれている。
【0021】
取付部材15は上横片部21間にH型鋼からなる梁14の下フランジ部14aを通し、この後、取付部材15を平面視で回動させることで、図3のように梁14の下フランジ部14aの両側が上横片部21及び下横片部22間に嵌め込まれて梁14に取付けられる。なお図3では梁14の下フランジ部14aの上面と各上横片部21の下面との間及び下フランジ部14aの下面と各下横片部22の上面との間に弾性を有する防振材23を介在させ、この防振材23により梁14からの音が直接取付部材15に伝わることを防止している。
【0022】
各野縁ランナー17は、上下の横片部17aと、上下の横片部17aの端部同士を連結する縦片部17bとで構成され、側方に向けて開口する断面コ字状をしている。各野縁ランナー17の上の横片部17aの先端部は野縁ランナー17の端部を挿入しやすくするために斜め上方に向けて折り曲げている。各野縁ランナー17の内側からはビスのような固着具18を縦片部17bに挿通して取付部材15の側片19aの下部に固着してあり、これにより各野縁ランナー17と取付部材15は連結されている。この断面コ字状の各野縁ランナー17内には平面視で壁パネル1に垂直となる野縁3の長手方向の端部が嵌め込まれ、これにより各野縁3は梁14間に架設される。
【0023】
取付プレート16の下面の中央部は壁パネル1の嵌込溝6に緩衝材7を介して嵌め込んだ連結用部材8の当接面9に当接し、この状態で取付プレート16の上側から挿通したビスのような固着具10の先端側を連結用部材8に固着することで壁パネル1に固定される。これにより壁パネル1の各壁材5の上端面と連結具13の取付プレート16の下面との間に隙間11が形成され、壁パネル1は連結具13に直接接触しない状態となる。なお取付プレート16の上面と取付部材15の下面との間には隙間が形成される。
【0024】
また各野縁ランナー17の下面(下側の横片の下面)は取付プレート16の上面の両側に当接し、ビスのような固着具18を取付プレート16の下側から取付プレート16及び各野縁ランナー17の下の横片部17aを挿通して野縁3に固着される。これにより各野縁ランナー17及び取付プレート16が野縁3に連結されると共に、各野縁ランナー17と取付プレート16が連結される。なお野縁ランナー17と取付プレート16の連結はこれに限られず、例えば野縁ランナー17と野縁3を連結する固着具18とは別の固着具で連結したり、また野縁ランナー17と取付プレート16を溶接等により接続して一体に形成しても良い。
【0025】
本例の壁パネル1と天井下地材2の連結構造では、壁パネル1の上端面に形成した嵌込溝6に緩衝材7を介して連結用部材8を嵌め込み、この連結用部材8にのみ連結具13の取付プレート16側から挿入した固着具10の先端側を固着したので、連結具13の取付プレート16に固着された連結用部材8と壁パネル1は直接接触せず、この間には緩衝材7が介在する。またこの場合、壁パネル1の上端と連結具13の取付プレート16の下面は直接接触せずこの間に隙間11が形成される。従って上階からの騒音が連結具13を介して壁パネル1に伝わり難く、これにより壁パネル1から騒音が発生することを防止できる。
【0026】
なお上記のいずれの例でも野縁3を鋼管で構成したが、木材で構成しても良い。また固着具10はビスではなく釘でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態の一例の連結構造を示す断面図である。
【図2】同上の壁パネルに嵌め込んだ連結用部材と野縁を固着具で固着する前の状態を示す斜視図である。
【図3】他例の連結構造を示す断面図である。
【図4】従来の連結構造を示し、壁パネルと野縁を固着具で固着する前の状態を示す斜視図である。
【図5】同上の断面図である。
【図6】他の従来の連結構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 壁パネル
2 天井下地材
6 嵌込溝
7 緩衝材
8 連結用部材
10 固着具
11 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁パネルの上端面に嵌込溝を形成し、該嵌込溝内に上向きに開口する溝形の緩衝材を嵌め込み、該緩衝材内に連結用部材を嵌め込むと共に該連結用部材の上部を壁パネルよりも上方に突出し、連結用部材の上面に天井下地材の下面を当接すると共に該天井下地材の下面と壁パネルの上端面との間に隙間を形成し、前記天井下地材にビス又は釘からなる固着具を挿入して、該固着具の先端側を連結用部材にのみ固着して成ることを特徴とする壁パネルと天井下地材の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−31737(P2008−31737A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206803(P2006−206803)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】