説明

外側エンベロープを有する電球形蛍光ランプ及びその作製方法

電球形蛍光ランプの放電管はガラス製で放電体積を取り囲み、管の内面には蛍燐光体コーティングを有する。放電管によりアーク経路が形成され、アーク経路の各端には電極が配置される。電球形蛍光ランプは、ランプの主軸に対して平行な平面に配置されるプリント基板(9)に取り付けられた安定器回路(7)も有する。安定器回路は、導入線によって電極に接続され、導出線によって供給電圧に接続され、放電管内の電流を制御する。球状の外側エンベロープ(2)は、管配置構造を取り囲む略球面部(3)と、安定器回路を取り囲む伸長端部(4)とを有する。外側エンベロープの端部は閉鎖手段(11)によって閉鎖され終端処理される。安定器回路と放電管配置構造は、主軸に対して垂直に配置され、放電管と安定器回路のプリント基板の収容及び固定部を有する保持及び保護シールド(20)によってエンベロープ内で互いに対し所定位置に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電球形蛍光ランプ(CFL)に関し、詳細には、汎用性の白熱灯と交換可能な電球形蛍光ランプに関する。より詳細には、本発明は、外側エンベロープと該外側エンベロープ内の安定器回路とを有する低圧電球形蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
現在既知の市販されている低圧放電ランプの多くは、いわゆる電球形蛍光ランプである。これらのランプは、工場及び家庭向けの広い用途で使用されている白熱灯に取って代わるであろう。これらのランプの主な利点は、消費電力が少ないことと、寿命が長いことである。しかし、CFLには、比較的高価であり、長さ寸法が大きいという欠点がある。長さ寸法の問題を解決するために、多くの構造が提案されている。そのような解決策としては、複合管配置構造やコイル管配置構造などが挙げられる。
【0003】
米国特許第4,527,089号(特許文献1)には、アセンブリに機械的に形成されて、外側エンベロープに挿入された複数の個別の管から成る電球形蛍光ランプ(CFL)が開示されている。個々の開口管がアーク配向手段を介して互いに接続されて、連続的なアーク経路を形成する。外側エンベロープは円筒形状を有し、密閉されており、例えば水銀雰囲気やアルゴン雰囲気などのアークを発生させて持続させる媒体を含んでいる。導入線としての蛍光ランプの電線は、円筒状の外側エンベロープの密封要素としての機能を果たすフレア部を貫通する。蛍光ランプ用のエネルギーを供給する安定器回路は、外側エンベロープの外側に位置しているので、特別な接点要素及び構成を必要とする。
【0004】
米国特許第5,691,598号(特許文献2)には、ランプ管と安定器回路との間にサーマルヒートシールドを有する蛍光ランプが開示されている。この蛍光ランプは、ランプ管と、ランプ管内の充填材料に電力を供給するためのランプ管の両端にある第1及び第2電力伝達手段とを含んでいる。第1電力伝達手段に電力を供給し、その動作温度が上昇するにつれて寿命が実質的に短くなる安定器回路から第1電力伝達手段を分離するサーマルヒートシールドも含まれている。サーマルヒートシールドは、放射熱を第1電力伝達手段とランプ管の任意の隣接部分とに反射させて、安定器回路の動作温度をヒートシールドがない場合よりも摂氏約1度以上低下させるように構成されている。しかし、このサーマルヒートシールドは、外側エンベロープのないハウジングが内包する安定器回路を有するCFLでの使用のためだけに構成されている。
【0005】
米国特許第6,064,155号(特許文献3)では、標準のエジソン型口金の白熱灯の外形を有する外側エンベロープを有する蛍光ランプが開示されている。放電管は、エンベロープの軸の周囲にコイルで巻き付けられ、外側エンベロープ内に配置される。安定器もまた、外側エンベロープ内に配置される。ヒートシールドをランプと安定器の間に配置して安定器からランプを熱的に隔離することによって、ランプからの熱が安定器に悪影響を与えることがなくなる。このランプは、外側エンベロープ内に一体型安定器を備えているが、ランプと安定器の間に配置されたヒートシールドを用いることがランプの作製時に深刻な問題となる可能性がある。この文献では、このことが開示されていないため、ランプと安定器回路をどのように配置して外側エンベロープ内に固定するのか、また、ランプ電極と安定器回路との間の電気接続、或いは、安定器回路と口金との間の電気接続をどのように確立するのかが明らかではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,527,089号
【特許文献2】米国特許第5,691,598号
【特許文献3】米国特許第6,064,155号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
球状の外側エンベロープを有すると共に、安定器回路と放電管配置構造を外側エンベロープ内で互いに対して所定位置に保持するための手段を備え、振動から機械的に保護するために外側エンベロープ内に一体型安定器を有する電球形蛍光ランプが求められている。CFLを簡便に作製してCFLをより安価に供給できるよう、その構成を改良する必要がある。更に、従来の作製工程との組み合わせが簡単であるため、大量生産にも適するよう改良された作製方法も必要である。様々な種類の放電管構造を支持し得る電球形蛍光ランプ構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの放電管を備えた放電管配置構造を有する電球形蛍光ランプを開示する。放電管は、ガラス製であり、放電ガスで満たされた放電体積を取り囲んでおり、管の内面には、蛍燐光体コーティングが施されている。放電管により連続的なアーク経路が形成され、アーク経路の各端には、電極が配置されている。また、この電球形蛍光ランプは、ランプの主軸に対して実質的に平行な平面に配置されるプリント基板に取り付けられた安定器回路も有する。この安定器回路は、導入線によって電極に接続され、且つ、導出線によって供給電圧に接続されており、放電管内の電流を制御する。球状の外側エンベロープは、少なくともこの管配置構造の一部を取り囲む略球面部と、少なくとも安定器回路を取り囲む伸長端部とを有する。口金側に開口端を有する外側エンベロープの端部は、外側エンベロープの材料と適合する材料製の閉鎖手段によって閉鎖し、終端処理される。この安定器回路と放電管配置構造は、ランプの主軸に対して実質的に垂直な平面に配置され、放電管と安定器回路のプリント基板の収容及び固定部を有する保持及び保護シールドによって外側エンベロープ内で互いに対して所定位置に保持される。
【0009】
本発明の別の実施形態において、電球形蛍光ランプの作製方法を開示する。この方法は、以下の工程から成る。略球面部と、口金側の開口端によって終端処理された伸長端部とを有する外側エンベロープを形成する。エンベロープの伸長部の開口端を、外側エンベロープの材料と適合する材料の閉鎖手段によって閉鎖し、終端処理する。この閉鎖手段は、安定器回路と口金シェルの接点端子との間に導出線を受け入れて案内するための管状開口部も有する。エンベロープを、ランプの主軸に対して実質的に垂直な平面の円周線に沿って切断し、口金側の閉鎖手段で終端処理された上部と下部との2つの部分に分離する。保持及び保護シールドを安定器回路のプリント基板に取り付け、放電管配置構造をこの保持及び保護シールドに挿入する。放電管配置構造の導入線と導出線を安定器回路の各接続点に接続することによって、ランプ安定器アセンブリを形成する。ランプ安定器アセンブリをエンベロープの下部に挿入し、導出線を閉鎖手段の管状開口部を貫通させる。エンベロープの2つの分離された部分を、分離線に沿って互いに接触させる。エンベロープの上部と下部を、分離線に沿って接続して密封する。エンベロープに口金を設け、導出線を口金の接点端子に接続する。
【0010】
CFL構成部品を安定させることにより振動が低減するよう機械的に固定することに加えて、本発明の更なる実施形態として、電球形蛍光ランプの簡略化された作製方法を開示する。本発明による保持及び保護シールドを使用することによって、安定器回路と放電管配置構造が、外側エンベロープ内で互いに対して所定位置に保持される。本発明による更なる利点は、外側エンベロープの2つの分離された部分を接続する際に加わる熱から、安定器回路を効果的に保護できることである。従来の白熱灯の連続的な作製工程の大部分をそのまま適用できるので、大量生産にも好適である。排気管を備えたフレア部を使用することにより、従来の白熱灯の作製に用いられている製造ラインを有効利用することができ、特にランプに類似するその他のGLS(一般照明)に比して製造コストが少なくて済む。このランプの更なる利点は、球状の白熱灯と完全な機械的及び電気的互換性を有することであり、このランプは効率的な交換ランプであると言える。本発明によるランプでは、外側エンベロープにより、ランプはある程度、環境負荷から保護されている。
【0011】
次に、添付図面を参照しながら本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示す部分断面斜視図である。
【図2】図1に示す本発明の実施形態の部分断面正面図である。
【図3】図1に示す本発明の実施形態の部分断面側面図である。
【図4】本発明に係り例示する実施形態のランプに適用する保持及び保護シールドの斜視図である。
【図5】本発明に係り例示する実施形態のランプに適用する保持及び保護シールドの上面図である。
【図6】ランプの作製において外側エンベロープを形成する工程の概略図である。
【図7】ランプの作製において外側エンベロープを閉鎖する工程の概略図である。
【図8】ランプの作製において外側エンベロープを分離する工程の概略図である。
【図9】ランプの作製において放電管配置構造を保持及び保護シールドと安定器回路とに接続する工程の概略図である。
【図10】ランプの作製においてランプ安定器アセンブリを挿入する工程の概略図である。
【図11】ランプの作製においてエンベロープの2つの部分を接続して密封する工程の概略図である。
【図12】ランプの作製において口金と接点端子とを備えたエンベロープの閉鎖端を形成する工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図3に、低圧放電ランプ1を図示する。このランプは、放電管配置構造5と安定器回路7を取り囲む外側エンベロープ2を有する蛍光放電ランプである。外側エンベロープ2は、球面部3と、口金6に接続された開口首部10を備えた長手部4とを有しており、主軸13を画定している。図2には、ねじ込み口金に接続するためのネジ首部10’が図示されており、図3には、差込み口金に接続するための首部10が図示されている。外側エンベロープは、安定器回路7と放電管配置構造5を以下で詳述するように外側エンベロープ2内に挿入して接続することができるように、2つの部分に切断され、切断線12で分離される。放電管配置構造5は、単一の放電管又は複数の伸長放電管を含んでもよい。放電管はガラス製で、放電ガスで満たされた放電体積を取り囲んでおり、この管の内面には、蛍燐光体コーティングが施されている。管の両端部は、気密方式で密封される。この管により、連続的なアーク経路が形成され、その両端部には、電極とこの電極に接続された導入線17とがある。放電管配置構造の導入線17は安定器回路7に接続され、これにより放電管内の電流を制御する。安定器回路7は更に、ランプ口金6の接点端子8に接続された導出線18を介して供給電圧に接続される。図2及び図3に示すように、外側エンベロープ2の首部10の開口端は、外側エンベロープの材料と同じ材料製又は外側エンベロープの材料と適合する材料製の閉鎖手段11によって閉鎖され、終端処理される。閉鎖手段11は、管状開口部19を備えている。導出線18が互いに隔離した状態で管状開口部19を貫通して口金6に導入されており、ソケットからランプに電圧が供給される。ランプ口金は、ランプに通常使用される、従来型であってもよいソケットと適合するように構成されている。ランプ口金を、ねじ込みソケット又は差込みソケットに嵌合するように構成することもできる。
【0014】
安定器回路7は、ランプの主軸13に対して実質的に平行に配向されたプリント基板(PCB)9に取り付けられている。安定器回路7を載置したプリント基板9の縁部の境界形状は、好都合なことに、ランプ1の主軸13に平行な平面に沿った、外側エンベロープ2の壁の縦方向断面と同様であるが、図3から最も良くわかるように、閉鎖手段と放電管の寸法に応じてオフセットしている。
【0015】
本発明の電球形蛍光ランプに適用する閉鎖手段11は、エンベロープの首部10の開口端に接続されるフレア部と、フレア部を貫通する管状開口部19を有する排気管とを有しており、管状開口部19は、安定器回路の電力供給導出線18を受け入れ案内する。導出線18が互いに隔離された状態で管状開口部19を貫通して口金6に導入されており、ソケットを介してランプに電圧が供給される。
【0016】
外側エンベロープ2は、ランプの主軸13に実質的に垂直な平面の円周線12に沿って分離された2つの部分から成る。この2つの部分とは、放電管配置構造5の一部を収容する上部と、放電管配置構造5の残りの部分と安定器回路7を収容する下部である。エンベロープの2つの部分が接続及び密封されて、均一な球状エンベロープ2が形成される。外側エンベロープ2の円周分離線12は、好ましくはエンベロープの壁が略円筒形状を有する領域にある。図示の実施形態において、分離線12は、大きな放電管を使用できるよう外側エンベロープ内の体積を最大限に利用するために、外側エンベロープの球面部の面積が最も広くなる領域に設けられる。こうして、従来の白熱灯の小さな寸法を維持しながら、大きな放電管により高い発光出力を得ることができる。外側エンベロープの略球面部の面積が最も広くなる領域は、分離線12を十分に設置できる円筒断面を有する。
【0017】
図示の実施形態において、電球形蛍光ランプは、実質的に真っ直ぐな両端部と、両端部の間の中間部を有する単一の管の放電管配置構造5から成る。この両端部は、管配置構造の一端にあって、実質的に互いに平行であり、中間部は、ランプの主軸の周囲に巻き付けられたコイル構造を有する。
【0018】
代替的には、放電管配置構造を、蛍光ランプの主軸に対して実質的に平行な縦軸を有する直管部材としてもよい。このとき、隣接する管部材が互いに直列に接続され、連続的なアーク経路が形成される。配置構造としては、また、所望の出力輝度に応じて2つ、4つ又は6つの個別の放電管部材を有する構造も挙げられる。放電管配置構造を、実質的に同じ長さのU字状に曲げられた2つの個別の伸長放電管部材としてもよい。このとき、2つの管部材は、ブリッジにより相互接続されて、連続的なアーク経路が形成される。配置構造として、また更に、所望の出力輝度に応じてU字状に曲げられた1つ又は3つの個別放電管を有する構造も挙げられる。U字状の放電管部材は、実質的に平行な直線部と曲線中央部とから成り、これらにより放電管配置構造の長さが定まる。
【0019】
各々の放電管は、放電ガスで満たされた放電体積を取り囲んでいる。放電管は、略管状である。図示の実施形態では、放電管は円筒状であるが、その他適宜の断面形状を有していてもよい。放電管は、一般的にはガラス製であるが、その他適宜の材料製であってもよい。放電管の壁厚は、主に製造の便宜上、更には、放電管の全長にわたり確実に均一な放電を生じるためにも、実質的に一定であることが好ましい。
【0020】
光を可視光にするために、蛍燐光体層で放電管の内面が覆われている。この燐光体層は、密封された放電体積内にある。そのような燐光体層の組成自体は既知である。この燐光体層により、紫外線が可視光化する。燐光体層は、放電管を密封する前に、放電管の内面に塗布される。
【0021】
放電管配置構造5とプリント基板9は、ランプの主軸13に対して実質的に垂直な平面に設置される保持及び保護シールド20を介して、外側エンベロープ内で互いを保持している。保持及び保護シールド20は、放電管配置構造5と安定器回路7のプリント基板9の収容及び固定部を有しており、これにより、機械的振動や衝撃から十分に保護される。
【0022】
図4及び図5に示すように、保持及び保護シールド20は、ランプの主軸13に実質的に垂直な平面で沿った、接触領域の外側エンベロープ2の断面形状と実質的に同じ外側形状を有して、外側エンベロープ2の内壁と結合されている。一般的に、球状のエンベロープは略円形断面境界を有しているので、保持及び保護シールド20の外形もまた略円形形状とする。保持及び保護シールドは弾性材料製であり、シールドが組立中又は最終位置にある時に軸力が加わる接触領域の外側エンベロープの内径(d)よりも、大きな対角線寸法(D)を有している。図4及び図5に示す実施形態において、保持及び保護シールド20は、シールドの外縁部から延在する3つの突出部21を有しており、外側エンベロープの内面(点線で示す)に接触する。突出部21の弾性を向上させるために、それらの両側にスリット24があるが、突出部21の片側に1つのスリットを設けるだけで十分に適当な弾性を確保することができる。当然、突出部の数と形状を、用途に応じて変更することもできる。例えば、突出部は無いがスリットを有するシールドや、少なくとも2つの突出部と突出部ごとに少なくとも1つのスリットを有するシールドも同様に、本発明の実施形態である。軸力を調整するために、突出部の数、突出部ごとのスリットの数、スリットの長さ、円形の保持及び保護シールドの縁部から更に延在する突出部の長さを、適宜選択することができる。突出部の数を増やしたり、スリットの数を減らしたり、スリットの長さを短くしたりすると、外側エンベロープの先細の内壁に対して保持及び保護シールドの縁部が押し付けられて生じる軸力が増加する。反対に、突出部の数を減らしたり、スリットの数を増やしたり、スリットの長さを長くしたりすると、外側エンベロープの先細の内壁に対して保持及び保護シールドの縁部が押し付けられて生じる軸力が減少する。
【0023】
放電管配置構造を収容及び固定する保持及び保護シールド20の収容及び固定部は、略円形開口部22から成る。保持及び保護シールド20の略円形開口部22は、開口部22の中心に向かって延在する1つの突出部25と、突出部25の両側にスリット26を有する。突出部25における放電管端部を収容して保持する保持及び保護シールド20の略円形開口部22の対角線寸法は、放電管の外径よりも小さい。この開口部の形状や数を、保持及び保護シールドを貫通して突出する放電管配置構造の端部の断面形状と数に応じて、選択することができる。また、突出部の数や形状を、用途に応じて変更することができる。例えば、突出部は無いが略円形開口部の縁部に沿って均等に配置された少なくとも2つのスリットを有する開口部や、少なくとも2つの突出部と突出部ごとに少なくとも1つのスリットを有する開口部も同様に、本発明の実施形態である。略円形開口部が突出部を有さない場合、開口部の直径を、シールドを貫通して突出する端部領域の放電管の外径よりも小さくする必要がある。突出部25による固定力の調整は、シールドの突出部21の軸力に関して上記したものと同様の方法により行われる。
【0024】
安定器回路のプリント基板を収容及び固定する保持及び保護シールド20の収容及び固定部は、互いに対向した弾性側部材27を有する伸長開口部23から成り、ここに、安定器回路のプリント基板を挿入すると基板が固定される。伸長開口部23は、材料を直線状にカットして縦スリットを形成し、縦スリットの端部で横方向にカットして2つの小さなスリットを形成することによって、保持及び保護シールド20に設けられている。縦スリット及び十字スリットの長さ寸法により、弾性側部材27の寸法と強度が決まる。
【0025】
保持及び保護シールドは、十分な強度と柔軟性を有する金属製又はプラスチック材料製である。外側エンベロープと閉鎖手段は、ガラス製、或いは、透明又は半透明のプラスチック材料製である。
【0026】
次に図6〜図12を参照して、保持及び保護シールドにより内部に保持される放電管配置構造と安定器回路を収容する外側エンベロープを有する電球形蛍光ランプを作製する工程を更に詳しく説明する。第1工程では、図6に示すように、略球面部3と伸長端部4を有する外側エンベロープ2を形成する。伸長端部4は、首部10に開口端を有する。第2工程では、図7に示すように、伸長端部4の開口端が、エンベロープと同じ材料製又は適合する材料製の閉鎖手段11により閉鎖され、終端処理される。閉鎖手段11は、安定器を口金に接続する導出線を貫通させるための管状開口部19を有している。閉鎖手段11は、排気管14を有するフレア部から成る。閉鎖手段11をエンベロープの開口端に接続した後、排気管14の管状部において閉鎖手段11のフレア部付近を、切断ダイ30を用いてカットし、管状開口部19を形成する。作製時、排気管14の長さを所望の範囲とすることにより、後で短く切断する必要がなくなる。更に、排気管により、外側エンベロープの内部体積と外部雰囲気が気体連通するので、作製時、異なるガス製品を外側エンベロープに導入する場合に有利である。
【0027】
第3工程では、図8に示すように、外側エンベロープ2を切断ダイ30を用いて切断し、2つの部分に分ける。好ましくは、エンベロープを主軸の周囲を回転させながら、回転している切断ダイの切断位置に持っていくことで切断する。こうして定められた分離線12は、ランプの主軸に対して実質的に垂直な平面において、円周又は好ましくは円形形状を有する。そして、上部31を下部41から取り外す。この下部は、管状開口部19も有する閉鎖手段11を内包する。
【0028】
第4工程(図9)では、放電管配置構造5を保持及び保護シールド20に挿入し、安定器回路のプリント基板を保持及び保護シールドに挿入し、取り付ける。このため、プリント基板9は、外側エンベロープの首部10に嵌合する狭端部と反対側の広端部に延長部15を有している。更に、これらの部品を組み立てる順序を、まず保持及び保護シールドを安定器回路に取り付けた後、放電管配置構造を保持及び保護シールドに挿入するように構成する。この挿入工程は単純であるが、これにより、互いに所望強度で部品を固定することができる。代替的には、シールドの突出部に加えて、又は、突出部の代わりに、その他の固定手段を適用してもよい。安定器回路7を、導入線17により放電管配置構造5に電気的に接続し、電源の導出線18に接続することによって、ランプ安定器アセンブリを組み立てる。導入線と導出線を安定器回路に接続する方法の1つとして、例えば、導線の絶縁自由端を安定器回路の対応する接続点又は終点にはんだ付けすることが挙げられる。本明細書では、この工程を第3工程に続く第4の連続工程として説明しているが、この工程をそれより早い作製段階で実行してもよい。重要なのは、外側エンベロープを分離した時点で、ランプ安定器アセンブリを組み立てることだけである。
【0029】
第5工程(図10)では、プリント基板が、管状開口部19を有する閉鎖手段11によって既に閉鎖され終端処理されている外側エンベロープの内壁に接触するまで、保持及び保護シールドを同様に有するランプ安定器アセンブリを、外側エンベロープ2の下部41に挿入する。ランプ安定器アセンブリを外側エンベロープの下部41に挿入すると共に、導出線18を管状開口部19を貫通させ、保持及び保護シールドを先細領域で外側エンベロープの内壁に押し付けることによって、シールドを持ち上げる軸力を加える。この軸力を保持するために、閉鎖手段11に対して導出線18を保持及び固定する。
【0030】
第6工程(図11)では、外側エンベロープ2の上部31を、下部41と再び結合して密封する。外側エンベロープ2の上部31と下部41の間を強固に機械的に接続又は密封するために、ガスヒータなどのヒータ32を用いて、この2つの部分を溶接する。外側エンベロープの球面部の面積が最も広くなる領域に、外側エンベロープの円周分離線を位置決めする。このとき、壁は、ヒータ32の熱から安定器回路を保護するよう、安定器回路を載置したプリント基板から十分に離れた位置で、略円筒形状を有して設けられる。放電管と安定器回路の間に、保持及び保護シールドを設けることにより、回路を熱から更に保護することができる。この工程の終了後、導出線18を解放すると、保持及び保護シールドが上方に移動し、放電管配置構造が外側エンベロープの内壁に押し付けられる。こうして、保持及び保護シールドにより、放電管と安定器回路が外側エンベロープ内で互いに対して、強固に弾性を有して固定され、機械的振動や衝撃から保護される。
【0031】
最後に、第7工程(図12)では、電球形蛍光ランプに、ランプを任意のねじ込み又は差込み式の従来型又は標準型ソケットに接続するための口金6を取り付ける。図12に示す例では、電球形蛍光ランプは、エジソン型口金6を備えている。ランプ口金は、任意の従来方式、例えば接着剤、セメント又はねじ接続によって外側エンベロープ2の伸長部4の首部に固定される。エジソン型口金をねじ接続(図2)する場合、エンベロープのねじ首部10へのねじ込みが可能である。電源の導出線と口金6の接点端子8の電気接点を、この工程で構成することもできる。
【0032】
以上、添付図面を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の実施形態は図示し本明細書に記載したものに限定されない。これらに様々な構成要素、改良、及び修正を加えても本発明の実施形態として認められる。明らかなように、例えば、多くのその他の形状のエンベロープ、放電管及び口金を本発明に適用できる。例えば、エンベロープの形状は、球体状であってもT字状であってもよい。また、ランプの寸法又は所望の出力に応じて、ランプ内の放電管部材の数と形状を調整することもできる。電源を電気接続するための口金シェルは、標準型であっても非標準型であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製であり、放電ガスで満たされた放電体積を取り囲み、内面には蛍燐光体コーティングが施されており、連続的なアーク経路が形成され、更に、該アーク経路の各端に電極を備えている少なくとも1つの放電管から成る放電管配置構造と、
ランプの主軸に対して実質的に平行な平面に配置されるプリント基板に取り付けられており、前記管内の電流を制御し、導入線によって前記電極に接続され、導出線によって供給電圧に接続されている安定器回路と、
前記放電管配置構造を取り囲む略球面部と、前記安定器回路を取り囲む伸長端部とを有する球状の外側エンベロープとから成る、電球形蛍光ランプであって、
前記外側エンベロープの前記端部は、口金側に開口端を有し、
前記開口端は、前記外側エンベロープの材料と適合する材料製の閉鎖手段を用いて閉鎖され終端処理されており、
前記安定器回路と前記放電管配置構造は、前記ランプの前記主軸に対して実質的に垂直な平面に配置され、前記放電管と前記安定器回路の前記プリント基板の収容及び固定部を有する保持及び保護シールドによって前記外側エンベロープ内で互いに対して所定位置に保持されていることを特徴とする、電球形蛍光ランプ。
【請求項2】
前記保持及び保護シールドは、弾性材料製であり、該シールドが組立中又は最終位置にある時に軸力が加わる接触領域の前記外側エンベロープの内径(d)よりも、大きな対角線寸法(D)を有している、請求項1に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項3】
前記保持及び保護シールドは、接触領域の前記外側エンベロープの断面形状と実質的に同じ外形形状を有する、請求項1に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項4】
前記保持及び保護シールドは、前記シールドの外縁から延在する少なくとも2つの突出部を有しており、前記外側エンベロープの前記内面に接触する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項5】
前記保持及び保護シールドは、前記突出部の少なくとも片側にスリットを有する、請求項4に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項6】
前記保持及び保護シールドの前記収容及び固定部は、前記放電管を収容して固定する略円形開口部である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項7】
前記保持及び保護シールドの前記略円形開口部は、前記開口部の中心に向かって延在する少なくとも1つの突出部と、前記突出部の少なくとも片側のスリットを有しており、
前記放電管を収容して保持する前記保持及び保護シールドの前記略円形開口部の前記対角線寸法は、前記突出部において前記放電管の前記外径よりも小さい、請求項6に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項8】
前記保持及び保護シールドの前記略円形開口部は、前記略円形開口部の縁に沿って均等に配置された少なくとも2つのスリットを有しており、
前記放電管を収容して保持する前記保持及び保護シールドの前記円形開口部の直径は、前記放電管の前記外径よりも小さい、請求項6に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項9】
前記保持及び保護シールドは、前記安定器回路の前記プリント基板の収容及び保持手段として伸長開口部を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電球型蛍光ランプ。
【請求項10】
前記保持及び保護シールドの前記伸長開口部は、互いに対向する弾性側部材を有しており、該開口部に前記安定器回路の前記プリント基板を挿入することにより、前記プリント基板が固定される、請求項9に記載の電球型蛍光ランプ。
【請求項11】
前記保持及び保護シールドは、金属製である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項12】
前記保持及び保護シールドは、プラスチック材料製である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項13】
前記閉鎖手段と前記外側エンベロープは、ガラス製である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項14】
前記閉鎖手段と前記外側エンベロープは、プラスチック材料製である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項15】
前記閉鎖手段は、前記エンベロープの前記開口端に接続されるフレア部と、前記安定器回路の前記導出線を受け入れて案内するために該フレア部から延在する管状開口部を有する排気管とを有する、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項16】
前記外側エンベロープは、前記ランプの前記主軸に対して実質的に垂直な平面の円周線に沿って分離された2つの部分から成り、
該2つの部分は、前記放電管配置構造の一部を収容する上部と、前記放電管配置構造の残りの部分と前記安定器回路を収容する下部であり、
前記エンベロープの前記2つの部分を接続及び密封して均一な球状エンベロープが形成されている、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項17】
前記外側エンベロープの前記円周分離線は、前記エンベロープの壁が略円筒形状を有する領域に定められる、請求項16に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項18】
前記放電管配置構造は、実質的に真っ直ぐな両端部と、前記両端部の間の中間部を有する単一の管から成り、
前記両端部は、前記管配置構造の一端にあって互いに近接しており、
前記中間部は、前記ランプの前記主軸の周囲に巻き付けられたコイル構造を有する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項19】
前記放電管配置構造は、前記ランプの前記主軸に対して実質的に平行な縦軸を有する直管部材から成り、
隣接する前記管部材が互いに直列に接続されて、連続的なアーク経路が形成される、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項20】
電球形蛍光ランプの作製方法であって、
a)略球面部と、口金側の開口端によって終端処理された伸長端部とを有する外側エンベロープを形成する工程と、
b)前記エンベロープの前記伸長部の前記開口端を、前記外側エンベロープの材料と適合する材料製の閉鎖手段であって、安定器回路と口金シェルの接点端子の間に導出線を受け入れて案内するための管状開口部も有する閉鎖手段によって閉鎖して終端処理する工程と、
c)前記エンベロープを、前記ランプの主軸に対して実質的に垂直な平面の円周線に沿って前記口金側の前記閉鎖手段で終端処理された上部と下部に切断することによって分離する工程と、
d)保持及び保護シールドを前記安定器回路に取り付け、前記放電管配置構造を前記保持及び保護シールドに挿入する工程と、
e)前記放電管配置構造の導入線と前記導出線を前記安定器回路の各接続点に接続することによって、ランプ安定器アセンブリを形成する工程と、
f)前記ランプ安定器アセンブリを前記エンベロープの前記下部に挿入し、前記導出線を前記閉鎖手段の前記管状開口部を貫通させる工程と、
g)前記エンベロープの前記分離された上部と下部を分離線に沿って互いに結合する工程と、
h)前記エンベロープの前記上部と下部を前記分離線に沿って結合して密封する工程と、
i)前記エンベロープに口金を設ける工程と、
j)前記導出線を前記口金の接点端子に接続する工程とを含むことを特徴とする、電球形蛍光ランプの作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2010−527115(P2010−527115A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507511(P2010−507511)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060825
【国際公開番号】WO2008/140894
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】