説明

外壁パネルの取付構造

【課題】支柱フレームの凹溝内に外壁パネルを取り付ける際に各部材の製造許容差を吸収して外壁パネルをぐらつくことなく固定でき、かつ施工作業を迅速に行える、外壁パネルの取付構造を提供する。
【解決手段】ボルト体40の螺進螺退を自在としたボルト止め部35と、凹溝11の側壁に嵌着固定可能な嵌着部33とを備えた固定具30を有した構造とされ、外壁パネル1の側端部1aを凹溝11の一方の側壁に添接させ、固定具30を凹溝11の他方の側壁に嵌着固定した状態で、ボルト止め部35でボルト体40を螺進または螺退させて外壁パネル1を押圧する構造としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型鋼よりなる支柱フレームの側面に形成された凹溝内で外壁パネルの側端部を固定するようにした外壁パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
立体駐車場、工場等の建物において外壁や仕切壁の立設構造として、支柱フレームとして立設させたH型鋼あるいは溝型鋼の凹溝に外壁パネルの側端部を嵌め入れて種々の部材で固定する構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図7(a)は、特許文献1にも開示されている、支柱フレームとしてH型鋼を使用した従来の外壁パネルの取付構造を示す平面図である。
【0004】
この図例は、L型アングル120で外壁パネル101を固定する例である。具体的には、H型鋼110の一対のフランジ112、112と中央腹部113によって形成される両凹溝111、111内に配した2つのL型アングル120をH型鋼110の中央腹部113を挟んでボルト140とナット141によって締結することで、L型アングル120とフランジ112との間に空隙111aを形成し、その空隙111aに外壁パネル101を嵌め入れて固定できるようにしている。
【0005】
この取付構造によれば、使用する部材が少ない点ですぐれているが、取り付ける外壁パネル101の厚み寸法に合わせて、あらかじめH型鋼110の中央腹部113にボルト挿通孔114を開設しなければならないため施工に手間がかかるし、さらに、各部材に製造上の許容差があるため、外壁パネル101をH型鋼110にしっかりと固定できない(遊嵌状態となる)ことや、空隙111aの幅寸法が小さすぎて外壁パネル101を圧入できず、空隙111aの幅寸法あるいは外壁パネル101の側端部101aの幅寸法を現場で調節しなければならないこともあった。
【0006】
一方、図7(b)は、H型鋼110の凹溝111内でH型固定具130およびL型ばね鋼135を用いて外壁パネル101を固定するようにした従来の外壁パネルの取付構造を示す平面図である。
【0007】
この図例は、H型固定具130の一方のフランジ131を外壁パネル101の壁面にビスで取り付けるとともに、H型固定具130の他方のフランジ131と、H型鋼110の他方のフランジ112との間にL型ばね鋼135を介在させるようにしたものである。
【0008】
この構造によれば、L型ばね鋼135を使用しているので、外壁パネル101をがたつきのない程度に固定できる。もちろん、外壁パネル101を凹溝111に嵌め入れできないというおそれもない。
【0009】
しかしながら、図7(b)の取付構造では、H型鋼110、外壁パネル101およびH型固定具130の3部材の製造許容差が組み合わされるため、それらの組み合わせによっては、L型ばね鋼135だけでそれらの許容差を吸収できないおそれがある。特に、H型鋼110のフランジ111、111間の許容差が大きく、許容差の合計値が大きくなることがあった。
【0010】
また、この取付構造では、外壁パネル101にH型固定具130をビス止めしているため、外壁パネル101に穴が開き、それにより劣化が早まったり、見映えが悪くなるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−129635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、支柱フレームの凹溝内に外壁パネルを取り付ける際に各部材の製造許容差を吸収して外壁パネルをぐらつくことなく固定でき、かつ施工作業を迅速に行える、外壁パネルの取付構造を提供することにある。また、型鋼にボルト挿通孔を開設するなどの部材への加工を不要とすること、および、外壁パネルの表裏面にビス穴などの傷が生じないようにすることも本発明の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の外壁パネルの取付構造は、型鋼よりなる支柱フレームの側面に形成された凹溝内で外壁パネルの側端部を固定するようにした外壁パネルの取付構造において、ボルト体の螺進螺退を自在としたボルト止め部と、凹溝の側壁に嵌着固定可能な嵌着部とを備えた固定具を有した構造とされ、外壁パネルの側端部を凹溝の一方の側壁に添接させ、固定具を凹溝の他方の側壁に嵌着固定した状態で、ボルト止め部でボルト体を螺進または螺退させて外壁パネルを押圧する構造としたことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の外壁パネルの取付構造は、ボルト止め部が凹溝内に配される構造となっていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の外壁パネルの取付構造は、嵌着部が凹溝の側壁に対する圧入空隙を有した折り返し片よりなる一方、ボルト止め部が該折り返し片の1片より延び、ボルト螺合孔を有した板片を備えて、ボルト体を該ボルト螺合孔との螺着によって進退自在とした構造となっていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の外壁パネルの取付構造は、嵌着部が凹溝の側壁に対する圧入空隙を有した折り返し片よりなる一方、ボルト止め部が該折り返し片の1片にナットが固着され、ボルト体を該ナットとの螺着によって進退自在とした構造となっていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の外壁パネルの取付構造は、外壁パネルとボルトとの間には緩衝プレートが介在される構成となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の外壁パネルの取付構造によれば、固定具のボルト止め部でボルト体を螺進または螺退させて外壁パネルを押圧して固定する構造となっているので、外壁パネルや、これを嵌め入れる支柱フレームに製造許容差をボルト体の螺進の程度によって吸収できる。そのため、外壁パネルを取り付けるだけでなく確実に固定して、施工後のがたつきをなくすことができる。
【0019】
また、事前にあるいは施工現場において型鋼にボルト挿通孔等を加工する必要がないから、迅速で効率のよい施工を実現できる。さらに、外壁パネルの固定のためにビスを使用しない構成であるから、外壁パネルにビス止めによる穴等の傷が付くおそれはなく、それにより外壁パネルが劣化することを防止できる。また、表面に傷が付かないので、外壁パネルの表面の見映えは悪くならず再利用も可能である。
【0020】
請求項2に記載の外壁パネルの取付構造によれば、固定具のボルト止め部が凹溝内に配される構造となっているので、施工後にボルト体が外観露出せず、美観が損なわれることを防止できる。
【0021】
請求項3に記載の外壁パネルの取付構造によれば、固定具のボルト止め部が、折り返し片の1片より延び、ボルト螺合孔を有した板片を備えた構造となっているので、固定具を例えばS字形等の簡易な形状に形成できる。
【0022】
請求項4に記載の外壁パネルの取付構造によれば、固定具のボルト止め部が、折り返し片の1片にナットが固着され、ボルト体とナットとの螺着によって進退自在とした構造となっているので、固定具を簡易な構造に形成できる。
【0023】
請求項5に記載の外壁パネルの取付構造によれば、外壁パネルとボルトとの間に緩衝プレートが介在される構成となっているので、緩衝プレートの弾性復帰力によって外壁パネルをさらに強固に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る外壁パネルの取付構造を示す分解斜視図であり、外壁パネルの取付前を示す図である。
【図2】同実施形態の外壁パネルの取付後を示す斜視図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ、同外壁パネルの取付前、取付後における同取付構造の平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る外壁パネルの取付構造を示す分解斜視図であり、外壁パネルの取付前を示す図である。
【図5】同実施形態の外壁パネルの取付後を示す斜視図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ、同外壁パネルの取付前、取付後における同取付構造の平面図である。
【図7】(a)、(b)は従来の外壁パネルの取付構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
本発明の外壁パネルの取付構造は、型鋼よりなる支柱フレームの側面に形成された凹溝内で外壁パネルを取付固定するもので、そのために固定具およびボルト体を使用するものである。
【0027】
以下では、固定具の構造、形状が異なる2種の実施形態について説明する。なお、これらの実施形態では、支柱フレームとしてH型鋼を使用しているが、いずれかの側面に凹溝が形成される型鋼であればよく、例えばコ字形の溝型鋼であってもよい。
【0028】
また、外壁パネルとしては、芯材を発泡樹脂とし、その外郭をアルミニウム板等の金属板で形成したものが好適に使用されるが、他の素材、例えばセメント板等でもよい。
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態に係る外壁パネルの取付構造を示す分解斜視図であり、外壁パネルの取付前を示す図である。図2は同実施形態の外壁パネルの取付後を示す斜視図である。図3(a)、(b)はそれぞれ、同外壁パネルの取付前、取付後における同取付構造の平面図である。
【0030】
支柱フレームとして使用されるH型鋼10は、一対のフランジ12、12と、中央腹部13とよりなり、平面視H形に形成されており、これを平面視倒H形とした状態の両側面のそれぞれには、中央腹部13で底部を構成し、両フランジ12、12で側壁を構成した凹溝11が形成されている。
【0031】
外壁パネル1は、その側端部1aを凹溝11の一方のフランジ12により形成された側壁の内面に添接させるように起立状態に配される。また、複数の外壁パネル1を上下端で実結合させて積み重ねて凹溝11内に起立させたものでもよい。
【0032】
一方、この外壁パネル1をボルト体40で固定するための固定具30は、凹溝11の他方の側壁を形成したフランジ12に対して嵌着固定される。
【0033】
この固定具30は、上記フランジ12に対する圧入空隙33aを有した嵌着部33と、ボルト体40を螺進させて外壁パネル1を押圧する構造としたボルト止め部35を備えて、全体が平面視S字形に形成されている。すなわち、1枚の板片がS字形に折曲されて、圧入空隙33aを有した嵌着部33と、ボルト体40の螺進、螺退を自在としたボルト螺合孔35aを有したボルト止め部35とを構成している。
【0034】
圧入空隙33aは第1片31と第2片32との間に形成されており、第1片31は平板状となっている一方、第2片32は、中央部で第1片31との間の空隙間隔がもっとも狭く、先端および折り返し基部近傍33cでは広くなるように形成されている。
【0035】
この中央部における空隙間隔はフランジ12の厚さ寸法より小さく、固定具30をフランジ12に対し圧嵌でき、容易には外れない程度となっている。また、第2片32の先端折曲部は、空隙開口が広がるように形成されたガイド部33bを構成しており、フランジ12に装着しやすいようになっている。
【0036】
また、これら第1片31、第2片32の各中央部には、ボルト体40のボルト頭40bを挿通可能な挿通孔31a、32aが開設されている。
【0037】
ボルト止め部35は、中央部にボルト螺合孔35aが形成された第3片34を備えてなり、その第3片34は第2片32の先端より折曲して第1片31、第2片32に略平行に延びており、第3片34と第2片32の間にボルト止め空間35bが形成されている。
【0038】
この固定具30には、ボルト体40を事前に挿通孔31a、32aを通して、ボルト頭40bがボルト止め空間35bに位置する程度までボルト螺合孔35aに螺着させておき、その状態で嵌着部33の折り返し部を例えばハンマー等で叩くことで、フランジ12に対し第2片32が弾性変形して広がるように圧嵌されて、H型鋼10に強固に固定される。なお、図3(b)には固定具30の嵌着状態を示しており、2点鎖線で第2片32の復帰状態(嵌着されていない状態)を図示している。
【0039】
また、凹溝11内の一方の側壁側に配した外壁パネル1の表面に添接されるように、緩衝プレート20が配される。本実施形態の構造は、ボルト体40の螺進で外壁パネル1を押圧して固定するものであるが、この緩衝プレート20を外壁パネル1の表面に配することで、弾性復帰力による強固な固定が実現できる。また、外壁パネル1の表面がボルト体40の先端40aで傷つけられることを防止することもできる。
【0040】
この緩衝プレート20は、金属製等のプレート材の側端を折り返して形成され、本体片21と、折り返し弾性片22とが鋭角的に広がった状態となって、厚み方向に弾性変形自在な形状となっている。なお、この開き角度はボルト体40の長さ等によって定められる。
【0041】
以上のように各部材をH型鋼10の凹溝11に配し、あるいは取り付けた状態で、固定具30のボルト螺合孔35aに螺着されたボルト体40を螺進させると、図3(b)に示すように、ボルト体40の先端40aが緩衝プレート20の折り返し弾性片22が弾性変形するように押圧し、そうすることで外壁パネル1が動かない状態に固定される。なお、固定具30は全高に対し所定間隔で複数個所に取り付けることが望ましい。
【0042】
このような外壁パネルの取付構造によれば、外壁パネル1をボルト体40の先端40aで押圧して固定する構造となっているので、外壁パネル1や、これを嵌め入れるH型鋼10の製造許容差をボルト体40の螺進の程度によって吸収できる。そのため、施工後に風、振動等で外壁パネル1ががたつくことがなくなる。
【0043】
さらに、外壁パネル1の固定にビスを使用しない構成であるから、ビス止めによる穴等の傷が付くおそれはなく、外壁パネル1の劣化を進行させないようにできる。また、表面に傷が付かないので、外壁パネル1の再利用にも耐えられる。
【0044】
さらに、外壁パネル1の表面に緩衝プレート20を配した構造であるため、上述したように緩衝プレート20の弾性付勢力が作用してボルト体40の緩みを防止できる。また、外壁パネル1の表面はボルト体40の先端で直接押圧されることはなく、よってパネル表面が部分的に凹むおそれはない。このように緩衝プレート20を介在させる構成であるため、外壁パネル1の表面を硬質とする必要がなく、外壁パネルとして表面をやや軟質としたものを使用できる。
【0045】
また、緩衝プレート20はその表面がボルト体40で押圧されるので、硬質材料を使用することが望ましいが、すくなくとも表面を金属板で形成して裏面側を弾性変形自在なゴムで構成した緩衝プレートを使用することもできる。
【0046】
また、ボルト体40の先端のずれを規制するために、緩衝プレート20の折り返し弾性片22の先端に、さらに外側に折曲された滑り止め片を備えてもよいし、ボルト体40の先端のずれを防止するために、緩衝プレート20の折り返し弾性片22の外面に微細凹凸等による滑り止め部を設けてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、固定具30のボルト止め部35が、嵌着部33の第2片32の端部より折曲して延び、ボルト螺合孔35aを有した第3片34を備えた構造となっているので、固定具30を例えば図例のようなS字形等の簡易な形状に形成できる。
【0048】
さらに、このようなS字形の固定具30によれば、ボルト体40が螺退して弛んだとしてもフランジ12がボルト頭40bのストッパとなり得るのでボルト体40が外れるおそれはなく、外壁パネル1が外れてしまうことはない。
【0049】
ついで、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0050】
図4は、本発明の第2実施形態に係る外壁パネルの取付構造を示す分解斜視図であり、外壁パネルの取付前を示す図である。図5は同実施形態の外壁パネルの取付後を示す斜視図である。図6(a)、(b)はそれぞれ、同外壁パネルの取付前、取付後における同取付構造の平面図である。
【0051】
本実施形態の外壁パネルの取付構造は、第1実施形態と同一の外壁パネル1を、H型鋼10、緩衝プレート20、固定具30およびボルト体40を用いて固定するものである。なお、緩衝プレート20は使用しなくてもよい。
【0052】
支柱フレームとして使用するH型鋼10は、第1実施形態のものと同一であるため、これについては同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
外壁パネル1は、第1実施形態と同様に、H型鋼10の側面に形成されている凹溝11に、一方の側壁(フランジ12)に添設されて起立状態に配される。
【0054】
また、緩衝プレート20も第1実施形態のものと同一であるが、ボルト体40の長さを考慮して本体片21と折り返し弾性片22との開き角度が調節されたものが使用される。
【0055】
一方、固定具30は、凹溝11の他方の側壁を形成したフランジ12に対して嵌着固定される点では第1実施形態と同様であるが、その形状、構造は第1実施形態のものとは異なる。
【0056】
すなわち、固定具30は、フランジ12に対する圧入空隙33aを有した、第1片31と第2片32を備えた金属製等の折り返し片と、第2片32の外側に固着され、ボルト体40の螺進、螺退を自在とした長ナット35cとよりなり、機能的には、その圧入空隙33aで凹溝11の側壁に嵌着するようにした嵌着部33と、緩衝プレート20の折り返し弾性片22にボルト体40で押圧するためのボルト止め部35とを備えた構造となっている。
【0057】
嵌着部33は、第1片31、第2片32がともに略平板状に形成され、その中央部で第1片31と第2片32との間の圧入空隙33aがもっとも狭くなるように形成されている。
【0058】
この中央部における圧入空隙33aはフランジ12の厚さ寸法より小さく、固定具30をフランジ12に対し圧嵌でき、容易には外れない程度となっている。また、第2片32の先端部は、空隙開口が広がるように形成されたガイド部33bを構成しており、フランジ12に装着しやすいようになっている。
【0059】
この固定具30の長ナット35cにはあらかじめボルト体40を深く螺着させておき、その状態で嵌着部33の折り返し部を例えばハンマー等で叩くことで、フランジ12に対し第2片32が弾性変形して広がるように圧嵌されて、H型鋼10に強固に固定される。なお、図6(b)には固定具30の嵌着状態を示しており、2点鎖線で第2片32の復帰状態(嵌着されていない状態)を図示している。
【0060】
また、長ナット35cの代わりに通常の高さのナットを使用してもよいが、本実施形態の取付構造は、ボルト体40の螺退によって外壁パネル1の固定を調整するものであるから、螺退代が大きい長ナット35cを使用することが望ましい。また、ボルト体40を長ナット35cに深く螺着させて一体化しておけば、一体として保管、持ち運びでき、その際にボルト体40が抜け落ちるおそれもないので、長ナット35cを用いることが望ましい。
【0061】
以上のように各部材をH型鋼10の凹溝11に配し、あるいは取り付けた状態で、固定具30のボルト螺合孔35aに螺着されたボルト体40を螺退させると、図6(b)に示すように、ボルト体40のボルト頭40bが緩衝プレート20の折り返し弾性片22が弾性変形するように押圧し、そうすることで外壁パネル1が動かない状態に固定される。なお、固定具30は全高に対し所定間隔で複数個所に取り付けることが望ましい。
【0062】
また、固定具30の第2片32の外側でボルト体40に対し他のナットを螺着させて、ボルト体30と長ナット35cとの螺着状態を強固に保持できるようにしてもよい。
【0063】
このように本実施形態においても、第1実施形態と同様に嵌着型の固定具30を使用してボルト体40で外壁パネル1を押圧固定する構造であるため、第1実施形態と同様の効果が奏せられる。
【0064】
また、本実施形態では、固定具30のボルト止め部35が、折り返し片の第2片32に長ナット35cが固着され、ボルト体40が長ナット35cとの螺着によって進退自在とした構造となっているので、固定具30を簡易な構造に形成できる。
【0065】
なお、以上にはボルト体40で外壁パネル1を押圧する例として上記2実施形態を示したが、ボルト止め部35を構成する板片、ボルト螺合孔35a、長ナット35c等の配置、形状によって種々の形態があることはいうまでもない。すくなくともボルト体を螺進または螺退させることで外壁パネルを押圧する構成であれば、どのような形態であってもよい。
【0066】
また、上記2実施形態は凹溝11内にボルト体40が配される構成であるため、施工後にボルト体40が外観露出せず、美観が損なわれることを防止できるが、ボルト止め部35の配置、形状を変えることで、ボルト体40を凹溝11の外側に配するようにしてもよい。
【0067】
また、上記2実施形態では、緩衝プレート20として厚み方向に弾性変形自在なものを示したが、本発明はボルト体40の螺進または螺退によって外壁パネル1を押圧固定することを特徴とするものであるから、緩衝プレート20は外壁パネル1の表面の損傷防止のみを目的とするものでもよく、そのため弾性材でなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 外壁パネル
1a 側端部
10 H型鋼(支柱フレーム)
11 凹溝
12 フランジ(側壁)
13 中央腹部
20 緩衝プレート
21 本体片
22 折り返し弾性片
30 固定具
31 第1片
32 第2片
33 嵌着部
33a 圧入空隙
33b ガイド部
33c 折り返し基部近傍
34 第3片
35 ボルト止め部
35a ボルト螺合孔
35b ボルト止め空間
35c 長ナット
40 ボルト体
40a 先端
40b ボルト頭
41 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型鋼よりなる支柱フレームの側面に形成された凹溝内で外壁パネルの側端部を固定するようにした外壁パネルの取付構造において、
ボルト体の螺進螺退を自在としたボルト止め部と、上記凹溝の側壁に嵌着固定可能な嵌着部とを備えた固定具を有した構造とされ、
上記外壁パネルの側端部を上記凹溝の一方の側壁に添接させ、上記固定具を上記凹溝の他方の側壁に嵌着固定した状態で、上記ボルト止め部でボルト体を螺進または螺退させて外壁パネルを押圧する構造としたことを特徴とする、外壁パネルの取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
上記ボルト止め部は上記凹溝内に配される構造となっている、外壁パネルの取付構造。
【請求項3】
請求項2において、
上記嵌着部は、上記凹溝の側壁に対する圧入空隙を有した折り返し片よりなる一方、上記ボルト止め部は、該折り返し片の1片より延び、ボルト螺合孔を有した板片を備えて、上記ボルト体を該ボルト螺合孔との螺着によって進退自在とした構造となっている、外壁パネルの取付構造。
【請求項4】
請求項2において、
上記嵌着部は、上記凹溝の側壁に対する圧入空隙を有した折り返し片よりなる一方、上記ボルト止め部は、該折り返し片の1片にナットが固着され、上記ボルト体を該ナットとの螺着によって進退自在とした構造となっている、外壁パネルの取付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記外壁パネルと上記ボルト体との間には、緩衝プレートが介在される構成となっている、外壁パネルの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate