説明

壁面ラックコンセント装置

【課題】延長コードを不要にし、電気機器が設置、使用等されるその場で電気機器に電源を供給するとともに、電気機器等の載置場所として活用する。
【解決手段】壁体1の表面側に第1の係合部3が設けられ、第1の係合部に係合する第1の被係合部6がラック5に設けられ、第1の被係合部を第1の係合部に係合させることによりラックが壁体の表面側に取り付けられ、ラックは第2の係合部8を備え、第2の係合部に係合する第2の被係合部14が設けられるとともに、伸縮する電源コード12を備えたコンセント11が、第2の被係合部を第2の係合部に係合させることによりラックに取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントの取付けが可能なラックを壁体の表面側の所望位置に取付可能で、ラックの上に載せた電気機器に電源を供給する壁面ラックコンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等では、電源供給用のコンセントが内壁を形成する壁体に配設されている。各種の電気機器は、電源コードの先端に設けられたプラグをコンセントに接続することにより電源が供給され、使用可能となる。コンセントの配設位置は、電気機器の設置位置や使い勝手等を考慮して決められているが、最大公約数的にならざるを得ず、すべての電気機器の設置、使用等の態様に対応することはできない。このため、延長コードの使用が必要になる場合が少なくない。
【0003】
このような不都合を解消するために、コンセントを備えた家具等が提供され、電気機器が設置、使用等されるその場で電気機器に電源を供給することができるようにしている。たとえばキッチンでは、吊り戸棚の下面にコンセントが設けられ、作業台である厨房装置のカウンターの上に置いて使用されるコーヒーメーカー、ジューサー等の各種の電気機器の電源供給部としている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−154757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのように家具等にコンセントが配設されていても、コンセントの配設位置または電気機器の電源コードの長さによっては電源コードがコンセントに届かない場合があり、延長コードが必要になっている。延長コードを不要にする方策が望まれる。また、単に電気機器に電源を供給するだけでなく、付加価値のあるものとして実現する工夫も望まれる。
【0005】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、延長コードを不要にし、電気機器が設置、使用等されるその場で電気機器に電源を供給するとともに、電気機器等の載置場所として活用することのできる壁面ラックコンセント装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の壁面ラックコンセント装置は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0007】
第1に、壁体の表面側に第1の係合部が設けられ、第1の係合部に係合する第1の被係合部がラックに設けられ、第1の被係合部を第1の係合部に係合させることによりラックが壁体の表面側に取り付けられ、ラックは第2の係合部を備え、第2の係合部に係合する第2の被係合部が設けられるとともに、伸縮する電源コードを備えたコンセントが、第2の被係合部を第2の係合部に係合させることによりラックに取り付けられる。
【0008】
第2に、上記において、横方向に延びる平行な複数段の第1の係合部が壁体の上下方向に設けられている。
【0009】
第3に、上記において、第1の係合部は、壁体の表面側から内部に向かって形成され、壁体の表面側において開放した横長の係合溝である。
【0010】
第4に、上記において、第1の係合部は、正面から内部に向かって形成され、正面において開放した係合溝を有する横長のレールであり、壁体の表面に取り付けられる。
【0011】
第5に、上記において、第2の係合部は、第1の係合部としての係合溝と同じ係合溝を有するレールであり、第2の被係合部は第1の係合部にも係合し、コンセントが、直接壁体の表面側に取付可能となっている。
【0012】
第6に、上記において、第2の係合部は、第1の係合部としてのレールの係合溝と同じ係合溝を有するレールであり、第2の被係合部は第1の係合部にも係合し、コンセントが、直接壁体の表面側に取付可能となっている。
【0013】
第7に、上記において、壁体は作業台の後方に位置し、電源コードが上方から延び、上下に伸縮する。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、壁体の表面側に設けられた第1の係合部に第1の被係合部を係合させてラックを壁体の表面側に取り付け、ラックに備えた第2の係合部に第2の係合部を係合させて伸縮する電源コードを備えたコンセントをラックに取り付けるので、壁体の適所に第1の係合部を設けておくことにより、各種電気機器が設置、使用等されるその場にコンセントを配置することができ、電気機器の電源コード先端のプラグを直接コンセントに接続することができる。したがって、延長コードは不要になり、電気機器が設置、使用等されるその場で電気機器に電源を供給することができる。ラックの上には電気機器等を載せることができ、載置場所として有効に利用することができる。付加価値のあるものとなる。電気機器の場合、電源コードも載せることができ、配線が乱雑にならず、整理することができる。
【0015】
上記第2の発明によれば、上記の発明の効果に加え、電気機器の設置、使用等の態様に応じてラックおよびコンセントの配置位置を変えることができ、ラックおよびコンセントを壁体の表面側の適当な位置に配置することができる。
【0016】
上記第3の発明によれば、上記の発明の効果に加え、第1の係合部が壁体と一体に形成されるので、壁体の外観が良好になる。
【0017】
上記第4の発明によれば、上記の発明の効果に加え、第1の係合部はレールであるため、壁体に後付けすることもでき、既設の壁体の表面側にもラックを取り付け、コンセントを配置することができる。
【0018】
上記第5の発明によれば、上記の発明の効果に加え、コンセントを直接壁体の表面側に取り付けることもでき、電気機器の使用態様等に応じて電気機器に電源を供給することができる。
【0019】
上記第6の発明によれば、第5の発明と同様に、コンセントを直接壁体の表面側に取り付けることもでき、電気機器の使用態様等に応じて電気機器に電源を供給することができる。
【0020】
上記第7の発明によれば、上記の発明の効果に加え、作業台で行う作業に適した位置にコンセントを配置または取り付けることができ、電気機器に電源を供給することができる。また、コンセントが備える電源コードは上方から延び、上下に伸縮するので、作業台で行う作業の邪魔にならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1、図2は、それぞれ、本発明の壁面ラックコンセント装置の一実施形態を示した要部斜視図、要部側面図である。
【0022】
壁体1の表面を形成する表面板2に第1の係合部3が設けられている。第1の係合部3は、係合溝4であり、表面板2の表面から内部に向かってなだらかに上方に湾曲して形成され、表面板2の表面において開放している。係合溝4は、横長であり、表面板2の横方向に延びている。
【0023】
ラック5は板状であり、ラック5には、背面側の一端に、表面板2の表面側に設けられた第1の係合部3としての係合溝4に係合する第1の被係合部6が設けられている。第1の被係合部6は、係合溝4の断面形状に一致する断面形状を有する突起体7である。突起体7は、ラック5の横幅にわたって設けられ、ラック5の背面側の一端において、ラック5の厚み方向の略中央から外方に延設され、上方になだらかに湾曲している。
【0024】
また、ラック5は、第1の被係合部6としての突起体7が設けられた側の端部に第2の係合部8を備えている。第2の係合部8は、正面から内部に向かって形成され、正面において開放した係合溝9を有する短尺のレール10である。レール10は、ラック5の上の左隅部に、突起体7が設けられた側の端縁に沿って配設されている。
【0025】
コンセント11は、上方から延び、上下に伸縮する電源コード12を備え、正面に、各種電気機器の電源コード先端に設けられたプラグの差込みを可能とした差込部13を有している。コンセント11の内部では、差込部13に臨む接続端子が電源コード12に電気的に接続されている。コンセント11には、背面側の一端に、ラック5が備える第2の係合部8としてのレール10の係合溝9に係合する第2の被係合部14が設けられている。第2の被係合部14は、レール10の係合溝9の断面形状に一致する断面形状を有する突起体15である。突起体15は、コンセント11の横幅にわたって設けられ、コンセント11の背面側の一端において、コンセント11の厚み方向の略中央から外方に延設され、上方になだらかに湾曲している。
【0026】
ラック5は、第1の被係合部6である突起体7を第1の係合部3である係合溝4に係合させることにより表面板2の表面に取り付けられる。コンセント11は、第2の被係合部14である突起体15を第2の係合部8であるレール10の係合溝9に係合させることによりラック5に取り付けられる。
【0027】
すなわち、突起体7を係合溝4に対向させ、図3(a)に示したように、突起体7側を下に傾けて突起体7の先端部を係合溝4の入口部に差し込み、次いで、図3(b)に示したように、ラック5を押し込みながら下方に回動することにより突起体7が係合溝4に嵌まり込み、突起体7が係合溝4に係合する。この係合状態においてラック5は、表面板2の表面に取り付けられる。
【0028】
コンセント11の取付けも同様であり、突起体15をレール10の係合溝9に対向させ、図4(a)に示したように、突起体15側を下に傾けて突起体15の先端部を係合溝9の入口部に差し込み、次いで、図4(b)に示したように、コンセント11を押し込みながら下方に回動することにより突起体15が係合溝9に嵌まり込み、突起体15が係合溝9に係合する。この係合状態においてコンセント11は、レール10に取り付けられる。
【0029】
コンセント11には、図5に示したように、たとえばDVDプレーヤー16等の電気機器を、電源コード17の先端に設けられたプラグ18を差込部13に差し込み、直接接続することができる。電気機器は、設置、使用等の態様に応じてラック5の上に載せることができる。この場合、電源コード17もラック5の上に載せることができる。
【0030】
このように、ラック5は、壁体1の表面側に設けられた第1の係合部3に第1の被係合部6を係合させることにより壁体1の表面側に取り付けられ、壁体1の表面側に取り付けられたラック5に、第2の係合部8に第2の被係合部14を係合させることにより、伸縮する電源コード12を備えたコンセント11が取り付けられる。このため、壁体1の適所に第1の係合部3を設けておくことにより、各種電気機器が設置、使用等されるその場にコンセント11を配置することができ、電気機器の電源コード17の先端に設けられたプラグ18を直接コンセント11に接続することができる。したがって、延長コードは不要になり、電気機器が設置、使用等されるその場で電気機器に電源を供給することができる。ラック5の上には電気機器やリモートコントローラー等を載せることができ、載置場所として有効に利用することができる。付加価値のあるものとなる。電気機器の場合、電源コード17もラック5の上に載せることができ、配線が乱雑にならず、整理することができる。
【0031】
ラック5およびコンセント11は取り外すこともできる。図3(a)(b)および図4(a)(b)に示した手順と逆に操作することにより、ラック5は壁体1から、コンセント11はラック5から取り外すことができる。上方に回動した後、引き抜くことにより取り外すことができる。
【0032】
また、図1〜図5に示した実施形態では、第1の係合部3は係合溝4であり、表面板2に形成されているので、第1の係合部3は壁体1と一体であり、壁体1の外観が良好である。
【0033】
第1の係合部3は、図6に示したように、横方向に延びる平行な複数段として壁体1の上下方向に設けることができる。すなわち、図6に示した実施形態では、第1の係合部3である係合溝4が表面板2に、表面板2の上下方向に一定の間隔で複数段形成されている。このように、第1の係合部3を平行な複数段とすることにより、電気機器の設置、使用等の態様に応じてラック5およびコンセント11の配置位置を変えることができ、ラック5およびコンセント11を壁体1の表面側の適当な位置に配置することができる。
【0034】
なお、本発明の壁面ラックコンセント装置では、第1の係合部3が設けられる壁体1の表面側は表面板2に限られることはなく、壁体1の表面側に位置する各種のものとすることができる。また、第1の係合部3は係合溝4に限られることはなく、壁体1の表面側に設けられるものであればよい。たとえば第1の係合部3は壁体1と別体の部材等とし、壁体1の表面に取り付けるようにすることができる。さらに、第1の係合部3の形状および第1の係合部3に係合する第1の被係合部6の形状は図1〜図6に示したものに限られない。ラック5を係合により壁体1の表面側に取り付けることができる限り特に制限はない。
【0035】
ラック5については、その形状は特に制限されない。そして、第1の被係合部6はラック5の横幅にわたって設ける以外に、ラック5の左右両側、横幅方向の中央部等に部分的に設けることができる。自重とともに上に載せる電気機器等の荷重を受け、脱落せずに取付状態が維持されればよい。
【0036】
第2の係合部8の形状および第2の係合部8に係合する第2の被係合部14の形状も図1〜図6に示したものに限られない。コンセント11を係合により第2の係合部8に取り付けることができる限り特に制限はない。第2の係合部8としてのレール10は、図1および図5に示したように、第1の被係合部6側のラック5の上の左隅部に設ける以外に、第1の被係合部6側のラック5の上に端縁に沿って連続してまたは部分的に設けたり、ラック5の左右いずれかまたは両方の端縁に沿って連続してまたは部分的に設けたりすることもできる。また、第2の係合部8としてのレール10は、ラック5の載置面積を十分に確保することができれば、ラック5の上の内側に配置することができる。
【0037】
コンセント11についても、その形状は特に制限されない。そして、第2の被係合部14は、コンセント11の横幅にわたって設ける以外に、コンセント11の左右両側または横幅方向の中央部に部分的に設けることもできる。コンセント11の取付状態が安定すれば各種の態様が可能である。電源コード12は、上方から延びるばかりでなく、横方向に延び、左右に伸縮するものとすることもできる。コンセント11への電源コード12の接続位置は、第2の被係合部14を除き、延びる方向に応じて適宜な位置とすることができる。差込部13は、コンセント11の正面ばかりでなく、上面、左右の側面のいずれに設けてもよく、複数の面に設けることもできる。また、差込部13の数は単数または複数とすることができる。
【0038】
図7は、図1〜図6に示した壁面ラックコンセント装置をキッチンに適用した例を示した要部斜視図である。
【0039】
壁体1は、厨房装置19の作業台20としてのカウンター21の後方に位置している。第1の係合部3としての係合溝4は、壁体1の表面に配設された、いわゆるキッチンボード22に形成されている。キッチンボード22は、表面の油汚れ等を簡単に拭き取れるようにした板体である。キッチンボード22は、吊り戸棚23およびレンジフード24の下端から厨房装置19の上端の間に配設されている。係合溝4は、キッチンボード22の横方向に延び、キッチンボード22の高さ方向に一定の間隔で平行に3段形成されている。
【0040】
ラック5は、シンク25の左隣に位置するカウンター21の作業面26の上方に位置する中段の係合溝4に第1の被係合部6としての突起体7を係合させてキッチンボード22の表面に取り付けられている。
【0041】
コンセント11は、上方から引き下げ、キッチンボード22の表面に取り付けられたラック5の上の左隅部に備えた第2の係合部8としてのレール10の係合溝9に第2の被係合部14としての突起体15を係合させてラック5に取り付けられている。コンセント11に備えた電源コード12は、上方に位置する吊り戸棚23の下端に配設された収納部27から下方に向かって延びている。電源コード12は、コンセント11の取付位置に応じて上下に伸縮可能であり、露出しない部分は収納部27に収納される。また、下方に向かって延びる電源コード12は、留め金具28によって押さえられ、揺れないようにされている。留め金具28は、電源コード12を上下方向に通して保持する保持部29と係合溝4に係合する係合部30とを備えている。
【0042】
DVDプレーヤー16が、電源コード17の先端に設けられたプラグ18を差込部13に差し込み、コンセント11に直接接続されている。延長コードは不要であり、DVDプレーヤー16に電源が供給される。DVDプレーヤー16は、電源コード17とともにラック5の上に載せられている。キッチンで調理、洗浄等の作業を行う者は、DVDを鑑賞しながら作業を行うことができる。また、DVDプレーヤー16はラック5の上に載せられているので、カウンター21の作業面26を調理、洗浄等の作業に有効に使用することができる。さらに、コンセント11に備えた電源コード12は、上方の収納部27から延びているため、カウンター21の作業面26で行う作業の邪魔にならない。
【0043】
なお、キッチンへの適用を考慮すると、第2の係合部8としてのレール10は、DVDプレーヤー16等の電気機器をはみ出さずに安定して載せることができる範囲内で、ラック5の上の内側に配置することができる。レール10がラック5の上の内側に設けられることにより、レール10に取り付けるコンセント11がラック5の内側に配置される。したがって、下からの水はねや蒸気等をラック5で受けることができ、コンセント11を保護することができる。
【0044】
また、ラック5は、DVDプレーヤー16等の電気機器ばかりでなく、リモートコントローラーや備品等を載せる載置場所としても利用可能である。さらに、ラック5は、常時キッチンボード22の表面に取り付けておくのではなく、電気機器等の使用等に応じて取り付けるようにすることができる。たとえば、厨房装置19に備えたキャビネットや吊り戸棚23に収納し、必要に応じて取り出してキッチンボード22の表面に取り付けることができる。
【0045】
コンセント11も、常時ラック5に取り付けておくのではなく、DVDプレーヤー16等の電気機器の使用に応じて取り付けるようにすることができる。電気機器を使用しない場合には、たとえば、収納部27に電源コード12とともに収納することができる。収納部27は、コンセント11を収納する箱体等とすることができる。また、収納状態にあるコンセント11は、収納部27においてもコンセントとして使用することができるようにしてもよい。第2の係合部8に類似するものを収納部27に設け、第2の被係合部14の係合によりコンセント11を収納部27に取り付けることができる。
【0046】
また、キッチンボード22に設けられる第1の係合部3としての係合溝4は、掛け具31や受け具32等の取付けに利用すると便利である。調理、洗浄等の作業に使用する小物33を掛け具31に掛け、まな板34を受け具32を用いてシンク25の上方に立てかけ、水切り等することができる。
【0047】
さらに、ラック5に備えた第2の係合部8は、第1の係合部3としての係合溝4と同じ係合溝を有するレールとすることができる。この場合、コンセント11に設けられた第2の被係合部14は、第1の係合部3にも係合するため、図8に示したように、コンセント11を直接キッチンボード22の表面に取り付けることができる。
【0048】
図8に示したキッチンへの適用例では、第2の被係合部14である突起体15を第1の係合部3である係合溝4に係合させてコンセント11がキッチンボード22の表面に取り付けられている。調理作業に使用するジューサー35がカウンター21の作業面26の上に置かれ、電源コード36の先端に設けられたプラグ37がコンセント11の差込部13に差し込まれている。ジューサー35の電源コード36が届く範囲において係合溝4に突起体15を係合させてコンセント11がカウンター21の後方に位置するキッチンボード22の表面に取り付けられている。したがって、延長コードは不要であり、取り付けられたコンセント11の差込部13にプラグ37を差し込むことにより、カウンター21の作業面26に置いて使用するジューサー35に電源を供給することができる。コンセント11に備えた電源コード12は、上方の収納部27から延びているため、カウンター21の作業面26で行う作業の邪魔にならない。
【0049】
なお、ラック5はコンセント11と異なる位置でキッチンボード22の表面に取り付け、リモートコントローラーや備品等の載置場所として使用することができる。また、作業台20としてのカウンター21の作業面26の上に置いてジューサー35、コーヒーメーカー等の電気機器を使用する場合にも、コンセント11を直接キッチンボード22の表面に取り付けるのではなく、電源コード36が届く範囲においてラック5をキッチンボード22の表面に取り付け、ラック5にコンセント11を取り付けてプラグ37を差込部13に差し込み、電源の供給を行うようにすることができる。
【0050】
図8に示した適用例は、コンセント11の取付けを除いて図7に示した適用例と同様であり、共通する部分には同一の符号を付している。
【0051】
図9、図10は、本発明の壁面ラックコンセント装置の別の実施形態を示した要部斜視図、要部側面図である。
【0052】
図9および図10に示した実施形態において図1〜図6に示した実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図9および図10に示した実施形態は、第1の係合部3の構成が図1〜図6に示した実施形態と相違している。
【0054】
図9および図10に示した実施形態では、第1の係合部3は、壁体1の表面を形成する表面板2の表面に取り付けられる、表面板2とは別体とされた横長のレール38とされている。レール38は、正面から内部に向かってなだらかに上方に湾曲して形成され、表面において開放する係合溝39を有している。係合溝39の断面形状はラック5に備えた第1の被係合部6である突起体7の断面形状に一致しており、したがって、突起体7は同様に係合溝39に係合し、ラック5は表面板2の表面側に取り付けられる。
【0055】
このような係合溝39を有する横長のレール38を第1の係合部3とすることにより、レール38はあらかじめ表面板2に取り付けておくばかりでなく、後付けも可能である。既設の表面板2の表面側にもラック5を取り付け、取り付けたラック5にコンセント11を取り付けることができる。
【0056】
第1の係合部3としてのレール38もまた複数段として平行に壁体1の上下方向に設けることができる。横方向に延びる平行な複数段のレール38を壁体1の上下方向に設けることにより、電気機器の設置、使用等の態様に応じてラック5およびコンセント11の配置位置を変えることができ、ラック5およびコンセント11を壁体1の表面側の適当な位置に配置することができる。レール38の縦幅は、たとえば図11に示したように、ラック5の厚みと略同一とすることができ、ラック5の取付状態の見栄えを良好にすることができる。もちろん、レール38の縦幅は、ラック5が安定に取り付けられる限り、ラック5の厚みよりも小さくまたは大きくしても構わない。
【0057】
さらに、図9および図10に示した実施形態においても、ラック5に備えた第2の係合部8は、表面板2の表面に取り付けられる第1の係合部3としてのレール38の係合溝39と同じ係合溝を有するレールとすることができる。この場合、コンセント11に設けられた第2の被係合部14は、第1の係合部3にも係合するため、コンセント11を直接第1の係合部3としてのレール38に係合させて表面板2の表面側に取り付けることができる。図8に示した適用例のように、電源を供給する電気機器を特にラック5の上に載せる必要がない場合には、コンセント11を壁体1の表面側に直接取り付けることができる。
【0058】
以上に示される本発明の壁面ラックコンセント装置は、もちろんキッチン以外にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の壁面ラックコンセント装置の一実施形態を示した要部斜視図である。
【図2】図1に示した実施形態の要部側面図である。
【図3】(a)(b)は、それぞれ、図1および図2に示した壁面ラックコンセント装置におけるラックの壁体表面側への取り付け方を示した要部側面図である。
【図4】(a)(b)は、それぞれ、図1および図2に示した壁面ラックコンセント装置におけるコンセントのラックへの取り付け方を示した要部側面図である。
【図5】図1および図2に示した壁面ラックコンセント装置に電気機器を接続し、載置した状態を示した要部斜視図である。
【図6】第1の係合部の壁体表面側への配設態様をラックおよびコンセントの取付状態とともに示した要部側面図である。
【図7】図1〜図6に示した壁面ラックコンセント装置をキッチンに適用した例を示した要部斜視図である。
【図8】壁面ラックコンセント装置のキッチンへの適用の別の例を示した要部斜視図である。
【図9】本発明の壁面ラックコンセント装置の別の実施形態を示した要部斜視図である。
【図10】図9に示した実施形態の要部側面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 壁体
3 第1の係合部
4 係合溝
5 ラック
6 第1の被係合部
8 第2の係合部
9 係合溝
10 レール
11 コンセント
12 電源コード
14 第2の被係合部
20 作業台
38 レール
39 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体の表面側に第1の係合部が設けられ、第1の係合部に係合する第1の被係合部がラックに設けられ、第1の被係合部を第1の係合部に係合させることによりラックが壁体の表面側に取り付けられ、ラックは第2の係合部を備え、第2の係合部に係合する第2の被係合部が設けられるとともに、伸縮する電源コードを備えたコンセントが、第2の被係合部を第2の係合部に係合させることによりラックに取り付けられることを特徴とする壁面ラックコンセント装置。
【請求項2】
横方向に延びる平行な複数段の第1の係合部が壁体の上下方向に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の壁面ラックコンセント装置。
【請求項3】
第1の係合部は、壁体の表面側から内部に向かって形成され、壁体の表面側において開放した横長の係合溝であることを特徴とする請求項1または2に記載の壁面ラックコンセント装置。
【請求項4】
第1の係合部は、正面から内部に向かって形成され、正面において開放した係合溝を有する横長のレールであり、壁体の表面に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の壁面ラックコンセント装置。
【請求項5】
第2の係合部は、第1の係合部としての係合溝と同じ係合溝を有するレールであり、第2の被係合部は第1の係合部にも係合し、コンセントが、直接壁体の表面側に取付可能となっていることを特徴とする請求項3に記載の壁面ラックコンセント装置。
【請求項6】
第2の係合部は、第1の係合部としてのレールの係合溝と同じ係合溝を有するレールであり、第2の被係合部は第1の係合部にも係合し、コンセントが、直接壁体の表面側に取付可能となっていることを特徴とする請求項4に記載の壁面ラックコンセント装置。
【請求項7】
壁体は作業台の後方に位置し、電源コードが上方から延び、上下に伸縮することを特徴とする請求項1ないし6いずれか一項に記載の壁面ラックコンセント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−27628(P2008−27628A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196197(P2006−196197)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】