説明

売上データ処理装置、顧客特定情報発行システム及びプログラム

【課題】正規に商品を購入した顧客のみがその商品を使用できるようにする。
【解決手段】本発明に係るID情報発行システム100によれば、ECR1は、取引された商品の商品コードが入力されると、入力された商品コードに対応する売上データを更新し、通信ネットワークNを介してメーカのサーバ2に接続し、入力された商品コードを含む商品販売情報をサーバ2に送信し、取引された商品を購入した顧客へのID情報及びパスワードの発行要求を行う。サーバ2は、ECR1から商品販売情報を受信すると、受信した商品コードに基づき、販売された商品が正規商品であるか否かを判断し、正規商品である場合に、ID情報及びパスワードの発行を行い、商品販売情報の送信元のECR1に送信する。ECR1においては、サーバ2からID情報及びパスワードを受信すると、受信されたID情報及びパスワードをレシート上に印刷して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を購入した顧客を特定するための顧客特定情報を発行する売上データ処理装置、顧客特定情報発行システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ソフトウエア商品のパッケージには、シリアル番号やIDが同梱されており、購入した商品をインストールする際、或いはその商品に対する技術サポート等のサービスを受けるためのユーザ登録を行う際には、このシリアル番号やIDが必要となる。しかしながら、商品を購入した購入者でなくとも、シリアル番号やIDを類推したり、不正に取得したりすることによりインストールやユーザ登録が可能となってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、正規に商品を購入していない第3者がある商品のソフトウエアIDを見て前後の番号を使用してユーザ登録を行おうとしてもユーザ登録ができないようにソフトウエアIDの正規性をチェックする技術が記載されている。
【特許文献1】特開平10−31653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、第3者がソフトウエアIDを類推してユーザ登録を行ったり、インストールしたりすることは防止することができるが、商品にシリアル番号やIDが同梱されているため、商品を購入することなく不正に商品を入手した者でもインストールできてしまうという問題があった。
【0005】
また、メーカが既に出荷を終了している旧バージョンのソフトウエア商品等、メーカが正規に出荷していない商品が販売されていても、商品にシリアル番号やIDが同梱されているため、メーカ側で管理することができず、このシリアル番号やIDを用いてインストールして使用することが可能となっていた。
【0006】
本発明の課題は、正規に商品を購入した顧客のみがその商品を使用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の売上データ処理装置は、
取引された商品の分類データを入力する商品入力手段と、
前記商品入力手段により入力された分類データに対応する商品の売上データを更新する売上データ更新手段と、
通信回線を介して管理装置に接続し、前記管理装置に前記商品入力手段により入力された商品の分類データを送信し、前記取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報の発行を前記管理装置に要求する分類データ送信手段と、
前記管理装置から送信された顧客特定情報を受信する受信手段と、
前記受信された顧客特定情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、
売上データ処理装置と管理装置とが通信ネットワークを介してデータ送受信可能に接続された顧客特定情報発行システムであって、
前記売上データ処理装置は、
取引された商品の分類データを入力する商品入力手段と、
前記商品入力手段により入力された分類データに対応する商品の売上データを更新する売上データ更新手段と、
前記管理装置に前記商品入力手段により入力された商品の分類データを送信し、前記取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報の発行を前記管理装置に要求する要求手段と、
前記管理装置から受信された情報を出力する出力手段と、
を備え、
前記管理装置は、
前記売上データ処理装置から受信された分類データに基づいて、前記売上データ処理装置で取引された商品が正規商品であるか否かを判断し、正規商品であると判断した場合に前記取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報を発行して前記売上データ処理装置に送信し、正規商品ではないと判断した場合に、前記顧客特定情報を発行できない旨を示す情報を前記売上データ処理装置に送信することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、
コンピュータを、
取引された商品の分類データを入力する商品入力手段、
前記商品入力手段により入力された分類データに対応する商品の売上データを更新する売上データ更新手段、
通信回線を介して管理装置に接続し、前記管理装置に前記商品入力手段により入力された商品の分類データを送信し、前記取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報の発行を前記管理装置に要求する分類データ送信手段、
前記管理装置から送信された顧客特定情報を受信する受信手段、
前記受信された顧客特定情報を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、5に記載の発明によれば、売上データ処理装置において、取引された商品の分類データが入力されると、入力された分類データに対応する商品の売上データを更新し、通信回線を介して管理装置に接続し、入力された商品の分類データを管理装置に送信し、取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報の発行を前記管理装置に要求する。そして、管理装置から顧客特定情報が受信されると、受信された顧客特定情報を出力する。従って、商品の購入時に顧客特定情報が発行された、正規に商品を購入した顧客のみがその商品を使用できるようにすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、管理装置から受信された顧客特定情報又は顧客特定情報が発行できない情報を出力するので、顧客が、購入した商品に対する顧客特定情報が発行されたか否かを確認することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、管理装置から受信された情報をレシートに印刷するので、顧客は、購入した商品に対する顧客特定情報が発行されたか否かをレシートにより確認することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、正規に商品を購入した顧客のみがその商品を使用できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態におけるID情報発行システム100の全体構成を示す図である。図1に示すように、ID情報発行システム100は、ECR(電子式キャッシュレジスタ)1とサーバ2とが通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。通信ネットワークNは、専用線や既存の公衆回線、インターネット等を利用して構築された情報通信網である。なお、各装置の台数は、特に限定されない。また、ECR1とサーバ2との接続は、有線接続であってもよいし無線接続であってもよい。
【0016】
ECR1は、ソフトウエア等の商品の販売店内に設置され、取引された商品の売上データの更新等を行うとともに、顧客が購入した商品を使用する際に必要となる顧客特定情報(以下、ID情報と称する)の発行をサーバ2に要求し取得する機能を備えた売上データ処理装置である。
サーバ2は、管理者側、例えば、商品メーカの管理装置であり、ECR1から商品を購入した顧客を特定するためのID情報の発行が通信ネットワークNを介して要求されると、販売された(購入された)商品が現在メーカが出荷している正規商品であるか否かを判断し、正規商品である場合にID情報を発行する。
【0017】
なお、ID情報発行システム100において、ECR1を設置している各販売店には販売店IDが付与されており、販売店IDによりID情報発行システム100において各販売店を個々に特定することが可能となっている。また、各メーカのサーバ2にはサーバIDが付与されており、サーバIDによりID情報発行システム100において各メーカのサーバ2を個々に特定することが可能となっている。
【0018】
以下、ID情報発行システム100を構成する各装置について説明する。
まず、ECR1について説明する。
【0019】
図2は、ECR1の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、ECR1は、CPU101、入力装置102、RAM103、伝送制御部104、表示装置105、印刷装置106、記録装置107、ドロア108、バーコードリーダ109等を備えて構成され、各装置及び各部はバス110により接続されている。
【0020】
CPU(Central Processing Unit )101は、記録装置107に記憶されているシステムプログラムを読み出し、RAM103内に形成されたワークエリアに展開し、該システムプログラムに従ってECR1の各装置、各部を制御する。また、CPU101は、記録装置107に記憶されている売上データ処理プログラム、ID情報取得処理プログラムを始めとする各種処理プログラムを読み出してワークエリアに展開し、後述する売上データ処理(図6参照)、ID情報取得処理(図7参照)を始めとする各種処理を実行する。
【0021】
入力装置102は、ECR1の各種動作(登録、点検、精算、停止等)を切り換えるモードキー、数値を入力するためのテンキー、文字を入力するための文字キー、各種機能を指示するためのファンクションキー、等を備え、各キー操作に応じた操作信号をCPU101に出力する。また、必要に応じて表示装置105にタッチパネル等のポインティングデバイスを備える構成としてもよい。
【0022】
RAM(Random Access Memory)103は、CPU101により実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、各処理において処理中のデータ、処理結果などを一時的に格納するワークエリア103aを形成する。また、RAM103は、一取引の小計金額データを一時的に格納する小計金額メモリ103bを有する。
【0023】
また、RAM103は、商品別に売上データを格納するPLU(Price Look Up)ファイル103cを記憶している。図3は、PLUファイル103cのデータ格納例を示す図である。図3に示すように、PLUファイル103cは、商品の分類データである商品コード(PLU番号)を格納する「商品コード」領域と、「商品コード」領域の商品コードで分類される商品の名称を示すキャラクタ(文字列)データを格納する「キャラクタ」領域と、この商品の単価を示す数値データを格納する「単価」領域と、この商品の売上金額を示す数値データを格納する「売上金額」領域と、この商品の売上個数を示す数値データを格納する「売上個数」領域と、この商品のメーカのサーバ2を特定するためのサーバIDを示す数値(或いは文字列)データを格納する「サーバID」領域と、を有する。
【0024】
更に、RAM103は、サーバ2から受信されたID情報及びパスワードを一時的に格納するID/パスワード記憶エリア103d、サーバ2から受信された案内データ(詳細後述)を格納する案内データ格納エリア103eを形成する。
【0025】
図2に戻り、伝送制御部104は、モデム、ターミナルアップアダプタ、ルータ、LANアダプタ等の通信機器により構成され、通信ネットワークNを介してサーバ2とデータ送受信を行う。
【0026】
表示装置105は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、CPU101から入力される各種指示に従って各種演算結果、ガイダンス等の表示を行う。
【0027】
印刷装置106は、例えば、サーマルプリンタであり、レシート用、ジャーナル用(商品取引内容の記録用)のロール紙を有し、CPU101から入力される指示に従って、各ロール紙に対して取引(登録)された商品の名称、金額等を売上明細として印刷する。また、レシート用のロール紙に対してサーバ2から送信されたID情報の印刷を行う。
【0028】
記録装置107は、HDD(Hard Disc Drive)や不揮発性の半導体メモリ等により構成され、CPU101で実行されるシステムプログラム、売上データ処理プログラム、ID情報取得処理プログラムを始めとする各種処理プログラム、各種データ等を記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU101は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0029】
ドロア108は、現金を収納する引出しである。
【0030】
バーコードリーダ109は、CCD(Charged Coupled Device)スキャナ、レーザスキャナ等を有し、商品に付されたJANコード等のバーコードの画像を光学的に読み取り、読み取られたバーコード画像を解析して商品コードを取得し、CPU101に出力する。
【0031】
図4は、サーバ2の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、サーバ1は、CPU201、RAM202、記録装置203、伝送制御部204等を備えて構成され、各装置及び各部はバス205により接続されている。
【0032】
CPU201は、記録装置203に記憶されているシステムプログラムを読み出し、RAM202内に形成されたワークエリアに展開し、該システムプログラムに従ってサーバ2内の各装置及び各部を制御する。また、CPU201は、記録装置203に記憶されているID発行登録処理プログラムを始めとする各種処理プログラム読み出してワークエリアに展開して実行し、ID発行登録処理を始めとする各種処理を実行する。
【0033】
RAM202は、CPU201によって実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0034】
記録装置203は、HDDや不揮発性の半導体メモリ等により構成され、CPU201で実行されるシステムプログラム、ID発行登録処理プログラムを始めとする各種処理プログラム、各種データ等を記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU201は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0035】
また、記録装置203は、図4に示すように、現行商品ファイル203a、旧商品ファイル203b、商品販売情報登録ファイル203cを記憶している。
【0036】
図5(a)は、現行商品ファイル203aのデータ格納例を示す図である。現行商品ファイル203aは、現在メーカが出荷しており、且つ、ID情報の発行が必要な商品の情報を記憶するファイルである。図5(a)に示すように、現行商品ファイル203aは、商品の分類データである商品コードを格納する「商品コード」領域と、「商品コード」領域の商品コードで分類される商品のメーカ標準価格を示す数値データを格納する「価格」領域と、この商品のバージョン情報を示すデータを格納する「バージョン情報」領域と、を有している。
【0037】
図5(b)は、旧商品ファイル203bのデータ格納例を示す図である。旧商品ファイル203bは、メーカが出荷を終了した商品の情報を記憶するファイルである。図5(b)に示すように、旧商品ファイル203bは、商品の分類データである商品コードを格納する「商品コード」領域と、この商品コードで示される商品のバージョン情報を示す数値データを格納する「バージョン情報」領域と、この商品が旧商品であることを案内するための文字列データを格納する「バージョン案内データ」領域と、を有している。
【0038】
なお、現行商品ファイル203aに登録されているデータのうち出荷終了から一定期間経過した商品の商品コードのデータは旧商品ファイル203bに移動される。
【0039】
図5(c)は、商品販売情報登録ファイル203cのデータ格納例を示す図である。
商品販売情報登録ファイル203cは、ECR1から商品販売情報が送信された際に、その商品を購入した顧客に対して発行したID情報及びパスワード、購入された商品に関する商品販売情報(商品コード、販売価格、販売店ID、販売日時)、及び当該商品を購入した顧客に関する情報(ユーザ情報)を対応付けて記憶するファイルであり、図5(c)に示すように、「ID情報」領域、「パスワード」領域、「商品コード」領域、「販売価格」領域、「販売店ID」領域、「販売日時」領域、「氏名」領域、「住所」領域、「電話番号」領域、「メールアドレス」領域等を有している。
【0040】
伝送制御部204は、モデム、ターミナルアップアダプタ、ルータ、LANアダプタ等の通信機器により構成され、通信ネットワークNに接続されたECR1との間でデータ送受信を行う。
【0041】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
図6は、ECR1のCPU101により実行される売上データ処理を示すフローチャートである。当該処理は、ECR1の動作モードが登録モードのときにCPU101と記録装置107に記憶されている売上データ処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0042】
登録モードにおいて、バーコードリーダ109により取引対象の商品に付与されたバーコードが読み取られ、取引対象の商品の商品コードが入力されると(ステップS1;YES)、この商品コードの入力が一取引の最初の入力であるか否かが判断され、一取引の最初の入力であると判断された場合は(ステップS2;YES)、RAM103の小計金額メモリ103bがクリアされる(ステップS3)。
【0043】
次いで、ステップS1で入力された商品コードによりPLUファイル103cが検索され、入力された商品コードの売上データ(売上金額、売上個数)が更新され(ステップS4)、取引された商品の名称(又は商品コード)、金額等の商品データが印刷装置106によりレシート用のロール紙及びジャーナル用のロール紙に印刷されるとともに、表示装置105に表示され(ステップS5)、商品の金額がRAM103の小計金額メモリ103bに加算される(ステップS6)。そして、図7に示すID情報取得処理が実行される(ステップS7)。
【0044】
図7は、ステップS7においてCPU101により実行されるID情報取得処理を示すフローチャートである。当該処理は、CPU101と記録装置107に記憶されているID情報取得処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0045】
ID情報取得処理においては、まず、伝送制御部104により、通信ネットワークNを介して、取引された商品のメーカのサーバ2(PLUファイル103cにおいてステップS1で入力された商品コードに対応付けて記憶されているサーバIDにより特定されるサーバ2)に通信接続され、当該商品の商品販売情報(商品コード、販売価格(単価)、販売店ID)が当該商品のメーカのサーバ2に送信され、ID情報の発行要求が行われる(ステップS101)。サーバ2への商品販売情報送信後、接続先のサーバ2からのデータ受信が待機される。
【0046】
ここで、サーバ2においては、図8に示すID発行登録処理のステップS201〜 S209が実行され、ECR1で取引された商品、即ち、販売された商品が現在メーカの出荷している正規商品であるか否かを判断し、正規商品であると判断した場合に、その商品を購入した顧客が商品を使用する際に必要となるID情報及びパスワード(例えば、商品がソフトウエアである場合、ソフトウエアをインストールする際に必要となるID情報、及びパスワード)を発行し、ECR1に送信する。販売された商品のバージョンが古く、現在メーカの出荷している正規商品ではないと判断した場合、ID情報及びパスワードを発行せず旧バージョンであることを通知するバージョン案内データをECR1に送信する。販売された商品がID情報の発行が不要な商品である場合には、ECR1にID不要であることを示すID不要案内データ(例えば、“この商品にはID取得は不要です。”等のメッセージデータ)を送信する。図8の処理については後述する。
【0047】
ECR1において、伝送制御部104によりサーバ2からのID情報及びパスワードが受信されると(ステップS102;YES)、受信されたID情報及びパスワードが、ステップS1で入力された商品コードと対応付けてID/パスワード記憶エリア103dに一時記憶される(ステップS103)。伝送制御部104によりサーバ2からのID情報及びパスワードが受信されず(ステップS102;NO)、案内データ(バージョン案内データ又はID不要案内データ)が受信されると(ステップS104;YES)、受信されたバージョン案内データ又はID不要案内データが、ステップS1で入力された商品コードと対応付けて案内データ記憶エリア103eに一時記憶され(ステップS105)、処理は図6のステップS1に戻る。なお、サーバ2は、ECR1にID情報及びパスワード、バージョン案内データ、又はID不要案内データを送信する際には、送信するデータの内容をECR1で識別可能な識別子を付加して送信するので、ECR1において何れのデータが送信されたかを認識することができる。
【0048】
図6のステップS1において、バーコードリーダ109から商品コードが入力されず(ステップS1;NO)、入力装置102の締め処理を指示するための締めキーが操作され、締め処理が指示されると(ステップS8;YES)、締め処理が実行される(ステップS9)。即ち、小計金額メモリ103bに格納されている当該取引の小計金額が読み出され、印刷装置106によりレシート用のロール紙及びジャーナル用のロール紙に印刷されるとともに表示装置105に表示される。また、受領金額に基づき、つり銭金額の算出等が行われ、レシート用のロール紙及びジャーナル用のロール紙に印刷される。
【0049】
締め処理が終了すると、ID/パスワード記憶エリア103dが参照され、ID情報及びパスワードが記憶されている場合は(ステップS10;YES)、ID/パスワード記憶エリア103dに記憶されている商品コードに対応する商品名称のキャラクタデータがPLUファイル103cから読み出され、印刷装置106により、商品名称とID情報及びパスワードが対応付けられてレシート用のロール紙に印刷され(ステップS11)、ID/パスワード記憶エリア103dに記憶されているデータがクリアされる(ステップS12)。また、案内データ記憶エリア103eが参照され、バージョン案内データ又はID不要案内データが記憶されている場合は(ステップS13;YES)、案内データ記憶エリア103eに記憶されている商品コードに対応する商品名称のキャラクタデータがPLUファイル103cから読み出され、印刷装置106により、商品名称とバージョン案内データ又はID不要案内データが対応付けられてレシート用のロール紙に印刷され(ステップS14)、案内データ記憶エリア103eに記憶されているデータがクリアされる(ステップS15)。そして、一取引分のレシートが発行され(ステップS16)、処理はステップS1に戻る。
【0050】
図8は、サーバ2のCPU201により実行されるID発行登録処理を示すフローチャートである。当該処理は、CPU201と記録装置203に記憶されているID発行登録処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0051】
サーバ2において、伝送制御部204によりECR1からの商品販売情報(商品コード、販売価格(単価)、販売店ID)が受信されると(ステップS201;YES)、受信された商品販売情報に含まれる商品コードを検索キーとして現行商品ファイル203aが検索される(ステップS202)。現行商品ファイル203aから当該商品コードを含むレコードが検索された場合(ステップS203;YES)、商品を購入した顧客を特定するためのID情報及びパスワードが発行され、受信された商品販売情報と対応付けて商品販売情報登録ファイル203cに記憶され(ステップS204)、発行されたID情報及びパスワードが伝送制御部204により商品販売情報の送信元のECR1に送信され(ステップS205)、処理はステップS201に戻る。
【0052】
ここで、現行商品ファイル203aは、現在メーカの出荷している正規商品の情報を格納するファイルであり、現行商品ファイル203aから商品コードを検索キーとして検索された商品は正規商品であると判断され、ID情報及びパスワードの発行が行われる。なお、ステップS204においては、商品販売情報登録ファイル203cの「ID情報」領域に発行されたID情報が記憶され、「パスワード」領域に発行されたパスワードが記憶され、「商品コード」領域に受信された商品コードが記憶され、「販売価格」領域に受信された販売価格のデータが記憶され、「販売店ID」領域に受信された販売店IDが記憶され、「販売日時」領域に商品販売情報が受信された日付及び時刻情報が記憶される。
【0053】
一方、現行商品ファイル203aから当該商品コードを含むレコードが検索されなかった場合(ステップS203;NO)、受信された商品販売情報に含まれる商品コードを検索キーとして旧商品ファイル203bが検索される(ステップS206)。旧商品ファイル203bから当該商品コードを含むレコードが検索された場合(ステップS207;YES)、販売された商品はすでにメーカが出荷を終了した商品であり、正規商品ではないと判断され、ID情報及びパスワードは発行されず、当該ファイルの検索されたレコードの「バージョン情報」領域に記憶されているバージョン案内データが読み出され、伝送制御部204により商品販売情報の送信元のECR1に送信され(ステップS208)、処理はステップS201に戻る。
【0054】
ここで、バージョン案内データは、ID情報及びパスワードが発行できない旨を示す情報であり、「バージョンが旧タイプです」等の案内のほか、新バージョンの案内や、新バージョンと当該バージョンとの差分データを入手可能なURLの情報等を含めることが好ましい。
【0055】
一方、受信された商品販売情報に含まれる商品コードの情報が現行商品ファイル203aからも旧商品ファイル203bからも検索されない場合(ステップS207;NO)、ID不要案内データが伝送制御部204により商品販売情報の送信元のECR1に送信され(ステップS209)、処理はステップS201に戻る。
【0056】
一方、ステップS201において、伝送制御部204により、ECR1からの商品販売情報でなく、図示しないユーザ端末(顧客の端末)からID情報、パスワードが受信されると(ステップS210;YES)、ユーザ登録処理が実行され(ステップS211)、処理はステップS201に戻る。ユーザ登録処理においては、商品販売情報登録ファイル203cが検索され、受信されたID情報及びパスワードを含むレコードが商品販売情報登録ファイル203cに存在した場合、送信元のユーザ端末にユーザ情報(ユーザの氏名、住所、電話番号、メールアドレス)の送信が要求され、ユーザ端末からユーザ情報が受信されると、受信されたユーザ情報が、商品販売情報登録ファイル203cの検索されたレコードの氏名領域、住所領域、電話番号領域、メールアドレス領域にそれぞれ格納され、送信元ユーザに登録完了通知を送信する。受信されたID情報及びパスワードを含むレコードが商品販売情報登録ファイル203cに存在しなかった場合、送信元のユーザ端末に登録エラー通知が送信される。
【0057】
図9に、図6のステップS16において発行されるレシートの一例を示す。図9に示すように、ステップS16で発行されるレシートには、取引された商品の名称や金額等の情報と、ID情報及びパスワード、又は案内データが印刷されている。なお、印刷装置106は、ハーフカット機能を備え、締め処理においてレシートに印刷後、レシートのハーフカットを行い、取引された商品に関する情報と、サーバ2から受信されたID情報の取得結果を分離可能にすることが好ましい。
【0058】
以上説明したように、ID情報発行システム100によれば、取引された商品の商品コードが入力されると、入力された商品コードに対応する売上データを更新し、伝送制御部104により通信ネットワークNを介してメーカのサーバ2に接続し、入力された商品コードを含む商品販売情報をサーバ2に送信し、取引された商品を購入した顧客へのID情報及びパスワードの発行要求を行う。メーカのサーバ2は、ECR1から商品販売情報が受信されると、受信された商品コードに基づき、販売された商品が正規商品であるか否かを判断し、正規商品である場合に、ID情報及びパスワードの発行を行い、商品販売情報の送信元のECR1に送信する。ECR1においては、サーバ2からID情報及びパスワードを受信すると、受信されたID情報及びパスワードをレシート上に印刷して出力する。
【0059】
従って、正規に販売されている正規商品を購入した顧客のみが商品を使用するためのID情報及びパスワードを得ることができるので、正規に販売されている正規商品を購入した顧客のみが商品を使用することが可能となる。
【0060】
また、顧客が購入した商品に対してID情報及びパスワードが発行できない場合はその旨を示す情報をサーバ2からECR1へ送信し、ECR1の印刷装置106からレシート上に印刷して出力するので、顧客は、購入した商品を使用するために必要なID情報及びパスワードが発行されたか否かをレシートにより確認することができる。
【0061】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明に係るID情報発行システム100の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0062】
例えば、上記実施の形態においては、取引された商品に関する情報(名称や金額等)とともにID情報及びパスワード、バージョン案内データ、ID不要案内データを印刷することとしたが、取引された商品の情報とID情報及びパスワード等とを個別の用紙に印刷するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、取得されたID情報及びパスワード、バージョン案内データ、ID不要案内データはレシートに印刷することにより出力したが、これに限定されず、例えば、ECR1から顧客の携帯端末に赤外線通信や電子メール等により出力してもよい。
【0064】
また、ECR1において、バージョン案内データが受信された際には、直ちに表示装置105に警告表示し、販売店において、ECR1の操作者がユーザに新バージョンの商品の購入を進めることができるようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、メーカが現在出荷中の商品を正規商品として判断することとしたが、正規商品であるかの判断は、例えば、販売価格が適正か、販売店が、メーカに正規販売店として許可されている販売店か等により判断するようにし、販売価格が適正でない、或いは、正規販売店ではない場合に、サーバ2において、販売を許可しない旨をECR1に通知し、表示装置105にその旨を警告表示するようにしてもよい。
【0066】
また、ID情報を発行する際には、販売地域や販売時期により発行するIDの範囲を分けるようにしてもよい。例えば、販売商品がソフトウエアである場合、インストール時に入力するID情報に応じて動作を切り替えるプログラムを記録しておけば、販売地域や販売時期により発行するID情報を分けることで、販売地域や販売時期によりソフトウエアの動作を切り替えることができる。例えば、“1”で始まるID情報が入力されたら動作言語を日本語とし、“2”で始まるID情報が入力されたら動作言語を英語に切り替えるプログラムをソフトウエアに記録しておき、サーバ2において、販売店IDに基づき販売地域が日本と判断した場合に“1”から始まるn桁(nは所定の整数)のID情報を発行し、販売店IDに基づき販売地域が海外と判断した場合に“2”から始まるn桁のID情報を発行するようにすれば、日本で販売されたソフトウエアの動作言語を日本語とし、海外で販売されたソフトウエアの動作言語を英語とすることができる。
【0067】
また、商品の販売時にECR1からサーバ2に商品コード、販売店ID及び販売価格が送信されるので、サーバ2において、商品コード、販売店ID及び販売価格を対応付けて記憶するようにすれば、各販売店における各商品の販売価格をメーカで把握することが可能となり、不正にダンピングを行う販売店を調査することが可能となる。
【0068】
その他、ID情報発行システム100の構成、及びID情報発行システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るID情報発行システム100の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1のECR1の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図2のPLUファイル103cのデータ格納例を示す図である。
【図4】図1のサーバ2の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】(a)は、図4の現行商品ファイル203aのデータ格納例を示す図、(b)は、図4の旧商品ファイル203bのデータ格納例を示す図、(c)は、図4の商品販売情報登録ファイル203cのデータ格納例を示す図である。
【図6】図2のCPU101により実行される売上データ処理を示すフローチャートである。
【図7】図2のCPU101により実行されるID情報取得処理を示すフローチャートである。
【図8】図4のCPU201により実行されるID発行登録処理を示すフローチャートである。
【図9】図6のステップS16において発行されるレシートの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
100 ID情報発行システム
1 ECR
101 CPU
102 入力装置
103 RAM
103a ワークエリア
103b 小計金額メモリ
103c PLUファイル
103d ID/パスワード記憶エリア
103e 案内データ記憶エリア
104 伝送制御部
105 表示装置
106 印刷装置
107 記録装置
108 ドロア
109 バーコードリーダ
110 バス
2 サーバ
201 CPU
202 RAM
203 記録装置
203a 現行商品ファイル
203b 旧商品ファイル
203c 商品販売情報登録ファイル
204 伝送制御部
205 バス
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引された商品の分類データを入力する商品入力手段と、
前記商品入力手段により入力された分類データに対応する商品の売上データを更新する売上データ更新手段と、
通信回線を介して管理装置に接続し、前記管理装置に前記商品入力手段により入力された商品の分類データを送信し、前記取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報の発行を前記管理装置に要求する分類データ送信手段と、
前記管理装置から送信された顧客特定情報を受信する受信手段と、
前記受信された顧客特定情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記顧客特定情報、又は前記顧客特定情報が発行できない情報を受信し、
前記出力手段は、前記受信手段により受信された情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、レシート上に印刷を行う印刷装置であり、前記取引された商品に関する情報とともに、前記受信手段により受信された情報をレシートに印刷することを特徴とする請求項1又は2に記載の売上データ処理装置。
【請求項4】
売上データ処理装置と管理装置とが通信ネットワークを介してデータ送受信可能に接続された顧客特定情報発行システムであって、
前記売上データ処理装置は、
取引された商品の分類データを入力する商品入力手段と、
前記商品入力手段により入力された分類データに対応する商品の売上データを更新する売上データ更新手段と、
前記管理装置に前記商品入力手段により入力された商品の分類データを送信し、前記取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報の発行を前記管理装置に要求する要求手段と、
前記管理装置から受信された情報を出力する出力手段と、
を備え、
前記管理装置は、
前記売上データ処理装置から受信された分類データに基づいて、前記売上データ処理装置で取引された商品が正規商品であるか否かを判断し、正規商品であると判断した場合に前記取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報を発行して前記売上データ処理装置に送信し、正規商品ではないと判断した場合に、前記顧客特定情報を発行できない旨を示す情報を前記売上データ処理装置に送信することを特徴とする顧客特定情報発行システム。
【請求項5】
コンピュータを、
取引された商品の分類データを入力する商品入力手段、
前記商品入力手段により入力された分類データに対応する商品の売上データを更新する売上データ更新手段、
通信回線を介して管理装置に接続し、前記管理装置に前記商品入力手段により入力された商品の分類データを送信し、前記取引された商品を購入した顧客を特定する顧客特定情報の発行を前記管理装置に要求する分類データ送信手段、
前記管理装置から送信された顧客特定情報を受信する受信手段、
前記受信された顧客特定情報を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−172123(P2007−172123A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366346(P2005−366346)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】