説明

変色性積層体

【課題】 乾燥状態では多孔質層による色調が視認されると共に、水の適用により多孔質層が吸液状態において視認される金属光沢性は輝度に優れ、乾燥状態と吸液状態の変化性と装飾性を共に満足させた変色性積層体を提供する。
【解決手段】 金属光沢性を有する支持体2表面に、低屈折率顔料と、透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料及び/又はカラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層3を設けてなる変色性積層体1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変色性積層体に関する。更に詳細には、水等の液体の付着により鮮明な金属光沢色を現出させることのできる変色性積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホログラム像を形成した支持体上に低屈折率顔料を含有する多孔質層を設け、前記多孔質層に液体を吸液させることにより透明化して、ホログラム像を視認させる積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記積層体は、乾燥状態では低屈折率顔料による色調を呈し、水を吸液した状態では低屈折率顔料が透明化してホログラム像が視認されるものの、輝度の高いホログラム像を視認することは困難であった。
また、光輝性を有する支持体上に部分的に多孔質層を設けた積層体が開示されているものの、多孔質層が水を吸液しても光輝性は視認され難く、変化性に乏しいものであった。(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−118198号公報
【特許文献2】特開2004−243656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、低屈折率顔料を含む多孔質層が乾燥状態(非吸液状態)においては多孔質層の色調を視認でき、且つ、水等の液体の適用により多孔質層が濡れて透明化した状態(吸液状態)においては輝度の高い金属光沢色を鮮明に視認できる変色性積層体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、金属光沢性を有する支持体表面に、低屈折率顔料と、透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料及び/又はカラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる変色性積層体を要件とする。
更には、前記透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料が、天然雲母、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料であり、前記カラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料がコレステリック液晶型透明性金属光沢顔料、酸化珪素を1種又は2種以上の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料から選ばれること、前記透明性金属光沢顔料の平均粒子径が1〜300μmであること、前記低屈折率顔料の平均粒子径が0.03μm〜5μmであること、前記多孔質層中の低屈折率顔料と透明性金属光沢顔料の質量比が1:0.2〜1:3であること、前記多孔質層の厚みが5μm〜30μmであること、前記透明性金属光沢顔料の平均の厚みが0.01μm〜5μmであること、前記透明性金属光沢顔料の平均粒子径aと、前記多孔質層の厚みbが下記式(1)を満たすこと、
【数1】

前記支持体の金属光沢色が金色であり、且つ、前記透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料の反射光は金色であること、前記支持体の金属光沢色が銀色であり、且つ、前記透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料の反射光は金色又は銀色であること等を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、金属光沢性を有する支持体表面に透明性金属光沢顔料を含む多孔質層を設けるため、乾燥状態では多孔質層による色調が視認されると共に、水等の液体の適用により多孔質層が吸液状態において視認される金属光沢性は輝度に優れ、乾燥状態と吸液状態の変化性と装飾性を共に満足させ、玩具分野、装飾分野、デザイン分野等、多様な分野への応用性を備えた変色性積層体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
前記金属光沢性を有する支持体としては、金属蒸着フィルム、酸化物と硫化物の1種または2種以上からなる光学干渉フィルム、2種またはそれ以上のポリマーからなる100層以上の層を中間層に設けた光干渉現象を呈する虹彩フィルム、ホログラムフィルム、前記フィルムを表面に配設した加工体、金属蒸着箔を表面に配設した加工体、パール顔料やアルミニウム微粉末やブロンズ粉等の金属光沢顔料を表面に塗工もしくは練り込んだ加工体、再帰反射性を有するガラスビーズを表面に均一塗工した加工体等が挙げられる。
【0007】
前記支持体上に形成される多孔質層は、低屈折率顔料と、透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料及び/又はカラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた層である。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、液状組成物を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
前記低屈折率顔料は、平均粒子径が0.03〜5.0μmのものが好適に用いられる。
低屈折率顔料の平均粒子径が0.03μm未満では、多孔質層が乾燥状態で支持体の金属光沢色を十分に遮蔽することが困難になると共に、乾燥状態と吸液状態の色調差が少なくなるため、変色の妙味が損なわれ易い。一方、低屈折率顔料の平均粒子径が5.0μmを超えると、多孔質層中で透明性金属光沢顔料と低屈折率顔料とが接触することにより透明性金属光沢顔料が均一に配向し難くなるため、吸液状態での透光性が損なわれて良好な金属光沢色を発現し難くなる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
なお、好適に用いられる低屈折率顔料としては珪酸が挙げられる。
前記珪酸は、乾式法により製造させる珪酸であってもよいが、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が特に効果的であり、実用性を満たす。
この点を以下に説明する。
珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法珪酸と称する)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別されるが、本発明の意図する多孔質層として機能させるためには、湿式法珪酸が最適である。
これは、乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法珪酸は珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。
従って、前記乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、よって、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
又、前記本発明の多孔質層においては、水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
なお、前記多孔質層の常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法珪酸と共に、他の汎用の低屈折率顔料を併用することもできる。
【0008】
前記多孔質層中の低屈折率顔料は、粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1g/m〜30g/mであることが好ましく、より好ましくは、5g/m〜20g/mである。
1g/m未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、30g/mを越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
【0009】
前記透明性金属光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、ガラス、アルミナを芯物質とし、その表面にチタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物を被覆したものが挙げられる。
前記天然雲母を芯物質とする透明性金属光沢顔料としては、メルク社製の商品名「イリオジン」品番:100(10〜60μm:銀色)、103(10〜50μm:銀色)、111(15μm:銀色)、120(5〜20μm:銀色)、151(5〜100μm:銀色)、153(30〜100μm:銀色)、163(40〜200μm:銀色)、201(5〜50μm:金色)、205(10〜60μm:金色)、249(10〜100μm:金色)、215(10〜60μm:赤紫色)、217(10〜60μm:赤銅色)、219(10〜60μm:紫色)、225(10〜60μm:青色)、235(10〜60μm:緑色)、300(10〜60μm:金色)、302(5〜20μm:金色)、320(10〜60μm:金色)、351(5〜100μm:金色)、355(30〜100μm:金色)、500(10〜60μm:金色)、504(10〜60μm:赤金色)、520(5〜20μm:金色)、530(10〜100μm:金色)、
エンゲルハード社製の商品名「マーリン」品番:マグナパール3000(2〜10μm:銀色)、サテンホワイト9130F(4〜32μm:銀色)、スーパーホワイト9020C(6〜48μm:銀色)、マグナパール1000(8〜48μm:銀色)、スパークル9110P(10〜110μm:銀色)、スーパースパークル9110S(10〜150μm:銀色)、ハイライトスーパーゴールド9230Z(6〜48μm:金色)、ハイライトスーパーレッド9430Z(6〜48μm:赤色)、ハイライトスーパーグリーン9830Z(6〜48μm:緑色)、ハイライトスーパーオレンジ9330Z(6〜48μm:橙色)、ハイライトスーパーバイオレット9530Z(6〜48μm:紫色)、ハイライトスーパーブルー9630Z(6〜48μm:青色)、
エンゲルハード社製の商品名「ルミナ」品番:ゴールド(10〜48μm:金色)、レッド(10〜48μm:赤色)、レッド−ブルー(10〜48μm:紫色)、アクア−ブルー(10〜48μm:青色)、ターコイズ(10〜48μm:青緑色)、グリーン(10〜48μm:緑色)を例示できる。
なお、品番中の括弧内は平均粒子径と顔料の色調を示す。
前記平均粒子径は、レーザー回折法による平均粒子径であり、体積基準のメジアン径が累積分布の50%に相当する粒子径である。
前記透明性金属光沢顔料の平均の厚みは0.01〜1.0μmである。
【0010】
前記合成雲母を芯物質とする透明性金属光沢顔料は、天然雲母を芯物質として用いる系と比較して不純物や鉄等の着色傾向を示す金属イオンの含有量が少なく、透明性に優れる。
合成雲母は酸化チタン及び/又は酸化鉄を主成分とする金属酸化物で被覆してなり、前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢色を呈する。
前記合成雲母は、その一例としてKMg3(AlSi10)Fが挙げられる。なお、前記合成雲母の形状は特に限定されないが、偏平形状や鱗片形状のものを例示できる。
前記合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料としては、日本光研工業(株)製の商品名「アルティミカ」品番:SB−100(5〜30μm:銀色)、SD−100(10〜60μm:銀色)、SE−100(15〜100μm:銀色)、SF−100(44〜150μm:銀色)、SH−100(150〜600μm:銀色)、YB−100(5〜30μm:金色)、YD−100(10〜60μm:金色)、YE−100(15〜100μm:金色)、YF−100(44〜150μm:金色)、RB−100(5〜300μm:メタリックレッド)、RD−100(10〜60μm:メタリックレッド)、RE−100(15〜100μm:メタリックレッド)、RF−100(44〜150μm:メタリックレッド)、RBB−100(5〜30μm:メタリックパープル)、RBD−100(10〜60μm:メタリックパープル)、RBE−100(15〜100μm:メタリックパープル)、RBF−100(44〜150μm:メタリックパープル)、VB−100(5〜30μm:メタリックバイオレット)、VD−100(10〜60μm:メタリックバイオレット)、VE−100(15〜100μm:メタリックバイオレット)、VF−100(44〜150μm:メタリックバイオレット)、BB−100(5〜30μm:メタリックブルー)、BD−100(10〜60μm:メタリックブルー)、BE−100(15〜100μm:メタリックブルー)、BF−100(44〜150μm:メタリックブルー)、GB−100(5〜30μm:メタリックグリーン)、GD−100(10〜60μm:メタリックグリーン)、GE−100(15〜100μm:メタリックグリーン)、GF−100(44〜150μm:メタリックグリーン)を例示できる。
なお、品番中の括弧内は平均粒子径及び色調を示し、平均の厚みは0.01〜1.0μmである。
【0011】
前記ガラスを芯物質とする透明性金属光沢顔料は、扁平ガラス片の表面を酸化チタン及び/又は酸化鉄を主成分とする金属酸化物で被覆してなる、平均の厚みが0.1〜5μmであり、前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢色を呈する。
前記ガラス片の表面を金属で被覆した透明性金属光沢顔料としては、日本板硝子(株)製の商品名「メタシャイン」品番:RCFSX−5450TS(6041)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度450±145μm:金色〕、RCFSX−5200TS(6042)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度200±70μm:銀色〕、RCFSX−5140TS(6043)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度140±45μm:銀色〕、RCFSX−5080TS(6044)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度80±30μm:銀色〕、RCFSX−2080TS(6046)〔平均厚さ2±1μm、平均粒度80±30μm:銀色〕、RCFSX−K120TS(6043)〔平均厚さ20±5μm、平均粒度120±20μm:銀色〕、RCFSX−5090RC(8052)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm:金色〕、RCFSX−5090RC(8053)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm:メタリックグリーン〕、RCFSX−5090RC(8069)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm:メタリックブルー〕、RCFSX−5090RC(8070)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm:メタリックパープル〕、RCFSX−5090RC(8071)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm:メタリックレッド〕を例示できる。
また、ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆した二層被覆型の透明性金属光沢顔料を用いることもできる。
前記二酸化ケイ素はガラスよりも硬度が高く、耐酸性に優れているため、芯となるガラス片の厚みを薄くしても割れ難い状態を維持できる。よって、反射面積あたりの質量を小さくすることができると共に、顔料の光透過性を向上することが可能となる。
前記顔料としては、メルク社製の商品名「ミラバル」品番:5311 Scenic White(10〜100μm:銀色)、5411 Magic White(20〜200μm:銀色)、5420 Magic Gold(20〜200μm:金色)、5421 Magic Copper(20〜200μm:銅色)、5422 Magic Red(20〜200μm:赤銅色)、5423 Magic Lilac(20〜200μm:紫色)、5424 Magic Blue(20〜200μm:青色)、5425 Magic Turquoise(20〜200μm:青緑色)、5426 Magic Green(20〜200μm:緑色)を例示できる。
なお、品番中の括弧内は平均粒子径及び色調を示し、平均の厚みは0.1〜1.0μmである。
【0012】
アルミナを芯物質とする透明性金属光沢顔料は、薄片状酸化アルミニウムの表面を酸化チタン及び/又は酸化鉄を主成分とする金属酸化物で被覆してなり、前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢色を呈する。
前記アルミナの表面を金属酸化物で被覆した金属光沢顔料としては、メルク(株)製の商品名「シラリック」品番:T60−10WNT(10〜30μm:銀色)、T60−20WNT(10〜30μm:金色)、T60−21WNT(10〜30μm:赤色)、F60−50WNT(10〜30μm:銅色)、F60−51WNT(10〜30μm:赤色)、T50−10(10〜30μm:銀色)を例示できる。
なお、品番中の括弧内は平均粒子径及び色調を示し、平均の厚みは0.1〜1.0μmである。
【0013】
前記カラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料としては、コレステリック液晶型透明性金属光沢顔料、酸化珪素を1種又は2種以上の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料が挙げられる。
前記コレステリック液晶型透明性金属光沢顔料について説明する。
コレステリック液晶型透明性金属光沢顔料として用いられる液晶ポリマーは光の干渉効果によって広いスペクトル領域で入射する光の一部の領域のみが反射し、これ以外の領域は全て光が透過する性質を有する。反射スペクトルの領域は、らせん状のポリマーのピッチ幅、及び材料の屈折率によって決まり、また、反射スペクトル領域は左、及び右らせんに偏光した光線成分に分割され、その際、らせんの回転方向に応じて一方は反射され、他方は透過させることが可能となる。これによりコレステリック液晶型透明性金属光沢顔料は全体的なスペクトル領域にわたり、透過、及び反射する性質、即ち、優れた金属光沢と視点により色調が変化するカラーフロップ性を有する。
また、前記コレステリック液晶型透明性金属光沢顔料は、光輝性と共に透明性も有する。
前記コレステリック液晶型透明性金属光沢顔料として具体的には、メソジェンを側鎖に持つシロキサン骨格をベースとした材料を例示できる。
前記コレステリック液晶型透明性金属光沢顔料として、具体的にはワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(30μm:青色→暗色)、Scarabeus(30μm:緑色→青色)、Jade(30μm:金色→緑青色)、Maple(30μm:赤銅色→緑色)等を挙げることができる。
なお、品番中の括弧内は平均粒子径及び色調を示し、平均の厚みは5μmである。
【0014】
前記カラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料のうち、酸化珪素を1種又は2種以上の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料は、光透過性を有すると共に、光の干渉効果によって視覚する角度や光の当たる角度で様々な色彩を表現できるカラーフロップ性と優れた金属光沢性を有する。
また、2種以上の金属酸化物で酸化珪素を多層に被覆する場合、光反射率の異なる金属酸化物を用いることで、より効果的にカラーフロップ性と金属光沢性を付与できる。
前記金属酸化物としては、酸化錫、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
前記金属光沢顔料としては、メルク社製の商品名:Colorstream T10−01 Viola Fantasy(20μm:紫色→銀色→緑色→青色)、Colorstream T10−02 Artic Fire(20μm:緑青色→銀色→赤色→金色)、Colorstream T10−03 Tropic Sunrise(20μm:緑色→銀色→赤色→オレンジ色)等を例示できる。
なお、品番中の括弧内は平均粒子径及び色調を示し、平均の厚みは0.01〜1.0μmである。
【0015】
前記透明性金属光沢顔料又はカラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料の平均粒子径は特に限定されるものではないが、平均粒子径が1μm〜300μm、好ましくは10μm〜200μmの範囲のものが好適である。
前記透明性金属光沢顔料の平均粒子径が1μm未満の場合、多孔質層中における透明性金属光沢顔料の配向性が不均一となり、十分な光輝性やカラーフロップ性が得られ難くなる。
一方、平均粒子径が300μmを超えると多孔質層中で透明性金属光沢顔料が均一な状態で分散され難く、多孔質層中で局在化したり、多孔質層の厚みが不均一になって吸液状態と非吸液状態との色変化が不明瞭になり易い。更に、平均粒子径が300μmを超えるとスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷適性を損ない易くなる。
【0016】
前記多孔質層中の低屈折率顔料と、透明性金属光沢顔料の質量比は1:0.2〜1:3であることが好ましい。
低屈折率顔料1に対して透明性金属光沢顔料が0.2未満の場合、多孔質層の吸液時において良好な金属光沢性又はカラーフロップ性を発現し難い。一方、低屈折率顔料1に対して透明性金属光沢顔料が3を超えると多孔質層の非吸液時において下地の金属光沢色を十分に遮蔽することが困難となり、非吸液時と吸液時の色調差が少なくなり、変色の妙味が損なわれ易い。
【0017】
前記多孔質層の厚みは5〜30μmであることが好ましく、より好ましくは10〜20μmである。多孔質層の厚みが5μm未満では多孔質層が非吸液時において下地の支持体による金属光沢色を十分に遮蔽することが困難となり、非吸液時と吸液時の色調差が少なくなり、変色の妙味が損なわれ易い。一方、多孔質の厚みが30μmを超えると、多孔質層の吸液時における透光性が損なわれ易く、支持体による金属光沢色を視覚することが困難になる。また、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の配向性も不均一になりやすく、吸液時において良好な金属光沢色やカラーフロップ性を発現し難くなる。
【0018】
前記透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料又はカラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料の平均の厚みは0.01μm〜5μmであることが好ましい。平均の厚みが0.01μm未満では多孔質層中に含まれる低屈折率顔料との接触によって透明性金属光沢顔料が損傷しやすく、所望の金属光沢性が得られ難くなる。一方、透明性金属光沢顔料の平均の厚みが5μmを超えると、非吸液状態における遮光性が低下し、支持体による金属光沢色を遮蔽することが困難となり、非吸液状態と吸液状態の色調差が少なくなって変色の妙味が損なわれ易い。
【0019】
前記透明性金属光沢顔料又はカラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料の粒子径aと、前記多孔質層の厚みbは下記式(1)を満たすことが好ましい。
【数2】

透明性金属光沢顔料の粒子径aが√2bよりも小さいと多孔質層中の透明性金属光沢顔料が支持体に対して45度より大きな角度で存在することが多くなり、光の散乱によって金属光沢色が視覚され難くなる。
良好な光輝効果を得るためには、多孔質層中の透明性金属光沢顔料は支持体に対して平行方向に均一に存在することが必要であり、支持体に対して少なくとも45度以下の角度で存在していることが好ましい。従って、透明性金属光沢顔料の粒子径aと前記多孔質層の厚みbにおいて、式(1)の要件を満たすことは透明性金属光沢顔料が多孔質層中で良好な配向性を示すことを意味する。
【0020】
前記低屈折率顔料と、透明性金属光沢顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記低屈折率顔料とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、珪酸の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2質量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5質量部である。低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5質量部未満では多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2質量部を越えると多孔質層内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、耐擦過強度を高めるために、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いると効果的である。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
なお、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分質量比率で30%以上含有させることが好ましい。 前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
【0021】
前記多孔質層は、公知の手段、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等により形成できる。
【0022】
また、多孔質層中には、一般の有色顔料を添加して乾燥状態における多孔質層に着色を施すこともできるが、適用される有色顔料は透明性の高いものが好ましく、平均粒子径0.01μm〜1.0μmの有色顔料が好適である。
前記構成により、乾燥状態での多孔質層を任意の色調に調整できるため、より装飾性を高めることができると共に、多孔質層が吸液状態では、前記層中の顔料による色調と下層の金属光沢性を有する支持体による色調が混色となった色調が視認されることから、色変化のバリエーションを拡げることができ、様々な用途への応用性に優れる。
なお、必要により多孔質層上に着色像を設けて複雑な様相変化を示す構成としたり、支持体と多孔質層の間に着色像を設けることもできる。
前記支持体と多孔質層の間に設けた着色像は多孔質像が吸水状態のとき、透視されて視覚効果を高めることができる。
【0023】
ここで、支持体の金属光沢色と透明性金属光沢顔料の反射光の色調との相関について説明する。
前記支持体の金属光沢色と前記透明性金属光沢顔料の反射光の色調は多孔質層が吸液状態で良好な光輝性を呈するものであればよく、特に組み合わせについて制約されるものではないが、支持体の金属光沢色と前記透明性金属光沢顔料の反射光の色調の組み合わせに関する好ましい態様について検討行った結果、より高い光輝性を得ることができる組み合わせを知り得たので以下に記載する。
多孔質層が吸液状態で良好な金色の金属光沢色を視認するには、支持体が金色であり、且つ、透明性金属光沢顔料の反射光が金色であることが好ましい。また、多孔質層が吸液状態で良好な銀色の金属光沢色を視認するには、支持体が銀色であり、且つ、透明性金属光沢顔料の反射光が金色又は銀色、或いは、金色と銀色の混色であることが好ましい。
更に、前記支持体が金色と銀色を除くメタリック色、例えば、ブルーメタリック色、グリーンメタリック色、レッドメタリック色、パープルメタリック色等の場合は、透明性金属光沢顔料の反射光は支持体の金属光沢色と補色の関係にない金属光沢色であることが好ましい。これは、支持体の金属光沢色と透明性金属光沢顔料の反射光の色調が補色関係にあると、視覚される金属光沢色は白惚けた色調となり、鮮やかな光輝色を得ることができないからである。
【0024】
前記変色性積層体に水等の液体を付着させる手段としては、直接水等の液体中に浸漬したり、手や指を水等の液体で濡らして接触させる他、水等の液体の付着具を適用することもできる。
前記付着具としては、水鉄砲や噴霧機のような液体を吹き付ける装置、先端部に筆穂や繊維ペン体等を有する筆記又は塗布具、容器内に液体を収容し、且つ、容器内の液体を導出する繊維体や刷毛を設けた筆記又は塗布具、スタンプ等が挙げられる。
なお、前記付着具と、変色性積層体を組み合わせて変色性積層体セットを構成することもできる。
前記液体としては、水が安全性、コスト面から好適に用いられるが、これに限らず、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、グリコール類、ケトン類、脂肪族炭化水素類から選ばれる有機溶剤や、水と有機溶剤の混合物を用いることもできる。
前記有機溶剤のうち、流動パラフィン、植物油、アジピン酸エステル等の脂肪族エステル類、プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類は他の有機溶剤と比較して安全性に優れるために好適に用いられる。
更に、液体中に屈折率が1.3〜1.8の固体物を溶解及び/又は分散させて用いることにより、変色性積層体に形成した像の長期保存性を満足させることができる。
前記屈折率が1.3〜1.8の固体物は、20℃において固体状態を示す物質であり、媒体が乾燥しても多孔質層中に残存して像を永続して視認させるため、屈折率が1.3〜1.8、好ましくは1.4〜1.7のものが用いられる。
前記固形物は、屈折率が1.3〜1.8の範囲にある有機物もしくは無機物であれば特に限定されるものではないが、有機物としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂やポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドン等の合成樹脂もしくはオリゴマー、セルロースアセテートや澱粉誘導体等の天然物若しくは半合成樹脂、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、オキシ酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル脂肪酸エステル等の固形油脂、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤類、デンプン糖、デキストラン等の多糖類や配糖体、ビタミンA、リポアミド等のビタミン類やアミノ酸類等を例示できる。また、無機物として塩化カルシウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、サラシ粉、炭酸二ナトリウム、ソーダ石灰、ケイ酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アンモニウムミョウバン、硫酸アンモニュウム、炭酸カルシウム、コロイダルシリカ等を例示できる。
【実施例】
【0025】
以下に実施例を示すが、本発明は実施例に限定されない。なお、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1(図1参照)
厚さ200μmの白色合成紙上に、ブロンズパウダー10部と反射光が金色の着色パール顔料10部をアクリルエマルジョンが主成分のバインダー樹脂80部中に均一混合してなるスクリーン印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して金色の金属光沢色を有する支持体2を得た。
天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:イリオジン249、メルクジャパン(株)製、平均粒子径:40μm、平均の厚み:0.05μm、反射光:金色〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕10部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ15μmの多孔質層3を設けて変色性積層体1を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では金色の金属光沢色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0026】
実施例2
厚さ300μmの白色紙上に、青色染料で着色したアルミニウム箔を全面に転写し、ブルーメタリック色の金属光沢色を有する支持体を得た。
アルミナフレークの表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:シラリックT60−23WNTギャラクシーブルー、メルクジャパン(株)製、平均粒子径18μm、平均の厚み0.1μm、反射光:青色〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ13μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体のブルーメタリック色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高いブルーメタリック色が視認される。
多孔質層が吸液した状態ではブルーメタリック色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0027】
実施例3
厚さ50μmの透明ポリビニルクロライド製シート表面に、アルミニウム蒸着層を形成し、銀色の金属光沢を有する支持体を得た。
アルミナフレークの表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:シラリックT60−10WNTクリスタルシルバー、メルクジャパン(株)製、平均粒子径18μm、平均の厚み0.1μm、反射光:銀色〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕5部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕15部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ10μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の銀色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い銀色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では銀色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0028】
実施例4
厚さ500μmの白色コート紙上に、黄色染料で着色したアルミニウム箔を全面に転写し、金色の金属光沢色を有する支持体を得た。
天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:イリオジン249、メルクジャパン(株)製、平均粒子径40μm、平均の厚み0.1μm、反射光:金色〕30部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、120メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ18μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では金色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0029】
実施例5
球状の樹脂成形物にアルミニウム箔を蒸着させ、緑色の透明性染料を塗布することによりグリーンメタリック色の支持体を得た。
アルミナフレークの表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:シラリックT60−25WNTコスメティックターコイス、メルクジャパン(株)製、平均粒子径20μm、平均の厚み0.1μm、反射光:青緑色〕2部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:1.5μm〕10部、ウレタンエマルジョン〔商品名:パーマリンUA−150、三洋化成工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、イソプロピルアルコール10部、シリコーン系消泡剤0.5部、レベリング剤3.0部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌してスプレーインキを得た。
前記支持体上に、前記スプレーインキを用いて厚さ10μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体のグリーンメタリック色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高いグリーンメタリック色が視認される。
多孔質層が吸液した状態ではグリーンメタリック色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0030】
実施例6
25μm厚の透明ポリエチレンテレフタレート製シートのエンボス面に、アルミニウム蒸着層を形成した紫色の反射型ホログラムシートを貼着して支持体を得た。
合成雲母の表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔日本光研工業(株)製、商品名:アルティミカ BV−100、平均粒子径25μm、平均の厚み0.05μm、反射光:紫色〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200A、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:2.5μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いてドクターコーターにて塗布して厚さ10μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体のホログラムと、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の紫色のホログラム像が視認される。
多孔質層が吸液した状態では紫色のホログラム像が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0031】
実施例7
目付量70g/mのポリエステルタフタ生地上に、ブロンズパウダー10部と反射光が金色の金属光沢顔料(パール顔料)10部をアクリルエマルジョンが主成分のバインダー樹脂80部中に均一混合してなるスクリーン印刷インキを用いて180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して金色の金属光沢を有する支持体を得た。
合成雲母の表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔日本光研工業(株)社製、商品名:アルティミカ YD−100、平均粒子径25μm、平均の厚み0.05μm、反射光:金色〕20部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕10部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ25μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では金色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0032】
実施例8
ブロンズパウダーと反射光が金色の金属光沢顔料(パール顔料)をABS樹脂中に練り込んで、射出成形機にて平板状のプレートを成形して金色の金属光沢を有する支持体を得た。
偏平状ガラス片を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:メタシャインMC1080RY、日本板硝子(株)製、平均粒子径80μm、平均の厚み1μm、反射光:金色〕15部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ15μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では金色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0033】
実施例9
黒色の樹脂成型物に、青色の金属光沢顔料(パール顔料)20部をアクリル樹脂が主成分のバインダー樹脂80部中に均一混合してなるスプレーインキを用いてスプレー塗装してブルーメタリック色を有する支持体を得た。
偏平状のガラス片を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:メタシャインMC5090RB、日本板硝子(株)製、平均粒子径90μm、平均厚み5μm、反射光:青色〕45部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:1.5μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:パーマリンUA−150、三洋化成工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、イソプロピルアルコール20部、シリコーン系消泡剤0.5部、レベリング剤3.0部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してスプレーインキを得た。
前記支持体上に、前記スプレーインキを均一に塗布して厚さ20μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体のブルーメタリック色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高いブルーメタリック色が視覚される。
多孔質層が吸液した状態ではブルーメタリック色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0034】
実施例10
厚さ100μmの白色ポリエステルフィルム上に、ブロンズパウダー10部と金色の金属光沢顔料(パール顔料)10部をポリウレタンエマルジョンが主成分のバインダー樹脂80部中に均一混合してなるスクリーン印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して金色の金属光沢色を有する支持体を得た。
扁平ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆してなる透明性金属光沢顔料〔商品名:Miraval 5420 Magic Gold、メルク社製、平均粒子径70μm、平均の厚み1.0μm、反射光:金色〕15部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ15μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では金色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0035】
実施例11
厚さ130μmの白色合成紙上に、ブロンズパウダー10部と金色の金属光沢顔料(パール顔料)10部をポリウレタンエマルジョンが主成分のバインダー樹脂80部中に均一混合してなるスクリーン印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して金色の金属光沢色を有する支持体を得た。
扁平ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆してなる透明性金属光沢顔料〔商品名:Miraval 5420 Magic Gold、メルク社製、平均粒子径70μm、平均の厚み1.0μm、反射光:金色〕15部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−74P、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:2.5μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ15μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では金色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0036】
実施例12
厚さ200μmの黒色合成紙上に、反射光が金色の金属光沢顔料(パール顔料)15部をポリウレタンエマルジョンが主成分のバインダー樹脂80部中に均一混合してなるスクリーン印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して金色の金属光沢色を有する支持体を得た。
偏平状ガラス片を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:メタシャインMC1080RY、日本板硝子(株)製、平均粒子径80μm、平均の厚み1μm、反射光:金色〕15部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−150J、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:4.0μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ18μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では金色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0037】
実施例13
厚さ200μmの白色合成紙上に、アルミニウム微粉末20部をアクリルエマルジョンが主成分のバインダー樹脂80部中に均一混合してなるスクリーン印刷インキを用いて180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、乾燥硬化させて銀色の金属光沢色を有する支持体を得た。
扁平ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆してなる透明性金属光沢顔料[商品名:Miraval 5311 Scenic White、メルク社製、粒子径70μm、平均の厚み1.0μm、反射光:銀色]10部、扁平ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆してなる透明性金属光沢顔料[商品名:Miraval 5420 Magic Gold、メルク社製、平均粒子径70μm、平均厚み1.0μm、反射光:金色]5部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕10部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ25μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の銀色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い銀色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では銀色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0038】
実施例14
透明フィルムを多層積層した光干渉性を有する虹彩性フィルムの裏面に、30デニールの繊維より構成された青色のポリエステルトリコット生地を貼り合わせて、青色の虹彩色を有する支持体を得た。
扁平ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆してなる透明性金属光沢顔料[商品名:Miraval 5425 Magic Blue、メルク社製、平均粒子径:70μm、平均の厚み:1.0μm、反射光:青色]20部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ10μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の青色の虹彩色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした光輝性と虹彩性を有する青色の金属光沢色が視認される。
多孔質層が吸液した状態では青色の金属光沢色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0039】
実施例15
厚さ200μmの黒色合成紙上に、紫色の透明性金属光沢顔料10部をアクリルエマルジョンが主成分のバインダー樹脂90部中に均一混合してなるスクリーン印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して紫色の金属光沢色を有する支持体を得た。
フレーク状酸化珪素を酸化錫で被覆した後、更に酸化チタンで被覆したカラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料〔商品名:Colorstream T10−01(Viola Fantasy)、メルク社製、平均粒子径:20μm、平均の厚み:0.5μm〕5部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
前記支持体上に、前記印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ10μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の紫色の金属光沢色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、視認する角度によりキラキラとした金色、銀色、緑色、紫色の金属光沢色がそれぞれ視認される。
多孔質層が吸液した状態では金色、銀色、緑色、紫色の金属光沢色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0040】
実施例16
厚さ200μmの黒色合成紙上に、青色の透明性金属光沢顔料10部をアクリルエマルジョンが主成分のバインダー樹脂90部中に均一混合してなるスクリーン印刷インキを用いて180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して青色の金属光沢色を有する支持体を得た。
カラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料としてコレステリック液晶型透明性金属光沢顔料〔商品名:ヘリコーンHC(Scarabeus、SLM90120)、ワッカーケミー社製、平均粒径30μm、平均の厚み5μm〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製、平均粒子径:3.0μm〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して印刷インキを得た。
支持体上に、前記印刷インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷して厚さ10μmの多孔質層を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視認される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の青色の金属光沢色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、視認する角度によりキラキラとした緑色の金属光沢色と青色の金属光沢色がそれぞれ視認される。
多孔質層が吸液した状態では緑色、青色の金属光沢色が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0041】
応用例1
水の付着具として軸筒内に水を収容したペンを用いて、実施例1で作製した変色性積層体上に「ABC」の文字を筆記した。
ペンで筆記した箇所の多孔質層は吸液により透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の「ABC」の文字を明瞭に視認することができた。
多孔質層が吸液した状態では金色の文字が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【0042】
応用例2
実施例7で作製した変色性積層体を70cm×70cmの大きさにカットし、裏面にポリオレフィン樹脂からなる防水性シートを貼着して変色性シートを得た。
前記変色性シートの多孔質層上に水を収容したペンを用いて、「○△□」の記号を筆記した。
ペンで筆記した箇所の多孔質層は吸液によって透明化して支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の「○△□」の記号を明瞭に視認することができた。
多孔質層が吸液した状態では金色の記号が視認されていたが、乾燥により元の白色状態に戻り、前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【0043】
応用例3
ポリエチレングリコール〔商品名:PEG#6000P、三洋化成(株)製〕40部、水60部からなる液状組成物を、にカットされたセルロース製不織布(目付量40g/m、150mm×200mm)に含浸させて吸液体を作製した。
前記吸液体を幼児の手のひらに均一に押し当てて液状組成物を付着させた後、実施例11で作製した変色性積層体の多孔質層上に手を約5秒間押し付けると、多孔質層に液状組成物が吸液されて透明化し、支持体の金色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料の反射光によって、キラキラとした輝度の高い金色の金色の手形が採取された。
前記手形が形成された変色性積層体を20℃の環境下で3カ月間放置したが、初期と同様の光輝性を有する金色の手形を維持しており、保存安定性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明変色性積層体の一実施例の縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 変色性積層体
2 支持体
3 多孔質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属光沢性を有する支持体表面に、低屈折率顔料と、透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料及び/又はカラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる変色性積層体。
【請求項2】
前記透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料が、天然雲母、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料であり、前記カラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料がコレステリック液晶型透明性金属光沢顔料、酸化珪素を1種又は2種以上の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料から選ばれる請求項1記載の変色性積層体。
【請求項3】
前記透明性金属光沢顔料の平均粒子径が1〜300μmである請求項1又は2記載の変色性積層体。
【請求項4】
前記低屈折率顔料の平均粒子径が0.03μm〜5μmである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の変色性積層体。
【請求項5】
前記多孔質層中の低屈折率顔料と透明性金属光沢顔料の質量比が1:0.2〜1:3である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の変色性積層体。
【請求項6】
前記多孔質層の厚みが5μm〜30μmである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の変色性積層体。
【請求項7】
前記透明性金属光沢顔料の平均の厚みが0.01μm〜5μmである請求項1乃至6のいずれか一項に記載の変色性積層体。
【請求項8】
前記透明性金属光沢顔料の平均粒子径aと、前記多孔質層の厚みbが下記式(1)を満たす請求項1乃至7のいずれか一項に記載の変色性積層体。
【数1】

【請求項9】
前記支持体の金属光沢色が金色であり、且つ、前記透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料の反射光は金色である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の変色性積層体。
【請求項10】
前記支持体の金属光沢色が銀色であり、且つ、前記透明性芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料の反射光は金色又は銀色である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の変色性積層体。

【図1】
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【公開番号】特開2009−166478(P2009−166478A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294109(P2008−294109)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】