説明

外光を利用した挿入部先端位置検出が可能な観察装置

【課題】どのような環境下でも、観察装置の挿入部先端が、観察対象物内にあるか外部にあるかを確実に検出できるようにすること。
【解決手段】観察対象物の内部を観察する観察装置を、光源26、その先端付近に光源からの光を射出する光源光射出部22を有し、観察対象物の内部に挿入される挿入部12、挿入部の先端付近に設けられた、入光する可視光の光量を検出する撮像部材24、挿入部の先端位置に関する判断を行う判断手段30、及び、光源光射出部より、挿入部の先端位置検出のために特徴的な、可視光の中で少なくとも所定の波長領域の光を欠落させた欠落信号を発信するように、光源を制御する制御手段28から構成し、撮像部材は、欠落信号が発信されている期間内に検出動作を行って検出情報を出力するようにし、判断手段は、その検出情報に基づいて、挿入部の先端位置に関する判断を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外光を利用した挿入部先端位置検出が可能な観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、内視鏡のような観察対象物の内部や内壁を観察する観察装置は、観察精度向上の目的等から、かなり明るい光源が用いられている。しかしながら、観察情報を得るために観察対象物の内部に挿入される部材が観察対象物の外部にある場合において明るい光量のままだと、観察者や観察対象の代表例である被験者等が眩しく感じたり、電力の無駄であったりする。光源の種類や出力量によっては視覚機能の損傷も考えられる。そのため、観察に用いる部材の観察対象物に対する位置によって、光源の光量を適正に制御することが望まれている。
【0003】
このような要望に対し、特許文献1では、観察に用いる部材である挿入部の先端に取り付けた色検出手段で観察色を検出し、観察対象物である生体の内部における色信号と比較することで、挿入部の位置が生体内部にあるのか外部にあるのかを判断する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4316118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、挿入部先端で観察される画像の特に色情報を挿入部位置検出の判断基準としている。しかしながら、挿入部が体外にある場合でも、体内に似た赤色の強い画像が取得される可能性があり、また、体内においても、色分布は一様ではなく、白や黄色い箇所なども観察される可能性がある。そのため、体内外を正確に検出することができず、安全性が確保されなかったり、観察に支障をきたしたりということが起こり得る。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、どのような環境下でも、挿入部先端の観察対象物内外を確実に検出可能な観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観察装置の一態様は、
観察対象物の内部を観察する観察装置であって、
光源と、
その先端付近に前記光源からの光を射出する光源光射出部を有し、前記観察対象物の内部に挿入される挿入部と、
前記挿入部の前記先端付近に設けられた、入光する可視光の光量を検出する検出手段と、
前記挿入部の先端位置に関する判断を行う判断手段と、
前記光源光射出部より、前記挿入部の先端位置検出のために特徴的な、可視光の中で少なくとも所定の波長領域の光を欠落させた欠落信号を発信するように、前記光源を制御する制御手段と、
を具備し、
前記検出部は、前記欠落信号が発信されている期間内に検出動作を行って、検出結果を示す検出情報を出力し、
前記判断手段は、前記検出部が出力した前記検出情報に基づいて、前記挿入部の先端位置に関する判断を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、どのような環境下でも、挿入部先端の観察対象物内外を確実に検出可能な観察装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る観察装置の構成を示す模式図であり、図1(B)は、挿入部の先端部分の拡大図であり、図1(C)は、本体の構成と各部の接続関係とを示す模式図である。
【図2】図2は、挿入部先端が観察対象物内部にあるときの模式図である。
【図3】図3は、挿入部先端が観察対象物外部にあり、光源が消灯しているときの模式図である。
【図4】図4は、挿入部先端が観察対象物内部にあり、光源が消灯しているときの模式図である。
【図5】図5は、光量変動と対応する撮像部材動作の模式図である。
【図6】図6は、光量変動と対応する撮像部材動作の別の例を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係る観察装置を構成する各部材の接続関係を模式的に示す図である。
【図8】図8は、光源からの出力光に対する撮像部材動作の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1(A)に示すように、本発明の第1実施形態に係る観察装置10は、挿入部12、操作部14、接続ケーブル16、本体18、及び撮像情報表示手段20で構成されている。
【0011】
ここで、挿入部12は、観察対象物の内部に挿入される部材であり、観察者による操作部14の操作に応じて屈曲可能に構成されている。この操作部14の先端の例えば前面には、図1(B)に示すように、観察用の照明光を放射する光源光射出部22と、観察対象物内部に関する視覚的情報を取得するための観察用撮像手段である撮像部材24と、が設置されている。この撮像部材24としては、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、もしくはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどが挙げられる。撮像部材24で取得した視覚的情報は、挿入部12、操作部14及び接続ケーブル16内を通して本体18に送信され、該本体18に接続された撮像情報表示手段20で表示される。
【0012】
本体18には、図1(C)に示すように、光源26、制御手段28、判断手段30、及び切替手段32が構成されている。
【0013】
ここで、光源26としては、ランプ、LED、レーザなどが代表例として挙げられる。この光源26からの光源光は、光ファイバ等の光導光部材により接続ケーブル16、操作部14及び挿入部12内を挿入部12の先端まで導光され、光源光射出部22から挿入部12の前方へ、観察用の照明光として射出される。すなわち、光源26は、撮像部材24によって観察対象物の内部を観察するために、その観察対象物内部を照らす観察用光源となる。
【0014】
また、上記撮像部材24は、上述した挿入部12、操作部14及び接続ケーブル16内を通して、1つの入力を2つの出力先で切り替える切替手段32の入力端子に接続されている。切替手段32の一方の出力端子には上記撮像情報表示手段20が接続され、他方の出力端子には判断手段30が接続されている。これにより、撮像部材24は、入光する可視光の光量を検出する検出手段としても機能する、すなわち、観察用撮像手段と検出手段との機能を兼用可能となっている。
【0015】
判断手段30は、挿入部12の先端位置に関する判断を行うものであり、その判断結果を制御手段28に入力するように、上記制御手段28に接続されている。制御手段28は、光源26、撮像部材24、判断手段30、及び切替手段32を、詳細は後述するように制御するために、それらと接続されている。
【0016】
以下、上記のような構成の観察装置の動作を説明する。
まず、全体のシステムとしては、図2に示すように、細長い挿入部12の先端に設置されている光源光射出部22から射出されている白色光を観察照明光として、挿入部12の先端前方の様子を撮像部材24で撮像し、その撮像情報を撮像情報表示手段20で表示することで、観察者が観察対象物内部34を観察できるシステムである。作業手順としては、まず、観察者の操作により撮像情報表示手段20や光源26などが駆動され、次に、観察対象物内部34に繋がる観察対象物の入口より挿入部12が挿入される。その状態から、観察者が操作部14を操作したり、挿入部12自体を抜き差ししたりすることで、挿入部12の先端の場所と方向を制御し、観察対象物内部34の観察したい部位に挿入部12の先端を移動し、観察を行う。また、観察終了時には、挿入部12によって観察対象物内部34を傷つけないように、光源26を点灯させたまま、また撮像部材24を駆動させたまま抜去を行い、挿入部14先端が観察対象物外部に取り出されたことを確認したのち光源26を消灯し、撮像部材24の駆動も終了させる。
【0017】
観察を行う室内は、一般に、観察作業等をスムーズに行うために室内照明が取り付けられている。そのため、図3に示すように、挿入部12の先端が観察対象物の外部にある時、光源26が消灯しているタイミングにおいても撮像部材24は室内照明36からの室内照明光を受光し、十分な光量が得られることとなる。一方、図4に示すように、挿入部12の先端が観察対象物内部34にあり、光源26が消灯しているとき、撮像部材24が受光する光は観察対象物外部から内部に透過した室内照明36からの室内照明光や、光源26点灯時の光源光による観察対象物内部34の蓄光などに限られ、かなり微小光量となる。したがって、光源26を点滅させ、消灯しているタイミングでも撮像部材24により撮像動作を行うことによって、挿入部12の先端が観察対象物の内外どちらに位置するのかが正確に判断できる。
【0018】
そこで、本実施形態では、観察者のシステム電源の投入操作に応じて光源26を点灯させるとき、光源26を点灯させ続けるのではなく、まず、点滅させる。その時の光量や点滅タイミングは、制御手段28によって制御されるが、該制御手段28は、判断手段30による判断結果に基づいて光量を制御する。この時の光量制御とは、対象物観察時適切な情報を得るための光量制御のことではなく、挿入部12の先端が観察対象物外部にあるときの観察者等の安全確保や眩しいことによる不快感を取り除くため、また、電力の無駄を省くための光量制御である。そのため、対象観察時の光量調節の制御系統とは別系統となっている。
【0019】
なお、本実施形態では、観察者等の安全確保を目的とした光量制御の例について説明する。
【0020】
ここで、判断手段30による判断結果は、2種類あり、一つは「挿入部12の先端は観察対象物外部にある」、もう一つは、「挿入部12の先端は観察対象物内部34にある」という判断結果である。判断手段30によって「挿入部12の先端は観察対象部外部にある」という判断結果が得られると、制御手段28は、それを受けて光量を人間の目に悪影響を及ぼさない安全光量とするように光源26を制御する。また、判断手段30により「挿入部12の先端は観察対象物内部34にある」という判断結果が得られると、制御手段28は、光量を観察に適した観察光量とするように光源26を制御する。ここで、安全光量は、観察光量よりもかなり光量が小さい。判断手段30は、挿入部12の先端にある撮像部材24による撮像情報によって、このような2種類の判断結果を創出する。次に、そのための具体的な動作を説明する。
【0021】
撮像部材24は、マトリクス状に配置された複数の光量受光素子(画素)を有し、図5に示すように、光源26が点灯されている期間と消灯されている期間でそれぞれ1回ずつ撮像動作を行う。以下、点灯されている期間での撮像動作を「観察用撮像動作」、消灯されている期間での撮像動作を「位置検出用撮像動作」と称する。現在用いられている撮像部材24には、入光してきた光量を受光し、受光した光量に対応した電気信号に変換する露光期間と、それらの情報を転送するデータ読込期間とを要するものがあるが、ここでいう撮像動作とは、露光動作に限ることとする。すなわち、「観察用撮像動作」を行う期間は図5における「観察用露光期間」であり、「位置検出用撮像動作」を行う期間は図5における「挿入部先端位置判断用露光期間」となる。それぞれの露光期間で取得した情報は、「観察用データ読込期間」または「挿入部先端位置判断用データ読込期間」において、本体18に転送される。
【0022】
なお、本実施形態は、光源光射出部22から発信する、挿入部12の先端位置検出のための特徴的な欠落信号として、全光消灯する例を示している。すなわち、欠落信号とは、光源26からの光の強度、または可視光の中で少なくとも特定の波長領域の光を欠落させた信号であり、本実施形態では、可視光全ての波長領域の光を欠落させた信号としている。
【0023】
制御手段28は、このような欠落信号を光源26を光源光射出部22から発信するように光源26を制御するとともに、該欠落信号を発信している期間に、検出手段として機能する撮像部材24に撮像動作を行わせる制御を行う。また、切替手段32を、判断手段30側に切り替えて、判断手段30による判断を行わせるように、それらを制御する。すなわち、「挿入部先端位置判断用露光期間」及び「挿入部先端位置判断用データ読込期間」においては、切替手段32を判断手段30側に切り替えることで、検出手段として機能する撮像部材24からの、位置検出用撮像動作によって得られた検出情報が、位置検出用撮像情報として判断手段30に伝達される。なお、「観察用露光期間」及び「観察用データ読込期間」には、切替手段32を撮像情報表示手段20側に切り替えることで、撮像部材24からの観察用撮像情報は、撮像情報表示手段20に伝達されて、観察画像として観察者に提示される。
【0024】
判断手段30は、位置検出用撮像情報に含まれる撮像情報群のうち最大光量を判断指標とし、それがある閾値光量以上であった時、「挿入部12の先端は観察対象物外部にある」という判断結果を創出する。反対に、その判断指標が閾値光量未満であった時、「挿入部12の先端は観察対象物内部34にある」という判断結果を創出する。
【0025】
このとき、判断手段30によって誤った判断結果を創出すると、観察が正常に行われなかったり、観察者などの目の安全が損なわれたりする可能性があるので、防止すべきである。誤判断を誘発する状況として、第一に、挿入部12の先端は観察対象物外部にあるものの、挿入部12の先端前方に低反射率の物体がある状況が考えられる。このことを鑑みると、撮像部材24は、広い角度範囲について撮像できる撮像素子や光学系を有することが望ましい。なぜならば、このような状況において判断手段30が誤って観察対象物内部34と判断しないためには、挿入部12の先端前方の広い角度範囲を撮像し、周囲からの光を少しでも受光することで、より正確に挿入部12の先端位置を判断できるからである。
【0026】
またその時、判断手段30は、位置検出用撮像情報群の中の最大光量を判断指標としてピックアップし、この数値に対してある閾値光量を設けて判断結果を創出するようにしている。なぜならば、撮像部材24により挿入部12の先端前方がほぼ全面低光量を検出しても、ある一方向から室内照明光に匹敵する光量が受光された時は、挿入部12の先端位置は観察対象物外部にあると考えたためである。
【0027】
判断手段30による誤判断を誘発する状況として、第二に、観察者等が挿入部12の先端を手で覆う状況が考えられる。しかしこの場合も、撮像部材24によって観察者の指の隙間などから少しでも室内照明光に匹敵する光量が受光されれば、観察対象物外部と判断することができる。また、隙間無く覆った場合は、たとえ観察対象物内部34と誤判断し観察光量の光が射出されても、完全に光源光射出部22が覆われていることから、人間の目に対する安全が確保される。
【0028】
なお、本実施形態では、本体18内に光源26を設置したが、これに限定するものではない。LEDなどの小型光源26を挿入部12の先端内に設置しても良い。
【0029】
また、本実施形態では、光源26を点滅させ、観察用撮像動作と位置検出用撮像動作を周期的に繰り返す例を示したが、これに限らない。光源26を点灯させ観察用撮像動作を行い、挿入部12の先端位置検出が必要な場合に限り光源26を消灯させ、位置検出用撮像動作を行っても正確に判断は行われる。また、図6に示すように、観察用撮像動作を複数回行うごとに1度、位置検出用撮像動作を行っても、正確に判断は行われる。
【0030】
また、本実施形態では、判断手段30による判断指標を、検出情報の中の最大光量としたが、これに限らない。一つの画素の数値つまり光量からだけでは撮像部材24による誤検出が考えられるため、最大光量から降順に複数個目の検出情報から判断するようにしても良い。
【0031】
また、本実施形態では、挿入部12の先端に撮像部材24を設置する例を示したが、これに限らない。すなわち、挿入部12の先端にはレンズやファイバ先端等を配置し、受光された光学的情報をファイバやリレーレンズ等で導光し、挿入部12の他端の操作部14内に取り付けられたCCDイメージセンサ等で撮像情報を取得しても良い。さらには、操作部14内及び接続ケーブル16内もファイバ等で導光して、本体18内に取り付けられたCCDイメージセンサ等で撮像情報を取得することも可能である。
【0032】
また、本実施形態では、検出手段を観察用撮像手段も兼ねた1つとして示したが、これに限らない。検出手段を、挿入部12の先端付近に挿入方向に沿って複数設け、挿入部12の先端位置検出の正確性を上げても良い。このとき、複数取り付けられた検出手段から得られる判断指標群の最大値、もしくは先端から連続した複数の検出手段からの判断指標群の最大値が閾値光量未満になった時、挿入部12の先端は観察対象物内部34であると判断する方がより望ましい。
【0033】
また、本実施形態では、判断手段30による判断指標を1回の検出情報から得られるものとしたが、これに限らない。1回の検出情報からだけでは、撮像部材24による誤検出が考えられるため、時間的に連続した複数回の検出情報から判断することが望ましい。
【0034】
また、本実施形態では、撮像部材24が光量のみを検出し観察対象の色情報を検出できない例を示したが、これに限らない。撮像部材24が3原色画素群、すなわち赤色波長成分光量を検出する赤色画素群、緑色波長成分光量を検出する緑色画素群、及び青色波長成分光量を検出する青色画素群を有する形式のカラー観察装置においても、本実施例を応用することができる。すなわち、3原色画素群各々が検出した位置検出用撮像情報群それぞれに対し閾値光量を設け判断基準とするか、もしくは、3原色画素群のうち1原色が検出した位置検出用撮像情報に対し閾値光量を設け判断基準とすることで、挿入部12の先端の位置を検出することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では、光源26から一種類の光を点滅させた例を示したが、これに限らない。赤色光、緑色光、青色光を時間分割し順次切り替えて射出する光源26と、可視光光量を受光できる撮像部材24とを組み合わせた形式のカラー観察装置においても、本実施形態を応用することができる。すなわち、光源26の点灯を、赤、緑、青、赤、緑、青、…と繰り返す時、例えば毎回青色点灯直後に全色消灯する期間を設け、その時の撮像情報から挿入部12の先端の位置を検出することが可能となる。
【0036】
また、観察者などにとって観察の望まれる場所が、観察対象物の内外部の境界付近の内部に存在する場合、内外境界付近に室内照明36からの光等の外光を遮光する外光遮光手段があることが望ましい。外光遮光手段は、可視光を遮光(吸収や反射、または散乱)する特性を有する材料で作製され、かつ観察対象物内外境界付近の入口径と略同じ大きさの外径を有し、またその中に貫通孔を有し、その孔径は挿入部12の径と略同じか若干大きいとする。このような構造及び材料の外光遮光手段を使用することで、境界付近の観察対象物内部34に外光が入り込まなくなり、境界付近でも正確に観察できるようになる。例えば、人の口からその人の内臓等を観察する「内視鏡」の場合、操作性向上等のためによくマウスピースと呼ばれる人の口のサイズにあった部材が使用されるが、上記外光遮光手段の機能をこのマウスピースに付加しても良い。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、光源26が消灯している期間に挿入部12の位置検出のための検出動作を行っているため、挿入部12の先端が室内照明光下である観察対象物外部にあるのか、一般照明光の届かない観察対象物内部34にあるのかを判断することができる。すなわち、どのような環境下でも、挿入部12の先端の観察対象物内外を確実に検出可能となる。
【0038】
また、挿入部12の位置検出のための検出を、本来の目的で用いられる観察用撮像手段である撮像部材24を用いて行っているため、部材の増加が少なく、低コスト、容積増加が少ない。
【0039】
また、光源26は、検出手段による誤検出を防止するためのタイミングで消灯しているため、正確に挿入部12の先端位置判断ができる。具体的には、検出手段が検出動作を行っている期間に光源26は消灯していることから、検出手段は検出動作を正確に行うことができる。
【0040】
また、本実施形態では、光源26が発信可能な可視光を全て消灯しているため、可視光を検出できるあらゆる種類の撮像部材を有する観察装置で適用できるメリットがある。
【0041】
また、本実施形態では、検出手段に観察用撮像手段である撮像部材24を用いており、複数の画素で検出可能となっている。また、その複数の撮像情報群のうち最大光量を判断指標としているため、ある角度範囲を持った複数の情報を元に正確に挿入部12の先端位置を検出できる。
【0042】
また、本実施形態では、判断基準も一つの閾値光量としていることから、判断手段30を単純な構造とすることができ、低コスト化できる。
【0043】
また、本実施形態では、周期的に挿入部12の先端位置判断を行っているため、継続的に安全性と観察精度が保たれる。
【0044】
また、本実施形態では、時間的に連続した複数の検出情報から判断しているため、誤判断が防止され、正確に挿入部12の先端位置判断を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、観察対象物内外の境界付近に外光遮光手段を設置しているため、観察対象物入口付近が室内照明等の外光により明るく照らされることがなく、入口付近の観察対象物内部34も正確に観察を行うことができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の観察装置10を説明する。ここでは、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、共通の部分についてはその説明を省略する。
【0047】
本第2実施形態に係る観察装置10の構成に関しては、以下の点が異なっている。すなわち、図7に示すように、撮像部材24に3原色画素群を有し、各々は、入光される赤色波長成分の光量を検出する赤色画素群38R、緑色波長成分の光量を検出する緑色画素群38G、及び青色波長成分の光量を検出する青色画素群38Bである。そして、このような撮像部材24は、色画素群毎に接続が異なる。本実施形態では、緑色画素群38G及び青色画素群38Bは、撮像情報表示手段20に接続されており、赤色画素群38Rは切替手段32に接続されている。該切替手段32の一方の出力端子には、上記撮像情報表示手段20が接続され、他方の出力端子には判断手段30が接続されている。光源26は、上記3原色のうちの一つの色、ここでは赤色成分を欠落した欠落信号を発信可能に構成されており、制御手段28は、図8に示すように、観察用照明光として白色光を、位置検出用の欠落信号として白色光のうち赤色波長を欠落させた青緑光を、交互に点灯するように光源26を制御するものとなっている。また、制御手段28は、欠落信号を発信している期間に、検出手段として機能する赤色画素群38Rに撮像動作を行わせる制御を行う。また、切替手段32を、判断手段30側に切り替えて、判断手段30による判断を行わせるように制御する。
【0048】
動作としては、以下の点が異なっている。すなわち、観察用照明光が点灯している期間内においては、撮像部材24の3原色画素群は全て、観察用撮像手段として動作する。これに対して、欠落信号が発信している期間内には、撮像部材24の緑色画素群38G及び青色画素群38Bは、観察用撮像手段として引き続き動作し、赤色画素群38Rに関しては、挿入部12の先端位置検出手段として動作する。
【0049】
したがって、本実施形態において赤色画素群38Rは観察兼位置検出用画素群であり、緑色画素群38G及び青色画素群38Bは観察用画素群である。よって、図7では撮像部材24が撮像情報表示手段20と判断手段30に接続された構成となっているが、具体的には、撮像部材24の緑色画素群38G及び青色画素群38Bは、撮像情報表示手段20にのみ接続されている一方、赤色画素群38Rは、撮像情報表示手段20及び判断手段30に切替手段32を介して選択的に接続されている。
【0050】
判断手段30は、伝達された検出用赤色情報群のうち最大光量がある閾値光量以上であった時、「挿入部12の先端は観察対象物外部にある」と判断し、逆に、最大光量がある閾値光量未満であった時、「挿入部12の先端は観察対象物内部34にある」と判断する。
【0051】
次に、観察中に想定される状況を示す。
観察を行う室内は多くの場合、室内照明36が取り付けられているため、挿入部12の先端が観察対象物外にある時は、たとえ光源26からの光に赤色波長が含まれていなくても、撮像部材24の有する赤色画素群38Rは、照明光の一部を受光し、十分な光量の情報群を判断手段30に伝達することができる。
【0052】
一方、挿入部12の先端が観察対象物内部34にあるとき、撮像部材24の有する赤色画素群38Rが受光する光は、観察対象物外面を通過した照明光の一部の赤色波長や光源光の青緑色光による観察対象物内面の蛍光の赤色成分など、かなり微小光量となる。
【0053】
この両者の状況の違いに対し、赤色画素群38Rが受光した赤色情報群のうち最大光量に対する閾値光量を設けることとした。また、上記第1実施形態と異なり、挿入部12の位置検出時、赤色波長のみを用いるため、その他の波長光及び原色画素群38G,38Bは引き続き観察用動作を行うことができる。
【0054】
なお、本実施形態では、挿入部12の先端位置検出時に用いる色を赤色波長としたが、これに限定されるものではない。観察画像をカラー化する原色であれば、どの色でも良く、また、複数の原色を同時に判断指標に用いても良い。また、挿入部12の位置検出時に用いる色を毎回同じ色とする必要もない。その時は、撮像情報表示装置と判断手段30に接続する原色画素群は、状況に応じて異なるので、原色画素群毎に切替手段を設けることが必要となる。
【0055】
また、本実施形態では、挿入部12の先端の撮像部材24を検出手段として利用できるため、特別な装置を挿入部12の先端に取り付ける必要なく、挿入部12の先端が観察対象物内外の何れに有るのかを容易に検出することができる。
【0056】
また、挿入部12の先端位置検出動作時でも対象の色以外の画像情報は絶えず受光しているため、画像欠損が少ない。
【0057】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
10…観察装置、 12…挿入部、 14…操作部、 16…接続ケーブル、 18…本体、 20…撮像情報表示手段、 22…光源光射出部、 24…撮像部材、 26…光源、 28…制御手段、 30…判断手段、 32…切替手段、 34…観察対象物内部、 36…室内照明、 38R…赤色画素群、 38G…緑色画素群、 38B…青色画素群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物の内部を観察する観察装置において、
光源と、
その先端付近に前記光源からの光を射出する光源光射出部を有し、前記観察対象物の内部に挿入される挿入部と、
前記挿入部の前記先端付近に設けられた、入光する可視光の光量を検出する検出手段と、
前記挿入部の先端位置に関する判断を行う判断手段と、
前記光源光射出部より、前記挿入部の先端位置検出のために特徴的な、可視光の中で少なくとも所定の波長領域の光を欠落させた欠落信号を発信するように、前記光源を制御する制御手段と、
を具備し、
前記検出手段は、前記欠落信号が発信されている期間内に検出動作を行って、検出結果を示す検出情報を出力し、
前記判断手段は、前記検出部が出力した前記検出情報に基づいて、前記挿入部の先端位置に関する判断を行うことを特徴とする観察装置。
【請求項2】
前記観察対象物内部に関する視覚的情報を取得するための観察用撮像手段をさらに具備し、
前記光源は、前記観察対象物の内部を観察するために観察対象物内部を照らす観察用光源であり、
前記検出手段は、前記観察用撮像手段が兼用されることを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出手段を兼ねた前記観察用撮像手段が観察用撮像動作を行っている期間外に、前記欠落信号を発信するように前記光源を制御することを特徴とする請求項2に記載の観察装置。
【請求項4】
前記検出手段を兼ねた前記観察用撮像手段は、前記欠落信号において欠落させた波長領域の光の少なくとも一部の光量を検出する機能を有することを特徴とする請求項3に記載の観察装置。
【請求項5】
前記欠落信号は、可視光全ての波長領域の光を欠落させた消灯であることを特徴とする請求項4に記載の観察装置。
【請求項6】
前記検出手段を兼ねた前記観察用撮像手段は、それぞれ前記欠落信号において欠落させた波長領域の光の少なくとも一部の光量を検出し、その検出した光量を示す光量情報を前記検出情報として出力する複数の画素を有し、
前記判断手段は、前記複数の画素が出力した複数の光量情報のうち、最高光量情報か、もしくは最大光量から降順に複数番目の光量情報を、判断指標とすることを特徴とする請求項4または5に記載の観察装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記判断指標が、閾値光量以上であったときには、前記挿入部の先端は観察対象物外部にあると判断し、前記閾値光量未満であったときには、前記挿入部の先端は前記観察対象物内部にあると判断することを特徴とする請求項6に記載の観察装置。
【請求項8】
前記判断手段は、前記判断指標が時間的に複数回連続して前記閾値光量未満であったとき、前記挿入部先端は前記観察対象物内部にあると判断することを特徴とする請求項7に記載の観察装置。
【請求項9】
前記観察対象物の内部と外部の境界付近に外光遮光手段をさらに具備し、
前記外光遮光手段は、前記挿入部の先端は前記観察対象物内部に通し、かつ、外光は前記観察対象物内部と外部の境界付近から前記観察対象物内部に入らないように前記境界付近を光学的に遮光することを特徴とする請求項4または5に記載の観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−217627(P2012−217627A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86597(P2011−86597)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】