説明

変位検出装置

【課題】 可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が反比例する変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ること。
【解決手段】 変位検出装置は、変位検出用コンデンサC1,C2,スイッチSW1,SW2,NOR回路NOR1,NOR2を有する。スイッチSW1は、NOR回路NOR1の出力Xによってオンオフ制御され、コンデンサC1を定電流回路に接続させるか、又は、接地電位に接続させるかを切り換える。スイッチSW2は、NOR回路NOR2の出力Yによってオンオフ制御され、コンデンサC2を定電流回路に接続させるか、又は、接地電位に接続させるかを切り換える。NOR回路NOR1の一方の入力にはコンデンサC1の充電電圧が入力され、他方の入力にはNOR回路NOR2の出力Yが入力されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位検出用コンデンサを用いた変位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固定部分と、固定部分に対して相対的に変位する可動部分とで構成されるシステムにおいて、その相対的変位量を検出して制御を行う変位制御や、変位量が0になるように制御する位置サーボ制御が行われている。これらの変位量を検出する方法として、差動トランス方式や静電容量変化方式が提案されているが、外部磁界の影響を受けないという利点から静電容量変化方式が使用されることが多い(例えば、特許文献1参照)。静電容量変化方式においては、図6〜図8に示すように、固定部分および可動部分のそれぞれに電極が設けられ、その電極で構成される2つのコンデンサの容量変化によって相対位置が検出される。
【0003】
図6に示す変位検出用コンデンサ100は、固定部分101に形成された円筒状の貫通孔に、円柱状の可動部分102が貫通して形成されている。図6(a)において、可動部分102は左右方向に移動可能である。固定部分101の貫通孔を形成する壁面に、同じ面積を有する円筒状の電極A、及び、電極Bが取付けられている。可動部分102の外周には、電極AおよびBに対して距離dだけ離れた位置に、電極AおよびBと同じ面積を有する円筒状の電極Cが取付けられている。
【0004】
可動部分102が図6(a)の中央位置(基準位置)にある場合に、電極Cと電極Aとの対向面積、及び、電極Cと電極Bとの対向面積が同じになるように設定すると、可動部分102がΔxだけ左に変位した場合には、電極Cと電極Aとの対向面積、及び、電極Cと電極Bとの対向面積が共に変化するので、電極A−C間容量C1は、C1=Co+kcΔx、電極B−C間容量C2は、C2=Co−kcΔxとなる。なお、Coは基準位置におけるコンデンサの容量、kcは比例定数である。ここで変位は相対変位であるので、固定部分と可動部分が逆であってもよい。
【0005】
図7に示す変位検出用コンデンサ200は、円盤を二つ領域に分割し、各半円部分を電極AおよびBとした固定部分201と、固定部分201と同じ半径の円盤であり、半円部分を電極Cとした可動部分202とが、同軸上に、電極AおよびBと電極Cとが一定の距離dだけ離れるように配置され、固定部分201に対して可動部分202が回動可能になっている。
【0006】
電極Cと電極Aとの対向面積、及び、電極Cと電極Bとの対向面積が等しくなる位置(角度)を基準位置(基準角度)とし、基準位置より角度Δθだけ図7において反時計回りに可動部分が回動したとすると、電極Cと電極Aとの対向面積、及び、電極Cと電極Bとの対向面積が共に変化するので、電極A−C間容量C1は、C1=Co+kcΔθ、電極B−C間容量C2は、C2=Co−kcΔθとなる。なお、Coは基準位置におけるコンデンサ容量、kcは比例定数である。ここで変位角は相対変位角であるので、固定部分と可動部分が逆であってもよい。
【0007】
図8に示す変位検出用コンデンサ300は、図6の変位検出用コンデンサ100と類似しているが、可動部分302の変位によって、電極Aと電極Cとの対向面積S、及び、電極Bと電極Cとの対向面積Sは一定であり、各々の電極間距離dが変化するように構成されている。ここで、電極A−C間距離をd1、電極B−C間距離をd2、電極間対向面積をS、誘電率をεとすると、C1=εS/d1、C2=εS/d2で表される。基準位置から図の右方向への変位をΔxとすると、d1=do−Δx、d2=do+Δx(ここで、doは基準位置における各電極間距離)であるので、各容量は、C1=εS/(do−Δx)、C2=εS/(do+Δx)となる。
【0008】
図6〜図8の変位検出用コンデンサは、図9に示すように2つのコンデンサC1、C2を接続した回路として表すことができ、可動部分の変位によって一方のコンデンサの容量が増加すれば、他方のコンデンサの容量が減少する構成となっている。
【0009】
上記のように構成された変位検出用コンデンサの可動部分の変位に対する容量変化を検出する回路として、図10に示すような同期検波型の検出回路が提案されている。図10では、変位検出用のコンデンサC1、C2の共通電極側(電極C)がオペアンプの反転入力端子(仮想接地)に接続され、他方の各電極は、それぞれ振幅が同じで逆相関係となっている矩形波発振出力に接続されている。
【0010】
従って、オペアンプの反転入力端子に流れ込む電流は、C1、C2の内、容量の大きい方の入力矩形波位相であり、電流値は2つの容量の差の絶対値に比例する。すなわち、前段の増幅器の出力はC2−C1に比例した矩形波出力となり、それを一方の極性で同期検波し、LPFによって矩形波成分を除去することにより、変位の方向(出力電位の正負)と変位量(出力電圧の絶対値)とを検出することができる。
【0011】
しかし、この検出回路においては、2つのコンデンサC1、C2の容量の差に比例した出力を得ることになるので、C1−C2が変位量Δx、又は、変位角Δθに比例する場合には有効であるが、比例しない場合(例えば反比例する場合)には線形な変位を検出することができない。
【0012】
例えば、図6の場合にはC1−C2=2kcΔxであり、図7の場合にはC1−C2=2kcΔθであり、いずれも変位または変位角が対向面積の変化であるので、それぞれ変位もしくは変位角に比例した検出出力を得ることができる。しかし、図8の場合には、変位が電極間距離の変化として現われ、容量が変位に反比例することになるので、C1−C2=2εSΔx/(do−Δx)であり、変位Δxが分母にも現われ、C1−C2は変位に比例せず、その結果、変位に比例した検出出力を得ることができない。また、検出のため別に矩形波発振器(発振回路)を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−222654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が反比例する変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる変位検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の好ましい実施形態による変位検出装置は、固定部分と、前記固定部分に対して変位する可動部分とを有し、前記固定部分および前記可動部分の内の一方が、第1電極および第2電極を含み、前記固定部分および前記可動部分の内の他方が、前記第1電極および前記第2電極に対向する部分に第3電極を含み、前記第1電極と前記第3電極とにより第1コンデンサが構成され、前記第2電極と前記第3電極とにより第2コンデンサが構成され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの一方の容量が増加するときに、他方の容量が減少する変位検出用コンデンサと、前記第1コンデンサ、及び、前記第2コンデンサの内の一方を定電流によって充電させている期間に、他方のコンデンサを放電させ、充電中のコンデンサの充電電圧が基準電圧に到達したとき、前記第1コンデンサ、及び、前記第2コンデンサの充電および放電を切換えるスイッチ手段と、前記第1コンデンサの充電期間中には第1レベルであり、前記第2コンデンサの充電期間中には第2レベルである第1出力信号の平均値と、前記第1コンデンサの充電期間中には前記第2レベルであり、前記第2コンデンサの充電期間中には前記第1レベルである第2出力信号の平均値との差を出力する出力手段とを備える。
【0016】
好ましい実施形態においては、前記スイッチ手段が、第1NOR回路から出力される前記第1出力信号によって制御され、前記第1コンデンサを前記定電流を出力する定電流回路に接続させるか、又は、接地電位に接続させるかを切り換える第1スイッチ素子と、第2NOR回路から出力される前記第2出力信号によって制御され、前記第2コンデンサを前記定電流回路に接続させるか、又は、接地電位に接続させるかを切り換える第2スイッチ素子と、一方の入力に前記第1コンデンサの充電電圧が供給され、他方の入力に前記第2NOR回路からの前記第2出力信号が入力され、前記第1出力信号を前記第1スイッチ素子の入力に供給する前記第1NOR回路と、一方の入力に前記第2コンデンサの充電電圧が供給され、他方の入力に前記第1NOR回路からの前記第1出力信号が入力され、前記第2出力信号を前記第2スイッチ素子の入力に供給する前記第2NOR回路とを有する。
【0017】
好ましい実施形態においては、前記第1コンデンサの容量をC1、前記第2コンデンサの容量をC2とすると、前記出力手段の出力が(C1−C2)/(C1+C2)に比例する。
【発明の効果】
【0018】
可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が反比例する変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を出力することができる変位検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好ましい実施形態による変位検出装置1を示す回路ブロック図である。
【図2】NOR回路NOR1、NOR2の出力と、スイッチ素子SW1、SW2の動作との関係を示す図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態による変位検出装置1の詳細回路図である。
【図4】インバータINV、INV2の内部構成を示す回路図である。
【図5】コンデンサC1、C2の充電電圧と、NOR回路NOR1、NOR2の出力との関係を示すタイミングチャートである。
【図6】変位検出用コンデンサの構造を示す図である。
【図7】変位検出用コンデンサの構造を示す図である。
【図8】変位検出用コンデンサの構造を示す図である。
【図9】変位検出用コンデンサC1、C2の接続関係を示す回路図である。
【図10】従来の変位検出回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態による変位検出装置について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0021】
図1は、本実施形態の変位検出装置(以下、変位検出回路という。)1を示す回路ブロック図である。図3は、変位検出回路1の詳細回路図である。変位検出回路1は、変位検出用コンデンサC1、C2と、定電流回路2と、スイッチ手段と、出力手段とを概略備える。
【0022】
変位検出用コンデンサC1、C2は、図6〜図8のいずれかのものが採用され、詳細な構成は上記背景技術で説明した通りである。つまり、変位検出用コンデンサは、固定部分と、固定部分に対して変位する可動部分とを有する。固定部分および可動部分の内の一方は、電極A、及び、電極Bを含み、固定部分および可動部分の内の他方は、電極A及び電極Bに対向する部分に電極Cを含む。電極Aと電極CとによりコンデンサC1が構成され、電極Bと電極CとによりコンデンサC2が構成されている。
【0023】
図6、図7においては、コンデンサC1、C2の容量差C1−C2は、固定部分と可動部分との相対変位量に比例し、コンデンサC1、C2の一方の容量が増加するときに、他方の容量が減少する。図8においては、コンデンサC1、C2の容量差C1−C2は、固定部分と可動部分との相対変位量に反比例し、コンデンサC1、C2の一方の容量が増加するときに、他方の容量が減少する。図1に示すように、コンデンサC1、C2の共通電極側(電極C)は接地電位に接続されている。
【0024】
定電流回路2は、コンデンサC1、C2の内の一方に対して定電流Ioを供給する回路であり、一般的な定電流回路が採用されている。
【0025】
スイッチ手段は、コンデンサC1、C2の内の一方を定電流回路2に接続し、定電流Ioによって充電させている期間に、他方のコンデンサを接地電位に接続し、放電させ、充電中のコンデンサの充電電圧が基準電圧に到達したとき、コンデンサC1、C2の充電および放電を切換える。
【0026】
スイッチ手段は、スイッチ素子SW1、SW2と、RSフリップフロップ回路3とを有する。RSフリップフロップ回路3は、NOR回路NOR1、NOR2を含む。NOR回路NOR1の一方の入力は、コンデンサC1の共通電極側でない電極(電極A)に接続され、その他方の入力は、NOR回路NOR2の出力端子に接続され、その出力端子は、スイッチ素子SW1の入力に接続されている。NOR回路NOR2の一方の入力は、コンデンサC2の共通電極側でない電極(電極B)に接続され、その他方の入力は、NOR回路NOR1の出力端子に接続され、その出力端子は、スイッチ素子SW2の入力に接続されている。
【0027】
スイッチ素子SW1は、NOR回路NOR1の出力Xによって制御され、コンデンサC1の共通電極側でない電極を定電流回路2に接続させるか、又は、接地電位に接続させるかを切り換える。つまり、スイッチ素子SW1は、図2に示すように、NOR回路NOR1の出力Xが第1レベル(本例ではハイレベル)であるときに、オン状態となり、コンデンサC1の共通電極側でない電極を定電流回路2に接続させる。その結果、コンデンサC1を定電流Ioによって充電させる。一方、スイッチ素子SW1は、NOR回路NOR1の出力Xが第2レベル(本例ではローレベル)であるときに、オフ状態となり、コンデンサC1の共通電極側でない電極を接地電位に接続させる。その結果、コンデンサC1を放電させる。
【0028】
スイッチ素子SW2は、NOR回路NOR2の出力Yによって制御され、コンデンサC2の共通電極側でない電極を定電流回路2に接続させるか、又は、接地電位に接続させるかを切り換える。つまり、スイッチ素子SW2は、図2に示すように、NOR回路NOR2の出力Yがハイレベルであるときに、オン状態となり、コンデンサC2の共通電極側でない電極を定電流回路2に接続させる。その結果、コンデンサC2を定電流Ioによって充電させる。一方、スイッチ素子SW2は、NOR回路NOR2の出力Yがローレベルであるときに、オフ状態となり、コンデンサC2の共通電極側でない電極を接地電位に接続させる。その結果、コンデンサC2を放電させる。
【0029】
例えば、スイッチ素子SW1、SW2には、図3に示すように1gate−COMSインバータ(例えば東芝製のTC7SU04F)INV1、INV2がそれぞれ採用される。図4は、インバータINV1、INV2の内部構成を示す回路図である。例えば、インバータINV1について説明すると、NOR回路NOR1の出力Xがハイレベルのとき、PMOSがオン、NMOSがオフになるので、定電流回路2がコンデンサC1に接続される。一方、NOR回路NOR1の出力Xがローレベルのとき、PMOSがオフ、NMOSがオンになるので、コンデンサC1が接地電位に接続される。
【0030】
図5に示すように、時刻t1において、NOR回路NOR1の出力Xがハイレベルに、NOR回路NOR2の出力Yがローレベルになったとする。スイッチSW1はオン状態に、スイッチSW2はオフ状態になり、コンデンサC1は定電流回路2に接続され、定電流Ioによって時刻t1からt2にかけて徐々に充電され(Va参照)、コンデンサC2は時刻t1に接地電位に接続され瞬時に放電される(Vb参照)。
【0031】
時刻t2において、コンデンサC1の充電電圧VaがNOR回路NOR1の基準電圧Vrefに達すると、NOR回路NOR1の出力Xがローレベルに反転し、その結果、スイッチSW1がオフ状態になる。従って、コンデンサC1は時刻t2に接地電位に接続され瞬時に放電される。このとき、NOR回路NOR2の両入力がローレベルとなるので、NOR回路NOR2の出力Yはハイレベルに反転し、スイッチSW2がオン状態になる。従って、コンデンサC2は定電流回路2に接続され定電流Ioによって時刻t2からt3にかけて徐々に充電される(Vb参照)。
【0032】
時刻t3において、コンデンサC2の充電電圧VbがNOR回路NOR2の基準電圧Vrefに達すると、NOR回路NOR2の出力Yがローレベルに反転し、スイッチSW2がオフ状態になる。従って、コンデンサC2は時刻t3に接地電子に接続され瞬時に放電される。このとき、NOR回路NOR1の両入力がローレベルとなるので、NOR回路NOR1の出力Xはハイレベルに反転し、スイッチSW1がオン状態になる。従って、コンデンサC1は定電流回路2に接続され定電流Ioによって徐々に充電される(Va参照)。以後、上記の動作が繰り返される。
【0033】
図1に戻って、出力手段は、コンデンサC1の充電期間中にはハイレベルであり、コンデンサC2の充電期間中にはローレベルである上記出力Xの平均値と、コンデンサC1の充電期間中にはローレベルであり、コンデンサC2の充電期間中にはハイレベルである上記出力Yの平均値との差を生成し、出力する。
【0034】
出力手段は、出力X、出力Yを生成するRSフリップフロップ回路3と、出力Xの平均値と、出力Yの平均値との差を生成する差動手段4と、差動手段4の出力から高周波成分(矩形波成分)を除去するLPF(低域通過フィルタ)5とを有する。
【0035】
差動手段4とLPF5とは、図3に示すように、抵抗R1〜R4、コンデンサC3〜C4、および、オペアンプ6を含む差動LPFによって構成されている。ここで、抵抗R1〜R4の抵抗値は等しく、コンデンサC3とC4との容量は等しい。これにより、差動LPFは、出力Xの平均値から、出力Yの平均値を減算した信号を出力することができる。
【0036】
以下、変位検出回路1が、図6〜図8のいずれの変位検出用コンデンサC1、C2を用いた場合でも、可動部分の変位に比例した検出出力を得ることができることを説明する。図5に示すように、出力Xがハイレベルであり、出力Yがローレベルである期間をパルス幅T1、出力Xがローレベルであり、出力Yがハイレベルである期間をパルス幅T2とすると、T1、T2はそれぞれ次式で表される。
T1=Vref・C1/Io (式1)
T2=Vref・C2/Io (式2)
【0037】
ここで、T1+T2がコンデンサC1、C2の可動部分の変位周期よりも十分に短くなるように定電流Ioを設定するなら、出力Xの平均値Vave(x)、出力Yの平均値Vave(y)はそれぞれ次式で表される。
Vave(x)=T1・Vdd/(T1+T2) (式3)
Vave(y)=T2・Vdd/(T1+T2) (式4)
ここで、Vddは、NOR回路NOR1、NOR2の電源電圧である(Vss=0としている)。
【0038】
従って、出力Xの平均値と、出力Yの平均値との差を出力Vaveとすると、Vaveは次式で表される。
Vave=Vave(x)−Vave(y)=(T1−T2)・Vdd/(T1+T2) (式5)
このように、(T1−T2)/(T1+T2)に比例した出力を得ることができる。
【0039】
(T1−T2)/(T1+T2)をC1、C2を使って変形すると、次式になる。
【数1】

従って、検出出力Vaveは、(C1−C2)/(C1+C2)に比例する。
【0040】
ここで、図6の変位検出用コンデンサC1、C2を用いる場合、上記の通り、C1=Co+kcΔx、C2=Co−kcΔxであるので、(C1−C2)/(C1+C2)は次式に変形される。
(C1−C2)/(C1+C2)=kcΔx/Co (式7)
従って、検出出力Vaveは、変位量Δxに比例する。
【0041】
図7の変位検出用コンデンサC1、C2を用いる場合、上記の通り、C1=Co+kcΔθ、C2=Co−kcΔθであるので、(C1−C2)/(C1+C2)は次式に変形される。
(C1−C2)/(C1+C2)=kcΔθ/Co (式8)
従って、検出出力Vaveは、変位角Δθに比例する。
【0042】
図8の変位検出用コンデンサC1、C2を用いる場合、上記の通り、C1=εS/(do−Δx)、C2=εS/(do+Δx)であるので、(C1−C2)/(C1+C2)は次式に変形される。
(C1−C2)/(C1+C2)=Δx/do (式9)
従って、検出出力Vaveは、変位量Δxに比例する。
【0043】
以上のように、図6〜図8のいずれの変位検出用コンデンサC1、C2を用いる場合であっても、検出出力Vaveは、変位検出用コンデンサC1、C2の可動部分の変位量、又は、変位角に比例することができる。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、変位検出装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0046】
1 変位検出装置
2 定電流回路
4 差動手段
5 LPF
6 オペアンプ
SW1 スイッチ素子
SW2 スイッチ素子
C1 変位検出用コンデンサ
C2 変位検出用コンデンサ
NOR1 NOR回路
NOR2 NOR回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部分と、前記固定部分に対して変位する可動部分とを有し、
前記固定部分および前記可動部分の内の一方が、第1電極および第2電極を含み、
前記固定部分および前記可動部分の内の他方が、前記第1電極および前記第2電極に対向する部分に第3電極を含み、
前記第1電極と前記第3電極とにより第1コンデンサが構成され、前記第2電極と前記第3電極とにより第2コンデンサが構成され、
前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの一方の容量が増加するときに、他方の容量が減少する変位検出用コンデンサと、
前記第1コンデンサ、及び、前記第2コンデンサの内の一方を定電流によって充電させている期間に、他方のコンデンサを放電させ、充電中のコンデンサの充電電圧が基準電圧に到達したとき、前記第1コンデンサ、及び、前記第2コンデンサの充電および放電を切換えるスイッチ手段と、
前記第1コンデンサの充電期間中には第1レベルであり、前記第2コンデンサの充電期間中には第2レベルである第1出力信号の平均値と、前記第1コンデンサの充電期間中には前記第2レベルであり、前記第2コンデンサの充電期間中には前記第1レベルである第2出力信号の平均値との差を出力する出力手段とを備える、変位検出装置。
【請求項2】
前記スイッチ手段が、
第1NOR回路から出力される前記第1出力信号によって制御され、前記第1コンデンサを前記定電流を出力する定電流回路に接続させるか、又は、接地電位に接続させるかを切り換える第1スイッチ素子と、
第2NOR回路から出力される前記第2出力信号によって制御され、前記第2コンデンサを前記定電流回路に接続させるか、又は、接地電位に接続させるかを切り換える第2スイッチ素子と、
一方の入力に前記第1コンデンサの充電電圧が供給され、他方の入力に前記第2NOR回路からの前記第2出力信号が入力され、前記第1出力信号を前記第1スイッチ素子の入力に供給する前記第1NOR回路と、
一方の入力に前記第2コンデンサの充電電圧が供給され、他方の入力に前記第1NOR回路からの前記第1出力信号が入力され、前記第2出力信号を前記第2スイッチ素子の入力に供給する前記第2NOR回路とを有する、請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記第1コンデンサの容量をC1、前記第2コンデンサの容量をC2とすると、前記出力手段の出力が(C1−C2)/(C1+C2)に比例する、請求項1または2に記載の変位検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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