説明

壁面構造および壁面構築方法

【課題】 従来、成形板を上下方向に多段に立て並べて土留擁壁を構築する際、結合片にアンカーの一端部を揺動可能に取り付けて、アンカーの他端部を裏込めコンクリートの打設層中に設置する作業工程が必要とされるため、手間がかかる。
【解決手段】 連結部材2aによって係合された上段および下段のパネル本体1aがその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面がコンクリート14の層で埋められる際に、上段のパネル本体1aの連結部材2aに一体に設けられた固定部7aの少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される。このため、上下のパネル本体1aの背面をコンクリート14の層で埋める際、上下のパネル本体1aの背面をコンクリート14の層で埋める作業を行うだけで、上段のパネル本体1aがその連結部材2aに設けられた固定部7aによってコンクリート14の層に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数段積み上げられた壁面の背面に裏込部が埋められて構成される壁面構造および壁面構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁面構造および壁面構築方法としては、例えば、特許文献1に開示された土留擁壁およびその構築方法がある。この土留擁壁は、土層の切土、盛土した切盛のり面の前に一定の大きさの成形板が上下方向に多段に立て並べられて構築される。成形板の裏面には、上下の成形板同士を連結するためのフックが設置されており、下段の成形板のフックに取り付けられた結合片が上段の成形板のフックに取り付けられて、下段と上段の成形板同士が連結される。その後、下段の成形板と切盛のり面との間に裏込めコンクリートが打設され、この裏込めコンクリートが完全に硬化する前に、一端部が結合片に揺動可能に取り付けられたアンカーの他端部が裏込めコンクリートの打設層中に設置される。その後、さらに裏込めコンクリートが打設されて、同様な作業が繰り返されて、土留擁壁は構築される。
【0003】
また、斜めに積み上げられた板状の擁壁ブロックを敷設延長方向に曲がって曲線施工する場合、下部にある擁壁ブロックと上部にある擁壁ブロックとがそれぞれ描く半径は異なる。このため、左右の擁壁ブロック間で隙間が発生しないように、擁壁ブロックを端から詰めて積んだ場合、下部にある擁壁ブロックと上部にある擁壁ブロックとは上下の位置関係が揃わず不規則となってずれて配置され、一面とならず、上下の擁壁ブロックの間で出入りが生じてしまう。一方、下部にある擁壁ブロックと上部にある擁壁ブロックとを上下方向に揃えると、擁壁ブロックの上部から下部に向かって広がる隙間が擁壁ブロック間に発生し、擁壁ブロック間に間詰コンクリートを埋める必要がある。また、擁壁ブロック間にこのような隙間を発生させないようにするため、積む段毎にサイズの異なった台形の擁壁ブロックを積み上げる構成もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3342738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示された土留擁壁およびその構築方法は、成形板を上下方向に多段に立て並べて土留擁壁を構築する際、結合片にアンカーの一端部を揺動可能に取り付けて、アンカーの他端部を裏込めコンクリートの打設層中に設置する作業工程が必要とされるため、土留擁壁を構築するのに手間がかかる。また、裏込めコンクリートに鉄筋等の補強材を設置する際、補強材とアンカーが干渉するため、補強材を規則正しく所定の位置に設置するのに手間がかかる。また、土留擁壁の各成形板の壁面に傾斜を設けて曲線施工を行う場合、上下方向の各成形板が結合片によって固定されて上下方向の各成形板の位置関係が上下方向に揃うように制限されるため、所望の位置で成形板を自立または固定することができない。従って、隙間が発生しないように成形板を端から詰めて積むことができず、各成形板を台形に加工したり、各成形板間に生じる隙間を現場打ちコンクリートで埋める等の積み方しかできない。このため、土留擁壁を構築する施工期間が長期化し、コストが増大してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
パネル本体と、
パネル本体の上部から上方に突出してパネル本体に設けられたものが上段のパネル本体を支え、パネル本体の下部から下方に突出してパネル本体に設けられたものが下段のパネル本体と係合する連結部材と、
連結部材により互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体の背面に順次埋められた複数層からなる裏込部と、
連結部材によって係合されたパネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面が裏込部の層で埋められる際に、上段のパネル本体の連結部材に設けられた少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される、パネル本体の背面側に突出して連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部と
を備えて壁面構造を構成した。
【0007】
また、本発明は、
下段のパネル本体の上部から上方に突出してパネル本体に設けられた連結部材と上段のパネル本体の下部から下方に突出してパネル本体に設けられた連結部材とにより下段のパネル本体と上段のパネル本体とを互いに係合させる第1工程と、
連結部材によって係合されたパネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面を裏込部の層によって埋めて、上段のパネル本体の背面側に突出して上段のパネル本体の連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部の少なくとも一部をその層と共に埋めて固定する第2工程と
を繰り返して、パネル本体の背面を裏込部の層によって埋めながらパネル本体を複数段斜めに積み上げて壁面を構築する壁面構築方法を構成した。
【0008】
本構成によれば、連結部材によって係合された上段および下段のパネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面が裏込部の層で埋められる際に、上段のパネル本体の連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部の少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される。このため、下段のパネル本体と上段のパネル本体とを連結部材により互いに係合させてパネル本体を積み上げ、積み上げた上下のパネル本体の背面を裏込部の層で埋める際、上下のパネル本体の背面を裏込部の層で埋める作業を行うだけで、上段のパネル本体がその連結部材に設けられた突出部によって裏込部の層に固定されるので、従来の、結合片にアンカーの一端部を揺動可能に取り付けて、アンカーの他端部を裏込めコンクリートの打設層中に設置する作業工程は不要になる。また、壁面構造を構築する際、各パネル本体は連結部材によって互いに係合されて自立させられるので、パネル本体を支持するサポート材が必要とされず、サポート材を施工する作業工程も不要になる。この結果、壁面構造を構築する作業工程が簡略化されるので、施工期間が短縮され、施工コストが抑制される。また、連結部材により互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体は自立するので、パネル本体の背面に埋める裏込部の厚さを自由に調節できる。従って、裏込部の厚さを確保するスペースがあまりない狭い場所でも、容易に壁面構造を構築することができる。
【0009】
また、本発明は、
パネル本体と、
パネル本体の下部から下方に突出して設けられて、下段のパネル本体に係合する連結部材と、
パネル本体の上部および下部に付けられた段差が係合させられて、または、パネル本体の上部および下部に部材が差し込まれて、上段および下段のパネル本体と係合する係合部と、
連結部材および係合部により互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体の背面に順次埋められた複数層からなる裏込部と、
連結部材および係合部によって係合されたパネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面が裏込部の層で埋められる際に、上段のパネル本体の連結部材に設けられた少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される、パネル本体の背面側に突出して連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部と
を備えて壁面構造を構成した。
【0010】
また、本発明は、
下段のパネル本体の上部に付けられた段差と上段のパネル本体の下部に付けられた段差とを係合させる係合部により、または、下段のパネル本体の上部と上段のパネル本体の下部とに部材を差し込む係合部により、上段および下段のパネル本体を係合させると共に、上段のパネル本体の下部から下方に突出して設けられた連結部材を下段のパネル本体に係合させる第1工程と、
係合部および連結部材によって係合されたパネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面を裏込部の層によって埋めて、上段のパネル本体の背面側に突出して上段のパネル本体の連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部の少なくとも一部をその層と共に埋めて固定する第2工程と
を繰り返して、パネル本体の背面を裏込部の層によって埋めながらパネル本体を複数段斜めに積み上げて壁面を構築する壁面構築方法を構成した。
【0011】
本構成によれば、係合部および連結部材によって係合された上段および下段のパネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面が裏込部の層で埋められる際に、上段のパネル本体の連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部の少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される。このため、下段のパネル本体と上段のパネル本体とを係合部および連結部材により互いに係合させてパネル本体を積み上げ、積み上げた上下のパネル本体の背面を裏込部の層で埋める際、上下のパネル本体の背面を裏込部の層で埋める作業を行うだけで、上段のパネル本体がその連結部材に設けられた突出部によって裏込部の層に固定されるので、従来の、結合片にアンカーの一端部を揺動可能に取り付けて、アンカーの他端部を裏込めコンクリートの打設層中に設置する作業工程は不要になる。また、壁面構造を構築する際、各パネル本体は係合部および連結部材によって互いに係合されて自立させられるので、パネル本体を支持するサポート材が必要とされず、サポート材を施工する作業工程も不要になる。この結果、壁面構造を構築する作業工程が簡略化されるので、施工期間が短縮され、施工コストが抑制される。また、連結部材はパネル本体の一方にのみ設けられるので、壁面を構成する部品点数が少なくなり、壁面を構築する施工コストが抑制される。また、係合部および連結部材により互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体は自立するので、パネル本体の背面に埋める裏込部の厚さを自由に調節できる。従って、裏込部の厚さを確保するスペースがあまりない狭い場所でも、容易に壁面構造を構築することができる。また、パネル本体の上部および下部に付けられた段差が係合させられる場合には、上段のパネル本体と下段のパネル本体との間の噛み合いによって止水性が向上するので、パネル本体の背面に埋められた裏込部の構成材料がパネル本体の前面に流出するのを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明は、段差が付けられた係合部は、隣接するパネル本体に係合する係合面が隣接するパネル本体と所定の間隔があくように設けられていることを特徴とする。
【0013】
壁面が弧を描く曲線施工でパネル本体を積み上げる場合、上述したように、下段に積まれるパネル本体と上段に積まれるパネル本体とは、それぞれ描く半径が異なって一面とならず、上下方向に揃わないでずれて配置され、上下のパネル本体の前面側と背面側との間でパネル本体の出入りが生じることになる。しかし、この構成によれば、上下のパネル本体は任意の上下位置で係合部によって係合し、しかも、段差が付けられた係合部の、隣接するパネル本体に係合する係合面が隣接するパネル本体と所定の間隔があくように設けられているため、この予め設けられた隙間により、係合部の係合面と隣接するパネル本体とはぶつかり合うことなく係合する。この結果、従来のように、上下のパネル本体を揃えることで、パネル本体どうしの隙間に間詰めコンクリートを施工することなく、また、パネル本体を台形に加工することもなく、曲線施工によってパネル本体を作業効率よく積み上げることが可能になる。このため、壁面構造を構築する施工期間が短縮され、施工コストが抑制される。
【0014】
また、本発明は、連結部材が、隣接するパネル本体に係合する係合面が隣接するパネル本体と所定の間隔があくように設けられていることを特徴とする。
【0015】
壁面が弧を描く曲線施工でパネル本体を積み上げる場合、上述したように、下段に積まれるパネル本体と上段に積まれるパネル本体とは、それぞれ描く半径が異なって一面とならず、上下方向に揃わないでずれて配置され、上下のパネル本体の前面側と背面側との間でパネル本体の出入りが生じることになる。しかし、この構成によれば、上下のパネル本体は任意の上下位置で連結部材によって係合し、しかも、連結部材の、隣接するパネル本体に係合する係合面が隣接するパネル本体と所定の間隔があくように設けられているため、この予め設けられた隙間により、連結部材の係合面と隣接するパネル本体とがぶつかり合うことなく係合する。この結果、従来のように、上下のパネル本体を揃えることで、パネル本体どうしの隙間に間詰めコンクリートを施工することなく、また、パネル本体を台形に加工することもなく、曲線施工によってパネル本体を作業効率よく積み上げることが可能になる。このため、壁面構造を構築する施工期間が短縮され、施工コストが抑制される。
【0016】
また、本発明は、突出部が、板状の連結部材が曲げ加工されて形成されていることを特徴とする。
【0017】
本構成によれば、パネル本体の背面を裏込部で埋めて壁面構造を構築する際、連結部材の曲げ加工されてパネル本体の背面側に突出している突出部が裏込部に埋入し、突出部および突出部に固定されたパネル本体が、裏込部に一体的に固定される。このため、連結部材がアンカーの役割を兼ねるため、部品点数が少なくなり、安価に壁面構造を構築できる。
【0018】
また、本発明は、突出部が、パネル本体の背面に連結部材を締結させる締結部材であることを特徴とする。
【0019】
本構成によれば、パネル本体の背面を裏込部で埋めて壁面構造を構築する際、パネル本体の背面に連結部材を締結させる例えばボルトなどの締結部材からなる突出部が、パネル本体の背面側に突出して裏込部に埋入し、突出部および突出部に固定されたパネル本体が、裏込部に一体的に固定される。このため、パネル本体の背面に連結部材を締結させる締結部材がアンカーの役割を兼ねるため、部品点数が少なくなり、安価に壁面構造を構築できる。
【0020】
また、本発明は、突出部が、パネル本体の背面に組み立てられた棒状補強材に係合させられて裏込部に埋められることを特徴とする。
【0021】
本構成によれば、突出部が、パネル本体の背面に組み立てられた棒状補強材に係合させられて裏込部に埋められるため、パネル本体は、突出部が単に裏込部に埋入されて固定される場合よりもより強固に裏込部に固定される。また、壁面構造を構築する際にサポート材を用いないため、棒状補強材がサポート材と干渉して棒状補強材の施工が困難となることもなく、容易にパネル本体の背面に棒状補強材を設置することができる。また、パネル本体の背面に棒状補強材を設置する際、棒状補強材をパネル本体の背面に設置された突出部と係合させることにより、容易に規則的に棒状補強材を配置することができ、また、棒状補強材を配置する際の位置精度が向上する。
【0022】
また、本発明は、パネル本体、パネル本体の背面に埋められた裏込部、および裏込部の背面にある既設構造体または法面に棒状部材または線状部材が挿入され、挿入された棒状部材または線状部材の周りに充填材が充填されることにより、パネル本体から構成される壁面が既設構造体または法面の前面に固定されることを特徴とする。
【0023】
本構成によれば、パネル本体から構成される壁面は、パネル本体、パネル本体の背面に埋められた裏込部、および裏込部の背面にある既設構造体または法面に挿入されて周りに充填材が充填された棒状部材または線状部材により、既設構造体または法面の前面に固定される。このため、挿入された棒状部材または線状部材により、老朽化または変状した既設構造体または法面は強固に補強される。このような施工の場合、壁面を前面側に出せない場合が多く、パネル本体と既設構造体または法面との間のスペースが確保できない。しかしながら、本構成では、係合部および連結部材により互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体は自立するので、パネル本体と既設構造体または法面との間のスペースがあまりない狭い場所でも、容易に壁面構造を構築することができる。また、パネル本体は、突出部が単に裏込部に埋入されて固定される場合よりもより強固に裏込部に固定される。また、壁面構造を構築する際にサポート材を用いないため、既設構造体または法面に挿入する棒状部材または線状部材がサポート材と干渉することもなく、容易に棒状部材または線状部材を既設構造体または法面に挿入して既設構造体または法面を補強できる。
【0024】
また、本発明は、パネル本体と別体に形成されてその背面に取り付けられる枠部材とパネル本体の背面の少なくとも一部とに囲まれて空間が形成されることを特徴とする。
【0025】
本構成によれば、パネル本体と別体に形成されてその背面に取り付けられる枠部材とパネル本体の背面の少なくとも一部とに囲まれて形成される空間に、例えば土などの植生基盤材を充填して植物を植えることで、ヒートアイランドや地球温暖化の防止に貢献することができる。また、パネル本体が水中に設置されている場合、枠部材とパネル本体の背面とに囲まれた空間に石材などを充填することにより、または空間のままにすることにより、石材などの周りの隙間または空間に魚が群がり、隙間または空間が魚巣となるため、パネル本体が設置された水中の生態系を破壊することもない。また、枠部材とパネル本体とが別体であるため、これらが一体化された場合に比べて、製作に手間がかからず、安価に提供される。また、枠部材とパネル本体とが別体であるため、植生機能や魚巣機能が必要な場所のパネル本体の背面にのみ、枠部材を設置することができるので、無駄がなく効率的かつ経済的な植生機能や魚巣機能を有する護岸壁などを構築できる。また、パネル本体を積み上げて壁面を構築する現場で、植生機能や魚巣機能が必要な所望の場所に適宜、枠部材を設置することができるので、適応性が高い。
【0026】
また、本発明は、パネル本体と別体に形成されてパネル本体を自立させる支持体がパネル本体の背面側に延出して設けられることを特徴とする。
【0027】
本構成によれば、パネル本体は、パネル本体と別体に形成されてパネル本体の背面側に延出して設けられる支持体により、自立させられる。このため、パネル本体と支持体とが別体に形成されるため、パネル本体の形状が単純な板形状となり、パネル本体と支持体とが一体化している場合に比べて、パネル本体の製作や運搬に手間がかからず、パネル本体の製造や運搬のコストが低減される。
【0028】
また、本発明は、支持体が、パネル本体の下端部より高い位置からその背面側に延出して設けられることを特徴とする。
【0029】
本構成によれば、支持体はパネル本体の下端部より高い位置からその背面側に延出するため、パネル本体をコンクリート等の基礎上に施工する際、基礎の表面が平坦でなく起伏などがあっても、基礎表面を平坦に削る作業や基礎表面の起伏に合わせて支持体を削る作業をすることなく、パネル本体および支持体をそのまま基礎上に施工できる。また、支持体と基礎との間に所定の間隔があくため、壁面の高さや施工条件に応じて支持体を基礎に対して任意に傾けることができるので、同一規格化した支持体を使って壁面に任意の計画勾配を持たせることができる。この結果、安価に所望の勾配を持つ壁面構造を構築できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、上記のように、壁面構造を構築する作業工程が簡略化されるので、施工期間が短縮され、施工コストが抑制される壁面構造および壁面構築方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)、(b)および(c)は、本発明の第1の実施の形態による壁面構造の最下段に設けられるパネルの平面図、背面図および側面図、(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれるパネルの平面図、背面図および側面図である。
【図2】図1に示すパネルの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネルを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。
【図3】(a)、(c)、(e)および(g)は、パネルの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネルを複数段積み上げて壁面を順次構築する壁面構築方法の各工程を示す壁面構造の側面図、(b)、(d)、(f)および(h)はそれらの背面斜視図である。
【図4】(i)および(k)は、図3(g)、(h)に示す壁面構築方法の工程に続く工程を示す壁面構造の側面図、(j)および(l)はそれらの背面斜視図、(m)は(l)のコンクリートを透視した壁面構造の背面斜視図である。
【図5】図3および図4に示す壁面構築方法により完成した壁面構造の側面図である。
【図6】(a)、(b)および(c)は、第1の実施形態の第1の変形例による壁面構造の最下段に設けられるパネルの平面図、背面図および側面図、(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれるパネルの平面図、背面図および側面図である。
【図7】図6に示すパネルの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネルを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。
【図8】(a)、(b)および(c)は、第1の実施形態の第2の変形例による壁面構造の最下段に設けられるパネルの平面図、背面図および側面図、(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれるパネルの平面図、背面図および側面図である。
【図9】図8に示すパネルの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネルを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。
【図10】(a)、(b)および(c)は、本発明の第2の実施の形態による壁面構造の最下段に設けられるパネルの平面図、背面図および側面図、(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれるパネルの平面図、背面図および側面図である。
【図11】図10に示すパネルの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネルを複数段積み上げて棒状部材を貫通させて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。
【図12】図11に示す過程を経て完成した壁面構造の側面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態による、パネルの背面に2層の鉄筋を配置した壁面構造の側面図である。
【図14】第3の実施の形態の変形例による、パネルの背面に1層の鉄筋を配置した壁面構造の側面図である。
【図15】(a)、(b)および(c)は、本発明の第4の実施の形態による壁面構造の最下段に設けられるパネルの平面図、背面図および側面図、(d)、(e)、(f)および(g)は、2段目以降に積まれるU字型控えブロックを備えたパネルの完成平面図、組み立て方を示す平面図、背面図および側面図である。
【図16】図15に示すパネルの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネルを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。
【図17】図16に示す過程を経て完成した壁面構造の側面図である。
【図18】(a)、(b)および(c)は、本発明の第5の実施の形態による壁面構造の最下段に設けられる、段差が付けられた係合部を備えたパネルの平面図、背面図および側面図、(d)、(e)および(f)は2段目以降に積まれる、段差が付けられた係合部を備えたパネルの平面図、背面図および側面図である。
【図19】図18に示すパネルの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネルを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。
【図20】(a)、(b)および(c)は、第5の実施の形態の変形例による壁面構造の最下段に設けられる、差し込まれる係合部を備えたパネルの平面図、背面図および側面図、(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれる、差し込まれる係合部を備えたパネルの平面図、背面図および側面図である。
【図21】図20に示すパネルの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネル本体を複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。
【図22】(a)は、図1に示すパネルを直線施工で複数段積み上げた壁面の側面図、(b)および(c)は、曲線施工で複数段積み上げた壁面の側面図、(d)および(e)は、(b)および(c)それぞれに示す上下のパネルの連結部分の一部拡大図である。
【図23】(a)、(b)および(c)は、本発明の第6の実施の形態による壁面構造に用いられる、所定の間隔があけられる係合部を備えたパネルの平面図、背面図および側面図である。
【図24】(a)は、図23に示すパネルを直線施工で複数段積み上げた壁面の側面図、(b)および(c)は、曲線施工で複数段積み上げた壁面の側面図、(d)および(e)は、(b)および(c)それぞれに示す上下のパネルの連結部分の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明による壁面構造および壁面構築方法を実施するための一形態について説明する。
【0033】
図1(a)、(b)および(c)は、本発明の第1の実施の形態による壁面構造の最下段に設けられるパネル1Aの平面図、背面図および側面図である。同図(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれるパネル1Bの平面図、背面図および側面図である。
【0034】
パネル1A、1Bを構成するパネル本体1aは、所定の厚さ(3cm〜10cm程度)のコンクリートから成り、背面には6本のインサートナット4が埋め込まれている。連結部材2aは、長方形状の金属製板材の短辺方向が垂直に折り曲げ加工されて形成され、パネル本体1aの背面に突出する固定部7aを備える。固定部7aは、パネル本体1aの背面側に突出して連結部材2aに一体に設けられた突出部を構成する。連結部材2aは2箇所に穴が設けられ、一方の穴は、ボルト5aの外径より口径が大きく、他方の穴には直接雌ネジ溝が刻まれている。連結部材2aの一方の穴にボルト5aが差し込まれて、パネル本体1aのインサートナット4にボルト5aが螺合し、ナット3aで締め付けることにより、連結部材2aはパネル本体1aの背面に固定される。また、直接雌ネジ溝が刻まれた他方の穴には短いボルト5bが螺合している。ボルト5aは、パネル本体1aの背面に連結部材2aを締結させる締結部材を構成すると共に、パネル本体1aの背面に突出して連結部材2aと別体に連結部材2aに固定して設けられた突出部を構成する。
【0035】
同図(a)、(b)、(c)に示すように、パネル1Aの2個の連結部材2aは、パネル本体1aの背面の上部から上方に突出して設けられる。また、パネル1Aのパネル本体1a下方に設けられた控えブロック6はコンクリート製であり、穴が設けられている。この穴にボルト5cが差し込まれてパネル本体1aのインサートナット4にボルト5cが螺合することにより、控えブロック6はパネル本体1aの背面に固定される。控えブロック6は、形鋼や平鋼等の鋼製であってもよく、最下段のパネル本体1aの背面側に延出して設けられる。控えブロック6は、パネル本体1aと別体に形成されてパネル本体1aを自立させる支持体を構成する。
【0036】
同図(d)、(e)、(f)に示すように、パネル1Bの4個の連結部材2aは、一対の連結部材2aがボルト5aとナット3aによってパネル本体1aの背面の上部から上方に突出して設けられ、他の一対の連結部材2aがパネル本体1aの背面の下部から下方に突出して設けられる。
【0037】
図2は、図1に示すパネル1A、1Bを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0038】
最下段のパネル1Aは、パネル本体1aが控えブロック6によって基礎11上に支持されて設置されている。控えブロック6は、このパネル本体1aの下端部より高い位置からその背面側に延出して設けられる。なお、控えブロック6は最下段のパネル本体1aではなく、2段目以降に積まれるパネル1Bのパネル本体1aに設けてもよい。控えブロック6の後端には三角柱状をした枕木15が設置され、パネル1A、1Bの傾斜角度が基礎11の表面の傾斜に合わせて調節される。また、最下段のパネル本体1aの前面下端には、さし筋16がくさび17を介して設置され、最下段のパネル本体1aが前方へせり出すのが防がれている。
【0039】
パネル1A、1Bは、パネル本体1aの上部から上方に突出してパネル本体1aに設けられた連結部材2aが上段のパネル本体1aを支え、パネル本体1aの下部から下方に突出してパネル本体1aに設けられた連結部材2aが下段のパネル本体1aと係合する。連結部材2aにより互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体1aの背面と裏込砕石12aとの間には、裏込部を構成するコンクリート14が複数層に順次埋められている。連結部材2aの固定部7aは、連結部材2aによって係合されたパネル本体1aがその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内で、その背面がコンクリート14の層で埋められる際に、上段のパネル本体1aの連結部材2aに設けられた少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される。
【0040】
図3(a)、(c)、(e)および(g)は、パネル1A、1Bの背面をコンクリート14の層によって埋めながらパネル1A、1Bを複数段斜めに積み上げて壁面を順次構築する壁面構築方法の各工程を示す壁面構造の側面図、同図(b)、(d)、(f)および(h)はそれらの背面斜視図である。なお、同図において図1および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0041】
この壁面構築方法では、最初に、同図(a)、(b)に示すように、基礎11上に最下段のパネル1Aのパネル本体1aが設置される。この際、このパネル本体1aの背面に設置された控えブロック6により、パネル本体1aは基礎11上に支持される。
【0042】
次に、同図(c)、(d)に示すように、設置された最下段のパネル1Aのパネル本体1aの背面に、パネル本体1aの半分の高さ程度までコンクリート14aが打設される。これにより、控えブロック6が基礎11上に固定され、最下段のパネル1Aのパネル本体1aが基礎11に固定される。
【0043】
次に、同図(e)、(f)に示すように、下段のパネル1Aのパネル本体1aの上部から上方に突出してパネル本体1aに設けられた連結部材2aと、上段のパネル1Bのパネル本体1aの下部から下方に突出してパネル本体1aに設けられた連結部材2aとにより、下段のパネル本体1aと上段のパネル本体1aとを互いに係合させる第1工程が行われる。この工程により、最下段のパネル1Aのパネル本体1aの上段に、連結部材2aが係合させられて2段目のパネル1Bのパネル本体1aが設置される。
【0044】
次に、同図(g)、(h)に示すように、連結部材2aによって係合されたパネル本体1aがその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内で、本実施形態では、最下段のパネル1Aのパネル本体1aの上端部の高さまで、パネル1Aの背面をコンクリート14bの層によって埋めて、上段のパネル1Bのパネル本体1aの背面側に突出して上段のパネル本体1aの連結部材2aに一体に設けられた固定部7aの少なくとも一部を、その層と共に埋めて固定する第2工程が行われる。ここで、2段目のパネル1Bのパネル本体1aの連結部材2aの、背面に突出した固定部7aは、コンクリート14bに埋まるのでアンカー体の役割を果たし、上段のパネル1Bのパネル本体1aが下段のパネル1Aおよびコンクリート14bに固定されて前面側へ転倒しなくなる。なお、連結部材2aによって係合されたパネル本体1aの背面に打設されるコンクリート14の高さは、同図(g)、(h)では、上段のパネル本体1aがその表面側へ向けてコンクリート14から側圧を受けない、下段のパネル本体1aの上端部の高さであるが、上段のパネル本体1aのボルト5aの少なくとも一部が埋まる高さにしてもよい。この場合、連結部材2aによって係合された上下のパネル本体1aは、固定部7aおよびボルト5aによってより強固にコンクリート14bに固定される。
【0045】
図4(i)および(k)は、図3(g)、(h)に示す壁面構築方法の工程に続く工程を示す壁面構造の側面図、同図(j)および(l)はそれらの背面斜視図である。同図(m)は、同図(l)のコンクリート14、14cを透視した壁面構造の背面斜視図である。なお、同図において図1および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0046】
パネル1Aの背面にコンクリート14を打設した後、次に、上述した第1工程が繰り返され、同図(i)、(j)に示すように、2段目のパネル1Bのパネル本体1aの上段に、連結部材2aが係合させられて3段目のパネル1Bのパネル本体1aが設置される。
【0047】
次に、上述した第2工程が繰り返され、同図(k)、(l)、(m)に示すように、2段目のパネル1Bのパネル本体1aの上端部の高さまでコンクリート14cが打設される。なお、図3(c)、(d)に示す第1、第2工程の前工程において、コンクリート14aを1回で打設するのではなく、複数回に分けて打設する構成にしてもよい。また、図3(g)、(h)に示す第2工程、および、図4(k)、(l)、(m)に示す第2工程においても、コンクリート14bおよび14cを1回で打設するのではなく、複数回に分けて打設する構成にしてもよい。例えば、図4(k)、(l)、(m)に示す第2工程においてコンクリート14cを打設する際、最初にコンクリート14cの半分の高さまでコンクリートを打設して、その次の工程でコンクリート14cの高さまでコンクリートを打設する構成にしてもよい。
【0048】
図5は、上述した第1工程と第2工程とを繰り返して、パネル1A、1Bの背面をコンクリート14の層によって埋めながら、パネル1A、1Bを複数段斜めに積み上げて壁面を構築する上述した壁面構築方法により、完成した壁面構造の側面図である。なお、同図において図1および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0049】
裏込砕石12aの所定箇所には吸い出し防止シート21が設けられており、シート21に開口端が接して水抜きパイプ22が設置されている。シート21は、裏込砕石12a中の石や砂利等が水抜きパイプ22に流入するのを防ぐ役割を果たす。地山や法面または盛土(地山等)から裏込砕石12aに流入した地下水は、シート21を介して水抜きパイプ22に流入し、パネル1A、1Bの表面側へ排出される。
【0050】
図6(a)、(b)および(c)は、上述した第1の実施形態の第1の変形例による壁面構造の最下段に設けられるパネル1Cの平面図、背面図および側面図である。同図(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれるパネル本体1Dの平面図、背面図および側面図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0051】
上述した実施形態の連結部材2aは、板材の短辺方向にLの字型に折り曲げ加工された固定部7aを備える構成であったが、本変形例の連結部材2bは、同図(c)、(f)に示すように、板材の長辺方向にコの字型に折り曲げ加工された固定部7bを備える。この連結部材2bは、ボルト5dによってパネル本体1aの背面に締結され、最下段のパネル1Cでは、同図(a)、(b)、(c)に示すようにパネル本体1aの上部から上方に突出して設けられる。また、2段目以降のパネル1Dでは、連結部材2bは、同図(d)、(e)、(f)に示すように、パネル本体1aの上部および下部から上方および下方に突出して設けられる。
【0052】
図7は、図6に示すパネル1C、1Dを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。なお、同図において図6と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0053】
この構造でも、パネル1Cのパネル本体1aの上端部までの高さにコンクリート14が打設される際、上段のパネル1Dのパネル本体1a下方の連結部材2bに設けられた固定部7bの一部も埋設される。このため、上段のパネル1Dのパネル本体1a背面にコンクリート14cの層を打設する際、このパネル本体1aがコンクリート14cの側圧によって前面側に倒れることはない。
【0054】
図8(a)、(b)および(c)は、上述した第1の実施形態の第2の変形例による壁面構造の最下段に設けられるパネル1Eの平面図、背面図および側面図である。同図(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれるパネル1Fの平面図、背面図および側面図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0055】
図6、図7に示す変形例では、固定部7bを備えた連結部材2bは、2段目以降のパネル1Dのパネル本体1aの上部および下部の双方に設けられる構成であったが、本変形例では、固定部7bを備えた連結部材2bは、2段目以降のパネル1Fのパネル本体1aの下部のみに設けられ、パネル本体1aの上部には、固定部7bを備えない平板の形状の連結部材2cが上方に突出して設けられる。最下段のパネル1Eには、同図(a)、(b)、(c)に示すように、連結部材2cが、パネル本体1aの上部にボルト5aによって固定される。また、2段目以降のパネル1Fには、同図(d)、(e)、(f)に示すように、パネル本体1aの下部に、固定部7bを備えた連結部材2bがボルト5dによって固定され、パネル本体1aの上部に、連結部材2cがボルト5dによって固定される。
【0056】
図9は、図8に示すパネル1E、1Fを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。なお、同図において図8と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0057】
本変形例では、固定部7bを備えた連結部材2bは、各パネル本体1aの下部のみに固定されるので、固定部7bを備えた連結部材2bがパネル本体1aの上部、下部の両方に固定される図7に示す壁面構造に比べて、コストが低減される。
【0058】
このような本実施形態による壁面構造および壁面構築方法によれば、連結部材2a、2b、2cによって係合された上段および下段のパネル本体1aがその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内で、その背面がコンクリート14の層で埋められる際に、上段のパネル本体1aの連結部材2a、2bに一体に設けられた固定部7a、7b、または固定して設けられたボルト5aの少なくとも一部が、その層と共に埋められて固定される。このため、下段のパネル本体1aと上段のパネル本体1aとを連結部材2a、2b、2cにより互いに係合させてパネル本体1aを積み上げ、積み上げた上下のパネル本体1aの背面をコンクリート14の層で埋める際、上下のパネル本体1aの背面をコンクリート14の層で埋める作業を行うだけで、上段のパネル本体1aがその連結部材2a、2bに設けられた固定部7a、7bまたはボルト5aによってコンクリート14の層に固定されるので、従来の、結合片にアンカーの一端部を揺動可能に取り付けて、アンカーの他端部を裏込めコンクリートの打設層中に設置する作業工程は不要になる。また、壁面構造を構築する際、各パネル本体1aは連結部材2a、2b、2cによって互いに係合されて自立させられるので、パネル本体1aを支持するサポート材が必要とされず、サポート材を施工する作業工程も不要になる。この結果、壁面構造を構築する作業工程が簡略化されるので、施工期間が短縮され、施工コストが抑制される。また、連結部材2a、2b、2cにより互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体1aは自立するので、パネル本体1aの背面に埋めるコンクリート14の厚さを自由に調節できる。従って、コンクリート14の厚さを確保するスペースがあまりない狭い場所でも、容易に壁面構造を構築することができる。
【0059】
また、本実施形態では、パネル本体1aの背面をコンクリート14で埋めて壁面構造を構築する際、連結部材2a、2bの曲げ加工されてパネル本体1aの背面側に突出している固定部7a、7bがコンクリート14に埋入し、固定部7a、7bおよび固定部7a、7bに固定されたパネル本体1aが、コンクリート14に一体的に固定される。このため、連結部材2a、2bがアンカーの役割を兼ねるため、部品点数が少なくなり、安価に壁面構造を構築できる。
【0060】
また、突出部が固定部7a、7bではなく、ボルト5aからなる場合、パネル本体1aの背面に連結部材2a、2bを締結させるボルト5aがアンカーの役割を兼ねるため、この構成によっても部品点数が少なくなり、安価に壁面構造を構築できる。
【0061】
また、本実施形態では、パネル本体1aは、パネル本体1aと別体に形成されてパネル本体1aの背面側に延出して設けられる控えブロック6により、自立させられる。このため、パネル本体1aと控えブロック6とが別体に形成されるため、パネル本体1aの形状が単純な板形状となり、パネル本体1aと控えブロック6とが一体化している場合に比べて、パネル本体1aの製作や運搬に手間がかからず、パネル本体1aの製造や運搬のコストが低減される。
【0062】
また、本実施形態では、控えブロック6はパネル本体1aの下端部より高い位置からその背面側に延出するため、パネル本体1aをコンクリート等の基礎11上に施工する際、基礎11のパネル設置表面が平坦でなく起伏などがあっても、基礎11表面を平坦に削る作業や基礎11表面の起伏に合わせて控えブロック6を削る作業をすることなく、パネル本体1aおよび控えブロック6をそのまま基礎11上に施工できる。また、控えブロック6と基礎11との間に所定の間隔があくため、壁面の高さや施工条件に応じて控えブロック6を基礎11に対して任意に傾けることができるので、同一規格化した控えブロック6を使って壁面に任意の計画勾配を持たせることができる。この結果、安価に所望の勾配を持つ壁面構造を構築できる。
【0063】
なお、本実施形態では、例えば、図1に示すように、2個の連結部材2aが、パネル本体1aの背面の上部から上方に突出して設けられ、2個の連結部材2aが、パネル本体1aの背面の下部から下方に突出して設けられる構成であったが、パネル本体1aの背面の上部から上方に突出して設けられる連結部材2aやパネル本体1aの背面の下部から下方に突出して設けられる連結部材2aの個数は各2個に限らず、1個や3個以上であってもよい。
【0064】
図10(a)、(b)および(c)は、本発明の第2の実施の形態による壁面構造の最下段に設けられるパネル本体1Gの平面図、背面図および側面図である。同図(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれるパネル1Hの平面図、背面図および側面図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0065】
第1の実施形態では、連結部材2aをパネル本体1aの背面に固定するボルト5aはその頭部が六角柱状であったが、本実施形態では、パネル1Gにおいて連結部材2aをパネル本体1aの背面に固定するボルト5eは、その頭部に、ボルト5eの軸に垂直に板状のプレートが設けられている。また、控えブロック6に代えてボルト5eが支持体を構成している。また、連結部材2aの先端の穴は、雌ネジ溝が刻まれるのに代えてナット3bが溶接されており、ボルト5bがナット3bに螺合している。また、パネル1Hにおいて、連結部材2aはボルト5dによってパネル本体1aの背面に固定されている。また、パネル本体1aの中央には穴33が設けられている。
【0066】
図11は、図10に示すパネル1G、1Hの背面をコンクリートの層によって埋めながらパネル1G、1Hを複数段積み上げて、棒状部材31を貫通させて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。なお、同図において図10および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0067】
本実施形態では、最下段のパネル1Gのパネル本体1aを老朽化した、または変状した不安定な法面12bの前面に設置する際、4本のボルト5eの板状のプレートが、法面12bの前面と接地し、パネル本体1aの前面下端部にくさび17を打つことで、最下段のパネル1Gが安定化する。このパネル1Gのパネル本体1aを設置した後、パネル1Gのパネル本体1aの中央の穴33の下程度までコンクリート14を打設し、パネル1Gを固定する。そして、パネル本体1aの穴33から、ボーリングマシンで所定の深さ(例えば3m〜10m程度)まで、背面にある法面12bを削孔する。その後、削孔した穴に鋼棒などの棒状部材31を挿入し、挿入した棒状部材31の周りに例えばグラウトなどの充填材32を充填して固定する。その後、上段にパネル1Hのパネル本体1aを連結部材2aによって係合させる前述した第1工程を行い、引き続いて、下段のパネル1Gのパネル本体1aの上端部の高さまでコンクリート14を打設する第2工程を行い、以後これらを繰り返すことにより、パネル1G、1Hから構成される壁面構造が法面12bの前面に構築される。なお、上述した削孔および棒状部材31の挿入の工程は、上述した順序に限らず、各第1工程の前や、各第2工程の後、パネル本体1aを全段数設置した後等に行ってもよい。
【0068】
図12は、図11に示す過程を経て完成した壁面構造の側面図である。なお、同図において図11と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0069】
このような本実施形態による壁面構造および壁面構築方法によれば、パネル本体1aから構成される壁面は、パネル本体1a、コンクリート14、および法面12bに挿入されて周りに充填材32が充填された棒状部材31により、法面12bの前面に固定される。このため、挿入された棒状部材31により、不安定な法面12bは強固に補強される。このような施工の場合、壁面を前面側に出せない場合が多く、パネル本体1aと法面12bとの間のスペースが確保できない。しかしながら、本実施形態では、連結部材2aにより互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体1aは自立するので、パネル本体1aと法面12bとの間のスペースがあまりない狭い場所でも、容易に壁面構造を構築することができる。また、パネル本体1aは、突出部を構成する連結部材2aの固定部7aが単にコンクリート14に埋入されて固定される場合よりもより強固にコンクリート14および法面12bに固定される。また、壁面構造を構築する際にサポート材を用いないため、法面12bに挿入する棒状部材31がサポート材と干渉することもなく、容易に棒状部材31を法面12bに挿入して法面12bを補強できる。
【0070】
なお、ボーリングマシンでコンクリート14等を削孔する際、棒状部材31自体がドリルとなって自ら削孔するようにしてもよい。また、棒状部材31の代わりにPC鋼より線等の線状部材をパネル本体1a、コンクリート14、および法面12bに挿入して、法面12bを補強する構成にしてもよい。また、本実施形態では、法面12bの前面にパネル1G、1Hからなる壁面構造を形成する構成であったが、コンクリート擁壁等の既設構造体の前面に同様な壁面構造を形成する構成にしてもよい。
【0071】
図13は、本発明の第3の実施の形態による、パネル1A、1Bの背面に2層の鉄筋41を配置した壁面構造の側面図である。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0072】
既設構造体を構成する老朽化したまたは変状をきたした擁壁12cの前面にパネル1A、1Bを設置する際、高い強度の壁面構造を構築するため、パネル1A、1Bの背面に、擁壁12cを補強する棒状補強材を構成する鉄筋41が設けられる。パネル本体1aの背面に連結部材2aを締結する、突出部を構成するボルト5aは、パネル本体1aの背面に組み立てられた鉄筋41に係合させられて、コンクリート14に埋められる。
【0073】
壁面を構築する際、パネル1aの背面で横鉄筋41cを縦鉄筋41a、41bに固定し、さらに、パネル本体1aの背面のボルト5aの先端を縦鉄筋41aまたは横鉄筋41cに係合して、コンクリート14を打設することで、壁面が構築される。なお、ボルト5aの代わりに、図1に示す連結部材2aの固定部7aや、図6に示す連結部材2bの固定部7bを鉄筋41に係合する構成にしてもよい。
【0074】
図14は、上記の第3の実施の形態の変形例による、パネル1A、1Bの背面に1層の鉄筋42を配置した壁面構造の側面図である。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0075】
鉄筋42は、既設構造体を構成する、変状した不安定な石積み擁壁12dの前面に設けられており、パネル本体1aの背面に連結部材2aを締結するボルト5aの先端と係合している。
【0076】
このような本実施形態による壁面構造および壁面構築方法によれば、ボルト5aが、パネル本体1aの背面に組み立てられた鉄筋41、42に係合させられてコンクリート14に埋められるため、パネル本体1aは、ボルト5aや固定部7a、7bが単にコンクリート14に埋入されて固定される場合よりもより強固にコンクリート14に固定される。また、壁面構造を構築する際にサポート材を用いないため、鉄筋41、42がサポート材と干渉して鉄筋41、42の施工が困難となることもなく、容易にパネル本体1aの背面に鉄筋41、42を設置することができる。また、パネル本体1aの背面に鉄筋41、42を設置する際、鉄筋41、42をパネル本体1aの背面に設置されたボルト5aや固定部7a、7bと係合させることにより、容易に規則的に鉄筋41、42を配置することができ、また、鉄筋41、42を配置する際の位置精度が向上する。
【0077】
図15(a)、(b)および(c)は、本発明の第4の実施の形態による壁面構造の最下段に設けられるパネル本体1Iの平面図、背面図および側面図である。同図(d)、(e)、(f)および(g)は、2段目以降に積まれる、U字型控えブロック51を備えたパネル1Jの完成平面図、組み立て平面図、背面図および側面図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0078】
同図(a)、(b)、(c)に示すように、最下段のパネル1Iのパネル本体1aの背面には、固定部7aを備えた連結部材2aが、長めのボルト5fによって固定されている。また、同図(d)、(e)、(f)、(g)に示すように、2段目以降に積まれるパネル1Jのパネル本体1aの背面には、平板の形状の連結部材2cがボルト5fによって固定されている。また、2段目以降に積まれるパネル1Jのパネル本体1aの上端部中央には切り欠き部53が設けられている。
【0079】
枠部材を構成するU字型控えブロック51は、U字型の形状に成型されたコンクリートから成り、同図(e)に示すように、連結ピン52を、パネル本体1aおよびU字型控えブロック51に設けられたプラスチック性の各インサート孔に挿入することで、パネル本体1aの背面にU字型控えブロック51が固定される。この固定により、パネル本体1aと別体に形成されてその背面に取り付けられるU字型控えブロック51と、パネル本体1aの背面の少なくとも一部とに囲まれて、図(d)に示す空間54が形成される。
【0080】
図16は、図15に示すパネル1I、1Jの背面をコンクリート14の層によって埋めながらパネル1I、1Jを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。なお、同図において図15および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0081】
本実施形態でも、連結部材2a、2cが係合されてパネル本体1aが積み上げられる前述した第1工程が行われ、下段のパネル本体1aの背面がコンクリート14の層によって埋められる際に、上段のパネル本体1aの下方に突出するボルト5fの一部がその層と共に埋められる前述した第2工程が行われて、壁面が構築されて行く。パネル本体1aとU字型控えブロック51とは、打設されるコンクリート14により、互いに強固に固定されるので、U字型控えブロック51とパネル本体1aとの結合は、プラスチック製の連結ピン52を用いた簡易的な結合で済む。
【0082】
図17は、図16に示す過程を経て完成した壁面構造の側面図である。なお、同図において図16と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0083】
この壁面が同図に示すように、河川55の護岸壁として施工される場合、環境に配慮した構成となる。つまり、U字型控えブロック51の空間54に土などの植生基盤材を充填することにより、植物56の緑化機能を追加することが可能となる。この場合、U字型控えブロック51の空間54の土から、植物56が、パネル本体1a上部の切り欠き部53を通って、パネル本体1aの前面に向かって生える。また、U字型控えブロック51の空間54に石材57を詰めることにより、切り欠き部53を通って、控えブロック51の中の石材57周辺や空間54に魚58が集まる。
【0084】
このような本実施形態による壁面構造および壁面構築方法によれば、パネル本体1aと別体に形成されてその背面に取り付けられるU字型控えブロック51とパネル本体1aの背面の少なくとも一部とに囲まれて形成される空間54に、例えば土などの植生基盤材を充填して植物56を植えることで、ヒートアイランドや地球温暖化の防止に貢献することができる。また、パネル本体1aが水中に設置されている箇所では、U字型控えブロック51とパネル本体1aの背面とに囲まれた空間54に石材57などを充填することにより、または空間54のままにすることにより、石材57などの周りの隙間または空間54に魚58が群がり、隙間または空間54が魚巣となるため、パネル本体1aが設置された水中の生態系を破壊することもない。また、U字型控えブロック51とパネル本体1aとが別体であるため、これらが一体化された場合に比べて、製作に手間がかからず、安価に提供される。また、U字型控えブロック51とパネル本体1aとが別体であるため、植生機能や魚巣機能が必要な場所のパネル本体1aの背面にのみ、U字型控えブロック51を設置することができるので、無駄がなく効率的かつ経済的な植生機能や魚巣機能を有する護岸壁を構築できる。また、パネル本体1aを積み上げて壁面を構築する現場で、植生機能や魚巣機能が必要な所望の場所に適宜、U字型控えブロック51を設置することができるので、適応性が高い。
【0085】
図18(a)、(b)および(c)は、本発明の第5の実施の形態による壁面構造の最下段に設けられる、段差が付けられた係合部61aを備えたパネル1Kの平面図、背面図および側面図である。同図(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれる、段差が付けられた係合部61aを備えたパネル1Lの平面図、背面図および側面図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0086】
パネル1K、1Lは、パネル本体1bの上部および下部に付けられた係合部61aの段差が係合させられて、上段および下段のパネル本体1bと係合する。最下段のパネル1Kは、同図(a)、(b)、(c)に示すように、連結部材を備えておらず、パネル本体1bの背面にボルト5gが突出している。また、2段目以降に積まれるパネル1Lは、同図(d)、(e)、(f)に示すように、連結部材2dがボルト5gによってパネル本体1bの下部に固定されている。連結部材2dは、長辺方向にL字型の形状に折り曲げ加工された固定部7cを備えている。固定部7cは、パネル本体1bの背面側に突出して連結部材2dに一体に設けられた突出部を構成する。なお、この突出部は、連結部材2dと別体に固定して設けられるボルト5gによって構成してもよい。
【0087】
図19は、図18に示すパネル1K、1Lの背面をコンクリート14の層によって埋めながらパネル1K、1Lを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。なお、同図において図18および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0088】
連結部材2dは、パネル本体1bの下部から下方に突出して設けられて、下段のパネル本体1bに係合する。パネル1K、1Lは、連結部材2dおよび係合部61aにより互いに係合されて複数段斜めに積み上げられ、パネル本体1bの背面に、複数層からなるコンクリート14が順次埋められている。
【0089】
パネル1K、1Lによって壁面を構築する際、下段のパネル1Kのパネル本体1bの上部の係合部61aに付けられた段差と上段のパネル1Lのパネル本体1bの下部の係合部61aに付けられた段差とが係合させられると共に、上段のパネル1Lのパネル本体1bの下部から下方に突出して設けられた連結部材2dが下段のパネル1Kのパネル本体1bに係合させられることにより、上段および下段のパネル本体1bが係合させられる第1工程が行われる。次に、係合部61aおよび連結部材2dによって係合されたパネル本体1bがその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内で、本実施形態ではパネル1Kの高さまで、その背面がコンクリート14の層によって埋められて、上段のパネル1Lのパネル本体1bの背面側に突出して上段のパネル本体1bの連結部材2dに一体に設けられた固定部7cの少なくとも一部がコンクリート14の層と共に埋められて固定される第2工程が行われる。その後、上記の第1工程と第2工程とが繰り返されて、パネル本体1bの背面をコンクリート14の層によって埋めながらパネル本体1bが複数段斜めに積み上げられて壁面が構築される。
【0090】
図20(a)、(b)および(c)は、上記の第5の実施の形態の変形例による壁面構造の最下段に設けられる、ピン部材71が差し込まれる係合部61bを備えたパネル1Mの平面図、背面図および側面図である。同図(d)、(e)および(f)は、2段目以降に積まれる、ピン部材71が差し込まれる係合部61bを備えたパネル1Nの平面図、背面図および側面図である。なお、同図において図18と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0091】
係合部61bは、パネル1Mのパネル本体1cの上部、パネル1Nのパネル本体1cの上部および下部に孔があけられて形成されている。パネル1M、1Nは、パネル本体1cの上部および下部の係合部61bにピン部材71が差し込まれて、上段および下段のパネル本体1cが係合する。なお、本実施形態のピン部材71はパネル本体1cに着脱可能に形成されているが、一度差し込んだら抜けなくなる構成であってもよい。
【0092】
図21は、図20に示すパネル1M、1Nの背面をコンクリート14の層によって埋めながらパネル1M、1Nを複数段積み上げて構築して行く過程における壁面構造の側面図である。なお、同図において図20および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0093】
パネル1M、1Nは、連結部材2dおよびピン部材71が併用されて、上下のパネル本体1cが互いに係合される。このため、ピン部材71および係合部61bの差し込み穴は、大きな力が加わらないので簡易な構造でよい。つまり、ピン部材71は細くて短くてよく、また、係合部61bの差し込み穴を作成する際、差し込み穴を設けるための金属やプラスチック製のシース等をパネル本体1cのコンクリート成型時に用いる必要もない。従って、ピン部材71および係合部61bの差し込み穴を作成するコストが低減される。なお、係合部61bの差し込み穴の口径は、パネル本体1cの立ち具合を調整できる程度の余裕を設けた大きさにしてもよい。また、傾斜が設けられた基礎11の上面にパネル本体1cを設置する際、ピン部材71を図示するように用いて容易に基礎11の上面に最下段のパネル1Mのパネル本体1cを設置することもできる。
【0094】
このような本実施形態による壁面構造および壁面構築方法によれば、係合部61a、61bおよび連結部材2dによって係合された上段および下段のパネル本体1b、1cがその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内で、本実施形態ではパネル本体1b、1cの高さまで、その背面がコンクリート14の層で埋められる際に、上段のパネル本体1b、1cの連結部材2dに一体に設けられた固定部7cの少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される。このため、下段のパネル本体1b、1cと上段のパネル本体1b、1cとを係合部61a、61bおよび連結部材2dにより互いに係合させてパネル本体1b、1cを積み上げ、積み上げた上下のパネル本体1b、1cの背面をコンクリート14の層で埋める際、上下のパネル本体1b、1cの背面をコンクリート14の層で埋める作業を行うだけで、上段のパネル本体1b、1cがその連結部材2dに設けられた固定部7cによってコンクリート14の層に固定されるので、従来の、結合片にアンカーの一端部を揺動可能に取り付けて、アンカーの他端部を裏込めコンクリートの打設層中に設置する作業工程は不要になる。また、壁面構造を構築する際、各パネル本体1b、1cは係合部61a、61bおよび連結部材2dによって互いに係合されて自立させられるので、パネル本体1b、1cを支持するサポート材が必要とされず、サポート材を施工する作業工程も不要になる。この結果、壁面構造を構築する作業工程が簡略化されるので、施工期間が短縮され、施工コストが抑制される。また、連結部材2dはパネル本体1b、1cの下方の一方にのみ設けられるので、壁面を構成する部品点数が少なくなり、壁面を構築する施工コストが抑制される。また、係合部61a、61bおよび連結部材2dにより互いに係合されて複数段斜めに積み上げられたパネル本体1b、1cは自立するので、パネル本体1b、1cの背面に埋めるコンクリート14の厚さを自由に調節できる。従って、コンクリート14の厚さを確保するスペースがあまりない狭い場所でも、容易に壁面構造を構築することができる。また、図18、図19に示すように、パネル本体1bの上部および下部に付けられた係合部61baの段差が係合させられる場合には、上段のパネル本体1bと下段のパネル本体1bとの間の噛み合いによって止水性が向上するので、パネル本体1bの背面に埋められたコンクリート14などの裏込部構成材料がパネル本体1bの前面に流出するのを防ぐことができる。
【0095】
上記の各実施形態では、壁面表面が平らになって出入りが生じない直線施工でパネル本体1a〜1cを複数段積み上げた壁面の構成について説明したが、第5の実施形態とその変形例を除く各実施形態では、壁面表面が湾曲して出入りが生じる曲線施工でパネル本体を複数段積み上げた壁面の構成にしてもよい。
【0096】
図22(a)は、図1に示すパネル1Bを直線施工で複数段積み上げた壁面の側面図、(b)および(c)は、曲線施工で複数段積み上げた壁面の側面図である。同図(d)および(e)は、同図(b)および(c)それぞれに示す上下のパネル1Bの連結部分の一部拡大図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。同図に示すパネル1Bは、連結部材2aにナット3bが溶接されている構造を除いて、上述した第1の実施の形態と同じ構成である。
【0097】
同図(a)に示すように、直線施工でパネル本体1aを積み上げる場合、下段のパネル本体1aと上段のパネル本体1aとは面一になり、上下のパネル本体1aの間で出入りが生じることはない。
【0098】
一方、同図(b)に示すように、曲線施工によりパネル1aを積み上げ、同図(d)に示すように、上段のパネル本体1aが下段のパネル本体1aより壁面の表面側に突出している場合、下段のパネル本体1aと上段のパネル本体1aとは面一にならず、上下のパネル本体1aの間で出入りが生じ、上段のパネル本体1aに設けられた連結部材2aの端部が、下段のパネル本体1aとぶつかり合う傾向になる。しかし、連結部材2aは、パネル本体1aの上下端部が薄く形成されることで、隣接するパネル本体1aに係合する係合面82aが、同図(a)に示す直線施工の状態で、隣接するパネル本体1aと所定の間隔81aがあくように設けられている。従って、同図(b)に示す曲線施工で、連結部材2aの先端に設けられたボルト5bの先端が引っ込むようにパネル本体1aの出入りに対応して調整することで、上下のパネル本体1aどうしがぶつかることなく、上段のパネル本体1aに設けられた連結部材2aの端部を下段のパネル本体1aの背面にボルト5bを介して係合させて、パネル本体1aを支障なく積み上げることができる。
【0099】
また、同図(c)に示すように、曲線施工によりパネル本体1aを積み上げ、同図(e)に示すように、下段のパネル本体1aが上段のパネル本体1aより壁面の表面側に突出している場合、同様に、上下のパネル本体1aの間で出入りが生じることになる。しかし、連結部材2aは、上記のように、パネル本体1aの上下端部が薄く形成されることで、隣接するパネル本体1aに係合する係合面82aが、同図(a)に示す直線施工の状態で、隣接するパネル本体1aと所定の間隔81aがあくように設けられているので、同図(c)に示す曲線施工では、より一層間隔があいてしまう傾向になり、パネル本体1aがぐらついてしまうことになる。しかし、連結部材2aの先端に設けられたボルト5bの先端が突出するようにパネル本体1aの出入りに対応して調整することで、上段のパネル本体1aに設けられた連結部材2aの端部を下段のパネル本体1aの背面にボルト5bを介して係合させることが可能となる。このため、曲線施工において所定の間隔81aがより大きくなるような場合においても支障なく、上下のパネル本体1aどうしをぐらつくことなく固定させて、パネル本体1aを積み上げることができる。
【0100】
なお、同図(b)および同図(c)に示すように曲線施工でパネル本体1aを積み上げる際、ボルト5bがない構成でも、上述した所定の間隔81aがあいていることにより、曲線施工が可能となる。
【0101】
また、ここでは、上段のパネル本体1aに設けられた連結部材2aの端部と下段のパネル本体1aとの関係において、同図(b)、(d)では、両者が接近してぶつかるのを回避し、同図(c)、(e)では、両者の間隔が大きくなって、上下のパネル本体1aがぐらつくのを回避する事について説明した。しかし、逆に、下段のパネル本体1aに設けられた連結部材2aの端部と上段のパネル本体1aとの関係において、同図(b)、(d)では、両者の所定の間隔が大きくなって、上下のパネル本体1aがぐらつくのを回避し、同図(c)、(e)では、両者が接近してぶつかるのを回避する構成にもなっている。
【0102】
上記のように、壁面が弧を描く曲線施工でパネル本体1aを積み上げる場合、下段に積まれるパネル本体1aと上段に積まれるパネル本体1aとは一面とならず、上下のパネル本体1aの前面側と背面側との間でパネル本体1aの出入りが生じることになる。しかし、連結部材2aの、隣接するパネル本体1aに係合する係合面82aが、上記のように、同図(a)に示す直線施工の状態で、隣接するパネル本体1aと所定の間隔81aがあくように設けられているため、同図(b)、(c)に示す曲線施工で、この予め設けられた隙間およびボルト5bにより、連結部材2aの係合面82aと隣接するパネル本体1aとがぶつかり合うことなく、または、ぐらつくことなく、曲線施工によってパネル本体1aを作業効率よく積み上げることが可能になる。この結果、従来のように、上下のパネル本体を揃えることで、パネル本体どうしの隙間に間詰めコンクリートを施工することなく、また、パネル本体を台形に加工することもなく、曲線施工によってパネル本体1aを作業効率よく積み上げることが可能になる。このため、壁面構造を構築する施工期間が短縮され、施工コストが抑制される。
【0103】
図23(a)、(b)および(c)は、本発明の第6の実施の形態による壁面構造の2段目以降に用いられる、所定の間隔があけられる係合部61cを備えたパネル1Pの平面図、背面図および側面図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0104】
パネル1Pは、パネル本体1dの上端部および下端部に、段差が付けられた係合部61cが設けられている。係合部61cは、隣接するパネル本体1dに係合面82cによって係合する。パネル本体1dの下端部の係合部61cには、隣接するパネル本体1dに係合面82cを係合させるためのボルト5hが設けられている。また、パネル本体1dの連結部材2aの上方背面には、ボルト5aがパネル本体1dに突出して螺合している。また、パネル本体1dと連結部材2aとの間には調整材83が介挿されているので、パネル本体1dと連結部材2aとの間に所定の間隔81cが設けられている。よって、隣接するパネル本体1dに係合する連結部材2aの係合面は、隣接するパネル本体1dと所定の間隔があくようになる。
【0105】
図24(a)は、図23に示すパネル1Pを直線施工で複数段積み上げた壁面の側面図、(b)および(c)は、曲線施工で複数段積み上げた壁面の側面図である。同図(d)および(e)は、同図(b)および(c)それぞれに示す上下のパネル1Pの連結部分の一部拡大図である。なお、同図において図23と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0106】
同図(b)に示すように、曲線施工によりパネル本体1dを積み上げ、同図(d)に示すように、上段のパネル本体1dが下段のパネル本体1dより壁面の表面側に突出している場合、上下のパネル本体1dの間で出入りが生じ、上下のパネル本体1dどうし、および上段のパネル本体1dに設けられた連結部材2aの端部と下段のパネル本体1dとが、ぶつかり合う傾向になる。しかし、係合部61cは、隣接するパネル本体1dに係合する係合面82cが、同図(a)に示す直線施工の状態で、隣接するパネル本体1dと所定の間隔81bがあくように設けられており、パネル本体1dと連結部材2aの係合面との間にも所定の間隔81cがあくように設けられている。従って、同図(b)に示す曲線施工で、ボルト5b、5hの先端が引っ込むようにパネル本体1dの出入りに対応して調整することで、上下のパネル本体1dどうしがぶつかることなく、係合部61cの係合面82cを隣接するパネル本体1dの係合部61cの係合面82cに係合させると共に、上段のパネル本体1dの連結部材2aの端部を下段のパネル本体1dの背面に係合させパネル本体1dを支障なく積み上げることができる。
【0107】
また、同図(c)に示すように、曲線施工によりパネル本体1dを積み上げ、同図(e)に示すように、下段のパネル本体1dが上段のパネル本体1dより壁面の表面側に突出している場合、同様に、上下のパネル本体1dの間で出入りが生じることになる。しかし、同図(a)に示す直線施工の状態で、係合部61cは、隣接するパネル本体1dに係合する係合面82cが、隣接するパネル本体1dと所定の間隔81bがあくように設けられており、パネル本体1dと連結部材2aの係合面との間にも所定の間隔81cがあくように設けられているので、同図(c)に示す曲線施工では、より一層間隔があいてしまう傾向になり、パネル本体1dがぐらついてしまうことになる。しかし、ボルト5b、5hの先端が突出するようにパネル本体1dの出入りに対応して調整することで、係合部61cの係合面82cを上下で隣接するパネル本体1dの係合部61cの係合面82cにボルト5hを介して係合させると共に、上段のパネル本体1dの連結部材2aの端部を下段のパネル本体1dの背面にボルト5bを介して係合させることが可能となる。このため、曲線施工において所定の間隔81b、81cがより大きくなるような場合においても支障なく、上下のパネル本体1dどうしをぐらつくことなく固定させて、パネル本体1dを積み上げることができる。
【0108】
なお、同図(b)および同図(c)に示すように曲線施工でパネル本体1dを積み上げる際、ボルト5b、5hがない構成でも、上述した所定の間隔81b、81cがあいていることにより、曲線施工が可能となる。
【0109】
上記のように、壁面が弧を描く曲線施工でパネル本体1dを積み上げる場合、下段に積まれるパネル本体1dと上段に積まれるパネル本体1dとは一面とならず、上下のパネル本体1dの前面側と背面側との間でパネル本体1dの出入りが生じることになる。しかし、段差が付けられた係合部61cの、隣接するパネル本体1dに係合する係合面82cが、同図(a)に示す直線施工の状態で、隣接するパネル本体1dと所定の間隔81bがあくように設けられているため、同図(b)、(c)に示す曲線施工で、この予め設けられた隙間およびボルト5b、5hにより、係合部61cの係合面82cと隣接するパネル本体1dとがぶつかり合うことなく、または、ぐらつくことなく、曲線施工によってパネル本体1dを作業効率よく積み上げることが可能になる。この結果、従来のように、上下のパネル本体を揃えることで、パネル本体どうしの隙間に間詰めコンクリートを施工することなく、また、パネル本体を台形に加工することもなく、曲線施工によってパネル本体1dを作業効率よく積み上げることが可能になる。このため、壁面構造を構築する施工期間が短縮され、施工コストが抑制される。
【符号の説明】
【0110】
1A〜1P…パネル
1a〜1d…パネル本体
2a〜2d…連結部材
5a〜5h…ボルト
6…控えブロック
7a〜7c…固定部
12a…裏込砕石
12b…法面
12c…擁壁
12d…石積み擁壁
14、14a、14b、14c…コンクリート
31…棒状部材
32…充填材
41、42…鉄筋
51…U字型控えブロック
54…空間
61a〜61c…係合部
71…ピン部材
81a〜81c…所定の間隔
82a、82c…係合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル本体と、
前記パネル本体の上部から上方に突出して前記パネル本体に設けられたものが上段の前記パネル本体を支え、前記パネル本体の下部から下方に突出して前記パネル本体に設けられたものが下段の前記パネル本体と係合する連結部材と、
前記連結部材により互いに係合されて複数段斜めに積み上げられた前記パネル本体の背面に順次埋められた複数層からなる裏込部と、
前記連結部材によって係合された前記パネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面が前記裏込部の層で埋められる際に、上段の前記パネル本体の前記連結部材に設けられた少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される、前記パネル本体の背面側に突出して前記連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部と
を備える壁面構造。
【請求項2】
下段のパネル本体の上部から上方に突出して前記パネル本体に設けられた連結部材と上段のパネル本体の下部から下方に突出して前記パネル本体に設けられた連結部材とにより下段のパネル本体と上段のパネル本体とを互いに係合させる第1工程と、
前記連結部材によって係合された前記パネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面を裏込部の層によって埋めて、上段の前記パネル本体の背面側に突出して上段の前記パネル本体の前記連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部の少なくとも一部をその層と共に埋めて固定する第2工程と
を繰り返して、前記パネル本体の背面を裏込部の層によって埋めながら前記パネル本体を複数段斜めに積み上げて壁面を構築する壁面構築方法。
【請求項3】
パネル本体と、
前記パネル本体の下部から下方に突出して設けられて、下段の前記パネル本体に係合する連結部材と、
前記パネル本体の上部および下部に付けられた段差が係合させられて、または、前記パネル本体の上部および下部に部材が差し込まれて、上段および下段の前記パネル本体と係合する係合部と、
前記連結部材および前記係合部により互いに係合されて複数段斜めに積み上げられた前記パネル本体の背面に順次埋められた複数層からなる裏込部と、
前記連結部材および前記係合部によって係合された前記パネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面が前記裏込部の層で埋められる際に、上段の前記パネル本体の前記連結部材に設けられた少なくとも一部がその層と共に埋められて固定される、前記パネル本体の背面側に突出して前記連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部と
を備える壁面構造。
【請求項4】
下段のパネル本体の上部に付けられた段差と上段のパネル本体の下部に付けられた段差とを係合させる係合部により、または、下段のパネル本体の上部と上段のパネル本体の下部とに部材を差し込む係合部により、上段および下段の前記パネル本体を係合させると共に、上段の前記パネル本体の下部から下方に突出して設けられた連結部材を下段の前記パネル本体に係合させる第1工程と、
前記係合部および前記連結部材によって係合された前記パネル本体がその表面側へ向けて受ける側圧に対向できる高さの範囲内でその背面を裏込部の層によって埋めて、上段の前記パネル本体の背面側に突出して上段の前記パネル本体の前記連結部材に一体にまたは固定して設けられた突出部の少なくとも一部をその層と共に埋めて固定する第2工程と
を繰り返して、前記パネル本体の背面を裏込部の層によって埋めながら前記パネル本体を複数段斜めに積み上げて壁面を構築する壁面構築方法。
【請求項5】
段差が付けられた前記係合部は、隣接する前記パネル本体に係合する係合面が隣接する前記パネル本体と所定の間隔があくように設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の壁面構造または壁面構築方法。
【請求項6】
前記連結部材は、隣接する前記パネル本体に係合する係合面が隣接する前記パネル本体と所定の間隔があくように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の壁面構造または壁面構築方法。
【請求項7】
前記突出部は、板状の前記連結部材が曲げ加工されて形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の壁面構造または壁面構築方法。
【請求項8】
前記突出部は、前記パネル本体の背面に前記連結部材を締結させる締結部材であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の壁面構造または壁面構築方法。
【請求項9】
前記突出部は、前記パネル本体の背面に組み立てられた棒状補強材に係合させられて前記裏込部に埋められることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の壁面構造または壁面構築方法。
【請求項10】
前記パネル本体、前記パネル本体の背面に埋められた前記裏込部、および前記裏込部の背面にある既設構造体または法面に棒状部材または線状部材が挿入され、挿入された前記棒状部材または前記線状部材の周りに充填材が充填されることにより、前記パネル本体から構成される壁面が前記既設構造体または法面の前面に固定されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の壁面構造または壁面構築方法。
【請求項11】
前記パネル本体と別体に形成されてその背面に取り付けられる枠部材と前記パネル本体の背面の少なくとも一部とに囲まれて空間が形成されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の壁面構造または壁面構築方法。
【請求項12】
前記パネル本体と別体に形成されて前記パネル本体を自立させる支持体が前記パネル本体の背面側に延出して設けられることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の壁面構造または壁面構築方法。
【請求項13】
前記支持体は、前記パネル本体の下端部より高い位置からその背面側に延出して設けられることを特徴とする請求項12に記載の壁面構造または壁面構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−1976(P2012−1976A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138268(P2010−138268)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510169446)
【出願人】(510169457)
【Fターム(参考)】