説明

変性または炎症性関節障害の予防的および治療的処置のための栄養補助物または医薬組成物の形態における組み合わせ組成物

【課題】 変性または炎症性関節疾患の予防的および治療的処置のための栄養補助物または医薬組成物を提供する。
【解決手段】 L−カルニチンまたは低級アルカノイル−L−カルニチンとグルコサミノグリカンおよび/またはその構成成分とを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節障害の予防および治療の両方に適した組成物に関する。この組成物は、食物または栄養物の補助物または厳密な意味での薬剤としての形態をもち、その活性を発揮する。この形態および活性は、使用する特定の個人によって、また下記に明らかにされる理由によって、異なってくる。
【背景技術】
【0002】
最も多い関節疾患は骨関節症であり、これは罹患部位の関節およびその周囲の組織の肥大を伴うヒアリン軟骨および準軟骨が主に侵される疾患である。関節症は20才から30才の間は無症候であり、罹患頻度は男女同じであるが、発症は男性のほうが早い。40才前後に、ほとんどすべての者が機械的ストレスで関節になんらかの病的異常を表し始め、これらのうち比較的少数のみが明確な症候を示す。60才台になると多数の者がこの疾患に罹り、症候が明らかになってくる。
【0003】
骨関節症は、機械的、生物学的、生化学的および酵素的反応についての複合系の病理結果である。ヒアリン軟骨および周囲組織の構造および機能に損傷を与え得る感染性、代謝性、内分泌性、神経性または外傷性のすべての過程がこの疾患の病因をなす。
発症が無症候的で、見紛いやすく、徐々に進行するので、一般的に、処置がされていないと起きる主に膝および腰部の種々の程度の不全および機能的障害が現れ、持続的症候が明らかに認定されるようになって、初めて処置が取られる。
【0004】
選択される薬剤はアスピリンおよび非ステロイド性消炎剤(NSAID)であるが、その有害副作用および消化管障害作用はよく知られている。 まさにこの有害作用のために、症候がはっきりとする時まで、また生じる機能的制限が患者の職業的あるいは社会的などの活動を損ない始める時まで、医師はこれらの薬剤の使用を遅延させがちである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、症候が最初に現れた時に、あるいはもっと早く、平均的にこの症候が現れやすくなった年齢に患者が達した時に、毒性および副作用が実質的になく、安全に用いられる予防的/治療的薬剤に対して多大の要求がある。予防的および治療的処置の目的は、症候が現れるのを遅らせることと疾患の進行を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この2つの目的−予防的と厳密に治療的−は、本発明の組成物により達成される。下記するように、本発明は、基本的成分としてL−カルニチンまたはC2−C6の低級アルカノイル−L−カルニチンとグルコサミノグリカンおよび/またはグルコサミノグリカン構成成分とを含む新規組成物からなる。
【発明の効果】
【0007】
本組成物は、予想外の、かつ驚くべき抗炎症性および軟骨保護の作用を特徴とする。この性質の結果として、本新規組成物は、関節組織の代謝的機能障害に主に関する炎症性または変性関節障害の予防的または治療的処置に有効に用いられる。障害は内因的あるいは外傷や薬剤による外因的のいずれの原因でも起こり得る。本新規組成物はヒトまたは動物の両方に有効に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
代謝性機能障害の予防および治療にカルニチンが用いられることは、よく知られている。カルニチンおよびそのアルカノイル誘導体は、心筋虚血、狭心症、末梢血管疾患および種々の形のアテローマ性動脈硬化症に有用であることが分かっている。
これらのカルニチンおよびそのアルカノイル誘導体の医療上の活性は、これらの化合物が細胞および組織レベルで発揮し得る複合的生化学的活性に関連している。
【0009】
脂肪酸のベータ酸化に必須であることに加えて、カルニチンは、細胞リン脂質膜の過酸化に対し、および心筋または内皮細胞レベルで誘発される酸化ストレスに対し保護作用を発揮することにより、抗酸化について重要な役割を演じる。特に、カルニチンが炭水化物代謝およびインスリン分泌に関与することが知られている。
【0010】
しかし、L−カルニチンおよびそのアルカノイル−L-カルニチンの代謝的役割は非常に広範であり、その状態の多くは明確になっていない。カルニチンは、リノール酸からアラキドン酸の生成を増加し、この経路によって炎症を軽減するのに重要な役割を演じる。
【0011】
さらに、カルニチンは末梢マクロファージよる炎症性エイコサノイドの放出を阻害する。特に、プロピオニル−L−カルニチンはプロスタサイクリンなどの細胞保護性プロスタグランジンの効果を強化し得ることが知られている。
軟骨組織や関節軟骨あるいはグルコサミン代謝に対するL−カルニチンの直接的作用について証明はされていない。
【0012】
しかし、プロテオグリカンによりもたらされる保護作用については多くの文献で報告されている。
よく知られているように、プロテオグリカンは関節軟骨を形成する軟骨組織により生産される巨大分子である。このものが主に軟骨の機械的性質および関節の機能をもたらしている。
【0013】
プロテオグリカンはグルコサミノグリカン鎖が結合する中心的タンパク質から形成される。関節軟骨において、グルコサミノグリカンは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミン硫酸とから形成される二糖ポリマーであるコンドロイチン硫酸により主に提示される。
【0014】
硫酸でのエステル化がグルコサミンの4位または6位のいずれでなされるかにより、コンドロイチン−4−硫酸と−6−硫酸とがあり、前者はとりわけ新生児および小児に存在し、後者は成人に特有である。
【0015】
年齢が増すにつれて、プロテオグリカン代謝が遅くなり、コンドロイチン硫酸の値が低下する。
同様の状況がプロテオグリカンの不完全生合成が見られる関節症で生じる。ここでは、関節軟骨の分子構造中のプロテオグリカン集合体が部分的に解重合を起こし、コラーゲン繊維が分解する。
【0016】
グルコサミンは、プロテオグリカンの生合成に必須であり、またグルコサミノグリカンの生合成に必要なガラクトサミンアミノ糖の合成を可能にする。グルコサミンの作用に関して、損傷を受けた軟骨組織の修復を促進し得ることが報告されている。
【0017】
滑液の線維芽細胞の培養基に加えられたグルコサミンはまた、コンドロイチン硫酸およびデルマタン硫酸へのセリンの取り込みを促進し、ラットにおけるコルチゾーンによる軟骨組織損傷およびウサギにおける実験的関節症を防止する。
グルコサミンの外的投与は、経口経路でも関節損傷を改善することが知られている。
【0018】
一方では、グルコサミンは関節症により損傷を受けた関節組織レベルで重要な代謝作用を発揮し、コンドロイチン硫酸などのグルコサミノグリカンは、軟骨自体の弾性状態に必要な水を保持する作用によって、関節軟骨に機械的性質および弾性を与えている。
【0019】
関節症では軟骨の部分に水分の喪失があり、コンドロイチン硫酸の減少の結果として軟骨に弾性がなくなる。これは軟骨組織でのタンパク質分解酵素の作用によるのではないかと考えられている。
【0020】
コンドロイチン硫酸の外的投与によって、関節軟骨組織を損傷するエラスターゼなどのタンパク質分解酵素が遮断される。さらに、コンドロイチン硫酸の外的投与はプロテオグリカン生合成を促進する作用を発揮する。コンドロイチン硫酸を関節症の治療に使用すると臨床的に改善が得られることは、多くの文献に発表されており、この治療法は非ステロイド抗炎症剤(NSAID)を用いる伝統的処置と併用して良い結果が得られているが、NSAIDの代わりとまでは言われていない。
【0021】
上記した産生物の特性に基づき、これら産生物間の相互作用の可能性をL−カルニチンまたはアルカノイル−L−カルニチンとグルコサミノグリカンおよび/またはその構成成分について一連の試験を行い検討した。この新しい組み合せでなされた試験を基として、異なる実験モデルにおいて、L−カルニチンやそのアルカノイル誘導体あるいはグルコサミノグリカンやその構成成分について、既存の薬理学的知識からはまったく予測されない相乗作用の結果として、予測されない驚くべき保護作用が認められた。
【0022】
本発明の組成物は下記の構成成分の組み合せを含む:
(a)L−カルニチンまたはアルカノイル−L−カルニチン(アルカノイルは2−8、好ましくは2−6の炭素原子を有する直鎖または分枝の基である)またはこれらの薬理学的に許容される塩、
(b)グルコサミノグリカンおよび/またはグルコサミノグリカンの構成成分、
(c)薬理学的に許容される賦形剤。
【0023】
(a):(b)の重量比は、1:1から1:100の範囲にある。
グルコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸、ジャルロン酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸およびヘパラン硫酸よりなる群から選ばれる。特に、コンドロイチン硫酸は、コンドロイチン−4−硫酸またはコンドロイチン−6−硫酸のいずれかである。
【0024】
グルコサミノグリカンの構成成分は、グルコサミン、グルコサミン硫酸、N−アセチルグルコサミン、ガラクトサミンおよびN−アセチルガラクトサミンよりなる群から選ばれる。
グルコサミノグリカンまたはその構成成分は、軟骨またはコラーゲンなどの天然物から得ることができる。
【0025】
アルカノイル−L−カルニチンは、アセチル−L−カルニチン、プロピオニル−L−カルニチン、ブチリル−L−カルニチン、バレリル−L−カルニチンおよびイソバレリル−L−カルニチンよりなる群から選ばれる。アセチル−L−カルニチンおよびプロピオニル−L−カルニチンが特に好ましい。
【0026】
L−カルニチンまたはアルカノイル−L−カルニチンの薬理学的に許容される塩とは、望ましくない毒性や副作用を起こさない酸とのいかなる塩をも意味する。これらの塩の例として、限定ではなく、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アスパラギン酸塩、酸性アスパラギン酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、フマル酸塩、酸性フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルコースリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酸性マレイン酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、酸性シュウ酸塩、硫酸塩、酸性硫酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびメタンスルホン酸がある。
【0027】
FDAが承認している薬理学的に許容される塩のリストは、Int. J. Pharm. 33, (1986), 201-217 (出典明示により本明細書の一部とする)に公表されている。
さらに、本発明の組成物はビタミン、補酵素、無機質および抗酸化剤を含む。
【0028】
下記において説明を簡明にするために、L−カルニチン、コンドロイチン硫酸およびグルコサミンについてのみ言及するが、上記のアルカノイル−L−カルニチンと他のグルコサミノグリカンおよび/またはその構成成分との組み合せが本発明の目的にとって等しく効果的で、完全に実施し得るものと理解されるべきである。
【実施例】
【0029】
毒性および耐容性試験
L−カルニチンや上記のアルカノイル−L−カルニチンの低い毒性および良好な耐容性はよく知られており、またグルコサミンやコンドロイチン硫酸についても知られている。
ラットおよびマウスに経口投与したとき、これらの化合物は併用で高用量(250mg/kgのL−カルニチンおよび200mgのコンドロイチン硫酸)でも、毒性反応や非耐容性が認められなかった。150mg/kgのL−カルニチンと100mg/kgのコンドロイチン硫酸との非経口投与でも同じ結果であった。毎日100mg/kgのL−カルニチンと100mg/kgのコンドロイチン硫酸とを連続する30日間ラットに与えても、毒性による死またはその兆候は認められなかった。
これらの動物について血液化学検査および組織検査が処置終了時になされた。対照動物の対応群に比して、特別の害反応を示さなかった。
【0030】
II型コラーゲン関節炎試験
トレンタン等の記載した方法 (Trenthan D. R., Townes A. S., Kang A. H., J. Exp. Med., 146, 857, 1977) によりII型コラーゲン関節炎を誘発した。
完全フロインドアジュバント(Difco Labs., Detroit, U.S.A.)に乳化した天然コラーゲンをマウスの尾基部に皮内注射して、1群のマウスを免疫した。3週間後、マウスに同量の乳化コラーゲンを腹腔内投与した。コラーゲン投与1日後から6週間末までL−カルニチン(50mg/kgおよび10mg/kg)、グルコサミン(100mg/kgおよび200mg/kg)およびコンドロイチン硫酸(50mg/kgおよび100mg/kg)を単独または併用して注射した。1群のマウス(対照)は処置しなかった。浮腫強度の測定は1から4までの点数によって行った。この試験結果によると、L−カルニチン、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸のいずれもが単独投与では関節炎の典型的徴候に対して阻害作用を有さなかったが、その併用で高い効果を示した。L−カルニチンをグルコサミンまたはコンドロイチン硫酸のいずれかと併用したときは、関節炎の約50%の減少が認められた。
【0031】
L−カルニチンとグルコサミンおよびコンドロイチン硫酸の両方との併用では、関節炎徴候の減少はほぼ90−100%に達し、処置マウスの大部分で関節炎の徴候が見られなかった。
【0032】
アジュバント誘発関節炎試験
殺結核菌 Mycobacterium tubercolosis (Difco Labs., Detroit, USA) 0.6ngの流動パラフィンに乳化させた液を皮内投与して、ラットにアジュバント関節炎を誘発せしめた。注射はマウスの右足裏に行った(Walz D. T., Martino D., Mischer A., J. Pharmacol. Exp. Ther., 178, 223, 1971).
L−カルニチン、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸は単独または併用して、予防的にアジュバント注前15日間(各化合物100mg/kg)およびアジュバント注後15日間(各化合物200mg/kg)注射して、治効作用を観察した。関節障害に対する検査を通常の点数法および体重測定に基づき行った。
【0033】
この試験においても、化合物を単独で投与したときは関節症に対する予防的あるいは治療的効果は見られなかったが、併用すると関節症徴候の約50%減少が観察された。特に興味あることは、薬剤を予防的に投与すると、関節症徴候のの発生をほとんど完全に抑制することであった。
前の結果と同様に、今回の結果によって本発明の組成物の予測されなかった予防的、保護的および治療的作用が明らかにされ、一方、組成物の個々の構成成分は単独で投与するときまったく効果がない。
【0034】
カラゲニン浮腫試験
ラットの右足裏に1%カラゲニン溶液(Sigma Chemical) 0.1mlを注射して、カラゲニン浮腫を誘発せしめた。足の容積をカラゲニン注1時間後および5時間以上後に水銀プレチスモグラフによって測定した。
L−カルニチン、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸を50、100および200mg/kgの用量で単独および併用して、カラゲニン注の1時間前に投与した。この試験においても程度は低かったが、L−カルニチン、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸は単独でカラゲニン誘発浮腫を改善しなかったのに対し、併用では浮腫に50%近くの顕著な減少(表1参照)が特に観察の最初の数時間でもたらされた。
【0035】
上記の結果は、各化合物の単独投与では実験的誘発関節炎および炎症形態に対して阻害作用がないことからして、驚くべきかつ予測できないことである。一方、阻害作用は化合物が併用されたときに明白である。最も大きい効果は、L−カルニチン、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸の同時投与により得られる。
有意な結果は、L−カルニチンとグルコサミンの併用およびL−カルニチンとコンドロイチン硫酸の併用においても認められる。
【0036】
L−カルニチン、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸の組み合せについての予測されなかった薬理学的作用からして、機械的ストレス関連の骨関節症および炎症状態関連あるいは加齢による骨関節症の処置にこの組み合せが効果的に用いられる。
この組み合せによる処置は、その効力、良好な耐容性および低い毒性からして、望ましくない副作用および毒性反応の高い危険性のあるNSAIDよりも、特に長期間の処置において好ましいものである。
【0037】
〔表1〕
表1
ラットにおけるカルニチン、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸の単独また
は併用の、カラゲニン誘発浮腫に対する効果
物質 用量 カラゲニン注後の種々の時間における
浮腫減少%
mg/kg 1 2 3 4

L−カルニチン 100 - - - -
L−カルニチン 200 - 10±0.2 5±0.3 -

グルコサミン 100 - 5±0.3 5±0.5 5±0.6
グルコサミン 200 5±0.2 10±0.9 10±1.1 5±0.5

コンドロイチン硫酸 100 10±0.3 10±0.8 5±0.4 5±0.1
コンドロイチン硫酸 200 10±1.9 15±1.1 20±1.8 10±1.2

L−カルニチン 100
+グルコサミン 100
+コンドロイチン硫酸 100 25±1.9 30±2.1 30±2.7 25±2.4

L−カルニチン 200
+グルコサミン 200
+コンドロイチン硫酸 200 20±2.1 35±2.9 46±3.5 40±3.1
【0038】
本発明による処方の非制限的実施例を下記に示す。
1)L−カルニチン 200 mg
コンドロイチン−4−硫酸 200 mg

2)L−カルニチン 200 mg
コンドロイチン−4−硫酸 100 mg
コンドロイチン−6−硫酸 50 mg

3)L−カルニチン 200 mg
グルコサミン硫酸 200 mg

4)L−カルニチン 200 mg
コンドロイチン−4−硫酸 100 mg
グルコサミン硫酸 100 mg

5)L−カルニチン 200 mg
コラーゲン抽出物(溶解質) 300 mg

6)プロピオニル−L−カルニチン 250 mg
コンドロイチン−4−硫酸 300 mg

7)プロピオニル−L−カルニチン 250 mg
コンドロイチン−6−硫酸 400 mg

8)プロピオニル−L−カルニチン 250 mg
コンドロイチン−6−硫酸 300 mg
グルコサミン硫酸 100 mg

9)プロピオニル−L−カルニチン 250 mg
コラーゲン抽出物(溶解質) 400 mg

10)プロピオニル−L−カルニチン 200 mg
コンドロイチン−6−硫酸 200 mg
グルコサミン硫酸 100 mg
ユビデカレノン 10 mg
ビタミンE 5 mg
アスコルビン酸カルシウム 50 mg
セレン 2 mg
マンガン 6 mg
【0039】
本発明の組成物は、経腸、非経口、筋肉内、関節内または局所の投与可能な組成物の形態、例えば錠剤、カプセル、顆粒、シロップ、軟膏および液剤の形態に製剤することができる。適当な賦形剤が特定の投与経路に従って組成物の製造に用いられることは、薬学および製薬技術の通常の専門家にとって明らかであろう。
グルコサミノグリカンおよびその構成成分は、軟骨およびコラーゲンなどの天然物から抽出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)L−カルニチンまたはアルカノイル−L−カルニチン(アルカノイルは2−8、好ましくは2−6の炭素原子を有する直鎖または分枝の基である)またはこれらの薬理学的に許容される塩、
(b)グルコサミノグリカンおよび/またはグルコサミノグリカンの構成成分、
(c)薬理学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項2】
(a):(b)の重量比が1:1から1:100の範囲にある、請求項1の組成物。
【請求項3】
グルコサミノグリカンがコンドロイチン硫酸、ジャルロン酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸およびヘパラン硫酸よりなる群から選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項4】
グルコサミノグリカンの構成成分がグルコサミン、グルコサミン硫酸、N−アセチルグルコサミン、ガラクトサミンおよびN−アセチルガラクトサミンよりなる群から選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項5】
コンドロイチン硫酸がコンドロイチン−4−硫酸およびコンドロイチン−6−硫酸よりなる群から選ばれる、請求項3の組成物。
【請求項6】
L−カルニチン、コンドロイチン硫酸およびグルコサミンを含む、請求項1−5の組成物。
【請求項7】
L−カルニチン:コンドロイチン硫酸:グルコサミンの重量比が1:1:1から1:10:10の範囲にある、請求項6の組成物。
【請求項8】
アルカノイル−L−カルニチンがアセチル−L−カルニチン、プロピオニル−L−カルニチン、ブチリル−L−カルニチン、バレリル−L−カルニチンおよびイソバレリル−L−カルニチンよりなる群から選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項9】
L−カルニチンまたはアルカノイル−L−カルニチンの薬理学的に許容される塩が、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アスパラギン酸塩、酸性アスパラギン酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、フマル酸塩、酸性フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルコースリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酸性マレイン酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、酸性シュウ酸塩、硫酸塩、酸性硫酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびメタンスルホン酸よりなる群から選ばれる、請求項1−8の組成物。
【請求項10】
さらにビタミン、補酵素、無機質および抗酸化剤を含む、請求項1−9の組成物。
【請求項11】
(a)L−カルニチンまたはアルカノイル−L−カルニチン(アルカノイルは2−8、好ましくは2−6の炭素原子を有する直鎖または分枝の基である)またはこれらの薬理学的に許容される塩、および
(b)グルコサミノグリカンおよび/またはグルコサミノグリカンの構成成分
の混合物を含む、炎症過程および関節障害の予防のための食事療法補助物。
【請求項12】
グルコサミノグリカンがコンドロイチン硫酸、ジャルロン酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸およびヘパラン硫酸よりなる群から選ばれる、請求項11の食事療法補助物。
【請求項13】
グルコサミノグリカンの構成成分がグルコサミン、グルコサミン硫酸、N−アセチルグルコサミン、ガラクトサミンおよびN−アセチルガラクトサミンよりなる群から選ばれる、請求項11の食事療法補助物。
【請求項14】
コンドロイチン硫酸がコンドロイチン−4−硫酸およびコンドロイチン−6−硫酸よりなる群から選ばれる、請求項12の食事療法補助物。
【請求項15】
アルカノイル−L−カルニチンがアセチル−L−カルニチン、プロピオニル−L−カルニチン、ブチリル−L−カルニチン、バレリル−L−カルニチンおよびイソバレリル−L−カルニチンよりなる群から選ばれる、請求項11−14の食事療法補助物。
【請求項16】
L−カルニチンまたはアルカノイル−L−カルニチンの薬理学的に許容される塩が、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アスパラギン酸塩、酸性アスパラギン酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、フマル酸塩、酸性フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルコースリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酸性マレイン酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、酸性シュウ酸塩、硫酸塩、酸性硫酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびメタンスルホン酸よりなる群から選ばれる、請求項11−15の食事療法補助物。
【請求項17】
関節症および関節の急性炎症性および変性過程の治療的処置のための、経腸、非経口、筋肉内、関節内または局所の投与可能な組成物の形態における請求項1−10の組成物。
【請求項18】
錠剤、カプセル、顆粒、シロップ、軟膏および液剤の形態における、請求項17の組成物。
【請求項19】
グルコサミノグリカンまたはその構成成分が天然物から抽出される、請求項1−18の組成物。
【請求項20】
天然物が軟骨およびコラーゲンである、請求項19の組成物。

【公開番号】特開2010−163465(P2010−163465A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106685(P2010−106685)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【分割の表示】特願平11−70298の分割
【原出願日】平成11年3月16日(1999.3.16)
【出願人】(599035982)シグマ−タウ インダストリー ファーマシューティクー リウニート エス.ピー.エー. (2)
【Fターム(参考)】