説明

変形量評価支援装置、変形量評価支援方法およびプログラム

【課題】変形量を構成する曲げ成分、回転成分、ひずみ成分を分離して定量評価できる変形量評価支援装置等を提供する。
【解決手段】制御部3は、評価対象の断面のせん断中心点を設定する(S101)。次に、制御部3は、S101にて設定したせん断中心点を原点とする座標系において、変形前計算点の座標(Y、Z)、変形前計算点に対応する変形後計算点の座標(y、z)を設定する(S102)。次に、制御部3は、変形後計算点の座標(y、z)について、y=aY+bZ+c、z=aY+bZ+cと定義し、係数a、b、c、a、b、cを算出する(S103)。次に、制御部3は、係数a、a、b、bと変形勾配テンソルが等価であることを示す式を用いて、曲げ成分、回転成分、ひずみ成分の定量値を算出し(S104)、出力する(S105)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の断面の変形量の評価を支援する変形量評価支援装置、変形量評価支援方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の剛性を評価する試験が行われている。このような試験としては、例えば、リヤ側のサスペンション取付点を固定し、フロント側のサスペンション取付点横方向に荷重を与える片持ち試験、リヤのアッパーサポートを固定し、フロント側の左右アッパーサポートに上下逆の方向に荷重を加える捩り試験などがある。また、特許文献1には、操安性の評価を的確に行い得る評価方法と計測すべき計測部を特定する計測点の特定方法等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−107272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の評価方法では、変形量を構成する成分の総和の情報しか得ることができないため、横並び評価は可能であるが、車体のある点における変形量を抑制するための設計変更の情報としては不十分である。計測される変形量は、曲げ成分、剛体回転成分(以下、単に回転成分という。)、ひずみ成分によって構成されており、これらを分離せずに評価する場合、補強をする際の対策立案が勘と経験に頼らざるを得ない。
【0005】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、変形量を構成する曲げ成分、回転成分、ひずみ成分を分離して定量評価できる変形量評価支援装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために第1の発明は、物体の断面の変形量の評価を支援する変形量評価支援装置であって、評価対象の断面のせん断中心点を設定する第1の設定手段と、前記せん断中心点を原点とする座標系において、評価対象の断面内の変形前計算点の座標(Y、Z)、前記変形前計算点に対応する変形後計算点の座標(y、z)を設定する第2の設定手段と、y=aY+bZ+c、z=aY+bZ+cの係数a、b、c、a、b、cを算出する第1の算出手段と、前記係数a、a、b、bと変形勾配テンソルが等価であることを示す式を用いて、評価対象の断面の変形状態を曲げ成分、回転成分、ひずみ成分に分離して、各成分の定量値を算出する第2の算出手段と、前記曲げ成分、前記回転成分、前記ひずみ成分の各成分の定量値を出力する出力手段と、を具備することを特徴とする変形量評価支援装置である。
【0007】
第1の発明における第2の算出手段は、変形勾配テンソルから変位勾配テンソルを算出し、変位勾配テンソルを対称テンソルと反対称テンソルとに分離し、対称テンソルからひずみ成分の定量値を算出し、反対称テンソルから回転成分の定量値を算出し、係数c、cから曲げ成分の定量値を算出する。また、第2の算出手段は、対称テンソルの対角成分から圧縮ひずみ成分の定量値を算出し、対称テンソルの非対角成分からせん断ひずみ成分の定量値を算出することが望ましい。
【0008】
第1の発明における出力手段は、例えば、変形前の第1の形状、および曲げ成分、回転成分、ひずみ成分の3つの成分による変形を個々に加えた後の第2の形状、第3の形状、第4の形状をそれぞれ表示する。また、出力手段は、例えば、評価対象の断面内の任意の点ごとに、曲げ成分、回転成分、ひずみ成分による変位量を表示する。
【0009】
第2の発明は、物体の断面の変形量の評価を支援する変形量評価支援方法であって、評価対象の断面のせん断中心点を設定する第1の設定ステップと、前記せん断中心点を原点とする座標系において、評価対象の断面内の変形前計算点の座標(Y、Z)、前記変形前計算点に対応する変形後計算点の座標(y、z)を設定する第2の設定ステップと、y=aY+bZ+c、z=aY+bZ+cの係数a、b、c、a、b、cを算出する第1の算出ステップと、前記係数a、a、b、bと変形勾配テンソルが等価であることを示す式を用いて、評価対象の断面の変形状態を曲げ成分、回転成分、ひずみ成分に分離して、各成分の定量値を算出する第2の算出ステップと、前記曲げ成分、前記回転成分、前記ひずみ成分の各成分の定量値を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする変形量評価支援方法である。
【0010】
第3の発明は、コンピュータを第1の発明の変形量評価支援装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の変形量評価支援装置等により、変形量を構成する曲げ成分、回転成分、ひずみ成分を分離して定量評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンピュータのハードウェア構成図
【図2】変形量評価支援装置1の動作の詳細を示すフローチャート
【図3】変形前計測点を説明するための図
【図4】せん断中心点の一例を示す図
【図5】変形前の物体の一例を示す図
【図6】変形後の物体の一例を示す図
【図7】各成分の定量値の表示例を示す図
【図8】計算点ごとの各成分による変位量の出力の一例を示す図
【図9】計算点ごとの各成分による変位量の出力の一例を示す図
【図10】計算点ごとの各成分による変位量の出力の一例を示す図
【図11】計算点ごとの各成分による変位量の出力の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る変形量評価支援装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成図である。尚、図1のハードウェア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0015】
変形量評価支援装置1は、制御部3、記憶部5、メディア入出力部7、通信制御部9、入力部11、表示部13、周辺機器I/F部15等が、バス17を介して接続される。
【0016】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0017】
CPUは、記憶部5、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス17を介して接続された各装置を駆動制御し、変形量評価支援装置1が行う後述する処理を実現する。
ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部5、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部3が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0018】
記憶部5は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部3が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティングシステム)等が格納される。プログラムに関しては、OS(オペレーティングシステム)に相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。
これらの各プログラムコードは、制御部3により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0019】
メディア入出力部7(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、MOドライブ等のメディア入出力装置を有する。
【0020】
通信制御部9は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク19間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク19を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。
【0021】
入力部11は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。
入力部11を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
【0022】
表示部13は、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。
【0023】
周辺機器I/F(インタフェース)部15は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部15を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部15は、USBやIEEE1394やRS−232C等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0024】
バス17は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0025】
図2は、変形量評価支援装置1の動作の詳細を示すフローチャートである。変形量評価支援装置1は、物体のある断面を評価対象とし、評価対象の断面のせん断中心点の座標、断面内の変形前計算点の座標、変形前計算点に対応する変形後計算点の座標を入力とし、物体の変形量を曲げ成分、回転成分、ひずみ成分に分離して定量値を算出し、出力する。
【0026】
図3は、評価対象の一例を示す図である。21は、筒型の直方体であって、評価対象の物体である。右下がり平行斜線で示す領域23は、YZ平面と平行であって、評価対象の断面である。矢印25、27は、物体21に加える荷重を示している。右上がり平行斜線で示す領域29は、YZ平面と平行であって、固定端面である。以下、図3に示す物体の形状、境界条件、評価対象の断面位置、荷重条件を例として、変形量評価支援装置1の動作の詳細を説明する。
【0027】
図2に示すように、変形量評価支援装置1の制御部3は、評価対象の断面のせん断中心点を設定する(S101)。せん断中心点の座標は、数値解析によって、物体の形状、境界条件、評価対象の断面位置、荷重条件等から算出可能である。また、せん断中心点は、入力部11を介して入力しても良い。
【0028】
図4は、せん断中心点の一例を示す図である。点31が、せん断中心点である。せん断中心点31は、評価対象の断面23上の点である。後述する処理のため、制御部3は、図4に示すように、せん断中心点31を原点とする二次元(YZ平面)の座標系を設定する。
【0029】
制御部3は、S101にて設定したせん断中心点を原点とする座標系において、変形前計算点の座標(Y、Z)、変形前計算点に対応する変形後計算点の座標(y、z)を設定する(S102)。
【0030】
図5は、変形前の物体の一例を示す図である。右下がり平行斜線で示す領域23aは、変形前の評価対象の断面である。33a、35a、37a、39aは、変形前計算点である。計算点は、4つに限らず、少なくとも3つ以上であれば良い。少なくとも3つ以上必要な理由は、S103の説明にて後述する。変形前計算点の座標(Y、Z)は、例えば、入力部11を介して入力する。
【0031】
図6は、変形後の物体の一例を示す図である。図6に示す変形後の物体21bは、図5に示す矢印25、27による荷重によって変形したものである。右下がり平行斜線で示す領域23bは、変形前の評価対象の断面である。33b、35b、37b、39bは、変形後計算点である。変形後の物体21bの形状は、数値解析(例えば、有限要素法等)によって算出することが可能であり、変形後計算点の座標(y、z)も得られる。
【0032】
尚、せん断中心点の座標、変形前計算点の座標、変形後計算点の座標は、数値解析によらず、実際に行った剛性評価試験の結果を利用しても良い。すなわち、本発明は、数値解析によるシミュレーションに対してだけでなく、実際の試験結果にも適用可能である。
【0033】
図2の説明に戻る。制御部3は、変形後計算点の座標(y、z)について、
y=aY+bZ+c・・・(1)、
z=aY+bZ+c・・・(2)、
と定義し、係数a、b、c、a、b、cを算出する(S103)。
【0034】
式(1)、(2)は、それぞれ未定係数が3つであるから、計算点が少なくとも3つあれば、係数a、b、c、a、b、cを算出できる。また、計算点を4つ以上とした場合、回帰分析などの手法を用いて、係数a、b、c、a、b、cを算出する。
【0035】
以下、S103の処理について説明する。二次元の任意の点の運動前後の位置を関係付ける作用素として定義される変形勾配テンソルLは、運動前の座標を(y、z)、運動後の座標を(Y、Z)とすると、次式で定義される。
【0036】
【数1】

【0037】
変形勾配テンソルLは、式(1)、(2)から、次式に示すように、係数a、b、a、bを用いて表すことができる。すなわち、係数a、a、b、bと変形勾配テンソルは等価である。
【0038】
【数2】

【0039】
ここで、変位勾配テンソルDを次式で定義する。
【0040】
【数3】

【0041】
変位勾配テンソルDと変形勾配テンソルLは、
[D]=[L]−I・・・(6)
の関係が成り立つ。
【0042】
更に、変位勾配テンソルDは、次式のように、対称テンソルMと反対称テンソルNに分離すると、対称テンソルの対角項が圧縮ひずみ成分、対称テンソルの非対角項がせん断ひずみ成分を示している。また、反対称テンソルの非対角項が回転成分を示している。
【0043】
【数4】

【0044】
対称テンソルMと反対称テンソルNは、式(4)、(5)、(6)、(7)から、次式に示すように、係数a、b、a、bを用いて表すことができる。
【0045】
【数5】

【0046】
従って、式(1)、(2)を解いて、係数a、b、a、bを算出することで、対称テンソルMと反対称テンソルNを得ることができ、ひずみ成分、回転成分の定量値を得ることができる。
【0047】
また、式(1)、(2)の係数c、cは、変形前の評価対象の断面内の移動量を示しており、曲げ成分と等価である。従って、式(1)、(2)を解いて、係数c、cを算出することで、曲げ成分の定量値を得ることができる。
【0048】
以上の通り、S103において、式(1)、(2)の係数a、b、c、a、b、cを算出することで、ひずみ成分、回転成分、曲げ成分の定量値を得ることができる。
【0049】
図2の説明に戻る。制御部3は、曲げ成分、回転成分、ひずみ成分の定量値を算出する(S104)。制御部3は、S103にて算出した式(1)、(2)の係数a、b、a、bの値を式(8)、(9)に代入することで、回転成分、ひずみ成分の定量値を算出する。また、制御部3は、S103にて算出した式(1)、(2)の係数c、cを曲げ成分の定量値として算出する。
【0050】
制御部3は、曲げ成分、回転成分、ひずみ成分の定量値を出力する(S105)。制御部3は、例えば、表示部13に曲げ成分、回転成分、ひずみ成分の定量値を表示する。
【0051】
図7は、各成分の定量値の表示例を示す図である。図7に示す矩形Aは、変形前の評価対象の断面を示している。矩形Bは、矩形Aに対して、曲げ成分の変形を加えた後の評価対象の断面を示している。矩形Cは、矩形Bに対して、回転成分の変形を加えた後の評価対象の断面を示している。矩形Dは、矩形Cに対して、ひずみ成分の変形を加えた後の評価対象の断面を示している。
【0052】
曲げ成分の変形を加えることは、任意の点に対してY方向にc、Z方向にcだけ移動させることである。回転成分の変形を加えることは、任意の点に対して式(9)で定義される回転を作用させることである。ひずみ成分の変形を加えることは、任意の点に対して式(8)で定義される圧縮、せん断を作用させることである。矩形Aに対して、曲げ成分、回転成分、ひずみ成分の変形を加えた後の状態を示す矩形Dは、変形後の評価対象の断面と一致する。矩形A、B、C、Dは、全てを同時に表示しても良いし、矩形A、B、C、Dの順にアニメーション表示しても良い。
【0053】
尚、各成分の変形を加える順序は、曲げ成分、回転成分、ひずみ成分の順に限るものではなく、任意の順に行うことができる。また、前述の説明では、各成分の変形を加える対象を矩形A、矩形B、矩形Cのように順番に変更したが、各成分の変形を加える対象を全て矩形Aとしても良い。すなわち、変形前の評価対象の断面に対して、個々の成分のみの変形を加えた後の状態をそれぞれ表示するようにしても良い。
【0054】
図8から図11は、計算点ごとの各成分による変位量の出力の一例を示す図である。図8は、変形前計算点33a、変形後計算点33bに関する各成分による変位量の出力を示している。図9は、変形前計算点35a、変形後計算点35bに関する各成分による変位量の出力を示している。図10は、変形前計算点37a、変形後計算点37bに関する各成分による変位量の出力を示している。図11は、変形前計算点39a、変形後計算点39bに関する各成分による変位量の出力を示している。この例では、せん断ひずみを与える荷重を負荷しており、ひずみ成分(主に、せん断ひずみ成分)の変位量が大きくなっている。尚、S104の算出結果に基づいて、計算点以外にも評価対象の断面内の任意の点ごとに、各成分による変位量を出力することができる。
【0055】
本発明の実施形態に係る変形量評価支援装置1によれば、評価対象の断面のせん断中心点の座標、断面内の変形前計算点の座標、変形前計算点に対応する変形後計算点の座標から、物体の変形量を曲げ成分、回転成分、ひずみ成分に分離した定量値を得ることができる。これによって、車体等の設計者は、変形に大きく寄与している成分に着目して適切な補強箇所を選定し、過剰な補強を避けることが可能となる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る変形量評価支援装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0057】
1………変形量評価支援装置
3………制御部
5………記憶部
7………メディア入出力部
9………通信制御部
11………入力部
13………表示部
15………周辺機器I/F部
17………バス
19………ネットワーク
21………評価対象の物体
21a………変形前の評価対象の物体
21b………変形後の評価対象の物体
23………評価対象の断面
23a………変形前の評価対象の断面
23b………変形後の評価対象の断面
25、27………物体21に加える荷重
29………固定端面
31………せん断中心点
33a、35a、37a、39a………変形前計算点
33b、35b、37b、39b………変形後計算点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の断面の変形量の評価を支援する変形量評価支援装置であって、
評価対象の断面のせん断中心点を設定する第1の設定手段と、
前記せん断中心点を原点とする座標系において、評価対象の断面内の変形前計算点の座標(Y、Z)、前記変形前計算点に対応する変形後計算点の座標(y、z)を設定する第2の設定手段と、
y=aY+bZ+c、z=aY+bZ+cの係数a、b、c、a、b、cを算出する第1の算出手段と、
前記係数a、a、b、bと変形勾配テンソルが等価であることを示す式を用いて、評価対象の断面の変形状態を曲げ成分、回転成分、ひずみ成分に分離して、各成分の定量値を算出する第2の算出手段と、
前記曲げ成分、前記回転成分、前記ひずみ成分の各成分の定量値を出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする変形量評価支援装置。
【請求項2】
前記第2の算出手段は、前記変形勾配テンソルから変位勾配テンソルを算出し、前記変位勾配テンソルを対称テンソルと反対称テンソルとに分離し、前記対称テンソルから前記ひずみ成分の定量値を算出し、前記反対称テンソルから前記回転成分の定量値を算出し、前記係数c、cから前記曲げ成分の定量値を算出することを特徴とする請求項1に記載の変形量評価支援装置。
【請求項3】
前記第2の算出手段は、前記対称テンソルの対角成分から圧縮ひずみ成分の定量値を算出し、前記対称テンソルの非対角成分からせん断ひずみ成分の定量値を算出することを特徴とする請求項2に記載の変形量評価支援装置。
【請求項4】
前記出力手段は、変形前の第1の形状、および前記曲げ成分、前記回転成分、前記ひずみ成分の3つの成分による変形を個々に加えた後の第2の形状、第3の形状、第4の形状をそれぞれ表示することを特徴とする請求項1に記載の変形量評価支援装置。
【請求項5】
前記出力手段は、評価対象の断面内の任意の点ごとに、前記曲げ成分、前記回転成分、前記ひずみ成分による変位量を表示することを特徴とする請求項1に記載の変形量評価支援装置。
【請求項6】
物体の断面の変形量の評価を支援する変形量評価支援方法であって、
評価対象の断面のせん断中心点を設定する第1の設定ステップと、
前記せん断中心点を原点とする座標系において、評価対象の断面内の変形前計算点の座標(Y、Z)、前記変形前計算点に対応する変形後計算点の座標(y、z)を設定する第2の設定ステップと、
y=aY+bZ+c、z=aY+bZ+cの係数a、b、c、a、b、cを算出する第1の算出ステップと、
前記係数a、a、b、bと変形勾配テンソルが等価であることを示す式を用いて、評価対象の断面の変形状態を曲げ成分、回転成分、ひずみ成分に分離して、各成分の定量値を算出する第2の算出ステップと、
前記曲げ成分、前記回転成分、前記ひずみ成分の各成分の定量値を出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする変形量評価支援方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1に記載の変形量評価支援装置として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−181248(P2010−181248A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24436(P2009−24436)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】